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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-01
(45)【発行日】2022-02-09
(54)【発明の名称】動力発生装置
(51)【国際特許分類】
   F03G 7/08 20060101AFI20220202BHJP
【FI】
F03G7/08 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021549503
(86)(22)【出願日】2021-06-21
(86)【国際出願番号】 JP2021023332
【審査請求日】2021-08-23
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2020/024443
(32)【優先日】2020-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】317015401
【氏名又は名称】株式会社ウスイテクノス
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100192212
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 貴明
(74)【代理人】
【識別番号】100200001
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 明彦
(72)【発明者】
【氏名】白石 康貴
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-046804(JP,A)
【文献】特開平08-226377(JP,A)
【文献】特開2004-343882(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03G 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転部材を回転させることにより動力を発生させる動力発生装置であって、
前記動力発生装置を支える向かい合った柱と、
前記回転部材を回転させるために一方の柱側からもう一方の柱側へと傾斜を有し、両端に有する1以上のローラー部材及び前記柱に設けられたローラー受部材により前記柱に沿って上昇及び下降可能な1以上の可動式傾斜部材と、
前記回転部材を回転させるために前記もう一方の柱側から前記一方の柱側へと傾斜を有し、前記柱又は前記柱を支持する支持部材に設けられた1以上の固定式傾斜部材と、
前記可動式傾斜部材及び/又は前記固定式傾斜部材及び/又は前記回転部材に設けられた1以上のシリンダーと、を備え
前記回転部材の回転により前記シリンダーのピストンが押されることにより動力を得ることを特徴とする動力発生装置。
【請求項2】
回転部材を回転させることにより動力を発生させる動力発生装置であって、
前記動力発生装置を支える向かい合った柱と、
前記回転部材を回転させるために一方の柱側からもう一方の柱側へと傾斜を有し、両端に有する1以上のローラー部材及び前記柱に設けられたローラー受部材により前記柱に沿って上昇及び下降可能な1以上の可動式傾斜部材と、
前記回転部材を回転させるために前記もう一方の柱側から前記一方の柱側へと傾斜を有し、前記柱又は前記柱を支持する支持部材に設けられた1以上の固定式傾斜部材と、を備え、
前記回転部材に発電機を接続し、前記回転部材の回転により発電することを特徴とする動力発生装置。
【請求項3】
前記可動式傾斜部材及び前記固定式傾斜部材は、2以上設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の動力発生装置。
【請求項4】
前記固定式傾斜部材は、前記可動式傾斜部材の内側に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の動力発生装置。
【請求項5】
前記シリンダーの頂部に、前記回転部材によって押圧される押圧部をさらに備えることを特徴とする請求項に記載の動力発生装置。
【請求項6】
前記押圧部は平面部を有し、
前記平面部がなす角度と、前記可動式傾斜部材及び前記固定式傾斜部材が有する傾斜のなす角度には、差が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の動力発生装置。
【請求項7】
前記回転部材は、前記可動式傾斜部材上又は前記固定式傾斜部上を回動する複数の車輪であり、該複数の車輪は土台部に連結されて台車として一体に動くことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の動力発生装置。
【請求項8】
回転部材を回転させることにより動力を発生させる動力発生装置であって、
前記動力発生装置を支える向かい合った柱と、
前記回転部材を回転させるために一方の柱側からもう一方の柱側へと傾斜を有し、両端に有する1以上のローラー部材及び前記柱に設けられたローラー受部材により前記柱に沿って上昇及び下降可能な1以上の可動式傾斜部材と、
前記回転部材を回転させるために前記もう一方の柱側から前記一方の柱側へと傾斜を有し、前記柱又は前記柱を支持する支持部材に設けられた1以上の固定式傾斜部材と、を備え、
前記回転部材は、前記可動式傾斜部材上又は前記固定式傾斜部材上を回動する複数の車輪であり、該複数の車輪は土台部に連結されて台車として一体に動き、
1以上のシリンダーと、
前記シリンダーのピストンロッドの先端に備えられたシリンダー用車輪と、
前記1以上のシリンダーを保持するフレーム部と、
前記フレーム部に備えられたウェイト
を有する圧力変換部が前記台車に備えられ、
前記可動式傾斜部材の動きと連動するようにシリンダー用レールが設けられ、前記圧力変換部の前記シリンダー用車輪は、該シリンダー用レール上を動きながら、前記可動式傾斜部材の上昇及び下降の動作に合わせて上下動することで前記ピストンロッドを介して前記シリンダーに動力を伝達することで動力を発生させることを特徴とする動力発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転部材を回転させることにより動力を発生させる動力発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、気体や液体等の物質を移送させるためにポンプやコンプレッサなどが用いられ、主にそれらの動力として、電力が用いられてきた。電力を用いてのポンプなどは従来から開示されている。
【0003】
例えば特許文献1に、フロントケーシング、リアケーシング、支持軸、マグネットキャン等から構成されたマグネットポンプが記載されている。
【0004】
また、特許文献2に、ポンプ本体、駆動部、操作部、ジョイント機構から構成されたポンプ装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】再表2015/097851号公報
【文献】再表2018/061110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したようにこれらの文献に記載されている動力は主に電力であり、特に電源が供給できない地域や場所には使用が不向きであり、気体や液体等の物質を移送させることが困難であった。
【0007】
ここで、できるだけ電力を使用しないで、何かしらの動力を発生させることができれば、発生した動力によって気体や液体等の物質を移送することができる。
【0008】
そこで本発明は、回転部材を回転させることにより動力を発生させ、省エネ化された動力発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る動力発生装置は、回転部材を回転させることにより動力を発生させる動力発生装置であって、前記動力発生装置を支える向かい合った柱と、前記回転部材を回転させるために一方の柱側からもう一方の柱側へと傾斜を有し、両端に有する1以上のローラー部材及び前記柱に設けられたローラー受部材により前記柱に沿って上昇及び下降可能な1以上の可動式傾斜部材と、前記回転部材を回転させるために前記もう一方の柱側から前記一方の柱側へと傾斜を有し、前記柱又は前記柱を支持する支持部材に設けられた1以上の固定式傾斜部材と、前記可動式傾斜部材及び/又は前記固定式傾斜部材及び/又は前記回転部材に設けられた1以上のシリンダーと、を備え、前記回転部材の回転により前記シリンダーのピストンが押されることにより動力を得ることを特徴とする。
【0010】
本発明の他の態様に係る動力発生装置は、回転部材を回転させることにより動力を発生させる動力発生装置であって、前記動力発生装置を支える向かい合った柱と、前記回転部材を回転させるために一方の柱側からもう一方の柱側へと傾斜を有し、両端に有する1以上のローラー部材及び前記柱に設けられたローラー受部材により前記柱に沿って上昇及び下降可能な1以上の可動式傾斜部材と、前記回転部材を回転させるために前記もう一方の柱側から前記一方の柱側へと傾斜を有し、前記柱又は前記柱を支持する支持部材に設けられた1以上の固定式傾斜部材と、を備え、前記回転部材に発電機を接続し、前記回転部材の回転により発電することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記可動式傾斜部材及び前記固定式傾斜部材は、2以上設けられてもよい。
【0014】
このようにすれば、安定して回転部材を回転させることができ、効率よく動力を発生させることができる。
【0015】
また、本発明の一態様では、前記固定式傾斜部材は、前記可動式傾斜部材の内側に設けられてもよい。
【0016】
このようにすれば、可動式傾斜部材を柱にそって上昇及び下降移動することが比較的容易になり、効率よく動力を発生させることができる。また、可動式傾斜部材のメンテナンスもしやすくなる。
【0017】
また、本発明の一態様では、前記シリンダーの頂部に、前記回転部材によって押圧される押圧部をさらに備えてもよい。
【0018】
このようにすれば、回転部材が押圧部をスムーズに押圧することができ、力をシリンダー70へ伝達しやすくなるので、効率よく動力を発生させることができる。
【0019】
また、本発明の一態様では、前記押圧部は平面部を有し、前記平面部がなす角度と、前記可動式傾斜部材及び前記固定式傾斜部材が有する傾斜のなす角度には、差が設けられていてもよい。
【0020】
このようにすれば、シリンダーへ伝達する回転部材の下向きの力(重力)が増加し、効率よく動力を発生させることができる。
【0021】
また、本発明の他の態様では、回転部材は、可動式傾斜部材上又は固定式傾斜部上を回動する複数の車輪であり、複数の車輪は土台部に連結された台車として一体に動くとしてもよい。
【0022】
このようにすることで、台車は常に水平(同じ姿勢)を保ったまま安定して動作することができる。
【0023】
本発明の他の態様に係る動力発生装置は、回転部材を回転させることにより動力を発生させる動力発生装置であって、前記動力発生装置を支える向かい合った柱と、前記回転部材を回転させるために一方の柱側からもう一方の柱側へと傾斜を有し、両端に有する1以上のローラー部材及び前記柱に設けられたローラー受部材により前記柱に沿って上昇及び下降可能な1以上の可動式傾斜部材と、前記回転部材を回転させるために前記もう一方の柱側から前記一方の柱側へと傾斜を有し、前記柱又は前記柱を支持する支持部材に設けられた1以上の固定式傾斜部材と、を備え、前記回転部材は、前記可動式傾斜部材上又は前記固定式傾斜部材上を回動する複数の車輪であり、該複数の車輪は土台部に連結されて台車として一体に動き、1以上のシリンダーと、前記シリンダーのピストンロッドの先端に備えられたシリンダー用車輪と、前記1以上のシリンダーを保持するフレーム部と、前記フレーム部に備えられたウェイトを有する圧力変換部が前記台車に備えられ、前記可動式傾斜部材の動きと連動するようにシリンダー用レールが設けられ、前記圧力変換部の前記シリンダー用車輪は、該シリンダー用レール上を動きながら、前記可動式傾斜部材の上昇及び下降の動作に合わせて上下動することで前記ピストンロッドを介して前記シリンダーに動力を伝達することで動力を発生させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、回転部材を回転させることにより動力を発生させ、省エネ化された動力発生装置を提供することができる。特に、電源を用いなくとも電力が供給されていない地域や場所でも、発生した動力によって気体や液体等の物質を移送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る動力発生装置の斜視図である。
図2図2は本発明の一実施形態に係る動力発生装置の側面図であり、図2(A)は可動式傾斜部材が下降した状態の図で回転部材が可動式傾斜部材の傾斜を回転する前の図であり、図2(B)は可動式傾斜部材が上昇し可動式傾斜部材の傾斜を回転部材が回転中の図であり、図2(C)は可動式傾斜部材が上昇し終えて回転部材の回転が停止した図である。
図3図3は本発明の一実施形態に係る動力発生装置の側面図であり、図3(A)は可動式傾斜部材が上昇した状態の図で回転部材が固定式傾斜部材の傾斜を回転する前の図であり、図3(B)は可動式傾斜部材が下降し固定式傾斜部材の傾斜を回転部材が回転中の図であり、図3(C)は可動式傾斜部材が下降し終えて回転部材の回転が停止した図である。
図4図4は本発明の一実施形態に係る動力発生装置の側面図であり、図4(A)は可動式傾斜部材が上昇し回転部材が可動式傾斜部材の傾斜を転がる前の図であり、図4(B)は転がり終えた図である。
図5図5は本発明の一実施形態に係る動力発生装置の側面図であり、図5(A)は可動式傾斜部材が下降し回転部材が固定式傾斜部材の傾斜を転がる前の図であり、図5(B)は可動式傾斜部材が下降し回転部材が転がり終えた図である。
図6図6は動力発生装置の側面図の一部拡大図であり、図6(A)は固定式傾斜部材に設けられたシリンダーの頂部に押圧部を備えた動力発生装置の側面図であり、図6(B)は図6(A)の拡大図である。
図7図7(A)は本発明の他の実施形態に係る動力発生装置の側面図であり、図7(B)は平面図(土台部は透過視)である。
図8図8(A)は本発明に係る動力発生装置における圧力変換部の正面図であり、図8(B)は平面図であり、図8(C)は側面図である。
図9図9(A)は本発明の他の実施形態に係る圧力変換部を備えた動力発生装置の側面図であり、図9(B)は平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明者らは、ポンプやコンプレッサを用い気体や液体等の物質を移送させるために大きな電力が必要であり、電力不足の地域や、電力が供給されていない地域や場所では、気体や液体等の物質を移送させることが困難である問題に鑑み鋭意研究を重ねた。この結果、回転部材を回転させることで、動力が得られ、上記問題を解決できるとの知見を得た。本発明は、これらの知見に基づき完成されたものである。以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0032】
なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。また、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。本発明の一実施形態に係る動力発生装置100について説明する。
【0033】
本発明の一実施形態に係る動力発生装置100は、回転部材10を回転させることで動力を発生させる。本発明の一実施形態に係る動力発生装置100は、図1に示すように、柱20(21,22)と可動式傾斜部材40と固定式傾斜部材60とを備える。下記に本発明の一実施形態に係る動力発生装置100の詳細な構成について説明する。
【0034】
柱20(21,22)は、動力発生装置100を支え、向かい合っている。図1には向かい合う柱が合計で4本である。柱20の本数は、2本(一方の側ともう一方の側に1本ずつ)、3本(一方の側ともう一方の側に2本)、4本(一方の側ともう一方の側に2本ずつ)、それ以上としてもよい。状況に応じて柱20(21,22)の本数を適宜変更すればよい。
【0035】
また、柱20(21、22)には、後述する可動式傾斜部材40が上昇及び下降可能となるように、1以上のローラー受部材35が設けられている。ローラー受部材35は後述するローラー部材30を受けることができれば、個数、形状や素材に限定されない。なお、ローラー部材30は4個が好ましい。また、図1では、ローラー受部材35はレール状としている。図1のようにローラー受部材35はレールとしてもよく、レールを設けないで平面とし、その上をローラー部材30が移動するようにしてもよい。
【0036】
さらに、柱20(21、22)の高さは適宜変更可能である。本発明の一実施形態に係る動力発生装置100の使用方法にもよるが、柱20(21、22)は、回転部材10を受け止めることができるよう、後述する支持部材50よりも高いことが好ましい。
【0037】
可動式傾斜部材40は、回転部材10を回転させるために一方の柱21側からもう一方の柱22側へと傾斜41を有する。この傾斜41を回転部材10が回転する。また、可動式傾斜部材40の両端には、可動式傾斜部材40が上昇及び下降可能となるようにローラー部材30を設けている。このローラー部材30と上述したローラー受部材35により柱20(21、22)に沿って可動式傾斜部材40の上昇及び下降を可能とする。なお、可動式傾斜部材40の上昇及び下降は、人力、浮力、波力、小さな電力等によって行えばよい。
【0038】
また、可動式傾斜部材40は、1つよりも2以上設けた方が好ましい。このようにすれば、安定して回転部材10を回転させることができ、効率よく動力を発生させることができる。
【0039】
固定式傾斜部材60は、回転部材10を回転させるためにもう一方の柱22側から一方の柱21側へと傾斜61を有する。この傾斜61を回転部材10が回転する。また、固定式傾斜部材60が有する傾斜61と可動式傾斜部材40が有する傾斜41は、逆向きに設けられている。これは、可動式傾斜部材40が上昇又は下降したときに可動式傾斜部材40が有する傾斜41と固定式傾斜部材60が有する傾斜61のそれぞれに回転部材10が回転できるようにするためである。固定式傾斜部材60は、可動式傾斜部材40のように上昇及び下降する可動式ではなく、固定式である。
【0040】
固定式傾斜部材60は、柱20(21、22)に直接設けてもよく、図1のように、柱20(21、22)を支持する支持部材50に設けてもよい。係る場合、もう一方の柱22側に設けられた支持部材50から、一方の柱21側に設けられた支持部材50へと傾斜を有することとなる。
【0041】
また、固定式傾斜部材60は、1つよりも2以上設けた方が好ましい。このようにすれば、安定して回転部材10を回転させることができ、効率よく動力を発生させることができる。
【0042】
固定式傾斜部材60及び可動式傾斜部材40が2以上としたとき、固定式傾斜部材60は、可動式傾斜部材40の内側に設けられていることが好ましい。このようにすれば、可動式傾斜部材40が外側にあるので、可動式傾斜部材40を柱20(21、22)にそって上昇及び下降移動することが比較的容易になり、効率よく動力を発生させることができる。また、可動式傾斜部材40や、ローラー部材30のメンテナンスもしやすくなる。
【0043】
回転部材10は、可動式傾斜部材40の傾斜41及び固定式傾斜部材60の傾斜61を回転することができれば、形状は限定されないが、円柱とすることが好ましい。円柱とすれば、可動式傾斜部材40の傾斜41及び固定式傾斜部材60の傾斜61を安定して回転することができる。また、回転部材10は、それぞれの傾斜41、61を回転し動力を得るので、自重が重いものが好ましい。例えば、回転部材10は、鉄、銅、アルミニウムなどの金属製や、密度の高いゴム製とすることが好ましい。
【0044】
回転部材10が回転することで発生する動力を用いて、発電したり、ポンプなどを動かしてもよい。例えば、回転部材10に発電機を接続し、回転部材10の回転により発電してもよい。
【0045】
また、可動式傾斜部材40及び/又は固定式傾斜部材60及び/又は回転部材10に設けられた1以上のシリンダー70と、をさらに備えることが好ましい。つまり、可動式傾斜部材40、固定式傾斜部材60、回転部材10のそれぞれにシリンダー70を備えてもよく、可動式傾斜部材40、固定式傾斜部材60、回転部材10のいずれかに1つの部材又は2つの部材に備えてもよい。また、シリンダー70は1以上設けてもよい。多くの動力を得る観点から、可動式傾斜部材40及び固定式傾斜部材60のそれぞれに設ける方が好ましい。また、シリンダー70の他にシリンダーヘッド(不図示)をさらに設けてもよい。さらに、シリンダー70は押圧後に元にもどるような構造、例えばバネなどの弾性体を用いることが好ましい。
【0046】
さらにシリンダー70やシリンダーヘッドは、可動式傾斜部材40の傾斜41及び固定式傾斜部材60の傾斜61に埋め込み、内蔵してもよい。後述する押圧部80もシリンダー70やシリンダーヘッドと一緒に埋め込み、内蔵してもよい。
【0047】
次に、本発明の一実施形態に係る動力発生装置100の使用方法について以下に説明するが、あくまで一例である。上述した構成によって、回転部材10が回転することで動力を得ることができればよいので、使用方法によっては限定されない。
【0048】
図2及び図3を用いて一例を説明する。図2は本発明の一実施形態に係る動力発生装置の側面図であり、図2(A)は可動式傾斜部材が下降した状態の図で回転部材が可動式傾斜部材の傾斜を回転する前の図であり、図2(B)は可動式傾斜部材が上昇し可動式傾斜部材の傾斜を回転部材が回転中の図であり、図2(C)は可動式傾斜部材が上昇し終えて回転部材の回転が停止した図である。
【0049】
また、図3は本発明の一実施形態に係る動力発生装置の側面図であり、図3(A)は可動式傾斜部材が上昇した状態の図で回転部材が固定式傾斜部材の傾斜を回転する前の図であり、図3(B)は可動式傾斜部材が下降し固定式傾斜部材の傾斜を回転部材が回転中の図であり、図3(C)は可動式傾斜部材が下降し終えて回転部材の回転が停止した図である。なお、図2及び図3はローラー受部材の記載を省略してある。なお、図2図3は、可動式傾斜部材40及び固定式傾斜部材60にシリンダー70を備えた図である。
【0050】
図2(A)に示すような可動式傾斜部材40が下降した状態から、図2(B)に示すような可動式傾斜部材40が上昇中の状態になると、可動式傾斜部材40が有する傾斜41及び固定式傾斜部材60が有する傾斜61を回転部材10が回転し、シリンダー70のピストンを押す(以下、単にシリンダーを押すと表現する。)。このとき、可動式傾斜部材40と固定式傾斜部材60の両方にシリンダー70を設けた場合、可動式傾斜部材40と固定式傾斜部材60の両方のシリンダー70を押すことができる。可動式傾斜部材40が上昇し終えると図2(C)に示す状態となり、回転部材10の回転が停止する。

【0051】
そして、図3(A)に示すような可動式傾斜部材40の上昇状態から、図3(B)に示すような可動式傾斜部材40が下降中の状態になると、可動式傾斜部材40が有する傾斜41及び固定式傾斜部材60が有する傾斜61を回転部材10が回転し、シリンダー70を押す。このとき、可動式傾斜部材40と固定式傾斜部材60の両方にシリンダー70を設けた場合、可動式傾斜部材40と固定式傾斜部材60の両方のシリンダー70を押すことができる。可動式傾斜部材40が下降し終えると図3(C)に示す状態となり、回転部材10の回転が停止する。
【0052】
このように、可動式傾斜部材40を上昇及び下降を繰り返すことで、可動式傾斜部材40が有する傾斜41と、固定式傾斜部材60が有する傾斜61を回転部材10が回転し、シリンダー70を押し動力を得る。図2及び図3に示す方法では、側面からみると、回転部材10は、可動式傾斜部材40が有する傾斜41と固定式傾斜部材60が有する傾斜61の交点Xにて回転する。また、可動式傾斜部材40と固定式傾斜部材60の両方にシリンダー70を設けた場合、可動式傾斜部材40と固定式傾斜部材60の両方のシリンダー70を押すことができ、効率よく動力を得ることができる。
【0053】
次にもう1例を示す。図4は本発明の一実施形態に係る動力発生装置の側面図であり、図4(A)は可動式傾斜部材が上昇し回転部材が可動式傾斜部材の傾斜を転がる前の図であり、図4(B)は転がり終えた図である。
【0054】
また、図5は本発明の一実施形態に係る動力発生装置の側面図であり、図5(A)は可動式傾斜部材が下降し回転部材が固定式傾斜部材の傾斜を転がる前の図であり、図5(B)は可動式傾斜部材が下降し回転部材が転がり終えた図である。なお、図4及び図5はローラー受部材の記載を省略してある。なお、図4図5は、可動式傾斜部材40及び固定式傾斜部材60にシリンダー70を備えた図である。
【0055】
図4(A)のように可動式傾斜部材40を上昇させておき、そのあと回転部材10を可動式傾斜部材40が有する傾斜41を回転させてシリンダー70を押す。上昇中に回転部材10が回転しないよう、ストッパーを設けておくとよい。そして、回転部材10が可動式傾斜部材40の有する傾斜41を回転し終えたとき、図4(B)のようになる。
【0056】
そして、可動式傾斜部材40を下降させ、固定式傾斜部材60が有する傾斜61を回転させてシリンダー70を押す。回転部材10が固定式傾斜部材60の有する傾斜61を回転し終えたとき、図5(B)のようになる。
【0057】
以上のように、可動式傾斜部材40を上昇及び下降を繰り返しながら、回転部材10を回転させシリンダー70を押し、動力を発生させる。
【0058】
図6は動力発生装置の側面図の一部拡大図であり、図6(A)は固定式傾斜部材に設けられたシリンダーの頂部に押圧部を備えた動力発生装置の側面図であり、図6(B)は図6(A)の拡大図である。
【0059】
図6(A)及び図6(B)に示すように、シリンダー70の頂部に、回転部材10によって押圧される押圧部80をさらに備えることが好ましい。図6(A)に示すように、回転部材10が回転し、その自重により押圧部80を押圧し、シリンダー70を押し動力を得ることができる。このようにすれば、回転部材10が押圧部80をスムーズに押圧することができ、力をシリンダー70へ伝達しやすくなるので、効率よく動力を発生させることができる。
【0060】
また、図6(B)に示すように、押圧部80は平面部81を有し、平面部81がなす角度Oと、可動式傾斜部材40及び固定式傾斜部材60が有する傾斜のなす角度K(図6(B)では、固定式傾斜部材60が有する傾斜61のなす角度K)には、差θが設けられていることが好ましい。このようにすれば、シリンダー70へ伝達する回転部材10の下向きの力(重力)が増加し、効率よく動力を発生させることができる。
【0061】
また、図6(B)に示すように、平面部81がなす角度Oは、水平H(0°)よりも下向きに、1°~10°、1°~5°傾かせることが好ましい。このようにすれば、回転部材10の回転をスムーズにし、押圧部80を押圧しやすくなる。なお、押圧部80の押圧をスムーズにできるよう、押圧部80の軸82を設けることが好ましい。
【0062】
なお、図6(A)(B)は、固定式傾斜部材60にシリンダー70や押圧部80等を備える図であるが、押圧部80や平面部81は、可動式傾斜部材40にも同様に設けてもよい。
【0063】
次に、本発明の他の実施形態に係る動力発生装置200について説明する。図7(A)は本発明の他の実施形態に係る動力発生装置の側面図であり、図7(B)は平面図(土台部は透過視)である。なお、上述した実施形態と重複する部分については図面において同一の符号を付して説明を省略する。
【0064】
本発明の他の実施形態では、回転部材は、可動式傾斜部材40上又は固定式傾斜部材60上を回動する複数の車輪15,16,17とし、複数の車輪15,16,17は土台部18に連結されて台車19として一体として動くようにすることができる。複数の車輪15,16,17は、可動式傾斜部材40と固定式傾斜部材60の境界部分を回動する車輪15(15A~15D)のほかに、図7(A)、(B)に示すように、可動式傾斜部材40側の補助車輪16(16A,16B)及び/又は固定式傾斜部材60側の補助車輪17(17A,17B)を設けるようにしてもよい。
【0065】
このように、補助車輪も含めて複数の車輪15,16,17を土台部18に連結して台車19として一体に動くように配置すると、可動式傾斜部材40の斜面と固定式傾斜部材60の斜面とのなす角は常に一定であるため、可動式傾斜部材40が上下に動いても台車19は、常に水平(同じ姿勢)を保ったまま安定して移動することができる。
【0066】
なお、可動式傾斜部材40、固定式傾斜部材60、及び各車輪の配置や土台部18の形状は、図7(A)、(B)に示す態様のみに限定されるわけではない。例えば、可動式傾斜部材40と固定式傾斜部材60が交互に配置されるようにしてもよく、それに応じて補助車輪の位置や土台の形状を適宜用途に応じて変更することができる。
【0067】
台車19には鉛直方向に動作する1以上のシリンダーが設けられていてもよい。あるいは、シリンダーは上述したような態様で可動式傾斜部材40や固定式傾斜部材60に備えられていてもよい。
【0068】
さらに、本発明の実施形態における他の新たな態様として、圧力変換部を備える構成について説明する。図8(A)は本発明に係る動力発生装置における圧力変換部の正面図であり、図8(B)は平面図であり、図8(C)は側面図である。
【0069】
圧力変換部90は、図8(A)、(B)、(C)に示すように、少なくとも、1以上のシリンダー91と、シリンダー91のピストンロッド92の先端に備えられたシリンダー用車輪93と、1以上のシリンダー91を保持するフレーム部94と、フレーム部94に備えられたウェイト95を有する。一例として、圧力変換部90は、フレーム部94の両端にシリンダー91が取り付けられ、フレーム部94の中央付近にウェイト95が載せられている。なお、ウェイト95の重さは用途に応じて適宜決定すればよい。
【0070】
このような構成とすることで、シリンダー用車輪93が上下動する動きを、ピストンロッド92を介してシリンダー91の動力に変換することができる。なお、圧力変換部90の構成は、シリンダー用車輪93の上下動をシリンダー91に伝達できる構成であれば、図8(A)、(B)、(C)に示す態様に限定されず、シリンダー91の本数、位置、フレーム部94の形状などは用途に応じて適宜変更することができる。
【0071】
最後に、このような圧力変換部を備えた動力発生装置の一実施形態について説明する。図9(A)は本発明の他の実施形態に係る圧力変換部を備えた動力発生装置の側面図であり、図9(B)は平面図である。
【0072】
本発明の一実施形態に係る動力発生装置300は、例えば、上述した圧力変換部90のフレーム部94を台車19の土台部18上に載置し、図9(B)に示すように圧力変換部90が台車19を跨ぐように設置することができる。このとき、図9(A)に示すように、土台部18の側面に滑車33を設けて、滑車33により圧力変換部90のシリンダー91を挟み込んで上下にのみ自在に動くように設置することができる。なお、図9(A)、(B)では、2基の圧力変換部90A,90Bが取り付けられているが、もちろんこの態様のみに限定されるわけではなく、圧力変換部90の数、設置位置、形態等は用途に応じて適宜変更することができる。
【0073】
また、可動式傾斜部材40の側面には、シリンダー用レール45が設けられている。このシリンダー用レール45上に圧力変換部90のシリンダー用車輪93が載り、シリンダー用レール45上を動くことになる。シリンダー用レール45は、例えば、連結部材(図示せず)を介して可動式傾斜部材40に連結され、あるいは、可動式傾斜部材40と一体的に形成されることにより、可動式傾斜部材40の上下動と連動して動く。
【0074】
このようにすることにより、可動式傾斜部材40の上下動と連動して、シリンダー用レール45上のシリンダー用車輪93も上下動し、この動作をピストンロッド92を介してシリンダー91に伝達することができる。なお、シリンダー用レール45は図9(A)に示すように水平になるように設置してもよいし、傾斜を持たせても良い。また、図9(B)では、シリンダー用レール45A,45Bを可動式傾斜部材40の両側面に設置しているが、取付方向(表裏)は用途に応じて適宜決定すればよい。シリンダー用レール45の部材や取付方法は特に限定はされない。
【0075】
以上より、本発明の一実施形態に係る動力発生装置100、200、300によれば、回転部材を回転させることにより動力を発生させることができる。特に、電源を用いなくとも電力が供給されていない地域や場所でも、発生した動力によって気体や液体等の物質を移送することができる。
【0076】
なお、上記のように本発明の各実施形態および各実施例について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。従って、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
【0077】
例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、動力発生装置の構成、動作も本発明の各実施形態および各実施例で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【産業上利用可能性】
【0078】
本発明の一実施形態に係る動力発生装置及び動力発生方法、本発明の他の実施形態に係る動力発生装置は、電力を不要とし、様々な場面で動力を出力することができるが、出力された動力は、例えばポンプ、コンプレッサなどに適用できる。
【符号の説明】
【0079】
10 回転部材、15(15A,15B,15C,15D) 車輪、16,17(16A,16B,17A,17B) 補助車輪、18 土台部、19 台車、20 柱、21 一方の柱、22 もう一方の柱、30 ローラー部材、33 滑車、35 ローラー受部材、40 可動式傾斜部材、41 可動式傾斜部材の傾斜、45(45A,45B) シリンダー用レール、50 支持部材、60 固定式傾斜部材、61 固定式傾斜部材の傾斜、70 シリンダー、80 押圧部、81 (押圧部の)平面部、82 (押圧部の)軸、90(90A,90B) 圧力変換部、91(91A,91B) シリンダー、92(92A,92B) ピストンロッド、93(93A,93B) シリンダー用車輪、94(94A,94B) フレーム部、95(95A,95B) ウェイト
100,200,300 動力発生装置、
X 可動式傾斜部材が有する傾斜と固定式傾斜部材が有する交点、O 押圧部の平面部がなす角度、K 固定式傾斜部材がなす角度、
θ (押圧部の平面部がなす角度と、固定式台座及び可動式台座が有する傾斜とのなす角度の)差、H 水平(0°)
【要約】
回転部材を回転させることにより動力を発生させ、省エネ化された動力発生装置を提供することを目的とする。
回転部材10を回転させることにより動力を発生させる動力発生装置100であって、動力発生装置100を支える向かい合った柱20(21、22)と、回転部材10を回転させるために一方の柱21側からもう一方の柱22側へと傾斜を有し、両端に有するローラー部材30及び柱20(21、22)に設けられたローラー受部材35により柱に沿って上昇及び下降可能な1以上の可動式傾斜部材40と、回転部材10を回転させるためにもう一方の柱22側から一方の柱21側へと傾斜を有し、柱20(21、22)又は柱を支持する支持部材50に設けられた1以上の固定式傾斜部材60と、を備えることを特徴とする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9