(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-02
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】使用済燃料貯蔵容器の搬送方法
(51)【国際特許分類】
G21F 5/14 20060101AFI20220203BHJP
G21C 19/32 20060101ALI20220203BHJP
G21F 9/36 20060101ALI20220203BHJP
G21C 19/06 20060101ALI20220203BHJP
G21F 5/008 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
G21F5/14 T
G21C19/32 060
G21F9/36 531C
G21C19/06 200
G21F5/008
(21)【出願番号】P 2019021675
(22)【出願日】2019-02-08
【審査請求日】2020-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浪岡 翔吾
(72)【発明者】
【氏名】堂守 生剛
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 直己
(72)【発明者】
【氏名】清水 仁
(72)【発明者】
【氏名】江草 聡一朗
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-217600(JP,A)
【文献】特開2003-063489(JP,A)
【文献】特開2003-084093(JP,A)
【文献】特開2004-219151(JP,A)
【文献】特開2005-172443(JP,A)
【文献】特開2007-245751(JP,A)
【文献】特開2007-248068(JP,A)
【文献】特開2015-087315(JP,A)
【文献】米国特許第04704539(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 5/14
G21C 19/32
G21F 9/36
G21C 19/06
G21F 5/008
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に放射性物質を収納する使用済燃料貯蔵容器を貯蔵する貯蔵施設における搬送方法であって、
前記使用済燃料貯蔵容器を固定する架台を搬送する搬送台車によって、前記貯蔵施設内のうち蛇行抑制機構の一部が設置された領域まで搬送する第1搬送ステップと、
前記第1搬送ステップによって前記領域まで搬送された前記架台を前記蛇行抑制機構によりサポートした状態で前記搬送台車によって貯蔵位置まで搬送する第2搬送ステップと、を有し、
前記搬送台車は、前記架台の搬送方向前方面側に設けられた、前記架台に対して取り外し可能な前方側方駆動輪と、前記架台の搬送方向後方側に固定され、モータにより前記架台を水平移動させる後方駆動輪と、を備え、
前記蛇行抑制機構は、
前記貯蔵施設を構成するコンクリート側壁と、
前記架台の前記コンクリート側壁側の搬送方向前方側面側に設けられ、前記コンクリート側壁に接触する側壁車輪と、
前記搬送台車の2つ以上の前記後方駆動輪を搬送方向前後方向にずらす前後位置調整機構と、からなる
ことを特徴とする使用済燃料貯蔵容器の搬送方法。
【請求項2】
内部に放射性物質を収納する使用済燃料貯蔵容器を貯蔵する貯蔵施設における搬送方法であって、
前記使用済燃料貯蔵容器を固定する架台を搬送する搬送台車によって、前記貯蔵施設内のうち蛇行抑制機構の一部が設置された領域まで搬送する第1搬送ステップと、
前記第1搬送ステップによって前記領域まで搬送された前記架台を前記蛇行抑制機構によりサポートした状態で前記搬送台車によって貯蔵位置まで搬送する第2搬送ステップと、を有し、
前記搬送台車は、前記架台の搬送方向前方面側に設けられた、前記架台に対して取り外し可能な前方側方駆動輪と、前記架台の搬送方向後方側に固定され、モータにより前記架台を水平移動させる後方駆動輪と、を備え、
前記蛇行抑制機構は、
前記貯蔵施設を構成するコンクリート側壁と、
前記架台の前記コンクリート側壁側の搬送方向前方側面側に設けられ、前記コンクリート側壁に接触する側壁車輪と、
前記貯蔵施設の床面に設けた傾斜床と、からなる
ことを特徴とする使用済燃料貯蔵容器の搬送方法。
【請求項3】
請求項
1または
2に記載の使用済燃料貯蔵容器の搬送方法において、
前記側壁車輪は、可変調節機構を更に備えた
ことを特徴とする使用済燃料貯蔵容器の搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性物質を貯蔵する使用済燃料貯蔵容器を貯蔵建屋内で搬送する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キャスクを載荷する貯蔵架台をエアバッグにより搬送して大量のキャスクを貯蔵エリアに稠密に配置するため、床面の埋込金物に対して貯蔵架台を高精度に定置できる使用済燃料貯蔵用キャスク搬送システムの一例として、特許文献1には、使用済燃料を収納したキャスクを載せた貯蔵架台を貯蔵施設内で搬送するエアバッグ方式使用済燃料貯蔵用キャスク搬送システムにおいて、駆動装置を少なくとも前後2個所に設けて走行安定性を確保する、ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
原子力発電所から発生する使用済燃料は高放射性物質を含んでおり、その崩壊熱が発生するために冷却する必要があることから、原子力発電所内のプールで一定期間冷却される。その後、使用済燃料は使用済燃料貯蔵容器に収納され、所定の搬送方法により原子力発電所内外の貯蔵施設に輸送され貯蔵される。
【0005】
貯蔵施設に輸送された使用済燃料貯蔵容器は貯蔵施設内の受入設備にて所定の検査を受けるために、輸送容器から使用済燃料貯蔵容器を下ろす必要がある。この所定の検査を受けた後、使用済燃料貯蔵容器を貯蔵施設内の所定の貯蔵場所まで施設内での搬送を行う。
【0006】
ここで、使用済燃料を収納した使用済燃料貯蔵容器は、直径2.5m程度、高さ5.5m程度、重量100トンを超える巨大な円柱体であり、その重量が大きい。このため、貯蔵施設内で搬送するために専用の搬送装置が必要である。
【0007】
また、貯蔵施設には使用済燃料から発生する放射線の遮へいが求められるうえに、地震による損壊を防止するための耐震性が求められている。これに対し、耐震性には貯蔵施設の天井を低くし、貯蔵施設の重心を下げることで、耐震性を向上させることができる。
【0008】
搬送装置として、クレーン方式を採用する場合は、貯蔵施設の天井にクレーンを設けるために貯蔵施設の天井の高さが必要になる。一方、エアパレット方式を採用する場合は、貯蔵施設の高さを低く抑えられ、耐震性に配慮した貯蔵施設の設計を行うことができる。
【0009】
このようなエアパレット方式で使用済燃料貯蔵容器を搬送するには、使用済燃料貯蔵容器を使用済燃料貯蔵容器の支持架台に載せ、支持架台ごとエアパレットで浮かせ、後方の駆動輪により前進する。
【0010】
しかし、駆動輪の設置が後方にのみである場合は前方または側方に進行方向がぶれることで走行安定性が悪くなり、精度良く貯蔵位置に合わせることが困難であるため、前方にも駆動輪を設けることで移動精度を高めることとしている。
【0011】
支持架台の前方に駆動輪をつけた場合は、進行方向に前方の駆動輪があることから駆動輪が他の使用済燃料貯蔵容器に接触する可能性があることと、貯蔵位置まで進行し定置した後に前方の駆動輪を取り外すために労力がかかることが考えられる。
【0012】
これに対し、上述の特許文献1に記載の技術のように、前方横側に駆動輪を設ける技術が開発されており、前方駆動輪の取り外しを容易に行うことを可能としていた。
【0013】
しかし、前方横側に駆動輪を設けたままでは、駆動輪の装置の幅の分だけ搬送台車が大きくなり、前輪横側の駆動輪が他の使用済燃料貯蔵容器に接触しないように使用済燃料貯蔵容器同士の間隔を空ける必要があった。これでは、貯蔵間隔を空けることで貯蔵施設内に稠密に収納することができなくなることから、貯蔵可能な敷地に対して効率良く貯蔵するために更なる改善の余地があることが明らかとなった。
【0014】
本発明は、上記課題を解決するために、従来に比べて更に使用済燃料貯蔵容器を稠密に配置することが可能な使用済燃料貯蔵容器の搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、内部に放射性物質を収納する使用済燃料貯蔵容器を貯蔵する貯蔵施設における搬送方法であって、前記使用済燃料貯蔵容器を固定する架台を搬送する搬送台車によって、前記貯蔵施設内のうち蛇行抑制機構の一部が設置された領域まで搬送する第1搬送ステップと、前記第1搬送ステップによって前記領域まで搬送された前記架台を前記蛇行抑制機構によりサポートした状態で前記搬送台車によって貯蔵位置まで搬送する第2搬送ステップと、を有し、前記搬送台車は、前記架台の搬送方向前方面側に設けられた、前記架台に対して取り外し可能な前方側方駆動輪と、前記架台の搬送方向後方側に固定され、モータにより前記架台を水平移動させる後方駆動輪と、を備え、前記蛇行抑制機構は、前記貯蔵施設を構成するコンクリート側壁と、前記架台の前記コンクリート側壁側の搬送方向前方側面側に設けられ、前記コンクリート側壁に接触する側壁車輪と、前記搬送台車の2つ以上の前記後方駆動輪を搬送方向前後方向にずらす前後位置調整機構と、からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、従来に比べて更に使用済燃料貯蔵容器を稠密に配置することができる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態1の使用済燃料貯蔵容器の貯蔵建屋における使用済燃料貯蔵容器の搬送方法を示した平面図である。
【
図2】実施形態1の使用済燃料貯蔵容器の搬送方法において、後方の駆動輪を片側のみ前方にずらして配置した様子を示す上面図である。
【
図3】実施形態1の使用済燃料貯蔵容器の搬送方法において用いる側壁車輪の可変調節機構の概要を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態2の使用済燃料貯蔵容器の貯蔵建屋における使用済燃料貯蔵容器の搬送方法を示した側面図である。
【
図5】本発明の実施形態3の使用済燃料貯蔵容器の貯蔵建屋における使用済燃料貯蔵容器の搬送方法を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の使用済燃料貯蔵容器の搬送方法の実施形態を、図面を用いて説明する。なお、以下に説明する各実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0019】
<実施形態1>
本発明の使用済燃料貯蔵容器の搬送方法の実施形態1について
図1乃至
図3を用いて説明する。
図1は本使用済燃料貯蔵容器の搬送方法が適用される使用済燃料貯蔵容器の貯蔵施設と搬送方法の概要を示した平面図である。
図2は後方駆動輪5の配置の様子を示した上面図である。
図3は、可変調節機構の構成を示す図である。
【0020】
最初に、貯蔵施設の概要について
図1を用いて説明する。
【0021】
図1に示すように、使用済燃料貯蔵容器の貯蔵施設1は、コンクリート側壁2で仕切られており、この仕切られた空間に、支持架台3の上に固定された使用済燃料貯蔵容器4を設置することで、再処理までの間の一時的な保管を行う。
【0022】
次に、搬送に用いる搬送台車の詳細について
図1を用いて説明する。
【0023】
図1に示すように、搬送台車50は、支持架台3の搬送方向前方面側に設けられた、支持架台3に対して取り外し可能な前方側方駆動輪6と、支持架台3を載荷する複数のエアバッグ51を装備し、支持架台3の下部に支持架台3の搬送方向後方側から差し込まれるフォーク52と、フォーク52が支持架台3に差し込まれた状態において支持架台3の搬送方向後方側に固定され、モータ53により支持架台3を水平移動させる2つ以上の後方駆動輪5と、を備えている。
【0024】
その構造の詳細は、例えば、上述の特許文献1に記載されたような構造とすることが望ましい。
【0025】
支持架台3の下部は、通常の工場や倉庫などで使用される荷物搬送用のパレットがフォークリフトのフォークを差し込んで搬送されるのと同様に、支持架台3を差し込める構造となっている。
【0026】
使用済燃料貯蔵容器4を搬送する場合、まず、エアバッグ51の空気を抜いてフォーク52を下げ、支持架台3の下に差し込む。次に、エアバッグ51に圧縮空気を入れると、エアバッグ51が膨らみ、支持架台3を上昇させる。圧縮空気を更に送り込むと、ついにはエアバッグ51と地面との間に薄い空気層が形成され、支持架台3が浮き上がる。
【0027】
浮上した状態では、エアバッグ51と地面との間に薄い空気層があるだけなので、地面との摩擦係数は3/1000程度になる。すなわち、重量が100トンのものを搬送する場合でも、地面が水平であれば、高々300kgの駆動力があれば移動できるので、後方駆動輪5および前方側方駆動輪6の駆動源(図示省略)は、搬送対象の重さに比べると極めて動力の小さいものでもよい。
【0028】
使用済燃料貯蔵容器4は搬送台車50を用いて支持架台3ごと浮かせ、後方の駆動輪5にて貯蔵位置まで移動できるように前進する。後方駆動輪5のみであれば、走行安定性が悪くなり精度良く貯蔵位置に合わせることが困難であることから、前方横側の駆動輪6を設けることで移動精度を高めている。
【0029】
次に、本実施形態に係る内部に放射性物質を収納する使用済燃料貯蔵容器4を貯蔵する貯蔵施設1における搬送方法について
図1乃至
図3を参照して説明する。
【0030】
まず、使用済燃料貯蔵容器4を固定する支持架台3を搬送する搬送台車50によって、貯蔵施設1内のうち蛇行抑制機構の一部が設置された領域まで搬送する(第1搬送ステップ)。その詳細は、例えば、上述の特許文献1に記載されたような方法とすることが望ましい。
【0031】
ここで、蛇行抑制機構の一部が設置された領域とは、前方横側に駆動輪6を用いて搬送すると既に貯蔵位置にて保管されている状態の使用済燃料貯蔵容器4や支持架台3に前方横側に駆動輪6が干渉する可能性がある範囲のことを表し、より具体的には、本実施形態であればコンクリート側壁2が仕切りとして設けられている部分の手前に相当する。
【0032】
ここで、支持架台3の前方横側に駆動輪6を設けたままでは、駆動輪6の装置の幅の分搬送に必要な面積が大きくなり、前輪横側の駆動輪6が他の使用済燃料貯蔵容器4に接触しないように使用済燃料貯蔵容器4同士の間隔を空ける必要があった。貯蔵間隔を空けることで、稠密に収納することができなくなり、貯蔵可能な敷地に対して効率良く貯蔵することが困難になる。
【0033】
そこで、本発明では、上述の第1搬送ステップによって蛇行抑制機構の一部が設置された領域まで搬送された支持架台3を蛇行抑制機構によりサポートした状態で搬送台車50によって貯蔵位置まで搬送する(第2搬送ステップ)。
【0034】
本実施形態では、蛇行抑制機構は、貯蔵施設1を構成するコンクリート側壁2と、支持架台3のコンクリート側壁2側の搬送方向前方側面側に設けられ、コンクリート側壁2に接触する側壁車輪7と、搬送台車50の2つ以上の後方駆動輪5を搬送方向前後方向にずらす前後位置調整機構8と、から構成されるものとする。
【0035】
より具体的には、使用済燃料貯蔵容器4を貯蔵する列まで搬送したのちに、前方横側の駆動輪6を支持架台3から取り外す。
【0036】
ここで、貯蔵施設1には、使用済燃料貯蔵容器4を貯蔵する貯蔵位置の一辺に仕切りとなるコンクリート製の側壁を設けることとしている。ここで、一例として、2列毎にコンクリート側壁2を設ける。
【0037】
更に、本実施形態では、コンクリート側壁2面上を転がすことができるように、支持架台3のコンクリート側壁2側に、コンクリート側壁2に接するように側壁車輪7の取り付け板13を支持架台3のコンクリート側壁2側の側面にボルト14を用いて取り付け、コンクリート側壁2に沿うように進行させる。
【0038】
更には、後方の駆動輪5が平行に設置されているのみの場合は、支持架台3の進行方向が左右にぶれてしまうことが懸念される。そこで、
図2に示すように、コンクリート側壁2側とは反対側の駆動輪5の進行方向の位置を、コンクリート側壁2側の駆動輪5に対して前後位置調整機構8によって前方側にずらす。
【0039】
なお、前後位置調整機構8は、コンクリート側壁2側の駆動輪5をコンクリート側壁2側とは反対側の駆動輪5の進行方向の位置に対して後方側にずらすものであってもよい。
【0040】
このような進行方向の位置関係をずらして設置した駆動輪5によって、自然に支持架台3の進行方向がコンクリート側壁2側に向かうようになり、コンクリート側壁2が支持架台3のガイドの役目を果たし、支持架台3を直線に走行させることができる。
【0041】
ここで、貯蔵位置に到達した時点でコンクリート側壁2に接していた側壁車輪7の張り出し長さを可変機構により調節し、貯蔵位置に合わせることが望ましい。
図3に示すように、可変調節機構は長さ調節ネジ9を回すことで伸縮棒10が伸縮するものであり、支持架台3を貯蔵位置に調節する。
【0042】
調整後はボルト14を取り外して側壁車輪7を支持架台3から取り外す。
【0043】
使用済燃料貯蔵容器4を貯蔵位置から搬出する際は、上記搬送手順を逆に実行すればよいが、特には限定されない。
【0044】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0045】
上述した本発明の実施形態1の内部に放射性物質を収納する使用済燃料貯蔵容器4を貯蔵する貯蔵施設1における搬送方法は、使用済燃料貯蔵容器4を固定する支持架台3を搬送する搬送台車50によって、貯蔵施設1内のうち蛇行抑制機構の一部が設置された領域まで搬送する第1搬送ステップと、第1搬送ステップによって領域まで搬送された支持架台3を蛇行抑制機構によりサポートした状態で搬送台車50によって貯蔵位置まで搬送する第2搬送ステップと、を有している。
【0046】
更に、蛇行抑制機構は、貯蔵施設1を構成するコンクリート側壁2と、支持架台3のコンクリート側壁2側の搬送方向前方側面側に設けられ、コンクリート側壁2に接触する側壁車輪7と、搬送台車50の2つ以上の後方駆動輪5を搬送方向前後方向にずらす前後位置調整機構8と、からなる。
【0047】
これによって、コンクリート側壁2に沿うように支持架台3が進行するため、コンクリート側壁2が支持架台3のガイドの役目を果たし、支持架台3を直線に走行させることができる。このため、使用済燃料貯蔵容器4を搬送する支持架台3の前方横側の駆動輪6の幅をなくしつつ、使用済燃料貯蔵容器4を精度良く貯蔵位置まで搬送することができ、使用済燃料貯蔵容器4を従来に比べて稠密配置することが可能となる。
【0048】
また、側壁車輪7は、可変調節機構を更に備えたため、側壁車輪7に貯蔵位置まで搬送された使用済燃料貯蔵容器4を含む支持架台3を簡易、かつ確実に正確な貯蔵位置に配置することができ、従来に比べて搬送時間の短縮を図ることができる。
【0049】
<実施形態2>
本発明の実施形態2の使用済燃料貯蔵容器の搬送方法について
図4を用いて説明する。実施形態1と同じ構成には同一の符号を示し、説明は省略する。以下の実施形態においても同様とする。
図4は本実施形態2の使用済燃料貯蔵容器の貯蔵建屋における使用済燃料貯蔵容器の搬送方法を示した側面図である。
【0050】
本実施形態では、第2搬送工程における蛇行抑制機構を、貯蔵施設1を構成するコンクリート側壁2と、支持架台3のコンクリート側壁2側の搬送方向前方側面側に設けられ、コンクリート側壁2に接触する側壁車輪7と、
図4に示すような貯蔵施設1の床面に設けた傾斜床2Aと、からなるものとしている。
【0051】
その他の構成・動作は前述した実施形態1の使用済燃料貯蔵容器の搬送方法と略同じ構成・動作であり、詳細は省略する。
【0052】
本発明の実施形態2の使用済燃料貯蔵容器の搬送方法のように、蛇行抑制機構は、貯蔵施設1を構成するコンクリート側壁2と、支持架台3のコンクリート側壁2側の搬送方向前方側面側に設けられ、コンクリート側壁2に接触する側壁車輪7と、貯蔵施設1の床面に設けた傾斜床2Aと、からなる場合においても、前述した実施形態1の使用済燃料貯蔵容器の搬送方法とほぼ同様な効果が得られる。
【0053】
すなわち、貯蔵施設1の床面をコンクリート側壁2側に傾斜した傾斜床2Aとすることで、後方の駆動輪5での進行方向が自然にコンクリート側壁2側に向かうため、側壁車輪7とコンクリート側壁2とがガイドとして機能し、コンクリート側壁2に沿うように支持架台3を直線に走行させることができ、前方横側の駆動輪5の幅をなくしつつ、使用済燃料貯蔵容器4を精度良く貯蔵位置まで搬送することができる、との効果が得られる。
【0054】
なお、本実施形態においても、側壁車輪7は、
図3に示したような可変調節機構を備えることができる。
【0055】
<実施形態3>
本発明の実施形態3の使用済燃料貯蔵容器の搬送方法について
図5を用いて説明する。
図5は本実施形態3の使用済燃料貯蔵容器の貯蔵建屋における使用済燃料貯蔵容器の搬送方法を示した側面図である。
【0056】
本実施形態では、第2搬送工程における蛇行抑制機構を、
図5に示すような、貯蔵施設1の床面に設置された床面ガイドレール11と、支持架台3の搬送方向側面側に設けられ、床面ガイドレール11に沿って移動するガイド12と、からなるものとする。
【0057】
より具体的には、
図5に示すように、貯蔵施設1の床面2Bのうち、貯蔵位置まで支持架台3をガイドする床面ガイドレール11を設ける。床面ガイドレール11は常設のものとし、例えば、金属製とすることができるが、特にこれに限定されない。
【0058】
更に、支持架台3の床面ガイドレール11側の側面にガイド12を床面ガイドレール11に係合させた状態で取付ける。ガイド12の取り付けかたは、上述の側壁車輪7と同様に取り付け板をボルト等で固定する方法などがある。
【0059】
床面ガイドレール11とガイド12との係合方法は特に限定されないが、例えばガイドと車輪とすることが考えられる。
【0060】
本実施形態では、前方横側の駆動輪6を取り外した後、床面ガイドレール11に係合するようにガイド12を支持架台3に取り付けることで、支持架台3が床面ガイドレール11に沿って進行させることができる。床面ガイドレール11およびガイド12により、貯蔵施設1内に設けるコンクリート側壁2による支持を不要としたうえで、支持架台3の進行方向を安定させて直進することが可能となる。
【0061】
その他の構成・動作は前述した実施形態1の使用済燃料貯蔵容器の搬送方法と略同じ構成・動作であり、詳細は省略する。
【0062】
本発明の実施形態3の使用済燃料貯蔵容器の搬送方法によれば、前述した実施形態1の使用済燃料貯蔵容器の搬送方法とほぼ同様な効果が得られる。
【0063】
また、蛇行抑制機構は、貯蔵施設1の床面に設置された床面ガイドレール11と、支持架台3の搬送方向側面側に設けられ、床面ガイドレール11に沿って移動するガイド12と、からなることによって、コンクリート側壁2がない部分にも使用済燃料貯蔵容器4を稠密配置することが可能となり、使用済燃料貯蔵容器4の配置の自由度や貯蔵施設1の構造の自由度を上げることが可能となる。
【0064】
<その他>
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記の実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0065】
1…使用済燃料貯蔵容器の貯蔵施設
2…コンクリート側壁
2A…傾斜床
2B…床面
3…支持架台
4…使用済燃料貯蔵容器
5…後方駆動輪
6…前方側方駆動輪
7…側壁車輪
8…前後位置調整機構
9…長さ調節ネジ
10…伸縮棒
11…床面ガイドレール(搬送台車用ガイドレール)
12…ガイド
13…取り付け板
14…ボルト
50…搬送台車
51…エアバッグ
52…フォーク
53…モータ