(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-02
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28F 3/08 20060101AFI20220203BHJP
F24H 9/00 20220101ALI20220203BHJP
F28D 9/02 20060101ALI20220203BHJP
F28F 3/04 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
F28F3/08 311
F24H9/00 A
F28D9/02
F28F3/04 Z
(21)【出願番号】P 2018082167
(22)【出願日】2018-04-23
【審査請求日】2020-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】小代 卓史
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1389465(KR,B1)
【文献】実開平05-052583(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 3/00-3/14
F28D 9/00-9/04
F24H 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼排気の下流側に配設され且つ、流入管から被加熱流体が流入し、流出管から前記被加熱流体が流出する熱交換器であって、
被加熱流体が流れる内部空間と、前記内部空間に対し非連通状態に貫通し前記燃焼排気が流れる複数の排気孔と、前記内部空間に被加熱流体を流入させる少なくとも1つの流入口と、前記内部空間から被加熱流体を流出させる少なくとも1つの流出口とを有する熱交換ユニットが、前記燃焼排気の流
れ方向に複数積層され、
隣接する熱交換ユニット各々の内部空間は、一方の熱交換ユニットの流出口と、他方の熱交換ユニットの流入口とを介して相互に連通しており、
前記各熱交換ユニットにおける少なくとも1つの流入口と、少なくとも1つの流出口とは、前記熱交換ユニットの長手方向の両端部に配置されており、且つ短手方向にずれて配置され
、
前記排気孔は、前記各熱交換ユニットの内部空間内を流れる被加熱流体の流れ方向に対して略直交する長辺を備えた長孔形状を有する熱交換器。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換器において、
前記各熱交換ユニットは、平面視略矩形状または略小判形状を有し、
前記各熱交換ユニットにおける少なくとも1つの前記流入口は、前記各熱交換ユニットの少なくとも1つのコーナ部近傍に設けられ、
前記各熱交換ユニットにおける少なくとも1つの前記流出口は、前記コーナ部近傍に設けられている前記流入口に対して、前記各熱交換ユニットの略対角線上に位置する他のコーナ部近傍に設けられている熱交換器。
【請求項3】
請求項1
または請求項
2に記載の熱交換器において、
前記積層された複数の熱交換ユニットのうち、前記燃焼排気の
流れ方向の最下
流に位置する熱交換ユニットより
もさらに前記燃焼排気の下流側に、
前記最下流に位置する熱交換ユニットの内部空間を流れる被加熱流体が当該熱交換ユニットを通過した燃焼排気によって下流側から加熱されるように、前記燃焼排気が通過する複数の通過孔を備える偏向プレートが配設され、
前記偏向プレートを前記燃焼排気の下流側から見たとき、前記通過孔は、前記燃焼排気の最下流側に位置する熱交換ユニットの排気孔とずれて配置されている熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の熱交換ユニットが積層された熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上熱交換プレートと下熱交換プレートとが接合された熱交換ユニットを複数積層させてなる熱交換器が提案されている(特許文献1)。各熱交換ユニットは、上熱交換プレートと下熱交換プレートとの間に被加熱流体が流れる内部空間と、内部空間を貫通し、バーナから噴出される燃焼排気が上下方向に通過する排気孔とを有している。
【0003】
特許文献1の熱交換器において、上下熱交換プレートの各々は、左右方向の両端における前後方向の略中央部に貫通孔を有している。従って、複数の熱交換ユニットを積層させると、各貫通孔が、内部空間に被加熱流体が流入する流入口または内部空間から被加熱流体が流出する流出口を形成する。また、この熱交換器では、熱交換器に被加熱流体を流入させる流入管と、熱交換器から被加熱流体を流出させる流出管とは、最上層の熱交換ユニットの左右方向の両端における前後方向の略中央部の貫通孔に上方から接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の熱交換器では、各熱交換ユニットの流入口及び流出口は、前後方向の中心線上に位置している。そのため、流入口から内部空間に流入する被加熱流体は、内部空間の前後方向の中央部を通って直線的に流出口に流れ易い一方、被加熱流体が内部空間の前後方向に広がり難い。その結果、内部空間のコーナ部近傍を流れる被加熱流体の流量は、前後方向の中央部を流れる被加熱流体のそれに比べて、少なくなる。このような偏った被加熱流体の流れが形成されると、被加熱流体が少ない流量で流れる状況において、被加熱流体の流量の少ないコーナ部近傍でローカルヒートが生じて、沸騰音による騒音が発生する虞がある。特に、特許文献1の熱交換器では、各熱交換ユニットの内部空間を貫通する排気孔は、被加熱流体の流れる方向と平行な方向に長辺が延在する長孔形状を有する。そのため、排気孔によって被加熱流体の流れが妨げられず、被加熱流体が流入口から流出口に向かって短絡的に流れやすい。また、偏った被加熱流体の流れが形成されると、排気孔を通過する燃焼排気による被加熱流体の加熱が不均一となり、熱効率が低下するという問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、各熱交換ユニットの内部空間における被加熱流体の流れの偏りを低減して、ローカルヒートによる騒音の発生を防止しつつ、高熱効率の熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、
燃焼排気の下流側に配設され且つ、流入管から被加熱流体が流入し、流出管から前記被加熱流体が流出する熱交換器であって、
被加熱流体が流れる内部空間と、前記内部空間に対し非連通状態に貫通し前記燃焼排気が流れる複数の排気孔と、前記内部空間に被加熱流体を流入させる少なくとも1つの流入口と、前記内部空間から被加熱流体を流出させる少なくとも1つの流出口とを有する熱交換ユニットが、前記燃焼排気の流れ方向に複数積層され、
隣接する熱交換ユニット各々の内部空間は、一方の熱交換ユニットの流出口と、他方の熱交換ユニットの流入口とを介して相互に連通しており、
前記各熱交換ユニットにおける少なくとも1つの流入口と、少なくとも1つの流出口とは、前記熱交換ユニットの長手方向の両端部に配置されており、且つ短手方向にずれて配置され、
前記排気孔は、前記各熱交換ユニットの内部空間内を流れる被加熱流体の流れ方向に対して略直交する長辺を備えた長孔形状を有する熱交換器が提供される。
【0008】
上記熱交換器によれば、各熱交換ユニットにおける少なくとも1つの流入口と少なくとも1つの流出口とは、熱交換ユニットの長手方向の両端部に配置されるとともに、短手方向にずれて配置される。それゆえ、上記流入口から内部空間に流入する被加熱流体は、流入口と流出口が長手方向及び短手方向にずれている分、被加熱流体の移動距離が長くなる。従って、被加熱流体は、流入口から流出口に向かって内部空間内を広がりながら流れる。これにより、内部空間における被加熱流体の流れの偏りを低減できる。
また、上記熱交換器によれば、被加熱流体は、排気孔の長辺に衝突しながら、流入口から流出口に向かって流れる。従って、内部空間における水流路が長くなるから、被加熱流体の吸熱時間を長くすることができる。
【0009】
好ましくは、上記熱交換器において、
前記各熱交換ユニットは平面視略矩形状または略小判形状を有し、
前記各熱交換ユニットにおける少なくとも1つの前記流入口は、前記各熱交換ユニットの少なくとも1つのコーナ部近傍に設けられ、
前記各熱交換ユニットにおける少なくとも1つの前記流出口は、前記コーナ部近傍に設けられている前記流入口に対して、前記各熱交換ユニットの対角線上に位置する他のコーナ部近傍に設けられる。
【0010】
上記熱交換器によれば、少なくとも1つの流入口は、平面視略矩形状または略小判形状を有する各熱交換ユニットの少なくとも1つのコーナ部近傍に設けられる。これにより、被加熱流体が流れ難いコーナ部近傍から内部空間に被加熱流体を流入させることができる。
【0011】
また、上記熱交換器によれば、少なくとも1つの流出口は、上記コーナ部近傍に設けられている流入口に対して、各熱交換ユニットの略対角線上に位置する他のコーナ部近傍に設けられる。これにより、流入口から内部空間に流入する被加熱流体は、流出口に向かって内部空間をより大きく広がりながら流れる。これにより、さらに内部空間における被加熱流体の流れの偏りを低減できる。
【0014】
好ましくは、上記熱交換器において、
前記積層された複数の熱交換体のうち、前記燃焼排気の流れ方向の最下流に位置する熱交換ユニットよりもさらに前記燃焼排気の下流側に、前記最下流に位置する熱交換ユニットの内部空間を流れる被加熱流体が当該熱交換ユニットを通過した燃焼排気によって下流側から加熱されるように、前記燃焼排気が通過する複数の通過孔を備える偏向プレートが配設され、
前記偏向プレートを前記燃焼排気の下流側から見たとき、前記通過孔は、前記燃焼排気の最下流側に位置する熱交換ユニットの排気孔とずれて配置される。
【0015】
従来、燃焼排気の最下流側に位置する熱交換ユニットにおいては、燃焼排気が排気孔を通過した後、そのまま下流に抜けてしまうため、熱交換ユニットの下流側で十分に吸熱出来ていなかった。しかしながら、上記熱交換器によれば、最下流側に位置する熱交換ユニットの排気孔を通過した燃焼排気によって、最下流側に位置する熱交換ユニットを燃焼排気の下流側から効率的に加熱することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、複数の熱交換ユニットが積層されてなる熱交換器において、各熱交換ユニット内の被加熱流体の流れの偏りを低減することができる。従って、ローカルヒートによる騒音の発生を抑制した高熱効率の熱交換器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態に係る熱交換器の組み付け状態を示す一部切欠斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る熱交換器の要部分解斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る熱交換器の熱交換ユニットの分解斜視図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る熱交換器の断面斜視図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る熱交換器の他の断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係る熱交換器について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施の形態の熱交換器は各種熱源機に組み込まれる。
図1に示すように、本実施の形態の熱源機は、流入管(20)から熱交換器(1)内に流入する水(被加熱流体)を、バーナ(31)で生成される燃焼排気により加熱し、流出管(21)を通じてカランやシャワーなどの温水利用先(図示せず)に供給する給湯器である。図示しないが、給湯器は、ケーシング内に組み込まれる。なお、被加熱流体として、他の熱媒体(例えば、不凍液)が用いられてもよい。
【0019】
この給湯器では、上方から順に、バーナ(31)の外郭を構成するバーナボディ(3)、燃焼室(2)、熱交換器(1)、及びドレン受け(40)が配設されている。また、バーナボディ(3)の一方側方(
図1では右側)には、バーナボディ(3)内に燃料ガスと空気との混合ガスを送り込む燃焼ファンを備えるファンケース(4)が配設され、バーナボディ(3)の他方側方(
図1では左側)には、ドレン受け(40)と連通する排気ダクト(41)が配設される。排気ダクト(41)は、ドレン受け(40)に排出される燃焼排気を給湯器の外部に排出する。
【0020】
なお、本明細書では、ファンケース(4)及び排気ダクト(41)がバーナボディ(3)の両側方にそれぞれ配置された状態で給湯器を見たとき、奥行方向が前後方向に対応し、幅方向が左右方向に対応し、高さ方向が上下方向に対応する。
【0021】
バーナボディ(3)は、平面視略小判形状を有するように、例えば、ステンレス系金属で形成される。図示しないが、バーナボディ(3)は、下方に開放している。
【0022】
ファンケース(4)と連通するガス導入部は、バーナボディ(3)の中央部から上方に突出している。バーナボディ(3)は、下向きの燃焼面(30)を有する平面状のバーナ(31)を備える。燃焼ファンを作動させることにより、混合ガスがバーナボディ(3)内に供給される。
【0023】
バーナ(31)は、全一次空気燃焼式のバーナ(31)であり、例えば、下向きに開口する多数の炎孔(図示せず)を有するセラミックス製の燃焼プレート、または金属繊維をネット状に編み込んだ燃焼マットからなる。バーナボディ(3)内に供給された混合ガスが、燃焼ファンの給気圧によって、下向きの燃焼面(30)から下方へ向けて噴出される。この混合ガスを着火させることにより、バーナ(31)の燃焼面(30)に火炎が形成され、燃焼排気が生成される。従って、バーナ(31)から噴出される燃焼排気は、燃焼室(2)を介して熱交換器(1)に送り込まれる。次いで、熱交換器(1)を通過した燃焼排気は、ドレン受け(40)及び排気ダクト(41)を通って給湯器の外部に排出される。
【0024】
すなわち、この熱交換器(1)では、バーナ(31)が設けられている上方側が燃焼排気の上流側に対応し、バーナ(31)が設けられている側と反対側の下方側が燃焼排気の下流側に対応する。
【0025】
燃焼室(2)は、平面視略小判形状を有する。燃焼室(2)は、例えば、ステンレス系金属で形成される。燃焼室(2)は、上下に開放するように、一枚の略長方形状の金属板を湾曲させて両端部を接合することにより形成される。燃焼室(2)の上端には、
図5に示すように、外方に折り曲げられたフランジ(26a)が形成され、燃焼室(2)の下端には内方に折り曲げられたフランジ(26b)が形成されている。これらのフランジ(26a)(26b)は、それぞれ、バーナボディ(3)の下面周縁及び熱交換器(1)の上面周縁と接合される。
【0026】
熱交換器(1)は、平面視略小判形状を有する。熱交換器(1)は、
図4及び
図5に示すように、複数(ここでは、8層)の熱交換ユニット(10)と、最下層の熱交換ユニット(10)の下方に連接された偏向プレート(5)とが積層されたプレート積層体(100)を有する。なお、熱交換器(1)は、その周囲を覆う筐体を有してもよい。
【0027】
各熱交換ユニット(10)は、排気孔の位置などの一部の構成が相違する以外は、共通の構成を有する一組の上熱交換プレート(11)と下熱交換プレート(12)とを上下方向に重ね合わせて、後述する所定箇所をロウ材等で接合することにより形成される。このため、共通の構成について先に説明し、異なる構成は後述する。
【0028】
上下熱交換プレート(11)(12)は、
図3に示すように、平面視略小判形状を有し、例えば、ステンレス製の金属板から形成される。上下熱交換プレート(11)(12)は、それぞれ、コーナ部を除くプレートの略全面に多数の略長孔形状の上下排気孔(11a)(12a)を有する。上下排気孔(11a)(12a)は、前後方向に長辺が延在するように形成される。
【0029】
また、後述するように、最上層の熱交換ユニット(10)の上熱交換プレート(11)を除いた上下熱交換プレート(11)(12)は、少なくとも1つのコーナ部に略円形状の上下貫通孔を有する。これら上下排気孔(11a)(12a)及び一部の上下貫通孔は、周縁から上方または下方に突出する接合部が形成されるように、バーリング加工によって形成される。
【0030】
図2に示すように、各熱交換ユニット(10)の上下熱交換プレート(11)(12)の上下排気孔(11a)(12a)は、互いに対向する位置に設けられている。また、上熱交換プレート(11)の上排気孔(11a)は、周縁から下方に向かって突出する上排気孔接合部を有し、下熱交換プレート(12)の下排気孔(12a)は、周縁から上方に向かって突出する下排気孔接合部を有する。また、上下熱交換プレート(11)(12)の周縁にはそれぞれ、上方に向かって突出する上下周縁接合部(W1)(W2)が形成される。また、上下熱交換プレート(11)(12)は、上下排気孔接合部、及び下周縁接合部(W2)と上熱交換プレート(11)の底面周縁とを接合させたときに、上下熱交換プレート(11)(12)が所定の間隙を存して離間するように設定されている。
【0031】
また、
図4及び
図5に示すように、上熱交換プレート(11)の上周縁接合部(W1)は、上周縁接合部(W1)と上方に隣接する熱交換ユニット(10)の下熱交換プレート(12)の底面周縁とを接合させたときに、下方の熱交換ユニット(10)の上熱交換プレート(11)と、上方の熱交換ユニット(10)の下熱交換プレート(12)とが所定の間隙を存して離間する高さに設定されている。従って、上下熱交換プレート(11)(12)の上下排気孔(11a)(12a)の上下排気孔接合部を接合させるとともに、下熱交換プレート(12)の下周縁接合部(W2)と上熱交換プレート(11)の底面周縁とを接合させることにより、所定高さの内部空間(14)と、内部空間(14)を非連通状態で貫通する排気孔(13)とが形成される。さらに、複数の熱交換ユニット(10)を接合させることにより、上下に隣接する熱交換ユニット(10)の間には、排気孔(13)を通過した燃焼排気が流れる排気空間(15)が形成される。
【0032】
上下に隣接する熱交換ユニット(10)の排気孔(13)は、左右方向で半ピッチずれている。従って、上方から流れてきた燃焼排気は、1つの熱交換ユニット(10)の排気孔(13)を通過した後、その熱交換ユニット(10)と下方に隣接する熱交換ユニット(10)との間の排気空間(15)に流れ出る。そして、排気空間(15)に流れ出た燃焼排気は、下方に隣接する熱交換ユニット(10)の上熱交換プレート(11)に衝突し、前記下方に隣接する熱交換ユニット(10)の排気孔(13)からさらに下方に流れる。すなわち、燃焼排気がプレート積層体(100)内を上方から下方に向かって流れるとき、ジグザグ状の排気通路が形成される。これにより、熱交換器(1)内における燃焼排気と上下熱交換プレート(11)(12)との接触時間が増加する。
【0033】
次に、各層における熱交換ユニット(10)について、
図3に基づいて説明する。
なお、
図3及び
図5における熱交換ユニット(10)の右横の[ ]内の数字は、最下層の熱交換ユニット(10)を1層目とした、下からの層数を示している。
【0034】
1層目(最下層)の熱交換ユニット(10)を形成する下熱交換プレート(12)は、
図3にて右側前後両方の各コーナ部に、下貫通孔(121)(122)を有する。また、1層目の熱交換ユニット(10)の上熱交換プレート(11)は、4つのコーナ部に上貫通孔(111)~(114)を有する。なお、1層目を含め各熱交換ユニット(10)の上下熱交換プレート(11)(12)における同じコーナ部に位置する上下貫通孔は、上下熱交換プレート(11)(12)を重ね合わせたとき、同軸線上に位置するように開口されている。
【0035】
また、2つの下貫通孔(121)(122)は、周縁から下方に突出する下接合部を有し、上熱交換プレート(11)の右側後方のコーナ部の上貫通孔(112)は、周縁から下方に突出する上接合部を有する。この上接合部は、1層目の上下熱交換プレート(11)(12)を接合させたときに、下熱交換プレート(12)の上面に当接する高さに設定されている。
【0036】
従って、既述したように、1層目の熱交換ユニット(10)を形成している上下熱交換プレート(11)(12)の上下排気孔(11a)(12a)の上下排気孔接合部を接合させるとともに、下熱交換プレート(12)の下周縁接合部(W2)と上熱交換プレート(11)の底面周縁とを接合させ、さらに上熱交換プレート(11)の右側後方のコーナ部の上貫通孔(112)の上接合部と下熱交換プレート(12)の上面とを接合させると、1層目の熱交換ユニット(10)の内部空間(14)は、下熱交換プレート(12)の右側前方のコーナ部の下貫通孔(121)と連通し、上熱交換プレート(11)の右側後方のコーナ部の上貫通孔(112)以外の3つの上貫通孔(111)(113)(114)と連通する。
【0037】
また、上熱交換プレート(11)の右側後方のコーナ部の上貫通孔(112)の上接合部と下熱交換プレート(12)の上面とを接合させることによって形成される通路は、内部空間(14)と非連通状態で画成された流路となる。従って、後述する偏向プレート(5)を介して、下熱交換プレート(12)の右側前方のコーナ部の下貫通孔(121)の下接合部に流入管(20)を接続させると、流入管(20)から1層目の熱交換ユニット(10)の内部空間(14)に水が流入する。そして、内部空間(14)に流入された水は、上熱交換プレート(11)の右側後方のコーナ部(112)以外の上貫通孔(111)(113)(114)を介して内部空間(14)から上方に流出する。
【0038】
すなわち、この1層目の熱交換ユニット(10)では、下熱交換プレート(12)の右側前方のコーナ部の1つの下貫通孔(121)が内部空間(14)に水が流入する流入口(23)となり、上熱交換プレート(11)の右側前方及び左側前後両方のコーナ部の3つの上貫通孔(111)(113)(114)が1層目の熱交換ユニット(10)の内部空間(14)から水が流出する流出口(24)となる。
【0039】
そして、1層目の熱交換ユニット(10)では、3つの流出口(24)のうち左側前後両方のコーナ部の2つの流出口(24)(すなわち、上熱交換プレート(11)の左側前後両方のコーナ部の上貫通孔(113)(114))は、右側前方のコーナ部の流入口(23)(すなわち、下熱交換プレート(12)の右側前方のコーナ部の下貫通孔(121))と左右方向に離れて位置する。特に、この流入口(23)と左右方向で離れて位置する2つの流出口(24)のうち、左側後方のコーナ部の上貫通孔(114)からなる流出口(24)は、流入口(23)と熱交換ユニット(10)の中心に対して略対角線上に位置している。従って、右側前方のコーナ部の下貫通孔(121)からなる流入口(23)から内部空間(14)に流入した水は、流入口(23)と同じ前方に位置する左側前方のコーナ部の上貫通孔(113)からなる流出口(24)と、略対角線上に位置する左側後方のコーナ部の上貫通孔(114)からなる流出口(24)と、後述する右側前方のコーナ部の流出口(24)とに向かって流れる。
【0040】
このように、水は、1層目の熱交換ユニット(10)では、1つの流入口(23)から、前後方向に離間して位置する2つの流出口(24)に向かって広がりながら内部空間(14)を左右方向に流れるから、内部空間(14)を左右方向に流れる水の部分的な短絡が抑えられ、均一な水流分布が得られる。
【0041】
また、略長孔形状の排気孔(13)は、長辺が前後方向に延在するように設けられているから、排気孔(13)の長辺が延在する方向は内部空間(14)を流れる水の流路方向と略直交する。これにより、流入口(23)から流入した水は、排気孔(13)の長辺に衝突することによって湾曲されながら前後に離れた2つの流出口(24)に流れていく。従って、内部空間(14)を流れる水は内部空間(14)内の全体に一層広がる。その結果、内部空間(14)の前後方向両端部にも、水が流れ易くなる。これにより、効率的に水を加熱することが出来る。また、湾曲した流れが形成されるため流路が長くなり、その分、吸熱時間が増えるから、熱効率が向上する。
【0042】
2層目から5層目の熱交換ユニット(10)において、各熱交換ユニット(10)の上下熱交換プレート(11)(12)は、既述した上下排気孔(11a)(12a)の位置が、上下に隣接する熱交換ユニット(10)のそれらと左右方向で半ピッチずれている以外は、同一の構成を有する。
【0043】
また、これらの上下熱交換プレート(11)(12)は、それぞれ、1層目の上熱交換プレート(11)の4つのコーナ部の上貫通孔(111)~(114)と略同一位置に、4つの上貫通孔(111)~(114)及び4つの下貫通孔(121)~(124)を有する。また、これらの下熱交換プレート(12)の4つのコーナ部の下貫通孔(121)~(124)は、周縁から下方に突出する下接合部を有する。また、これらの上熱交換プレート(11)の右側後方のコーナ部の上貫通孔(112)は、1層目の上熱交換プレート(11)と同様に、周縁から下方に突出する上接合部を有する。これら上下接合部及び上下周縁接合部(W1)(W2)の高さは、1層目の熱交換ユニット(10)のそれらと同様である。
【0044】
従って、2層目から5層目の各熱交換ユニット(10)では、上下熱交換プレート(11)(12)の上下排気孔(11a)(12a)の上下排気孔接合部を接合させるとともに、下熱交換プレート(12)の下周縁接合部(W2)と上熱交換プレート(11)の底面周縁とを接合させ、さらに上熱交換プレート(11)の右側後方のコーナ部の上貫通孔(112)の上接合部と下熱交換プレート(12)の上面とを接合させると、上下熱交換プレート(11)(12)の間に形成される内部空間(14)は、下熱交換プレート(12)の右側前方及び左側前後両方のコーナ部の3つの下貫通孔(121)(123)(124)に連通すると共に、上熱交換プレート(11)の右側前方及び左側前後両方のコーナ部の3つの上貫通孔(111)(113)(114)に連通する。
【0045】
また、2層目から5層目の各熱交換ユニット(10)の下熱交換プレート(12)の4つの下貫通孔(121)~(124)の周縁から下方に突出する下接合部は、上下方向に複数の熱交換ユニット(10)を積層させたとき、下接合部が下方に隣接する熱交換ユニット(10)の上熱交換プレート(11)の上面に当接する高さに設定されている。
【0046】
従って、1つの熱交換ユニット(10)の下熱交換プレート(12)の右側前方及び左側前後両方のコーナ部の3つの下貫通孔(121)1(123)(124)の下接合部と下方に隣接する熱交換ユニット(10)の上熱交換プレート(11)の上面とを接合させると共に、下熱交換プレート(12)の底面周縁と下方に隣接する熱交換ユニット(10)の上熱交換プレート(11)の上周縁接合部(W1)とを接合させると、上下に隣接する熱交換ユニット(10)の間には、
図4に示すように、既述した排気空間(15)と、排気空間(15)と非連通状態で画成される連通路(22)が形成される。
【0047】
すなわち、2層目から5層目の各熱交換ユニット(10)では、下熱交換プレート(12)の右側前方及び左側前後両方のコーナ部の3つの下貫通孔(121)(123)(124)が内部空間(14)に水を流入させる流入口(23)となり、これらに対向する上熱交換プレート(11)の3つの上貫通孔(111)(113)(114)が内部空間(14)から水を流出させる流出口(24)となる。
【0048】
また、これら3つの流入口(23)(すなわち、下熱交換プレート(12)の右側前方及び左側前後両方のコーナ部の下貫通孔(121)(123)(124))の下接合部と、下方に隣接する熱交換ユニット(10)の上熱交換プレート(11)の上面とを接合させることによって形成される通路は、上下に隣接する熱交換ユニット(10)の内部空間(14)相互を連通させる連通路(22)となる。
【0049】
また、
図5に示すように、下熱交換プレート(12)の右側後方のコーナ部の下貫通孔(122)の下接合部と、下方に隣接する熱交換ユニット(10)の上熱交換プレート(11)の右側後方のコーナ部の上貫通孔(112)の周縁とを接合させることによって、上下に隣接する熱交換ユニット(10)の間の排気空間(15)と非連通状態で画成される流路(35)が形成される。
【0050】
また、上熱交換プレート(11)の右側後方のコーナ部の上貫通孔(112)の上接合部と下熱交換プレート(12)の右側後方のコーナ部の下貫通孔(122)の周縁とを接合させることによって、内部空間(14)と非連通状態で画成される流路(34)が形成される。
【0051】
なお、これらの各熱交換ユニット(10)でも、1層目の熱交換ユニット(10)と同様に、右側前方のコーナ部の流入口(23)から内部空間(14)に流入した水の一部は、流入口(23)と同じ前方に位置する流出口(24)と、略対角線上に位置する後方の流出口(24)とに向かって排気孔(13)に衝突しながら左右方向に流れていく。
【0052】
図3の上から三番目に位置している6層目の熱交換ユニット(10)において、上下熱交換プレート(11)(12)は、上熱交換プレート(11)の右側前方の貫通孔が形成されていない以外は、2層目のそれらと同一の構成を有する。従って、6層目の熱交換ユニット(10)では、上下熱交換プレート(11)(12)の上下排気孔(11a)(12a)の上下排気孔接合部を接合させるとともに、下熱交換プレート(12)の下周縁接合部(W2)と上熱交換プレート(11)の底面周縁とを接合させ、さらに、上熱交換プレート(11)の右側後方のコーナ部の上貫通孔(112)の上接合部と下熱交換プレート(12)の下貫通孔(122)の周縁とを接合させると、上下熱交換プレート(11)(12)の間に形成される内部空間(14)は、下熱交換プレート(12)の右側前方及び左側前後両方のコーナ部の3つの下貫通孔(121)(123)(124)と連通すると共に、上熱交換プレート(11)の左側前後両方のコーナ部の2つの上貫通孔(113)(114)と連通する。また、上熱交換プレート(11)の右側後方のコーナ部の上貫通孔(112)の上接合部と下熱交換プレート(12)の上面とを接合させることによって形成される通路は、内部空間(14)と非連通状態で画成される流路(34)となる。
【0053】
また、上記と同様に、5層目と6層目の熱交換ユニット(10)を接合させると、既述した排気空間(15)と、排気空間(15)と画成された非連通状態の通路が形成される。すなわち、6層目の熱交換ユニット(10)では、下熱交換プレート(12)の右側前方及び左側前後両方のコーナ部の3つの下貫通孔(121)(123)(124)が内部空間(14)に水が流入する流入口(23)となり、上熱交換プレート(11)の左側前後両方のコーナ部の2つの上貫通孔(113)(114)が内部空間(14)から水が流出する流出口(24)となる。また、これら3つの流入口(23)(すなわち、下熱交換プレート(12)の右側前方及び左側前後両方のコーナ部の下貫通孔(121)(123)(124))の下接合部と、下方に隣接する熱交換ユニット(10)の上熱交換プレート(11)の上面とを接合させることによって形成される通路は、上下に隣接する熱交換ユニット(10)の内部空間(14)相互を連通させる連通路(22)となる。
【0054】
また、下熱交換プレート(12)の右側後方のコーナ部の下貫通孔(122)の下接合部と、下方に隣接する熱交換ユニット(10)の上熱交換プレート(11)の右側後方のコーナ部の上貫通孔(112)の周縁とを接合させることによって、上下に隣接する熱交換ユニット(10)の間の排気空間(15)と非連通状態で画成される流路(35)が形成される。
【0055】
1層目~6層目の熱交換ユニット(10)では、これらの熱交換ユニット(10)が重ね合わされたとき、右側前方のコーナ部の流入口(23)及び流出口(24)は同軸線上に位置する。そのため、1層目の熱交換ユニット(10)の内部空間(14)に流入した水の一部は、直線的に上方の流出口(24)に向かって流れ、流出口(24)から連通路(22)を介して2~6層目の各熱交換ユニット(10)の内部空間(14)に流入する。従って、1層目~6層目の熱交換ユニット(10)に流入した水は、各熱交換ユニット(10)内を左右方向で同一の方向(図面中、右側から左側)に流れる。
【0056】
7層目の熱交換ユニット(10)において、上下熱交換プレート(11)(12)は、下熱交換プレート(12)の右側前方のコーナ部に下貫通孔が形成されていないこと、上熱交換プレート(11)の右側前方のコーナ部に上貫通孔が形成されていないこと、及び上熱交換プレート(11)の右側後方の上貫通孔(112)に上接合部が形成されていないこと以外は、5層目のそれらと同一の構成を有する。従って、7層目の熱交換ユニット(10)では、上下熱交換プレート(11)(12)の上下排気孔(11a)(12a)の上下排気孔接合部を接合させるとともに、下熱交換プレート(12)の下周縁接合部(W2)と上熱交換プレート(11)の底面周縁とを接合させると、上下熱交換プレート(11)(12)の間に形成される内部空間(14)は、全ての上下貫通孔(112)(113)(114)(122)(123)(124)に連通する。
【0057】
また、上記と同様に、6層目と7層目の熱交換ユニット(10)を接合させると、既述した排気空間(15)と、排気空間(15)と非連通状態で画成される通路が形成される。すなわち、7層目の熱交換ユニット(10)では、下熱交換プレート(12)の左側前後両方のコーナ部の2つの下貫通孔(123)(124)が、内部空間(14)に水を流入させる流入口(23)となり、上熱交換プレート(11)の左側前後両方のコーナ部の2つの上貫通孔(113)(114)及び下熱交換プレート(12)の右側後方のコーナ部の下貫通孔(122)が内部空間(14)から水を流出させる流出口(24)となる。また、これら2つの流入口(23)(すなわち、下熱交換プレート(12)の左側前後両方のコーナ部の下貫通孔(123)(124))の下接合部と、下方に隣接する熱交換ユニット(10)の上熱交換プレート(11)の上面とを接合させることによって形成される通路は、上下に隣接する熱交換ユニット(10)の内部空間(14)相互を連通させる連通路(22)となる。
【0058】
また、下熱交換プレート(12)の右側後方のコーナ部の下貫通孔(122)の下接合部と、下方に隣接する熱交換ユニット(10)の上熱交換プレート(11)の上面とを接合することによって形成される通路は、上下に隣接する熱交換ユニット(10)の間の排気空間(15)と非連通状態で画成され且つ7層目の内部空間(14)と連通する流路(35)となる。
【0059】
なお、既述したように、7層目の熱交換ユニット(10)の下熱交換プレート(12)は、1層目から6層目のそれらと異なり、右側前方のコーナ部に下貫通孔を有していない。そのため、7層目の熱交換ユニット(10)では、左側前後両方のコーナ部の2つの流入口(23)から内部空間(14)に流入した水の一部は、左側前方のコーナ部の流入口(23)と、略対角線上に位置する下熱交換プレート(12)の右側後方のコーナ部の流出口(24)に向かって排気孔(13)に衝突しながら、1層目から6層目の熱交換ユニット(10)の内部空間(14)を流れる水の方向と逆方向(図面中、左側から右側)に流れる。
【0060】
8層目(最上層)の熱交換ユニット(10)において、上下熱交換プレート(11)(12)は、下熱交換プレート(12)の右側前方のコーナ部に貫通孔が形成されていないこと、及び上熱交換プレート(11)に貫通孔が形成されていない以外は、6層目のそれらと同一の構成を有する。従って、8層目の熱交換ユニット(10)では、上下熱交換プレート(11)(12)の上下排気孔(11a)(12a)の上下排気孔接合部を接合させるとともに、下熱交換プレート(12)の下周縁接合部(W2)と上熱交換プレート(11)の底面周縁とを接合させると、上下熱交換プレート(11)(12)の間に形成される内部空間(14)は、下熱交換プレート(12)の全ての下貫通孔(121)(123)(124)に連通する。
【0061】
また、上記と同様に、7層目と8層目の熱交換ユニット(10)を接合させると、既述した排気空間(15)と、排気空間(15)と非連通状態で画成される通路が形成される。すなわち、8層目の熱交換ユニット(10)では、下熱交換プレート(12)の左側前後両方のコーナ部の2つの下貫通孔(123)(124)が内部空間(14)に水が流入する流入口(23)となり、下熱交換プレート(12)の右側後方のコーナ部の下貫通孔(122)が内部空間(14)から水が流出する流出口(24)となる。また、これら2つの流入口(23)(すなわち、下熱交換プレート(12)の左側前後両方のコーナ部の下貫通孔(123)(124))の下接合部と、下方に隣接する熱交換ユニット(10)の上熱交換プレート(11)の上面とを接合させることによって形成される通路は、上下に隣接する熱交換ユニット(10)の内部空間(14)相互を連通させる連通路(22)となる。
【0062】
また、下熱交換プレート(12)の右側後方のコーナ部の下貫通孔(122)の下接合部と、下方に隣接する7層目の熱交換ユニット(10)の上熱交換プレート(11)の上面とを接合することによって形成される通路は、上下に隣接する熱交換ユニット(10)の間の排気空間(15)と非連通状態で画成され且つ8層目の内部空間(14)と連通する流路(35)となる
【0063】
なお、8層目の熱交換ユニット(10)でも、7層目の熱交換ユニット(10)と同様に、左側前後両方のコーナ部の2つの流入口(23)から内部空間(14)に流入した水は、左側前方のコーナ部の流入口(23)と、略対角線上に位置する下熱交換プレート(12)の右側後方のコーナ部の流出口(24)に向かって排気孔(13)に衝突しながら左右方向に流れる。
【0064】
また、7層目~8層目の熱交換ユニット(10)では、これらの熱交換ユニット(10)が重ね合わされたとき、左側前後両方のコーナ部の流入口(23)及び流出口(24)は同軸線上に位置する。そのため、7層目の熱交換ユニット(10)の内部空間(14)に流入した水の一部は、直線的に上方の流出口(24)に向かって流れ、流出口(24)から連通路(22)を介して8層目の各熱交換ユニット(10)の内部空間(14)に流入する。従って、7層目~8層目の熱交換ユニット(10)に流入した水は、各熱交換ユニット(10)内を左右方向で同一の方向(図面中、左側から右側)に流れる。
【0065】
また、8層目の熱交換ユニット(10)の流出口(24)は、既述した7層目~8層目の熱交換ユニット(10)の間の排気空間(15)と非連通状態で画成された流路(35)及び7層目の熱交換ユニット(10)の上熱交換プレート(11)の右側後方のコーナ部の上貫通孔(112)を介して7層目の熱交換ユニット(10)の内部空間(14)と連通する。従って、上記流路(35)は、上方から下方に水が流れる連通路となる。そして、これらの7層目及び8層目の熱交換ユニット(10)の右側後方のコーナ部の流出口(24)は、既述した1層目から6層目の熱交換ユニット(10)の内部空間(14)と非連通状態で画成される流路(34)及び1層目から7層目までの上下に隣接する熱交換ユニット(10)の間の排気空間(15)と非連通状態で画成される流路(35)の上方に位置する。
【0066】
さらに、1層目の熱交換ユニット(10)の内部空間(14)と非連通状態で画成される流路(34)は、1層目の熱交換ユニット(10)の下熱交換プレート(12)の右側後方のコーナ部の下貫通孔(122)と連通する。
【0067】
従って、7層目及び8層目の熱交換ユニット(10)の右側後方のコーナ部の流出口(24)から流出する水は、これらの流出口(24)の下方に位置する熱交換ユニット(10)の内部空間(14)及びこれらの流出口(24)の下方に位置する熱交換ユニット(10)間の排気空間(15)を非連通状態で貫通する流路(34)(35)を介して、下方に流れる。
【0068】
すなわち、本実施の形態では、7層目の熱交換ユニット(10)を流れる水の一部は、8層目の熱交換ユニット(10)に流入することなく、7層目の熱交換ユニット(10)の流出口(24)から流出する。これにより、7層目~8層目の熱交換ユニット(10)の流出口(24)(これらの下熱交換プレート(12)の右側後方のコーナ部の下貫通孔(122))が、最終流出口を形成する。
【0069】
さらに、この最終流出口と同軸線上に位置する、1層目から6層目までの内部空間(14)を非連通状態で貫通する流路(34)及び1層目から7層目の熱交換ユニット(10)の間の排気空間(15)を非連通状態で貫通する流路(35)の接合体が、流出流路(33)を形成する。
【0070】
なお、1層目の熱交換ユニット(10)の下方には、通過孔(52)が、1層目の熱交換ユニット(10)の排気孔(13)と左右方向で半ピッチずれている以外は、上記1層目の熱交換ユニット(10)の下熱交換プレート(12)と同一の構成を有する偏向プレート(5)が配設されている。
【0071】
1層目の熱交換ユニット(10)の下熱交換プレート(12)の右側前後両方のコーナ部の下貫通孔(121)(122)の下接合部と偏向プレート(5)の上面とを接合させると、1層目の熱交換ユニット(10)の下熱交換プレート(12)と偏向プレート(5)との間に、排気空間(16)と、排気空間(16)と非連通状態で画成された通路とが形成される。これにより、バーナ(31)からの燃焼排気は、プレート積層体(100)内を8層目から1層目までの熱交換ユニット(10)を加熱しながら下方に向って流れる。そして、最下層の熱交換ユニット(10)の排気孔(13)を通過した燃焼排気は、最下層の熱交換ユニット(10)の下熱交換プレート(12)と偏向プレート(5)との間の排気空間(16)を流れる。これにより、最下層の熱交換ユニット(10)でも、上下両面から内部空間(14)を流れる水を加熱することができ、より一層熱効率を向上させることが出来る。
【0072】
また、最下層の熱交換ユニット(10)の流入口(23)は、偏向プレート(5)の右側前方のコーナ部の貫通孔(50)を介して流入管(20)と接続される。また、流出流路(33)の下端は、偏向プレート(5)の右側後方のコーナ部の貫通孔(51)を介して流出管(21)と接続される。
【0073】
上記構造を有する熱交換器(1)によれば、1層目の熱交換ユニット(10)の流入口(23)を介して、流入管(20)からの水がプレート積層体(100)内に流入する。上下に隣接する熱交換ユニット(10)では、一方の熱交換ユニット(10)の少なくとも1つの流出口(24)と、他方の熱交換ユニット(10)の少なくとも1つの流入口(23)とが連通路(22)によって接続されているから、流入管(20)から最下層の熱交換ユニット(10)に流入した水は、プレート積層体(100)を下方から上方(燃焼排気の下流側から上流側)に向かって流れる。また、プレート積層体(100)を下方から上方に流れる水は、7層目~8層目の熱交換ユニット(10)の最終流出口から、それより下方のプレート積層体(100)を貫通するように形成される流出流路(33)を介して流出管(21)に流出する。
【0074】
また、上記構造を有する熱交換器(1)によれば、いずれの熱交換ユニット(10)でも、少なくとも1つの流出口(24)と、少なくとも1つの流入口(23)とは、熱交換ユニット(10)の略対角線上に位置する。例えば、1層目の熱交換ユニット(10)において、水は、流入口(23)となる下熱交換プレート(12)の右側前方のコーナ部の下貫通孔(121)から内部空間(14)へ流入する。また、流出口(24)の1つとなる上熱交換プレート(11)の左側後方のコーナ部の上貫通孔(114)は、右側前方のコーナ部の下貫通孔(121)に対して略対角線上に位置している。すなわち、熱交換ユニット(10)における少なくとも1つの流出口(24)は、少なくとも1つの流入口(23)と熱交換ユニット(10)の長手方向及び短手方向にずれて配置されているから、各熱交換ユニット(10)において、少なくとも1つの流入口(23)から内部空間(14)に流入する水は、少なくとも1つの流出口(24)に向かって内部空間(14)内を広がりながら流れる。従って、水の移動距離が長くなり、内部空間(14)における水の流れの偏りを低減できるから、内部空間(14)内の水の分布が均一になる。これにより、ローカルヒートが生じ難いため、沸騰音による騒音が生じ難い。また、各熱交換ユニット(10)における熱効率を向上させることができる。
【0075】
また、上記構造を有する熱交換器(1)によれば、各熱交換ユニット(10)は、水の流れに略直交するように長辺が延在する排気孔(13)を有する。従って、内部空間(14)を流れる水は、排気孔(13)に衝突しながら、流入口(23)から流出口(24)に向かって流れる。これにより、内部空間(14)における水流路が長くなるから、水の吸熱時間を長くすることができ、さらに熱効率を向上させることができる。
【0076】
なお、上記実施の形態では、上方から下方に向かって燃焼排気が熱交換器内を流れる給湯器が説明されたが、下方から上方に向かって燃焼排気が熱交換器内を流れる給湯器であってもよい。また、水平方向の一方から他方に向かって燃焼排気が熱交換器内を流れる給湯器であっても良い。
【0077】
また、上記実施の形態では、給湯器が用いられているが、ボイラなどの熱源機が用いられてもよい。
【0078】
また、上記実施の形態では、上下に隣接する熱交換ユニット(10)を、これらの間に排気空間(15)が形成されるように積層させた。しかしながら、排気空間(15)を設けることなく、熱交換ユニット(10)を直接、積層させてもよい。
【0079】
なお、熱交換器は、平面視略矩形状または平面視略円形状であってもよい。熱交換器が平面視略円形状を有する場合、円の原点を中心に、点対称に流入口及び流出口を設けてもよい。
【符号の説明】
【0080】
(100)・・・・・・・・ プレート積層体
(1) ・・・・・・・・・熱交換器
(10)・・・・・・・・・熱交換ユニット
(11)・・・・・・・・・上熱交換プレート
(12)・・・・・・・・・下熱交換プレート
(13)・・・・・・・・・排気孔
(14)・・・・・・・・・内部空間
(15)・・・・・・・・・排気空間
(20)・・・・・・・・・流入管
(21)・・・・・・・・・流出管
(22)・・・・・・・・・連通路
(23)・・・・・・・・・流入口
(24)・・・・・・・・・流出口
(30)・・・・・・・・・燃焼面
(31)・・・・・・・・・バーナ
(33)・・・・・・・・・流出流路
(5) ・・・・・・・・・偏向プレート
(52)・・・・・・・・・通過孔