(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-02
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】ハイパースペクトル撮像構成
(51)【国際特許分類】
H04N 9/07 20060101AFI20220203BHJP
G01J 3/26 20060101ALI20220203BHJP
G01J 3/51 20060101ALI20220203BHJP
G02B 26/00 20060101ALI20220203BHJP
H04N 5/30 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
H04N9/07 D
G01J3/26
G01J3/51
G02B26/00
H04N5/30
(21)【出願番号】P 2018548218
(86)(22)【出願日】2017-03-08
(86)【国際出願番号】 FI2017050155
(87)【国際公開番号】W WO2017158231
(87)【国際公開日】2017-09-21
【審査請求日】2020-01-16
(32)【優先日】2016-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】512068592
【氏名又は名称】テクノロギアン トゥトキムスケスクス ヴェーテーテー オイ
【氏名又は名称原語表記】TEKNOLOGIAN TUTKIMUSKESKUS VTT OY
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】サーリ ヘイッキ
(72)【発明者】
【氏名】シーカネン サミ
【審査官】大室 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-220700(JP,A)
【文献】特開2015-049276(JP,A)
【文献】特開2012-127855(JP,A)
【文献】特開2014-233344(JP,A)
【文献】特開2015-202316(JP,A)
【文献】国際公開第2015/087594(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/143415(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 3/00-4/04
G01J 7/00-9/04
G02B 6/35
G02B26/00-26/08
H04N 5/30-5/378
H04N 9/04-9/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電子デバイス用のハイパースペクトル撮像構成であって、
撮像センサと、
入射光を前記撮像センサに届け、前記撮像センサ上に画像を形成するように構成される結像光学系と、
前記結像光学系の光路中に設けられるバンドパスフィルタ要素と、
前記光路中であって、前記バンドパスフィルタ要素より前記撮像センサに近い位置に設けられる、第1の可調整マルチパスバンドフィルタ及び第2の可調整マルチパスバンドフィルタと、
を備え、
前記第1の可調整マルチパスバンドフィルタおよび前記第2の可調整マルチパスバンドフィルタは前記光路中に連続して配置され、
前記第1の可調整マルチパスバンドフィルタおよび前記第2の可調整マルチパスバンドフィルタは、一定の間隙を有する可調整ファブリ・ペロー干渉計であり、
前記第1の可調整マルチパスバンドフィルタと前記第2の可調整マルチパスバンドフィルタとは、透過特性を調整するために、逆方向に同じ角度で傾斜させられうる、
ハイパースペクトル撮像構成。
【請求項2】
撮像対象の被写体を照明するように構成される発光ダイオードの配列であって、各発光ダイオードは他の発光ダイオードと異なる波長を有する配列をさらに備える、請求項
1に記載のハイパースペクトル撮像構成。
【請求項3】
前記バンドパスフィルタ要素は、ショートパスフィルタおよびロングパスフィルタを含む、請求項1
又は2に記載のハイパースペクトル撮像構成。
【請求項4】
前記バンドパスフィルタ要素は、360nmから1100nm、または450nmから850nmの所定の波長範囲を通過させるように構成される、請求項1から
3のいずれかに記載のハイパースペクトル撮像構成。
【請求項5】
前記撮像センサは、モノクロまたはRGB画像センサである、請求項1から
4のいずれかに記載のハイパースペクトル撮像構成。
【請求項6】
前記撮像センサは、前記携帯電子デバイス内に備えられる、請求項1から
5のいずれかに記載のハイパースペクトル撮像構成。
【請求項7】
ハイパースペクトルデータキューブを計算する手段を有する、請求項1から
6のいずれかに記載のハイパースペクトル撮像構成。
【請求項8】
携帯電子デバイスにおけるハイパースペクトル撮像のためのマルチパスバンドフィルタ構成であって、
第1の可調整マルチパスバンドフィルタと第2の可調整マルチパスバンドフィルタとを備え、
前記第1の可調整マルチパスバンドフィルタおよび前記第2の可調整マルチパスバンドフィルタは光路上に連続して配置され、
前記第1の可調整マルチパスバンドフィルタおよび前記第2の可調整マルチパスバンドフィルタは、一定の間隙を有する可調整ファブリ・ペロー干渉計であり、
前記第1の可調整マルチパスバンドフィルタと前記第2の可調整マルチパスバンドフィルタとは、透過特性を調整するために、逆方向に同じ角度で傾斜させられうるように構成される
、
マルチパスバンドフィルタ構成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、全般的には撮像に関する。特に、ただし排他的にではなく、本出願はハイパースペクトル撮像に関する。より具体的には、ただし排他的にではなく、本出願は、ハイパースペクトル撮像においてRGBまたはモノクロ画像センサと組み合わされるマルチパスバンドフィルタ、例えばファブリ・ペロー干渉計の使用に関する。
【背景】
【0002】
本項では、ここに記述するいずれの技術も最新技術であると認めるものではないが、有用な背景情報について説明する。
【0003】
ハイパースペクトルまたはマルチスペクトル撮像の利用が様々な用途において増加している。これに伴い、コスト効果の高い単純な構成が必要とされている。
【0004】
従来のハイパースペクトル撮像は、例えば画素化マルチスペクトルフィルタ、フィルタホイール、および多重化LED照明を用いて行われている。このような構成は複雑な製造工程を要することが多く、異なる分光波長範囲に容易に適用することができない。このような構成では、画素化マルチスペクトルフィルタが永久的に画素上にあり、フィルタホイールには、通常は3から12の決まった数のフィルタしか搭載できないため、継続的に波長を調整することができない。また、画素化フィルタのサイズによって最小画素サイズが制限されるため、画素化マルチスペクトルフィルタは小型の画像センサの利用に対応していない。
【0005】
さらに、ファブリ・ペロー干渉計の使用は、先行文献である米国特許登録公報第8130380号および米国特許公開公報第2015124263号から既知である。
【0006】
本発明は、コスト効果の高いハイパースペクトル撮像構成であって、携帯機器ベースの極めて低価格のハイパースペクトル撮像構成の構築を可能にする小画素の画像センサにも対応したハイパースペクトル撮像構成の構築に用いることができる、ハイパースペクトル撮像構成を提供することにより、従来の解決策の問題を緩和することを目的とする。
【摘要】
【0007】
請求の範囲において、本発明の例における様々な態様を提示する。
【0008】
本発明の第1の例示的態様によると、ハイパースペクトル撮像の構成が提供される。前記構成は、撮像センサと、バンドパスフィルタ要素と、前記撮像センサ上に画像を形成するように構成される少なくとも1つの結像光学要素と、第1の可調整マルチパスバンドフィルタと、を備え、前記第1の可調整マルチパスバンドフィルタは、傾斜させることで調整されるように構成される。
【0009】
前記構成は、第2の可調整マルチパスバンドフィルタをさらに備えてもよい。
【0010】
前記第1のマルチパスバンドフィルタおよび/または前記第2のマルチパスバンドフィルタは、可調整ファブリ・ペロー干渉計であってもよい。
【0011】
前記第1の可調整ファブリ・ペロー干渉計と前記第2の可調整ファブリ・ペロー干渉計の少なくとも一方は、一定の間隙を有し、傾斜させることで調整されるように構成されてもよい。
【0012】
前記第1の可調整ファブリ・ペロー干渉計と前記第2の可調整ファブリ・ペロー干渉計の両方は、一定の間隙を有し、傾斜させることで調整されるように構成されてもよい。
【0013】
前記第1の可調整ファブリ・ペロー干渉計は、一定の間隙を有し、傾斜させることで調整されるように構成されてもよく、前記第2の可調整ファブリ・ペロー干渉計は、前記間隙の調整によって調整されるように構成されてもよい。
【0014】
前記構成は、撮像対象の被写体を照明するように構成される発光ダイオードの配列であって、各発光ダイオードは他の発光ダイオードと異なる波長を有する配列をさらに備えてもよい。
【0015】
前記バンドパスフィルタ要素は、ショートパスフィルタおよびロングパスフィルタを含んでもよい。
【0016】
前記バンドパスフィルタ要素は、360nmから1100nm、または450nmから850nmの所定の波長範囲を通過させるように構成されてもよい。
【0017】
前記第1の可調整ファブリ・ペロー干渉計と前記第2の可調整ファブリ・ペロー干渉計とは、逆方向に同じ角度で傾斜させることで調整されるように構成されてもよい。
【0018】
前記撮像センサは、モノクロまたはRGB画像センサであってもよい。
【0019】
前記撮像センサは、携帯電子デバイス内に備えられてもよい。
【0020】
本発明の第2の例示的態様によると、ハイパースペクトル撮像のマルチパスバンドフィルタ構成が提供される。前記構成は、第1の可調整マルチパスバンドフィルタを備え、前記第1の可調整マルチパスバンドフィルタは傾斜させることで調整されるように構成される。
【0021】
前記構成は、第2の可調整マルチパスバンドフィルタをさらに備えてもよい。
【0022】
前記第1のマルチパスバンドフィルタおよび/または前記第2のマルチパスバンドフィルタは、可調整ファブリ・ペロー干渉計であってもよい。
【0023】
前記第1の可調整ファブリ・ペロー干渉計と前記第2の可調整ファブリ・ペロー干渉計の少なくとも一方は、一定の間隙を有し、傾斜させることで調整されるように構成されてもよい。
【0024】
前記第1の可調整ファブリ・ペロー干渉計と前記第2の可調整ファブリ・ペロー干渉計の両方は、一定の間隙を有し、傾斜させることで調整されるように構成されてもよい。
【0025】
前記第1の可調整ファブリ・ペロー干渉計は、一定の間隙を有し、傾斜させることで調整されるように構成されてもよく、前記第2の可調整ファブリ・ペロー干渉計は、前記間隙の調整によって調整されるように構成されてもよい。
【0026】
本発明の第3の例示的態様によると、ハイパースペクトル撮像の方法が提供される。前記方法は、撮像センサによって画像を提供することと、前記撮像センサにおいて必要な波長を受信するのに必要な透過特性を有するように、第1の可調整マルチパスバンドフィルタを調整することと、を含み、前記第1の可調整マルチパスバンドフィルタは傾斜させることで調整されるように構成される。
【0027】
前記方法は、前記撮像センサにおいて必要な波長を受信するのに必要な透過特性を有するように、第2の可調整マルチパスバンドフィルタを調整することをさらに含んでもよい。
【0028】
前記第1のマルチパスバンドフィルタおよび/または前記第2のマルチパスバンドフィルタは、可調整ファブリ・ペロー干渉計であってもよい。
【0029】
ここまで、本発明を拘束しない様々な例示的態様および実施形態を例示してきた。上記の各実施形態は、本発明の実装に利用されうる選択された態様またはステップを説明するためにのみ使用される。いくつかの実施形態は、本発明の特定の例示的態様への言及によってのみ提示されている場合もある。対応する実施形態は他の例示的態様にも適用できることを理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明の例示的実施形態のより包括的な理解のために、以下の添付の図面と関連付けて以下に説明を行う。
【0031】
【
図1a】
図1aは、本発明の一実施形態に係るハイパースペクトル撮像構成の概略的な原理図である。
【0032】
【
図1b】
図1bは、本発明の一実施形態に係るハイパースペクトル撮像構成の概略的な原理図である。
【0033】
【
図2a】
図2aは、本発明の別の実施形態に係るハイパースペクトル撮像構成の概略的な原理図である。
【0034】
【
図2b】
図2bは、本発明の別の実施形態に係るハイパースペクトル撮像構成の概略的な原理図である。
【0035】
【
図3a】
図3aは、本発明の一実施形態に係るハイパースペクトル撮像構成の可調整マルチパスバンドフィルタの透過特性の一例を示す図である。
【0036】
【
図3b】
図3bは、本発明の一実施形態に係るハイパースペクトル撮像構成の可調整マルチパスバンドフィルタの透過特性の別の例を示す図である。
【0037】
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係るハイパースペクトル撮像の方法のフローチャートである。
【図面の詳細説明】
【0038】
本発明およびその潜在的な利点は、図面の
図1aから
図3bを参照することによって理解される。本文書において、同じ符号は同じ部分およびステップを示す。
【0039】
図1aおよび
図1bは、本発明の一実施形態に係るハイパースペクトル撮像構成100の概略的な原理図である。
図1aおよび
図1bは、ハイパースペクトル撮像によって撮像される被写体10を示している。被写体10は、例えば、傷跡などの医療上の被写体、消費者が測定したい色を有する被写体、農業上の被写体、偽造防止用マーキングの被写体、食品加工における被写体などである。被写体10は、一実施形態において、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)の配列110a、110bによって照明される。配列110a、110bの各LEDは、配列110a、110bの他のLEDと異なる波長を有する。一実施形態において、配列110a、110b内のLEDの数は12から20である。配列110a、110bは、
図1aおよび
図1bでは2つの要素が示されているが、別の実施形態では単一の要素または複数の要素に含まれる。一実施形態において、配列110a、110bのLEDは、別々にかつ個別に点灯または消灯するように構成される。一実施形態において、配列110a、110bのLEDは、一般的な低価格の相補型金属酸化膜半導体(Complementary Metal Oxide Semiconductor:CMOS)画像センサの波長範囲、例えば360nmから1100nmの範囲を網羅する。別の実施形態において、配列110a、110bのLEDは450nmから850nmの波長範囲を網羅する。なお、ハイパースペクトル撮像構成100は、LED照明なしでも機能することに留意されたい。
【0040】
図1aおよび
図1bは、後続の要素を介して平行ビームを形成するように構成される第1の光学要素120、すなわち結像光学要素をさらに示している。ハイパースペクトル撮像構成100は、第1のバンドパスフィルタ要素130をさらに備える。一実施形態において、第1のバンドパスフィルタ要素は、所定の波長範囲(例えば360nmから1100nm、または450nmから850nm)を通過させるように構成されるロングパスフィルタおよびショートパスフィルタを含む。一実施形態において、ハイパースペクトル撮像構成100は、ビームを後続の要素へと導くように構成される第2の光学要素140をさらに備える。
【0041】
ハイパースペクトル撮像構成100は、第1の可調整マルチパスバンドフィルタ(例えばファブリ・ペロー干渉計(Fabry-Perot Interferometer:FPI))150aと、一実施形態では、第2の可調整マルチパスバンドフィルタ(例えばFPI)150bとを備える。第1の可調整マルチパスバンドフィルタ(150a)は、一実施形態において、傾斜させることで調整されるように構成されるマルチパスバンドフィルタである。一実施形態において、第1のFPI150aおよび/または第2のFPI150bは、傾斜可能または回転可能で一定の間隙を有するFPIである。一実施形態において、これらの可調整マルチパスバンドフィルタは、透過特性を調整するために、
図1bに示すように逆方向に同じ角度で傾斜するように構成される。マルチパスバンドフィルタ150a、150bを逆方向に同じ角度で傾斜させることで、画像が固定位置に保持され、小型の画像センサも用いることができるようになる。一実施形態において、マルチパスバンドフィルタは、溶融石英ウェハの両側に5層のブラッグミラーを積層したFPI150a、150bである。
【0042】
ハイパースペクトル撮像構成100は、撮像センサ170上に画像を形成するように構成される第2の光学要素160、すなわち結像光学要素をさらに備える。一実施形態において、撮像センサはRGBまたはモノクロ撮像センサである。RGB画像センサを用いると、例えば米国特許登録公報第8130380号において説明されているように、信号を3つの分光帯域で同時に登録することができる。一実施形態において、撮像センサ170はさらなる機器、例えばデジタルカメラ、スマートフォン、タブレットコンピュータなどの携帯電子デバイス内に備えられてもよい。
【0043】
別の実施形態において、ハイパースペクトル撮像構成100は、第1のバンドパスフィルタ要素130に加えて、またその代わりに、第2のバンドパスフィルタ要素(図示しない)を第2の光学要素160と撮像センサ170との間に備える。一実施形態において、第2のバンドパスフィルタ要素の特性は第1のバンドパスフィルタ要素130の特性と同様である。
【0044】
図2aおよび
図2bは、本発明の別の実施形態に係るハイパースペクトル撮像構成200の概略的な原理図である。
図2aおよび
図2bは、ハイパースペクトル撮像によって撮像される被写体10を示している。被写体10は、例えば、傷跡などの医療上の被写体、消費者が測定したい色を有する被写体などである。
【0045】
図2aおよび
図2bは、後続の要素を介して平行ビームを形成するように構成される第1の光学要素220、すなわち結像光学要素をさらに示している。ハイパースペクトル撮像構成200は、第1のバンドパスフィルタ要素230をさらに備える。一実施形態において、第1のバンドパスフィルタ要素は、所定の波長範囲(例えば360nmから1100nm、または450nmから850nm)を通過させるように構成されるロングパスフィルタおよびショートパスフィルタを含む。一実施形態において、ハイパースペクトル撮像構成200は、ビームを後続の要素へと導くように構成される第2の光学要素240をさらに備える。
【0046】
ハイパースペクトル撮像構成200は、第1の可調整マルチパスバンドフィルタ(例えばFPI)255と、一実施形態では、第2の可調整マルチパスバンドフィルタ(例えばFPI)250とを備える。第1の可調整マルチパスバンドフィルタ(255)は、一実施形態において、傾斜させることで調整されるように構成されるマルチパスバンドフィルタである。一実施形態において、第1の可調整FPI255はピエゾ駆動によって間隙を調整可能なFPIであり、第2の可調整FPI250は傾斜可能で一定の間隙を有するFPIである。第1のマルチパスバンドフィルタ255と第2のマルチパスバンドフィルタ250との組合せは、一実施形態において、実質的に単一の分光帯域のみ通過させることで、モノクロ撮像センサを使用可能にするように構成される。
【0047】
ハイパースペクトル撮像構成200は、撮像センサ270上に画像を形成するように構成される第2の光学要素260、すなわち結像光学要素をさらに備える。一実施形態において、撮像センサはRGBまたはモノクロ撮像センサである。一実施形態において、撮像センサ270はさらなる機器、例えばデジタルカメラ、スマートフォン、タブレットコンピュータなどの携帯電子デバイス内に備えられてもよい。
【0048】
別の実施形態において、ハイパースペクトル撮像構成200は、第1のバンドパスフィルタ要素230に加えて、またその代わりに、第2のバンドパスフィルタ要素(図示しない)を第2の光学要素260と撮像センサ270との間に備える。一実施形態において、第2のバンドパスフィルタ要素の特性は第1のバンドパスフィルタ要素230の特性と同様である。さらに別の実施形態において、ハイパースペクトル撮像構成200は、
図1aおよび
図1bを参照して説明した配列と同様の、被写体10を照明するためのLED配列を備える。
【0049】
図3aおよび
図3bは、本発明の一実施形態に係るハイパースペクトル撮像構成の可調整マルチパスバンドフィルタの透過特性の例を示す図である。この例において、マルチパスバンドフィルタは、750nm用に最適化された5層の誘電性TiO
2-SiO
2ブラッグミラーを備える、傾斜可能なFPIである。
図3aは、波長(ナノメートル)の関数として傾斜角0度の透過特性のグラフ300aを示しており、
図3bは、波長(ナノメートル)の関数として傾斜角30度の透過特性のグラフ300bを示している。
【0050】
図4は、本発明の一実施形態に係るハイパースペクトル撮像の方法のフローチャートである。ステップ410において、撮像対象の被写体10を照明する。一実施形態において、この照明は、
図1aおよび
図1bを参照して前述したようにLEDの配列110a、110bによって提供される。別の実施形態では、被写体の照明には環境光で十分である。
【0051】
撮像センサ170、270において必要な波長を受信するのに必要な透過特性を有するように、420においてマルチパスバンドフィルタ150a、150b、250、255(例えばFPI)を調整する。これによって、430においてハイパースペクトル画像の生データを提供する。ステップ440において、RGBまたはモノクロ画像センサの生画像データからハイパースペクトルデータキューブを計算する。一実施形態において、この計算は、例えば米国特許登録公報第8130380号において説明されるように、ハイパースペクトル撮像構成に対して実行される較正を利用して実行される。
【0052】
以下に添付する請求の範囲の適用範囲、解釈、または適用をなんら限定することなく、本明細書に開示された例示的実施形態の1つ以上における技術的効果は、低価格のハイパースペクトル撮像の構成である。本明細書に開示された例示的実施形態の1つ以上における別の技術的効果は、スマートフォンカメラの撮像センサなどの一般的な撮像センサに適用可能な構成の提供である。本明細書に開示された例示的実施形態の1つ以上における別の技術的効果は、環境光下で十分な分光帯域を有するハイパースペクトル撮像の提供である。
【0053】
本発明の様々な態様を個々の請求項に記載するが、本発明の他の態様は、記載した実施形態および/または従属項の機能と独立項の機能との他の組合せを含み、請求の範囲に明示的に記載した組合せのみに限られない。
【0054】
本明細書において本発明の例示的実施形態を説明したが、これらの説明は限定的な意味で解釈されるべきではない。むしろ、添付の請求の範囲に定められた本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変形および修正を加えうる。