(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-02
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】物品仕分方法及び物品仕分装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/46 20060101AFI20220203BHJP
B65G 47/53 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
B65G47/46 A
B65G47/53 A
(21)【出願番号】P 2017201381
(22)【出願日】2017-10-17
【審査請求日】2020-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】714006990
【氏名又は名称】株式会社錦河
(72)【発明者】
【氏名】山岡 和彦
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/047793(WO,A1)
【文献】特開2013-216453(JP,A)
【文献】国際公開第2017/141862(WO,A1)
【文献】特開2006-315788(JP,A)
【文献】特開2006-88112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品搬送体に載せて搬送される物品を物品の仕分情報に基づいて搬送ライン横の仕分口に略水平状態で送り出して仕分ける物品仕分方法であって、
物品を2つ以上の物品搬送体に渡して載せて支持させ、物品を支持した2つ以上の物品搬送体の物品支持部を同物品支持部の後方側に配置した回転軸により略水平面内で仕分口のある横方向にそれぞれの回転軸を中心として同じ方向に回転させて物品を送り出すようにしたことを特徴とする物品仕分方法。
【請求項2】
物品搬送体に載せて搬送される物品を物品の仕分情報に基づいて搬送ライン横の仕分口に略水平状態で送り出して仕分ける物品仕分方法であって、物品を1つの物品搬送体の物品支持部に接触させて支持させ、同物品と接触する物品搬送体の物品支持部を同物品支持部の後方側に配置した回転軸により略水平面内で仕分口のある横方向に同回転軸を中心として回転させると共に、一つ後方の物品支持部も当該物品支持部の回転軸を中心として同じ方向に回転させ、移動される物品を後方側の物品支持部の縁に設けられた移動抑制手段に接触させて物品が前方の物品支持部上に残るのを防止して送り出されるようにしたことを特徴とする物品仕分方法。
【請求項3】
搬送ラインに沿って多数の物品搬送体が連結され、物品の仕分情報に基づいて物品搬送体により搬送される物品を搬送ライン横に設けられた仕分口に略水平状態で送り出して仕分する物品仕分装置であり、各物品搬送体は物品を支持可能とする物品支持部が後方側に配置された回転軸により略水平面内で横方向に首振り可能であり、仕分口には通過する物品搬送体の物品支持部を仕分口のある横方向に回転軸を中心として同じ方向に回転可能とする首振り駆動手段が設けられ、同首振り駆動手段は物品の仕分情報に基づいて少なくとも2つ以上の連続する物品支持部を首振り動作させるものであることを特徴とする物品仕分装置。
【請求項4】
物品支持部は回転軸と同心の円弧状に形成され且つ薄板状に形成され、物品支持部の回転軸が鉛直より少し後方側に傾斜されて前後の物品搬送体で物品支持部の回転空間が互いに干渉しないようにしたことを特徴とする請求項3記載の物品仕分装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
多数の物品をその仕分情報に基づいて仕分するための仕分方法及び仕分装置に関するものであり、各種装置において物品を水平に送り出してベルトコンベアなどに乗り継がせて仕分けするのに利用できるものである。一つの例として野菜や果実等の傷み易い物品を仕分する選別機として使用できるものである。
【背景技術】
【0002】
多数の物品を搬送体に載せて搬送してライン途中の仕分口に設けられたベルトコンベアなどに乗り継がせて仕分けする装置として物品の種類、大きさ、形状に応じていくつかある。
【0003】
例えば特許文献1に記載のものは、物品搬送体の物品載せ体を斜め後方に稼働させて物品を斜め後方に送り出し、物品を物品搬送体の側方に配置されたプールコンベアに乗り継がせて仕分けできる様にしたものである。この仕組みでは、走行する物品搬送体から排出される物品の搬送方向の速度成分が小さくなるため、直交する幅細のプールコンベアに略水平状態で乗り継がせることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記発明では、大きな果菜や座りの良い果菜はプールコンベアに安定した姿勢で乗り継がせることができるが、小さな果菜や転がりやすい果菜はうまく乗り継ぎできないことがあった。その理由は物品を斜め後方に送り出す方法そのものにある。
【0006】
物品の送り出し速度は、斜め後方向きの速度ベクトルで表すことができるが、これは物品搬送体の搬送方向の速度成分(物品搬送体の搬送方向と逆向きのためマイナス値)と物品搬送体横方向への速度成分との2つに分解できる。搬送中の物品を搬送方向と直交する向きのプールコンベアにスムースに乗り継ぎさせるには、斜めの速度ベクトルの搬送方向の速度成分をできるだけマイナス側に大きくして物品搬送体の移動速度との合計が0に近くすることが望ましい。そのためには斜め後方への角度を極力後ろ向きすれば良いが、そもそも物品を真後ろに近い方向で移動させては直後の物品とぶつかるため現実的でない。また
図2に示される係止具と係止具ガイドでベルトを往復させる場合には構造的・機械的な制約もある。このような理由から実際には斜め後方の角度は真横に対して35度ほどの後ろ向きの角度にされている。
【0007】
例えば35度の角度で斜め後方に物品を送り出すとして、物品搬送方向のマイナス速度をできるだけ大きくするには斜め後方への送り出し速度を速めれば良い。具体的には斜めのベルトコンベアの回転速度を上げれば良い。しかし他方で同時に物品搬送体横方向への速度成分も増大することになる。この横方向の速度が大きくなると引き継ぎさせる側のプールコンベアも合わせて高速で回転させる必要が生じる。しかしプールコンベアを高速運転させると必然的に長いものとなってしまう。さらにプールコンベアを間欠動作させて物品を整列して蓄積しようとすると、間欠動作のサイクル時間内でコンベアを急加速急減速をしなければならず、桃やリンゴなどの丸く座りの悪い果実はせっかく姿勢良く乗り継ぎさせてもコンベア上で大きく揺り返されて転倒してしまったり、間欠距離を詰めるとコンベア上で果実同士がぶつかってしまったりもする。
【0008】
以上のことから斜め後方の角度は35度程度としつつ、全体としてのバランスを見て、斜め後方への送り出しの速度ベクトルは物品搬送体の速度を完全に打ち消さず、プールベルトの引き継ぎ速度もそこそこ上げるという、ある程度妥協した設定で送り出しをコントロールせざるを得なかった。この結果、小さな果実や座りの悪い桃やリンゴなどの果実は搬送方向の速度が残ったままプールコンベアへ乗り継ぎさせられ、プールコンベア上での転倒や蓄積数に引き続き課題が残った。
【0009】
この他、物品載せ体をベルトやローラで構成した場合には、物品の駆動が先端ローラーまでとなるが、ローラーの直径は実用的には10数mm以上必要になるため、向かい合うプールコンベア先端との間に物品を駆動できない谷間が数cm程度発生してしまっていた。先に説明した小さな物品や座りが悪く転がりやすい物品ではこの谷間が大きな問題となり、先の速度残とも合わさってスムースな乗り継ぎの阻害要因となっていた。
【0010】
さらには物品載せ体をベルトやローラーで構成すると汚れが付着しても清掃がしにくいという課題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の物品仕分方法は、物品搬送体に載せて搬送される物品を物品の仕分情報に基づいて搬送ライン横の仕分口に略水平状態で送り出して仕分ける物品仕分方法であって、物品を2つ以上の物品搬送体に渡して載せて支持させ、物品を支持した2つ以上の物品搬送体の物品支持部を同物品支持部の後方側に配置した回転軸により略水平面内で仕分口のある横方向にそれぞれの回転軸を中心として同じ方向に回転させて物品を送り出すようにした。
【0012】
物品を1つの物品搬送体の物品支持部に接触させて支持させ、同物品と接触する物品搬送体の物品支持部を同物品支持部の後方側に配置した回転軸により略水平面内で仕分口のある横方向に同回転軸を中心として回転させると共に、一つ後方の物品支持部も当該物品支持部の回転軸を中心として同じ方向に回転させ、移動される物品を後方側の物品支持部の縁に設けられた移動抑制手段に接触させて物品が前方の物品支持部上に残るのを防止して送り出されるようにした。
【0014】
本発明の物品仕分装置は、搬送ラインに沿って多数の物品搬送体が連結され、物品の仕分情報に基づいて物品搬送体により搬送される物品を搬送ライン横に設けられた仕分口に略水平状態で送り出して仕分する物品仕分装置であり、各物品搬送体は物品を支持可能とする物品支持部が後方側に配置された回転軸により略水平面内で横方向に首振り可能であり、仕分口には通過する物品搬送体の物品支持部を仕分口のある横方向に回転軸を中心として同じ方向に回転可能とする首振り駆動手段が設けられ、同首振り駆動手段は物品の仕分情報に基づいて少なくとも2つ以上の連続する物品支持部を首振り動作させるものである。
【0015】
物品支持部は回転軸と同心の円弧状に形成され且つ薄板状に形成され、物品支持部の回転軸が鉛直より少し後方側に傾斜されて前後の物品搬送体で物品支持部の回転空間が互いに干渉しないようにした。
【発明の効果】
【0017】
本発明の物品仕分方法には次のような効果がある。
(1)物品支持部を後方の回転軸で横向きに首振りする様に回転させて物品を送り出すため、例えば90度首振りさせれば物品の送り出し方向は物品搬送体の搬送方向と真逆となり、物品搬送体の移動速度を容易に打ち消して真横に排出できるようになる。物品支持部の横方向の速度はそれ自体は0であるが物品の支持部が横に移動され且つ物品に遠心力も働くため横排出でき、仕分口に例えばベルトコンベアを設けることで物品を低速且つ略水平状態で引き継がせることができる。
(2)物品の送り出しが円弧軌道のため、物品を斜め後方にまっすぐ排出させる方法に比べて後方の物品と接触しにくく、物品搬送体への物品の載せ置き間隔を狭めて搬送能力を向上することができる。
(3)物品支持部にはベルトやローラーなどの細かで清掃しにくい追加の部品を必要としないため、掃除しやすく衛生管理し易い物品仕分装置を実現できる。
(4)物品支持部を薄板状とすれば、仕分口にベルトコンベアを設けて乗り継がせる場合に、物品支持部をコンベア上面に面一で且つ近接させることができ乗り継ぎミスの原因となる谷間を生まない。そして薄板状の物品支持部がベルトコンベア上面まで物品を送り出すため、物品をスムースに安定した状態姿勢で乗り継ぎさせることができる。
(5)物品と接触させる後方の物品支持部も一緒に首振りさせると同物品支持部の移動抑制手段が物品を外側に押し出すため、より確実に物品を送り出すことができる。
(6)1つ又は2つ以上の物品搬送体に支持させて物品を搬送させる方法のため、大きいものは3つ4つの物品搬送体に載せ置き、小さいものは2つの物品搬送体の載せ置くなど、大きいもの小さいものを混在させて効率よく仕分できる。
【0018】
本発明の物品仕分装置には上記の効果に加えて、次のような効果がある。
(1)部品を載せて支持する物品支持部を首振りさせるだけの簡単な構造の仕分け装置を作ることができる。
(2)物品支持部を円弧状又は扇状とすることで物品の載せ置き位置が変化してもほぼ同じ様な軌道で移動させることができるため、置き方の変化にも余裕が生まれる。
(3)物品搬送体の回転軸が後方に僅かに傾斜されて前後の物品支持部の回転空間が異なっているため、物品搬送体同士を近づけて高密度に配置させることができる。物品搬送体の間隔が小さいと、小さいものから大きなものまで混在させて搬送することができ、搬送能力及び仕分能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の物品仕分方法及び物品仕分装置の実施例における仕分口部分の斜視図。
【
図2】
図1の拡大図であり物品支持部を首振りさせた状態。
【
図3】本発明の物品仕分方法及び物品仕分装置における物品搬送体の他の実施例を示した斜視図。
【
図4】本発明の物品仕分方法の他の実施例を示した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1、2は本発明の物品仕分方法を示したものであり、物品2として桃やトマトなどの丸い果菜を仕分する例である。物品2を載せて搬送する物品搬送体1は循環走行するチェーン10に沿って物品2の大きさよりも小さい等間隔で多数取り付けてある。この例では小型チェーン10のピッチに合わせた31.75mmの間隔で取り付けてある。物品搬送体1はチェーン10により450mm/秒で移動される様にしてある。各物品搬送体1は上部に略扇形の扇状部品11を備えており、初期位置では円弧状の縁部分(物品支持部4となっている)をチェーン移動方向(
図2の矢印a方向)に向けてある。扇状部品11はチェーン10と蝶番12で連結されており且つ円弧の中心が蝶番12の回転軸5と同心であり、物品支持部4を仕分口3のある横方向に向けて後ろに90度以上首振り可能としてある。また各蝶番12の回転軸5は鉛直より後方に約3度傾斜させてあり、物品搬送体1の取付ピッチよりも大きい半径約70mmの扇状部品11をウロコの様に重ならせ、各扇状部品11は一つひとつを独立して首振り回転できるようにしてある。また回転軸5の後方傾斜により各物品搬送体1は前方側の物品支持部4が高くなっており、物品2を2つ以上の物品搬送体1に渡して載せるとほぼ物品支持部4だけで支持されるようになっている。
【0021】
前記物品支持部4の上面には放射状に複数の凸条13を設けてあり、支持した物品2をスリップさせずに首振り方向へ送り出すことができる様にしてある。また物品支持部4の円弧状縁14は凸条13と共に前方にある扇状部品11の上面に対して1段高くなっており、前方側からは壁の様になっており、物品2が回転軸5のラジアル方向内側へ移動されるのを抑制する移動抑制手段6となっている。この移動抑制手段6により物品2が載った前方の物品支持体4と一緒に後方の物品支持体4も一緒に首振りさせると、前方の物品支持体4の首振りにより移動される物品2が後方の移動抑制手段6と接触されて外側へと押し出される様になり、物品2の横方向への送り出しがより強まる様になっている。
【0022】
本例では上記の物品搬送体1の上に2つ以上に渡して物品2を載せ置いて搬送する。そして仕分口3のある個所で物品2を載せた2つ以上の物品搬送体1の物品支持部4を先頭のものから順番に続けて首振りさせる。この時、略90度回転した物品支持部4の速度がチェーン速度と同じであるが180度逆向き(図中の矢印b方向)になる様に回転速度を制御し、物品2の矢印a方向における地上速度が0となる様にする。この様にすることで物品支持体4に載った物品2は略水平面内で円弧を描く様に移動されながら、物品搬送体1の矢印a方向の地上速度が0の状態で矢印c方向に送り出される。そして物品2が送り出される丁度その先に物品支持部4の上面と面一で且つ近接させて矢印c方向に回転されるベルトコンベア15を設けることで、物品2を略水平状態で乗り継ぎさせることができる。物品支持部4は90度回転させた後も継続してさらに10度位回転させ、その間継続的に物品支持部4による物品搬送体1の搬送方向の速度を打ち消し効果を作用させ、万一物品2の乗り継ぎに時間が掛かっても物品2にチェーン移動方向のブレーキがかからないようにする。
【0023】
前記物品搬送体1の首振りは物品2の仕分情報に基づいて動作させる様にしてある。この仕分情報は物品搬送体1毎にセットされ、1番目の仕分口3で送り出される物品2を支持している物品搬送体1には1番の番号がセットされ、2番目の仕分口3で送り出される物品2を載せている物品搬送体1には2番の番号がセットされるという具合である。この仕分情報は例えば物品搬送体1のライン途中にカメラなどを設けて物品2の規格を判別させ規格別に仕分口を割り当てることで得ることができるものである。
【0024】
本発明では小さな物品2や胡瓜の様な細長い物品2は1つの物品搬送体1の物品支持部4に載せて搬送させても良い。例えば
図4に示す様に物品2が胡瓜である場合は、物品2を一つの物品支持体4の上に長手方向を円弧方向に沿わせて載せ、同物品2を首振りさせる際に後方の物品支持部4も一緒に首振りさせる。前方の物品支持部4に載った物品2が首振り移動時に後方側の物品支持部4の円弧状縁14と接触されて移動抑制手段6により矢印c方向に送り出される。このとき胡瓜は90度向きが変換されて送り出されるため、ベルトコンベア15で引継ぎさせると蓄積間隔を詰めることができるので便利である。ウロコの様に重ねられている扇状部品11の物品支持部4は首振り回転の際に徐々に後方の物品支持部4の下側に潜り込んで行くため、物品2は後方の物品支持部4の円弧状縁14(移動抑制手段6)と接触されて円弧外側へと押し出される様になり、90度首振りされた時には物品2は物品支持部4上から矢印c方向へと送り出される様になっている。
【0025】
本発明では仕分口3にベルトコンベア15に替えて下り傾斜のシューターなど別の装置を設けてもよい。物品2によってはローラーコンベアでも良いし、ターンテーブルでも良い。本発明の方法では物品支持部4を薄板状にすればどの様な引き継ぎ装置でもほぼ面一で且つ近接させ設けることができ、略水平状態で乗り継ぎさせることができる。
【0026】
図1、2は本発明の物品仕分装置を示したものであり、桃などの果実やトマトなどの野菜を物品2として仕分する場合を例とするものである。物品2を載せて搬送する物品搬送体1は循環走行するチェーン10に沿って物品2の大きさよりもやや小さい等間隔で多数取り付けてある。この例では小型チェーン10のピッチに合わせた31.75mmの間隔で取り付けてある。このため通常サイズの物品2は2つ以上の物品搬送体1に渡して載せ置く。但し直径相当で30ミリ以下の物品2についても搬送可能であり、この場合は1つの物品2を1つの物品搬送体1に載せ置くものとする。物品搬送体1は下部に蝶番12を有しており、同蝶番12の回転軸5は鉛直に対して搬送方向後方に約3度傾斜させてある。この蝶番12は第1プレート16をチェーン10に固定してあり、第2プレート17を回動自在としてある。第2プレート17は上部に扇状部品11を取り付けてあり、円弧状縁14が回転軸5より搬送方向前方側に向けて大きく突き出す様にしてある。第2プレート17の下部には下向きにピン18を突設してあり、同ピン18を矢印d方向に回転させると上部の扇状部品11の円弧状の縁部分である物品支持部4を略水平面内で仕分口3のある横方向に首振りする様に回動でき、ピン18を矢印e方向に戻すと扇状部品11の物品支持部4を搬送方向前方の初期位置に戻すことができるようにしてある。
【0027】
前記扇状部品11は薄板状であり厚みは2mm弱である。前方の物品支持部4の円弧縁は蝶番12の回転軸5と中心を一致させてあり、その半径は物品搬送体1の取付ピッチより大きい約70mmとしてあり、前記回転軸5の後方傾斜により前方の物品搬送体1の扇状部品11の上に後方の物品搬送体1の扇状部品11がウロコの様に重なっている。同扇状部品11は詳しくはベースがバネ性を有する金属板でありその上にシート状に成型された樹脂部品を貼り付けた構成としてある。前記物品支持部4は扇状部品11が回転軸5の後方傾斜で傾斜されていても前方の物品支持部4の上面だけは水平になる様に面がカットされており、物品支持部4の断面が先端に向かって薄くなっている。また物品支持部4には回転方向への搬送力を高めるため小さな凸条13を放射状に多数形成してある。この物品支持部4は凸条13と共に前方の物品2が円弧状縁14を超えてラジアル方向内側へ移動されるのを抑制する移動抑制手段6ともなっている。また物品支持部4の仕分口3と反対側の横縁には物品2の側面を支持可能とする横支持突起19を設けてある。同横支持突起19は物品支持部4が回転される際に慣性力で物品2が反対側に倒れようとするのを防止する機能と、物品支持部4を仕分口3側に90度首振りさせた際に仕分口3のベルトコンベア15の前端まで迫り出して物品2を確実に送り出させる機能を有する。
【0028】
前記チェーン10の仕分口3部分には蝶番12のピン18を案内できるガイド部品20を設けてある。ガイド部品20はピン18を案内できるガイド溝21、22を設けてあり、1つは直進するガイド溝21、もう一つは斜めのガイド溝22である。そして両ガイド溝21、22の交差部にはピン18をどちらか一方のガイド溝に通すための切替具23を設けてある。切替具23は上下動され、切替具23が降下した状態ではピン18を直進するガイド溝21に直進させ、物品支持部4を搬送方向前方に向けた初期状態のまま保持し、切替具23が上昇した状態ではピン18が斜めのガイド溝23に案内され、ピン18を徐々に仕分口3側に移動させて第2プレート17を矢印d方向に回動させて物品支持部4を仕分口3側に首振りさせる。斜めのガイド溝22はベルトコンベア15の幅に合わせて設計されており、物品支持部4をベルトコンベア15の幅方向手前側から徐々に首振りさせ、ベルトコンベア15の幅方向中央より少し先のところで物品支持部4を90度首振りさせ、さらに進みながら100度まで首振りさせることができるようにしてある。このため物品支持部4に支持された物品2はベルトコンベア15の幅方向中央付近で乗り継ぎさせられるようになっている。前記ガイド部品20及び切替具23は仕分口3を通過する物品搬送体1を仕分口3のある横方向に首振り可能とする首振り駆動手段7となっている。
【0029】
前記仕分口3は
図1に示す様にチェーン10の搬送方向に沿って複数設けてある。これらの仕分口3の搬送方向手前側には、図示していないが、物品搬送体1に物品2を手載せする手選部や搬送中の物品2をカメラで撮影して大きさや形状、色を検査する検査部がある。検査部では物品2の検査結果に基づいて個々の物品2の規格を判別すると共に物品2を何番目の仕分口3に送り出すのかを決定して仕分情報を生成するようになっている。例えば物品2の規格がAであるものを1番目の仕分口3に排出し、規格Bを2番目の仕分口3に排出するという情報である。この仕分情報は物品搬送体1毎に割り当てられる様にしてあり、各仕分口3の前記切替具23はこの仕分情報に基づいて上下動される様になっている。例えば仕分情報が1番目の仕分口3となっている物品搬送体1が1番目の仕分口3を通過すると1番目の切替具23が上昇され、仕分情報が2番目の仕分口3となっている物品搬送体1が2番目の仕分口3を通過するとこの2番目の切替具23が上昇されるようになっている。またこの仕分情報は2つの物品搬送体1で同じ物品2を支持する場合にはこれら2つの物品搬送体1の物品支持部4を連続して首振りさせ、同様に3つの物品搬送体1で同じ物品2を搬送する場合には3つの物品搬送体1の物品支持部4を連続して首振りさせる。さらに物品2を直接には載せていない場合でも物品2が首振りで移動されるときに前後の物品搬送体1の物品支持部4と接触する場合には、接触される物品搬送体1にも同じ仕分情報を割り付けて物品支持部4を首振り動作する様にしてある。
【0030】
本実施形態では各仕分口3のベルトコンベア15も仕分情報に連動動作する様にしてあり、1番目の切替具23が動作したときは1番目のベルトコンベア15が物品2の引継ぎに適したタイミングで回転を始め、物品2が完全に乗り継いだタイミングで回転を停止する間欠動作する様にしてある。物品2が連続して物品搬送体1から送り出されるときはその間だけ連続してベルトコンベア15が動作する様にもしてある。これにより非常に小刻みな間欠運を防止している。
【0031】
前記ベルトコンベア15の先端には物品搬送体1の首振りされた物品支持部4が直接接触しないように断面L字型の先端カバー24を取り付けてある。先端カバー24の上面はベルトコンベア15の上面とほぼ面一にしてある。
【0032】
本発明の物品仕分方法や物品仕分装置における物品搬送体1は、物品搬送体1を小さな間隔で取り付けしやすくするため
図3に示すように2つずつをセットにした構造でもよい。
図3は2本の平行すあるチェーン10に3つのギア30、31、32を内蔵した駆動ケース33が取り付けられ、駆動ケース33の上に2つずつ扇状部品11が取り付けられている。2つの扇状部品11はギア30と連結されたレバー34を矢印e方向に回動することで扇状部品11の回転軸5に取り付けられた2つのギア31、32が同時に矢印d方向に回動され、上の2つの物品支持部4を仕分口3側に首振りできるようにしてある。レバー34は
図2に示すようなガイド溝に案内して動かすことができる。この例でも扇状部品11の回転軸5は鉛直より後方に約3度傾斜されており、前方の扇状部品11の上に後方の扇状部品11がウロコ状に重なっている。この物品搬送体1の例では2つずつセットに対して仕分情報を割り当ててあり、物品2を載せている物品搬送体1が2つの駆動ケース33にまたがっている場合はこれらを同時又は連続的に駆動して首振りさせる。また直接に物品2を支持していなくても首振り中に物品2と接触される物品支持部4がある場合はその物品支持部4も首振りさせるようにする。
【0033】
本発明の物品仕分方法や物品仕分装置において物品支持部を首振りさせる機構は上記のものに限られない。例えばバネを圧縮した状態で物品支持部4を前方に向けままの状態にラッチで係止し、首振り箇所でラッチを解除してバネの力で物品支持部4を首振り駆動させるようにする方法もある。
【0034】
本件発明では前記物品搬送体の扇状部品の回転軸を鉛直より3度以上、例えば5度や6度と傾斜させてもよい。この場合、円弧状の物品支持部が90度首振りされた際に平らな物品支持部が排出方向に下り傾斜面となるため物品の横排出がさらに促進されるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の物品仕分方法と物品仕分装置は、トマトや桃などの略球形の果菜や果実の仕分やその他各種物品の仕分に使用できるものである。
【符号の説明】
【0036】
1 物品搬送体
2 物品
3 仕分口
4 物品支持部
5 回転軸
6 移動抑制手段
7 首振り駆動手段