(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-02
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】商品及び役務の評価システム及び評価方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20220203BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20220203BHJP
【FI】
G06Q30/02 470
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2019043032
(22)【出願日】2019-03-08
【審査請求日】2020-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】519084478
【氏名又は名称】スマートラクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101432
【氏名又は名称】花村 太
(72)【発明者】
【氏名】久保 芳之
【審査官】松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-016342(JP,A)
【文献】特許第6123039(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のクライアント端末と、
当該複数のクライアント端末と関連付けられたウォレットを含む1又は複数のサーバと、
当該ウォレット中の所定のウォレットと関連付けられたブロックチェーンが分散記録された複数のサーバと、から構成され、
当該ウォレットは、1又は複数のサーバに設けられた複数のサプライヤーウォレットと複数の店舗ウォレットと複数の消費者ウォレットと、を含み、
各サプライヤーウォレット及び各店舗ウォレットは、それぞれ別の分散記録されたブロックチェーンに関連付けられている商品及び役務の評価システムにおいて、
各店舗ウォレットは、サプライヤーウォレットにアクセスして評価対象に対する評価トークンを発行する店舗評価トークン発行手段と、
各サプライヤーウォレットは、当該店舗評価トークン発行手段により発行された評価トークンを格納する店舗評価トークン格納手段と、
各消費者ウォレットは、店舗ウォレットにアクセスして評価対象に対する評価トークンを発行する消費者評価トークン発行手段と、
各店舗ウォレットは、当該消費者評価トークン発行手段により発行された評価トークンを格納する消費者評価トークン格納手段と、
を備えてなることを特徴とする商品及び役務の評価システム。
【請求項2】
各サプライヤーウォレットを介して、評価対象の個別情報をサプライヤーブロックチェーンに記録されるサプライヤー個別情報記録手段と、
各店舗ウォレットを介して、評価対象の個別情報を店舗ブロックチェーンに記録される店舗個別情報記録手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の商品及び役務の評価システム。
【請求項3】
当該店舗個別情報記録手段において、評価対象の個別情報が店舗ブロックチェーンにブロックとして記録される場合には、当該評価対象の個別情報の一部又は全部が、当該評価対象の個別情報を含むサプライヤーブロックチェーンの該当ブロックから転記される個別情報転記手段を備えること特徴とする請求項2に記載の商品及び役務の評価システム。
【請求項4】
1又は複数のサーバに設けられた、複数の生産者ウォレットを含み、
各生産者ウォレットは、それぞれ別の分散記録されたブロックチェーンに関連付けられており、
各サプライヤーウォレットは、生産者ウォレットにアクセスして、評価対象に対するトークンを発行するサプライヤー評価トークン発行手段と、
各生産者ウォレットは、当該サプライヤー評価トークン発行手段により発行された評価トークンを格納するサプライヤー評価トークン格納手段と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至3に記載の商品及び役務の評価システム。
【請求項5】
1又は複数のサーバに設けられた、複数の生産者ウォレットを含み、
各生産者ウォレットは、それぞれ別の分散記録されたブロックチェーンに関連付けられており、
各サプライヤーウォレットは、生産者ウォレットにアクセスして、評価対象に対するトークンを発行するサプライヤー評価トークン発行手段と、
各生産者ウォレットは、当該サプライヤー評価トークン発行手段により発行された評価トークンを格納するサプライヤー評価トークン格納手段と、を備え、
更に、当該サプライヤー個別情報記録手段において、評価対象の個別情報がサプライヤーブロックチェーンに記録される場合には、当該評価対象の個別情報の一部又は全部が、当該評価対象の個別情報を含む生産者ブロックチェーンの該当ブロックから転記される個別情報転記手段と、
を備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の商品及び役務の評価システム。
【請求項6】
複数のクライアント端末と、
当該複数のクライアント端末と関連付けられたウォレットを含む1又は複数のサーバと、
当該ウォレット中の所定のウォレットと関連付けられたブロックチェーンが分散記録された複数のサーバと、から構成され、
当該ウォレットは、1又は複数のサーバに設けられた複数の生産者ウォレットと複数のサプライヤーウォレットと複数の店舗ウォレットと複数の消費者ウォレットと、を含み、
各生産者ウォレット、各サプライヤーウォレット及び各店舗ウォレットは、それぞれ別の分散記録されたブロックチェーンに関連付けられている商品及び役務の評価システムにおいて実行される方法であって、
各店舗ウォレットにおいて、サプライヤーウォレットにアクセスして評価対象に対する評価トークンを発行する店舗評価トークン発行ステップと、
各サプライヤーウォレットにおいて、当該店舗評価トークン発行
ステップにより発行された評価トークンを格納する店舗評価トークン格納ステップと、
各消費者ウォレットにおいて、店舗ウォレットにアクセスして評価対象に対する評価トークンを発行する消費者評価トークン発行ステップと、
各店舗ウォレットにおいて、当該消費者評価トークン発行ステップにより発行された評価トークンを格納する評価トークン格納ステップと、
各サプライヤーウォレットを介して、評価対象の個別情報をサプライヤーブロックチェーンに記録するサプライヤー個別情報記録ステップと、
各店舗ウォレットを介して、評価対象の個別情報を店舗ブロックチェーンに記録される店舗個別情報記録ステップと、
当該店舗個別情報記録ステップにおいて、評価対象の個別情報が店舗ブロックチェーンにブロックとして記録される場合には、当該評価対象の個別情報の一部又は全部が、当該評価対象の個別情報を含むサプライヤーブロックチェーンの該当ブロックから転記される個別情報転記ステップと、
各サプライヤーウォレットは、生産者ウォレットにアクセスして、評価対象に対するトークンを発行するサプライヤー評価トークン発行ステップと、
各生産者ウォレットは、当該サプライヤー評価トークン発行
ステップにより発行された評価トークンを格納するサプライヤー評価トークン格納ステップと、
当該サプライヤー個別情報記録ステップにおいて、評価対象の個別情報がサプライヤーブロックチェーンに記録される場合には、当該評価対象の個別情報の一部又は全部が、当該評価対象の個別情報を含む生産者ブロックチェーンの該当ブロックから転記される個別情報転記ステップと、
を備えてなることを特徴とする商品及び役務の評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロックチェーンを用いた商品及び役務の評価システム及び評価方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、食品の原産地・品質の偽装行為が行われたり、製品・サービスの品質を実際のものより優れたものと偽装して宣伝する偽装行為が行われたりしている。そしてこれらの偽装行為により、食品・製品・サービスのブランド価値が毀損されたり、取引業者や消費者が不利益を被る事件が発生している。
また、取引業者や消費者が、食品の原産地・品質の正確な情報を確認する客観的な手段は少なく、食品・製品・サービスの販売者の表示に基づく情報が確認する手段となっているのが実情である。
【0003】
このような現状において、日本政府は、産地表示適正化推進事業、牛肉トレーサビリティ業務事業等を産地偽装取締対策として行っている。
【0004】
また、食品の安全安心な提供を考慮したシステムが考えられている(特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-61282号公報
【文献】特開2018-88169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明が解決しようとする課題は、食品の原産地・品質、製品・サービスの品質等の偽装を行えないものとし、取引業者、販売者及び消費者がいつでも食品の原産地・品質、製品・サービスの品質などの情報に接することが可能な開かれた情報を提供し、更に第三者からの評価を判断材料とすることができるシステム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を達成するために、本発明に係る商品及び役務の評価システムは、複数のクライアント端末と、当該複数のクライアント端末と関連付けられたウォレットを含む1又は複数のサーバと、当該ウォレット中の所定のウォレットと関連付けられたブロックチェーンが分散記録された複数のサーバと、から構成され、当該ウォレットは、1又は複数のサーバに設けられた複数のサプライヤーウォレットと複数の店舗ウォレットと複数の消費者ウォレットと、を含み、各サプライヤーウォレット及び各店舗ウォレットは、それぞれ別の分散記録されたブロックチェーンに関連付けられている商品及び役務の評価システムにおいて、各店舗ウォレットは、サプライヤーウォレットにアクセスして評価対象に対する評価トークンを発行する店舗評価トークン発行手段と、各サプライヤーウォレットは、当該店舗評価トークン発行手段により発行された評価トークンを格納する店舗評価トークン格納手段と、各消費者ウォレットは、店舗ウォレットにアクセスして評価対象に対する評価トークンを発行する消費者評価トークン発行手段と、各店舗ウォレットは、当該消費者評価トークン発行手段により発行された評価トークンを格納する消費者評価トークン格納手段と、を備えてなることを特徴とする。
【0008】
また、商品及び役務の評価システムにおいて、流通商品・役務の評価システム各サプライヤーウォレットを介して、評価対象の個別情報をサプライヤーブロックチェーンに記録されるサプライヤー個別情報記録手段と、各店舗ウォレットを介して、評価対象の個別情報を店舗ブロックチェーンに記録される店舗個別情報記録手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、当該店舗個別情報記録手段において、評価対象の個別情報が店舗ブロックチェーンにブロックとして記録される場合には、当該評価対象の個別情報の一部又は全部が、当該評価対象の個別情報を含むサプライヤーブロックチェーンの該当ブロックから転記される個別情報転記手段を備えること特徴とする。
【0010】
また、商品及び役務の評価システムにおいては、1又は複数のサーバに設けられた、複数の生産者ウォレットを含み、各生産者ウォレットは、それぞれ別の分散記録されたブロックチェーンに関連付けられており、各サプライヤーウォレットは、生産者ウォレットにアクセスして、評価対象に対するトークンを発行するサプライヤー評価トークン発行手段と、各生産者ウォレットは、当該サプライヤー評価トークン発行手段により発行された評価トークンを格納するサプライヤー評価トークン格納手段と、を備え、更に、当該サプライヤー個別情報記録手段において、評価対象の個別情報がサプライヤーブロックチェーンに記録される場合には、当該評価対象の個別情報の一部又は全部が、当該評価対象の個別情報を含む生産者ブロックチェーンの該当ブロックから転記される個別情報転記手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る商品及び役務の評価方法は、複数のクライアント端末と、当該複数のクライアント端末と関連付けられたウォレットを含む1又は複数のサーバと、当該ウォレット中の所定のウォレットと関連付けられたブロックチェーンが分散記録された複数のサーバと、から構成され、当該ウォレットは、1又は複数のサーバに設けられた複数の生産者ウォレットと複数のサプライヤーウォレットと複数の店舗ウォレットと複数の消費者ウォレットと、を含み、各生産者ウォレット、各サプライヤーウォレット及び各店舗ウォレットは、それぞれ別の分散記録されたブロックチェーンに関連付けられている商品及び役務の評価システムにおいて実行される方法であって、各店舗ウォレットにおいて、サプライヤーウォレットにアクセスして評価対象に対する評価トークンを発行する店舗評価トークン発行ステップと、各サプライヤーウォレットにおいて、当該店舗評価トークン発行ステップにより発行された評価トークンを格納する店舗評価トークン格納ステップと、各消費者ウォレットにおいて、店舗ウォレットにアクセスして評価対象に対する評価トークンを発行する消費者評価トークン発行ステップと、各店舗ウォレットにおいて、当該消費者評価トークン発行ステップにより発行された評価トークンを格納する評価トークン格納ステップと、各サプライヤーウォレットを介して、評価対象の個別情報をサプライヤーブロックチェーンに記録するサプライヤー個別情報記録ステップと、各店舗ウォレットを介して、評価対象の個別情報を店舗ブロックチェーンに記録される店舗個別情報記録ステップと、当該店舗個別情報記録ステップにおいて、評価対象の個別情報が店舗ブロックチェーンにブロックとして記録される場合には、当該評価対象の個別情報の一部又は全部が、当該評価対象の個別情報を含むサプライヤーブロックチェーンの該当ブロックから転記される個別情報転記ステップと、各サプライヤーウォレットは、生産者ウォレットにアクセスして、評価対象に対するトークンを発行するサプライヤー評価トークン発行ステップと、各生産者ウォレットは、当該サプライヤー評価トークン発行ステップにより発行された評価トークンを格納するサプライヤー評価トークン格納ステップと、当該サプライヤー個別情報記録ステップにおいて、評価対象の個別情報がサプライヤーブロックチェーンに記録される場合には、当該評価対象の個別情報の一部又は全部が、当該評価対象の個別情報を含む生産者ブロックチェーンの該当ブロックから転記される個別情報転記ステップと、を備えてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る流通商品・役務の評価システム及び評価方法は、次の効果を奏するものである。
ブロックチェーンに記録された情報は、改ざんが困難であり且つ容易に参照できる情報となるため、情報の信頼性が高まると共に、正確で容易に参照できる情報としての利便性も高まる。また、評価対象の商品・役務に対して、生産者・サプライヤー・店舗が商品・役務を提供した者に対して評価も行うことが可能であり、更にこの評価情報も容易に参照できるため、生産者・サプライヤー・店舗の業務の質が向上することとなる。加えて、店舗での商品・役務の個別情報及び評価情報を参照できる消費者は、商品・役務を安心して購入、利用等することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明に係るブロックチェーンを用いた流通商品・役務の評価システムの全体概略を示す図である。
【
図2】
図2は、クライアント端末からウォレットを介して、ブロックチェーンにアクセスする概略の1例を示す図である。
【
図3】
図3は、生産者ブロックチェーンの生成の流れを示すフロー図である。
【
図4】
図4は、生産者ウォレットからサプライヤーウォレットへの評価対象となる商品・役務情報の転送があった場合のサプライヤーブロックチェーンの生成の処理の流れを示すフロー図である。
【
図5】
図5は、生産者ウォレットからサプライヤーウォレットへの評価対象となる商品・役務情報の転送がなかった場合のサプライヤーブロックチェーンの生成の処理の流れを示すフロー図である。
【
図6】
図6は、サプライヤーウォレットから店舗ウォレットへの評価対象となる商品・役務情報の転送があった場合の店舗ブロックチェーンの生成の処理の流れを示すフロー図である。
【
図7】
図7は、サプライヤークライアント端末から生産者ウォレットへ評価トークンを発行する場合の処理の流れを示すフロー図である。
【
図8】
図8は、店舗クライアント端末からサプライヤーウォレットへ評価トークンを発行する場合の処理の流れを示すフロー図である。
【
図9】
図9は、消費者クライアント端末から店舗ウォレットへ評価トークンを発行する場合の処理の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
食品の原産地・品質、製品・サービスの品質等の偽装を行えないものとし、取引業者、販売者及び消費者がいつでも食品の原産地・品質、製品・サービスの品質などの情報に接することが可能な開かれた情報を提供し、更に第三者からの評価を判断の材料とすることを可能とする目的を、ブロックチェーンを用いた流通商品・役務の評価システムで実現した。ここで、ブロックチェーン(Blockchain)とは、分散型ネットワークであり、「ブロック」と呼ばれるデータの単位を生成し、鎖(チェーン)のように連結していくことによりデータを保管するデータベースであり、分散型台帳技術又は分散型ネットワークともいう。
【0015】
図1は、本発明に係る流通商品・役務の評価システムの全体概略を示す図である。当該流通商品・役務の評価システムは、複数の生産者ウォレット30と複数のサプライヤーウォレット31と複数の店舗ウォレット32と複数の消費者ウォレット33がそれぞれインストールされ設けられたWeb
AP・DBサーバ20,21,22,23と、これら複数の生産者ウォレット30と複数のサプライヤーウォレット31と複数の店舗ウォレット32から、インターネットなどのネットワーク4を介して、それぞれアクセス可能なブロックチェーンネットワーク50,51,52と、複数の生産者ウォレット30と複数のサプライヤーウォレット31と複数の店舗ウォレット32と複数の消費者ウォレット33に対し、それぞれインターネットなどのネットワーク4を介してアクセス可能なクライアント端末から構成される。
【0016】
また、当該流通商品・役務の評価システムでは、WebAP・DBサーバ21に設けられた複数のサプライヤーウォレット31から、WebAP・DBサーバ20に設けられた複数の生産者ウォレット30へアクセス可能となっている。また、WebAP・DBサーバ22に設けられた複数の店舗ウォレット32から、WebAP・DBサーバ21に設けられた複数のサプライヤーウォレット31へアクセス可能となっている。また、WebAP・DBサーバ23に設けられた複数の消費者ウォレット33から、WebAP・DBサーバ22に設けられた複数の店舗ウォレット32へアクセス可能となっている。
【0017】
クライアント端末には、生産者クライアント端末10とサプライヤークライアント端末11と店舗クライアント端末12と消費者クライアント端末13が存在する。生産者クライアント端末10は、それぞれ別個の生産者ウォレット30に関連付けられている。サプライヤークライアント端末11は、それぞれ別個のサプライヤーウォレット31に関連付けられている。店舗クライアント端末12は、それぞれ別個の店舗ウォレット32に関連付けられている。消費者クライアント端末13は、それぞれ別個の消費者ウォレット33に関連付けられている。
【0018】
生産者クライアント端末10から、生産者ウォレット30を介して、生産者ブロックチェーンネットワーク50に存在する個々の生産者ウォレット30に関連付けられた生産者ブロックチェーン60にアクセスすることができる。サプライヤークライアント端末11から、サプライヤーウォレット31を介して、サプライヤーブロックチェーンネットワーク51に存在する個々のサプライヤーウォレット31に関連付けられたサプライヤーブロックチェーン61にアクセスすることができる。店舗クライアント端末12から、店舗ウォレット32に関連付けられた店舗ブロックチェーンネットワーク52に存在する店舗ブロックチェーン62にアクセスすることができる。各クライアント端末が各ブロックチェーンにアクセスして、ブロックチェーンのブロックに記録された情報を読み出したり、新たなブロックを生成することが可能となる。
【0019】
ここで言うブロックチェーンネットワークとは、ブロックチェーンを分散管理する一群のブロックチェーンサーバからなるネットワークをいうものである。
【0020】
なお、Web
AP・DBサーバ20,21,22,23は、
図1中では別個のものとされているが、同一のWeb
AP・DBサーバであってもよい。
【0021】
図2は、各生産者、各サプライヤー、各店舗のクライアント端末1からウォレット3がインストールされたWebAP・DBサーバ2を介して、ブロックチェーンにアクセスする概略の1例を示す図である。
この1例は、タブレット型PC、スマートフォン、パーソナルコンピュータ等の端末であるクライアント端末1と、WebAP(Web application)・DBサーバ2とブロックチェーンネットワーク5から構成される。これらは、ネットワーク4を介して通信可能となっている。ネットワーク4はインターネット、携帯電話網、ローカルエリアなどで構成され、特に限定されるものではない。
【0022】
WebAP・DBサーバ2には、ウォレット3が設けられている。ウォレット3は、所定の識別番号等で特定のブロックチェーンと関連付けられている。ウォレット3は、アプリケーションの一種であり、クライアント端末1からブロックチェーンにアクセスする際のインターフェースとなるものである。
【0023】
各ウォレット3は、クライアントの入力を受け付け、データアクセス100を行いデータベース200,201にデータを記録したり、ネットワーク4を介してブロックチェーンネットワーク5にアクセスする。ウォレット3は、公開鍵・秘密鍵の生成・管理、バックアップアドレスの管理や、トランザクションの生成等の処理を行う場合もある。
【0024】
ブロックチェーンネットワーク5は、ブロックチェーンを管理するサーバのネットワークであり、複数のブロックチェーンを管理するブロックチェーンサーバ6が存在する。ウォレット3は、WebAPI(Web application programming interface)を介して、ブロックチェーンネットワーク5にアクセスする。
【0025】
ブロックチェーンを構成するブロック7は、ブロックチェーン上で動作するプログラムであるスマートコントラクト8、及びトランザクション処理により値が変更されるデータ項目が定義されるステートデータベース9を構成要素として含むものである。
【0026】
<システム全体のフロー>
本発明に係るブロックチェーンを利用した評価対象の評価システムの全体のフローを説明する。
まず、本発明に係るブロックチェーンを利用した評価対象の評価システムに参加する生産者、サプライヤー、店舗及び消費者には、あらかじめウォレットが割り当てられる。生産者、サプライヤー、店舗及び消費者は、この割り当てられたウォレットを介して、ブロックチェーンネットワークにアクセスし、評価手段としての評価トークンを発行することが可能となっている。ここでトークンとは、ソースコードの単位要素ソースコードを構成する最小単位の要素のことであり、評価トークンとはこれを評価に利用するものである。
【0027】
以下に、生産者ウォレット30、サプライヤーウォレット31、店舗ウォレット32、消費者ウォレット33をそれぞれ介するフローに分けて説明する。この説明中、各ウォレットが実行しているように記載する部分も存在するが、これは説明の都合上そのように記載しているもので、実際には当該ウォレットが存在するWebAP・DBサーバ20,21,22,23が実行しているものである。
【0028】
1.生産者ウォレット30を介するフロー
(1)生産者ブロックチェーン60の生成
生産者クライアント端末10からネットワーク4を介して、WebAP・DBサーバ20に設けられた生産者ウォレット30へアクセスがあると、生産者ウォレット30は、生産者クライアント端末10からの識別番号等の識別情報を基に生産者のクライアント端末10の識別を行う(S10,S11)。
【0029】
この識別により、正当な生産者クライアント端末10と認識された後に、生産者クライアント端末10からブロックチェーンへのアクセス要求があると、生産者ウォレット30は当該生産者ウォレット30に紐付けされたブロックチェーンを管理する生産者ブロックチェーンネットワーク50中のブロックチェーンサーバにアクセスする(S12,S13,S14)。
【0030】
次に、生産者クライアント端末10から、評価対象となる商品・役務の個別情報が入力されると、それを受け付けた当該ブロックチェーンサーバにおいて、ブロックチェーンのブロックが生成される(S15,S16)。当該ブロックの生成は、当該ブロックの構成要素であるスマートコントラクトにより実行される。
【0031】
即ち、個々の生産者ウォレット30では、評価対象となる商品・役務の個別情報が入力される毎に新たなブロックが生成されることとなる。この商品・役務の個別情報は、ブロックチェーンを構成するブロック中のステートデータベースに記録される。ここで言う商品・役務の個別情報とは、商品・役務の評価に必要と考えられるあらゆる情報の中で任意に定められた情報をいうものである。
【0032】
(2)生産者ウォレット30からサプライヤーウォレット31への評価対象となる商品・役務情報の転送
生産者クライアント端末10から、生産者ウォレット30に対して、サプライヤーウォレット31への商品・役務の個別情報の送信要求があった場合、当該生産者ウォレット30は、当該商品・役務の識別番号等の識別情報から、生産者ブロックチェーン60の該当するブロックのステートデータベースに記録されている所定の個別情報を抽出し、サプライヤーウォレット31へ送信する(S20,S21,S22)。
【0033】
ここで、生産者ウォレット30に対して、サプライヤーウォレット31への商品・役務の個別情報の送信要求があった場合とは、生産者からサプライヤーへ商品・役務などが販売などされて移動した場合に行われるものである。
【0034】
2.サプライヤーウォレット31を介するフロー
(1)生産者ウォレット30から情報が送信された場合のサプライヤーブロックチェーン61の生成
サプライヤーウォレット31が、生産者ウォレット30から、評価対象となる商品・役務の所定の情報を受信した場合には、サプライヤーウォレット31は当該サプライヤーウォレット31に関連付けされたサプライヤーブロックチェーン61を管理するサプライヤーブロックチェーンネットワーク51中のブロックチェーンサーバにアクセスする(S23,S24)。
【0035】
次に、当該ブロックチェーンサーバにおいて、生産者ウォレット30から送信された評価対象となる商品・役務の所定の情報を基にサプライヤーブロックチェーン61のブロックが生成される(S25)。当該ブロックの生成は、当該ブロックの構成要素であるスマートコントラクトにより実行される。
【0036】
なお、この生成されたブロック情報に、新たな情報が付加される場合には、当該生成されたブロックの情報に新たな情報が追加されたブロックが生成される。例えば、サプライヤーにおいて、商品・役務を分割して販売する場合等に、分割された個々の商品・役務に対応するブロックが生成されることとなる。
【0037】
サプライヤークライアント端末11からサプライヤーウォレット31を介して、当該生成されたブロックにアクセスして、分割等の情報が、商品・役務の情報に追加される場合には、スマートコントラクトによりステートデータベースに追加情報が新たに記録されら新たなブロックが生成されるものである。
【0038】
(2)サプライヤークライアント端末11からサプライヤーブロックチェーン61の生成
生産者ウォレット30から、評価対象となる商品・役務の所定の情報の送信がなく、サプライヤークライアント端末11からサプライヤーブロックチェーン61を生成する場合を説明する。
【0039】
サプライヤークライアント端末11からネットワーク4を介して、WebAP・DBサーバ21に設けられたサプライヤーウォレット31へアクセスがあると、サプライヤーウォレット31は、サプライヤークライアント端末11からの識別番号等の識別情報を基にサプライヤーのクライアント端末の識別を行う(S30,S31)。
【0040】
この識別により、正当なサプライヤークライアント端末11と認識された後に、サプライヤークライアント端末11からサプライヤーブロックチェーン61へのアクセス要求があると、サプライヤーウォレット31は当該サプライヤーウォレット31に関連付けされたブロックチェーンを管理するサプライヤーブロックチェーンネットワーク51中のブロックチェーンサーバにアクセスする(S32,S33)。
【0041】
次に、サプライヤークライアント端末11から、評価対象となる商品・役務の個別情報が入力されると、それを受け付けた当該ブロックチェーンサーバにおいて、ブロックチェーンのブロックが生成される(S34,S35)。当該ブロックの生成は、当該ブロックの構成要素であるスマートコントラクトにより実行される。
【0042】
即ち、個々のサプライヤーウォレット31では、評価対象となる商品・役務の個別情報が入力される毎に新たなブロックが生成されることとなる。この商品・役務の個別情報は、ブロックチェーンを構成するブロック中のステートデータベースに記録される。
【0043】
(3)サプライヤーウォレット31から店舗ウォレット32への評価対象となる商品・役務情報の転送
サプライヤークライアント端末11から、サプライヤーウォレット31に対して、店舗ウォレット32への商品・役務の個別情報の送信要求があった場合、当該サプライヤーウォレット31は、当該商品・役務の識別番号等の識別情報から、サプライヤーブロックチェーン51の該当するブロックのステートデータベースに記録されている所定の個別情報を抽出し、店舗ウォレット32へ送信する(S40,S41,S42)。
【0044】
ここで、サプライヤーウォレット31に対して、店舗ウォレット32への商品・役務の個別情報の送信要求があった場合とは、生産者からサプライヤーへ商品・役務などが販売などされて移動した場合に行われるものである。
【0045】
(4)生産者ウォレット30へ評価トークンを発行する場合
サプライヤークライアント端末11から、評価トークンの発行のための生産者ウォレット30へのアクセス要求を受け付けると、サプライヤーウォレット31は、生産者ウォレット30へのアクセス要求を、該当する生産者ウォレット30へ送信する(S50,S51)。
【0046】
このアクセス要求を受け付けた生産者ウォレット30は、評価トークン発行対象となるブロックを識別する情報をサプライヤーウォレット31へ要求する(S52)。
【0047】
この識別情報要求を受け付けたサプライヤーウォレット31は、評価トークン発行対象となる商品・役務の個別情報を識別するための識別番号等の識別情報を生産者ウォレット30に送信すると共に評価トークンを発行する(S53)。
このトークンの発行を受け付けた生産者ウォレット30は、この評価トークンを評価トークン発行対象となった商品・役務の個別情報を含む生産者ブロックチェーン60のブロックと関連付けて記録し格納する(S54)。
【0048】
(5)商品・役務の個別情報の参照
サプライヤークライアント端末11から、ネットワーク4を介してサプライヤーウォレット31に対して、特定の商品・役務の個別情報要求があった場合、サプライヤーウォレット31では、生産者ウォレット30に対してネットワーク4を介してアクセス処理を行う。
【0049】
サプライヤーウォレット31からアクセス要求を受けた生産者ウォレット30では、サプライヤーウォレット31に対して、サプライヤーウォレット31の識別情報の送信を要求する。
この識別情報要求を受け付けたサプライヤーウォレット31では、識別情報を生産者ウォレット30に送信する。
【0050】
この識別情報を受け付けた生産者ウォレット30では、生産者ブロックチェーン60の該当する情報を生産者ブロックチェーン60の所定のブロックから情報を抽出し、サプライヤーウォレット31に送信する。
この送信された商品・役務の個別情報を受け付けたサプライヤーウォレット31は、サプライヤークライアント端末11に当該商品・役務の個別情報及び当該商品・役務の個別情報に紐づけられたトークン情報も表示する。
当該トークン情報とは、例えば当該商品・役務に関する評価情報となるものである。
【0051】
3.店舗ウォレット32を介するフロー
(1)サプライヤーウォレット31から情報が送信された場合の店舗ブロックチェーンの生成
店舗ウォレット32が、サプライヤーウォレット31から、評価対象となる商品・役務の所定の情報を受信した場合には、店舗ウォレット32は当該店舗ウォレット32に関連付けされた店舗ブロックチェーン62を管理する店舗ブロックチェーンネットワーク52中のブロックチェーンサーバにアクセスする(S43,S44)。
【0052】
次に、当該ブロックチェーンサーバにおいて、サプライヤーウォレット31から送信された評価対象となる商品・役務の所定の情報を基に店舗ブロックチェーン62のブロックが生成される(S45)。当該ブロックの生成は、当該ブロックの構成要素であるスマートコントラクトにより実行される。
【0053】
(2)サプライヤーウォレット31へ評価トークンを発行する場合
店舗クライアント端末12から、店舗ウォレット32が評価トークンの発行のためのサプライヤーウォレット31へのアクセス要求を受け付けると、当該店舗ウォレット32は、サプライヤーウォレット31へのアクセス要求を、該当するサプライヤーウォレット31へ送信する(S60,S61)。
【0054】
このアクセス要求を受け付けたサプライヤーウォレット31は、評価トークン発行対象となるブロックを識別する情報を店舗ウォレット32へ要求する(S62)。
【0055】
この識別情報要求を受け付けた店舗ウォレットは、評価トークン発行対象となる商品・役務の個別情報を識別するための識別番号等の識別情報をサプライヤーウォレット31に送信すると共に評価トークンを発行する(S63)。
このトークンの発行を受け付けたサプライヤーウォレット31は、この評価トークンを評価トークン発行対象となった商品・役務の個別情報を含むサプライヤーブロックチェーンのブロックと関連付けて記録し格納する(S64)。
【0056】
(3)商品・役務の個別情報の参照
店舗クライアント端末12から、ネットワーク4を介して店舗ウォレット32に対して、特定の商品・役務の個別情報要求があった場合、店舗ウォレットでは、サプライヤーウォレット31に対してネットワーク4を介してアクセス処理を行う。
【0057】
店舗ウォレット32からアクセス要求を受けたサプライヤーウォレット31では、店舗ウォレット32に対して、店舗ウォレット32の識別情報の送信を要求する。
この識別情報要求をうけた店舗ウォレット32では、識別情報をサプライヤーウォレット31に送信する。
【0058】
この識別情報を受け付けたサプライヤーウォレット31では、サプライヤーブロックチェーン61の該当する情報をサプライヤーブロックチェーン61の所定のブロックから情報を抽出し、店舗ウォレット32に送信する。
この送信された商品・役務の個別情報を受け付けた店舗ウォレット32は、店舗クライアント端末12に当該商品・役務の個別情報及び当該商品・役務の個別情報に紐づけられたトークン情報も表示する。
当該トークン情報とは、例えば当該商品・役務に関する評価情報となるものである。
【0059】
4.消費者ウォレット33を介するフロー
消費者クライアント端末13からネットワーク4を介して、WebAP・DBサーバ23に設けられた消費者ウォレット33へアクセスがあると、消費者ウォレット33は、消費者クライアント端末13からの識別番号等の識別情報を基に消費者のクライアント端末の識別を行う。
【0060】
この識別により、正当な消費者クライアント端末13と認識された場合には、消費者クライアント端末13からの指令にしたがって、消費者ウォレット33では次の処理をおこなうことができる。
【0061】
(1)商品・役務の個別情報の参照
消費者クライアント端末13から、ネットワーク4を介して消費者ウォレット33に対して、特定の商品・役務の個別情報要求があった場合、消費者ウォレット33では、店舗ウォレット32に対してネットワーク4を介してアクセス処理を行う。
【0062】
消費者ウォレット33からアクセス要求を受けた店舗ウォレット32では、消費者ウォレット33に対して、消費者ウォレット33の識別情報の送信を要求する。
この識別情報要求をうけた消費者ウォレット33では、識別情報を店舗ウォレット32に送信する。
【0063】
この識別情報を受け付けた店舗ウォレット32では、店舗ブロックチェーン62の該当する情報を店舗ブロックチェーン62の所定のブロックから個別情報を抽出し、消費者ウォレット33に送信する。
この送信された商品・役務の個別情報を受け付けた消費者ウォレット33は、消費者クライアント端末13に当該商品・役務の個別情報及び当該商品・役務の個別情報に紐づけられたトークン情報も表示する。
当該トークン情報とは、例えば当該商品・役務に関する評価情報となるものである。
【0064】
(2)店舗ウォレット32に評価トークンを発行する場合
消費者ウォレット33は、消費者クライアント端末13から、評価トークンの発行のための店舗ウォレット32へのアクセス要求を受け付けた場合、店舗ウォレット32へのアクセス要求を該当する店舗ウォレット32へ送信する(S70,S71)。
【0065】
このアクセス要求を受け付けた店舗ウォレット32は、評価トークン発行対象となるブロックを識別する情報を、ネットワーク4を介して消費者ウォレット33へ要求する(S72)。
【0066】
この識別情報要求を受け付けた消費者ウォレット33は、評価トークン発行対象となる商品・役務の個別情報を識別するための識別番号等の識別情報を店舗ウォレット32に送信すると共にトークンを発行する(S73)。
このトークンの発行を受け付けた店舗ウォレット32は、この評価トークンを評価トークン発行対象となった商品・役務の個別情報を含む店舗ブロックチェーン62のブロックと関連付けて記録し格納する(S74)。
【実施例】
【0067】
本発明に係る商品及び役務の評価システムの実施例として、生産者とサプライヤーの間を食肉・農産物などの生産物に関するプロダクト型ブロックチェーンとして、サプライヤーから店舗を介して消費者までの間を商品・役務の流通のプロセスに関するプロセス型ブロックチェーンとして、説明する。
【0068】
<プロダクト記録型ブロックチェーン>
生産者が生産者クライアント端末から、生産者ウォレットにインターネットなどのネットワークを介してアクセスすると、生産者クライアント端末の識別が行われ、この識別により正当な生産者クライアント端末と認識される。
【0069】
この認識された後に、当該生産者ウォレットに関連付けられたブロックチェーンにアクセスすることが可能となり、例えば肉牛であれば、肉牛の個体識別情報、例えばインプラント情報・個別識別タグ情報、DNA情報、戸籍情報(性別、出生地、両親など)等の中の予め設定された情報が入力されると、スマートコントラクトにより新たなブロックが生成されこれらの情報がステートデータベースとして記録される。
【0070】
生産者は、当該個別の肉牛毎に生成された生産者ブロックチェーンに対し、生産者クライアント端末から生産者ウォレットを介してアクセスし、当該個体の飼育環境・餌・体重などの飼育等の情報を新たなブロックとして生成していくことができる。
【0071】
更に、生産者ウォレットと関連付けされた別個のウォレットを設けて、個体に対するワクチン接種、当該個体の健康状態を、獣医師等が別個のウォレットから生産者ウォレットを介して、所定の肉牛の個別情報を有するブロックチェーンにアクセスして、これらの情報をブロックに記録することも可能である。
【0072】
また、当該個体の運動情報(GPSタグ等に基づいた情報)のデータを生産者ウォレットが受信できるように設定し、当該個体の識別情報に基づいて、該当する個体のブロックチェーンにアクセス可能として、当該個体の運動情報のデータを数値化して、ブロックチェーンに記録することも可能である。これは、GPSタグ等のデータを受信した生産者ウォレットが、ブロックチェーンネットワークにアクセスし、ブロックチェーンに新たなブロックを生成することにより記録されるものである。
【0073】
更に、当該個体の各種情報が記録された後に、当該ブロックチェーンに記録された各種情報を基に、当該個体のコンディション評価を行うコンディション評価処理が行われるようにすることも可能である。当該コンディション評価処理は、WebAP・DBサーバ2で行ってもよく、その他のサーバで処理してもよい。
【0074】
当該コンディション評価処理の結果、所定の評価が出された場合には、評価に基づいた評価トークンが発行され、生産者ウォレットに格納されるようにすることも可能である。
【0075】
そして、当該個体が生産物として、肉牛を加工処理する食肉解体業者であるサプライヤーに発送され、生産者ウォレットが当該発送情報を受けた場合には、発送先のサプライヤーウォレットに当該個体の所定の情報を送信する。当該転記処理は、WebAP・DBサーバで行ってもよく、その他のサーバで処理してもよい。
【0076】
サプライヤーウォレットが、生産者ウォレットから、生産物として配送される当該個体の所定情報を受信した場合には、サプライヤーウォレットは当該サプライヤーウォレットに紐付けされたサプライヤーブロックチェーンを管理するブロックチェーンネットワーク中のブロックチェーンサーバにアクセスする。そして、当該個体の所定情報を基にサプライヤーブロックチェーンのブロックが生成される。当該ブロックの生成は、当該ブロックの構成要素であるスマートコントラクトにより実行される。
【0077】
この生成されたブロック情報に、新たな情報が付加される場合には、当該生成されたブロックの情報に新たな情報が追加されたブロックが生成される。例えば、サプライヤーにおいて、生産物である肉牛が解体され、個々の肉の部位に分割された場合、それぞれ対応するブロックが生成されることとなる。当該ブロックの生成は、スマートコントラクトによりステートデータベースに追加情報が新たに記録され新たなブロックが生成されるものである。
【0078】
<プロセス記録型ブロックチェーン>
サプライヤーがサプライヤークライアント端末から、サプライヤーウォレットにインターネットなどのネットワークを介してアクセスすると、サプライヤークライアント端末の識別が行われ、この識別により正当なサプライヤークライアント端末と認識される。
【0079】
肉牛の解体業者は、サプライヤークライアント端末から、インターネットなどのネットワークを介して、サプライヤーウォレットにアクセスし、全体の肉質・部位毎の肉質・肉の等級などの情報をブロックチェーンに記録する。これは、解体業者がサプライヤークライアント端末からサプライヤーウォレットを介して、ブロックチェーンネットワークにアクセスし、ブロックチェーンに新たなブロックを生成することにより記録されるものである。
【0080】
当該解体業者は、牛肉の肉質の評価を行い、当該肉質に対する評価をプロセス記録型ブロックチェーンに記録する。これは、解体業者がクライアント端末から個別ウォレットを介して、ブロックチェーンネットワークにアクセスし、プロダクト記録型ブロックチェーンに新たなブロックを生成することにより記録されるものである。すると、この記録は投票(評価トークン)を生成し、当該プロセス管理用ウォレットに格納される。
【0081】
肉牛を生産者から解体業者に輸送を行う輸送業者からの輸送業者情報と輸送経路・輸送時間・輸送日時・輸送方法等の輸送関連情報をブロックチェーンに記録する記録処理が行われる。これは、当該輸送業者に所定のウォレットを設け、当該ウォレットを介して、サプライヤーウォレットにアクセスできるように設定し、当該サプライヤーウォレットから、これらの情報を所定のブロックチェーンに追加情報として新たなブロックを生成できるようにしてもよい。
【0082】
牛肉の解体業者からの全体の肉質・部位毎の肉質・肉の等級などの情報をプロセス記録型ブロックチェーンに記録する。これは、解体業者がサプライヤークライアント端末からサプライヤーウォレットを介して、ブロックチェーンネットワークにアクセスし、ブロックチェーンに新たなブロックを生成することにより記録されるものである。
【0083】
当該解体業者は、牛肉の肉質の評価を行い、当該肉質に対する評価をプロセス記録型ブロックチェーンに記録する。これは、解体業者がサプライヤークライアント端末からサプライヤーウォレットを介して、ブロックチェーンネットワークにアクセスし、ブロックチェーンに新たなブロックを生成することにより記録されるものである。すると、この記録は投票(評価トークン)を生成し、サプライヤーウォレットに格納される。
【0084】
解体業者から、解体された食肉が、精肉店、スーパーマーケット、デパート、焼き肉店等の店舗に配送される際に、サプライヤークライアント端末の送信要求に基づき、サプライヤーウォレットから、当該食肉に関する情報がサプライヤーブロックチェーンに記録される当該食肉に関する所定の情報が、所定の店舗ウォレットへ送信される。
【0085】
店舗ウォレットが、サプライヤーウォレットから、当該食肉に関する情報を受信した場合には、店舗ウォレットは当該店舗ウォレットに関連付けされた店舗ブロックチェーンを管理するブロックチェーンネットワーク中のブロックチェーンサーバにアクセスする。
【0086】
次に、当該ブロックチェーンサーバにおいて、サプライヤーウォレットから送信された当該食肉に関する情報を基に店舗ブロックチェーンのブロックが生成される。当該ブロックの生成は、当該ブロックの構成要素であるスマートコントラクトにより実行される。
【0087】
当該店舗にて、食肉を購入、食した消費者は、自己のパーソナルコンピュータやスマートフォン等の携帯端末から、所定の消費者ウォレットを介して、当該購入した食肉、食した食肉の情報にアクセスし確認することができる。
【0088】
<生産者・解体業者・店舗が取り扱う食牛・食肉の評価について>
サプライヤーである解体業者は生産者に対し、店舗は解体業者に対し、消費者は店舗に対し食牛・食肉に関する評価を行う事が可能である。評価は、評価される側のウォレットに、自己のウォレットを介して、行うことが可能となっている。この投票は、ブロックチェーンサーバでブロックチェーンに実装された、投票の出所が明確化されるスマートコントラクトにより処理される。
【0089】
また、店舗は解体業者に対し、消費者は店舗に対し食牛・食肉に関する評価を行う事が可能である。
【0090】
以上説明したように、ブロックチェーンに登録された情報が、改ざんが困難であり且つ誰もが参照できる情報となるため、正確な情報としての信頼性を得ることができ、その結果として評価対象物の評価結果としての信頼性が高まる。また、牛肉の生産者・輸送業者・海外業者などの評価も行われるため生産者・輸送業者・解体業者などの業務の質が向上するという効果も生ずる。更に、消費者は、食肉の生産から販売に至るたまでの履歴を確認する事ができ、さらに流通過程での評価結果も知ることができるため食肉を安心して食することができる。
【0091】
<その他適用される評価対象>
本実施例では、牛肉を対象としたが、本発明に係るブロックチェーンを利用した評価対象物の評価システム及び評価方法は、豚・鶏・羊・馬等のその他の食肉、野菜、果物、サービス業者の提供するサービス、オンラインストア、SNS、Twitter(登録商標)、Wikipedia(国際登録商標)等の評価も行うことが可能である。
【符号の説明】
【0092】
1 クライアント端末
2,20,21,22,23 WebAP・DBサーバ
3 ウォレット
4 ネットワーク
5 ブロックチェーンネットワーク
6 ブロックチェーンサーバ
7 ブロック
8 スマートコントラクト
9 ステートデータベース
10 生産者クライアント端末
11 サプライヤークライアント端末
12 店舗クライアント端末
13 消費者クライアント端末
30 生産者ウォレット
31 サプライヤーウォレット
32 店舗ウォレット
33 消費者ウォレット
50 生産者ブロックチェーンネットワーク
51 サプライヤーブロックチェーンネットワーク
52 店舗ブロックチェーンネットワーク
60 生産者ブロックチェーン
61 サプライヤーブロックチェーン
62 店舗ブロックチェーン