IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イーセブン システムズ テクノロジー マネジメント リミテッドの特許一覧

特許7018225ばね接点要素を備えた電気エネルギーを貯蔵するセルのための装置
<>
  • 特許-ばね接点要素を備えた電気エネルギーを貯蔵するセルのための装置 図1
  • 特許-ばね接点要素を備えた電気エネルギーを貯蔵するセルのための装置 図2a
  • 特許-ばね接点要素を備えた電気エネルギーを貯蔵するセルのための装置 図2b
  • 特許-ばね接点要素を備えた電気エネルギーを貯蔵するセルのための装置 図2c
  • 特許-ばね接点要素を備えた電気エネルギーを貯蔵するセルのための装置 図3
  • 特許-ばね接点要素を備えた電気エネルギーを貯蔵するセルのための装置 図4
  • 特許-ばね接点要素を備えた電気エネルギーを貯蔵するセルのための装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-02
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】ばね接点要素を備えた電気エネルギーを貯蔵するセルのための装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/517 20210101AFI20220203BHJP
   H01M 50/213 20210101ALI20220203BHJP
   H01M 50/503 20210101ALI20220203BHJP
   H01M 50/505 20210101ALI20220203BHJP
   H01M 50/522 20210101ALI20220203BHJP
   H01M 50/526 20210101ALI20220203BHJP
【FI】
H01M50/517
H01M50/213
H01M50/503
H01M50/505
H01M50/522
H01M50/526
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020565844
(86)(22)【出願日】2019-05-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 EP2019063457
(87)【国際公開番号】W WO2019224351
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-01-15
(31)【優先権主張番号】18174442.6
(32)【優先日】2018-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518426468
【氏名又は名称】イーセブン システムズ テクノロジー マネジメント リミテッド
【氏名又は名称原語表記】E-Seven Systems Technology Management Ltd
【住所又は居所原語表記】171 Old Bakery Street,Valletta VLT 1455,Republic of Malta
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】トーマス クレーマー
【審査官】上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-022085(JP,A)
【文献】中国実用新案第206480686(CN,U)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0021265(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/517
H01M 50/213
H01M 50/503
H01M 50/505
H01M 50/522
H01M 50/526
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギーを貯蔵するセル(4)のための装置であって、
- 少なくとも二つのセル(4)を備え、
- 前記少なくとも二つのセル(4)はそれぞれ軸方向(6)、円周領域(8)および二つの端面(10、12)を有し、
- 前記端面(10、12)は、前記軸方向(6)に互いに対向して設けられ、少なくとも一つの極領域(14、18)が一方の端面(10、12)上に提供され、
- 少なくとも一つの接続プレート(20、24、48)を備え、
- 前記少なくとも二つのセル(4)は、前記少なくとも一つの接続プレート(20、24、48)に設けられ、
- 電気接点のために前記少なくとも一つの接続プレート(20、24、48)と前記少なくとも二つのセル(4)の前記極領域(14、18)との間に接点要素(22)が提供され、
- セル(4)と接触する前記接点要素(22)の少なくとも一つはばね接点要素として設計され、変形状態で前記少なくとも二つのセル(4)のそれぞれの極領域(14、18)に当接して前記少なくとも一つの接続プレート(20、24、48)と極領域(14、18)との間に前記電気接点を形成するためのばね力を提供し、
- 少なくとも一つの保定要素(34)が、前記少なくとも一つの接続プレート(20、24、48)に隣接して提供され、前記少なくとも一つの保定要素(34)は、前記少なくとも二つのセル(4)のうちの少なくとも一つを前記セル(4)の前記軸方向(6)に、形状嵌合によって配置する、
装置であって、
前記ばね接点要素のばね定数が予め決定され、少なくとも前記ばね定数は、
- 前記接続プレート(20)に対する弛緩状態の前記ばね接点要素の高さ(38)と、
- 前記接続プレート(20)に対する前記保定要素(34)の高さ(40)と、
に依存することを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記接続プレート(20、24、48)は、少なくとも一つの金属コア(28)と少なくとも一つの伝導層(30)とを含む積層複合材料として設計されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも一つの保定要素(34)は、前記円周領域(8)とそれぞれの端面(10、12)との間の移行部のエッジ領域(36)への接触を介して前記セル(4)を前記セル(4)の前記軸方向(6)に配置することを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも一つの保定要素(34)上に、摩擦接合ロックを介して前記セル(4)の少なくとも一つを保持する摩擦接合ロック手段が提供されることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記摩擦接合ロック手段は弾性材料を含むことを特徴とする、請求項に記載の装置。
【請求項6】
少なくとも二つの接続プレート(20、24、48)および少なくとも一つの圧力要素(50)が提供され、前記圧力要素(50)は、前記少なくとも二つの接続プレート(20、24、48)を予め決定された距離に保持することを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の装置。
【請求項7】
- 前記軸方向(6)に隣接して設けられたいくつかのセル(4)が提供され、
- 前記軸方向(6)に隣接して設けられた前記セル(4)はそれぞれ、予め決定された距離に保持された接続プレート(20、24、48)の間に設けられる、
ことを特徴とする、請求項に記載の装置。
【請求項8】
前記セル(4)を前記軸方向(6)に垂直に保持するために少なくとも一つの保持要素(42)が提供され、前記少なくとも一つの保持要素(42)は、特に前記少なくとも一つの保定要素(34)と一体に設計されることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記ばね接点要素は、銅合金で作られることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記ばね接点要素は、ベリリウム銅で作られることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記ばね接点要素は、それぞれの極領域(14、18)に当接して前記電気接点を形成する複数の接点エリア(44)を備えた成形ばねとして設計されることを特徴とする、請求項1~10の何れか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記接点要素(22)の少なくとも一つは、接点被覆を備えて形成されることを特徴とする、請求項1~11の何れか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記接点要素(22)の少なくとも一つは、貴金属に基づく接点被覆を備えて形成されることを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記接点要素(22)の少なくとも一つは、電気化学電圧列における接点被覆の標準電位の前記極領域(14、18)の材料の標準電位との差が1V未満である前記接点被覆を備えて形成されることを特徴とする、請求項1~13の何れか一項に記載の装置。
【請求項15】
置の製造方法であって、
- 少なくとも二つのセル(4)が少なくとも一つの接続プレート(20、24、48)上に設けられ、
- 前記少なくとも二つのセル(4)はそれぞれ軸方向(6)、円周領域(8)および二つの端面(10、12)を有し、
- 前記端面(10、12)は、前記軸方向(6)に互いに対向して設けられ、少なくとも一つの極領域(14、18)が一方の端面(10、12)上に提供され、
- 前記少なくとも一つの接続プレート(20、24、48)と前記少なくとも二つのセル(4)の前記極領域(14、18)との間の接点要素(22)を介して電気接点がもたらされ、
- 少なくとも一つのばね接点要素が接点要素(22)として使用され、前記少なくとも二つのセル(4)のそれぞれの極領域(14、18)に当接して前記少なくとも一つの接続プレート(20、24、48)と極領域との間に前記電気接点を形成するためのばね力が提供されるように変形状態にされ、少なくとも一つの保定要素(34)が、前記少なくとも一つの接続プレート(20、24、48)に隣接して提供され、前記少なくとも一つの保定要素(34)は、前記少なくとも二つのセル(4)のうちの少なくとも一つを前記セル(4)の前記軸方向(6)に、形状嵌合によって配置し、前記ばね接点要素のばね定数が予め決定され、少なくとも前記ばね定数は、
- 前記接続プレート(20)に対する弛緩状態の前記ばね接点要素の高さ(38)と、
- 前記接続プレート(20)に対する前記保定要素(34)の高さ(40)と、
に依存する、装置の製造方法。
【請求項16】
- 少なくとも二つのセル(4)を備え、
- 前記少なくとも二つのセル(4)はそれぞれ軸方向(6)、円周領域(8)および二つの端面(10、12)を有し、
- 前記端面(10、12)は前記軸方向(6)に互いに対向して設けられ、少なくとも一つの極領域(14、18)が一方の端面(10、12)上に提供され、
- 少なくとも一つの接続プレート(20、24、48)を備え、
- 前記少なくとも二つのセル(4)は、前記少なくとも一つの接続プレート(20、24、48)上に設けられ、
- 電気接点のために前記少なくとも一つの接続プレート(20、24、48)と前記少なくとも二つのセル(4)の前記極領域(14、18)との間に接点要素(22)が提供され、少なくとも一つの保定要素(34)が、前記少なくとも一つの接続プレート(20、24、48)に隣接して提供され、前記少なくとも一つの保定要素(34)は、前記少なくとも二つのセル(4)のうちの少なくとも一つを前記セル(4)の前記軸方向(6)に、形状嵌合によって配置し、前記ばね接点要素のばね定数が予め決定され、少なくとも前記ばね定数は、
- 前記接続プレート(20)に対する弛緩状態の前記ばね接点要素の高さ(38)と、
- 前記接続プレート(20)に対する前記保定要素(34)の高さ(40)と、
に依存する、装置におけるばね接点要素の使用方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気エネルギーを貯蔵するセルのための装置(独:Anordnung,英:arrangement)であって、少なくとも二つのセルを備え、少なくとも二つのセルはそれぞれ軸方向、円周領域、および二つの端面を有し、端面は軸方向に互いに対向して設けられ、少なくとも一つの極領域が一方の端面上に提供され、少なくとも一つの接続プレートを備え、少なくとも二つのセルは、少なくとも一つの接続プレートに設けられ、電気接点のために少なくとも一つの接続プレートと少なくとも二つのセルの極領域との間に接点要素が提供される、装置に関する。さらに、装置を製造する方法およびばね接点要素の使用が開示される。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギーを貯蔵するためのセルは、多数の技術分野で使用される。特に、現在急速に発展しているエレクトロモビリティおよびエネルギー産業の技術では、電気エネルギーの高い貯蔵容量および高電圧が必要とされる。これは通常、例えばバッテリパックとして、電気エネルギーを貯蔵するセルのための装置において個々の一次および/または二次セルを相互接続することによって達成される。
【0003】
これに関連して、装置はセル間の確実な電気接点および確実な電気接続部を保証しなければならない。同時に、例えば電動自動車の動作中に発生する、例えば振動、ショックおよび衝撃負荷に対するある程度の機械的安定性が必要とされる。さらなる要件は、例えば高電流の導入または抽出による加熱に対する、装置の動作中の十分な熱安定性である。
【0004】
形状を装置に適合させうるパウチセルまたはいわゆるコーヒーバッグセルおよび角柱セルに加えて、丸型セルもセル装置に興味深い。丸型セルは、様々な寸法で大量に入手可能であり、経済的かつ費用効率的に生産されうる。しかしながら、装置内の丸型セルの組み込みおよび接触は、セルの所与のほぼ円筒の基本形のために困難でありうる。
【0005】
特許文献1は、複数の個々のバッテリセルを含むバッテリ貯蔵モジュールを説明する。個々のバッテリセルとは反対に面する平行プレートの側に、個々のバッテリセルごとに一つの接点ばねが設けられ、接点ばねは、それぞれ取り外し不能かつ電気伝導性の様式で平行プレートに接続される。
【0006】
しかしながら、セルを接触させるための溶接プロセスが装置の生産を複雑にし、接点要素およびセルに熱応力をかけうる。したがって、従来技術において装置内でセルを接触させるためのさらなる可能性が検討されている。
【0007】
例えば、特許文献2は、電気エネルギー貯蔵セルを接触させるためのデバイスを開示し、電気エネルギー貯蔵セルは、電気および熱伝導性接点要素を介してそれらの極でプリント回路ボードにそれぞれ接続される。例えば、ペースト状の硬化塊で作られた平坦接点要素が、エネルギー貯蔵セルとプリント回路ボードとの間の空間に導入される。
【0008】
特許文献3では、押圧セル装置を用いたバッテリが開示され、バッテリスタート部分およびバッテリエンド部分の圧力プレートが、張力要素を介して互いに接続され、それによりバッテリセルが接続プレートに押し付けられる。接続プレートを備えた装置のさらなる構造体が、特許文献4に記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】欧州特許第3 096 372(A1)号
【文献】独国特許第10 2012 213 273(A1)号
【文献】独国特許第10 2016 120 841(A1)号
【文献】独国特許第10 2016 120 835(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、プレートの間でセルを押圧することによってセルを押圧する際には、特に軸方向に隣接するいくつかのセルを備えた装置では、個々のセルの極領域の機械的過負荷が検出されていることが問題である。この場合、個々のセルの極領域、例えば正極上に設けられたカバーが、張力要素を介した押圧によって変形され、セルの故障につながりかねなかった。このような極領域の機械的過負荷は散発的に一部のセルのみで発生したため、対応する装置の生産におけるプロセス信頼性は改良に値する。
【0011】
この従来技術に鑑みて、本発明は、セルの単純かつ確実な接触を可能にし、特に従来技術から生じる欠点を軽減する、電気エネルギーを貯蔵するセルのための装置を提供する課題に基づく。課題の解決のために、装置を製造する方法およびばね接点要素の使用も提供される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は、上記の装置に関する本発明の第一の教示により、セルと接触する接点要素の少なくとも一つがばね接点要素として設計され、変形状態で少なくとも二つのセルのそれぞれの極領域に当接(独:Anlage,英:bearing)して少なくとも一つの接続プレートと極領域との間に電気接点を形成するためのばね力を提供する点で解決される。
【0013】
本発明の範囲内において、セルと例えば押圧によって接触する少なくとも一つの接続プレートを備えた装置では、個々のセルの過負荷が、これらの個々のセルの寸法ずれによって少なくとも部分的に引き起こされることが認識された。大きな工業規模で製造されるセルは、かなりの長さずれまたは公差が例えば軸方向に見られうる。例えば、軸方向に垂直に隣接するセルが提供される場合、これらの隣接するセルは、軸方向に接続プレート間に利用可能なほぼ同じ設置空間を有する。したがって、寸法ずれにより軸方向の長さがより長いセルの場合、そのために従来技術ではこれらのより長いセルの極領域に高い圧力が発生し、機械的過負荷につながりうる。この場合、通常セル内の電極エリアに隣接し、したがって機械的応力に敏感である極領域に高い圧力がかかる。
【0014】
セルごとの接点要素の少なくとも一つがばね接点要素として設計されることにより、セルを接触させる際にそれぞれのばね接点要素がセルの長手方向伸張に応じて軸方向に弾発的に変形しうることが達成される。同時に、変形状態のばね接点要素は、セルの関連する極領域に当接して接続プレートと極領域との間に電気接点を確立するためのばね力を提供し、これにより、ばね接点要素と極領域との分離不能な接続部、例えばはんだ付けまたは溶接接続部が省かれうる。したがって、セルは、装置内に取り外し可能に提供されうる。
【0015】
特に、ばね力は、一方では接続プレートと極領域との間の確実な当接、したがって確実な電気接点が達成され、これがショック、振動および衝撃負荷などの機械的負荷の下でも基本的に維持されるような大きさとされる。ここで、機械的負荷は、装置の使用目的によって予め決定されうる。他方で、ばね力は、セルの極領域の機械的過負荷を示す最大力に制限されうる。
【0016】
これに関連して、ばね力を介した当接は、ばね接点要素が、それぞれのセルの配設および極領域の結果的位置によって弛緩状態からばね負荷状態にされ、それによってばね接点要素がばね力によって極領域に少なくとも部分的に押し付けられることを意味するものと理解される。ここで、当接は、特にばね力により生じる解放可能な当接として理解される。電気接点は、特に物質結合または形状嵌合接触が存在しない摩擦接合ロック(独:Kraftschluss,英:force-locking)によってもたらされるのが好ましい。これに関連して、摩擦接合ロックは、特に、ばね力により極領域に押し付けることによって(のみ)接触が行われることを意味するものと理解される。しかしながら、セルは、必ずしもばね接点要素による摩擦接合ロックによって軸方向に垂直に固定される必要はない。
【0017】
接点要素および/またはばね接点要素は、セルと接続プレートとの間の熱伝達を保証するように特に設計される。
【0018】
好ましい実施形態では、各セルの両方の極領域が少なくとも一つのばね接点要素と電気的に接触し得、それに応じて各セルに少なくとも二つのばね接点要素が提供される。このようにして、セルは、両側(例えば両端面)でばね接点要素のばね力によって接触され、装置の寸法ずれの公差がさらに増加する。
【0019】
代替的実施形態では、各セルに一つだけばね接点要素が提供され、これが例えば、例えば正極または負極のための極領域の一つへの電気接点を提供する。それぞれの他方の極領域は、例えば当接によって別の接続プレートに直接接触しうる。同様に、それぞれの他方の極領域のさらなる接続プレートへの接触は、さらなる接続プレートと他方の極領域との間に設けられる剛性に(すなわち有意なばね特性なしで)形成された接点要素を介してもたらされうる。
【0020】
ばね接点要素は弾発性を有する。ばね接点要素は、線形弾性挙動または非線形弾性挙動を示すことが可能である。線形弾性挙動は、特に、ばね接点要素が少なくともある変形範囲で線形弾性挙動を示し、ばね接点要素にばね定数が割り当てられうることを意味するものと理解される。ここで、線形弾性挙動の範囲は、特に、セルの寸法ずれを考慮してばね接点要素が装置内で変形される範囲である。非線形弾性挙動は、例えば、ばね力がたわみに比例するより大きく増加する(累進的ばね挙動)かまたは比例するより少なく増加する(逆進的ばね挙動)という点で与えられうる。累進的ばね挙動は、電気接点を改善しうる。逆進的ばね挙動は、極領域の過負荷を回避するために有利でありうる。
【0021】
少なくとも二つのセルは、軸方向が円筒の軸に対応し、円周領域が側面に対応する丸型セルまたはほぼ円筒型のセルとして設計されるのが好ましい。しかしながら、他のタイプのセル、特に角柱セルまたは円形から逸脱した丸型断面の、例えば楕円形断面のセルが考えられる。好ましくは、ハードケースセル、特にセル内の電極または電解質の収容、シージングまたはカプセル化を用いたセルが意図される。
【0022】
使用されるセルは、予め決定された寸法ずれを有しうる。例えば、セルの呼び長さが指定され、呼び長さからのずれは、少なくとも±0.1%、特に少なくとも±0.3%でありうる。例えば、(例えば呼び直径18.0mmの「18650」セルで)65.0mmの呼び長さが指定され、ずれまたは公差は±0.2mm(±0.31%)または+0.2mmおよび-0.25mm(+0.31%および-0.38%)である。呼び直径21.0mmおよび呼び長さ70.0mmであり(「21700」セル)、対応するずれが少なくとも±0.1%、特に少なくとも±0.3%であるセルも考えられる。
【0023】
極領域はそれぞれセルの電極に割り当てられ、極の電気接点のために提供される。極領域の少なくとも一つは、端面の少なくとも一つのセクションの上、特に端面の中央のセクションの上に延びる。一つの端面に二つの極領域が提供され、個々にまたは共にばね接点要素を介して接触されることも考えられる。
【0024】
少なくとも一つの接続プレートは、セルの互いとの電気接続のために構成される。ここで、接続プレートは、セルの直列接続、セルの並列接続またはそれらの組み合わせ(混合回路)をもたらし得、それによって装置のキャパシタンスおよび電圧が決定されうる。接続プレートはプレート形であり、特に平坦である、すなわち接続プレートは、厚さと比較して特に大きな長さおよび幅を有し、長さおよび幅によって形成される表面はほぼ平坦である。
【0025】
セルの両側で電気接点を提供する接続プレートは、少なくとも一つの貫通穴を有しうる。これは、軸方向に隣接するセル間を接触させるために使用される。接続プレートを通過し、例えば接続プレートの両側の電気伝導層を電気伝導的に接続する金属スリーブによって、貫通穴の単純な設計が与えられる。好ましい実施形態では、接続プレートを通る少なくとも一つの通路のガルバニック被覆(独:galvanische Beschichtung,英:galvanic coating)によって少なくとも一つの貫通穴が形成される。例えば、接続プレートは穿孔され、穿孔された穴が樹脂層で被覆される。樹脂層は、例えば金属コアを貫通穴から電気的に絶縁するために使用される。樹脂層は、寸法精度のために任意に再度穿孔されうる。樹脂層上に伝導層が(例えばガルバニックに(独:galvanisch,英:galvanically))施され、これにより接続プレートの両側のセルの接触が可能になる。
【0026】
単純な実施形態では、接続プレートは、伝導材料で作られた単純なプレート、例えば銅、アルミニウムもしくはステンレス鋼プレート、またはそれらの合金で作られたプレートとして設計され、特に片方または両方の外側に電気絶縁層が提供される。この場合、伝導材料の単純なプレートは、装置の使用時にセルの極領域へのおよび極領域からの電流を通す。接続プレートの外側に絶縁層が提供される場合、絶縁層は、接点要素と伝導材料のプレートとの間の電気接点を可能にするために接点要素の位置で中断されうる。金属複合材料、例えば片側または両側が銅層でクラッディングされたアルミニウムまたはステンレス鋼コアも、伝導材料プレートとして使用されうる。
【0027】
接続プレートは、セル間の熱伝達をもたらすように特に構成される。このようにして、個々のセル間の温度差が相殺されうるため、個々のセルが可能な限り類似の温度で動作させられうる。接続プレートは、例えば少なくとも一つの熱放散要素を用いて、セルから外部への熱伝達をもたらすようにも構成され得、それにより熱が、例えばハウジングおよび/または少なくとも一つの冷却要素に放散される。セルが鍛えられ、例えば接続プレートを介して予熱されることも考えられる。
【0028】
好ましい実施形態では、接続プレートは、少なくとも一つの金属コアと少なくとも一つの伝導層とを含む積層複合材料として設計される。金属コアの片側または両側に、絶縁層または誘電体が設けられ、その上にさらに電気伝導層が設けられる。接続プレートは、IMS(絶縁金属コア)プレートとして設計されうる。金属コアは、装置の使用時に電流を通さず、例えば効果的な熱輸送を意図するのが好ましい。金属コアは、例えばアルミニウム、銅、および/またはステンレス鋼に基づく。あるいは、セラミック、ポリマーベース材料、またはFR4およびFR5などの複合材料などの他の適切な材料がコア層または基材として使用されうる。接続プレートは、例えばFR4および/またはFR5材料に基づく大電流プリント回路ボードとしても実施されうる。接続プレートは、厚銅プリント回路ボードとして実施されうる。特に混合回路の場合、接続プレートは構造化された導体トラックも有しうる。例えば「アイスバーグ」技術に基づく、またはプレート上に敷設および固定されたワイヤ(「ワイヤレイド」)ならびにインレイボードもしくはパワーコンビボードを用いた選択的接触のための構造化を有する積層複合材料が例えば提供されうる。
【0029】
特に異なる寸法の(例えば伝導層の層厚さが異なる)少なくとも二つのプリント回路ボードが接続プレートにおいて互いに組み合わされる、組み合わせプリント回路ボードも可能である。例えば、好ましくは少なくとも二つのプリント回路ボードの間のプラグコネクタなどの接続要素を用いずに、コンビボードプリント回路ボードが形成される。
【0030】
電気絶縁層が、電気伝導層上および/または接続プレートの外側、特に片側または両側に提供される。接続プレートは、接続プレートの片側のセルに接触するために(例えば特に金属コア-絶縁層(誘電体)-伝導層-絶縁層の順の四層で)、または接続プレートの両側のセルに接触するために(例えば特に絶縁層-伝導層-絶縁層-金属コア-絶縁層-伝導層-絶縁層の順の七層で)設計されうる。
【0031】
特に接続プレートと、または接続プレートの電気伝導層もしくは導体トラックと電気接触するさらなる電子部品が接続プレート上に設けられうる。
【0032】
例えば、温度センサなどのセンサが電子部品として提供され、セルが放電または充電される際に装置の動作を監視して、例えば装置または個々のセルに生じ得る過熱を検出するのに役立ちうる。
【0033】
これに関連して、負温度係数(NTC)および/または正温度係数(PTC)サーミスタなどの温度依存抵抗変化に基づく温度センサ、例えばプラチナベース(例えばPt100、Pt1000のほか、Pt50、Pt200、Pt500)、ニッケルベース(例えばNi100、Ni1000)、またはシリコンベース(例えばKTY)のPTCサーミスタが可能である。熱電対(例えばタイプK、J、N、E、T、R、S、および/またはB)または信号コンバータが統合された温度センサも使用されうる。共振周波数の温度依存性に基づく温度センサ、例えば振動水晶温度センサも可能である。
【0034】
追加の電子部品として、電気ヒューズ要素が接続プレート上および/または接続プレート内に提供されうる。ヒューズ要素は、装置の個々の部品、例えば個々のセルを過電流から保護するのに役立ちうる。例えば、少なくとも一つの導体トラックヒューズが、接続プレートの電気伝導層に提供される。導体トラックヒューズが、例えば導体トラックの断面テーパとして提供されることができ、断面は、提供される許容可能電流にしたがって選択されうる。特に、各セルまたは各接点要素に導体トラックヒューズが提供され、例えば接点要素の周りに接続プレートの絶縁エリアが提供され、一つ以上のテーパ導体トラックによってのみ中断される。したがって、接続プレートの伝導層は、ヒューズ要素としても使用されることができ、これにより経済効率が高まる。
【0035】
同様に、装置のいくつかまたは全てのセルに少なくとも一つの共通ヒューズ要素が、例えば接続部要素に関連して提供されうる。例えば、応答時間が異なるいくつかの共通ヒューズ要素が提供される(例えば一次、二次および三次ヒューズ要素)。
【0036】
ヒューズ要素は、例えばボンドワイヤヒューズなどの接触ヒューズの形で接続プレート上に設けられうる。例えば(例えばセラミックベースおよび/またはポリマーベースの)温度効果を用いたPTCサーミスタに基づくリセット可能ヒューズ要素または(例えば少なくとも一つのMOSFETなどの半導体ベースの)リセット可能電子ヒューズも提供されうる。
【0037】
接続プレートに接続される全ての電子部品、プラグコネクタ、および/またはスクリュコネクタは、貫通穴技術(THT)および/または表面実装技術(SMT)などの様々な方法で接続プレートに接続および接触されうる。特に温度センサおよびバランサ接続部の場合に、接続プレートへの部品の経済的な接続を可能にするプレスイン技術を使用した接続部も有利である。
【0038】
センサ(例えば温度センサならびに電流および/または電圧を監視するためのセンサ)によって記録されたセンサデータを特定し、特に評価する、監視デバイスが提供されうる。監視デバイスが、装置に(例えば装置のハウジング内に)統合されるかまたは外部に提供され得、装置は、例えば監視デバイスへのインタフェースを提供する。
【0039】
部品、監視デバイス、および/または接続プレートの間の接続部および接触部は、原則として、ワイヤ対ワイヤ、ワイヤ対ボード、および/またはボード対ボード技術で実施されうる。例えば、監視デバイスは、言及された技術の一つを使用して接続プレートおよび/またはセンサに接続される回路ボード装置として設計される。
【0040】
他の考えられる組み合わせ接続プレートの設計は、プリント回路ボードと可撓性要素および/または可撓性接続プレートセクションの組み合わせである。例としては、剛性フレックスプリント回路ボードならびにフレックスプリント回路ボード(「3Dプリント回路ボード」)がある。このような組み合わせの(部分的に)可撓性の接続プレートは、一方では、接点要素を介してセルに接触するように働く剛性接続プレートセクションを有しうる。他方で、例えばセンサ要素、バランサ接続部の配設のため、および/または可撓性セクションを介してセルの電流を排出/供給するための接続プレートセクションが、剛性接続プレートセクションに接続され、ある角度で設けられることができ、その結果特にコンパクトな装置の設計が得られる。
【0041】
少なくとも一つの温度センサが接続プレート上に設けられうる。少なくとも一つの温度センサは、それぞれのセルの温度をより正確に特定するために、少なくとも一つのセルの円周領域の、特に軸方向の中央にも設けられるのが好ましい。円周領域に設けられた少なくとも一つの温度センサは、適切な長さの接続ワイヤを介して、または、例えばある角度に設けられた例えばコンビボードプリント回路ボード、剛性フレックスプリント回路ボード、フレックスプリント回路ボードなどの組み合わせ接続プレートを介して接続プレートに接続されうる。ここでは、温度センサを配置するためのプリント回路ボードが接続プレートに対してある角度で設けられ、例えばプラグコネクタを介して接触されることが可能である(ボード対ボード)。
【0042】
ばね接点要素は、個々のセルの寸法ずれにもかかわらず、接続プレートの位置に関して特に寸法的に正確な配設を可能にするため、部品、特に温度センサも、このようにしてセルの円周領域に確実に配置されうる。
【0043】
少なくとも二つのセルは、少なくとも一つの接続プレートに、特にセルの軸方向が接続プレートの垂線に(基本的に)沿うように設けられる。したがって、セルの端面および極領域は、接続プレートに面する。いくつかの接続プレートが提供される場合には、接続プレートは、特に互いに(基本的に)平行に揃えられ、接続プレートの間にセルが設けられうる。
【0044】
電気接点のために、少なくとも一つの接続プレートと少なくとも二つのセルの極領域との間に接点要素が提供される。この場合、接点要素は、特に接続プレートの電気(および熱)伝導層上に、例えば伝導材料または積層複合材料の伝導層で作られた単純なプレート上に設けられ、それによって接続プレートの電気(および熱)伝導層がセルの極領域と電気的に接触する。接続プレートの外側に絶縁層が設けられる場合、絶縁層は、接点要素と伝導層との間の電気接触を可能にするために、接点要素の位置で中断されうる。
【0045】
既に上述したように、個々のセルの故障は、セル内の敏感な電極エリアに隣接しうる極領域への高い圧力に起因し、圧力は従来技術における寸法ずれによって引き起こされる。ばね接点要素を使用することにより、極領域への過度の圧力を回避することができ、これは特に、第一の教示による装置の実施形態において極領域が接点要素に対する当接のみを介してそれぞれの接続プレートと接触することによって改善される。このようにして、接続プレートが力、振動、機械的応力ならびに衝撃負荷による外部荷重を受けた場合でも、セルの極領域は、ばね接点要素のたわみによって軽減される。ばね接点要素の弾発性は、接続プレートが引き離された(例えば装置に対する軸方向の引張負荷)場合にも電気接触を保証する。
【0046】
第一の教示による装置の一実施形態では、少なくとも二つのセルは、少なくとも一つの接続プレートとの保持力によって軸方向に保持される。保持力によってセルを保持することは、接続部によってセルが損傷されるリスクが低減されるため、セルの少なくとも一つの接続プレートとの分離不能な接続部と比較して特に有利である。
【0047】
第一の教示による装置の次の実施形態では、少なくとも一つの保定要素が、少なくとも一つの接続プレートに隣接して提供され、少なくとも一つの保定要素は、少なくとも二つのセルのうちの少なくとも一つを軸方向に配置する。この場合、少なくとも一つの保定要素は、少なくとも軸方向へのセルの機械的固定をもたらすことができ、それによって、ばね接点要素の過度のばね力によって引き起こされる極領域の機械的過負荷が阻止されうる。特に、少なくとも一つの保定要素は、形状嵌合によってセルを軸方向に配置する。
【0048】
装置のさらなる実施形態により、少なくとも一つの保定要素が、円周領域とそれぞれの端面との間の移行部のエッジ領域に対する当接を介してセルを軸方向に配置する場合、配置(特に形状嵌合)の間に生じてセルに対して作用する力は、より敏感な極領域に及ばないかまたはわずかな程度にしか及ばないのが有利である。特に丸型セルの場合、エッジ領域に当接することにより、配置の間に生じる力が、セルの極領域ではなく円周領域またはハウジングに作用することが保証される。同時に、エッジ領域(例えばセルハウジング)の長手方向伸張の寸法ずれは、極領域の長手方向伸張の寸法ずれよりも小さくなりうる。この場合、エッジ領域に対する当接によってセルのより正確な配置が達成でき、それによって極領域のより大きな寸法ずれが、ばね接点要素によって補償される。
【0049】
装置のさらなる実施形態では、ばね接点要素のばね定数が予め決定され、これは少なくとも、接続プレートに対する弛緩状態のばね接点要素の高さ、および接続プレートに対する保定要素の高さに依存する。保定要素の高さは、軸方向のセルの位置の限界として働きうる。特に、接続プレートに対する弛緩状態のばね接点要素の高さと接続プレートに対する保定要素の高さとの間の差を使用して、ばね接点要素の最大たわみが決定されうる。したがって、ばね定数は、セルの極領域の機械的過負荷を示す最大力を超えないように決定されうる。
【0050】
ばね接点要素のばね定数は、少なくともエッジ領域に対する軸方向の極領域の高さの差に依存して予め決定されうる。高さの差は、例えば高くなった極領域(例えば極カバーの形で)または極領域のくぼみによって与えられうる。極領域ではなくエッジ領域が保定要素に当接する場合、この高さの差により、ばね接点要素のさらなるたわみが生じうる。エッジ領域に対する軸方向の極領域の高さの差の寸法ずれまたは変動を考慮するために高さの差を用いることもできる。
【0051】
装置のさらなる実施形態では、少なくとも一つの保定要素上に、力ロックを介してセルの少なくとも一つを保持する力ロック手段が提供される。力ロックを介した保持は、装置の安定性を向上させる。
【0052】
一実施形態では、力ロック手段は、弾性材料を含むかまたは弾性材料からなりうる。これは、例えばセルハウジングの過負荷を回避するために、セルのエッジ領域の寸法ずれに関して力の軽減を提供するためにも使用されうる。ばね接点要素および力ロック手段のそれぞれにばね定数が割り当てられうる場合、力ロック手段のばね定数は、特にばね接点要素のばね定数よりも大きい(例えば少なくとも一桁大きい)。力ロック手段は接着効果も有することができ、これにより装置の生産時にセルが力ロック手段に固定されうるため、装置の安定性が高まり、組み立ても容易になる。例えば、ポリマーベースの接着テープ、特にアクリル(フォーム)接着テープおよび/またはポリエチレン(フォーム)接着テープなどのフォームコア接着テープが、力ロック手段として使用されうる。対応する接着テープは、自動車セクターで使用するための要件も満たしうる。
【0053】
装置の次の実施形態では、少なくとも二つの接続プレートおよび少なくとも一つの圧力要素が提供され、圧力要素は、少なくとも二つの接続プレートを予め決定された距離に保持する。少なくとも一つの圧力要素は、例えば接続プレートのエッジに、例えば装置の外側に設けられうる。代わりにまたは加えて、装置内にも、セルの軸方向にほぼ平行に走り、軸方向に垂直に隣接するセルの間に設けられる少なくとも一つの圧力要素、例えばネジロッドなどの圧力要素が提供されうる。
【0054】
接続プレートを予め決定された距離に保持することにより、予め決定された長手方向伸張のセルが、ばね接点要素の所定のたわみを引き起こすことが達成される。加えて、接続プレートおよびその間に設けられたセルは、さらなるユニットを追加することによって簡単に拡張できる構築ユニットまたはモジュール式構造体を形成する。これにより、そのような部品が予め製作され、それぞれの装置の要件(例えば装置のキャパシタンスおよび/または電圧)にしたがって組み合わせられうるため、生産が単純になる。予め決定された距離は、例えば、軸方向のセルの呼び長さ、接続プレートに対するばね接点要素の高さ、および/または接続プレートに対する保定要素の高さに応じて予め決定される。特に、予め決定された距離は、ばね接点要素が一方で極領域に対する確実な当接を保証し、他方でばね力をセルの極領域の機械的過負荷を示す最大力未満に制限するように選択される。
【0055】
装置の次の実施形態では、少なくとも一つのバランサ接続部が提供される。少なくとも一つのバランサ接続部を使用して、充電および/または放電中にセルをほぼ同じ電圧にすることができる。例えば、異なる相互接続された装置のセルの電圧均等化がもたらされる。電圧差は、例えば異なるキャパシタンス、インピーダンス、または経年劣化条件などの個々のセルの特性によって引き起こされうる。
【0056】
セルがばね接点要素を介して接続プレートと接触させられるため、特に少なくとも二つの接続プレートは少なくとも一つの圧力要素によって固定された予め決定された距離に保持され、それにより寸法ずれによってセルが損傷されるリスクが低減される。予め決定された距離により、バランサ接続部も簡単に設計されうる。高い寸法精度により、例えば(例えばボード対ボードまたはワイヤ対ボードコネクタとしての)コネクタを用いてプリント回路ボードとして接続プレートにバランサ接続部を接触させうるため、装置の生産が単純になる。例えば接続ボードへのワイヤ対ワイヤまたはワイヤ対ボード接続部による、接続ワイヤまたはケーブルの形のバランサ接続部も同様に考えられる。
【0057】
少なくとも一つのバランサ接続部にヒューズ要素が割り当てられうる。例えば、衝突または衝撃負荷の場合、バランサ接続部は、装置の他の要素(例えば異なる電位の電気伝導層)と意図せずに接触しうる。これにより短絡のリスクが生じるが、これをヒューズ要素によって阻止しうる。考えられるヒューズ要素の設計は、接続プレート上の導体トラックの断面テーパ、ヒューズ、ボンドワイヤヒューズ、セラミックおよび/またはポリマーに基づくPTCサーミスタ、および/または電子ヒューズ(例えばトランジスタなどの半導体に基づく)を含む。
【0058】
装置の次の実施形態では、軸方向に隣接して設けられたいくつかのセルが提供され、軸方向に隣接して設けられたセルはそれぞれ、予め決定された距離に保持された接続プレートの間に設けられる。モジュール式の設計に加えて、軸方向の各セル層の間隔を指定することにより、軸方向のセルの寸法ずれが軸方向の次のセル層に影響しないようにすることが可能である。
【0059】
代替的実施形態では、装置の外部接続プレートの距離が定められうる。この目的のためには、ばね接点要素を備えた設計が、軸方向に隣接して(すなわちセルの同じ「列」に)設けられた寸法ずれの大きいいくつかのセルの場合でも機械的過負荷を回避できるために有利である。
【0060】
第一の教示による装置の一実施形態では、セルは、接続プレート間の保持力によって軸方向に保持され、保持力は、セルの過負荷力に応じて選択される。対応する保持力が、装置の高い機械的安定性を引き起こしうるが、同時に、ばね接点要素による接触によって、軸方向に寸法ずれがある個々のセルの極領域に高すぎる圧力が加えられることが回避される。過負荷力は、例えばセルハウジングにかかりうる最大力の仕様でありうる。特に、前述の保定要素の使用と組み合わせて、保持力は、セルまたはセルハウジングのエッジ領域の過負荷力に応じて選択されうる。したがって、保持力は、セルに機械的に過負荷をかけることなく張力をかけるために高く設定されることもできる。特に、保持力は過負荷力の最大50%、特に最大75%に設定されうる。
【0061】
第一の教示による装置のさらなる実施形態では、軸方向に垂直にセルを保持するために、少なくとも一つの保持要素が提供される。例えば、セルは形状嵌合によって軸方向に垂直に保持される。この場合、セルの断面の寸法に(寸法ずれまたは公差を考慮に入れて)ほぼ対応する寸法のセルの断面の形の凹部を備えたプレートが提供されうる。丸型セルの場合、保持要素としてのプレートに丸型ドリル穴が提供されうる。特に、少なくとも一つの保持要素は、例えばセルの形状嵌合受け入れのための凹部を備えたプレートとして、接続プレートの少なくとも一つの保定要素と一体に設計されうる。
【0062】
第一の教示による装置のさらなる実施形態では、接点要素またはばね接点要素は、保定要素および/または保持要素と一体に形成されるのが好ましく、特に接続プレートとは別個の接点要素またはばね接点要素として設計される。例えば、プラスチックで作られた保定要素および/または保持要素が射出成形によって生産され、金属接点要素が製品に統合される。これにより、一体の接点要素および保定/保持要素が接続プレート上に一緒に置かれうるため、組み立てが容易になる。一体の設計により、接続プレート上に接点要素が簡単に配置されうるため、接続プレート上の接点要素のさらなる固定が省かれうる。
【0063】
原則として、接点要素は、非金属部品、例えば部分的なプラスチックオーバーモールディングを有することもできる。装置の異なる実施形態では、ばね接点要素は金属材料で作られ、特にプラスチックを含まない。
【0064】
ばね接点要素は、鋼(特にステンレスばね鋼などのばね鋼)で作られうる。ばね接点要素は、銅含有材料、例えば銅または銅合金で作られるのが好ましく、これは特にばね鋼と比較して改善された熱および電気伝導性を提供すると同時に有利なばね特性を維持する。特性に関しては、特に銅ベリリウム合金で作られたばね接点要素が有利であることが分かっている。この場合、銅ベリリウム合金は、特に最大で2重量%のBe含有量を有しうる。銅ニッケルベリリウム合金および銅コバルトベリリウム合金も可能である。あるいは、有意なベリリウム含有量を伴わない銅合金、例えば銅スズ合金(青銅)、銅亜鉛合金(真鍮)、銅ニッケル亜鉛合金(ニッケルシルバー)、銅クロムチタンシリコン合金および/または銅チタン合金も使用されうる。ニッケルおよびニッケル合金、例えばニッケルベリリウム合金または鉄コバルトニッケル合金などの他のタイプの合金も考えられる。
【0065】
原則として、ばね接点要素は、それぞれの極に当接して電気接点を形成する単一の接点エリアを有しうる。第一の教示による装置のさらなる実施形態では、ばね接点要素は、それぞれの極領域に当接して電気接点を形成しうる複数の接点エリア、特に二つ、四つ、六つ、または八つの接点エリアを有する。いくつかの接点エリアにより、例えばセルの極領域が互いに正確にまたは完全に平行でない場合など、極領域の寸法ずれがある場合でも、ばね力による確実な当接が達成できる。いくつかの接点エリアにより、接点エリアによっていくつかの接点フィンガが形成され、これも極領域の不規則性を補償しうるため、ばね力を介した確実な電気接点が可能になる。加えて、改善された熱接触も保証される。同時に、接点エリアのはんだ付けまたは溶接などの物質結合接続部が回避されうる。
【0066】
ばね接点要素の形成の例は、圧縮ばね、特に薄板ばね、成形ばね、重ね板ばね、薄板成形ばね、皿ばねである。ばね接点要素は、特に金属シートから製造されうる、曲がった打ち抜き部として設計されるのが好ましい。したがって、ばね接点要素は、適切な接点エリアを備えて容易に設計されうる。あるいは、ばね接点要素は、切断部品(レーザ切断またはウォータージェット切断による)またはエッチング部品として設計されうる。例えば、ばね接点要素は成形ばねとして設計される。ばね接点要素は、接続プレートを固定して接触するための固定エリア、ならびに固定エリアと接点エリアとの間の弾発性ジョイントとして設計されたばねエリアも有しうる。
【0067】
装置の一実施形態では、接点要素の少なくとも一つは、接点被覆を備えて形成される。これによりさらに腐食しやすさが低減され、環境的影響による、例えば腐食条件下での電気化学的プロセスによるセルの極領域および接点要素の損傷が低減される。例えば、接点被覆のために提供される材料は、貴金属、特に金および/または銀に基づく被覆である。(硬質)金は摩擦に強く、これは力ロック接点に特に有利である。金はまた、電気伝導性が高く、はんだ付け性に優れ、延性があるため、金被覆はばね接点要素に適する。スズまたはニッケルによる接点被覆も可能である。
【0068】
接点被覆は、二重被覆などの多層構造、例えば貴金属の層が上に設けられたニッケル層を有することもできる。様々な層の組み合わせおよび厚さが考えられる。一例では、接点要素は、1μm~4μm、特に2μm~3μmの層厚さのニッケル層で(特にガルバニックに)被覆されうる。ニッケルは拡散バリアとして作用しうる。貴金属層、特に(硬質)金層が、ニッケル層上に、特にガルバニックに施され得、層厚さは、例えば0.1μm~2.0μmである。0.1μmを超える、特に0.6μmまたは0.7μmを超える貴金属層の層厚さが選択される場合、耐腐食性を向上させるために貴金属層の多孔性が低減されうる。層厚さが2.0μm未満、特に1.5μm未満の場合、材料を同時に節約できる。ニッケル、パラジウムおよび金の層が重ね合わせて設けられてもよい。パラジウムを使用することにより、(硬質)金層の層厚さがさらに低減されて材料が節約され得、金層を介して接点がもたらされる。特に接点要素の溶接が意図される場合には、亜鉛に基づく被覆または亜鉛からなる被覆も可能である。
【0069】
上記の被覆は、一つ以上のパッシベーション層と組み合わせられうる。パッシベーション層は電気伝導性であり、接点の摩耗挙動を改善しうる。加えて、パッシベーション層は、撥汚性および/または撥水性であり、特に腐食挙動を改善しうる。原則として、パッシベーション層は、(金属)表面上に結合することによって化学官能性表面を形成しうる官能基を備えた化合物を有しうる。この例は、特に金および銀表面に対するチオールである。接点要素には、全体的被覆または選択的被覆も提供されることができ、例えば接点要素の一部は被覆されないかまたは異なる被覆を有する。
【0070】
装置の一実施形態では、接点要素の少なくとも一つは、電気化学電圧列における接点被覆の標準電位と極領域の材料の標準電位との差が1V未満の接点被覆を備えて形成される。これも、さらに腐食しやすさを低減し、環境的影響によるセルの損傷を低減する。
【0071】
一実施形態では、装置は、充電および/または放電のために装置全体に接触するように働く少なくとも一つの接続部要素を有しうる。例えば、電源接続部要素が少なくとも一つの接続プレート上に設けられ、特にSMT、THTおよび/またはプレスイン技術によって接続プレートに接続される。
【0072】
少なくとも一つの接続部要素は、絶縁体を用いてまたは用いずに設計されうる、例えば接続部ケーブル、少なくとも一つの導体レール、特に少なくとも一つの積層導体レール、少なくとも一つの導体バンド、特に少なくとも一つの積層導体バンド、拡張バンド、編組バンド、扁平ファブリックバンド、金属ケーブル(例えば銅ケーブル)などの接続部手段のための接続部を提供しうる。接続部は、例えばプラグ接続部、ネジ接続部、物質結合接続部、またはクランプ接続部を介して作製される。
【0073】
接続の目的で、例えば、両側に伝導層を有する(外側)接続プレートが、装置の少なくとも一つの端領域に提供される。セルに面する伝導層は、接点要素を介してそれぞれのセルと接触する。セルとは反対側に面する伝導層は、例えば少なくとも一つの貫通穴を介して、セルに面する伝導層に接続される。セルとは反対側に面する伝導層は、接続部要素への接触を有しうる。
【0074】
一実施形態では、いくつかの接続部要素が提供される。例えば個々のセルの接点要素の接続部要素までの距離が可能な限り等しくなるように、複数の接続部要素を介して可能な限り均一な電流分布が達成されうる。いくつかの接続部要素が、例えば前述の装置の一つの端領域の(外側)接続プレート上に提供されることができ、特にSMT、THTおよび/またはプレスイン技術によって接続プレートに接続されうる。
【0075】
接続部要素がなくても、例えば導体レールの一つの表面が接続プレートの伝導(外側)層に対して当接することによって、(外側)接続プレートを介して平坦接点が達成されることもできる。この目的のために、例えば物質結合接続部が提供されうる。
【0076】
第二の教示によれば、上記の課題を解決するために、装置を製造する方法であって、少なくとも二つのセルが少なくとも一つの接続プレート上に設けられ、少なくとも二つのセルはそれぞれ軸方向、円周領域および二つの端面を有し、端面は軸方向に互いに対向して設けられ、少なくとも一つの極領域が一方の端面上に提供され、少なくとも一つの接続プレートと少なくとも二つのセルの極領域との間の接点要素を介して電気接点がもたらされ、少なくとも一つのばね接点要素が接点要素として使用され、少なくとも二つのセルのそれぞれの極領域に当接して少なくとも一つの接続プレートと極領域との間に電気接点を形成するためのばね力が提供されるように変形状態にされる、方法が指定される。この方法は、特に、第一の教示による装置を生産することを目的とする。
【0077】
第三の教示によれば、上記の課題を解決するために、少なくとも二つのセルを備え、少なくとも二つのセルはそれぞれ軸方向、円周領域および二つの端面を有し、端面は軸方向に互いに対向して設けられ、少なくとも一つの極領域が一方の端面上に提供され、少なくとも一つの接続プレートを備え、少なくとも二つのセルは、少なくとも一つの接続プレート上に設けられ、電気接点のために少なくとも一つの接続プレートと少なくとも二つのセルの極領域との間に接点要素が提供される装置におけるばね接点要素の使用が指定される。
【0078】
第一の教示によるばね接点要素または装置は、エレクトロモビリティ、例えば電動車両、およびエネルギー産業で使用されるのが好ましい。モバイル充電ステーションまたは(モバイル)エネルギー供給施設での使用も考えられる。
【0079】
本説明において上述した本発明の例示的な実施形態は、互いとの全ての組み合わせで開示されるものとしても理解されるものとする。特に、異なる教示に関係する例示的な実施形態は、開示されるように理解されるものとする。特に、装置の手段および/または要素の開示により、その製造および使用のための対応するプロセスステップも開示されるものとする。
【0080】
本発明のさらなる特徴および利点は、特に図面に関連して、本発明のいくつかの例示的な実施形態の以下の詳細な説明に示される。
【図面の簡単な説明】
【0081】
図1】第一の教示による装置2の実施形態を示した概略図である。
図2a図1の装置2の実施形態を示した詳細図である。
図2b図1の装置2の実施形態を示した詳細図である。
図2c図1の装置2の実施形態を示した詳細図である。
図3】第一の教示による装置2のさらなる実施形態を示した概略図である。
図4】第一の教示による装置2のさらなる実施形態を斜視図で示した概略図である。
図5】第一の教示による装置2のさらなる実施形態を斜視図で示した概略図である。
【0082】
図1は、第一の教示による装置2の実施形態を示した概略図である。装置2は、電気エネルギーを貯蔵するためのセル4のために設計される。タイプ18650の丸型セルとして形成される少なくとも二つのセル4が提供される。少なくとも二つのセル4は、丸型セルの円筒軸に基本的に対応する軸方向6を有する。セル4は、丸型セルの円筒シェルに基本的に対応する円周領域8を有する。さらに、セル4はそれぞれ、軸方向6に互いに対向して設けられた二つの端面10、12を有する。端面10に極領域14が提供され、それぞれのセル4の正極に割り当てられる。反対側の端面12に極領域18が提供され、それぞれのセル4の負極に割り当てられる。
【0083】
接続プレート20が提供され、接続プレート20にセル4が設けられる。さらに、接続プレート20とセル4のそれぞれの極領域14との間に、電気接点のための接点要素22が提供され、接点要素22は、極領域14を介して正極を接続プレート20の電気伝導層と接触させる。
【0084】
図1は、さらなる接続プレート24を備えた例を示し、接続プレート24と、負極に割り当てられるセル4の極領域18との間の接点要素26が電気接点のために提供される。接点要素26はまた、図1にばね接点要素として示される。しかしながら、代わりに、接点要素26は、剛性接点要素として(すなわち有意な弾発性なしで)設計されることもできる。さらなる代替例では、さらなる接続プレート24上には接点要素26が提供されず、セル4の極領域18がさらなる接続プレート24と直接接触する。
【0085】
接点要素22は、ばね接点要素として設計され、これは、図2a~図2cの装置2の実施形態の詳細図にさらに示される。図2aには、セルが挿入されていない装置が示される。図2bおよび図2cは、セル4が挿入された装置を示し、二つの異なる状況が示される。
【0086】
セル4を配置することにより、接点要素22は、弛緩状態(図2aを参照)から変形状態(図2bおよび図2cを参照)になり、それによって接点要素22は、セル4のそれぞれの極領域14に当接して接続プレート20と極領域14との間に電気接点を形成するためのばね力を提供する。
【0087】
ばね接点要素としての設計は、セル4の軸方向6の長手方向伸張が異なる場合であっても、接点要素22がそれぞれのセル4に接触する際に弾発的に変形しうることを保証する。ばね力またはばね定数は、一方では接続プレート20と極領域14との間の確実な当接、したがって確実な電気接点が達成され、これがショックおよび振動などの機械的負荷の下でも基本的に維持される大きさとされる。他方で、ばね力は、セルの極領域14の機械的過負荷を示す最大力に制限される。
【0088】
一実施形態では、図2bおよび図2cは、セル4の異なる長手方向伸張に起因する二つの異なる状況を示す。図2bでは、例えば、セル4は寸法ずれまたは公差にしたがって小さな長手方向伸張を有し、ばね力が極領域14での確実な当接を保証するように接点要素22のばね定数が選択される。図2cでは、例えば、セル4は寸法ずれまたは公差にしたがって大きな長手方向伸張を有し、これは接点要素22の(さらなる)たわみによって補償され、ばね力は、セル4の極領域14の機械的過負荷を示す最大力を超えない。
【0089】
電気接点は、ばね接点要素を介して力ロックとしてもたらされ、物質結合または形状嵌合接触は存在しない。接点要素22の極領域14へのはんだ付け、糊付けまたは溶接は省かれうる。
【0090】
接続プレート20は、金属コア28と両側の伝導層30とを含む積層複合材料として設計される。接続プレート20は、セル4間に生じうる温度差が補償されうるように、セル4の間に熱伝達を提供するように構成される。接点要素22は、セル4から接続プレート20への熱伝達をもたらしうる。接続プレート20は、例えば装置2のハウジングおよび/または少なくとも一つの冷却要素との接触を介して、金属コア28によって吸収され外部に輸送される熱を放散しうる熱放散要素31も有する。電気伝導層30は、絶縁層32によって金属コア28から隔てられる。装置2を使用する際には、金属コア28は電流を通さない。代わりに、接点要素22を介して電気伝導層30の一つと極領域14との間の電気接点が確立される。両側に伝導層30を備えた設計により、例えば、接続プレート20の反対側の他のセル(図示せず)への接点も確立することが可能になる。接続プレート20に少なくとも一つの貫通穴が提供され、接続プレート20を通る少なくとも一つのドリル穴に、樹脂層およびガルバニックに施された伝導層が提供される。伝導層は、両側の伝導層30を互いに接触させ、その結果、軸方向に隣接するセル4が直列に接続される。接続プレート20は、片側または両側に、接点要素22で中断される外側絶縁層(図示せず)も有しうる。
【0091】
保定要素34が接続プレート20に隣接して提供され、保定要素34は、セル4を軸方向に配置する。保定要素34は、特に図2cに示されるように、配置のためにセル4との形状嵌合を確立しうる。この場合、保定要素34は、セル4を軸方向に配置する。この目的のために、保定要素34は、円周領域8と端面10との間の移行部のセル4のエッジ領域36でセル4と接触する。これにより、ばね接点要素の過剰なばね力によって引き起こされる極領域14の機械的過負荷が阻止される。配置中にセル4に作用する力は、エッジ領域36に作用し、したがってセル4のより安定したハウジングに作用するのが有利である。さらにこの場合、エッジ領域36の長手方向伸張の寸法ずれは、極領域14の長手方向伸張の寸法ずれより小さくなりうるため、より正確な配置が達成される。
【0092】
ばね接点要素のばね定数は、少なくとも接続プレート20に対する弛緩状態のばね接点要素の高さ38と、接続プレート20に対する保定要素34の高さ40との間の差に依存して予め決定される(図2aを参照)。この差は、接点要素22の最大ばねたわみ、したがって極領域14にかかりうる最大ばね力も決定する(図2cを参照、エッジ領域36が保定要素34に当接し、その結果セル4は接続プレート20に向かってそれ以上移動できない)。ばね定数は、セル4の保定要素34との形状嵌合接続部が確立された場合でも、極領域14の過負荷が阻止されるように決定される。ばね接点要素のばね定数は、例えば図2b及び図2cに示されるように極領域14が極カバーを介して高くなっている場合には、エッジ領域36に対する軸方向の極領域14の高さの差に依存してさらに予め決定されうる。
【0093】
保定要素34には、接着テープ(図示せず)の形態の力ロック手段も提供され、これが力ロックによってセル4を保持しうる。
【0094】
保定要素34は、特に一体の保持要素42を備えてさらに設計され、保持要素42は、セルを軸方向6に対して垂直に保持するために提供される。
【0095】
ばね接点要素として設計される接点要素22は、ベリリウム銅で作製された打ち抜き部である。図2aにさらに示されるように、接点要素22は、電気接点を確立するために極領域14に対して当接させられうる接点エリア44を備えた重ね板ばねとして設計される。接点要素22は、任意に、層厚さが1μm~4μm、特に2μm~3μmのガルバニックに施されたニッケル層と、層厚さが0.1μm~2.0μm、特に0.6μm~1.5μmの金層とを含む接点被覆を備えて設計される。あるいはまたは加えて、接点被覆は、電気化学電圧列における接点被覆の標準電位の極領域14の材料の標準電位からの逸脱が1V未満であることによって、極領域14の材料に適合されうる。
【0096】
図1の実施形態では、二つの接続プレート20、24に圧力要素も提供され、圧力要素は、二つの接続プレート20、24を予め決定された距離に保持する。この距離は、セル4の寸法、接点要素22および保定要素34のばね定数に依存して選択されうる。接続プレート20、24の間の距離を決定することにより、軸方向6に対して垂直に互いに隣接して設けられるセル4の構築ユニット46(すなわち軸方向6のセル4の「層」)が形成される。構築ユニット46内で、セル4の長手方向に生じうる寸法ずれが、上述のばね接点要素によって補償される。加えて、構築物46の予め定められた長さ寸法が維持され、これにより装置2内のさらなる要素の設置が簡単になる。例えば、温度センサ(図示せず)がセル4の円周領域8の中央に設けられうる。例えば接続プレート20、24の間のプリント回路ボードによって形成されるバランサ接続部(図示せず)も提供されうる。
【0097】
図3は、軸方向6に隣接して設けられたいくつかのセル4が追加で提供された、第一の教示による装置2のさらなる実施形態を示した概略図である。軸方向6に隣接して設けられたセル4はそれぞれ、予め決定された距離に保持された接続プレート20、24、48の間に設けられる。対応して、いくつかの構築ユニット46が軸方向6に互いに隣り合って形成され、構築ユニット46はそれぞれ、図1に示される構造体に相当する。明確にするために、図1の全ての参照符号が図3に示されるわけではない。
【0098】
構築ユニット46のそれぞれは、ばね接点要素として設計された接点要素22、26による、軸方向に生じうるセル4の寸法ずれの補償を含む。したがって、個々のセル4の寸法ずれが隣接する構築ユニット46に継続しないことが達成される。ユニット46の設計により、装置をモジュール式に設計し、構築ユニット46の組み合わせによって形成できることから、生産も簡単になる。
【0099】
図1図3は、セル4の両方の極領域14、18にばね接点要素(接点要素22、26)が接触することを示す。代わりに、各セル4の一つの極領域14、18にばね接点要素として設計された一つの接点要素22だけで接触することができる。例えば、それぞれの他方の極領域14、18はこの場合、剛性接点要素によって接触するかまたは接続プレートに対して直接当接する。
【0100】
図4は、第一の教示による装置2のさらなる実施形態を斜視図で示した概略図である。ここでは、保定要素34の保持要素42との特に一体の設計が、セル4の端面10のための凹部と接点要素22のための通路とを備えたプレートを形成することが分かる。
【0101】
さらに、ばね接点要素として設計された接点要素22は、二つの接点エリアを備えた金属シートで作られた曲がった打ち抜き部として設計される。
【0102】
図5は、第一の教示による装置2のさらなる実施形態を斜視図で示した概略図である。ここでは、軸方向6に隣接するいくつかのセル4が提供され、三つの構築ユニット46を形成し、そのそれぞれが予め決定された距離に保たれる。
【0103】
接続手段52を介して接続プレートに接続された圧力要素50が提供される。圧力要素50は、任意に装置2のハウジングの一部を形成することもできる。圧力要素50は、接続プレートから外部への熱伝達を改善するようにも設計されうる。圧力要素50は、特にセルハウジングの過負荷力の50%以下の保持力によって、それぞれの接続プレートを予め決定された距離に保ちうる。予め決定された距離は、軸方向6のセル4の呼び長さおよび接続プレート20に対する保定要素34の高さ40に依存して、接点要素22のばね定数を考慮に入れて、予め決定される。予め決定された距離は、ばね接点要素が一方では極領域14に対する確実な当接を保証し、他方ではばね力をセル4の極領域14の機械的過負荷を示す最大力未満に制限するように選択される。
図1
図2a
図2b
図2c
図3
図4
図5