IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立GEニュークリア・エナジー株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-流量計設計支援システム 図1
  • 特許-流量計設計支援システム 図2
  • 特許-流量計設計支援システム 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-02
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】流量計設計支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/10 20200101AFI20220203BHJP
   G06F 30/18 20200101ALI20220203BHJP
   G06F 30/28 20200101ALI20220203BHJP
   G01F 1/00 20220101ALN20220203BHJP
   G01F 1/42 20060101ALN20220203BHJP
   G06F 113/08 20200101ALN20220203BHJP
   G06F 113/14 20200101ALN20220203BHJP
【FI】
G06F30/10 100
G06F30/18
G06F30/28
G01F1/00 Z
G01F1/42 A
G06F113:08
G06F113:14
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019041544
(22)【出願日】2019-03-07
(65)【公開番号】P2020144662
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2020-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三浦 隆嗣
【審査官】堀井 啓明
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-209220(JP,A)
【文献】特開2001-344295(JP,A)
【文献】特開2005-309999(JP,A)
【文献】西 道弘,管内旋回流の不安定流れ(吸出し管の場合),ターボ機械第27巻第4号,日本,日本工業出版株式会社,1999年01月11日,pp.23-30
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00-30/398
G01F 1/00
G01F 1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラント内の配管流路の設計情報を記憶した流路設計データベースと、
前記流路設計データベースに記憶された配管形状データ及び構造物形状データを利用して流体経路の解析用幾何モデルを出力する流路モデル形成手段と、
前記流路モデル形成手段で出力される配管形状モデルデータ及び構造物形状モデルデータを記憶する形状モデルデータ記憶部と、
前記形状モデルデータ記憶部内に記憶された前記配管形状モデルデータ及び前記構造物形状モデルデータと、前記流路設計データベース内に記憶された流体物理量データとを利用して前記流体経路内部の流体の旋回成分を解析する旋回成分解析手段と、
前記旋回成分解析手段から出力される旋回成分解析データを記憶する解析結果記憶部と、
前記旋回成分解析データを利用して流量計の設置位置の変更支援情報を設置位置決定支援データとして出力する設置位置提案手段と、
を備えたことを特徴とする流量計設計支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の流量計設計支援システムであって、
前記設置位置決定支援データを記憶する支援データ記憶部と、
前記設置位置決定支援データを利用して、決定した流量計の設置位置を流量計設置位置データとして出力する設置位置決定手段と、
前記流量計設置位置データを記憶する流量計設計情報記憶部と、
を備えたことを特徴とする流量計設計支援システム。
【請求項3】
請求項1に記載の流量計設計支援システムであって、
前記流路モデル形成手段は、前記流路設計データベースに記憶された配管形状データ及び構造物形状データを、指定した範囲の流路全体において、流体シミュレーション解析が可能なデータ形式に自動的に変換する、
ことを特徴とする流量計設計支援システム。
【請求項4】
請求項1に記載の流量計設計支援システムであって、
前記旋回成分解析手段は、流体シミュレーション解析の結果として、流量指示計の誤差の直接的な指標となる旋回成分のパラメータを少なくとも1つ出力する、
ことを特徴とする流量計設計支援システム。
【請求項5】
請求項1に記載の流量計設計支援システムであって、
前記設置位置提案手段は、前記旋回成分解析データに基づいて、流路上で流量計の設置を推奨する位置と、流路上で流量計の設置を推奨しない位置と、を判別可能なデータ形式で、前記設置位置決定支援データを出力する、
ことを特徴とする流量計設計支援システム。
【請求項6】
請求項1に記載の流量計設計支援システムであって、
前記旋回成分解析手段は、前記旋回成分解析データとして旋回強度を出力する、
ことを特徴とする流量計設計支援システム。
【請求項7】
請求項6に記載の流量計設計支援システムであって、
前記旋回強度は、配管の管壁に沿った周方向における旋回流の角速度と、配管の流れ方向と平行な方向の旋回流の速度との比で表される、
ことを特徴とする流量計設計支援システム。
【請求項8】
請求項6に記載の流量計設計支援システムであって、
前記旋回強度は、旋回流の有する角運動量と軸方向運動量との比で表される、
ことを特徴とする流量計設計支援システム。
【請求項9】
請求項6に記載の流量計設計支援システムであって、
前記旋回強度は、旋回流形状データで表される、
ことを特徴とする流量計設計支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管経路上の流量計の設計支援を行う流量計設計支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
オリフィス流量計のような絞り機構を用いる計器は、計測配管内の流れに著しい乱れがあると正しく計測することができず、指示値誤差を引き起こす原因となる。この指示値誤差は、オリフィス板上流の流体の旋回成分の強さ(旋回強度)に依存することが知られている。
【0003】
旋回成分が流量計の指示値に与える影響が大きい場合に、流体の物理量(例えば流量、流速等)を変更せずに、前記旋回成分の影響を軽微にするためには、オリフィス板上流の配管に整流装置を設ける、もしくはオリフィス板上流の配管長を十分に確保することが望ましい。
【0004】
JIS Z 8762-2では、前記指示値誤差による流量計測の不具合を回避する際に、整流装置を使用しないで継手を取り付ける場合の、オリフィス板の上流側に必要な直管の最小長さを規定している。
【0005】
配管経路及び経路上の構造物(バルブ等)の計画設計システムの一般例として、特開平04-260175号公報に記載のレイアウト設計装置が知られている。特開平04-260175号公報に記載のレイアウト設計装置では、経路形成規則を記憶した記憶装置を用いることで、対象領域内において始点から目標点に至る経路及び経路上に設置される設置物レイアウトを自動的に決定することができる。
【0006】
したがって、特開平04-260175号公報に記載のレイアウト設計装置において、経路形成規則としてJISの規定に則った最小配管長さを与えてレイアウト設計することにより、設置された流量計が旋回成分によって受ける影響は軽微なものとして評価できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平04-260175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、流量計の指示値誤差を軽微にし、計測精度を十分に確保するためには、オリフィスの上流直管長を十分に確保するか、もしくはオリフィス上流部に整流装置を設け、旋回強度を弱めることが望ましい。
【0009】
しかし、原子力プラントのように建屋内構造物の物量が膨大な場合では、建屋配置や機器配置の都合上、全ての流量計で上流側に十分な直管長を確保することは困難である。また、上流直管長の規定を満たさない全ての流量計の上流部に整流装置を設けることは、コストの観点から現実的ではない。
【0010】
すなわち、原子力プラント内のオリフィス流量計の多くは、JISの規定を満たさないために、旋回成分による指示値への影響が未知であり、流量計の計測健全性に影響を与えるほどの指示値誤差が、実機試験の段階で露見するリスクを内包している。
【0011】
特開平04-260175号公報に記載のレイアウト設計装置のような、従来技術では、配管経路や設置物の幾何的な設置規則(例えばオリフィス上流配管の最小長さ)に基づいた流量計の設置位置決定手段は提供されているが、設計段階での計測健全性の検証やそのフィードバックについては何ら考慮されていなかった。
【0012】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、オリフィス流量計のような差圧流量計の計測精度を向上させ、無視できない流量指示値の誤差が実機で発生するリスクを、設計段階で低減させることが可能な流量計設計支援システムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記した課題を解決するために本発明は、プラント内の配管流路の設計情報を記憶した流路設計データベースと、前記流路設計データベースに記憶された配管形状データ及び構造物形状データを利用して流体経路の解析用幾何モデルを出力する流路モデル形成手段と、前記流路モデル形成手段で出力される配管形状モデルデータ及び構造物形状モデルデータを記憶する形状モデルデータ記憶部と、前記形状モデルデータ記憶部内に記憶された前記配管形状モデルデータ及び前記構造物形状モデルデータと、前記流路設計データベース内に記憶された流体物理量データとを利用して前記流体経路内部の流体の旋回成分を解析する旋回成分解析手段と、前記旋回成分解析手段から出力される旋回成分解析データを記憶する解析結果記憶部と、前記旋回成分解析データを利用して流量計の設置位置の変更支援情報を設置位置決定支援データとして出力する設置位置提案手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、オリフィス流量計のような差圧流量計の計測精度を向上させ、無視できない流量指示値の誤差が実機で発生するリスクを、設計段階で低減させることが可能な流量計設計支援システムを提供することができる。
【0015】
上記した以外の本発明の課題、構成、作用及び効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例1に係る流量計設計支援システムの構成を説明する概略図である。
図2】設置位置決定支援データの出力結果の例を示す図である。
図3】本実施例に係る流量計設計支援システムを適用した場合の、流量計設計支援方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
例えば、原子力発電プラントでは、プラントの安全性確保の観点から、多重の安全系統を配備し、各系統の分離配置が必要であるなど、大変複雑な配管が必要となる。このような原子力発電プラントにおける配管内の旋回成分は、3次元空間での曲がり、分岐、異径配管の接続といった配管形状や構成のみではなく、経路上の構造物(弁、ポンプ、熱交換器等)の内部構造によっても影響を受ける。本発明は前記配管形状や経路上の構造物を全て解析モデル化することで、あらゆる配管構造における流体解析を可能とする。
【0019】
以下の実施例では単純化のため、解析対象となる経路上に、設計対象となる流量計以外の構造物を持たず、JISで規定される必要な最小直管長を満たさない配管経路における、流量計設置位置決定の支援方法及び配管経路見直し提言の方法を代表的な実施例として説明する。しかしながら、本発明はこれに限られるものではなく、経路上にあらゆる構造物を有する配管に対する流量計の設置に関し適用可能であることは言うまでもない。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明の実施例1に係る流量計設計支援システムの構成を説明する概略図である。図1に示すように、本実施例の流量計設計支援システム100は、プラント内の配管流路の設計情報を記憶した流路設計データベース101と、流路モデル形成手段102と、形状モデルデータ記憶部103と、旋回成分解析手段104と、解析結果記憶部105と、設置位置提案手段106と、支援データ記憶部107と、設置位置決定手段108と、流量計設計情報記憶部109と、から構成される。各構成は、例えばプログラムをコンピュータで実行することで実現可能である。各構成の一部または全部を記憶素子や論理回路等のハードウェアで構成してもよい。
【0021】
まず、流路モデル形成手段102は、流路設計データベース101に記憶されている配管形状データ101a及び構造物形状データ101bを用いて、配管や構造物の形状を示すモデルのデータである配管形状モデルデータ103a及び構造物形状モデルデータ103bを形成する。以下では、この配管形状モデルデータ103a及び構造物形状モデルデータ103bを、単に形状モデルデータという場合がある。また、形状モデルデータによって表されるモデルを形状モデルという場合がある。配管形状モデルデータ103a及び構造物形状モデルデータ103bは、流体経路の解析用幾何モデルである。
【0022】
ここで、形状モデルデータは、配管の長さや管径、また、設計対象の流量計を含む、流路上の構造物の内部構造等、解析対象となる流体流路を、解析可能なモデルに変換するために必要な幾何データを含んだデータ群である。
【0023】
また、流路モデル形成手段102は、形状モデルデータに対する解析用の3次元メッシュの付与や、各モデルに与えた解析メッシュ同士を接合するためのアルゴリズムが組み込まれたソフトウェアプログラムをコンピュータで実行することで実現される。形状モデルデータは既知のいかなる方法で形成してもよい。
【0024】
流路モデル形成手段102は、流路設計データベース101に記憶された配管形状データ101a及び構造物形状データ101bを、指定した範囲の流路全体において、流体シミュレーション解析が可能なデータ形式に自動的に変換する。これにより、配管の流体シミュレーション解析を容易に行うことができる。
【0025】
次に、旋回成分解析手段104は、形状モデルデータと、流体物理量データ101cとを用いて、モデルの配管内部における流体の旋回成分を解析評価し、旋回成分解析データを出力し、解析結果記憶部105に記憶する。ここで、流体物理量データ101cは、解析対象となる流体の物理量(例えば、圧力、流量、流速、密度、粘度等)であり、解析の境界条件を含んでいる。
【0026】
旋回成分解析手段104は、流体シミュレーション解析の結果として、流量指示計の誤差の直接的な指標となる旋回成分のパラメータを少なくとも1つ出力する。これにより、旋回成分のパラメータを用いることで、旋回流の流量計の誤差への影響を見極めることができる。
【0027】
また、解析結果記憶部105内の旋回成分解析データは、旋回成分の解析結果から評価される、オリフィス流量計の指示値誤差の大きさの指標となる物理量を、少なくとも1つ含む。オリフィス流量計の指示値誤差の大きさの指標となる物理量は、例えば、旋回成分のパラメータを含む。
【0028】
次に、設置位置提案手段106は、解析結果記憶部105内の旋回成分解析データを入力とし、設置位置決定支援データを出力し、支援データ記憶部107に記憶する。設置位置決定支援データは、流量計の設置位置の変更支援情報である。
【0029】
設置位置提案手段106は、形状モデルデータに含まれる配管経路や構造物の配置に関する幾何情報と、旋回成分解析データに含まれる旋回成分の物理量(旋回成分のパラメータ)を用いて、配管経路全体に渡って旋回成分による流量計指示値への影響の大きさを判定した結果を設置位置決定支援データとして出力するアルゴリズムが組み込まれたソフトウェアプログラムをコンピュータで実行することで実現される。
【0030】
旋回成分解析データに含まれる旋回成分の物理量は、例えば旋回強度を含む。旋回強度は、例えば、配管の管壁に沿った周方向における旋回流の角速度と、配管の流れ方向と平行な方向(配管の管軸の軸方向)の旋回流の速度との比で表される。旋回強度は、例えば、旋回流の有する角運動量と軸方向運動量との比で表される。旋回強度は、例えば、旋回流の形状を示す旋回流形状データで表される。旋回流の形状は、旋回強度が高くなるにつれ、軸方向にまっすぐに延びた形状から、螺旋の大きな形状へと変化する。旋回強度は、既知の如何なる物理量を用いて表してもよい。これにより、旋回強度によって旋回流の流量計の誤差への影響を見極めることができる。
【0031】
設置位置提案手段106は、旋回成分解析データに基づいて、流路上で流量計の設置を推奨する位置と、流路上で流量計の設置を推奨しない位置と、を判別可能なデータ形式で、設置位置決定支援データを出力する。これにより、配管内で流量計の設置に適した位置を明確に提示することができる。
【0032】
図2は、設置位置決定支援データの出力結果の例を示す図である。図2の出力結果の例では、図中左右方向に延びる配管経路のうち解析範囲の配管経路を切り取って示す配管部201の中に、流量計設置候補範囲202が示されている。また、図2の出力結果の例では、旋回成分解析データによって旋回強度が強いことが判明し、流量計設置を推奨しない範囲である流量計設置非推奨範囲202aがハッチングされて示されている。設計者はこの出力結果を参照し、流量計設置候補範囲202のうち流量計設置非推奨範囲202a以外の範囲である流量計設置推奨範囲202bへの流量計の設置を検討することができる。
【0033】
次に、設置位置決定手段108は、設置位置決定支援データに基づいて、流量計設置位置データを出力する。設置位置決定手段108は、設置位置決定支援データを利用して流量計の設置位置を決定し、決定した流量計の設置位置を流量計設置位置データとして出力し、流量計設計情報記憶部109に記憶する。
【0034】
ここで、設置位置決定手段108は、設置位置提案手段106から出力された設置位置決定支援データから、自動、手動問わず設置位置を決定する手段であり、例えば自動決定手段の場合、設置位置決定手段108は、設置位置決定支援データの出力形式によって、各々適したアルゴリズムが組み込まれるソフトウェアプログラムをコンピュータで実行することで実現される。
【0035】
図3は、本実施例に係る流量計設計支援システムを適用した場合の、流量計設計支援方法のフロー図である。
【0036】
各配管経路に対して、差圧流量計の設置を要求することを設計開始とし、計測条件入力を実行する(ステップS301)。前記計測条件とは、差圧流量計の設置を要求する配管経路上の流体の物理量(圧力、温度等)や、流量計測に要求される指示値の許容誤差等である。
【0037】
前記計測条件に基づいて流量計設計を実行し(ステップS302)、プラントの設計情報から、流量計の設置要求範囲に該当する経路の配管条件入力を実行する(ステップS303)ことで、流量計の初期設置位置決定が実行される(ステップS304)。
【0038】
ここで、決定した前記初期設置位置が、JIS Z 8762-2で規定されるオリフィス上流の最小配管長を満たすかどうかの判定を実行し(ステップS305)、満たした場合は、旋回成分の影響は軽微であると考えられるため、整流器の設置不要として流量計の設置位置が決定し、設計終了となる。一方で、ステップS305の判定で前記初期設置位置がJIS Z 8762-2で規定されるオリフィス上流の最小配管長を満たさない場合、本実施例の設計支援フローを実行する(ステップS306)。
【0039】
ステップS306はステップS306a~S306fを含む。まず、配管や構造物の3次元形状データ抽出を実行し(ステップS306a)、前記形状データを解析可能なデータに変換するために、流路モデルデータ形成を実行する(ステップS306b)。次に、経路上の流体物理量入力を行い(ステップS306c)、前記流路モデルデータ及び前記流体物理量から、旋回成分解析を実行する(ステップS306d)。前記旋回成分解析の実行によって、出力される設置位置決定支援データから、流量計設置位置の変更判定を行い(ステップS306e)、流量計の設置位置の変更可否及び要否を判定する。
【0040】
前記設置位置変更判定(ステップS306e)によって、旋回成分の影響が軽微であり、流量計の設置位置の変更が不要、または旋回成分の影響を軽微にするために、流量計の設置位置を、適する経路上の位置へ変更することが可能と判断した場合、整流器の設置不要として、流量計の設置位置が決定し、設計終了となる。
【0041】
一方で、前記設置位置変更判定(ステップS306e)によって、旋回成分の影響が無視できず、計測健全性確保のために、流量計の設置位置の変更で必要であるにも関わらず、機器配置等の制限から、流量計の設置位置の変更が不可能であると判定した場合、配管形状の変更判定を実施する(ステップS306f)。
【0042】
前記配管形状の変更判定(ステップS306f)において、解析に用いた配管形状の変更が可能である場合、配管形状を変更し、再度配管条件入力を実行する(ステップS303)。一方で、ステップS306fで前記配管形状の変更が不可能と判定した場合、流量計上流への整流器の設置要として流量計の位置を決定し、設計終了となる。
【0043】
なお、本発明は上記の各実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。制御線や信号線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や信号線を示しているとは限らない。
【符号の説明】
【0044】
100…流量計設計支援システム、101…流路設計データベース、101a…配管形状データ、101b…構造物形状データ、101c…流体物理量データ、102…流路モデル形成手段、103…形状モデルデータ記憶部、103a…配管形状モデルデータ、103b…構造物形状モデルデータ、104…旋回成分解析手段、105…解析結果記憶部、106…設置位置提案手段、107…支援データ記憶部、108…設置位置決定手段、109…流量計設計情報記憶部
図1
図2
図3