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特許7018313生体組織へ刺激を送達するデバイスと方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-02
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】生体組織へ刺激を送達するデバイスと方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20220203BHJP
【FI】
A61N1/36
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2017524142
(86)(22)【出願日】2015-07-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2017-08-17
(86)【国際出願番号】 IL2015050763
(87)【国際公開番号】W WO2016103245
(87)【国際公開日】2016-06-30
【審査請求日】2018-07-11
【審判番号】
【審判請求日】2020-08-14
(31)【優先権主張番号】62/103,676
(32)【優先日】2015-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/028,433
(32)【優先日】2014-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517110416
【氏名又は名称】シナプスティム リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】ソロモン,サシ
【合議体】
【審判長】内藤 真徳
【審判官】佐々木 一浩
【審判官】倉橋 紀夫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/085702(WO,A1)
【文献】特表2013-525017(JP,A)
【文献】特表2009-529352(JP,A)
【文献】特表2010-511438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N1/30-A61N1/39
A61M37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気信号を生体組織に送達するシステムであって:
(a)組織表面を穿刺し、組織表面から生体組織内に中空のマイクロチャネルを形成する組織穿刺デバイス;および、
(b)組織表面が前記組織穿刺デバイスに穿刺され、前記組織穿刺デバイスが取り外された後に、それぞれが前記形成された少なくとも1つの中空のマイクロチャネル上に配置され組織表面と接触する、少なくとも2つの表面電極、又は、少なくとも1つの表面電極及び少なくとも1つの低侵襲電極を備え、前記生体組織に中空のマイクロチャネルを通して電気信号を送達するよう構成された刺激装置;
を含む、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、生体組織の1つ以上の電気的、または、光学的性質をモニタリングするよう調節されたプロセッサをさらに含む、システム。
【請求項3】
請求項1および2のいずれか一項に記載のシステムであって、組織穿刺デバイスは、少なくとも1つのマイクロ針を含む、システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のシステムであって、組織穿刺デバイスは、超音波エネルギー、レーザー光線エネルギー、熱エネルギー、および、電気エネルギーのうち、いずれか1つ以上を利用して、組織内にマイクロチャネルを形成する、システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のシステムであって、刺激装置は、電気刺激、電流、および、電気神経刺激のうちのいずれか1つ以上を、生体組織に送達するよう調節された、システム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のシステムであって、プロセッサは、穿刺デバイスの表面電極、または、マイクロ針によって、生体組織内の1つ以上の電気的性質をモニタリングするよう設定された、システム。
【請求項7】
請求項3に記載のシステムであって、組織穿刺デバイスは、1つ以上のマイクロ針からなる1つ以上のマトリクス含む、システム。
【請求項8】
請求項3または7のいずれか一項に記載のシステムであって、マイクロ針は、導電材料、半導体材料、または、超電波導電材料を含む、システム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のシステムであって、プロセッサは、組織の電気的パラメータ、すなわち、組織インピーダンス、組織抵抗、および、組織電荷容量の中から選択した1つ以上をモニタリングする、システム。
【請求項10】
請求項3、7、または、8のいずれか一項に記載のシステムであって、1本以上のマイクロ針は、電流がマイクロ針の先端からのみ流れるよう、電気的に絶縁されたシャフトを有する、システム。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のシステムであって、電極は、湿潤表面電極、接着剤ベース表面電極、ヒドロゲル表面電極、綿表面電極、または、最小侵襲性電極のうちの、いずれか1つ以上である、システム。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のシステムであって、少なくとも1つの電極は、カバーまたはフラップの付いた開口部を備えたパッチに組み込まれ、そのカバーまたはフラップは、パッチを組織表面に当てたときに、その組織表面を露出できるよう、持ち上げたり、取り外したりできる、システム。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のシステムであって、組織穿刺デバイスは、1本以上のマイクロ針を含み、マイクロ針および電極は、単体のアプリケータに収容されている、システム。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載のシステムであって、刺激装置は、3つ以上の電極を含み、プロセッサは、刺激治療の間に、別の電極のペアに給電するよう、さらに設定された、システム。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のシステムであって、刺激装置は、2つ以上の電極を含み、これらの電極は、体表面に付着するように調節されたパッチに収容される、システム。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載のシステムであって、受動型または能動型の移植可能導体素子を、さらに含む、システム。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載のシステムであって、モニタリングするパラメータの1つ以上が、所定の、適応可能な範囲、あるいは、ダイナミック・レンジにある場合、プロセッサが、刺激装置を起動するよう、さらに設定されたシステム。
【請求項18】
請求項13に記載のシステムであって、少なくとも1本のマイクロ針と、少なくとも1つの電極がアプリケータに配設され、それにより、電極は、少なくとも1本のマイクロ針によって形成された少なくとも1つのマイクロチャネルを覆う体表面に接触する、システム。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載のシステムであって、1台以上の組織穿刺デバイス、および、刺激装置を制御する、遠隔制御をさらに備える、システム。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に記載のシステムであって、組織穿刺デバイスは、マイクロチャネルの少なくとも1つの組織を切除するよう設定されている、システム。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか一項に記載のシステムであって、マイクロチャネルを開いたままにするため、電流を組織に印加するよう刺激装置を設定している、システム。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか一項に記載のシステムであって、2箇所以上の組織領域を、同時に、あるいは、連続的に刺激するよう、刺激装置が調節されている、システム。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか一項に記載のシステムであって、穿刺デバイスと刺激装置は、単体の筐体に一緒に収容されている、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚等の組織隔を通して刺激を送達するデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
関連する従来技術として、特許文献1~特許文献6を参照されたい。
【0003】
経皮電気的神経刺激(TENS)は、非侵襲性治療であり、治療を目的とした、表面電極の皮膚表面への配置と、電流を使用した神経への刺激が含まれる。表面電極を使用して、経皮電気的刺激を与える、医療デバイスは様々あることが知られており、鎮痛、疼痛治療、疾病治療、慢性病治療、および、リハビリテーション等、様々な種類の治療で使用されている。皮膚等の組織壁を電流が貫通することは、組織の抵抗や、インピーダンスによって、制限されるので、許容される電流は、典型的に、表在神経のみに到達する。より深くの神経を刺激するため、電流を強くすると、痛み、火傷、または、炎症に至ることがある。
【0004】
侵襲性が低い、経皮的電気神経刺激(PENS)を実行する医療デバイスも知られ、非常に細い鍼を組織に刺し、軟繊維、または、筋肉に入り込み、神経線維を電気的に刺激する。鍼は、治療部位に正確に刺す必要があり、時には、痛みや出血を引き起こす。
【0005】
治療化合物の皮膚への浸透率を引き上げるため、皮膚の角質層を穿刺する、他の医療デバイスが知られている。これらのデバイスは、RF電流、超音波、レーザー光線、抵抗加熱エネルギー技術等のエネルギー源を活用する。これらは、主に、エステティック治療に使用され、さらに、製薬等の大きな分子の経皮的送達の初期段階として使用される。そのようなデバイスは、例えば特許文献1に開示されている。
【0006】
特許文献2では、被験者の脛骨神経の1mm以内に置かれる電極を含み、脛骨神経に電流を印加して多発性神経障害を治療するデバイスを開示している。多発性神経障害は、末梢神経(末梢神経障害)に影響する損傷、または、疾病であり、体の両側のほぼ同じ領域に発症し、衰弱、麻痺、ちくちくする感じ、および、焼けるような痛みを特徴とする。
【0007】
特許文献3では、バッテリー駆動、または、高周波駆動の1つ以上のマイクロ刺激装置を、会陰の下部、もしくは、脛骨神経付近の皮下への、注入、あるいは、腹腔鏡移植を含む、失禁、および/または、骨盤痛の治療について開示している。このシステムと方法は、神経経路を刺激して、膀胱の不随意収縮を減らすことによって、意図しない排尿の症状を減らす傾向がある。排泄物の失禁の症状は、同様に、減らすか、解消できる。
【0008】
さらに、末梢神経系の感覚神経に、高周波刺激を送達することにより、慢性疼痛を治療する、既知のシステムがある。電極は末梢神経の周囲に当て、ペースメーカー・サイズのジェネレータから給電される。
【0009】
過活動膀胱(OAB)、および、それに関連する徴候(尿意逼迫、尿意頻数、および、急迫性尿失禁)を治療するため、経皮脛骨神経刺激を送達する侵襲性を最小限に抑えたシステムも知られている。このシステムは、経皮的刺激に使用され、脛骨神経に電気パルスを送達し、膀胱機能のコントロール・センターである仙骨神経叢に到達する。
【0010】
末梢神経から発症する慢性疼痛を治療するシステムが開示されており、このシステムでは、電気信号を、電極を通して経皮的に送達し、標的神経まで下方に向かって届ける。このデバイスは、標的神経に電気刺激を提供することを目的とするが、刺激エネルギーは、角質層を経ることによって、著しく減衰する。
【0011】
特許文献4は、被験者の神経系の疾患治療のための、移植、システム、および、方法について開示している。この方法では、受動導電体を使用して電流を送達し、標的の生体組織に電気刺激を与え、治療頻度や疾患に応じて、神経刺激を行うか遮断する。神経や筋肉等、電気刺激を受けた生体組織は、皮膚の外側に当てられた電極間に印加された電気エネルギーにより、活性化する。電気エネルギー(例えば電流)が皮膚内部で、陰極電極と陽極電極の間を流れ、電極下部の神経および筋肉に活動電位を誘発する。この方法は、長年、様々なタイプの刺激装置に使用されてきおり:痛みを鎮める経皮的電気神経刺激装置(TENS);エクササイズのために筋肉を活性化させる治療用刺激装置;日常生活の動作に必要な筋肉を活性化させるための、機能的電気刺激装置;および、損傷した骨の再生を促進するための、刺激装置、が含まれる。
【0012】
特許文献5は、リード線なしで心拍数モニタリングを行い、慢性心臓機能障害の治療をするため、頚部迷走神経に電気刺激を与える移植可能なデバイスについて開示している。電気刺激治療のリード線は、頚部の迷走神経鞘の外径に合わせた螺旋電極と、螺旋電極に電気的に接続されたコネクタ・ピンのセットを含む。神経刺激装置は、電気リセプタクルを含み、この内部に向けて、コネクタ・ピンが強くかつ電気的に連結されている。神経刺激装置はさらに、螺旋電極を介して迷走神経を治療目的で刺激するよう設計され、刺激の適用と抑制を交互に行うパルス発生器を含み、活動電位を双方向に発生させることにより、心臓の内在神経系の遠心的な活性化と患者の中枢反射神経の求心的な活性化の両方が実行されるよう、調整されている。
【0013】
特許文献6は、角質層表皮を切除するデバイスについて開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】米国特許第7524317号明細書
【文献】米国特許第8788045号明細書
【文献】米国特許第6735474号明細書
【文献】米国特許第8406886号明細書
【文献】米国特許第7524317号明細書
【文献】米国特許第6148232号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、生体組織内にエネルギーを送達するシステムと方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明のこのシステムは、治療標的の組織表面を穿刺し、組織表面から、その下部の組織に延伸するマイクロチャネルを形成する、組織穿刺デバイスを含む。本システムはさらに、生体組織にエネルギーを送達する、刺激装置を含む。穿刺デバイスは、いずれかの既知の方法で組織表面を穿刺して組織内にマイクロチャネルを形成してもよく、例えば、超音波、レーザー光線、熱、および、電気のうちの1つ以上のエネルギーが関与するものであってもよい。電気刺激、電気神経刺激、および、電磁波放射等、刺激装置からは、どのようなタイプの刺激エネルギーを送達してもよい。
【0017】
本明細書で使用する用語である「マイクロチャネル」は、生体組織内への電気刺激等、刺激の浸透を高めるため、生体組織内で形成されるチャネルのことを言う。皮膚の表面層である角質層は、例えば、皮膚内層と比較して、抵抗と電荷容量が比較的高い。抵抗と電荷容量の特性は、角質層にマイクロチャネルを形成することによって、修正、および/または、低減できる。
【0018】
穿刺デバイスと刺激装置は、コントローラによって制御下に置かれ、コントローラには、穿刺デバイスと刺激装置に電気エネルギーを送達する、電気回路が含まれる。
【0019】
本発明のシステムはさらに、プロセッサを含み、プロセッサは、組織抵抗、インピーダンス、電荷容量、または、工学的密度等、1つ以上の電気的、または、光学的パラメータをモニタリングする。穿刺デバイスを、治療標的の生体組織の表面に当て、起動すると、表面下部の生体組織内にマイクロチャネルが形成される。組織の、光学的または電気的パラメータのうち、少なくとも1つが、所定の範囲内にあると、例えば、組織の光学的または電気的パラメータのうち、少なくとも1つが、初期値に対して、少なくとも所定の割合まで、および/または、適用可能な割合まで下がった場合、組織への刺激が適用される。発明者は、刺激装置を使って所望の効果を達成するのに必要な電流、および/または、電圧、または、光度を下げるため、組織を穿刺することにより、抵抗や電荷容量等の、組織の電気的または光学的パラメータを修正する傾向があることを発見した。これによりさらに、刺激を送達する間に痛みが緩和され、組織のより深い層に、刺激を浸透できることも考えられる。
【0020】
組織の電気パラメータは、例えば、刺激デバイスの表面電極か、穿刺デバイスのマイクロ針により測定してもよい。
【0021】
組織穿刺デバイスは、治療標的の組織表面に押し込まれる、1本以上のマイクロ針を含んでいてもよい。一実施形態において、電流は、2本以上のマイクロ針の間で十分な時間、印可され、局所的な電力が拡散するため、組織内のマイクロ針の周囲に、少なくとも1つのマイクロチャネルが形成される。これにより、組織表面の最外層(皮膚表面の場合は、角質層等)、のマイクロ針周囲の組織が切除される。別の実施形態では、マイクロ針内で超音波パルス波を生成することにより、マイクロチャネルが形成される。さらに別の実施形態では、加熱モジュールが、マイクロ針を加熱することにより、組織内にマイクロチャネルが形成される。
【0022】
組織穿刺デバイスの別の実施形態では、標的組織に電磁波を放射してマイクロチャネルを形成する。
【0023】
本発明のシステムおよび方法は、以下に例示する通り、様々な医療、および、エステティック治療に使用してもよい:
・エステティック治療。これは例えば、顔面のエステティック治療が考えられる。マイクロチャネルおよび刺激装置を、顔面皮膚に当てる。
・痛みの緩和(背部、および/または、手根管症候群、および/または、肩の痛み等)。手根管症候群の治療は、背部側の手首で行ってもよい。背部の痛みに対する治療は、痛みのある領域の最上部で行ってもよい。
・末梢神経を刺激して、体に対し別の治療を行う場合。
・筋肉の動き、または、筋肉の緊張状態の改善。筋肉の治療は、筋肉の領域、および、筋肉の最上部で治療を行ってもよい。
・尿失禁:この治療は、脛骨神経(より具体的には、後部脛骨神経)、または、膣を刺激することによって行ってもよい。
・便失禁:この治療は、脛骨神経を刺激することによって行ってもよい。
・脳卒中後、筋肉を活性化させるための刺激治療。
・リハビリテーション:四肢の筋肉(大腿部や腕の筋肉等)に刺激治療を行ってもよい。骨や靭帯を損傷した場合、刺激治療をリハビリテーションに応用して、特定部位の筋肉量を増強してもよい。さらに、脊髄損傷、および/または、脳卒中等の脳障害によって、麻痺に罹患した被験者の動作の回復に、刺激治療を使用してもよい。機能的改善により、例えば、握る動作が回復することがあり、日常生活における任務を遂行できる。
・直接的または間接的に様々な筋肉に分布する神経の刺激。例えば、てんかん、うつ病、アルツハイマー病、不安、肥満、過食症、耳鳴り、強迫障害、または、心不全の治療に、迷走神経、あるいは、その分岐神経の一つに隣接する、首、顔面、胸、または、胃に対し、刺激治療を行ってもよい。
・迷走神経の刺激治療は、以下に示す何れの兆候に対しても使用してよい:依存症;心配性障害;自閉症;双極性障害;脳性麻痺;慢性頭痛;アルツハイマー病に伴う認知機能障害;昏睡;うつ病;摂食障害(例:拒食症、過食症);本態性振戦;線維筋痛;心不全;持続性片側頭痛;若年性ミオクローヌスてんかん;片頭痛;気分障害;ナルコレプシー;肥満;強迫障害;睡眠障害;耳鳴り、および、ツレット症候群;軽躁人格障害や、その他の器質的過眠症;緊張性頭痛;アルコール性睡眠障害;薬物性睡眠障害;一過性気分障害;自閉性障害;強迫障害;気分変調性障害;アルコール依存症;薬物依存症;非依存薬物乱用;神経性食欲不振症;特定の非器質性睡眠障害;非特定の摂食障害;緊張性頭痛;概日リズム睡眠障害;器質性睡眠時随伴症;器質性睡眠障害;本態性振戦や他の特定形態の振戦;持続性片側頭痛;脳性麻痺;片頭痛;脱力発作、および、ナルコレプシー;リューマチによる心不全;筋肉痛と筋肉炎;睡眠障害;多食症;憂鬱;および、パーキンソン病と頭痛。刺激治療は、他の神経を介してもよく、体内の特定部位、および/または、器官、および/または、神経に直接的に実行してもよい。迷走神経への刺激によって、脳の情緒中枢部における化学物質の不均衡がリセットされる。
・前立腺癌のような癌の治療
・神経刺激による免疫系の制御
・迷走神経刺激による全身的炎症の軽減。迷走神経刺激は、体の自然抗炎症作用を活性化させ、炎症を抑え、臨床的症状や徴候を改善する。抗炎症作用は体の免疫系を調節する、神経生理学のメカニズムである。抗炎症作用は、感染、組織傷害、および、炎症を感知し、この情報を中枢神経系に伝え、次に、迷走神経と、脾臓等の内蔵器官に広く分布する迷走神経および脾臓神経を通して、反射的に周囲の神経信号を増やす。信号は、脾臓のT細胞に伝達され、次に、単核細胞とマクロファージを含む効果細胞に対して、炎症を引き起こし長引かせる媒介物質の生成を減らすよう命じる。関節リウマチ、炎症性腸疾患、乾癬、糖尿病、心臓病、および、多発性硬化症等の、急性および慢性疾患に対する炎症の影響は非常に大きい。
・刺激治療による疼痛緩和、および、以下に挙げる慢性、ならびに、難治性疼痛に対する治療:糖尿病性神経障害;腰椎術後疼痛症候群;複合性局所疼痛症候群;幻肢痛;虚血性下肢痛;難治性片側下肢痛症候群;帯状疱疹後神経痛および急性帯状疱疹疼痛;シャルコー・マリー・トゥース(CMT)病;心不全/心筋梗塞;アルツハイマー病;脳卒中;パーキンソン病;片頭痛。
・糖尿病性神経障害、つまり、神経障害の疼痛、うつ病、糖尿病性末梢神経障害の治療により、治癒が加速し、浮腫を小さくし、慢性糖尿病性末梢神経障害を原因としない疼痛を軽減し、虚血による慢性疼痛を治療する。
・背部の痛み、糖尿病の疼痛、関節痛、線維筋痛、頭痛、反射性交感神経性ジストロフィー、組織の損傷、仙骨神経根、または、腰仙骨神経叢、狭心症と錯感覚性背痛等の、軟繊維、または、神経障害の治療。
・前頸部痛、頚部の神経根症、頚部の痙攣、慢性の首の痛み、腰椎術後疼痛症候群、腰痛、腰の筋肉の痙攣、腰仙の筋筋膜炎、腰仙の神経根症、膝の骨関節炎、帯状疱疹後神経痛、関節炎、癌疼痛、頸痛、結合組織炎関節痛、下背部痛、片頭痛、手術後の疼痛、または、坐骨神経痛の治療。
・急性疼痛、術後疼痛、急性・慢性頭痛、慢性下背部痛、深部腹壁痛、股関節の骨折痛、神経障害疼痛、骨盤痛、顎関節(TMJ)痛;慢性の難治性疼痛、神経刺激(失禁)による筋肉の強さ、の治療。
・創傷治癒のための刺激治療。スタミナと体力を強化するため、または、エクササイズやフィットネス後に筋肉をリラックスさせるため、あるいは、失われた運動機能を回復させるため、特定の筋肉をトレーニングするスポーツ向け刺激治療(例えば、脳や脊髄に障害を有する被験者)。
・腰椎術後疼痛症候群や狭心症の治療に最もよく使用される背部コモン等の慢性疼痛の軽減、または、治療。
・髪を成長させる刺激治療。マイクロチャネルおよび刺激治療は、頭皮に使用してもよい。
【0024】
したがって、本発明の一態様として、生体組織にエネルギーを送達するシステムが提供され、このシステムは:(a) 組織表面を穿刺し、組織表面から、生体組織内にマイクロチャネルを形成する組織穿刺デバイス;および、(b)生体組織にエネルギーを送達する刺激装置を含む。
【0025】
本発明のシステムはさらに、生体組織の1つ以上の電気的、または、光学的性質をモニタリングするプロセッサを含む。
【0026】
本発明のシステムの組織穿刺デバイスは、少なくとも1本のマイクロ針を含んでもよい。本穿刺デバイスは、1本以上のマイクロ針からなる1つ以上のマトリクスを含んでもよい。本マイクロ針は、導電材料、半導体材料、または、超電波導電材料によって作製されていてもよい。1本以上のマイクロ針は、電流がマイクロ針の先端からのみ流れるよう、電気的に絶縁されたシャフトを有していてもよい。
【0027】
組織穿刺デバイスは、超音波エネルギー、レーザー光線エネルギー、熱エネルギー、および、電気エネルギーのうち、いずれか1つ以上を利用して、組織内にマイクロチャネルを形成する。
【0028】
刺激装置を、電気刺激、電流、電気神経刺激、および、電磁波放射のうちのいずれか1つ以上を、生体組織に送達するように調節してもよい。
【0029】
プロセッサは、穿刺デバイスの表面電極、または、マイクロ針によって、生体組織内の1つ以上の電気的性質をモニタリングするよう、設定してもよい。
【0030】
プロセッサは、組織の電気的パラメータ、つまり、組織インピーダンス、組織抵抗、および、組織電荷容量の中から1つ以上を選択して、モニタリングしてもよい。
【0031】
刺激装置は、2つ以上の電極を含んでいてもよく、その場合の電極は、湿潤表面電極、接着剤ベース表面電極、ヒドロゲル表面電極、綿表面電極、または、最小侵襲性電極のうちの、いずれか1つ以上であってよい。少なくとも1つの電極は、カバーまたはフラップの付いた開口部を備えたパッチに組み込まれ、そのカバーまたはフラップは、パッチを組織表面に当てたときに、その組織表面を露出できるよう、持ち上げたり、取り外したりできるよう構成してもよい。
【0032】
組織穿刺デバイスが、1本以上のマイクロ針を含み、刺激装置が2つ以上の電極を含む場合、これらのマイクロ針および電極を単体のアプリケータに収容してもよい。この場合、マイクロ針の少なくとも1本と、電極の少なくとも1つを、アプリケータ内に配設してもよく、それによって、電極を、少なくとも1本のマイクロ針によって形成される少なくとも1つのマイクロチャネルを覆う体表面に接触させてもよい。
【0033】
刺激装置は、3つ以上の電極を含んでいてもよく、プロセッサは、刺激治療の間に、さらに別の電極のペアに給電するよう構成してもよい。
【0034】
刺激装置は、2つ以上の電極を含み、これらの電極は、体表面に付着するように調節されたパッチに収容してもよい。
【0035】
本システムは、受動型または能動型の移植可能な導体素子を、さらに含んでもよい。
【0036】
モニタリングするパラメータの1つ以上が、所定の範囲、適応可能な範囲、あるいは、ダイナミック・レンジにある場合、プロセッサが刺激装置を起動するよう、さらに設定してもよい。
【0037】
本システムはさらに、1台以上の組織穿刺デバイスおよび刺激装置を制御するため、遠隔制御を備えていてもよい。
【0038】
組織穿刺デバイスは、マイクロチャネルの組織を切除するよう、設定してもよい。
【0039】
マイクロチャネルを開いたままにするため、組織に電流を印加するよう、刺激装置を設定してもよい。2箇所以上の組織エリアを、同時に、あるいは、連続して刺激するため、刺激装置を調節してもよい。
【0040】
別の態様として、本発明は、生体組織に刺激を送達するための、以下に示す方法を提供する:(a)生体組織表面に組織穿刺デバイスを当てること;(b) 組織穿刺デバイスを起動して、組織表面を穿刺し、表面下部の生体組織内に、マイクロチャネルを形成すること;および、(c)生体組織にエネルギーを送達すること、を含む方法。
【0041】
本発明の方法において、生成されたマイクロチャネルは、エネルギーの生体組織への浸透力を高めるので、組織の、電子的または光学的パラメータを変えることができよう。
【0042】
本発明を理解し、実際にどのように運用していくかを把握するため、これに限定されない好適な実施形態を、以下の図を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明の一実施形態に基づく、エネルギーを生体組織内に送達するシステムの概略図である。
図2図1のシステムで使用される、コントローラを示す図である。
図3】本発明の一実施形態に基づく、刺激を生体組織に送達する方法の工程図である。
図4】本発明の一実施形態に基づくアプリケータを示す図であって、このアプリケータは、エネルギーを生体組織内に送達するシステムに使用される組織穿刺デバイス内で使用される。
図5】本発明の一実施形態に基づく組織穿刺デバイスを示す図であって、この組織穿刺デバイスは、エネルギーを生体組織内に送達するシステム内で使用される。
図6】本発明の第二実施形態に基づく組織穿刺デバイスを示す図であって、この組織穿刺デバイスは、エネルギーを生体組織内に送達するシステム内で使用される。
図7】本発明の第三実施形態に基づく組織穿刺デバイスを示す図であって、この組織穿刺デバイスは、エネルギーを生体組織内に送達するシステム内で使用される。
図8】本発明の一実施形態に基づく電気刺激装置を示す図であって、この電気刺激装置は、エネルギーを生体組織内に送達するシステム内で使用される。
図9】本発明で使用する、電気信号の1サイクルの例を示す図である。
図10】組織表面を穿刺し、組織表面に電気刺激を印加するシステムの図であって、組織への穿刺と電気刺激は、単体のアプリケータを使用して実行される。
図11a】組織表面を示す図であって、この組織表面内では、マイクロチャネルの3つのクラスタと、マイクロチャネルの各クラスタが、対応する電極の接触エリアを超えて延伸している。
図11b】組織表面を示す図であって、この組織表面内では、マイクロチャネルの2つのクラスタが生成され、各電極の接触エリアが、マイクロチャネルの対応するクラスタを超えて延伸する。
図11c】組織表面を示す図であって、この組織表面内では、マイクロチャネルの1つのクラスタが電極の接触エリアの下部に形成されている。
図12】刺激エネルギーを標的組織に送達し、神経を刺激するか遮断するかを示す図である。
図13】被験者の皮膚表面にアプリケータを当てたことを示す図である。
図14】3つの電極を含む、図13に示すパッチの構成を示す図であり、これら3つの電極は、ペアとなって、同時に、あるいは、連続して起動する。
図15】神経障害の疼痛、または、過活動膀胱の治療における本発明の使用を示す図である。
図16】てんかん、または、高血圧等の疾患の治療における本発明の使用を示す図である。
図17】本発明で使用する、フラップを備えたパッチを示す図であり、このパッチを組織表面に当てた場合、フラップを持ち上げることにより、組織表面下部の領域が露出する。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、本発明の一実施形態に基づく、エネルギーを生体組織内に送達するシステム100の概略を示す。システム100は、組織穿刺デバイス10、および、刺激装置12を含む。組織穿刺デバイス10は、治療標的の組織表面を穿刺し、その組織表面から、下部の組織に、マイクロチャネルを形成する。刺激装置12は、生体組織にエネルギーを送達する。組織穿刺デバイス10、および、刺激装置12は、コントローラ16の制御下に置かれる。組織穿刺デバイス10、および、刺激装置12は、別々の筐体に収容されていても、単体の筐体に一緒に収容されていてもよい。
【0045】
穿刺デバイス10によって、組織表面を穿刺する既知のいずれかの方法を用いて、組織内にマイクロチャネルを形成してもよく、例えば、超音波、レーザー光線、熱、および、電気による、いずれか1つ以上のエネルギーを使用してもよい。電流、電気神経刺激、および、電磁波放射等、刺激装置12からは、どのようなタイプの刺激エネルギーを送達してもよい。
【0046】
図2は、コントローラ16を詳細に示す。コントローラ16は、電気エネルギーを穿刺デバイス10に送達する、電気回路136と、電気エネルギーを刺激装置12に送達する電気回路138を含む。電気回路は、工場出荷時の設定パラメータ、または、ユーザー入力パラメータに基づいて、プロセッサ140の制御下に置かれる。コントローラ16内の電源128は、プロセッサ140、および、電気回路136と138に給電する。ユーザーは、キーパッド等の、ユーザー入力/出力モジュール132を、電気エネルギーの様々なパラメータを入力するために、使用してもよい。入力/出力モジュール132は、遠隔制御を含んでいてもよい。プロセッサ140はさらに、組織への穿刺の程度を判断するため、インピーダンス等の、組織のいくつかの電気的、または、光学的パラメータをモニタリングする。
【0047】
図3は、本発明の一実施形態に基づくシステムが、刺激を生体組織に送達する方法の工程図である。ステップ25では、組織の抵抗、インピーダンス、または、電荷容量等の、組織の1つ以上の電気的、または、光学的パラメータを事前に判定する。ステップ30では、組織表面を穿刺して表面下部の生体組織内にマイクロチャネルを形成するために、組織穿刺デバイス10が治療標的の生体組織の表面に当てられ、起動される。生体組織への穿刺の間、または、穿刺した後、組織の電気的、または、光学的パラメータが測定される(ステップ32)。ステップ34では、組織の光学的または電気的パラメータのうち、少なくとも1つが、ステップ25で決定した初期値に対して、少なくとも所定の割合まで、および/または、適用可能な割合まで低下したかどうかを判断する。以後の刺激治療ステップにおいて、組織内に所望の効果を達成するのに必要な電流、および/または、電圧、または、光度を下げるため、組織を穿刺することにより、組織の電気的または光学的パラメータを修正する傾向がある。これにより、さらに、電気刺激を送達する間の疼痛が緩和され、組織のより深い層への刺激の浸透が促進される。少なくとも、ステップ25で決定した初期値に対する所定の、または、適応可能な割合まで、組織の光学的、または、電気的パラメータのいずれも低下しない場合、そのプロセスは、ステップ30に戻り、組織穿刺デバイスが再起動する。組織穿刺デバイスを、以前と同じ、あるいは、異なる場所で起動させてもよい。ステップ25で決定した初期値に対する、少なくとも所定の、または、適応可能な割合まで、組織の光学的、または、電気的パラメータの少なくとも1つが低下した場合、プロセスは、続けてステップ36にまで進み、そこで刺激装置は、組織表面の全体、および/または、一部、および/または、組織表面の穿刺領域付近に位置し、起動する。位置調節は、穿刺の前、または、穿刺中(ステップ30)に実行され、穿刺中に、刺激装置は移動するか取り外される。刺激治療の終わり、または、治療中に、ステップ38において、追加の刺激治療の必要性を判断する。必要と判断した場合、ステップ40に進み、組織の電気的、または、光学的性質を再測定する必要性を判断する。最初の刺激治療の後、例えば、元のマイクロチャネルが密閉されているか、組織の電気的、または、光学的パラメータが、所定の、あるいは、適用可能な割合まで低下することがない場合、追加のマイクロチャネルが必要となる。必要と判断した場合、プロセスは、ステップ32に戻り、組織の光学的、または、電気的性質を測定する。必要でない場合、プロセスは、ステップ36に戻り、刺激装置が起動される。ステップ38では、追加の刺激治療は必要ないと判断しているので、プロセスは終了する。ステップ36の刺激治療の間、組織の光学的、または、電気的パラメータが周期的に測定され、低下したパラメータが、ステップ25で判定した初期値に戻った場合、プロセスはステップ32に戻る(図示せず)。
【0048】
電気パラメータは、刺激装置の表面電極か、穿刺デバイスのマイクロ針により測定してもよい。
【0049】
電気刺激の場合、刺激治療の前、または、刺激治療中に、生体適合性導電材料を組織表面に当ててもよい。
【0050】
組織穿刺デバイス10は、図4に示す通り、アプリケータ157を備えていてもよい。アプリケータ157は、2つ以上のマイクロ針154からなる1つ以上のマトリックスを含み、少なくとも1つのマイクロチャネルを形成する。マイクロ針154は、1つ以上の電気接続130により、電気回路136に接続される。マイクロ針154は、導体材料、または、半導体材料から作製されていてもよい。マイクロ針を、治療標的の組織表面に押圧し、2つ以上のマイクロ針の間で十分な時間、電流を印加すると、局所的な電流が拡散するため、組織内のマイクロ針の周囲に少なくとも1つのマイクロチャネルが形成される。これは、組織表面の最外層(皮膚表面の場合は、角質層等)、のマイクロ針周囲の組織の切除につながる。
【0051】
各マイクロ針マトリックスは、組織内に、少なくとも1つのマイクロチャネル、および/または、マイクロチャネルの個別のクラスタを形成する。各マトリックスは、組織表面の1、000平方センチメートルまでの領域を覆う。マイクロチャネルの1つ以上のクラスタは、同時に、または、連続的に形成される。2本のマイクロ針を、同じマトリックスに配設してもよい。すべてのマイクロ針を組織表面に同時に当ててもよく、同時に、または、連続的に、電気起動してもよい。マイクロチャネルを効果的に形成するため、近くに配設されたマイクロ針を、同時に起動することが好ましい。別の方法として、様々に組み合わせたマイクロ針を組織表面に同時に当て、同時に、または、連続的に、起動してもよい。例えば、穿刺する標的領域が、マイクロ針マトリックスのサイズよりも、大きい場合、または、組織表面上のいくつかの離れた領域を穿刺する必要がある場合、もしくは、治療の間、部分的に、または、全体的に、マイクロチャネルが密閉される場合、組織表面への穿刺は、一度の治療で、一回以上、行ってもよい。
【0052】
出血や疼痛を避け易くなるよう、マイクロ針の長さは、例えば、10~400μmでよく、直径は、例えば、10~400μmでよい。マイクロ針は、円錐、または、円筒等の形状を有していてもよく、そのような形状を有することにより、組織層表面を穿刺、および/または、切除することができる。一例として、患者の中には、治療部位における組織壁の最外層が非常に厚いことがあるが、そのような場合は、より大きなマイクロ針を使用してもよい。マイクロ針同士の間隔は、約0.01~10mmであってよい。マイクロ針は、マトリックス内に、均一に配設しても、しなくてもよい。皮膚の赤みや腫れが軽減されるよう、マイクロ針をマトリックスに間隔を空けて配設してもよい。
【0053】
隣接するマイクロ針間に印可される電流は、直流(DC)でも、交流(AC)でもよく、周波数は例えば、1kHz~100MHz、またはRFでよく、持続時間は、0.001-1、000msecでよく、休止時間は、0.001-1、000msecでよい。マイクロ針の軸は、電流がマイクロ針の先端からのみ流れ、さらに、治療標的組織の表面層に流れる電流を減らすため、電気的に絶縁されていてもよい。
【0054】
プロセッサ140は、組織への穿刺の程度を判断するため、インピーダンス等の、組織の電気的パラメータをモニタリングする。マイクロチャネルの構成は、マイクロチャネルが形成される間に測定されるパラメータ(組織インピーダンス、導電率、電圧、および/または、電流等)に応じて、調節してもよい。これらのパラメータの値は、被験者の様々なパラメータに基づいて選択しても、動的であってもよい。到達すると、マイクロチャネル生成が完了したことを示す、導電率しきい値を、指定してもよい。1本のマイクロ針の電気パラメータの変化に応じて、プロセッサは、少なくとも1本のマイクロ針に印可される電流または電圧を調節してもよい。
【0055】
マイクロチャネルが形成される間、および、形成後、細胞外液がマイクロチャネルに流入し、これによって、マイクロチャネルのインピーダンスが低下する。これにより、刺激治療(特に電気刺激治療)に対する電力が不足し、刺激エネルギーをより深部に浸透させる。
【0056】
図5は、本発明の別の実施形態に基づく、システム100内で使用する、組織穿刺デバイス10aを示す。デバイス10aは、超音波パルサー312を備え、フロントエンド314に転送する電気信号を生成する電子部品、ソフトウェア、および、フィードバック・メカニズムを有する。フロントエンド314は、電気信号を超音波バルス波に変換する変換器を含む。照合モジュール316により、マイクロ針プレート318とフロントエンド314の間が物理的に接続される。マイクロ針プレート318は、少なくとも1つの、マイクロ針、マイクロ針のマトリックス、または、マトリックスのクラスタを含む。マイクロ針プレート318は、取り外すことができるので、様々な形状のプレートを使用すること、および/または、一人の被験者から別の被験者へ移動させることができる。入出力モジュール132を使用することにより、ユーザーは、穿刺用の選択可能パラメータ(タイミング、エネルギー等)を入力することができるので、マイクロチャネルを形成しながら、被験者が感じる熱さ、および/または、痛みは、最小限に抑えられる。
【0057】
超音波バルス波をマイクロ針に送達する場合、いくつかの動作モードが使用できる。例えば、超音波バルス波をマイクロ針プレートに送達する、単一変換器を使用してもよく、それによって、超音波バルス波は、マイクロ針を経由して、組織に進む。別の例として、デバイス10aは、様々に組み合わされたマイクロ針内に超音波バルス波を生成するように構成された、超音波変換器のアレイを含んでいてもよい。これによって、様々に組み合わせたマイクロ針を、異なる回数、または、異なるパラメータによって起動してもよい。マイクロチャネル形成は、マイクロ針のセット毎に同時、または、連続的に行ってもよい。電気信号は、1本以上のマイクロ針を通して印加し、マイクロ針の超音波エネルギーを調節するため、電気パラメータを測定することができる。
【0058】
超音波パルス波の周波数は、例えば、1~50MHzの範囲でよく、強度は、0.1~5W/平方ミリの範囲でよい。各マイクロ針によって送信されるエネルギーは、チャネル毎に、0.01~100ジュールとなる。超音波バルス波の周波数と強度は、被験者によって違ってもよく、さらに、同じ被験者であっても、解剖学的、および、生理学的相違によって変えてもよい。パルスの間隔時間は、組織の過熱を減らすか、避けるため、1秒未満でもよい。
【0059】
マイクロ針プレート、および、マイクロ針は、例えば、チタンやアルミニウム等の金属や、超音波バルス波を送達可能な材料から作製してもよい。マイクロ針はさらに、導電性であってよく、それによって、電気エネルギーを送達し、および/または、マイクロチャネル形成の程度を示す電気パラメータを測定することができる。
【0060】
図6は、本発明のさらに別の実施形態に基づく、システム100内で使用する、組織穿刺デバイス10bの一例を示す。デバイス10bは、マイクロチャネルを形成するためのエネルギーを生成するレーザー等の、電磁波放射エミッタ・モジュール412を含む。電源128は、電磁波放射エミッタ・モジュール412にエネルギーを供給する。ドライバと電子部品414は、エミッタ・モジュール412を制御する。入出力デバイス・モジュール132により、電磁パルスの持続時間や強度等の電磁波放射パラメータを選択することができる。
【0061】
マイクロチャネルは、光学機械レンズ、および/または、ミラー416、ならびに、光学素子418の起動によって形成され、十分な電磁波放射エネルギーを標的組織に当てて、マイクロチャネルを形成し、光線を標的組織に当てて、複数のマイクロチャネルを形成する。マイクロチャネルの直径は、1~1、000μmでよく、その間隔は、5~5、000μmでよい。表面電極(図6に図示せず)を、マイクロチャネル形成の程度が示されるよう、組織の電気パラメータを測定するのに使用してもよい。
【0062】
図7は、本発明のさらに別の実施形態に基づく、システム100内で使用する、組織穿刺デバイス10cを示す。電源128は、加熱モジュール468にエネルギーを供給する。入出力モジュール132により、持続時間や温度等の加熱パラメータを制御することができる。プロセッサ140は、加熱モジュールを含め、デバイスを制御する。このデバイスには、マイクロ針プレート474の温度を測定する温度計を含み、マイクロ針プレートには、少なくとも1本のマイクロ針が含まれ、組織が過熱することを避ける。マイクロ針は、熱を伝えるように設計されており、その熱は先端から、様々な時間間隔で拡散させることができる。加熱温度は、34~80℃の範囲でよい。
【0063】
図8は、本発明の一実施形態に基づく、システム100内で使用する、電気刺激装置12aを示す。刺激装置12aは、2つ以上の電極24を含む。図8に、2つの電極である、電極24aおよび24bを示す。一例として取り上げるに過ぎないが、デバイス12aは、治療内容に合わせて必要な個数の電極を含んでいてもよい。電極24は、体表面に当てられ、治療内容に適合する表面電極であるか、組織表面への浸透に適合する侵襲性が最小である電極でよい。穿刺デバイス内のマイクロ針は、侵襲性が最小の電極としての機能も果たすよう、調節してもよい。電極は、例えば、湿式(液体/水ベース)、接着材ベースのヒドロゲル電極、または、綿電極でよい。電源128は、電子回路に給電し、交流、または、直流の電圧信号、あるいは、交流、または、直流の電流信号を、電気接続130を介して、電極24に印加する。入力/出力モジュール132は、ユーザーが、電気刺激治療の様々なパラメータ(電極全体への電圧、電流、パルス周波数、パルス持続時間、電気インパルスの周期性、パルス・タイプ、および、電気刺激のタイミング等)を入力するために、使用してもよい。刺激治療の間の電極への給電は、異なるペアの刺激電極間で切り替えてもよい。工場設定パラメータ、および、ユーザー入力パラメータに基づき、プロセッサ140は、電気回路を制御し、電極24に給電する。プロセッサはさらに、電気信号、および、デバイスによって測定されたパラメータをモニタリングするのに使用してもよい。マイクロチャネル形成に続いて電気刺激治療を行うことにより、マイクロチャネルの密閉が避けられるので、治療時間を延ばすことができる。
【0064】
電気治療は、電流、または、電圧によって制御してもよい。電流パルスは、治療目的に応じて、対称でも非対称でもよい。パルスは、電荷平衡二相パルスでよい。刺激治療の周波数は、0.01~10、000Hz、電流振幅は、0.001~100mA、パルス幅は、1~2、000μsec、および、電圧は、最大600Vでよい。図9の信号108は、使用する電気信号の1サイクルの例を示す。
【0065】
電極間の距離は、治療標的の組織の深度と位置によって判断してよい。一般的に、体表面下部の治療標的組織が深くなるにつれて、電極間の必要な距離は長くなる。電極間の距離は、動的であり、その場で判定してよい。
【0066】
図10は、組織表面を穿刺し、組織表面に電気刺激を印加するシステム175を示し、組織への穿刺と電気刺激は、単体のアプリケータ117(ハンドヘルド・アプリケータでもよい)を使用して実行する。アプリケータ117は、電極24を2つ以上、および、マイクロ針154のマトリクスを1つ以上含む。少なくとも1つの電極が、少なくとも1つの形成されたマイクロチャネルに、全体的、または、部分的に覆うように、もしくは、近くに配設される。図10に、2つの電極である、電極24aおよび24bを示す。一例として取り上げるに過ぎないが、アプリケータ117は、治療内容に合わせて必要な個数の電極を含んでいてもよい。電極24は、組織表面に当てられ、治療内容に適合する表面電極であるか、侵襲性が最小である電極でよく、その場合、マイクロ針154は、侵襲性が最小の電極としての機能も果たすよう、調節してもよい。工場設定パラメータ、または、ユーザー入力パラメータに基づいて、電源128は、電気エネルギーをマイクロ針に送達する電気回路136、および、電気接続13を介して電極24に電気エネルギーを送達する電気回路138に給電する。入力/出力モジュール132は、穿刺と電気刺激の様々なパラメータ(マイクロ針および/または電極全体への電圧、電流、周波数、持続時間、電気パルスの周期性、および、電気刺激のタイミング等)を入力するために、使用してもよい。プロセッサ140はさらに、組織への穿刺の程度を判断するため、組織インピーダンス等の電気的パラメータをモニタリングしてもよい。穿刺後、電極に給電する前であれば、マイクロ針154を、アプリケータから取り外しても、取り外さなくてもよい。マイクロ針154を組織内に挿入した後、マイクロ針154を外さず、電極24と共に、電気刺激治療プロセスに進んでよく、それによって、マイクロ針を介して、電気刺激治療が提供される。穿刺と刺激治療の間の切り替え設定は、機械的、または、電気的に実行してもよい。
【0067】
マイクロチャネルの位置に相対した、刺激治療の位置は、治療内容の必要性に応じて判断してもよい。一般的に、電極が、マイクロチャネルを覆う組織表面上に置かれていると、刺激治療の効率性は高くなる傾向がある。刺激を組織に深く浸透させるため、低いエネルギーが必要となる。これによって、痛みは抑えられ、治療効果は向上し、治療時間は短くなる。図11aは、第一例として、マイクロチャネル27の3つのクラスタ26a、26b、および、26cが内部に形成された組織表面25を示す。さらに、組織表面25上の3つの電極の接触領域24a、24b、および、24cの境界を示す。この例では、マイクロチャネルの各クラスタが、対応する電極の接触領域を越えて延伸する。図11bは、第二例として、マイクロチャネル27の2つのクラスタ26d、および、26eが内部に形成された組織表面25を示す。さらに、組織表面25上の2つの電極の接触領域24d、および、24eの境界を示す。この例では、各電極の接触領域が、マイクロチャネルの対応するクラスタを越えて延伸する。マイクロチャネルの抵抗は、刺激治療電極24に接触する非穿刺組織領域よりも低いので、刺激治療の間、ほとんどの電流は、マイクロチャネルを貫通することが見込まれる。図11cは、第三例として、内部に、マイクロチャネル27の1つのクラスタ26fが電極の接触領域24fの下部に形成された、組織表面25を示す。マイクロチャネルは、第2電極の接触領域24gの下部には存在しない。電極およびマイクロチャネル・クラスタの数も制限することなしに、上記の例をどのように組み合わせてもよい。
【0068】
図12は、システム100を使用して、刺激エネルギーを標的組織602に送達し、神経を刺激するか遮断するかを示す図である。移植可能導体素子604は、組織の下部に注入され、その一方の側面は、組織表面と電極24に近接して配設され、他方の側面は、標的組織602に近接して配設される。マイクロチャネル27は、少なくとも1つの電極の下部、または、近くに形成される。この例で、マイクロチャネルは、組織表面である、角質層601を切除し、刺激エネルギーを送達するが、より具体的には、電流等の電気刺激エネルギーを、電極24から、移植可能導体素子604を通して、神経602等の標的組織に送達する。移植可能導体素子は、受動的でよく、または、刺激エネルギーを貯蔵するか、標的組織に送達するエネルギーの強度を変更、または、増幅する能動素子を有していてもよい。このデバイスを、神経疾患の治療に使用してよく、この場合の標的組織は、神経になる。1つの電極が、移植可能導体素子604のピックアップ・エンド604bを覆うように配設され、電流が、移植可能導体素子のピックアップ・エンド604bから、エンド604aに送られることにより、刺激が標的体組織602に送達される。次に電流は、標的体組織を通り抜け、体組織を介して、他の表面電極に流れ、標的体組織602を刺激する。
【0069】
システムのアプリケータは、体表面に付着するよう、パッチの形状を有する。パッチ型のアプリケータは、長時間の刺激が所望される場合に、有益であると考えられる。
【0070】
図13は、被験者200の皮膚表面にアプリケータ210を当てた状態を示す図である。パッチ・アプリケータを、例えば、以下の治療に使用してもよい:睡眠時無呼吸や、いびき等の睡眠障害;男性のインポテンツ;過活動膀胱;鎮痛;および、神経障害鎮痛。刺激箇所と標的組織(図13に図示せず)の間に配設した、移植リードを介して、電気刺激を標的組織に送達してもよい。
【0071】
図14は、パッチ210の構成を示す。パッチ210は、3つの電極251、252、および、253を含み、ペアになって、同時に、または、連続的に作動させてもよい。パッチは、すべての電子部品、および/または、一部の電子部品を含んでいてもよく、あるいは、外部の電子部品にワイヤーを介して接続されていてもよい。マイクロチャネルは、少なくとも1つの電極の下部に形成されてもよい。
【0072】
睡眠時無呼吸や、いびきの治療場合、図14のように、パッチ形状のアプリケータ210を、首の前側、あごの下、または、被験者の頤下三角に貼り付け、それによって、電流が舌下神経を通過し、十分なエネルギーが印加され、舌が前方に移動する。上部気道膨張の最大の原因となる咽頭筋は、頤舌筋である。この筋肉は、舌の前方への移動と、前部咽頭壁の硬化に関与する。左および右の舌下神経は、それぞれ、左および右に頤舌筋に分布する。電気刺激を片側の舌下神経のみに送達すると、舌を前方に引き出すことができる。咽頭筋が収縮すると気道が開き、舌が前方に引き出されることにより、呼吸が正常に回復する。
【0073】
電極のペアを様々に組み合わせて連続的に起動する、刺激治療のパターンによって、筋肉は、周期的にリラックスする。例えば、電極251と252の間に配設される電極252は、電極251と共に作動し、首の片側に印可され、電極252は、電極253と共に起動し、首のもう一方側に印可される。別の例として、パッチは、電極252と251のみか、電極252と253のみを含んでいてもよく、このような場合、首の片側の神経のみが刺激される。また、電極251と253のみを含んでいてもよい。パッチ210は、本発明のシステムで使用してもよく、このシステムは、いびきや無呼吸等の睡眠障害の兆候を検出するセンサを含む。このシステムはさらに、睡眠障害の兆候、および/または、呼吸リズムを検出するセンサを含むので、非連続的な刺激を送達することができる。
【0074】
図15は、本発明のシステムを治療に使用する場合を示し、これらの治療には、末梢神経障害疼痛、または、多発性神経障害、多発性神経障害骨盤痛等の慢性痛、過活動膀胱(OAB)、および、尿意逼迫、尿意頻数、および、急迫性尿失禁に関する徴候が含まれる。本システムは、脛骨神経を刺激するために使用する。脛骨神経355は、坐骨神経から分岐した神経であり、脚部で終端する。マイクロチャネルは、電極24aと24bの少なくとも1つが貼り付けられる皮膚内の領域に形成され、電極24a、および/または、24bが、脛骨神経に最大の刺激エネルギー(例えば電気エネルギー)を送達できるよう、脛骨神経を覆うように配設される。マイクロチャネルは、角質層を切除し、電気エネルギーを脛骨神経に、非常に深く浸透させる。図15に示す通り、エネルギー(例えば電流)が脛骨神経を通過し、十分なエネルギー(例えば電流)を、脛骨神経355に印可できるよう、電極24aおよび24bを足首の近くに貼り付けてもよい。電極を、脛骨神経が皮膚表面に比較的近い、足首の近くの位置に配設してもよい。電極は、治療毎に交換してもよい。治療内容によっては、被験者は、本デバイスを使用した治療を家庭、または、診療所で、1回30分、週に1~2回、約12週間に渡って、受けてもよい。治療内容によっては、被験者に対し、一日に1回以上、数か月の間、治療してもよい。治療内容によっては、被験者を継続して治療してもよい。後部脛骨神経の位置は、既知の技術、例えば、つま先の動きを観察して、判断してもよい。刺激箇所と標的組織の間に配設した、移植リードを介して、電気刺激を標的組織に送達してもよい。
【0075】
図16に示す通り、てんかん、または、高血圧等の疾患の治療では、迷走神経701を覆う皮膚内にマイクロチャネルが形成され、電極24を、迷走神経を覆う皮膚上に配設して、治療を行う。
【0076】
図17は、パッチ678aであり、システム100内で使用してもよい。パッチ678aは、組織表面に当てるよう、調節されている。このパッチは、フラップ680を含み、このパッチを組織表面に当てた場合、フラップを持ち上げることにより、組織表面下部の領域682が露出する。1つ以上の電極24aが(図17では極細線で示す)、パッチ678aの下側に貼り付けられている。第2電極24bは、パッチ678aの下側に貼り付けるか、図17に示すように、別のパッチ678bの下側に貼り付けてもよい。パッチ678aを組織表面に当てた後、フラップ680を開いて、組織表面の領域682を露出し、組織穿刺デバイスを、組織表面の露出した領域682に当てると、マイクロチャネル27が領域682に形成される。次に、組織穿刺デバイスを取り外し、フラップ682を閉じる。このようにして、電極24aを、組織表面の穿刺した領域682を覆う位置に置き、刺激エネルギーを穿刺した組織に直接、送達することができる。
【0077】
男性のインポテンツの治療については、パッチ形状のアプリケータを、男性器に分布し勃起を司令する神経(例えば、海綿体神経や背神経)を覆う皮膚の上に当てる。この治療によって、陰茎への血流が高まる。
【0078】
血流を高めるため、アプリケータを、血流の低い領域の組織表面、または、血流に影響を与えている体の他の場所を覆うように当ててよい。
【0079】
慢性負傷等、傷の治療に関しては、アプリケータを傷の上、または、付近に当ててよい。この治療では、様々なタイプの電気刺激を印可してもよい。電気刺激に、高電圧パルス電流(HVPC)を使用してもよい。
【0080】
ベル麻痺等の顔面の神経疾患に対し、本発明を実施し、顔面神経を刺激する治療を行ってもよい。
【0081】
セリュライト減量等のエステティック治療として、減量しようとするセリュライトを覆う皮膚を刺激することによって行ってもよい。この治療では、筋緊張を刺激するコラーゲン、エラスチン、および、アデノシン三リン酸(ATP)の生成を、維持するか、増やすことにより老化の兆候を減らし、顔面の筋緊張が高まることにより、皮膚の弾力性が増し、ライン、しわ、および、粗い質感がなめらかになる。さらに、筋組織に栄養素が供給されるので、組織への血流が増え、筋緊張が維持される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11a
図11b
図11c
図12
図13
図14
図15
図16
図17