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特許7018216ポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料及びその製造方法、医療用防護服
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-02
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】ポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料及びその製造方法、医療用防護服
(51)【国際特許分類】
   A41D 31/30 20190101AFI20220203BHJP
   A41D 31/00 20190101ALI20220203BHJP
   A41D 31/02 20190101ALI20220203BHJP
   A41D 31/14 20190101ALI20220203BHJP
   A41D 31/24 20190101ALI20220203BHJP
   A41D 31/26 20190101ALI20220203BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20220203BHJP
   B32B 5/24 20060101ALI20220203BHJP
   A41D 13/00 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
A41D31/30
A41D31/00 502B
A41D31/00 502F
A41D31/00 502Q
A41D31/00 503M
A41D31/02 A
A41D31/14
A41D31/24
A41D31/26
B32B27/30 D
B32B5/24 101
A41D13/00 102
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020107112
(22)【出願日】2020-06-22
(65)【公開番号】P2021130898
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】202010103870.7
(32)【優先日】2020-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202020395537.3
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202020905155.0
(32)【優先日】2020-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520226724
【氏名又は名称】チアンス ファーウェル テキスタイル ニュー マテリアル テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グオ ユシュン
(72)【発明者】
【氏名】グオ ファ
(72)【発明者】
【氏名】グ ユリアン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ツェンシェン
(72)【発明者】
【氏名】シュ グオファ
(72)【発明者】
【氏名】チア ガオペン
(72)【発明者】
【氏名】チェン シャオフェン
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-159666(JP,A)
【文献】中国実用新案第2642819(CN,Y)
【文献】特開2015-224405(JP,A)
【文献】中国実用新案第209628692(CN,U)
【文献】特開2020-007678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D13/00-13/12
A41D31/00-31/32
B32B1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリテトラフルオロエチレン繊維織物と、前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物の片面又は両面を覆うポリテトラフルオロエチレン微多孔膜とを含むことを特徴とするポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料。
【請求項2】
前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物は繊度111~389dtexの原色又は彩色のポリテトラフルオロエチレン長繊維を用いて製織され、又は繊度1.1~3.3dtex、長さ30~70mmの原色又は彩色のポリテトラフルオロエチレン短繊維を用いて前記短繊維単独で製織され、又は前記原色又は彩色のポリテトラフルオロエチレン短繊維と耐高温繊維を用いて混紡して製織されることを特徴とする請求項1に記載のポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料。
【請求項3】
前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物の経方向密度は296~551本/10cmであり、緯方向密度は256~433本/10cmであることを特徴とする請求項1に記載のポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料。
【請求項4】
前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物に導電性繊維が設けられ、前記導電性繊維は金属糸、炭素繊維糸、グラファイト長繊維又は短繊維であることを特徴とする請求項1に記載のポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料。
【請求項5】
前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物に彩色の標識テープが織り込まれ、前記彩色の標識テープは彩色のポリテトラフルオロエチレン長繊維又は短繊維で製織されることを特徴とする請求項1に記載のポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料。
【請求項6】
前記ポリテトラフルオロエチレン微多孔膜は複数の細孔を有し、前記細孔の孔径は20~70nmであり、前記ポリテトラフルオロエチレン微多孔膜の厚さは0.01~0.03mmであることを特徴とする請求項1に記載のポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料。
【請求項7】
前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物は平織、綾織、繻子織又は絡み織組織であることを特徴とする請求項1に記載のポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料。
【請求項8】
前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物と前記ポリテトラフルオロエチレン微多孔膜との間に発泡接着剤層が設けられることを特徴とする請求項1に記載のポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料。
【請求項9】
前記発泡接着剤層の配合(重量%基準)は、水溶性ポリアクリル酸エマルジョン40~50%、二酸化チタン8~10%、カオリン7~10%、PF増粘剤1~2%、架橋剤1~2%、表面親和剤3~5%、A651-20熱硬化性接着剤1~3%、アンモニア水1~2%で、残りは水であることを特徴とする請求項8に記載のポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料。
【請求項10】
前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物と前記ポリテトラフルオロエチレン微多孔膜との間にメルトブローン不織布が設けられ、前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物、メルトブローン不織布、発泡接着剤層、及びポリテトラフルオロエチレン微多孔膜はこの順に積層されることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載のポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料。
【請求項11】
前記メルトブローン不織布はポリエステルメルトブローン不織布又はポリプロピレンメルトブローン不織布であり、重量が10~45g/mであることを特徴とする請求項10に記載のポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料。
【請求項12】
原色のポリテトラフルオロエチレン長繊維又は短繊維、彩色のポリテトラフルオロエチレン長繊維又は短繊維、及び導電性繊維を素材として布地を製織するステップS1と、
前記布地を整理してポリテトラフルオロエチレン繊維織物を得るステップS2と、
フォームコーティングラミネートの方式でポリテトラフルオロエチレン微多孔膜を前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物に結合させるステップS3とを含むことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載のポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料の製造方法。
【請求項13】
S2において、前記整理は水洗、幅出しを含むことを特徴とする請求項12に記載のポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料の製造方法。
【請求項14】
S3において、前記フォームコーティングラミネートの方式のパラメータは、泡発生器の泡濃度が40~55g/lであり、泡直径が0.5~4mmであり、泡発生比が1:2.5~1:3.5であり、コーティング機の処理速度が10~20m/minであり、ロール圧が6~10kg/cmであり、仮乾燥温度が60~85℃であり、本乾燥温度が100~130℃であることを特徴とする請求項12に記載のポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料の製造方法。
【請求項15】
原色のポリテトラフルオロエチレン長繊維又は短繊維、彩色のポリテトラフルオロエチレン長繊維又は短繊維、及び導電性繊維を素材として布地を製織するステップS10と、
前記布地を整理してポリテトラフルオロエチレン繊維織物を得るステップS20と、
前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物の片面又は両面にメルトブローン不織布が結合された後、フォームコーティングラミネートの方式でポリテトラフルオロエチレン微多孔膜を前記メルトブローン不織布に結合させるステップS30とを含み、
S20において、前記整理は水洗、幅出しを含み、S30において、前記フォームコーティングラミネートの方式のパラメータは、泡発生器の泡濃度が40~55g/lであり、泡直径が0.5~4mmであり、泡発生比が1:2.5~1:3.5であり、コーティング機の処理速度が10~20m/minであり、ロール圧が6~10kg/cmであり、仮乾燥温度が60~85℃であり、本乾燥温度が100~130℃であることを特徴とする請求項10又は11に記載のポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料の製造方法。
【請求項16】
生地は請求項1~11のいずれか1項に記載のポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料であることを特徴とする医療用防護服。
【請求項17】
副材料としてミシン糸、線ファスナー、ゴムバンド、防水性圧着テープを含み、
前記ミシン糸は1本当たりの繊度1200~2400dtexのポリテトラフルオロエチレンミシン糸であり、前記線ファスナーの材質はフッ素樹脂であり、前記ゴムバンドの材質はポリウレタンであり、前記防水性圧着テープはフッ素樹脂製の透明圧着テープであることを特徴とする請求項16に記載の医療用防護服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料及びその製造方法、医療用防護服に関し、医療防護分野に属する。
【背景技術】
【0002】
2020年に発生する新型コロナウイルス肺炎の流行は、その感染経路が直接感染、エアロゾル感染、接触感染等を含み、患者のくしゃみ、咳、話すときの飛沫、呼出したガスによって近距離で拡散される。飛沫が大気と混合して形成したエアロゾルは人に吸い込まれ、又は飛沫は物体の表面に付着する。汚染された物と接触した人が、口腔、鼻腔、目等の粘膜と接触する場合、感染が発生する。
【0003】
飛沫によって感染されるウイルスは、一般に直径が70~150nmである。インフルエンザウイルスの直径は80~120nm、SARSウイルスの直径は70~80nm、コロナウイルスの直径は80~150nmで、細菌はウイルスより直径が大きく、約500~5000nmである。そのため、防護材料は効果的なウイルス防護を実現するために、有效孔径を70nmより小さくする必要がある。
【0004】
従来、防護服に使用される材料は、ポリエステル、ポリプロピレン不織布を布地とするものが多い。使い捨て医療用防護服の繊維径は150~250nmであり、破断強度基準は50Nである。ある程度防護効果が果たされるが、強度は不十分である。使い捨て防護服のこうした欠点に対処するために、医療従事者は防護服を2重から3重着用する必要がある。その結果、中にいる人は蒸し暑く感じられ、換気ができず、急用ができる場合は不都合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術の欠点に対して、ポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料及びその製造方法、医療用防護服を提供することである。ポリテトラフルオロエチレン繊維織物を含み、かつ、ポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料を使用し、ポリテトラフルオロエチレン繊維織物に彩色の標識テープと導電性繊維を設けることによって、医療用防護服に高い強度が付与され、繰り返し利用できるとともに、経時的に変化しない導電性と認識されやすいという特性が得られ、ポリテトラフルオロエチレン微多孔膜とメルトブローン不織布が設けられるためより効果的に、かつ安全に防護効果が果たされ、ウイルスや呼吸器感染等により医療従事者に交差感染が生じることが避けられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明において、ポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料が提供される。前記ポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料は、ポリテトラフルオロエチレン繊維織物と、前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物の片面又は両面を覆うポリテトラフルオロエチレン微多孔膜とを含む。
【0007】
好ましくは、前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物は繊度111~389dtexの原色又は彩色のポリテトラフルオロエチレン長繊維を用いて製織され、又は繊度1.1~3.3dtex、長さ30~70mmの原色又は彩色のポリテトラフルオロエチレン短繊維を用いて前記短繊維単独で製織され、又は前記原色又は彩色のポリテトラフルオロエ
チレン短繊維と耐高温繊維を用いて混紡して製織される。
【0008】
医療用防護服に優れた通気性と防護性能を持たせるために、前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物の経方向密度は296~551本/10cmであり、緯方向密度は256~433本/10cmである。
【0009】
医療用防護服に経時的に変化しない帯電防止特性を持たせるために、前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物に導電性繊維が設けられ、前記導電性繊維は金属糸、炭素繊維糸、グラファイト長繊維又は短繊維である。
【0010】
勤務する医師と看護師を病棟別に認識しやすいように、前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物に彩色の標識テープが織り込まれ、前記彩色の標識テープは彩色のポリテトラフルオロエチレン長繊維又は短繊維で製織される。
【0011】
好ましくは、前記ポリテトラフルオロエチレン微多孔膜は複数の細孔を有し、前記細孔の孔径は20~70nmであり、前記ポリテトラフルオロエチレン微多孔膜の厚さは0.01~0.03mmである。
【0012】
好ましくは、前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物は平織、綾織、繻子織又は絡み織組織である。
【0013】
前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物と前記ポリテトラフルオロエチレン微多孔膜を結合させるために、前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物と前記ポリテトラフルオロエチレン微多孔膜との間に発泡接着剤層が設けられる。
【0014】
好ましくは、前記発泡接着剤層の配合(重量%基準)は、水溶性ポリアクリル酸エマルジョン40~50%、二酸化チタン8~10%、カオリン7~10%、PF増粘剤1~2%、架橋剤1~2%、表面親和剤3~5%、A651-20熱硬化性接着剤1~3%、アンモニア水1~2%で、残りは水である。
【0015】
ポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料の防護性能を高めるために、前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物と前記ポリテトラフルオロエチレン微多孔膜との間にメルトブローン不織布が設けられ、前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物、メルトブローン不織布、発泡接着剤層、ポリテトラフルオロエチレン微多孔膜はこの順に積層される。
【0016】
好ましくは、前記メルトブローン不織布はポリエステルメルトブローン不織布又はポリプロピレンメルトブローン不織布であり、重量が10~45g/mである。
【0017】
本発明において、さらに、ポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料の製造方法が提供される。前記ポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料は上記のポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料であり、前記製造方法は、
原色のポリテトラフルオロエチレン長繊維又は短繊維、彩色のポリテトラフルオロエチレン長繊維又は短繊維、導電性繊維を素材として布地を製織するステップS1と、
前記布地を整理してポリテトラフルオロエチレン繊維織物を得るステップS2と、
フォームコーティングラミネートの方式でポリテトラフルオロエチレン微多孔膜を前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物に結合させるステップS3とを含む。
【0018】
S2において、前記整理は水洗、幅出しを含む。
【0019】
S3において、前記フォームコーティングラミネートの方式のパラメータは、泡発生器の泡濃度が40~55g/lであり、泡直径が0.5~4mmであり、泡発生比が1:2.5~1:3.5であり、コーティング機の処理速度が10~20m/minであり、ロール圧が6~10kg/cmであり、仮乾燥温度が60~85℃であり、本乾燥温度が100~130℃である。
【0020】
本発明において、さらに、ポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料の製造方法が提供される。前記ポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料は上記のポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料であり、前記製造方法は、
原色のポリテトラフルオロエチレン長繊維又は短繊維、彩色のポリテトラフルオロエチレン長繊維又は短繊維、導電性繊維等を素材として布地を製織するステップS10と、
前記布地を整理してポリテトラフルオロエチレン繊維織物を得るステップS20と、
前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物の片面又は両面にメルトブローン不織布が結合された後、フォームコーティングラミネートの方式でポリテトラフルオロエチレン微多孔膜を前記メルトブローン不織布に結合させるステップS30とを含み、
S20において、前記整理は水洗、幅出しを含み、S30において、前記フォームコーティングラミネートの方式のパラメータは、泡発生器の泡濃度が40~55g/lであり、泡直径が0.5~4mmであり、泡発生比が1:2.5~1:3.5であり、コーティング機の処理速度が10~20m/minであり、ロール圧が6~10kg/cmであり、仮乾燥温度が60~85℃であり、本乾燥温度が100~130℃である。
【0021】
本発明において、さらに、医療用防護服が提供される。前記医療用防護服の生地はポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料であり、前記ポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料は上記のポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料である。
【0022】
好ましくは、前記医療用防護服の副材料はミシン糸、線ファスナー、ゴムバンド、防水性圧着テープを含む。ここで、前記ミシン糸は1本当たりの繊度が1200~2400dtexのポリテトラフルオロエチレンミシン糸であり、前記線ファスナーの材質はフッ素樹脂であり、前記ゴムバンドの材質はポリウレタンであり、前記防水性圧着テープはフッ素樹脂製の透明圧着テープである。
【発明の効果】
【0023】
上記の内容から分かるように、本発明はポリテトラフルオロエチレン繊維織物を含み、かつ、ポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料を使用し、ポリテトラフルオロエチレン繊維織物に彩色の標識テープと導電性繊維を設けることによって、医療用防護服に高い強度が付与され、繰り返し利用できるとともに、経時的に変化しない導電性と認識されやすいという特性が得られ、ポリテトラフルオロエチレン微多孔膜とメルトブローン不織布が設けられるためより効果的に、かつ安全に防護効果が果たされ、ウイルスや呼吸器感染等により医療従事者に交差感染が生じることが避けられる。
【0024】
次に、図面といくつかの実施例を用いて、本発明の技術的解決手段を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、ポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料の構造概略図である。
図2図2は、ポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料の別の構造概略図である。
図3図3は、ポリテトラフルオロエチレン繊維織物の組織構造の概略図である。
図4図4は、ポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料の変形例の構造概略図である。
図5図5は、ポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料の別の変形例的の構造概略図である。
図6図6は、帽子パーツの構造概略図である。
図7図7は、上衣パーツの構造概略図である。
図8図8は、下衣パーツの構造概略図である。
図9図9は、医療用防護服の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1はポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料の構造概略図、図2はポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料の別の構造概略図、図3はポリテトラフルオロエチレン繊維織物の組織構造の概略図である。図1から図3に示すように、本発明において、ポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料が提供される。前記ポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料は、ポリテトラフルオロエチレン繊維織物1と、前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物の片面又は両面を覆うポリテトラフルオロエチレン微多孔膜3とを含む。具体的には、前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物1の片面(外面もしくは裏面)又は両面(外裏両面)にポリテトラフルオロエチレン微多孔膜3が結合される。前記ポリテトラフルオロエチレン微多孔膜は複数の細孔を有し、好ましくは、当該ポリテトラフルオロエチレン微多孔膜3は一方向浸透特性であるように構成される。前記結合は、ホットプレス又はラミネート等の様々なプロセスを用いてコーティング結合機において行われてもよい。
【0027】
ポリテトラフルオロエチレンの化学構造では、炭素原子に接続された2つのフッ素原子が完全に対称であり、炭素原子とフッ素原子は共有結合によって接続され、分子が中性であり、非極性ポリマーである。ポリテトラフルオロエチレンは、電気絶縁性に優れており、強酸・強塩基、強酸化剤に強く、防湿、防カビ、抗菌であるだけでなく、耐候性に優れる、強さが高い、難燃等の特性を有する。
【0028】
従来技術では、ポリテトラフルオロエチレンは一般に産業的に濾過のために用いられ、例えば、ポリテトラフルオロエチレン長繊維を使用して、鉄鋼、セメント、ゴミ焼却等の業界で発生する高温の排出ガスに対する濾過・除塵用の濾過材料の布地を製造する。濾過機能を得るために、繊度が大きいポリテトラフルオロエチレン長繊維を使用して、経緯密度が小さい布地を製造するのが一般的である(例えば、経緯方向繊度は555×555dtex、経方向・緯方向密度は275×220本/10cm、単位面積当たりの重さは280g/m)。当該布地は重いため、衣服の生地としては不適である。針刺等の方法を用いて不織布とポリテトラフルオロエチレン長繊維布地を複合させた製品は、粉塵等に対して効果的に濾過できるが、細菌又はウイルス等の微生物となると濾過効果は好ましくない。
【0029】
本発明において、布地の経緯密度、繊度等のパラメータを変えることによって、繊維の固有の特性を利用して、ポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料に独特の優れた性能を持たせる。ポリテトラフルオロエチレン繊維織物1とポリテトラフルオロエチレン微多孔膜3を結合させる方式を用いると、ポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料に高い強度とともに、優れた通気性と濾過性能が付与される。
【0030】
具体的には、前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物1は繊度111~389dtexの原色又は彩色(例えば、青色、緑色、赤色、オレンジ色等)のポリテトラフルオロエチレン長繊維を用いて製織され、又は繊度1.1~3.3dtex、長さ30~70mm
の原色又は彩色のポリテトラフルオロエチレン短繊維を用いて前記短繊維単独で製織され、又は前記原色又は彩色のポリテトラフルオロエチレン短繊維と耐高温繊維を用いて混紡して製織される。なお、番手が65~24dtexであることが好ましく、前記耐高温繊維とは、安全使用温度が250℃以上の繊維をいう。
【0031】
例示的に、前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物1としては、原色又は彩色のポリテトラフルオロエチレン長繊維を用いて布地を製織し、次に前記布地を整理(水洗、幅出し等を含むが、これらに限定されない)して得られるポリテトラフルオロエチレン繊維織物であってもよい。
【0032】
前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物は、機械織りの方式で製織されることが好ましく、平織、綾織、繻子織又は絡み織組織が利用可能である。前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物1の経方向密度は296~551本/10cmであり、緯方向密度は256~433本/10cmである。
【0033】
前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物により、ポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料に高い強度が付与され、これにより医療従事者が幾重もの防護服を着用しなくてもよい。
【0034】
ポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料に経時的に変化しない帯電防止性能を持たせるために、前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物を製織する際、経方向及び緯方向に、所定の間隔で導電性繊維を入れてもよく、即ち、前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物に導電性繊維5が設けられ、前記導電性繊維は金属糸、炭素繊維糸、グラファイト長繊維又は短繊維である。具体的には、前記導電性繊維は直径0.1~0.5mmの金属糸(例えば、ステンレス鋼糸)、繊度333~555dtexの炭素繊維糸、グラファイト長繊維又は短繊維等であり、又は繊度111~278dtex、帯電防止処理が行われた合成長繊維又は短繊維を用いる。例えば、前記導電性繊維5は、ポリテトラフルオロエチレン繊維織物1を製織する際、経方向及び緯方向に5~50mmの間隔で導電性繊維5を織り込む方式で設けられてもよい。
【0035】
勤務する医師と看護師を病棟別に認識しやすいように、前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物を製織する際、経方向及び/又は緯方向に、特定の位置に彩色の標識テープ4織り込み、前記彩色の標識テープ4は前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物と色が違う。彩色の標識テープ4は彩色のポリテトラフルオロエチレン長繊維又は短繊維で製織され、即ち、彩色の標識テープ4は彩色のポリテトラフルオロエチレン長繊維又は短繊維でポリテトラフルオロエチレン繊維織物1に製織されるものである。前記彩色の標識テープ4の幅は10~15mmであってもよい。好ましくは、前記彩色の標識テープ4は繊度111~389dtexの彩色のポリテトラフルオロエチレン長繊維を用いて製織され、又は繊度1.1~3.3dtex、長さ30~70mmの彩色のポリテトラフルオロエチレン短繊維を用いて前記短繊維単独で製織される。
【0036】
彩色の標識テープ4は経時的に変化しない認識標識であり、彩色のプラスチックテープを防護服の特定の位置に貼り付ける等の従来の認識方法と比べると、抜けにくく、汚染物が付着しにくい。特に、繰り返し利用後の消毒、燻蒸プロセスで、彩色の標識テープは抜けず、汚れが付着しない。重症病棟、ICU病室、感染病棟等の異なる病棟で勤務する医師が彩色の標識テープ4のある防護服を着用すると、テープの色によって区別・認識がすることができる。
【0037】
ポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料に優れた防護性能を確保するために、前記ポリテトラフルオロエチレン微多孔膜3の細孔の孔径は20~70nmであ
り、厚さは0.01~0.03mmである。
【0038】
本発明において、ポリテトラフルオロエチレン繊維織物1及びポリテトラフルオロエチレン微多孔膜3の表面が円滑であり、連結しにくいという特徴を考慮して、前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物1とポリテトラフルオロエチレン微多孔膜3との間に発泡接着剤層2が設けられる。
【0039】
前記発泡接着剤層2を製造する際は、以下のパラメータとすることが好ましい。泡発生器の泡濃度は40~55g/lであり、泡直径は0.5~4mmであり、泡発生比は1:2.5~1:3.5であり、コーティング機の処理速度は10~20m/minであり、ロール圧は6~10kg/cmであり、仮乾燥温度は60~85℃であり、本乾燥温度は100~130℃である。
【0040】
上記の発泡接着剤層の配合(重量%基準)は、水溶性ポリアクリル酸エマルジョン40~50%、二酸化チタン8~10%、カオリン7~10%、PF増粘剤(例えば、PF165A増粘剤)1~2%、架橋剤(例えば、架橋剤TAC)1~2%、表面親和剤(例えば、多目的用高速表面親和剤WIN-055)3~5%、A651-20熱硬化性接着剤1~3%、アンモニア水1~2%で、残りは水であることが好ましい。本発明において、特に説明しない限り、発泡接着剤層の配合に関する記載は、いずれも重量%が基準である。前記水溶性ポリアクリル酸エマルジョンは、分解可能で、水溶性のホルムアルデヒドフリーのポリアクリレートエマルジョンであることが好ましく、前記発泡接着剤層の配合にはホルムアルデヒド成分を含まないため、環境汚染を起こす恐れがない。
【0041】
発泡接着剤層をポリテトラフルオロエチレン繊維織物1にコーティングし、フォームコーティングラミネートの方式でポリテトラフルオロエチレン繊維織物1とポリテトラフルオロエチレン微多孔膜3を結合させ、発泡接着剤層は直径が異なるフォームの形態でポリテトラフルオロエチレン繊維織物に塗布され、圧力がかかると、フォームが破裂して、ポリテトラフルオロエチレン繊維織物の表面に非連続的な接着剤膜が形成され、これにより、ポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料に優れた通気性とウイルスに対する効果的な濾過性能が付与される。
【0042】
本発明において、さらに、上記のポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料の製造方法が開示される。当該方法は、
原色のポリテトラフルオロエチレン長繊維又は短繊維、彩色のポリテトラフルオロエチレン長繊維又は短繊維、導電性繊維を素材として布地を製織するステップS1と、
布地を整理(水洗、幅出し等)してポリテトラフルオロエチレン繊維織物を得るステップS2と、
フォームコーティングラミネートの方式でポリテトラフルオロエチレン微多孔膜を前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物に結合させるステップS3とを含む。
【0043】
上記のS1で整経する時、経軸に5~50mmの間隔で各1本の導電性繊維5(例えば、金属糸)を織り込み、中間部又は特定の位置に10~15mmの幅で彩色のポリテトラフルオロエチレン長繊維又は短繊維を並べる。整経速度は160~180m/minであり、織物には平織、綾織、繻子織又は絡み織組織が利用され、織機の処理速度は350rpmである。
【0044】
上記のS2の整理では、水洗幅出し機を用い、処理速度は55~60m/minであり、幅出し温度は約110℃である。布地の整理は水洗、幅出し等を含むが、これらに限定されるものではなく、このような整理により布地の表面が清潔でかつ平坦となり、布幅が安定している。整理が行われたポリテトラフルオロエチレン繊維織物の片面(例えば、外
面)又は外裏両面に、接着剤でポリテトラフルオロエチレン微多孔膜3を結合させる。
【0045】
なお、製造プロセスの簡素化とコストダウンの観点から、特に高強度が求められないポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料を製造する場合は、前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物1とポリテトラフルオロエチレン微多孔膜3はホットプレスの方式で結合されてもよい。当業者は実際の状況に応じてホットプレスプロセスのパラメータを決定することができる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン繊維織物1とポリテトラフルオロエチレン微多孔膜3を結合機に積層させて、230~250℃で結合させてもよい。
【0046】
図4はポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料の変形例の構造概略図、図5はポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料の別の変形例の構造概略図である。図4及び図5に示すように、ポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料の防護性能を高め、ポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料の濾過効果と濾過効率を上げるために、前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物1と前記ポリテトラフルオロエチレン微多孔膜3との間にメルトブローン不織布9が設けられてもよい。
【0047】
前記メルトブローン不織布9は、ポリエステルメルトブローン不織布又はポリプロピレンメルトブローン不織布であることが好ましく、重量は10~45g/mである。
【0048】
前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物1とポリテトラフルオロエチレン微多孔膜3との間に発泡接着剤層2が設けられる場合は、前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物1、メルトブローン不織布9、発泡接着剤層2、ポリテトラフルオロエチレン微多孔膜3はこの順に積層される。
【0049】
本発明において、さらに、上記のポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料の変形例の製造方法が提供される。
【0050】
S10において、原色のポリテトラフルオロエチレン長繊維又は短繊維、彩色のポリテトラフルオロエチレン長繊維又は短繊維、導電性繊維等を素材として布地を製織し、例えば、中国紡機集団鄭州紡織機械有限公司によって製造されるレピア織機において、布地の製織を行う。
【0051】
S20において、前記布地を整理してポリテトラフルオロエチレン繊維織物を得る。前記整理は、水洗、幅出しを含んでもよい。例えば、無錫海大紡織機械有限公司によって製造される水洗幅出し機において、水洗、幅出し整理を行い、処理速度は55~60m/minであり、幅出し温度は110℃である。
【0052】
S30において、前記ポリテトラフルオロエチレン繊維織物の片面又は両面にメルトブローン不織布が結合された後、フォームコーティングラミネートの方式でポリテトラフルオロエチレン微多孔膜を前記メルトブローン不織布に結合させる。
【0053】
ここで、泡発生器の泡濃度は40~55g/lであり、泡直径は0.5~4mmであり、泡発生比は1:2.5~1:3.5であり、コーティング機の処理速度は10~20m/minであり、ロール圧は6~10kg/cmであり、仮乾燥温度は60~85℃でり、本乾燥温度は100~130℃である。
【0054】
発泡接着剤層の配合は、水溶性ポリアクリル酸エマルジョン40~50%、二酸化チタン8~10%、カオリン7~10%、PF増粘剤(例えば、PF165A増粘剤)1~2
%、架橋剤(例えば、架橋剤TAC)1~2%、表面親和剤(例えば、多目的用高速表面親和剤WIN-055)3~5%、A651-20熱硬化性接着剤1~3%、アンモニア水1~2%で、残りは水である。
【0055】
本発明で製造されるポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料は、使い捨て防護服用基準を5倍以上上回るほど高い性能特徴を有し、織物の経方向強さは500Nを超え、緯方向強さは400Nを超えており、これは使い捨て防護服用基準の8倍以上である。破裂強さは400N以上であり、(医療用の場合は破裂強さが基準である)これは基準の3倍であるといった物性を有し、消毒と滅菌を行って繰り返し利用できるため、材料が節約され、コストが削減されるといった経済的効果がある。
【0056】
本発明において、さらに、医療用防護服が提供される。前記医療用防護服は帽子、上衣、下衣を含み、前記帽子、上衣、下衣はワンピース式の構造であってもよいし、セパレート式の構造であってもよい。前記医療用防護服はマスク等の防護用具を含んでもよい。前記医療用防護服の生地は、上記のポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料である。
【0057】
医療用防護服の設計、例えば、彩色の標識テープを含む防護服織物の製織のための彩色の標識テープの位置設計、基礎布幅、長さ設計等にはコンピュータ支援設計(CAD)が利用可能である。図6は帽子パーツの構造概略図、図7は上衣パーツの構造概略図、図8は下衣パーツの構造概略図、図9は医療用防護服の構造概略図である。前記医療用防護服は複数のパーツからなり、前記パーツは帽子パーツ6、上衣パーツ7、下衣パーツ8等を含む。前記パーツの生地にポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料が利用され、しかも標識のために、当業者は所望により前記パーツの特定の位置に彩色の標識テープ4を設けてもよい。
【0058】
例示的に、前記医療用防護服には、図6から図8に示す帽子パーツ6、2枚の上衣パーツ7、2枚の下衣パーツ8が使用され、業界で通用するS、M、L、XL、XXLの5種のサイズでレイアウトと設計を行う。裁断を行う時は、ポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料の裁断に適する強度の高い剪刀を用いる。
【0059】
次に、本発明に係る医療用防護服の副材料を説明する。前記副材料はミシン糸、線ファスナー11、ゴムバンド、防水性圧着テープ等を含む。
【0060】
前記ミシン糸には、1本当たりの繊度が1200~2400dtexのポリテトラフルオロエチレンミシン糸、例えば、江蘇華躍紡織新材料科技股フン有限公司によって製造されるミシン糸が利用される。
【0061】
前記線ファスナー11には、フッ素樹脂材質の耐高温防水線ファスナーが利用される。例えば、医師、看護師等の医療従事者が防護服を着用しやすいように、上衣の胸元にあたる位置に設けられてもよい。線ファスナーには、上海吉田拉鏈有限公司によって製造される線ファスナーが利用されてもよい。
【0062】
前記ゴムバンドには、ポリウレタン材質の耐高温防水ゴムバンドが利用される。前記ゴムバンドは、医療用防護服のシール性を高めるために、例えば、医療用防護服の袖口、裾、ウェイスト等の部位に設けられてもよい。ゴムバンドは、浙江永嘉県成発服輔有限公司によって製造される。
【0063】
感染性が強いウイルス又は細菌に対して、医療用防護服の生地により高い防護性能が果たされるが、医療用防護服の袖口、裾等の部位のシール性が不十分である場合は、医師、
看護師等の医療従事者が感染される可能性がある。袖口、裾のゴムバンドが効かはい場合に医師、看護師等の医療従事者が感染されるような状況に備え、本発明において、前記医療用防護服の肘部及び膝部にも前記ゴムバンドが設けられる。
【0064】
なお、本発明は上記のゴムバンドの設置形態に限定されるものではなく、シール効果が得られれば特に制限はない。例えば、前記ゴムバンドが肘部に設けられる場合は、ゴムバンドが2本設けられ、医師、看護師等の医療従事者がこれを用いて自分で締め付けてもよいし、又は孔を開けたゴムバンドを1本、医療用防護服に縫製されたボタンと組み合わせるように使用してもよいし、又はリング状のゴムバンドを使用してもよい。
【0065】
医師、看護師等の医療従事者が感染リスクの高い細菌又はウイルスが存在する場所に入る時は、前記医療用防護服の肘部及び膝部に設けられた前記ゴムバンドを締め付ければ、自身の安全のために一層の保証が得られる。
【0066】
前記防水性圧着テープには、耐高温フッ素樹脂材質の防水性圧着テープ、例えば、フッ素樹脂製の透明圧着テープが利用される。細菌又はウイルスが縫い目から医療用防護服に入るのを防ぐために、前記パーツのエッジはオーバーロックミシンを用いてかがり縫いが施され、医療用防護服のミシン糸にはフッ素樹脂製の透明圧着テープが設けられる。前記フッ素樹脂製の透明圧着テープはホットプレスの方式で前記ミシン糸に圧着され、テープ圧着は圧着機において行われてもよく、前記フッ素樹脂製の透明圧着テープの幅は約1cmである。
【0067】
従来、医療用防護服は、細菌やウイルスが入るのを防ぐために、一般にはポケットが設けられない。それは、ポケットを加工する時に使用されるミシン糸の位置の縫い目から細菌やウイルスが入る可能性が上がり、医療用防護服の局所の強度が低下するからである。本発明では、ミシン糸にフッ素樹脂製の透明圧着テープが設けられ、防護効果と強度がいずれもより優れているポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料を生地に用いることによって、上記の問題は避けられる。これにより、本発明において、前記医療用防護服には少なくとも1つのポケットが設けられ、前記ポケットの生地はポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料である。好ましくは、前記ポケットの開口部に線ファスナーが設けられる。
【0068】
本発明に係る医療用防護服の製造方法は以下のとおりである。
上記のポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料及び副材料が選択された後、所望により医療用防護服を設計し、次に裁断、縫製を行って、縫製が完了した又は繰り返し利用する医療用防護服に対して消毒・滅菌処理を行う(例えば、中国食品薬品監督管理局が制定する基準に基づいて、照射方式(コバルト60又は電子加速器)で消毒・滅菌処理を行い、合格であれば使用する)。
【0069】
本分野の関連技術規格に基づいて、適切な測定方法及び装置を用いて医療用防護服をテストした結果、以下に記載の特性パラメータが得られる。
生地の厚さは約0.1cmであり、単位面積当たりの重さは100~200g/mであり、ガス透過量は2500g/md以上であり、破断強度は緯方向が400N以上、経方向が400N以上であり、破断伸びは4~8%であり、耐摩耗性は4000回以上であり、耐突刺回数は500回以上であり、表面耐湿性は3級以上であり、水不浸透性は20KPa以上であり、液体浸透性は3級以上であり、撥液性は3級以上であり、ウイルス不浸透性は20KPa以上であり、合成血液浸透性(2~5級)は20KPa以上であり、乾湿菌不浸透性は3級以上であり、細菌エアロゾル濾過性能は99.99%以上であり、ダニ密度は7uc/m以下であり、難燃性は70を上回り、気密性許容圧力降下は20%を下回り、静電気減衰性能は0.5~0.01であり、帯電電荷量は0.6~0.1
であり、濾過効率は99.9%以上であり、透湿性は3000g/cm・d以上であり、耐温範囲は-100~248℃であり、難燃損傷長は10mm以下であり、30回以上繰り返し利用は可能である。
【0070】
本発明の医療用防護服の最も明らかな利点は、1重着用するだけで防護効果が得られ、着用後は蒸し暑く感じられず、消毒・滅菌を行えば30回以上繰り返し利用は可能であるということである。
【0071】
本発明の医療用防護服は、以下のように構成されることにより、繰り返し利用可能という上記の明らかな利点が得られる。使用されるポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料は、経方向及び緯方向の強さがいずれも400Nを超えており、これは使い捨て防護服用基準(50N)の8倍である。フッ素樹脂線ファスナー、ポリテトラフルオロエチレンミシン糸及びフッ素樹脂製の透明圧着テープを使用しており、材料の固有の特性により強さが高い、耐高温、防水等の機能性が得られる。そのため、医療用防護服は使用後に、照射方式で消毒・滅菌すれば繰り返し利用できる。
【実施例
【0072】
次に、いくつかの実施例を挙げて、本発明に係る医療用防護服、ポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料及びその製造方法を説明する。後述する実施例に使用される材料、試薬等は、特に説明しない限り、いずれも市販される製品であり、又は関連の技術文献を参照して製造できる。例えば、水溶性ポリアクリル酸エマルジョンは山東聖泉新材料股フン有限公司によって製造されるもので、二酸化チタンは河北利華生物科技有限公司によって製造されるもので、カオリンは沙河市順達造紙瓷土厂によって製造されるものであり、PF165A増粘剤は仏SNF社製の高性能コーティング用増粘剤であり、架橋剤TACには上海方鋭達化学品有限公司によって製造される99%シアヌル酸トリアリルが利用され、多目的用高速表面親和剤WIN-055は蘇州維寧斯化工有限公司によって製造されるもので、A651-20熱硬化性接着剤は複禾新材料科技(上海)有限公司によって製造されるものである。
【0073】
(実施例1)
本実施例において、ポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料が提供される。図1及び図3に示すように、ポリテトラフルオロエチレン繊維織物1を含み、ポリテトラフルオロエチレン繊維織物1の外裏両面にポリテトラフルオロエチレン微多孔膜3が結合され、ポリテトラフルオロエチレン繊維織物1の中間部又は特定の位置に彩色の標識テープ4が織り込まれ、彩色の標識テープ4は彩色のポリテトラフルオロエチレン長繊維を用いてポリテトラフルオロエチレン繊維織物1に製織されるものである。ポリテトラフルオロエチレン繊維織物1とポリテトラフルオロエチレン微多孔膜3との間に発泡接着剤層2が設けられる。
【0074】
具体的には、江蘇華躍紡織新材料科技股フン有限公司によって製造される原色の111dtexポリテトラフルオロエチレン長繊維(フィルムスプリット法)と青色のポリテトラフルオロエチレン長繊維(フィルムスプリット法)、台湾南緯公司によって製造される0.1mmステンレス鋼糸を素材として用い、中国紡機集団鄭州紡織機械有限公司によって製造されるレピア織機において、ポリテトラフルオロエチレン繊維織物を製織する。ここで、整経する時は、経軸幅が77cmの位置に10mmの幅で青色のポリテトラフルオロエチレン長繊維を並べ、経軸に5mmの間隔で各1本のステンレス鋼糸を織り込み、整経速度は160m/minである。ポリテトラフルオロエチレン繊維織物に平織組織が利用され、経緯密度は296×256本/10cmであり、布幅は150cmであり、織機の処理速度は350rpmであり、製織時に加湿器が設置される。
【0075】
無錫海大紡織機械有限公司によって製造される水洗幅出し機において、水洗幅出し整理を行い、処理速度は60m/minであり、幅出し温度は110℃である。
【0076】
フォームコーティングラミネートの方式でポリテトラフルオロエチレン微多孔膜を整理されたポリテトラフルオロエチレン繊維織物の外裏両面に結合させる。使用されるポリテトラフルオロエチレン微多孔膜は細孔の孔径が20nmであり、厚さは0.01mmである。
【0077】
ここで、泡発生器の泡濃度は40g/lであり、泡直径は0.5mmであり、泡発生比は1:2.5であり、コーティング機の処理速度は10m/minであり、ロール圧は6kg/cmであり、仮乾燥温度は60℃であり、本乾燥温度は100℃である。
【0078】
発泡接着剤層の配合は、水溶性ポリアクリル酸エマルジョン40%、二酸化チタン8%、カオリン7%、PF165A増粘剤1%、架橋剤TAC 1%、多目的用高速表面親和剤WIN-055 3%、A651-20熱硬化性接着剤1%、アンモニア水1%で、残りは水である。
【0079】
テストした結果、上記の方法で製造されたポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料は、織物の厚さが0.11cmであり、経方向強さ(経方向の破断強度)は850Nであり、緯方向強さ(緯方向の破断強度)は650Nであり、経方向伸び率は5.4%であり、緯方向伸び率は3.7%であり、ガス透過量は3000g/m・dであり、耐水圧は240kPaであり、透湿性は4000g/m・24hであり、微生物不浸透性(湿)は3.8(IB)であり、水不浸透性は27(cmHO)である。
【0080】
(実施例2)
本実施例において、ポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料が提供される。図2及び図3に示すように、ポリテトラフルオロエチレン繊維織物1を含み、ポリテトラフルオロエチレン繊維織物1の外面にポリテトラフルオロエチレン微多孔膜3が結合され、ポリテトラフルオロエチレン繊維織物1の中間部又は特定の位置に彩色の標識テープ4が織り込まれ、彩色の標識テープ4は彩色のポリテトラフルオロエチレン長繊維を用いてポリテトラフルオロエチレン繊維織物1に製織されるものである。ポリテトラフルオロエチレン繊維織物1とポリテトラフルオロエチレン微多孔膜3との間に発泡接着剤層2が設けられる。
【0081】
具体的には、江蘇華躍紡織新材料科技股フン有限公司によって製造される原色の389dtexポリテトラフルオロエチレン長繊維(フィルムスプリット法)とオレンジ色のポリテトラフルオロエチレン長繊維(フィルムスプリット法)、台湾南緯公司によって製造される0.5mmステンレス鋼糸を素材として用い、中国紡機集団鄭州紡織機械有限公司によって製造されるレピア織機において、ポリテトラフルオロエチレン繊維織物を製織する。ここで、整経する時は、経軸幅が77cmの位置に15mmの幅でオレンジ色のポリテトラフルオロエチレン長繊維を並べ、経軸に50mmの間隔で各1本のステンレス鋼糸を織り込み、整経速度は180m/minである。ポリテトラフルオロエチレン繊維織物に綾織組織が利用され、経緯密度は551×433本/10cmであり、布幅は180cmであり、織機の処理速度は350rpmであり、製織時に加湿器が設置される。
【0082】
無錫海大紡織機械有限公司によって製造される水洗幅出し機において、水洗幅出し整理を行い、処理速度は55m/minであり、幅出し温度は110℃である。
【0083】
フォームコーティングラミネートの方式で、ポリテトラフルオロエチレン微多孔膜を整理されたポリテトラフルオロエチレン繊維織物の外面に結合させる。使用されるポリテト
ラフルオロエチレン微多孔膜は細孔の孔径が70nmであり、厚さは0.03mmである。
【0084】
ここで、泡発生器の泡濃度は55g/lであり、泡直径は4mmであり、泡発生比は1:3.5であり、コーティング機の処理速度は20m/minであり、ロール圧は10kg/cmであり、仮乾燥温度は85℃であり、本乾燥温度は130℃である。
【0085】
発泡接着剤層の配合は、水溶性ポリアクリル酸エマルジョン50%、二酸化チタン10%、カオリン10%、PF165A増粘剤2%、架橋剤TAC 2%、多目的用高速表面親和剤WIN-055 5%、A651-20熱硬化性接着剤3%、アンモニア水2%で、残りは水である。
【0086】
テストした結果、上記の方法で製造されたポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料は、織物の厚さが0.12cmであり、経方向強さは860Nであり、緯方向強さは700Nであり、経方向伸び率は5.8%であり、緯方向伸び率は5.3%であり、ガス透過量は2800g/m・dであり、耐水圧は240kPaであり、透湿性は3800g/m・24hであり、微生物不浸透性(湿)は3.8(IB)であり、水不浸透性は29(cmHO)である。
【0087】
(実施例3)
本実施例において、ポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料の変形例が提供される。図4に示すように、ポリテトラフルオロエチレン繊維織物1の外裏両面にポリプロピレンメルトブローン不織布が結合された後、さらにポリテトラフルオロエチレン微多孔膜3が再結される。なお、本発明はこれに限定されるものではなく、図5に示すように、ポリテトラフルオロエチレン繊維織物1の外面だけにポリプロピレンメルトブローン不織布が結合された後、さらにポリテトラフルオロエチレン微多孔膜3が結合されるものであってもよい。
【0088】
具体的には、江蘇華躍紡織新材料科技股フン有限公司によって製造される原色の111~389dtexポリテトラフルオロエチレン長繊維と赤色のポリテトラフルオロエチレン長繊維、台湾南緯公司によって製造される0.1~0.5mmステンレス鋼糸を素材として用い、中国紡機集団鄭州紡織機械有限公司によって製造されるレピア織機において、ポリテトラフルオロエチレン繊維織物を製織する。ここで、整経する時は、経軸幅が77cmの位置に10~15mmの幅で赤色のポリテトラフルオロエチレン長繊維を並べ、経軸に5~50mmの間隔で各1本のステンレス鋼糸を織り込み、整経速度は160~180m/minである。ポリテトラフルオロエチレン繊維織物に繻子織組織が利用され、経方向密度は296~551本/10cmであり、緯方向密度は256~433本/10cmであり、布幅は165cmであり、織機の処理速度は350rpmであり、製織時に加湿器が設置される。メルトブローン不織布の重量は10~45g/mであり、フォームコーティングラミネートの方式で行われる。前記ポリテトラフルオロエチレン微多孔膜は細孔の孔径が20~70nmであり、厚さは0.01~0.03mmである。本実施例に係るポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料の変形例の材料性能は、織物の厚さが0.13cmであり、経方向強さは760Nであり、緯方向強さは570Nであり、破裂強さは480Nであり、織物防水性能は4.5級であり、濾過効率は99.5%であり、血液不浸透である。
【0089】
(実施例4)
本実施例において、医療用防護服が提供される。江蘇華躍紡織新材料科技股フン有限公司によって製造される原色の350dtexポリテトラフルオロエチレン長繊維(フィルムスプリット法)とオレンジ色のポリテトラフルオロエチレン長繊維(フィルムスプリッ
ト法)、台湾南緯公司によって製造される0.2mmステンレス鋼糸を素材として用い、中国紡機集団鄭州紡織機械有限公司によって製造されるレピア織機において、ポリテトラフルオロエチレン繊維織物を製織する。ここで、整経する時は、緯方向10cm及び25cmに1cmの幅でオレンジ色のポリテトラフルオロエチレン長繊維を2本織り込む。経軸に、20mmの間隔で各1本のステンレス鋼糸を織り込み、整経速度は170m/minである。ポリテトラフルオロエチレン繊維織物に絡み織組織が利用され、経緯密度は350×350本/10cmであり、布幅は160cmであり、織機の処理速度は350rpmであり、製織時に加湿器が設置される。
【0090】
無錫海大紡織機械有限公司によって製造される水洗幅出し機において、水洗幅出し整理を行い、処理速度は60m/minであり、幅出し温度は110℃である。
【0091】
フォームコーティングラミネートの方式でポリテトラフルオロエチレン微多孔膜を整理されたポリテトラフルオロエチレン繊維織物の外裏両面に結合させる。使用されるポリテトラフルオロエチレン微多孔膜は細孔の孔径が45nmであり、厚さは0.02mmである。
【0092】
ここで、泡発生器の泡濃度は50g/lであり、泡直径は0.2mmであり、泡発生比は1:3であり、コーティング機の処理速度は15m/minであり、ロール圧は8kg/cmであり、仮乾燥温度は70℃であり、本乾燥温度は120℃である。
【0093】
発泡接着剤層の配合は、水溶性ポリアクリル酸エマルジョン45%、二酸化チタン9%、カオリン8%、PF165A増粘剤2%、架橋剤TAC 1%、多目的用高速表面親和剤WIN-055 4%、A651-20熱硬化性接着剤2%、アンモニア水1%で、残りは水である。
【0094】
Sサイズで帽子パーツ、上衣パーツ、下衣パーツを設計して裁断を行い、タジマ工業株式会社によって製造される高速ミシンを用いて縫製する。
【0095】
恒天重工集団によって製造される医療用防護服用圧着機を用いて、防護服の全ての縫い目にテープ圧着処理を行い、圧着テープはフッ素樹脂の材質であり、無錫瑜東紡織有限公司によって製造される。
【0096】
上記のように縫製された医療用防護服に対して、殺菌・消毒・抗ウイルス処理を行う。
【0097】
抗ウイルス処理プロセスは、中国食品薬品監督管理局が制定する基準に基づいて、照射方式(コバルト60又は電子加速器)で消毒・滅菌処理を行い、合格であれば使用する。
【0098】
上記のように製造された医療用防護服の物性及び不浸透性能は、織物の厚さが0.11mmであり、経方向及び緯方向の破断強度はそれぞれ610N、550Nであり、経方向及び緯方向の破断伸びはそれぞれ5.8%、4.5%であり、透湿性は5500g/m・dであり、縫い目の破断強度は450Nであり、破裂強さは420Nであり、静電気減衰性能は0.2Sであり、帯電電荷量は0.4ucであり、合成血液浸透性は3級であり、濾過効率は99.95%であり、耐温範囲は-100~248℃であり、難燃損傷長は7mmであり、30回以上繰り返しは可能である。
【0099】
上記の説明から分かるように、本発明に係るポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料及びその製造方法、医療用防護服によれば、医療用防護服の生地にポリテトラフルオロエチレン繊維織物を含み、かつ、ポリテトラフルオロエチレンを基材とする医療用防護材料が利用され、強度が高い、撥水、撥油、抗菌、防火難燃、耐摩耗、セルフ
クリーニング性、紫外線に影響されない、強酸・強塩基、強酸化剤に強いといった独特の化学特性を有する。また、導電性繊維が設けられるため、経時的に変化しない導電性が得られる。当該防護服は、医療器具業界基準YY/T0506.2-2016に規定される性能要件を満たし、優れた性能を有する。ポリテトラフルオロエチレン微多孔膜及びメルトブローン不織布が設けられるため、より効果的に、かつ安全に防護効果が果たされ、ウイルスや呼吸器感染等により医療従事者に交差感染が生じることが避けられる。ポリテトラフルオロエチレン繊維織物に彩色の標識テープが織り込まれるため、彩色の標識テープの織り込み工程が後続のプロセスに移るために生じた技術的課題が避けられ、繰り返し利用後の消毒、燻蒸プロセスで、彩色の標識テープは抜けず、汚れが付着しない。
図1
図2
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図9