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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-02
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】モジュラー式紫外線パルスレーザ源
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/37 20060101AFI20220203BHJP
   G02F 1/355 20060101ALI20220203BHJP
   H01S 3/109 20060101ALI20220203BHJP
   G02B 6/032 20060101ALI20220203BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20220203BHJP
   G02B 6/02 20060101ALN20220203BHJP
【FI】
G02F1/37
G02F1/355
H01S3/109
G02B6/032 Z
G02B6/42
G02B6/02 451
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019511593
(86)(22)【出願日】2017-08-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2017069855
(87)【国際公開番号】W WO2018036792
(87)【国際公開日】2018-03-01
【審査請求日】2020-05-26
(31)【優先権主張番号】62/379,639
(32)【優先日】2016-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/664,176
(32)【優先日】2017-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519061387
【氏名又は名称】コヒーレント カイザースラウテルン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】クナッペ, ラルフ
【審査官】井部 紗代子
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-042369(JP,A)
【文献】特開2008-155223(JP,A)
【文献】特開2003-042967(JP,A)
【文献】国際公開第2015/029141(WO,A1)
【文献】特開2006-073970(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0209908(US,A1)
【文献】特表2011-522288(JP,A)
【文献】特開2008-096493(JP,A)
【文献】特開2011-203321(JP,A)
【文献】特開2002-263877(JP,A)
【文献】特表2007-504499(JP,A)
【文献】特表2014-521219(JP,A)
【文献】特開2001-242495(JP,A)
【文献】特開2007-256388(JP,A)
【文献】足立俊輔,鈴木俊法,深紫外パルスによる低次数高調波発生,2011年春季 <第58回>応用物理学関係連合講演会[講演予稿集] Extended Abstracts of the 58th Spring Meeting, 2011; The Japan Society of Applied Physics and the Related Societies,公益社団法人応用物理学会 The Japan Society of Applied Physics,2011年,04-143
【文献】SUDA, A. et al.,Generation of sub-10-fs, 5-mJ-optical pulses using a hollow fiber with a pressure gradient,Applied Physics Letters,American Institute of Physics,2005年03月10日,86,111116-1 - 111116-3
【文献】NISOLI, M. et al.,Generation of high energy 10 fs pulses by a new pulse compression technique,Applied Physics Letters,American Institute of Physics,1996年03月11日,Vol. 68, No. 20,2793 - 2795
【文献】Mahmood Irtiza Hussain, et al.,Ultrafast, high repetition rate, ultraviolet, fiber based laser source: application towards Yb+ fast quantum-logic,Optics Express,Vol. 24, Issue 15,米国,2016年06月28日,pp. 16638-16648,arXiv:1606.08550 [physics.optics],DOI:10.1364/OE.24.016638
【文献】ZHAO, Kun 他,Narrowband pulse-enhanced upconversion of chirped broadband pulses,Journal of Optics,Vol.12 No.3,米国,2010年02月,Page.035206, 1-5
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00 - 1/125
G02F 1/21 - 7/00
G02B 6/02 - 6/036
G02B 6/10
G02B 6/30 - 6/34
G02B 6/42 - 6/44
H01S 3/00 - 3/02
H01S 3/04 - 3/0959
H01S 3/098 - 3/102
H01S 3/105 - 3/131
H01S 3/136 - 3/213
H01S 3/23 - 4/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Scopus
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線パルスレーザ放射を発生させるための装置であって、
パルスレーザ放射(22)のビームを発生させるレーザ源(20)であって、前記パルスレーザ放射(22)は、約100フェムト秒~約200ピコ秒のパルス持続時間を有する、レーザ源(20)と、
周波数変換モジュール(28)であって、前記周波数変換モジュール(28)は、気密に密閉されている封入された内部容積を有する、周波数変換モジュール(28)と、
前記レーザ源(20)から前記周波数変換モジュール(28)に前記パルスレーザ放射(22)のビームを輸送するように配列されてい中空コア光ファイバ(24)であって、前記中空コア光ファイバの中空コアは、ガスを含有し、かつ前記ファイバ(24)を通過する前記レーザ放射をスペクトル的に広げるように構成されている、中空コア光ファイバ(24)と、
前記スペクトル的に広げられたレーザ放射を受け取るためのパルス圧縮モジュール(44)であって、前記パルス圧縮モジュール(44)は、そこに通過する前記パルスを時間的に圧縮するためである、パルス圧縮モジュール(44)と、
前記周波数変換モジュール(28)の前記封入された内部容積内に位置す第1の非線形結晶(72)および第2の非線形結晶(74)と
を備え、
前記パルスレーザ放射(22)のビームは、前記中空コア光ファイバ(24)および前記パルス圧縮モジュール(44)および前記第1の非線形結晶(72)および前記第2の非線形結晶(74)をこの順序で通るように伝搬し、
前記第1の非線形結晶(72)および前記第2の非線形結晶(74)は、紫外線パルスレーザ放射のビームを発生させるように配列されており、
前記中空コア光ファイバは、可撓性である、装置。
【請求項2】
前記パルス圧縮モジュール(44)は、一対のプリズムまたは一対の回折格子を含み、前記スペクトル的に広げられたレーザ放射は、前記一対のプリズムまたは前記一対の回折格子を通して伝搬するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2の非線形結晶(74)は、四ホウ酸リチウムから作製されている、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記中空コア光ファイバ(24)の前記中空コア内の前記ガスの圧力は、調整されている、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記装置は、ビームスキャナ(78)集束レンズ(34)とをさらに備え、前記ビームスキャナ(78)は、前記紫外線パルスレーザ放射のビームの光路内に置かれており、前記ビームスキャナ(78)は、前記紫外線パルスレーザ放射のビームを偏向させるように配列されており、前記集束レンズ(34)は、前記紫外線パルスレーザ放射の偏向されたビームの光路内に置かれており、前記集束レンズ(34)は、前記紫外線パルスレーザ放射のビームをワークピースにおいて合焦させるように配列されている、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記紫外線パルスレーザ放射のビームは、気密エンクロージャ(46)内で前記周波数変換モジュール(28)と前記集束レンズ(34)との間に伝搬する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記気密エンクロージャ(46)は、真空化されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記気密エンクロージャ(46)は、乾性ガスでパージされている、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記乾性ガスは、清浄な乾燥空気である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記紫外線パルスレーザ放射のビームは、約266ナノメートルの波長を有する、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項11】
前記紫外線パルスレーザ放射のビームは、約244ナノメートルの波長を有する、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項12】
前記周波数変換モジュール(28)の前記封入された内部容積は、真空化されている、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項13】
前記周波数変換モジュール(28)の前記封入された内部容積は、乾性ガスでパージされている、請求項1または請求項2記載の装置。
【請求項14】
前記乾性ガスは、清浄な乾燥空気である、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記中空コア光ファイバ(24)は、約15マイクロメートルよりも大きいモードフィールド直径を有する、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項16】
前記光ファイバ(24)から出る前記パルスレーザ放射(22)は、20ピコ秒よりも大きいパルス持続時間を有し、前記パルス圧縮モジュール(44)は、前記パルスレーザ放射の前記パルス持続時間を約20ピコ秒未満まで減少させるように配列されている、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項17】
前記光ファイバ(24)から出る前記パルスレーザ放射は、1ピコ秒よりも大きいパルス持続時間を有し、前記パルス圧縮モジュール(44)は、前記パルスレーザ放射の前記パルス持続時間を約1ピコ秒未満まで減少させるように配列されている、請求項1または請求項2に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本出願は、2016年8月25日に出願された米国仮出願第62/379,639号および2017年7月31日に出願された米国非仮特許出願第15/664,176号に対して優先権を主張する。上記文献の開示内容は、それらの全体として参照することによって本明細書において援用される。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は、一般に、紫外線(UV)レーザ放射のビームを発生させることに関する。本発明は、具体的には、例えば、約380ナノメートルよりも短い波長と、約20ピコ秒未満のパルス持続時間とを有する、UVパルスレーザ放射のビームを発生させることに関する。
【背景技術】
【0003】
(背景技術の議論)
レーザ材料処理は、広範囲の材料を切断する、穿孔する、マークする、および印を付けるためにますます使用されている。伝統的な機械的処理は、処理された材料を劣化および弱化させる、粗面および微細な亀裂等の不要な欠陥を生成する。パルスレーザ放射の集束ビームを使用するレーザ材料処理は、より高品質の縁および壁を有する、より精密な切り込みおよび孔を生成する一方で、不要な欠陥の形成を最小限にする。科学的研究および製造の進歩は、増加する範囲の材料のレーザ材料処理につながっている一方で、より高い処理速度および改良された精度を要求する。
【0004】
固体利得媒質を使用する高出力レーザ源は、赤外線(IR)波長、典型的には、約750ナノメートル(nm)よりも長い波長を有する、基本レーザ放射を生成する。IRレーザ放射は、非線形光学結晶における高調波発生によって、可視光および紫外線(UV)レーザ放射に変換される。短波長レーザ放射は、より長い波長の放射線よりも小さい孔を穿孔する、細かいマークを付ける、および細かい特徴に印を付けることが可能である。UVレーザ放射は、したがって、多くのタイプの材料を処理するために好ましい。しかしながら、UVレーザ放射は、光学系、具体的には、周囲酸素および湿気にも暴露される光学系を劣化させる。高調波発生結晶および任意ビーム成形またはビーム送達光学系は、そのような損傷の影響を受けやすい。
【0005】
あるレーザ源は、フェムト秒またはピコ秒パルス持続時間を有するパルス、例えば、約100フェムト秒(fs)を上回り、約20ピコ秒(ps)未満のパルス持続時間を有するパルスを備える、パルスレーザ放射のビームを生成する。閾値強度を上回る集束パルスレーザ放射は、アブレーションによってワークピースから材料を除去し、周辺材料の過剰な加熱によって引き起こされる不要な巻き添え損傷を最小限にする。殆どの材料は、IR基本波長よりもUV波長において低いアブレーション閾値を有する。したがって、より高速でより高品質の処理が、UVパルスレーザ放射を使用して可能である。
【0006】
多くの現代の光電子デバイスは、複合構造を有する。発光ダイオード、太陽電池、およびタッチスクリーンは、異なる材料の層で重ね合わされた基板を備える。重ね合わせる層は、ドープした半導体導体層、薄い金属膜、薄いポリマー膜、および薄い伝導性酸化物膜を含み得る。薄膜層は、多くの場合、構造上に堆積され、次いで、材料を除去することによってパターン化される。UVパルスレーザ放射の集束ビームは、層材料のアブレーション閾値の間の差と組み合わせられた短波長レーザ放射によって提供される、空間選択性を使用して、下層材料を損傷することなく薄膜を選択的に除去することができる。
【0007】
特徴は、材料を通して3次元でレーザ放射の集束ビームを移動させることによって、材料に作製される、または薄膜層にパターン化される。線形平行移動段は、ワークピースを支持し、最大制御走査速度まで、集束ビームを通して3次元でワークピースを平行移動させる。より高い側方走査速度は、非集束ビームを偏向させ、ワークピースを通して側方に集束ビームを平行移動させるように、最新鋭の検流計作動型モータを使用して、アクセス可能である。
【0008】
UVパルスの集束ビームを発生させ、集束ビームをワークピースに精密に送達することが可能なレーザ材料処理装置の必要性がある。レーザ材料処理装置は、UVレーザ放射による光学損傷に耐性を示すべきである。好ましくは、パルスは、広範囲の材料をアブレートするために十分なエネルギーを有し、パルスエネルギーは、複合構造内の薄膜を選択的にアブレートするように制御可能である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要約)
一側面では、本発明による、UVパルスレーザ放射発生装置は、パルスレーザ放射のビームを発生させるレーザ源を備える。パルスレーザ放射は、約100フェムト秒~約200ピコ秒のパルス持続時間を有する。周波数変換モジュールが、提供される。周波数変換モジュールは、気密に密閉されている封入された内部容積を有する。光ファイバが、提供され、レーザ源から周波数変換モジュールにパルスレーザ放射のビームを輸送するように配列される。四ホウ酸リチウム結晶は、周波数変換モジュールの封入された内部容積内に位置する。四ホウ酸リチウム結晶は、パルスレーザ放射のビームを遮断し、そこからUVパルスレーザ放射のビームを発生させるように配列される。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
紫外線パルスレーザ放射を発生させるための装置であって、
パルスレーザ放射のビームを発生させるレーザ源であって、前記パルスレーザ放射は、約100フェムト秒~約200ピコ秒のパルス持続時間を有する、レーザ源と、
周波数変換モジュールであって、前記周波数変換モジュールは、気密に密閉されている封入された内部容積を有する、周波数変換モジュールと、
前記レーザ源から前記周波数変換モジュールに前記パルスレーザ放射のビームを輸送するように配列されている、光ファイバと、
前記周波数変換モジュールの前記封入された内部容積内に位置する四ホウ酸リチウム結晶であって、前記四ホウ酸リチウム結晶は、前記パルスレーザ放射のビームを遮断し、そこから紫外線パルスレーザ放射のビームを発生させるように配列されている、四ホウ酸リチウム結晶と
を備える、装置。
(項目2)
前記紫外線パルスレーザ放射のビームは、約266ナノメートルの波長を有する、項目1に記載の装置。
(項目3)
前記紫外線パルスレーザ放射のビームは、約244ナノメートルの波長を有する、項目1に記載の装置。
(項目4)
前記紫外線パルスレーザ放射のビームは、約213ナノメートルの波長を有する、項目1に記載の装置。
(項目5)
前記周波数変換モジュールの前記封入された内部容積は、真空化されている、任意の前記項目に記載の装置。
(項目6)
前記周波数変換モジュールの前記封入された内部容積は、乾性ガスでパージされている、項目1-4のいずれかに記載の装置。
(項目7)
前記乾性ガスは、清浄な乾燥空気である、項目6に記載の装置。
(項目8)
前記光ファイバは、中空コアを有し、前記パルスレーザ放射のビームは、その中で伝搬する、任意の前記項目に記載の装置。
(項目9)
前記中空コア光ファイバは、約15マイクロメートルを上回るモードフィールド直径を有する、項目8に記載の装置。
(項目10)
前記中空コアは、調整されている圧力を有するガスを含有する、項目8または項目9に記載の装置。
(項目11)
前記光ファイバから出る前記パルスレーザ放射は、20ピコ秒を上回るパルス持続時間を有し、前記装置はさらに、パルス圧縮器を備え、前記パルス圧縮器は、前記光ファイバと前記周波数変換モジュールとの間に位置し、前記パルス圧縮器は、前記パルスレーザ放射のビームを遮断し、前記パルスレーザ放射の前記パルス持続時間を約20ピコ秒未満まで減少させるように配列されている、任意の前記項目に記載の装置。
(項目12)
前記光ファイバから出る前記パルスレーザ放射は、1ピコ秒を上回るパルス持続時間を有し、前記装置はさらに、パルス圧縮器を備え、前記パルス圧縮器は、前記光ファイバと前記周波数変換モジュールとの間に位置し、前記パルス圧縮器は、前記パルスレーザ放射のビームを遮断し、前記パルスレーザ放射の前記パルス持続時間を約1ピコ秒未満まで減少させるように配列されている、項目1-10のいずれかに記載の装置。
(項目13)
ビームスキャナをさらに備え、前記ビームスキャナは、前記紫外線パルスレーザ放射のビームを遮断し、偏向させるように配列されている、任意の前記項目に記載の装置。
(項目14)
集束レンズをさらに備え、前記集束レンズは、前記紫外線パルスレーザ放射のビームを遮断し、前記紫外線パルスレーザ放射のビームをワークピースにおいて合焦させるように配列されている、任意の前記項目に記載の装置。
(項目15)
ビームスキャナと、集束レンズとをさらに備え、前記ビームスキャナは、前記紫外線パルスレーザ放射のビームを遮断し、偏向させるように配列され、前記集束レンズは、前記偏向された紫外線パルスレーザ放射のビームを遮断し、前記紫外線パルスレーザ放射のビームをワークピースにおいて合焦させるように配列されている、項目1-12のいずれかに記載の装置。
(項目16)
前記紫外線パルスレーザ放射のビームは、気密エンクロージャ内で前記周波数変換モジュールと前記集束レンズとの間に伝搬する、項目15に記載の装置。
(項目17)
前記気密エンクロージャは、真空化されている、項目16に記載の装置。
(項目18)
前記気密エンクロージャは、乾性ガスでパージされている、項目16に記載の装置。
(項目19)
前記乾性ガスは、清浄な乾燥空気である、項目18に記載の装置。
(項目20)
紫外線パルスレーザ放射を発生させるための装置であって、
パルスレーザ放射のビームを発生させるレーザ源であって、前記パルスレーザ放射は、約100フェムト秒~約200ピコ秒のパルス持続時間を有する、レーザ源と、
周波数変換モジュールであって、前記周波数変換モジュールは、気密に密閉されている封入された内部容積を有する、周波数変換モジュールと、
前記レーザ源から前記周波数変換モジュールに前記パルスレーザ放射のビームを輸送するように配列されている、中空コア光ファイバと、
前記周波数変換モジュールの前記封入された内部容積内に位置する、第1の非線形結晶および第2の非線形結晶と
を備え、
前記パルスレーザ放射のビームは、前記中空コア光ファイバ、前記第1の非線形結晶、および前記第2の非線形結晶を通る、列挙された順序で伝搬し、
前記第1の非線形結晶および前記第2の非線形結晶は、紫外線パルスレーザ放射のビームを発生させるように配列されている、装置。
(項目21)
前記第2の非線形結晶は、四ホウ酸リチウムから作製される、項目20に記載の装置。
(項目22)
前記中空コア光ファイバの中空コアは、調整されている圧力を有するガスを含有する、項目20または項目21に記載の装置。
(項目23)
ビームスキャナと、集束レンズとをさらに備え、前記ビームスキャナは、前記紫外線パルスレーザ放射のビームを遮断し、偏向させるように配列され、前記集束レンズは、前記偏向された紫外線パルスレーザ放射のビームを遮断し、前記紫外線パルスレーザ放射のビームをワークピースにおいて合焦させるように配列されている、項目20-22のいずれかに記載の装置。
(項目24)
前記紫外線パルスレーザ放射のビームは、気密エンクロージャ内で前記周波数変換モジュールと前記集束レンズとの間に伝搬する、項目23に記載の装置。
(項目25)
前記気密エンクロージャは、真空化されている、項目24に記載の装置。
(項目26)
前記気密エンクロージャは、乾性ガスでパージされている、項目24に記載の装置。
(項目27)
前記乾性ガスは、清浄な乾燥空気である、項目26に記載の装置。
(項目28)
前記紫外線パルスレーザ放射のビームは、約266ナノメートルの波長を有する、項目20-27のいずれかに記載の装置。
(項目29)
前記紫外線パルスレーザ放射のビームは、約244ナノメートルの波長を有する、項目20-27のいずれかに記載の装置。
(項目30)
前記周波数変換モジュールの前記封入された内部容積は、真空化されている、項目20-29のいずれかに記載の装置。
(項目31)
前記周波数変換モジュールの前記封入された内部容積は、乾性ガスでパージされている、項目20-29のいずれかに記載の装置。
(項目32)
前記乾性ガスは、清浄な乾燥空気である、項目31に記載の装置。
(項目33)
前記中空コア光ファイバは、約15マイクロメートルを上回るモードフィールド直径を有する、項目20-32のいずれかに記載の装置。
(項目34)
前記光ファイバから出る前記パルスレーザ放射は、20ピコ秒を上回るパルス持続時間を有し、前記装置はさらに、パルス圧縮器を備え、前記パルス圧縮器は、前記光ファイバと前記周波数変換モジュールとの間に位置し、前記パルス圧縮器は、前記パルスレーザ放射のビームを遮断し、前記パルスレーザ放射の前記パルス持続時間を約20ピコ秒未満まで減少させるように配列されている、項目20-33のいずれかに記載の装置。
(項目35)
前記光ファイバから出る前記パルスレーザ放射は、1ピコ秒を上回るパルス持続時間を有し、前記装置はさらに、パルス圧縮器を備え、前記パルス圧縮器は、前記光ファイバと前記周波数変換モジュールとの間に位置し、前記パルス圧縮器は、前記パルスレーザ放射のビームを遮断し、前記パルスレーザ放射の前記パルス持続時間を約1ピコ秒未満まで減少させるように配列されている、項目20-33のいずれかに記載の装置。
【0010】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する、付随する図面は、本発明の好ましい実施形態を概略的に図示し、上記に挙げられる一般的説明および以下に挙げられる好ましい実施形態の詳細な説明とともに、本発明の原理を解説する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、レーザ源と、ファイバ結合モジュールと、光ファイバと、周波数変換モジュールと、ビーム走査モジュールと、集束レンズと、ワークピースとを含む、本発明によるUVパルスレーザ放射発生装置の1つの好ましい実施形態を概略的に図示する、外部図である。
図2図2は、図1のUVパルスレーザ放射発生装置の付加的詳細を部分的に断面で概略的に図示する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(発明の詳細な説明)
ここで、同様の特徴が同様の参照番号によって指定される、図面を参照すると、図1は、本発明による、紫外線(UV)パルスレーザ放射発生装置の1つの好ましい実施形態10を概略的に図示する。装置10は、約100フェムト秒(fs)~約200ピコ秒(ps)のパルス持続時間を有する、パルスレーザ放射のビーム22を発生させるレーザ源20を備える。パルスレーザ放射のビーム22は、レーザ源20の基本波長である、赤外線(IR)波長を有する。一例として、イッテルビウム(Yb3+)でドープした利得ファイバは、約976ナノメートル(nm)または約1,030nmにおいてレーザ放射を生成する。ネオジム(Nd3+)でドープした利得結晶は、約1,064nmにおいてレーザ放射を生成する。パルスレーザ放射のビーム22は、示されるような離散モジュールであり、またはレーザ源20に統合され得る、ファイバ結合モジュール26によって、光ファイバ24の中へ結合される。
【0013】
光ファイバ24は、非線形高調波発生によってパルスレーザ放射のビーム22をUVパルスレーザ放射のビーム30に変換する、周波数変換モジュール28に、パルスレーザ放射のビーム22を輸送する。UVパルスレーザ放射のビーム30は、基本波長の4分の1または5分の1である、UV波長を有する。例示的基本波長976nmに関して、第4の高調波波長は、244nmであり、第5の高調波波長は、195nmである。例示的基本波長1,064nmに関して、第4の高調波波長は、266nmであり、第5の高調波波長は、213nmである。
【0014】
周波数変換モジュール28は、UVパルスレーザ放射のビーム30を偏向させる、ビーム走査モジュール32に取り付けられる。ビーム走査モジュール32は、UVパルスレーザ放射のビーム30をワークピース38における焦点場所36に集束する、集束レンズ34に取り付けられる。ワークピース38は、平行移動段40によって支持され、位置付けられる。集束レンズ34および平行移動段40は、ワークピース38に対して焦点場所36の縦方向変位を制御する。ビーム走査モジュール32および平行移動段40は、焦点場所36の側方変位を制御する。
【0015】
集束レンズ34は、好ましくは、「F-シータ対物レンズ」である。F-シータ対物レンズは、ビーム走査モジュール32によるUVパルスレーザ放射のビーム30の角度変位を、平坦な焦点面42内の焦点場所36の比例側方変位に変換する。平坦な焦点面42は、集束レンズ34から固定距離に位置する。F-シータ対物レンズは、例えば、Thorlabs(Newton,New Jersey)から市販されている。
【0016】
随意のパルス圧縮モジュール44が、光ファイバ24と周波数変換モジュール28との間に位置する。随意のパルス圧縮モジュール44は、光ファイバ24から現れるレーザ放射のビーム22のパルス持続時間が約20psを上回る場合に、装置10の中に含まれ、好ましくは、パルス持続時間が約1psを上回る場合に、含まれるであろう。随意のパルス圧縮モジュール44は、パルスレーザ放射のビーム22を、約20ps未満、好ましくは、約1ps未満のパルス持続時間に一時的に圧縮する。最小アクセス可能パルス持続時間は、光ファイバ24から現れるパルスレーザ放射のビーム22のスペクトル帯域幅によって限定される。圧縮されたパルス持続時間は、非線形高調波発生を最適化するように、またはレーザ材料処理用途の要件を満たすように選択され得る。
【0017】
随意のパルス圧縮モジュール44、周波数変換モジュール28、ビーム走査モジュール32、および集束レンズ34はともに、気密エンクロージャ46(図面内の鎖線によって示される)を形成する。少なくとも1つのパージポート48は、気密エンクロージャ46を真空化し、または乾性ガスで気密エンクロージャ46をパージする手段を提供する。一例として、気密エンクロージャ46は、乾燥窒素で、または清浄な乾燥空気でパージされ得る。真空を作成し、またはパージガスを供給する手段の詳細な説明は、本発明の原理を理解するために必要ではなく、故に、本明細書では提示されない。
【0018】
光ファイバ24は、入力コネクタ52と、出力コネクタ54と、ガスポート56と、光ファイバ24を包み込む保護導管(図示せず)とをさらに含む、光ファイバアセンブリ50の中の主要な要素である。光ファイバ24および保護導管は、可撓性であり、気密エンクロージャ46がレーザ源20およびファイバ結合モジュール26から独立して位置し、配向されることを可能にする。光ファイバアセンブリ50は、入力コネクタ52を使用して、ファイバ結合モジュール26に取り付けられ、またはそれから取り外されてもよい。出力コネクタ54は、光ファイバアセンブリ50を周波数変換モジュール28または随意のパルス圧縮モジュール44に取り付ける。
【0019】
光ファイバ24は、それを通してパルスレーザ放射のビーム22が伝搬する中空コアと、比較的大きいモードフィールド直径(MFD)とを有する。光ファイバ24は、好ましくは、「カゴメ」構造を有する、フォトニック結晶ファイバ(PCF)である。カゴメPCFは、クラッディングモードおよびコアモードを位相不整合させる、クラッディング構造およびクラッディングサイズを有する。具体的には、クラッディング構造は、基本波長において横断共振を有していない。伝搬するパルスレーザ放射のビーム22は、それによって、中空コア内に閉じ込められる。光ファイバ24のMFDは、好ましくは、約15マイクロメートル(μm)を上回り、最も好ましくは、約40μmである。カゴメPCFは、GLOphotonics SAS(Limoges,France)から市販されており、米国特許第8,306,379号でさらに説明されている。
【0020】
光ファイバ24の中空コアは、吸収に起因する伝送損失を最小限にするように真空化されてもよい。代替として、中空コアは、非線形自己位相変調(SPM)によってパルスレーザ放射のビーム22のスペクトル広がりを引き起こす、ガスを含有してもよい。光ファイバアセンブリ50は、気密に密閉され、そして真空化され、またはガスポート56を通してガスで充填される。ガスポート56は、出力コネクタ54の中に描写されているが、ガスポートは、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、入力コネクタ52の中に位置してもよい。ガスは、好ましくは、清浄な乾燥空気(CDA)であり、好ましくは、約10バール未満の圧力を有する。中空コアファイバ内のスペクトル広がりの量は、主に、ガス圧力を調整することによって制御される。
【0021】
一例として、40μmのMFDを有する、長さ3.5メートル(m)のカゴメPCFが、IRパルスレーザ放射のビーム22をスペクトル的に広げるために選択される。各IRパルスは、約90マイクロジュール(μJ)のエネルギーと、約9psの持続時間とを有する。カゴメPCFは、約2.5バールの圧力でCDAを含有する。IRパルスは、入力コネクタ52に進入する約0.3nmから、出力コネクタ54から現れる約2.5nmまで、スペクトル的に広げられる。付加的スペクトル帯域幅は、随意のパルス圧縮モジュール44がIRパルスレーザ放射のビーム22をより短い最小パルス持続時間に圧縮することを可能にする。例示的2.5nm IRパルスは、約9psから約780fsに圧縮されることができる。伸張器を通した伝送効率は、約95%であり、圧縮器を通した伝送効率は、約75%である。
【0022】
図2は、図1のUVパルスレーザ放射発生装置10の付加的詳細を概略的に図示する。ファイバ結合モジュール26は、ビーム指向チューナ60と、ビーム減衰器62と、ファイバ結合レンズ64とを含む。ビーム指向チューナ60は、ファイバ結合レンズ64上に入射するパルスレーザ放射のビーム22の精密な照準整合を制御する。ビーム指向チューナ60およびファイバ結合レンズ64は、最適な効率で光ファイバ24の中へパルスレーザ放射のビーム22を結合するように位置し、配列される。ビーム減衰器62は、パルスレーザ放射のビーム22のパルスエネルギーを低減させ、光ファイバ24内のSPMを調整し、それによって、出力コネクタ54から現れるパルスレーザ放射のビーム22のスペクトル帯域幅をさらに制御する。
【0023】
随意のパルス圧縮モジュール44は、コリメーティングレンズ66と、ビーム減衰器68と、パルス圧縮器70とを含む。コリメーティングレンズ66は、出力コネクタ54から現れた後にパルスレーザ放射のビーム22を平行にするように位置し、配列される。ビーム減衰器68は、パルスレーザ放射のビーム22のパルスエネルギーを低減させ、UVパルスレーザ放射のビーム30のパルスエネルギーを調整する。パルス圧縮器70は、上記で議論されるように、パルスレーザ放射のビーム22を一時的に圧縮する。パルスレーザ放射のビームを一時的に圧縮する手段は、当技術分野で周知である。例えば、スペクトル的に広い、パルスレーザ放射のビームは、一対のプリズムまたは一対の回折格子等の分散性媒質を通して伝搬するように配列される。パルスエネルギーを減衰させ、パルスレーザ放射のビームを一時的に圧縮する手段の詳細な説明は、本発明の原理を理解するために必要ではなく、故に、本明細書では提示されない。随意のパルス圧縮モジュール44がない場合、コリメーティングレンズ66およびビーム減衰器68が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、周波数変換モジュール28の中に含まれ得る。
【0024】
周波数変換モジュール28は、パルスレーザ放射のビーム22をUVパルスレーザ放射のビーム30に変換する、非線形結晶72および非線形結晶74を含む。第4または第5の高調波波長の非線形高調波発生は、典型的には、2つまたは3つの結晶を要求する。複数の潜在的な変換の組み合わせが、利用可能である。一例として、1つの組み合わせでは、非線形結晶72は、基本波長を第2の高調波波長に変換し、非線形結晶74は、第2の高調波波長を第4の高調波波長に変換する。別の組み合わせでは、非線形結晶72は、基本波長を第3の高調波波長に変換し、非線形結晶74は、基本波長および第3の高調波波長を第4の高調波波長に変換する。
【0025】
非線形結晶72のための好適な材料は、三ホウ酸リチウム(LiB)またはベータホウ酸バリウム(β-BaB)を含む。非線形結晶74は、好ましくは、四ホウ酸リチウム(Li)から作製される。各非線形結晶は、好ましくは、パルスレーザ放射のビーム22のウェストの中に位置する。非線形高調波発生の効率は、パルスレーザ放射のビーム22をより小さいウェスト直径に集束させ、それによって非線形結晶内のパルスレーザ放射のビーム22の強度を増加させることによって改良される。
【0026】
上記の例示的変換組み合わせおよび例示的パルス持続時間に関して、レーザ源20は、好ましくは、少なくとも50Wの基本波長パワーを発生させ、非線形結晶72は、好ましくは、少なくとも30Wの第2の高調波波長パワーを発生させ、非線形結晶74は、好ましくは、少なくとも5Wの第4の高調波波長パワーを発生させる。レーザ源20は、最も好ましくは、少なくとも80Wの基本波長パワーを発生させ、非線形結晶72は、最も好ましくは、少なくとも50Wの第2の高調波波長パワーを発生させ、非線形結晶74は、最も好ましくは、少なくとも10Wの第4の高調波波長パワーを発生させる。
【0027】
ビーム走査モジュール32は、ビーム拡張器76と、ビームスキャナ78とを含む。ビーム拡張器76は、ビームスキャナ78および集束レンズ34上に入射するUVパルスレーザ放射のビーム30の直径を制御する。UVパルスレーザ放射のビーム30の直径は、概して、レーザ材料処理用途の集束要件に従って選択される。ビームスキャナ78は、好ましくは、検流計作動型鏡を使用し、UVパルスレーザ放射のビーム30を偏向させる。検流計スキャナは、例えば、Scanlab AG(Puchheim Germany)から市販されている。
【0028】
気密エンクロージャ46は、図1および図2に描写され、周波数変換モジュール28の中に位置する1つの共通パージポート48を有し、流体的に接続された全てのモジュールを有する。パージポートは、気密エンクロージャ46の任意のモジュールの中に位置してもよい。代替として、気密エンクロージャ46を備えるモジュールのうちのいずれか1つは、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、個別に封入され、専用パージポートを有してもよい。モジュールを封入するために、進入および退出窓が、モジュールの中および外にレーザ放射のビームを伝送するために含まれるであろう。個別に封入されたモジュールを有する装置は、個々のモジュールが代用または置換される場合に、修理中の汚染を最小限にするために好ましい。
【0029】
本発明は、好ましい実施形態および他の実施形態の観点から上記で説明される。しかしながら、本発明は、本明細書に説明および描写される実施形態に限定されない。むしろ、本発明は、本明細書に添付される請求項のみによって限定される。
図1
図2