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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-02
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】温度調整システム、及び空気誘導部
(51)【国際特許分類】
   F25D 17/08 20060101AFI20220203BHJP
   G07F 9/10 20060101ALI20220203BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
F25D17/08 317
G07F9/10 101B
F25D11/00 101H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019081529
(22)【出願日】2019-04-23
(65)【公開番号】P2020176809
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-10-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391028328
【氏名又は名称】株式会社辰巳菱機
(74)【代理人】
【識別番号】100127306
【弁理士】
【氏名又は名称】野中 剛
(72)【発明者】
【氏名】近藤 豊嗣
(72)【発明者】
【氏名】濱野 伸秀
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-215223(JP,A)
【文献】特開2018-101173(JP,A)
【文献】特開2013-186499(JP,A)
【文献】特開2020-073864(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 17/06 ~ 17/08
G07F 9/10
G01R 31/34
H02K 11/20 ~ 11/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗部と、冷却ファンを有し少なくとも負荷試験時に前記抵抗部に冷却風を供給する冷却部とを有する負荷試験装置と、
蒸発器からの冷気が流れる循環路を含む自動販売機と、
前記冷却ファンと、前記自動販売機に電力の供給が可能な発電機と、
空気誘導部とを備え、
前記空気誘導部は、前記循環路と連通し、前記冷却部の吸気口と前記抵抗部の排気口の少なくとも一方と連通する、温度調整システム。
【請求項2】
前記抵抗部への電力供給が行われない状態で、前記負荷試験装置は、前記空気誘導部を介して、前記循環路からの冷気の吸い込みと前記循環路への空気の供給の少なくとも一方を行う、請求項1に記載の温度調整システム。
【請求項3】
前記発電機と、前記負荷試験装置を収納する発電機収納ラックを更に備え、
前記空気誘導部は、前記発電機収納ラックを介して、前記負荷試験装置に取り付けられる、請求項1に記載の温度調整システム。
【請求項4】
制御装置を更に備え、
前記発電機は、前記冷却ファンと、前記自動販売機に電力供給が可能な状態で、前記発電機収納ラックに設置され、
商用電源から前記自動販売機への電力供給が行われておらず、前記自動販売機の外部の温度が第1温度閾値よりも高い場合に、前記制御装置は、前記発電機から前記自動販売機への電力供給と、前記発電機から前記冷却ファンへの電力供給を行わせる、請求項3に記載の温度調整システム。
【請求項5】
前記空気誘導部には、逆流防止弁が設けられ、
前記逆流防止弁は、前記空気誘導部の前記循環路と連通する側の端部の開口を塞ぐように付勢され、前記循環路からの冷気の吸い込みと前記循環路への空気の供給の少なくとも一方によって開く、請求項1に記載の温度調整システム。
【請求項6】
発電機の負荷試験装置であって、抵抗部と前記発電機から電力供給を受ける冷却ファンを有し少なくとも負荷試験時に前記抵抗部に冷却風を供給する冷却部とを有するものと、蒸発器からの冷気が流れる循環路を含む自動販売機であって前記発電機から電力供給を受けるものとの間で、前記循環路からの冷気の吸い込みと前記循環路への空気の供給の少なくとも一方を行うために使用される空気誘導部であって、
前記循環路と連通し、前記冷却部の吸気口と前記抵抗部の排気口の少なくとも一方と連通する、空気誘導部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度調整システムなどに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1のように、自動販売機が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-8621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、自動販売機の冷却装置は自動販売機内の商品を冷却するだけであって、自動販売機の外部を冷却することが想定されていない。
【0005】
したがって本発明の目的は、自動販売機の外部の冷却が可能な温度調整システムなどを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る温度調整システムは、抵抗部と、冷却ファンを有し抵抗部に冷却風を供給する冷却部とを有する負荷試験装置と、蒸発器からの冷気が流れる循環路を含む自動販売機と、冷却ファンと、自動販売機に電力の供給が可能な発電機と、空気誘導部とを備える。空気誘導部は、循環路と連通し、冷却部の吸気口と抵抗部の排気口の少なくとも一方と連通する。
【0007】
これにより、自動販売機から冷気の一部を外部に排出し、自動販売機の外部を冷やすことも可能になる。
【0008】
好ましくは、抵抗部への電力供給が行われない状態で、負荷試験装置は、空気誘導部を介して、循環路からの冷気の吸い込みと循環路への空気の供給の少なくとも一方を行う。
【0009】
また、好ましくは、温度調整システムは、発電機と、負荷試験装置を収納する発電機収納ラックを更に備える。空気誘導部は、発電機収納ラックを介して、負荷試験装置に取り付けられる。
【0010】
停電など、商用電源からの電力供給が途切れた際に、発電機収納ラックに収納された発電機からの電力供給により、自動販売機の動作を維持させることが可能になる。
また、発電機収納ラックに収納された負荷試験装置からの吸い込みや空気供給に基づいて、自動販売機の内部の冷気を外部に供給することが可能になる。
【0011】
さらに好ましくは、温度調整システムは、制御装置を更に備える。発電機は、冷却ファンと、自動販売機に電力供給が可能な状態で、発電機収納ラックに設置される。商用電源から自動販売機への電力供給が行われておらず、自動販売機の外部の温度が第1温度閾値よりも高い場合に、制御装置は、発電機から自動販売機への電力供給と、発電機から冷却ファンへの電力供給を行わせる。
【0012】
また、好ましくは、空気誘導部には、逆流防止弁が設けられる。逆流防止弁は、空気誘導部の循環路と連通する側の端部の開口を塞ぐように付勢され、循環路からの冷気の吸い込みと循環路への空気の供給の少なくとも一方によって開く。
【0013】
必要な時以外に、自動販売機からの冷気が、空気誘導部に流れ込むのを防止することが出来る。
【0014】
本発明に係る空気誘導部は、発電機の負荷試験装置であって、抵抗部と発電機から電力供給を受ける冷却ファンを有し抵抗部に冷却風を供給する冷却部とを有するものと、蒸発器からの冷気が流れる循環路を含む自動販売機であって発電機から電力供給を受けるものとの間で、循環路からの冷気の吸い込みと循環路への空気の供給の少なくとも一方を行うために使用される。空気誘導部は、循環路と連通し、冷却部の吸気口と抵抗部の排気口の少なくとも一方と連通する。
【0015】
以上のように本発明によれば、自動販売機の外部の冷却が可能な温度調整システムなどを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態における温度調整システムの前方から見た斜視図である。
図2】本実施形態における通常使用モードや第2非常モードの自動販売機の内部構造を示す模式図である。
図3】本実施形態における第1非常モードの自動販売機の内部構造を示す模式図である。
図4】本実施形態における温度調整システムの前方から見た斜視図で、開閉扉と空気排出部を省略したものである。
図5】本実施形態における温度調整システムの後方から見た斜視図である。
図6】本実施形態における温度調整システムの部材の構成を示す模式図である。
図7】本実施形態における温度調整システムの後方から見た斜視図で、空気誘導部と発電機収納ラックの背面壁を省略したものである。
図8】本実施形態の空気誘導部の後方から見た斜視図である。
図9】本実施形態における温度調整システムの後方から見た斜視図で、発電機収納ラックの背面壁を省略したものである。
図10】本実施形態の空気排出部の前方から見た斜視図である。
図11】本実施形態における温度調整システムの前方から見た斜視図で、開閉扉を省略したものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本実施形態について、図を用いて説明する。
本実施形態における温度調整システム1は、自動販売機10、発電機50、発電機収納ラック60、負荷試験装置70、空気誘導部91、空気排出部92を備える(図1図11参照)。
【0018】
方向を説明するために、発電機収納ラック60と自動販売機10が並べられる方向をx方向、x方向と垂直で、自動販売機10の背面10bと正面10aが並べられる方向をy方向、x方向とy方向に垂直な方向をz方向として説明する。
図1において、xyz軸のそれぞれの矢印が指し示す方向をそれぞれ左方向、前方向、上方向と定義する。
【0019】
(自動販売機10の構成)
自動販売機10は、温度調整部11、商品収納ラック13、搬出シューター15、取り出し口17、背面開口19、循環路21、制御装置23、通信装置25を有する(図2図3参照)。
【0020】
(自動販売機10の温度調整部11)
温度調整部11は、自動販売機10の下領域に設けられ、圧縮器11a、凝縮器11b、凝縮器用ファン11c、膨張弁11d、蒸発器11e、蒸発器用ファン11f、冷媒循環路11gを有する。
温度調整部11は、循環路21を介して、商品収納ラック13に収納された商品に供給する冷気を供給する。
圧縮器11aは、冷媒を圧縮して、高温高圧の気体冷媒にする。
凝縮器11bは、圧縮器11aから送られてきた高温高圧の気体冷媒を凝縮して、常温高圧の液体冷媒にし、熱を外部に放出する。
凝縮器用ファン11cは、凝縮器11bに風を送り込む。
膨張弁11dは、凝縮器11bによって常温高圧の液体冷媒を蒸発器11eに送る前に、蒸発(気化)しやすいように急激に膨張させ、低温低圧の液体冷媒にする。
蒸発器11eは、外部からの熱を吸収し、膨張弁11dから送られてきた低温低圧の液体冷媒を蒸発させる。
蒸発器用ファン11fは、蒸発器11eに風を送り込む。
冷媒循環路11gは、圧縮器11a、凝縮器11b、膨張弁11d、蒸発器11eを連結し、内部に冷媒が流れる。
本実施形態では、温度調整部11が空気を冷やし、冷気を商品収納ラック13に収納された商品に供給する形態を説明するが、温度調整部11が空気を温め、温かい空気を商品収納ラック13に収納された商品に供給する形態であってもよい。
【0021】
(自動販売機10の商品収納ラック13)
商品収納ラック13は、自動販売機10の上領域に設けられ、商品を保持し、商品購入者による金銭投入操作などにより、保持した商品の1つの保持状態を解除し、搬出シューター15を介して、取り出し口17に排出する。
【0022】
(自動販売機10の搬出シューター15)
搬出シューター15は、商品収納ラック13の下部に設けられ、商品収納ラック13による保持状態が解除された商品を、取り出し口17の方に誘導する。
【0023】
(自動販売機10の取り出し口17)
取り出し口17は、自動販売機10の正面10aに設けられる。
取り出し口17には、取り出し口17を塞ぐ方向に付勢された取り出し口扉17aが設けられる。商品購入者は、取り出し口扉17aを開いた状態で、取り出し口17の近傍に配置された商品を取り出すことが出来る。
【0024】
(自動販売機10の背面10b)
自動販売機10の背面10bには、背面開口19(第1自動販売機側背面開口19a、第2自動販売機側背面開口19b)が設けられる。
第1自動販売機側背面開口19aは、背面10bの循環路21と連通し、空気誘導部91が取り付けられる。
第2自動販売機側背面開口19bは、背面10bの下方で、凝縮器11bに空気を供給するため、すなわち、凝縮器用ファン11cの吸気のために設けられる。
【0025】
(自動販売機10の循環路21)
循環路21は、商品収納ラック13と自動販売機10の背面10bの間に設けられた、冷気の通路である。
蒸発器用ファン11fが蒸発器11eに送り込んだ風は、蒸発器11eで熱を奪われ、冷気となって、循環路21を通って、上方に流れ、商品収納ラック13や搬出シューター15の隙間を通って、下方に流れ、蒸発器用ファン11fに戻る。
これにより、商品収納ラック13に収納された商品が冷やされる。
【0026】
商用電源から自動販売機10への電力供給が行われている通常使用モードでは、蒸発器用ファン11fから送られる風が、自動販売機10の内部を循環する(図2参照)。
通常使用モードでは、蒸発器用ファン11fなど、自動販売機10の電気部材は、商用電源から供給された電力に基づいて駆動する。
【0027】
停電など、商用電源から自動販売機10への電力供給が行われない非常時であって、自動販売機10が外部へ冷気を供給する第1非常モードでは、蒸発器用ファン11fから送られる風が、自動販売機10の内部を循環するとともに、一部が、空気誘導部91を介して、負荷試験装置70に送られる(図3参照)。
第1非常モードでは、蒸発器用ファン11fなど、自動販売機10の電気部材は、発電機50から供給された電力に基づいて駆動する。
【0028】
停電など、商用電源から自動販売機10への電力供給が行われない非常時であって、自動販売機10が外部へ冷気を供給しない第2非常モードでは、蒸発器用ファン11fから送られる風が、自動販売機10の内部を循環する(図2参照)。
第2非常モードでは、蒸発器用ファン11fなど、自動販売機10の電気部材は、発電機50から供給された電力に基づいて駆動する。
【0029】
(自動販売機10の制御装置23)
制御装置23は、商用電源からの電力供給が行われているか否かの第1判断を行う。
商用電源からの電力供給が行われていない場合、第1非常モード若しくは第2非常モードで、制御装置23は、発電機50を駆動させる。
商用電源からの電力供給が行われている場合は、通常使用モードで、制御装置23は、発電機50を駆動させない。
【0030】
制御装置23は、商用電源若しくは発電機50からの電力で駆動するが、商用電源からの電力の供給がなく、発電機50からの電力の供給も無い時間帯、すなわち、商用電源からの電力供給が途切れてから発電機50から電力が供給されるまでの間は、内蔵するバッテリーなどの蓄電装置で駆動する。
当該蓄電装置は、商用電源や発電機50からの電力で蓄電される。
【0031】
また、制御装置23は、商用電源からの電力供給が行われない場合に、自動販売機10の外部へ冷気を供給するか否かの第2判断を行う。
具体的には、発電機50からの電力供給を受けている状態で、制御装置23は、自動販売機10の外部の温度Tを検知する。
検知した温度Tが第1温度閾値T1よりも高い場合(T>T1)には、第1非常モードで、制御装置23は、負荷試験装置70の冷却ファン71aを駆動させる。この場合、抵抗部73への電力供給は行われない。
すなわち、抵抗部73への電力供給が行われない状態で、負荷試験装置70は、空気誘導部91を介した、循環路21への冷気の吸い込み(吸気)を行う。
【0032】
検知した温度Tが第1温度閾値T1よりも高くない場合(T≦T1)には、第2非常モードで、制御装置23は、負荷試験装置70の冷却ファン71aを駆動させない。この場合、抵抗部73への電力供給も行われない。
【0033】
制御装置23による発電機50の駆動制御、及び負荷試験装置70の冷却ファン71aの駆動制御は、通信装置25を介して、無線で行われる形態であってもよいし、有線ケーブルを介して、行われる形態であってもよい。
【0034】
制御装置23は、自動販売機10に内蔵される形態であってもよいが、発電機50や負荷試験装置70に内蔵される形態であってもよいし、パーソナルコンピューターなど別体で構成されて、発電機収納ラック60などに収納される形態であってもよい。
【0035】
また、制御装置23は、商用電源からの電力供給が行われない状態であって、発電機50からの電力供給が必要な状態であることを警告出力したり、通信装置25を介して、自動販売機10の管理サーバーに情報送信したりするが、発電機50のオンオフ制御を行わない形態であってもよい。この場合は、使用者の手動操作で、発電機50のオンオフ制御が行われる。
また、制御装置23は、商用電源からの電力供給が行われない状態であって、自動販売機10の外部の温度Tが第1温度閾値T1よりも高い場合に、冷却ファン71aの駆動が必要な状態であることを警告出力したり、通信装置25を介して、自動販売機10の管理サーバーに情報送信したりするが、冷却ファン71aのオンオフ制御を行わない形態であってもよい。この場合は、使用者の手動操作で、冷却ファン71aのオンオフ制御が行われる。
【0036】
(自動販売機10の通信装置25)
通信装置25は、電話回線などを介して、自動販売機10の管理サーバーと通信を行い、自動販売機10の使用状況(商品の在庫など)に関する情報を送信する。
また、通信装置25は、発電機50や負荷試験装置70と通信を行って、発電機50の駆動制御や、冷却ファン71aの駆動制御の通信手段として使用されてもよい。
【0037】
(発電機50の構成)
発電機50は、エンジンで得られた回転力を電気に変換するなどして、電力を発生させる装置で、例えば、ガソリンなどの液体燃料と、LPガス(Liquefied Petroleum Gas)などの気体燃料の両方で発電が可能な発電機が考えられる。
発電機50のエンジンには、吸気のための吸気管51が設けられる。
発電機50のエンジンには、排気ガスを排出するための排気管52が設けられる。
発電機50は、負荷試験装置70の冷却部71(冷却ファン71a、制御部71b、操作部71c)に電力を供給する。
発電機50は、負荷試験装置70で負荷試験を行う場合には、負荷試験装置70の抵抗部73(第1抵抗器群73a、第2抵抗器群73b、第3抵抗器群73c)にも、電力を供給する。
発電機50は、自動販売機10とも電気的に接続され、商用電源から自動販売機10への電力供給が停止した場合に、自動販売機10に電力を供給する。
【0038】
(発電機収納ラック60の構成)
発電機収納ラック60は、発電機50と負荷試験装置70を収納する(図4参照)。
【0039】
発電機収納ラック60の正面には、開閉扉61が設けられる(図1参照)。
開閉扉61には、後述する空気排出部92の第2誘導管92aを通すための開閉扉開口61aが設けられる。
【0040】
ただし、第2誘導管92aは、発電機収納ラック60の正面から外部に突出する形態に限るものではなく、発電機収納ラック60の側面壁や背面壁62を通って外部に突出する形態であってもよい。第2誘導管92aを、発電機収納ラック60の側面壁や背面壁62に通す場合は、開閉扉61に開閉扉開口61aは設けられない。
【0041】
発電機収納ラック60の背面には、背面壁62が設けられる(図5参照)。
背面壁62には、第1ラック側背面開口62aと第2ラック側背面開口62bと第3ラック側背面開口62cが設けられる。
第1ラック側背面開口62aは、負荷試験装置70の冷却部71の吸気口と対向する領域に設けられ、空気誘導部91が通る。
第2ラック側背面開口62bには、発電機50の吸気管51が通る。
第3ラック側背面開口62cには、発電機50の排気管52が通る。
【0042】
吸気管51と排気管52が、発電機収納ラック60の背面壁62がある側に延びるように、発電機50が発電機収納ラック60に設置される。
ただし、吸気管51と排気管52の少なくとも一方が、側面壁や正面の開閉扉61を通って外部に延びる形態であってもよい。
【0043】
なお、発電機収納ラック60の内部の構造を示すために、図4図7図9図11は、開閉扉61と背面壁62の図示を省略している。
また、空気誘導部91の内部の構造を示すために、図8は、後方から見えない部分を点線で示している。
また、空気排出部92の内部の構造を示すために、図10は、前方から見えない部分を点線で示している。
【0044】
(負荷試験装置70の構成)
負荷試験装置70は、冷却部71、抵抗部73を有し、発電機50などの試験対象電源の負荷試験に用いられる(図6参照)。
本実施形態では、負荷試験装置70は、試験対象電源の負荷試験のためだけでなく、自動販売機10から冷気を吸い込んで外部に排出するために用いられる。
負荷試験装置70は、冷却部71と抵抗部73がy方向に並べられ、冷却部71の吸気口が発電機収納ラック60の背面壁62と対向し、抵抗部73の排気口が発電機収納ラック60の開閉扉61と対向するように、発電機収納ラック60に設置される(図7参照)。
ただし、負荷試験を行う際には、負荷試験装置70は、発電機収納ラック60の外に設置されても良い。
【0045】
冷却部71は、冷却ファン71a、制御部71b、操作部71cを有する。
冷却ファン71aは、抵抗部73に冷却風を供給する。
制御部71bは、操作部71cの操作状況などに基づいて、各部を制御する。
特に、制御部71bは、操作部71cの操作状況などに基づいて、負荷試験を行う場合に、抵抗部73の第1抵抗器群73a、第2抵抗器群73b、第3抵抗器群73cのうち、発電機50から電力を供給する対象を制御する。
操作部71cは、負荷試験装置70の電源オンオフスイッチや、電力供給する抵抗器群を選択するための選択スイッチなどを有する。
【0046】
抵抗部73は、棒状の抵抗器が複数本並べられた抵抗器群が、複数セット設けられたものである。
本実施形態は、抵抗部73が、3つの抵抗器群(第1抵抗器群73a、第2抵抗器群73b、第3抵抗器群73c)を有する例を示すが、抵抗器群の数は3つに限るものではない。
【0047】
なお、本実施形態では、制御部71bや操作部71cが冷却部71に設けられる形態を説明するが、制御部71bや操作部71cが抵抗部73に設けられる形態であってもよい。
【0048】
負荷試験を行う場合など、抵抗部73の抵抗器群の少なくとも1つに電力を供給する際には、冷却ファン71aが駆動され、抵抗部73に冷却風が供給される。
この場合、抵抗部73の排気口からは、抵抗器群の発熱で温められた空気が排出される。
【0049】
また、第1非常モードで、自動販売機10から冷気を吸い込む際には、抵抗部73の抵抗器群への電力供給を行わない状態で、冷却ファン71aが駆動され、抵抗部73に冷却風が供給される。
この場合、抵抗部73の排気口からは、抵抗器群の発熱で温められていない空気が排出される。
【0050】
(空気誘導部91の構成)
空気誘導部91は、負荷試験装置70の冷却ファン71aが自動販売機10の冷気を吸い込むための管状のダクトであり、第1誘導管91a、第1収集部91b、逆流防止弁91cを有する(図8参照)。
第1誘導管91aは、一方の端部が第1自動販売機側背面開口19aと連通し、他方の端部が第1収集部91bの一方の端部と連通する(図5参照)。
第1収集部91bは、一方の端部が第1誘導管91aの他方の端部と連通し、他方の端部が負荷試験装置70の冷却部71の吸気口と連通する(図9参照)。
【0051】
すなわち、本実施形態の空気誘導部91は、一方の端部が第1自動販売機側背面開口19aを介して、循環路21と連通し、他方の端部が負荷試験装置70の冷却部71の吸気口と連通する。
【0052】
なお、図では、空気誘導部91が、略角柱形状を有する例を示すが、略円柱形状など、他の形状であってもよい。
また、第1誘導管91aと冷却部71の吸気口の径の違いを調整するために第1収集部91bが設けられる形態を説明したが、第1誘導管91aの径を大きくして、直接冷却部71の吸気口と連通させる形態であってもよい。
【0053】
逆流防止弁91cは、第1誘導管91aの一方の端部に設けられる。
逆流防止弁91cは、第1誘導管91aの一方の端部(空気誘導部91の循環路21と連通する側の端部)の開口を塞ぐように付勢され、第1誘導管91aの他方の端部(空気誘導部91の冷却部71の吸気口と連通する側の端部)からの吸い込みによって開く。
逆流防止弁91cは、通常使用モードと第2非常モードの時に、自動販売機10の蒸発器用ファン11fからの冷気が、第1誘導管91aに流れ込むのを防止するために使用される。
【0054】
(空気排出部92の構成)
空気排出部92は、負荷試験装置70の抵抗部73から冷気を外部に排出するための管状のダクトであり、第2誘導管92a、第2収集部92bを有する(図10参照)。
第2誘導管92aは、一方の端部が第2収集部92bの他方の端部と連通し、他方の端部が温度調整システム1の外部で開口する(図11参照)。すなわち、第2誘導管92aの他方の端部は、他の部材と接続しない。
第2収集部92bは、一方の端部が負荷試験装置70の抵抗部73の排気口と連通し、他方の端部が第2誘導管92aの一方の端部と連通する。
すなわち、本実施形態の空気排出部92は、一方の端部が負荷試験装置70の抵抗部73の排気口と連通し、他方の端部が温度調整システム1の外部で開口する。
【0055】
なお、図では、空気排出部92が、略角柱形状を有する例を示すが、略円柱形状など、他の形状であってもよい。
また、第2誘導管92aと抵抗部73の排気口の径の違いを調整するために第2収集部92bが設けられる形態を説明したが、第2誘導管92aの径を大きくして、直接抵抗部73の排気口と連通させる形態であってもよい。
【0056】
(空気の流れについて)
次に、空気誘導部91と空気排出部92を介した、空気の流れについて説明する。
初期状態として、発電機収納ラック60には、発電機50と負荷試験装置70が設置されている。
発電機50は、負荷試験装置70の冷却ファン71aと、自動販売機10と電気的に接続され、発電機50をオン状態にした場合に、冷却ファン71aと自動販売機10への電力供給が可能な状態にされている。
第1誘導管91aの逆流防止弁91cがある側が第1自動販売機側背面開口19aと連通し、第1収集部91bが負荷試験装置70の冷却部71の吸気口と連通するように、空気誘導部91は、自動販売機10の背面10bや、発電機収納ラック60の背面壁62に取り付けられる。
第2収集部92bが負荷試験装置70の抵抗部73の排気口と連通し、第2誘導管92aの他方の端部が発電機収納ラック60の外部で開口するように、空気排出部92は、負荷試験装置70に取り付けられる。
商用電源からの電力供給が行われている場合は、通常使用モードで、発電機50はオフ状態にされる。
【0057】
なお、発電機50の負荷試験や、他の試験対象電源の負荷試験を行う場合には、負荷試験装置70は、空気誘導部91や空気排出部92が取り付けられた状態を解除し、発電機収納ラック60から取り出される。
負荷試験の終了後、負荷試験装置70は、発電機収納ラック60に設置され、空気誘導部91や空気排出部92と接続される。
【0058】
商用電源からの電力供給が行われていない場合、第1非常モード若しくは第2非常モードで、発電機50はオン状態にされ、自動販売機10への電力供給を行う。
自動販売機10が発電機50からの電力供給を受けている状態で、自動販売機10の外部の温度Tが第1温度閾値T1よりも高くない場合には、第2非常モードで、発電機50は、負荷試験装置70の冷却ファン71aへの電力供給を行わない。
通常使用モードや、第2非常モードでは、負荷試験装置70の冷却ファン71aから空気誘導部91を介した自動販売機10の冷気の吸い込みは行われない。
【0059】
自動販売機10が発電機50からの電力供給を受けている状態で、自動販売機10の外部の温度Tが第1温度閾値T1よりも高い場合には、第1非常モードで、発電機50は、負荷試験装置70の冷却ファン71aへの電力供給を行う。
第1非常モードでは、負荷試験装置70の冷却ファン71aから空気誘導部91を介した自動販売機10の冷気の吸い込みが行われる。
【0060】
冷却ファン71aが抵抗部73に空気を送り込むように回転すると、冷却部71の吸気口に取り付けられた空気誘導部91が負圧となり、逆流防止弁91cが開く。
これにより、自動販売機10の循環路21に流れる冷気の一部が、空気誘導部91を介して、冷却部71に吸い込まれる。
冷却部71に吸い込まれた冷気は、冷却ファン71aによって、抵抗部73や空気排出部92を介して、温度調整システム1の外部に排出される。
【0061】
これにより、自動販売機10から冷気の一部を外部に排出し、自動販売機10の外部を冷やすことも可能になる。
【0062】
すなわち、本実施形態では、停電など、商用電源からの電力供給が途切れた際に、自動販売機10に隣接した発電機収納ラック60に収納された発電機50からの電力供給により、自動販売機10の動作を維持させることが可能になる。
また、発電機収納ラック60に収納された負荷試験装置70からの吸い込みにより、自動販売機10の内部の冷気を外部に供給することが可能になる。
【0063】
(負荷試験装置70の配置の別形態)
本実施形態では、負荷試験装置70の冷却部71の吸気口に、自動販売機10と連通する空気誘導部91が取り付けられ、負荷試験装置70の抵抗部73の排気口に、他方が開口する空気排出部92が取り付けられる形態を説明した。
しかしながら、負荷試験装置70の抵抗部73の排気口に、空気誘導部91が取り付けられ、負荷試験装置70の冷却部の吸気口に、空気排出部92が取り付けられる形態であってもよい。
この場合、冷却ファン71aは、自動販売機10の冷気の吸い込みのため、通常の抵抗部73に冷却風を送る場合とは逆方向に空気が流れるように逆回転する。
【0064】
(外部に冷気を排出させる別形態)
また、本実施形態では、自動販売機10の冷気を負荷試験装置70が吸い込んで、外部に排出する形態を説明した。
しかしながら、負荷試験装置70から自動販売機10へ空気を送り込んで、取り出し口17から、自動販売機10の冷気の一部を外部へ排出させる形態であってもよい。
この場合には、循環路21に外部からの空気が流入するため、自動販売機10の内部の冷気の流量が多くなり、温度調整部11の冷却能力を高めることも可能になる。
【0065】
また、本実施形態では、発電機収納ラック60の背面壁62に空気誘導部91が取り付けられ、発電機収納ラック60の正面に空気排出部92が設けられる例を示すが、これらは発電機収納ラック60の上面壁や側面壁に設けられる形態であってもよい。
例えば、負荷試験装置70は、冷却部71と抵抗部73がx方向に並べられ、抵抗部73の排気口が発電機収納ラック60の側面壁の一方と対向するように、発電機収納ラック60に設置され、空気誘導部91が当該側面壁の一方に取り付けられ、空気排出部92が側面壁の他方に設けられる形態が考えられる。
【0066】
また、本実施形態では、制御装置23による自動制御で、発電機50のオンオフ切り替えや、発電機50から自動販売機10や冷却ファン71aへの電力供給が行われる形態を説明したが、使用者などによる手動でこれらの操作が行われる形態であってもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 温度調整システム
10 自動販売機
10a 正面
10b 背面
11 温度調整部
11a 圧縮器
11b 凝縮器
11c 凝縮器用ファン
11d 膨張弁
11e 蒸発器
11f 蒸発器用ファン
11g 冷媒循環路
13 商品収容ラック
15 搬出シューター
17 取り出し口
17a 取り出し口扉
19 背面開口
19a 第1自動販売機側背面開口
19b 第2自動販売機側背面開口
21 循環路
23 制御装置
25 通信装置
50 発電機
51 吸気管
52 排気管
60 発電機収納ラック
61 開閉扉
61a 開閉扉開口
62 背面壁
62a 第1ラック側背面開口
62b 第2ラック側背面開口
62c 第3ラック側背面開口
70 負荷試験装置
71 冷却部
71a 冷却ファン
71b 制御部
71c 操作部
73 抵抗部
73a 第1抵抗器群
73b 第2抵抗器群
73c 第3抵抗器群
91 空気誘導部
91a 第1誘導管
91b 第1収集部
91c 逆流防止弁
96 流路切替弁
92 空気排出部
92a 第2誘導管
92b 第2収集部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11