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特許7018252ポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-02
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】ポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/075 20060101AFI20220203BHJP
   G03F 7/023 20060101ALI20220203BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20220203BHJP
   C08G 77/14 20060101ALN20220203BHJP
【FI】
G03F7/075 521
G03F7/023
G03F7/004 501
C08G77/14
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2015257647
(22)【出願日】2015-12-29
(65)【公開番号】P2016126349
(43)【公開日】2016-07-11
【審査請求日】2018-12-28
(31)【優先権主張番号】10-2015-0000726
(32)【優先日】2015-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】特許業務法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】沈 承 輔
(72)【発明者】
【氏名】金 貞 元
(72)【発明者】
【氏名】禹 俊 赫
(72)【発明者】
【氏名】周 振 豪
(72)【発明者】
【氏名】朴 光 雨
(72)【発明者】
【氏名】金 炳 郁
(72)【発明者】
【氏名】呂 泰 勳
(72)【発明者】
【氏名】尹 赫 敏
(72)【発明者】
【氏名】李 相 勳
【審査官】塚田 剛士
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/099785(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/078106(WO,A1)
【文献】特開2013-103997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004 - 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)i)下記化学式1で表される反応性シラン1種以上、およびii)下記化学式2で表される4官能反応性シラン1種以上を含む、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が1,000乃至20,000であるシロキサン系共重合体;
b)1,2-キノンジアジド化合物;および
c)溶媒、
を含むポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物:
(RSi(R4-n[化学式1]
Si(R[化学式2]
上記Rは、互いに独立した炭素数1乃至10のアルキル基、および炭素数6乃至15のアリール基のうちのいずれか一つであり、上記Rは炭素数1乃至4のアルコキシ基、フェノキシ、またはアセトキシであり、上記Rは互いに独立した炭素数1乃至4のアルコキシ基、フェノキシ、またはアセトキシ基のうちのいずれか一つであり、nは1乃至3の自然数であり、
前記ポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物において、前記ポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物の総量に対して前記化学式1で表される反応性シラン及び前記化学式2で表される4官能反応性シランの未反応単量体の含量が10%以下であり、前記ポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物において、前記反応性シラン及び前記4官能反応性シランを重合して前記シロキサン系共重合体を生成するための触媒の含量が2000ppm以下である。
【請求項2】
前記シロキサン系共重合体の熱分解温度(Td)は、450℃以上であることを特徴とする請求項1に記載のポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物。
【請求項3】
前記シロキサン系共重合体は、はしご構造を含み、
前記はしご構造を有するシロキサン系共重合体の重量比率は、ポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物全体の30%以上であることを特徴とする請求項1に記載のポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物。
【請求項4】
前記シロキサン系共重合体100重量部に対して、前記1,2-キノンジアジド化合物は5乃至50重量部を含み、前記ポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物の固形分含量は10乃至50重量%であることを特徴とする請求項1に記載のポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物。
【請求項5】
前記シロキサン系共重合体は、i)前記化学式1で表される反応性シラン20乃至80重量部、およびii)前記化学式2で表される4官能反応性シラン20乃至80重量部を加水分解および縮合重合することを特徴とする請求項1に記載のポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物。
【請求項6】
前記シロキサン系共重合体は、i)化学式1で表される反応性シラン1種以上、ii)化学式2で表される4官能反応性シラン1種以上、およびiii)下記化学式3で表される反応性シランを5乃至50重量部を加水分解および縮合重合することをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物:
(RSi(R4-n[化学式3]
上記Rは互いに独立したビニル、3-アクリルオキシアルキル、3-メタクリルオキシアルキル、1-(p-ヒドロキシフェニル)アルキル、2-(p-ヒドロキシフェニル)アルキル、3-グリシドキシアルキル、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)アルキル、3-イソシアネートアルキル、オキセタンアルキルであり、上記Rは炭素数1乃至4のアルコキシ基、フェノキシ、またはアセトキシであり、nは1乃至3の自然数である。
【請求項7】
前記1,2-キノンジアジド化合物は、1,2-キノンジアジド4-スルホン酸エステル、1,2-キノンジアジド5-スルホン酸エステル、および1,2-キノンジアジド6-スルホン酸エステルのうちの少なくとも一つ以上を含むことを特徴とする請求項1に記載のポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物。
【請求項8】
前記溶媒は、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールプロピルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジブチレングリコールジメチルエーテル、ジブチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールターシャリーブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールメチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールブチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルヘキシルエーテルおよびジプロピレングリコールメチルヘキシルエーテルのうちの少なくとも一つ以上を含むことを特徴とする請求項1に記載のポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物。
【請求項9】
下記化学式4で表されるd)シランカップリング剤を1乃至20重量部さらに含むことを特徴とする請求項1に記載のポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物:
(RSi(R4-n[化学式4]
上記Rは互いに独立して1-(p-ヒドロキシフェニル)アルキル、2-(p-ヒドロキシフェニル)アルキル、3-グリシドキシアルキル、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)アルキル、3-オキセタンアルキル、3-イソシアネートアルキルであり、上記Rは炭素数1~4のアルコキシ基、フェノキシ、またはアセトキシであり、nは1乃至3の自然数である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物およびこれを含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、液晶表示装置、有機発光表示装置において、層間に配置される配線の間を絶縁し開口率を向上させるために感光性有機絶縁膜が使用されている。
【0003】
液晶表示装置用層間絶縁膜としては主にアクリル系絶縁膜を使用しているが、耐熱性低下によるガス放出(outgassing)に対する問題点がある。また、有機発光表示装置用層間絶縁膜または画素定義層としてはポリイミド系物質が使用されているが、感度、接着力、透過度および耐熱変色性などの問題点がある。
【0004】
したがって、表示装置の信頼性確保のためにガス放出を抑制し低い水分吸湿率を有する材料に対する必要性が増している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4438685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するために、感度、解像度、接着力、透過度および耐熱変色性などの性能に優れるだけでなく、優れた耐熱性を通じてガス放出を抑制し低い水分吸湿率を有するポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物を提供することを目的の一つとする。
【0007】
また、このようなポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物を含む絶縁膜、保護膜、平坦化膜、隔壁、画素定義層などを備え、信頼性が向上した表示装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係るポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物は、a)i)下記化学式1で表される反応性シラン1種以上、およびii)下記化学式2で表される4官能反応性シラン1種以上を、触媒下で加水分解および縮合重合して得られたポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が1,000乃至20,000であるシロキサン系共重合体;b)1,2-キノンジアジド化合物;およびc)溶媒を含む。
【0009】
(RSi(R4-n[化学式1]
【0010】
Si(R[化学式2]
【0011】
上記Rは、互いに独立した炭素数1乃至10のアルキル基、および炭素数6乃至15のアリール基のうちのいずれか一つであり、上記Rは炭素数1乃至4のアルコキシ基、フェノキシ、またはアセトキシであり、上記Rは互いに独立した炭素数1乃至4のアルコキシ基、フェノキシ、またはアセトキシ基のうちのいずれか一つであり、nは1乃至3の自然数であってもよい。
【0012】
シロキサン系共重合体は、未反応単量体の含量が10%以下であり、触媒の含量が2000ppm以下であってもよい。
【0013】
シロキサン系共重合体の熱分解温度(Td)は、450℃以上であってもよい。
【0014】
シロキサン系共重合体ははしご構造を含み、はしご構造を有するシロキサン系共重合体の重量比率はポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物全体の30%以上であってもよい。
【0015】
シロキサン系共重合体100重量部に対して、1,2-キノンジアジド化合物は5乃至50重量部を含み、溶媒の固形分含量は10乃至50重量%であってもよい。
【0016】
シロキサン系共重合体は、i)化学式1で表される反応性シラン20乃至80重量部、およびii)化学式2で表される4官能反応性シラン20乃至80重量部を加水分解および縮合重合することで得てもよい。
【0017】
シロキサン系共重合体は、i)化学式1で表される反応性シラン1種以上、ii)化学式2で表される4官能反応性シラン1種以上、およびiii)下記化学式3で表される反応性シランを5乃至50重量部を加水分解および縮合重合することで得てもよい。
【0018】
(RSi(R4-n[化学式3]
【0019】
上記Rは互いに独立したビニル、3-アクリルオキシアルキル、3-メタクリルオキシアルキル、1-(p-ヒドロキシフェニル)アルキル、2-(p-ヒドロキシフェニル)アルキル、3-グリシドキシアルキル、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)アルキル、3-イソシアネートアルキル、またはオキセタンアルキルであり、上記Rは炭素数1乃至4のアルコキシ基、フェノキシ、またはアセトキシであり、nは1乃至3の自然数であってもよい。
【0020】
1,2-キノンジアジド化合物は、1,2-キノンジアジド4-スルホン酸エステル、1,2-キノンジアジド5-スルホン酸エステル、および1,2-キノンジアジド6-スルホン酸エステルのうちの少なくとも一つ以上を含んでもよい。
【0021】
溶媒は、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールプロピルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジブチレングリコールジメチルエーテル、ジブチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールターシャリーブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールメチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールブチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルヘキシルエーテル、およびジプロピレングリコールメチルヘキシルエーテルのうちの少なくとも一つ以上を含んでもよい。
【0022】
ポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物は、d)下記化学式4で表されるシランカップリング剤を1乃至20重量部をさらに含んでもよい。
【0023】
(RSi(R4-n[化学式4]
【0024】
上記Rは互いに独立した1-(p-ヒドロキシフェニル)アルキル、2-(p-ヒドロキシフェニル)アルキル、3-グリシドキシアルキル、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)アルキル、3-オキセタンアルキル、または3-イソシアネートアルキルであり、上記Rは炭素数1~4のアルコキシ基、フェノキシ、またはアセトキシであり、nは1乃至3の自然数であってもよい。
【0025】
本発明の一実施形態に係るポジティブ感光性シロキサン樹脂組成物の製造方法は、a)i)下記化学式1で表される反応性シラン1種以上、およびii)下記化学式2で表される4官能反応性シラン1種以上を触媒下で加水分解および縮合重合してシロキサン系共重合体を製造し、シロキサン系共重合体に対して未反応単量体および触媒を除去するろ過をし、シロキサン系共重合体のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は1,000乃至20,000であり、a)共重合体、b)1,2-キノンジアジド化合物、およびc)溶媒を混合する方法を含む。
【0026】
(RSi(R4-n[化学式1]
【0027】
Si(R[化学式2]
【0028】
上記Rは互いに独立した炭素数1乃至10のアルキル基、炭素数6乃至15のアリール基のうちのいずれか一つであり、上記Rは炭素数1乃至4のアルコキシ基、フェノキシ、またはアセトキシであり、上記Rは互いに独立した炭素数1乃至4のアルコキシ基、フェノキシ、またはアセトキシ基のうちのいずれか一つであり、nは1乃至3の自然数であってもよい。
【0030】
本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置は、絶縁基板、絶縁基板の上に位置する薄膜トランジスタ、薄膜トランジスタに接続された第1電極、第1電極の上に位置し、第1電極を一部露出する画素定義層、画素定義層の上に位置する有機発光層、および有機発光層の上に位置する第2電極を含む。画素定義層はポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物を含み、ポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物は、a)i)下記化学式1で表される反応性シラン1種以上、およびii)下記化学式2で表される4官能反応性シラン1種以上を触媒下で加水分解および縮合重合して得られたポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が1,000乃至20,000であるシロキサン系共重合体、b)1,2-キノンジアジド化合物、およびc)溶媒を含む。
【0031】
(RSi(R4-n[化学式1]
【0032】
Si(R[化学式2]
【0033】
上記Rは互いに独立した炭素数1乃至10のアルキル基、炭素数6乃至15のアリール基のうちのいずれか一つであり、上記Rは炭素数1乃至4のアルコキシ基、フェノキシ、またはアセトキシであり、上記Rは互いに独立した炭素数1乃至4のアルコキシ基、フェノキシ、またはアセトキシ基のうちのいずれか一つであり、nは1乃至3の自然数であってもよい。
【発明の効果】
【0034】
以上のようなポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物は、感度、解像度、接着力、透過度および耐熱変色性などの物性に優れ、特に優れた耐熱性によってガス放出を抑制し、低い水分吸湿率を有し得る。また、このようなポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物を含む表示装置は向上した信頼性を有し得る。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置の表示部の信号線の配置図である。
図2】本発明の一実施形態に係る表示部の一画素の等価回路図である。
図3図2の有機発光表示装置の一画素の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
添付した図面を参考として本発明の実施形態について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。しかし、本発明は様々な形態に実現され、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0037】
図面において様々な層および領域を、分かりやすくするために厚さを拡大して示した。明細書全体にわたって類似の部分については同一図面符号を付けた。
【0038】
層、膜、領域、基板などの部分が他の部分の「上」にあるというとき、これは他の部分の「直上」にある場合だけでなく、その中間に他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「直上」にあるというときは中間に他の部分がないことを意味する。
【0039】
以下に、本発明の一実施形態に係るポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物について説明する。
【0040】
本発明の一実施形態に係るポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物は、a)i)下記化学式1で表される反応性シラン1種以上、およびii)下記化学式2で表される4官能反応性シラン1種以上を触媒下で加水分解および縮合重合した後に、未反応単量体および触媒を除去して得られたポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が1,000乃至20,000であるシロキサン系共重合体、b)1,2-キノンジアジド化合物、およびc)溶媒を含んでもよい。
【0041】
(RSi(R4-n[化学式1]
【0042】
Si(R[化学式2]
【0043】
上記Rは互いに独立した炭素数1乃至10のアルキル基、炭素数6乃至15のアリール基のうちのいずれか一つであり、上記Rは互いに独立した炭素数1乃至4のアルコキシ基、フェノキシ、またはアセトキシであり、上記Rは互いに独立した炭素数1乃至4のアルコキシ基、フェノキシ、またはアセトキシ基のうちのいずれか一つであり、nは1乃至3の自然数である。
【0044】
ポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物は、a)シロキサン系共重合体100重量部、b)1,2-キノンジアジド化合物5乃至50重量部、およびc)溶媒の固形分含量が10乃至50重量%を含んでもよい。
【0045】
本発明に使用されるa)のシロキサン系共重合体は、感度、解像度、接着力、透過度、耐熱変色性などの性能に優れるだけでなく、向上した耐熱性によってガス放出を抑制し水分吸湿率を減少し、表示装置の信頼性を向上することができる。
【0046】
本発明の一実施形態に係るa)i)化学式1で表される反応性シランは、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、フェニルトリフェノキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、またはジメチルジメトキシシランであってもよく、単独または2種以上混合して使用してもよい。
【0047】
a)i)化学式1で表される反応性シランは、全単量体に対して20~80重量部で含まれてもよい。その含量を20重量部以上に維持するのは、クラック(Crack)の発生を防ぐためであり、80重量部以下に維持するのは、重合時に反応性が低下し分子量が制御しにくくなることを防ぐためである。
【0048】
本発明に使用されるa)ii)化学式2で表される4官能反応性シランは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、またはテトラアセトキシシランであってもよく、単独または2種以上混合して使用してもよい。
【0049】
a)ii)化学式2で表される4官能反応性シランは全単量体に対して20乃至80重量部含まれてもよい。その含量を20重量部以上に維持するのは、感光性シロキサン樹脂組成物のパターン形成時にアルカリ水溶液に対する溶解性を維持するためであり、80重量部以下に維持するのは、重合時に反応性が早く分子量制御が難しくなり、生成されたシロキサンオリゴマーのアルカリ水溶液に対する溶解性が過度に大きくなることを防ぐためである。
【0050】
また、本発明の実施形態に係るa)のシロキサン系共重合体はiii)下記化学式3で表される反応性シランをさらに含んでもよく、触媒下で加水分解および縮合重合を行い未反応単量体および触媒を除去して得てもよい。
【0051】
(RSi(R4-n[化学式3]
【0052】
上記Rは互いに独立したビニル、3-アクリルオキシアルキル、3-メタクリルオキシアルキル、1-(p-ヒドロキシフェニル)アルキル、2-(p-ヒドロキシフェニル)アルキル、3-グリシドキシアルキル、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)アルキル、3-イソシアネートアルキル、またはオキセタンアルキルであり、上記Rは炭素数1乃至4のアルコキシ基、フェノキシ、またはアセトキシ基であり、nは1乃至3の自然数である。
【0053】
iii)化学式3で表される反応性シランは、一例として、3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、1-(p-ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、2-(p-ヒドロキシフェニル)エチルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、およびオキセタンエチルトリメトキシシランであってもよく、単独または2種以上混合して使用してもよい。
【0054】
iii)化学式3で表される反応性シランまたはこれらの混合物を使用する場合、使用量は全シラン単量体の5乃至50重量部であってもよい。使用量が上記範囲内である場合、接着性および膜硬化度がさらに優れるためである。
【0055】
本発明の一実施形態に係るポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物に使用されるa)のオリゴマーシロキサン化合物は、反応性シランなどを水と酸または塩基触媒下にバルク(bulk)重合または溶液重合することができ、加水分解および縮合重合し、未反応単量体および触媒を除去する過程を経て得られる。
【0056】
このような重合に使用される酸触媒は塩酸、硝酸、硫酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、プロピオン酸、ブタン酸、またはペンタン酸であってもよく、塩基触媒はアンモニア、有機アミンまたはアルキルアンモニウムヒドロキシド塩であってもよく、単独または2種以上を混合して同時にまたは段階的に使用してもよい。
【0057】
ゲル浸透クロマトグラフィー(gel permeation chromatography、GPC)を用いて最終的に得られたa)のシロキサン系共重合体は、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が1,000~20,000であってもよい。
【0058】
ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)を1,000以上に維持するのは、耐熱性や水分吸湿率を維持し、ポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物の現像工程中の残膜率を向上するためである。また、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)を20,000以下に維持することは、ポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物の感度を維持し、パターンの現像性を向上するためである。
【0059】
また、本発明の一実施形態に係るポジティブ型感光性シロキサン樹脂絶縁膜組成物はb)1,2-キノンジアジド化合物を含み、b)の1,2-キノンジアジド化合物は感光性化合物であってもよい。
【0060】
1,2-キノンジアジド化合物は、一例として、1,2-キノンジアジド4-スルホン酸エステル、1,2-キノンジアジド5-スルホン酸エステル、または1,2-キノンジアジド6-スルホン酸エステルであってもよい。一例として、b)1,2-キノンジアジド化合物はフェノール化合物とナフトキノンジアジドスルホン酸ハロゲン化合物を反応させて得た化合物であってもよく、具体的には、キノンジアジド化合物はナフトキノンジアジドスルホン酸ハロゲン化合物と下記化学式5で表されるフェノール化合物などを弱塩基下で反応させて得られた化合物であってもよい。この時、フェノール化合物は単独または2種以上混合して使用してもよい。
【0061】
【化1】
【0062】
フェノール化合物とナフトキノンジアジドスルホン酸ハロゲン化合物でキノンジアジド化合物を合成する時、エステル化度は約50乃至85%であってもよい。エステル化度を50%以上に維持するのは、残膜率が低下するのを防ぐためであり、85%以下に維持するのは、保管安定性を確実にするためである。
【0063】
b)1,2-キノンジアジド化合物は、a)のシロキサン系共重合体100重量部に対して5乃至50重量部で含まれてもよい。その含量を5重量部以上に維持するのは、露光部と非露光部の溶解度差が小さくなりパターン形成が難しくなるのを防ぐためであり、50重量部以下に維持するのは、短時間光を照射した時でも、未反応1,2-キノンジアジド化合物が多量残存し現像液のアルカリ水溶液に対する溶解度が過度に低くなることを防ぎ、現像を確実にするためである。
【0064】
また、本発明の一実施形態に係るポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物はc)溶媒を含み、c)の溶媒はポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物の平坦性とコーティング染みが発生しないようにして、均一なパターンプロファイル(pattern profile)を形成する。
【0065】
c)の溶媒は、一例として、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールプロピルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジブチレングリコールジメチルエーテル、ジブチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールターシャリーブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールメチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールブチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルヘキシルエーテルおよびジプロピレングリコールメチルヘキシルエーテルであってもよく、単独または2種以上混合して使用してもよい。
【0066】
c)の溶媒はポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物の固形分含量が10乃至50重量%になるように含まれてもよい。固形分含量を10重量%以上に維持するのは、コーティングの厚さを十分に保ち均一度を向上するためである。50重量%以下に維持するのは、コーティングの厚さが過度に厚くなりコーティング時にコーティング装備に負担をかけることを防ぐためである。全体組成物の固形分含量が10乃至25重量%である場合、スリットコーター(Slit Coater)を使用し、固形分含量が25乃至50重量%である場合、スピンコーター(Spin Coater)、またはスリットコーターおよびスピンコーター(Slit and Spin Coater)を使用することができる。
【0067】
上記成分からなる本発明の一実施形態に係るポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物は、下記化学式4で表されるd)シランカップリング剤をさらに含んでもよい。
【0068】
(RSi(R4-n[化学式4]
【0069】
上記Rは互いに独立した1-(p-ヒドロキシフェニル)アルキル、2-(p-ヒドロキシフェニル)アルキル、3-グリシドキシアルキル、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)アルキル、オキセタンアルキル、または3-イソシアネートアルキルであり、上記Rは炭素数1乃至4のアルコキシ基、フェノキシ、またはアセトキシであり、nは1乃至3の自然数である。
【0070】
本発明の一実施形態に係るポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物は、0.1~0.2μmのミリポアフィルターなどでろ過して固形分濃度を10~50重量%にした後、使用してもよい。
【0071】
本発明の一実施形態に係るポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物は、感度、解像度、接着力、透過度および耐熱変色性などの物性に優れ、特に優れた耐熱性によってガス放出を抑制し低い水分吸湿率を有し得る。
【0072】
以下、本発明の一実施形態に係るポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物を含む有機発光表示装置について説明する。図1は本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置の表示部の信号線の配置図であり、図2は本発明の一実施形態に係る表示部の一画素の等価回路図であり、図3図2の有機発光表示装置の一画素の断面図である。
【0073】
図1に示すように、基板100の第1表示領域PAの上には一方向に伸びて走査信号を伝達する第1信号線121と、第1信号線121と交差して映像信号を伝達する第2信号線171とが形成されている。第1信号線121および第2信号線171は各画素と接続されており、画素は第1信号線121および第2信号線171以外にも他の信号が印加される多様な信号線(図示せず)と接続されてもよい。
【0074】
基板100の上には、第1表示領域PA外側の周辺領域PBに位置し、画素の薄膜トランジスタを制御するための駆動部510が配置される。駆動部510はICチップで基板100の上に実装されるか、第1表示領域Aの薄膜トランジスタと共に基板の上に集積されてもよい。
【0075】
一方、本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置は、図2に示す等価回路をそれぞれ含む複数の画素を含む。
【0076】
図2に示すように、本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置は、複数の信号線121、171と、これらに接続されておりほぼマトリックス(matrix)の形態に配列された複数の画素PXを含む。
【0077】
信号線はゲート信号(または走査信号)を伝達する複数の第1信号線121と、データ信号を伝達する複数の第2信号線171と、および駆動電圧Vddを伝達する複数の第3信号線172とを含む。第1信号線121は略行方向に伸びて互いに略平行であり、第2信号線171および第3信号線172は第1信号線121と交差して略列方向に伸びて互いに略平行である。
【0078】
各画素PXは、スイッチング薄膜トランジスタ(switching thin film transistor)Q2と、駆動薄膜トランジスタ(driving thin film transistor)Q1と、ストレージキャパシタ(storage capacitor)Cst、および有機発光ダイオード(organic light emitting diode、OLED)70とを含む。
【0079】
スイッチング薄膜トランジスタQ2は制御端子、入力端子および出力端子を有し、制御端子は第1信号線121に接続され、入力端子は第2信号線171に接続され、出力端子は駆動薄膜トランジスタQ1に接続される。スイッチング薄膜トランジスタQ2は、第1信号線121に印加される走査信号に応答して、第2信号線171に印加されるデータ信号を駆動薄膜トランジスタQ1に伝達する。
【0080】
駆動薄膜トランジスタQ1も制御端子、入力端子および出力端子を有し、制御端子はスイッチング薄膜トランジスタQ2に接続され、入力端子は第3信号線172に接続され、出力端子は有機発光素子70に接続される。駆動薄膜トランジスタQ1は、制御端子と出力端子の間にかかる電圧に応じてその大きさが変わる出力電流ILDを流す。
【0081】
キャパシタCstは、駆動薄膜トランジスタQ1の制御端子と入力端子に接続される。このキャパシタCstは、駆動薄膜トランジスタQ1の制御端子に印加されるデータ信号をチャージし、スイッチング薄膜トランジスタQ2がターンオフ(turn-off)された後にもこれを維持する。
【0082】
有機発光素子70は、駆動薄膜トランジスタQ1の出力端子に接続されるアノード(anode)、共通電圧Vssに接続されるカソード(cathode)を有する。有機発光素子70は、駆動薄膜トランジスタQ1の出力電流ILDに応じて強さを変化させて発光することによって映像を表示する。
【0083】
図3図2の有機発光表示装置の一画素の断面図である。図3では、図2の第2薄膜トランジスタQ2および有機発光素子70を中心に積層順序にそって詳しく説明する。以下では第2薄膜トランジスタQ2を薄膜トランジスタという。
【0084】
図3に示すように、有機発光表示装置は基板100を含み、基板100の上にはバッファー層120が位置する。
【0085】
バッファー層120は、窒化ケイ素(SiNx)の単一膜、または窒化ケイ素(SiNx)と酸化ケイ素(SiO)が積層された二重膜構造に形成されてもよい。バッファー層120は、不純物または水分のように不必要な成分の浸透を防止しながら、同時に表面を平坦化する役割を果たす。
【0086】
バッファー層120の上には、多結晶シリコンからなる半導体135が位置する。
【0087】
半導体135は、チャネル領域1355、チャネル領域1355の両側にそれぞれ形成されたソース領域1356およびドレイン領域1357を含む。半導体のチャネル領域1355は、不純物がドープされていない多結晶シリコン、即ち、真性半導体(intrinsic semiconductor)である。ソース領域1356およびドレイン領域1357は、導電性不純物がドープされた多結晶シリコン、即ち、不純物半導体(impurity semiconductor)である。ソース領域1356、ドレイン領域1357にドープされる不純物はp型不純物およびn型不純物のうちのいずれか一つであってもよい。
【0088】
半導体135の上にはゲート絶縁膜140が位置する。ゲート絶縁膜140は、テトラエトキシシラン(tetra ethyl ortho silicate、TEOS)、窒化ケイ素、酸化ケイ素および前述のポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物のうちの少なくとも一つを含む単層または複数層であってもよい。
【0089】
半導体135の上にはゲート電極155が位置し、ゲート電極155はチャネル領域1355とオーバーラップする。
【0090】
ゲート電極155は、Al、Ti、Mo、Cu、Niまたはこれらの合金のように低抵抗物質または腐食に強い物質を単層または複数層で形成してもよい。
【0091】
ゲート電極155の上には第1層間絶縁膜160が位置する。第1層間絶縁膜160の材質はゲート絶縁膜140と同様にテトラエトキシシラン(tetra ethyl ortho silicate、TEOS)、窒化ケイ素、酸化ケイ素または前述のポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物であってもよく、単層または複数層で形成されてもよい。
【0092】
第1層間絶縁膜160とゲート絶縁膜140には、ソース領域1356とドレイン領域1357をそれぞれ露出するソースコンタクトホール66とドレインコンタクトホール67が形成される。
【0093】
第1層間絶縁膜160の上にはソース電極176およびドレイン電極177が位置する。ソース電極176はコンタクトホール66を通じてソース領域1356と接続しており、ドレイン電極177はコンタクトホール67を通じてドレイン領域1357と接続している。
【0094】
ソース電極176およびドレイン電極177は、Al、Ti、Mo、Cu、Niまたはこれらの合金のように低抵抗物質または腐食に強い物質を、単層または複数層で形成してもよい。例えば、Ti/Cu/Ti、Ti/Ag/Ti、またはMo/Al/Moのような三重層であってもよい。
【0095】
ゲート電極155、ソース電極176およびドレイン電極177は、それぞれ図2の制御電極、入力電極および出力電極であって、半導体135と共に薄膜トランジスタを形成する。薄膜トランジスタのチャネル(channel)は、ソース電極176とドレイン電極177の間の半導体135に形成される。
【0096】
ソース電極176とドレイン電極177の上には、第2層間絶縁膜180が位置する。第2層間絶縁膜180は、ドレイン電極177を露出するコンタクトホール82を含む。
【0097】
第2層間絶縁膜180の材質は、第1層間絶縁膜と同様に、テトラエトキシシラン(tetra ethyl ortho silicate、TEOS)、窒化ケイ素、酸化ケイ素または前述のポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物であってもよく、単層または複数層で形成してもよい。
【0098】
第2層間絶縁膜180の上には第1電極710が位置する。第1電極710は、コンタクトホール82を通じてドレイン電極177と電気的に接続し、第1電極710は図2の有機発光素子のアノードであってもよい。
【0099】
本発明の一実施形態において、第1電極710とドレイン電極177の間に層間絶縁膜を形成したが、第1電極710はドレイン電極177と同一層に形成してもよく、ドレイン電極177と一体型であってもよい。
【0100】
第1電極710の上に画素定義層190が位置する。画素定義層190は、第1電極710を露出する開口部95を有する。画素定義層190はポリアクリレート系(polyacrylates)、ポリイミド系(polyimides)または前述のポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物とシリカ系の無機物などを含んで形成されてもよい。
【0101】
画素定義層190の開口部95には有機発光層720が位置する。
【0102】
有機発光層720は、発光層と正孔注入層(hole-injection layer、HIL)、正孔輸送層(hole-transporting layer、HTL)、電子輸送層(electron-transporting layer、ETL)および電子注入層(electron-injection layer、EIL)のうちの一つ以上を含む複数層で形成される。
【0103】
有機発光層720がこれらを全て含む場合、正孔注入層がアノードの第1電極710の上に位置し、その上に正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層が順次に積層されてもよい。
【0104】
この時、発光層は、低分子有機物またはPEDOT(ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェン)などの高分子有機物からなってもよい。発光層は赤色を発光する赤色発光層、緑色を発光する緑色発光層および青色を発光する青色発光層を含んでもよく、赤色発光層、緑色発光層および青色発光層はそれぞれ赤色画素、緑色画素および青色画素に形成されてカラー画像を実現する。
【0105】
また、発光層は赤色発光層、緑色発光層および青色発光層の全てを、赤色画素、緑色画素および青色画素に共に積層し、各画素別に赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタおよび青色カラーフィルタを形成してカラー画像を実現してもよい。他の例として、白色を発光する白色発光層を赤色画素、緑色画素および青色画素の全てに形成し、各画素別にそれぞれ赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタおよび青色カラーフィルタを形成してカラー画像を実現してもよい。白色発光層とカラーフィルタを用いてカラー画像を実現する場合、赤色発光層、緑色発光層および青色発光層をそれぞれの個別画素、即ち、赤色画素、緑色画素および青色画素に蒸着するための蒸着マスクを使用しなくてもよい。
【0106】
また、白色発光層は白色光を発光する一つの発光層から形成されてもよく、複数個の互いに異なる色を発光する発光層を積層して白色を発光してもよい。例として、少なくとも一つのイエロー発光層と少なくとも一つの青色発光層を組み合わせて白色発光を可能にした構成、少なくとも一つのシアン発光層と少なくとも一つの赤色発光層を組み合わせて白色発光を可能にした構成、少なくとも一つのマゼンタ発光層と少なくとも一つの緑色発光層を組み合わせて白色発光を可能にした構成なども含んでもよい。
【0107】
画素定義層190および有機発光層720の上には第2電極730が位置する。
【0108】
第2電極730は、有機発光素子のカソードになる。したがって、第1電極710、有機発光層720および第2電極730は有機発光素子70を形成する。
【0109】
有機発光素子70が光を放出する方向によって、有機発光表示装置は前面表示型、背面表示型および両面表示型のうちのいずれか一つの構造を有し得る。
【0110】
その次に、第2電極730の上には封止部材260が位置する。
【0111】
封止部材260は、一つ以上の有機層と一つ以上の無機層が交互に積層形成されてもよい。無機層または有機層はそれぞれ複数であってもよい。
【0112】
有機層は高分子から形成され、好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリカーボネート、エポキシ、ポリエチレンおよびポリアクリレートのうちのいずれか一つから形成される単一膜または積層膜であってもよい。さらに好ましくは、有機層はポリアクリレートから形成されてもよく、具体的にはジアクリレート系モノマーとトリアクリレート系モノマーを含むモノマー組成物が高分子化されたものを含んでもよい。モノマー組成物にモノアクリレート系モノマーがさらに含まれてもよい。また、モノマー組成物にTPOのような光開始剤がさらに含まれてもよいが、これに限定されるのではない。
【0113】
無機層は、金属酸化物または金属窒化物を含む単一膜または積層膜であってもよい。具体的に、無機層はSiNx、Al、SiO、およびTiOのうちのいずれか一つを含んでもよい。
【0114】
封止層の外部に露出された最上層は、有機発光素子に対する透湿を防止するために無機層から形成されてもよい。
【0115】
本発明の実施形態に係る有機発光表示装置は、ポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物を含む絶縁膜、保護膜および画素定義層などを含んでもよい。また、本明細書は有機発光表示装置に使用されるポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物について説明したが、これに制限されず、いかなる表示装置にも使用可能である。
【0116】
このようなポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物は、下記のような方法によってパターンを有する絶縁膜を形成することができる。
【0117】
まず、本発明の実施形態に係るポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物をスピンコーティング、スリットアンドスピンコーティング、スリットコーティング、またはロールコーティング方法で基板に塗布する。その次に、真空で乾燥した後、プリベークによって溶媒を除去し塗布膜を形成する。この時、プリベークは約100乃至120℃の温度で1乃至3分間実施することができる。
【0118】
その後、予め準備されたパターンを可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線またはX線を用いて塗布膜に照射し、現像液で現像して不必要な部分を除去することによって所定のパターンを形成する。
【0119】
現像液はアルカリ水溶液を使用してもよく、一例として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムのような無機アルカリ類、エチルアミン、n-プロピルアミンのような1級アミン類ジエチルアミン、n-プロピルアミンのような2級アミン類、トリメチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエチルアミン、トリエチルアミンのような3級アミン類、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミンのようなアルコールアミン類、またはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドのような4級アンモニウム塩の水溶液であってもよい。
【0120】
この時、現像液はアルカリ性化合物を約0.1乃至5重量部の濃度で溶解させて使用し、メタノール、エタノールなどのような水溶性有機溶媒および界面活性剤をさらに含んでもよい。
【0121】
また、現像液で現像した後に超純水で約30乃至90秒間洗浄して不必要な部分を除去し乾燥してパターンを形成する。再び形成されたパターンに紫外線などの光を照射した後、パターンをオーブンのような加熱装置を用いて約150乃至400℃の温度で約30乃至90分間加熱処理すると最終パターンを得ることができる。
【0122】
以下、本発明の実施例に係るポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物と比較例について説明する。本明細書は本発明の理解のために好ましい実施例を例示するものに過ぎず、本発明の範囲が下記の実施例に限定されるのではない。
【実施例
【0123】
合成例1(シロキサン系共重合体(A)の製造)
【0124】
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに反応性シランとしてそれぞれフェニルトリエトキシシラン55重量部、テトラエトキシシラン20重量部、メチルトリエトキシシラン25重量部を入れ、溶媒としてメタノール100重量部を入れ、窒素置換した後、ゆっくり攪拌した。
【0125】
反応溶液に超純水50重量部と触媒のシュウ酸4重量部を追加投入した後、再びゆっくり攪拌した。約1時間後に反応溶液を60℃まで昇温し、10時間この温度を維持して重合し、再び常温に冷却させて反応を終結した。
【0126】
その次に、追加的に0℃以下に急冷し、反応物の沈殿を通じて未反応単量体および触媒が含まれる上澄み液を除去した。未反応単量体および触媒が完全に除去されるまで、追加的にメタノールを入れ精製工程を繰り返した。
【0127】
精製工程後、真空乾燥を通じて反応中に生成された残留アルコール系溶媒および残留水分を除去した。最終的にポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が3000であるa)のシロキサン系共重合体(A)を製造した。
【0128】
合成例2(シロキサン系共重合体(B)の製造)
【0129】
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに反応性シランとしてそれぞれブチルトリメトキシシラン60重量部およびテトラメトキシシラン40重量部を入れ、窒素置換した後、ゆっくり攪拌した。反応溶液に超純水50重量部と触媒のシュウ酸を2重量部追加投入した後、再びゆっくり攪拌した。約1時間以後、反応溶液を60℃まで昇温し、10時間この温度を維持しながらバルク重合した後、常温に冷却させて反応を終結した。
【0130】
追加的に0℃以下に急冷し、反応物の沈殿を通じて未反応単量体および触媒が含まれる上澄み液を除去した。未反応単量体および触媒が完全に除去されるまで、追加的にメタノールを入れ精製工程を繰り返した。
【0131】
精製工程以後、真空乾燥を通じて反応中に生成された残留アルコール系溶媒および残留水分を除去した。これによってポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が7000であるa)のシロキサン系共重合体(B)を製造した。
【0132】
合成例3(シロキサン系共重合体(C)の製造)
【0133】
反応性シランとしてそれぞれn-ブチルトリエトキシシラン30重量部、テトラメトキシシラン50重量部、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン20重量部を入れたことを除いては合成例1と同様な方法で実施した。これによってポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が5000であるa)のシロキサン系共重合体(C)を製造した。
【0134】
合成例4(シロキサン系共重合体(D)の製造)
【0135】
反応性シランとしてそれぞれベンジルトリメトキシシラン50重量部、テトラアセトキシシラン40重量部、1-(p-ヒドロキシフェニル)プロピルトリメトキシシラン10重量部を入れたことを除いては合成例2と同様な方法で実施した。これによってポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が10000であるa)のシロキサン系共重合体(D)を製造した。
【0136】
合成例5(シロキサン系共重合体(E)の製造)
【0137】
反応性シランとしてそれぞれトリルトリエトキシシラン50重量部、テトラエトキシシラン50重量部を入れたことを除いては合成例1と同様な方法で実施した。これによってポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が6000であるa)のシロキサン系共重合体(E)を製造した。
【0138】
合成例6(シロキサン系共重合体(F)の製造)
【0139】
反応性シランとしてそれぞれシリルトリエトキシシラン50重量部、テトラメトキシシラン50重量部を入れたことを除いては合成例1と同様な方法で実施した。これによってポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が5500であるa)のシロキサン系共重合体(F)を製造した。
【0140】
合成例7(シロキサン系共重合体(G)の製造)
【0141】
反応性シランとしてそれぞれn-ヘキシルトリエトキシシラン20重量部、テトラエトキシシラン80重量部を入れたことを除いては合成例2と同様な方法で実施した。これによってポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が19000であるa)のシロキサン系共重合体(G)を製造した。
【0142】
合成例8(シロキサン系共重合体(H)の製造)
【0143】
反応性シランとしてそれぞれフェニルトリエトキシシラン30重量部、テトラエトキシシラン70重量部を入れたことを除いては合成例1と同様な方法で実施した。これによってポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が14000であるa)のシロキサン系共重合体(H)を製造した。
【0144】
合成例9(シロキサン系共重合体(I)の製造)
【0145】
反応性シランとしてそれぞれジフェニルジメトキシシラン70重量部、テトラエトキシシラン20重量部、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン10重量部を入れたことを除いては合成例1と同様な方法で実施した。これによってポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が2500であるa)のシロキサン系共重合体(I)を製造した。
【0146】
合成例10(1,2-キノンジアジド化合物(A)の製造)
【0147】
下記化学式6で表されるフェノール化合物1モルと1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸[クロライド]2モルを縮合反応させて、エステル化度が67%である1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸エステル化合物を製造した。
【化2】
【0148】
合成例11(1,2-キノンジアジド化合物(B)の製造)
下記化学式7で表されるフェノール化合物1モルと1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸[クロライド]2モルを縮合反応させて、エステル化度が80%である1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸エステル化合物を製造した。
【化3】
【0149】
比較合成例1(シロキサン系共重合体(J)の製造)
【0150】
反応性シランとしてそれぞれシリルトリエトキシシラン10重量部、テトラエトキシシラン90重量部を入れたことを除いては合成例2と同様な方法で実施した。これによってポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が25000であるシロキサン系共重合体(J)を製造した。
【0151】
比較合成例2(シロキサン系共重合体(K)の製造)
【0152】
反応性シランとしてそれぞれフェニルトリエトキシシラン70重量部、n-ヘキシルトリメトキシシラン30重量部を入れたことを除いては合成例1と同様な方法で実施した。これによってポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が3000であるシロキサン系共重合体(K)を製造した。
【0153】
比較合成例3(シロキサン系共重合体(L)の製造)
【0154】
反応性シランとしてそれぞれブチルトリエトキシシラン90重量部、テトラエトキシシラン10重量部を入れたことを除いては合成例2と同様な方法で実施した。これによってポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が1500であるシロキサン系共重合体(L)を製造した。
【0155】
比較合成例4(シロキサン系共重合体(M)の製造)
【0156】
合成例2で重合完了後に未反応単量体および触媒が含有された上澄み液を除去しないことを除いては合成例2と同様な方法で実施した。これによってポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が7000であるシロキサン系共重合体(M)を製造した。
【0157】
比較合成例5(アクリル系共重合体(A)の製造)
【0158】
冷却器と攪拌機が備えられたフラスコに、テトラヒドロフラン400重量部、メタクリル酸30重量部とスチレン30重量部、およびグリシジルメタクリレート40重量部の混合溶液を投入した。液状組成物を混合容器で十分に混合した後、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)15重量部を追加的に添加した。
【0159】
重合混合溶液を55℃まで徐々に上昇させ、この温度で24時間維持した後、常温に冷却し、重合抑制剤としてヒドロベンゾフェノンを500ppm添加して、固形分濃度が30重量%である重合体溶液を得た。
【0160】
その次に、重合体溶液の未反応単量体を除去するためにn-ヘキサン1000重量部を用いて重合体溶液の100重量部を沈殿させた。沈殿後、メッシュを用いたろ過工程を通じて未反応物が溶解された溶液を除去した。その後、ろ過工程以後にも残っている未反応単量体が含有された溶媒を除去するために30度以下で真空乾燥を実施した。これによってポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が8000であるアクリル系共重合体(A)を製造した。
【0161】
比較合成例6(イミド系共重合体(A)の製造)
【0162】
冷却器と攪拌機が備えられたフラスコにガンマブチロラクトン70重量部、ジアミンの4,4'-ジアミノ-3,3'-ジメチル-ジフェニルメタン100重量部、ジアンヒドリドの2,2-ビス(3,4-アンヒドロジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン100重量部を反応容器に投入し、常温で1時間攪拌しながら反応させた。末端の反応を終結するためにフタリックアンハイドライド20重量部を追加的に投入した後、常温で1時間追加反応させた後に反応を終結させた。これによってポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が10000であるイミド系共重合体(A)を製造した。
【0163】
実施例1(ポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物製造)
【0164】
合成例1で製造したシロキサン系共重合体(A)100重量部と合成例10で製造した1,2-ナフトキノンジアジド化合物(A)25重量部を入れ、固形分含量が25重量部になるようにプロピレングリコールメチルエーテルアセテートで混合して溶解させた後、0.1μmのミリポアフィルターでろ過してポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物を製造した。
【0165】
実施例2(ポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物製造)
【0166】
実施例1で合成例1のシロキサン系共重合体(A)の代わりに合成例2のシロキサン系共重合体(B)を使用したことを除いては実施例1と同様な方法で製造した。
【0167】
実施例3(ポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物製造)
【0168】
実施例1で合成例1のシロキサン系共重合体(A)の代わりに合成例3のシロキサン系共重合体(C)を使用したことを除いては実施例1と同様な方法で製造した。
【0169】
実施例4(ポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物製造)
【0170】
実施例1で合成例1のシロキサン系共重合体(A)の代わりに合成例4のシロキサン系共重合体(D)を使用したことを除いては実施例1と同様な方法で製造した。
【0171】
実施例5(ポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物製造)
【0172】
実施例1で合成例1のシロキサン系共重合体(A)の代わりに合成例5のシロキサン系共重合体(E)を使用したことを除いては実施例1と同様な方法で製造した。
【0173】
実施例6(ポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物製造)
【0174】
実施例1で合成例1のシロキサン系共重合体(A)の代わりに合成例6のシロキサン系共重合体(F)を使用したことを除いては実施例1と同様な方法で製造した。
【0175】
実施例7(ポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物製造)
【0176】
実施例1で合成例1のシロキサン系共重合体(A)の代わりに合成例7のシロキサン系共重合体(G)を使用したことを除いては実施例1と同様な方法で製造した。
【0177】
実施例8(ポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物製造)
【0178】
実施例1で合成例1のシロキサン系共重合体(A)の代わりに合成例8のシロキサン系共重合体(H)を使用したことを除いては実施例1と同様な方法で製造した。
【0179】
実施例9(ポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物製造)
【0180】
実施例1で合成例1のシロキサン系共重合体(A)の代わりに合成例9のシロキサン系共重合体(I)を使用したことを除いては実施例1と同様な方法で製造した。
【0181】
実施例10(ポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物製造)
【0182】
実施例1で合成例10の1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸エステル化合物(A)の代わりに合成例11の1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸エステル化合物(B)を使用したことを除いては実施例1と同様な方法で製造した。
【0183】
実施例11(ポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物製造)
【0184】
実施例1で感光性樹脂組成物製造時にシランカップリング剤として2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン5重量部を追加的に使用したことを除いては実施例1と同様な方法で実施して感光性樹脂組成物を製造した。
【0185】
比較例1(ポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物製造)
【0186】
実施例1で合成例1のシロキサン系共重合体(A)の代わりに比較合成例1のシロキサン系共重合体(J)を使用したことを除いては実施例1と同様な方法で製造した。
【0187】
比較例2(ポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物製造)
【0188】
実施例1で合成例1のシロキサン系共重合体(A)の代わりに比較合成例2のシロキサン系共重合体(K)を使用したことを除いては実施例1と同様な方法で製造した。
【0189】
比較例3(ポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物製造)
【0190】
実施例1で合成例1のシロキサン系共重合体(A)の代わりに比較合成例3のシロキサン系共重合体(L)を使用したことを除いては実施例1と同様な方法で製造した。
【0191】
比較例4(ポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物製造)
【0192】
実施例1で合成例1のシロキサン系共重合体(A)の代わりに比較合成例4のシロキサン系共重合体(M)を使用したことを除いては実施例1と同様な方法で製造した。
【0193】
比較例5(ポジティブ型感光性アクリル樹脂組成物製造)
【0194】
実施例1で合成例1のシロキサン系共重合体(A)の代わりに比較合成例5のアクリル系共重合体(A)を使用したことを除いては実施例1と同様な方法で製造した。
【0195】
比較例6(ポジティブ型感光性ポリイミド樹脂組成物製造)
【0196】
実施例1で合成例1のシロキサン系共重合体(A)の代わりに比較合成例6のイミド系共重合体(A)を使用したことを除いては実施例1と同様な方法で製造した。
【0197】
以上で説明した実施例1乃至11および比較例1乃至6に対して感度、解像度、接着力、透過度、耐熱変色性、水分吸湿率および耐熱性などの物性を測定して下記表1に示した。
【0198】
ガラス基板上にスピンコーターを用いて実施例1乃至11および比較例1乃至5で製造したポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物およびポジティブ型感光性アクリル樹脂組成物を塗布した後、真空乾燥(Vacuum Drying)した後に100℃で2分間、ホットプレート上でプリベークして、厚さが4.0μmである膜を形成した。
【0199】
A)感度:上記のように形成された膜に所定のパターンマスク(pattern mask)を用いて、強度が20mW/cmである紫外線を、5μmコンタクトホールを形成するための照射量を照射した後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38重量%の水溶液で、23℃で1分間現像し、超純水で1分間洗浄した。
【0200】
その後、現像されたパターンに強度が20mW/cmである紫外線を500mJ/cm照射し、オーブンで、230℃で60分間硬化させて、厚さが3.5μmであり、コンタクトホールの大きさが5μmであるパターン膜を得た。
【0201】
この時、5μmコンタクトホールを形成するための照射量を測定した。
【0202】
B)解像度:A)の感度測定時に形成されたコンタクトホールの最小サイズを測定した。
【0203】
C)接着力:A)の感度測定時と同様な方法でパターン(Pattern)膜を形成し、10μm線幅およびスリット幅が1:1である場合を基準にベーク温度による接着力を比較した。この時、プリベーク90℃乃至100℃で接着力が確保される場合を○、プリベーク105乃至115℃で接着力が確保される場合を△、プリベーク120℃以上で接着力が確保されるかそうでない場合を×と示した。
【0204】
D)透過度:透過度の評価はA)の感度測定時に形成されたパターン膜を、分光光度計を用いてパターン膜の400nmの透過率を測定した。この時の透過率が90%以上である場合を○、85~90%である場合を△、80%未満である場合を×と示した。
【0205】
E)耐熱変色性:D)の透過度評価時の測定基板を300℃のオーブンで60分間追加硬化して硬化前後の400nm透過率変化による耐熱変色性を評価した。この時の変化率が5%未満である場合を○、5~10%である場合を△、10%を超える場合を×と示した。
【0206】
F)水分吸湿率:A)の感度測定時と同様な方法で形成されたパターン膜を25℃の恒温水槽に24時間浸漬(dipping)させた前後に対して重量変化を測定し、これによって水分吸湿率を評価した。この時の変化率が0.1%未満である場合を○、0.1~0.5%である場合を△、0.5%を超える場合を×と示した。
【0207】
G)耐熱性:耐熱性はTGAを用いて測定した。A)の感度測定時に形成されたパターン膜をサンプリングした後、TGAを用いて常温から900℃まで分当り10℃ずつ昇温した。熱分解温度(Td)が450℃以上である場合を○、熱分解温度(Td)が350~400℃である場合を△、熱分解温度(Td)が350℃未満である場合を×と示した。
【表1】
【0208】
表1から分かるように、本発明によって実施例1乃至11で製造したポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物は比較例1乃至3および比較例5乃至6に比べて感度が優れ、比較例1乃至6に比べて解像度が優れている。また、比較例1乃至4および比較例6に比べて接着力が優れ、比較例6に比べて透過度、比較例5乃至6に比べて耐熱変色性が優れている。特に比較例1乃至6と比較して優れた耐熱性によってガス放出を抑制し低い水分吸湿率を維持することにより信頼性を向上することができた。
【0209】
このような評価を通じて上記7種類の全ての物性を満足する材料は実施例1乃至11で製造したポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物のみが可能であるのを確認した。
【0210】
以下、本発明の実施例に係るポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物が含む未反応単量体および触媒の量について説明する。未反応単量体の量はガスクロマトグラフィー(GC)を通じて測定し、残存触媒の量はイオンクロマトグラフィー(IC)を通じて測定する。
【0211】
A)感度-5μm大きさのコンタクトホールパターンを形成するための紫外線照射量が80mJ以下である場合を○、80~100mJである場合を△、100mJを超過する場合をXと示した。
【0212】
B)解像度-A)の感度測定時に形成されたコンタクトホールパターン(Pattern)の最小サイズを測定した。最小サイズが2μm以下である場合を○、3μm以上である場合をXと示した。
【0213】
C)水分吸湿率-パターンを25℃の恒温水槽に24時間浸漬した前後に対する重量変化を測定して水分吸湿率を評価した。この時の変化率が0.1%未満である場合を○、0.1~0.5%である場合を△、0.5%を超える場合をXと示した。
【表2】

【表3】
【0214】
上記表2乃至表3によれば、触媒として塩酸が2200ppmである実施例、硝酸が2360ppmである実施例、シュウ酸が2740ppmである実施例および酢酸が2230ppmである実施例は、感度および解像度に対する物性が適切でなく、水分吸湿率もよくなかった。
【0215】
また、未反応単量体の量が10%以上である実施例も解像度または水分吸湿率に対する物性が適切でないのを確認することができた。
【0216】
即ち、前述の表によれば、未反応単量体の含量が10%以下であり、触媒の含量が2000ppm以下であるポジティブ型感光性シロキサン樹脂組成物が適切な感度、解像度および水分吸湿率を提供することができるのを確認した。
【0217】
以上で本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、次の請求範囲で定義している本発明の基本概念を用いた当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0218】
100:可撓性基板
120:バッファー層
121:第1信号線
135:半導体
1355:チャネル領域
1356:ドレイン領域
140:ゲート絶縁膜
155:ゲート電極
160:層間絶縁膜
171:第2信号線
172:第3信号線
176:ソース電極
177:ドレイン電極
180:層間絶縁膜
200:第1表示部
260:封止部材
510:駆動部
1000:表示装置
図1
図2
図3