(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-02
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】光周波数コムアセンブリ及び方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/01 20060101AFI20220203BHJP
G02F 1/37 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
G02F1/01 B
G02F1/37
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020038612
(22)【出願日】2020-03-06
【審査請求日】2020-03-24
(32)【優先日】2019-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511266597
【氏名又は名称】メンロ システムズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】ミケーレ ジュンタ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング ヘンゼル
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド ホルツヴァルト
【審査官】坂上 大貴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0200439(US,A1)
【文献】特開2017-146217(JP,A)
【文献】特開2014-135341(JP,A)
【文献】国際公開第2018/129297(WO,A1)
【文献】特表2013-528834(JP,A)
【文献】特開2016-45443(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/002918(US,A1)
【文献】GIUNTA, Michele et al.,Multi-branch ultra-low noise Er:fiber frequency comb comparison,2017 Conference on Lasers and Electro-Optics Europe & European Quantum Electronics Conference(CLEO/Europe-EQEC),米国,IEEE,2017年06月25日,pp.1
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00-1/125
1/21-7/00
H01S 3/00-3/02
3/04-3/0959
3/098-3/102
3/105-3/131
3/136-3/213
3/23-4/00
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光周波数コムアセンブリ(1)を操作する方法であって、
光周波数コムを構成するレーザー光を生成するために光周波数コムソース(3)を操作し、レーザー光を共通の光路(5)に導入し、
少なくとも1つの光学素子(11,13)を有する少なくとも1つの分岐光路(7)に、前記共通の光路(5)からのレーザー光を導入し、
前記少なくとも1つの光学素子(11,13)の上流の前記
光周波数コムアセンブリ(1)内の基準位置(R)で分離されるレーザー光と、前記少なくとも1つの光学素子(11,13)の下流の前記少なくとも1つの分岐光路(7)に設けられた測定位置(P)で分離されるレーザー光の間の前記光周波数コムの第1周波数モードv
1の位相差を決定し、
決定された前記位相差の目標値からの偏差に基づき前記少なくとも1つの分岐光路(7)からのレーザー光のために位相補正を与える、方法。
【請求項2】
多数の分岐光路(7)のための前記位相差の決定のために同じ
前記基準位置(R)が使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基準位置(R)で分離されるレーザー光と前記測定位置(P)で分離されるレーザー光の間の前記第1周波数モードv
1の前記位相差の決定は、基準光と前記基準位置(R)で分離されるレーザー光の間のビート信号、及び/又は、前記基準光と前記測定位置(P)で分離されるレーザー光の間のビート信号の測定を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記基準光は連続波(CW)レーザー光である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記基準光は、前記光周波数コムソース(3)により前記共通の光路(5)に供給される前記光周波数コムから得られ、前記基準光は、特に、レーザー光を周波数シフタ(27)に与えることで、及び、前記共通の光路(5)からのレーザー光の周波数フィルタリングを実行することで生成される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの光学素子(11,13)は、χ(2)プロセス及び/又はχ(3)プロセスを、前記少なくとも1つの光学素子(11,13)を通るレーザー光に誘起するように、及び/又は、前記少なくとも1つの光学素子(11,13)を通るレーザー光を増幅するように構成され、前記少なくとも1つの光学素子(11,13)は特に、非線形周波数
拡大装置(13)を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記光周波数コムソース(3)はそれ自体、前記
光周波数コムのオフセット周波数f
0及び/又は繰り返し周波数f
repに関して安定化される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記位相補正は、少なくとも1つのアクチュエータ(19)を、特に1又は複数の位相同期ループを介して操作することで、前記少なくとも1つの分岐光路(7)の光学特性、特に群遅延及び/又は位相遅延を変更することを含み、
前記少なくとも1つのアクチュエータ(19)は好ましくは、温度変更アセンブリ、ファイバースクイーザ、ファイバーストレッチャー、特にピエゾドラム、調節可能な長さを有する自由空間光路セクション、電気光学装置又は音響光学装置の1又は複数を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記位相補正は、データの後処理
、又は
、フィードフォワード
制御を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの分岐光路(7)のために、前記第1周波数モードv
1とは異なる第2周波数モードv
2が、前記
少なくとも1つの分岐光路(7)によって光を供給される
用途において使用される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記位相補正は周波数変換ステップを有し、それにより前記位相補正は、前記
用途により使用される前記第2周波数モードv
2での補正、特に最適補正を与えるが、前記位相補正は、前記第1周波数モードv
1で決定された前記位相差を使用する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの分岐光路(7)を通って延びるレーザー光の周波数と、前記基準位置(R)で分離されるレーザー光の部分と前記測定位置(P)で分離されるレーザー光の別な部分の間の位相差との関係を特徴付ける基準測定、特に、前記第1周波数モードv
1及び第2周波数モードv
2でのレーザー光のために前記少なくとも1つの分岐光路(7)における位相遅延の比を特徴付ける基準測定を実行することをさらに有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記周波数変換ステップは、前記
光周波数コム(8)の2つの異なる周波数モードv
ref,A、v
ref,Bでの、特に前記第1周波数モードv
1及び基準周波数モードv
1bでの、前記基準位置(R)で分離されるレーザー光の部分と前記測定位置(P)で分離されるレーザー光の別な部分の間の位相差の決定を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
分離後であって前記位相差の決定のために使用される前に、前記基準位置(R)で分離される光及び分岐光路(7)の対応する前記測定位置(P)で分離される光は
、20c
m以下だけ進む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
光周波数コムアセンブリ(1)であって、
共通の光路(5)と、
光周波数コムを構成するレーザー光を生成するように構成され、レーザー光を前記共通の光路(5)に導入する光周波数コムソース(3)と、
少なくとも1つの光学素子(11,13)を有し、前記共通の光路(5)からのレーザー光を導入される少なくとも1つの分岐光路(7)と、
前記少なくとも1つの光学素子(11,13)の上流の前記
光周波数コムアセンブリ(1)内の基準位置(R)で分離されるレーザー光と、前記少なくとも1つの光学素子(11,13)の下流の前記少なくとも1つの分岐光路(7)に設けられた測定位置(P)で分離されるレーザー光の間の前記光周波数コムの第1周波数モードv
1の位相差を決定するように構成された位相測定アセンブリ(15)と、
決定された前記位相差の目標値からの偏差に基づき前記少なくとも1つの分岐光路(7)からのレーザー光のための位相補正を与えるように構成された制御ユニット(17)と、を有する光周波数コムアセンブリ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光周波数コムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
光周波数コムは、例えばモード同期レーザー(発振器)を用いて生成され、光周波数領域に等しい間隔のモードfmを有する。当該モードは式fm=m×frep+f0によって特徴付けられ、mは自然数であり、f0は周波数コムのオフセット周波数である。光周波数コムは例えば、分光学や、特に光時計における正確な周波数測定で使用される。
【0003】
例えば、特許文献1及び特許文献2が、モード距離frep(モード同期レーザーにおいて繰り返し周波数とも呼ばれる)及びオフセット周波数f0を安定化させ、安定した周波数コムを与えるために、周波数コム発生器の光共振器に作用することで光周波数コムを安定化させる方法を記載している。
【0004】
1又は複数のアプリケーションで使用できるように周波数コム発生器の出力を複数の光分岐に分割することが便利である。光分岐において、光をそれが使用されるアプリケーションに具体的に合わせるために、光は増幅を受けてもよく、また非線形プロセスを受けてもよい。このような多分岐システムは、非常に異なる光周波数における光出力を必要とする測定にとって特に重要である。1つの例は、異なる原子又はイオンに基づく複数の光時計の比較である。非特許文献1の論文では、698nm及び578nmにおける中性のSr原子及びYb原子が使用される。対応する2つの光周波数の光を与えるために、2つの別個の分岐(ブランチ)を使用することが好ましい。これは、低い位相雑音アプリケーションをサポートするために十分なSN比を有する長期間安定した操作を保証する。
【0005】
分岐において、光路は環境変化を受ける。特に有害なのは、音響ノイズ、温度変化及び機械振動である。それらは全て、光路を激しく乱し、異なる分岐内を進む光の位相振動を生じさせる。周波数は位相の時間派生物(時間微分)であるので、周波数コムの乱れた位相は、モードが元の位置からシフトした周波数である周波数コムを生じさせる。10^-16レンジ及びそれ以上での多数の高精度アプリケーションのために、これは避けられなければならない。
【0006】
加えて、例えば増幅及び周波数変換に関連する又はそれによって引き起こされる、光分岐における非線形光学効果は、分岐に蓄積された位相ノイズとの位相ノイズ変換への振幅をもたらし、ゆえに光分岐によって出力される周波数コムを不安定にする。
【0007】
論文(非特許文献2)は、多分岐ファイバーベース周波数コムを安定化させる方法を提案した。発振器出力パルスが別個の分岐に分割された。それぞれの分割パルスは、エルビウムファイバー増幅器によって増幅され、後続の高非線形ファイバーによってスペクトル的に広げられた。第1分岐(CEO-ロック分岐)は、発振器のCEO(搬送エンベロープオフセット)周波数を安定化させるために使用された。その論文は、CEO-ロック分岐で生じるファイバーノイズが発振器のポンプレーザーダイオードへのフィードバック制御により消去されると述べている。しかしながら、他の分岐からの出力はCEO-ロック分岐に共通でないファイバー経路から生じる異なるファイバーノイズを受ける。ファイバーノイズ差のための変動を抑制するため、ファイバーストレッチャーに基づくファイバーノイズ差消去装置が当該他の分岐に設けられた。ファイバーストレッチャーは当該他の分岐の制御されたファイバー長さで取り付けられ、それにより残留ファイバーノイズがCEO-ロック分岐におけるノイズと同じになった。その論文によれば、共通のファイバーノイズはCEO周波数及び繰り返し周波数のフィードバック制御によって消去される。
【0008】
その論文は、発振器のオフセット周波数及び繰り返し周波数のフィードバック制御が共通のファイバーノイズを消去すると述べているが、提案された装置はCEO-ロック分岐からの位相ノイズを他の分岐に導入しているようである。さらに、オフセット周波数のためのフィードバック制御を位相ノイズ補償と混ぜることが、操作するのが困難な複雑な装置をもたらしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】DE19911103A1
【文献】DE10044404A1
【文献】DE102011122232A1
【文献】DE102006023601A1
【文献】US6724788B1
【文献】DE102014226973A1
【非特許文献】
【0010】
【文献】N. Nemiz 等、Nature Photonics Vol.10, No.4, 2016
【文献】Multi-branch fiber comb with relative frequency uncertainty at 10^-20 using fiber noise difference cancellation, K. Kashiwagi等, (Optics Express Vol. 26, No.7, 2018)
【文献】Nature Photonics Vol.13, pp.158-169 (2019)
【文献】Optics Letters Vol.33, Issue 11, pp. 1192-1194 (2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、効率的な方法で少なくとも1つの光学素子を有する少なくとも1つの分岐光路における改善された位相安定性及び精度を可能にする、光周波数コムアセンブリを操作する方法及び対応する周波数コムアセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は請求項1の主題及び請求項15の主題によって達成される。従属請求項は本発明の有利な実施形態を記述する。
【0013】
本発明に従う光周波数コムアセンブリを操作する方法は、光周波数コムを構成するレーザー光を生成するために光周波数コムソース(光周波数コム光源)を操作し、レーザー光を共通の光路に導入するステップを有する。少なくとも1つの光学素子を有する少なくとも1つの分岐光路が、共通の光路からのレーザー光を導入される。少なくとも1つの分岐光路のために、少なくとも1つの光学素子の上流の周波数コムアセンブリ内の基準位置で分離されるレーザー光と、少なくとも1つの光学素子の下流の少なくとも1つの分岐光路に設けられた測定位置で分離されるレーザー光の間の光周波数コムの第1周波数モードv1の位相差が決定される。位相補正が、決定された位相差の目標値からの偏差・ずれに基づき少なくとも1つの分岐光路からのレーザー光のために与えられる。
【0014】
詳細には、位相補正は、決定された位相差の目標値からの偏差・ずれの時間進展に基づき与えられてもよい。
【0015】
少なくとも1つの分岐光路を通って、特に分岐光路の少なくとも1つの光学素子を通って延びる光の進んだ経路は、環境変動などの変動を受け得る。例えば、音響ノイズ、温度変化及び機械振動が特に有害である。それらは全て、光路を激しく乱し、少なくとも1つの分岐光路内を進む光の位相振動を生じさせる。周波数は位相の時間派生物(時間微分)であるので、周波数コムの乱れた位相は、モードが元の位置から周波数シフトした周波数コムを生じさせる。この効果は本発明によれば少なくとも部分的に補正される。
【0016】
基準位置で分離されるレーザー光と測定位置で分離されるレーザー光の間の第1周波数モードv1の位相差が決定されるとき、少なくとも1つの分岐光路のための位相補正は分岐光路における実際の位相ノイズを考慮する。ゆえに、特に高い安定性及び精度を有する分岐光路の出力が実現される。
【0017】
位相補正は、位相の時間微分である周波数に起因して、少なくとも1つの分岐光路を通る(横断する)コム光の周波数シフトをもたらし得る時間依存位相不安定性を補償できる。
【0018】
特に、位相差は、連続的に又は準連続的に、例えば周期的に決定でき、位相の時間進展を適切に監視でき、また位相補正のためにそれを考慮でき、時間依存位相補正を与え、特にファイバーへの温度、湿度又は機械的応力のような時間変化する環境パラメータを補償する。
【0019】
多数の分岐光路の場合、好ましくは、基準位置で分離されるレーザー光と測定位置で分離されるレーザー光の間の位相差が決定される(箇所である)第1周波数モードv1は、それぞれの分岐光路に対して同じである。これにより、幾つかの測定装置が複数の分岐光路間で共有されてもよいので本方法を実施することがより容易になる。しかしながら、原則として、第1周波数モードv1が複数の分岐光路のそれぞれのために又は複数の分岐光路の幾つかのために異なることも考えられる。
【0020】
前述したように、少なくとも1つの分岐光路からのレーザー光のための位相補正は、決定された位相差の目標値からの偏差・ずれに基づく。目標値は予め決定された値であってもよく、又は光周波数コムアセンブリの操作中に自動的に又は手動で決定されてもよい。
【0021】
位相補正は、基準位置と測定位置の間の位相差の変動を補償できる。しかしながら、位相差を予め決められた特定の値に設定する必要はない。また、位相差の正確な値を決定する必要もない。同じ分岐光路における位相差の異なる測定を比較でき、その変化を認識できる程度に位相差が決定されれば十分である。
【0022】
光周波数コムアセンブリ又はその部品、特に共通の光路、及び/又は、少なくとも1つの分岐光路又はその部分は例えば、光ファイバーアセンブリ、自由空間光アセンブリ又は導波管アセンブリ又はそれらの組み合わせであってもよい。特に、少なくとも1つの分岐光路は、部分的に又は完全に、光を自由空間に案内する自由空間構成部品、ガラス又はプラスチックから作られた光ファイバー、シリコン基板上の硝酸ケイ素導波管のような導波管構造体又はその組み合わせから成ってもよい。
【0023】
好ましい実施形態では、基準位置は、多数の分岐光路の場合の分岐光路のそれぞれに対して同じである。このような実施形態によれば、共有される基準位置での位相測定のために光を分離するたった1つの分離位置が、全ての分岐光路のために必要とされる。好ましくは、基準位置は、共通の光路が分岐光路に分かれる前の又はところの共通の光路内にある。しかしながら、基準位置は例えば、1又は複数の分岐光路が分割された後の共通の光路にあってもよく、又は好ましくは分岐光路の少なくとも1つの光学素子の上流の分岐光路のうちの1つにあってもよい。
【0024】
基準位置で分離されるレーザー光と測定位置で分離されるレーザー光の間の第1周波数モードv1の位相差の決定は、基準光(参照光)と基準位置で分離されるレーザー光の間のビート信号と、基準光と測定位置で分離されるレーザー光の間のビート信号の測定を有する。ビート信号を測定することで、位相情報を容易に推定できる。ビート信号は例えば、参照によってその全体がここに組み込まれる特許文献4に記載されるように生成される。
【0025】
例えば、2つのビートからの位相抽出は、不感時間自由カウンタによるビートの読み出しと、位相を得るためのデータの分析を有する。ビートはファーストADCによってサンプル抽出されてもよく、位相はソフトウェアによって得られてもよい。両方のビートはRFミキサーに送信され、位相(アナログ)を得るためにDCにミックスダウンされてもよい。また、エラー信号が2つのビートから求積法で得られてもよい。
【0026】
基準光は例えば、連続レーザー(CW)光として与えられてもよい。特に、基準光は、(メンロシステムズのORS1500などの)位相測定用の安定的な基準を与える超安定CWレーザーによって供給されてもよい。それに代えて、基準光は、光周波数コムソースにより共通の光路に供給される光周波数コムから得られてもよい。これは、基準光のための付加的な光源を備える必要を排除する。
【0027】
基準光は、特に、ビート検出を可能にする僅かな周波数シフト(一般に、数十Mhzの範囲)を導入するため、周波数コムソースからのレーザー光を周波数シフタに与えることで生成されてもよい。オプションで、基準光として機能するよう意図されたレーザー光は周波数フィルタリングを受けてもよい。光周波数コムソースにより提供されるレーザー光の一部は、分割され、適切なフィルタにより1又は2,3のモードにフィルタリングされ、必要なら増幅されてもよく、またビート測定に使用される前に周波数シフタに与えられてもよい。
【0028】
光周波数コムソースにより提供される光周波数コムから得られる基準光の場合、基準光と、測定位置で分離されるレーザー光の間のビート信号を測定するだけで十分である。基準光と、基準位置で分離されるレーザー光の間のビート信号を測定することは必ずしも必要でないが、それも可能である。基準光と測定位置で分離されるレーザー光の間のビート信号を想定するために使用される基準光は、光周波数コムソースにより共通の光路に供給される光周波数コムからの情報を既に含んでいるため、たった1つのビート信号を測定することで、基準位置で分離される光と測定位置で分離される光の間の位相差を十分な精度で決定することが可能になる。精度を増加させるために、基準位置の近くで又は基準位置で共通の光路からの基準光として使用される光を分離すると有利である。
【0029】
位相差を測定するために基準位置で分離されるレーザー光と測定位置で分離されるレーザー光を案内することで導入され得る不安定効果を低減するために、分離後であって測定を受ける前の基準位置で分離される光が通る経路と測定位置で分離される光が通る経路は、好ましくは、それぞれ、せいぜい20cm、好ましくはせいぜい10cm、より好ましくはせいぜい1cm、さらにより好ましくはせいぜい0.1cmである。同じ制約が、基準レーザー(超安定CWレーザー)の最後の共通ノードSとそれぞれの測定装置の接続部に当てはまる。好ましい実施形態では、基準レーザーの共通分割位置Sと基準位置Rの間の接続長さと、共通分割位置Sと測定位置Pの間の接続長さは、それぞれ、せいぜい20cm、好ましくはせいぜい10cm、より好ましくはせいぜい1cm、さらにより好ましくはせいぜい0.1cmである。
【0030】
少なくとも1つの分岐光路に設けられた少なくとも1つの光学素子は、少なくとも1つの光学素子を通る(横断する)レーザー光に光学的非線形プロセスを誘起するように構成されてもよい。特に、少なくとも1つの光学素子は非線形光学特性を備えた少なくとも1つの素子を有してもよい。これは、例えば、分岐光路の出力をユーザの特定のニーズに合わせることを可能にする。特定の例では、上で述べたような非線形効果が、元のコム光とは異なる光周波数を有する光周波数コム光であって、しかしながらコム方程式fm=m×frep+f0(場合により変更されたf0を有する)を満たす光周波数コム光を生成し得る。これにより、分岐光路によって供給されるアプリケーションで使用するための複数のモードを生成することができる。特定の例として、少なくとも1つの光学素子は増幅器及び/又は周波数ブローデナーを有してもよい。増幅器は好ましくは、エルビウムドープファイバー、イッテルビウムドープファイバー又はツリウムドープファイバーを有するファイバー増幅器であってもよい。エルビウムドープファイバー増幅器(EDFAs)は、例えば電気通信業において一般的なツールである。しかしながら、半導体デバイスや増幅の他のどんな手段も使用できる。
【0031】
少なくとも1つの分岐光路に設けられた少なくとも1つの光学素子は、χ(2)プロセス(カイ(2)プロセス)及び/又はχ(3)プロセス(カイ(3)プロセス)及び/又はラマン効果(セルフソリトンラマンシフトなど)を、少なくとも1つの光学素子を通るレーザー光に誘起するように構成されてもよい。特に、特許文献4に記載のラマンプロセスが使用されてもよい。χ(2)プロセスに含まれるのは、例えば、周波数二倍、和及び差周波数発生又はパラメトリック増幅の1又は複数である。χ(3)プロセスに含まれるのは、例えば、自己位相変調及び四光波混合の1又は複数である。
【0032】
それに代えて又は加えて、少なくとも1つの分岐光路に設けられた少なくとも1つの光学素子は、少なくとも1つの光学素子を通るレーザー光を増幅するように構成されてもよい。また、少なくとも1つの光学素子は、共通の光路からの光を、少なくとも1つの分岐光路からの光を供給されるアプリケーションに案内するために、光ファイバーなどの1又は複数の光学素子を有してもよい。このような光伝送線は、例えば異なる実験室の間にファイバー接続を与えるために、比較的短い長さを有してもよく又は少なくとも1m、少なくとも10m又は少なくとも100mの長さを有してもよい。
【0033】
好ましくは、周波数コム光はモード同期レーザーによって生成される。他の実施形態は、マイクロ共振器ベースコムソース(非特許文献3)、EOMベースコムソース(非特許文献4)、DFGコムソース(例えば特許文献5に記載)などの他の光周波数コムソースを使用してもよい。好ましくは、これらコムは高い基準精度に安定化される(オプティカル又はRF)。
【0034】
好ましくは、光周波数コムソースはそれ自体、周波数コムのオフセット周波数f0及び/又は繰り返し周波数frepに関して安定化される。これは、周波数コムソースによって共通の光路に導入される光が既に高い周波数安定性を有することを保証する。好ましくは、周波数コムのオフセット周波数f0及び繰り返し周波数frepの安定化は光周波数ソース自体の一部であり、少なくとも1つの分岐光路からのレーザー光のための位相補正に関連しない。標準の安定化周波数コムソースが本発明によって使用できる。
【0035】
実施形態によれば、少なくとも1つの分岐光路は、環境変化からの不安定効果を低減するために環境的に遮蔽された箱内に完全に又は部分的に設置されてもよい。特に、環境的に遮蔽された箱は温度に関して少なくとも1つの分岐光路を安定化させる。
【0036】
本発明は、高い安定性及び精度の周波数コムのために最も有効である。好ましい実施形態では、周波数コムは、1秒で10^-13以上のアラン分散に関して測定される安定性を有する。他の好ましい実施形態は、1秒で10^-16又は1秒に10^-18もの安定性を有する。
【0037】
好ましい実施形態におけるこのような周波数コムの精度は10^-18以上である。
【0038】
実施形態によれば、位相補正は、制御スキームに従う1又は複数のアクチュエータを、特に1又は複数の位相同期ループを介して操作することで少なくとも1つの分岐光路の光学特性を変更することを含んでもよい。これは、分岐光路のリアルタイムの位相補正の実行を可能にし、位相補正されたレーザー光は分岐光路の出力に供給される。
【0039】
閉じたフィードバックループが、1又は複数のアクチュエータを使用して測定位置の上流の少なくとも1つの分岐光路における光学特性(特に群遅延及び/又は位相遅延)を変更することで確立されてもよい。代替として、位相補正がフィードフォワードスキームを有することも考えられる。これは例えば、1又は複数のアクチュエータを使用して測定位置の下流の少なくとも1つの分岐光路における光学特性を変更することで実施されてもよい。
【0040】
アクチュエータは例えば、温度変更アセンブリ、ファイバースクイーザ、ファイバーストレッチャー(例えばピエゾドラムとして具体化される)、調節可能な長さを有する自由空間光路セクション、電気光学装置、音響光学装置又はその組み合わせを有してもよい。
【0041】
別な実施形態によれば、少なくとも1つの分岐光路からのレーザー光のための位相補正は、データの後処理を有してもよい。この場合、決定された位相差に基づいてアクチュエータを駆動することは必要でない。例えば、少なくとも1つの分岐光路のために獲得された位相差の時間進展が記録され、少なくとも1つの分岐光路の出力に与えられるレーザー光に基づいて特定のアプリケーションで得られたデータを評価するときに考慮されてもよい。
【0042】
優先的に、少なくとも1つの分岐光路のために、第1周波数モードv1とは異なる第2周波数モードv2が、分岐光路によって光を供給されるアプリケーションのために使用される。第1周波数モードv1とは異なるこのような周波数モードは、例えば、分岐光路の少なくとも1つの光学素子によって生成されてもよい。多数の分岐光路の場合、全ての分岐光路の位相安定化のために同じ第1周波数モードv1を使用することが可能であるが、分岐光路は異なる第2周波数モードv2を用いるアプリケーションを与える。
【0043】
少なくとも1つの分岐光路によって光を供給されるアプリケーションは、様々な目的のために少なくとも1つの分岐光路からの光を使用してもよい。例えば、そのアプリケーションは、例えば2つのクロックレーザーを比較するために、ビート信号を生成するため光を使用してもよい。
【0044】
そのアプリケーションで使用される周波数(第2周波数モードv2)とは異なる周波数(第1周波数モードv1)において基準位置で分離される光と測定位置で分離される光の間の位相差を検出することは、発明者等によって「ダイクロイック検出」と呼ばれる、本発明の実施形態に従う特別なアイデアである。
【0045】
好ましくは、位相補正は周波数変換ステップを有し、それで位相補正は、そのアプリケーションにより使用される第2周波数モードv2での補正、特に最適補正を与えるが、位相補正は、第1周波数モードv1で決定された位相差を使用する。簡単なバージョンでは、第1周波数モードv1で検出された位相差δφ1が周波数変換ステップで使用でき、例えば、直線関係δφ2=δφ1*v2/v1に従って第2周波数モードv2での位相差δφ2を見積もることができる。
【0046】
ダイクロイック検出のコンセプトはこの簡単な形式で使用されるが、それは周波数変換ステップのより精巧なバージョンを使用することでさらに改良できる。群遅延及び位相遅延は異なる媒体(真空を除く)において一般に等しくなく、その潜在的変動も等しくない。これは、直線関係δφ2=δφ1*v2/v1が不正確かもしれないことを意味する。これをより良く理解するために、以下の一般的な物理的考察が役立つだろう。
【0047】
伸びる長さLを有する一本のファイバー(例えば、本発明の光周波数コムアセンブリの分岐光路の一部であってもよく、又はその光学構成部品であってもよい)を考える。例のために、1.5μm波長(又は200Thzの光周波数)のCWレーザー光を有するファイバーの端部の間の位相差を測定することが、光ファイバー長さが1秒当たり1周期(2π)(測定のために使用される光の波長を参照)の速度で伸びることを生じさせると仮定する。これは、1秒当たり1.5μmの伸びる光路長さに対応する。参考のために、一般的なガラスファイバーは、約10^-5/Kの光路の熱膨張率を有し、それは、このようなドリフトレートを実現するため、1.5mのファイバーのために1秒当たり0.1Kの温度変化が必要であることを意味する。上の状況において、200THzでのCW光の周波数はファイバーを通過した後1Hz又は0.5×10^-14の変化を有する。この効果は、ドップラーシフトと呼ばれる。ゆえに、比較的小さな温度変化が大きな周波数シフトを導入し得ると理解することは容易である。
【0048】
同じ測定が1μm(300THz)のCW光を用いて行われる場合、先ず得られる一応の結果は、1μm光の1.5周期(3π)が付加的な1.5μmの光路長さにフィットするという推定をもたらす。ゆえに、我々は、300Thz/200Thz=1.5/1の周波数差に比例する倍率を光周期に又は光路長さに適用する。
【0049】
残念だが、これは完全には正しくない。群遅延及び位相遅延は一般に同じ方法で変化しないので、パルス列(モード間隔frepを有する周波数コムと似ている)が異なる周波数成分のための異なる光路長さ変化を見る。ここで、群遅延の変化が位相遅延の変化より大きいと仮定する(正常分散レジーム)。これは、パルス列が1μm成分のための大きめの光路長さ変化を見ることを意味する。我々が300THzレーザーまでの距離を測定するためにコムを使用する場合、我々は、300THzの周波数が1.5Hzより僅かに大きくシフトすることを見出す。この効果及びゆえに関連する補正は、ほぼ数パーセント程度であると測定された。
【0050】
このような効果は、本発明の実施形態によれば1又は複数のオーダーに考慮される。一次に対して、その効果は、固定位置周波数vfixを導入することで考慮され、それは関係δφ2=δφ1*(v2-vfix)/(v1-vfix)を導き、それは実施形態によればより精巧な周波数変換ステップで使用できる。不都合ながら、分岐光路及び/又はそこに備えられた光学素子のために、特に最も商業用のファイバーのために、分散特性が固定位置周波数vfixを予測するために十分知られていない。
【0051】
改良された周波数変換ステップを位相補正で実施するために、本方法はさらに、少なくとも1つの分岐光路を通って延びるレーザー光の周波数と、基準位置で分離されるレーザー光の部分と測定位置で分離されるレーザー光の別な部分の間の位相差との関係を特徴付ける基準測定を実行することを有してもよい。この基準測定を使用して、固定位置周波数vfixが決定でき、位相補正が、第1周波数モードv1とは異なる所望の周波数モードで、特に第2周波数モードv2で改善された精度で最適化される。しかしながら、基準測定の結果に基づいてvfixを実際に計算する必要がないことに留意されたい。測定によってvfixの計算が可能であれば十分である。基準測定の結果に基づいて改良された周波数変換ステップで使用される正確な計算を実施する様々な方法がある。
【0052】
基準測定は、少なくとも1つの分岐光路を通って延びるレーザー光のための2つの異なる周波数vref,A、vref,Bでの位相遅延を測定するステップを有してもよい。特に、これは、少なくとも1つの分岐光路を通って延びるレーザー光のための2つの異なる周波数vref,A、vref,Bでの、基準位置で分離されるレーザー光の部分と測定位置で分離されるレーザー光の別な部分の差を測定するステップを有してもよい。それに代えて、基準測定は、少なくとも1つの分岐光路を通って延びるレーザー光のための1つの周波数vref,Aでの群遅延及び位相遅延を測定することを有してもよい。この基準測定を用いて、固定位置周波数vfixが決定でき(しかし、上述したように、明確に決定される必要はない)、位相補正が、第1周波数モードv1とは異なる所望の周波数モードで、特に第2周波数モードv2で改善された精度で最適化される。
【0053】
本発明によれば、基準測定は光周波数コムアセンブリの操作の前又は初めに行われてもよい、その基準測定の結果は、操作中の更なる調節なしに周波数コムアセンブリの操作中に使用できる。もちろん、これは、ときどきの基準測定において又はアセンブリの使用の間において、最新の値、特に固定位置周波数vfixのための最新の値を得るための校正測定を実行する可能性を排除するべきではない。
【0054】
周波数変換ステップ、特に固定位置周波数vfixは、特に、温度及び湿度、しかしやはりファイバーへの機械的応力などの様々な環境パラメータの変動などの混乱の変化する性質のために、時間に依存し得る。ゆえに、別な実施形態によれば基準測定は、周波数コムアセンブリの操作中に連続的又は準連続的に又は周期的に行われてもよく、周波数コムの操作中に周波数変換ステップをアップデートし、さらには精度を改善できる。
【0055】
基準測定を実行するために、連続波(CW)レーザー光が本発明に従って使用されてもよい。アセンブリが顧客に提供される前に基準測定が実行されると、これは特に有利である。しかしながら、基準測定はまた、アセンブリ自体の周波数コムソースからの又は外部周波数コムソースからの光を使用して実行されてもよい。周波数変換ステップが周波数コムアセンブリの操作中にアップデートされると、これは特に有利である。周波数コムソースからの光が基準測定のために使用される場合、基準測定は、周波数コムの周波数モードに対応する周波数vref,A、vref,Bで行われてもよい。特に、vref,Aとvref,Bの1つは第1周波数モードv1又は第2周波数モードv2に対応する。
【0056】
一般的に言って、少なくとも1つの分岐光路からのレーザー光のための位相補正の提供は、安定化された第2周波数モードv2を有する少なくとも1つの分岐光路からの光出力を得るために第1周波数モードv1とは異なる第2周波数モードv2を明らかにする、基準測定に基づいた周波数変換ステップを有してもよい。
【0057】
本発明はまた、光周波数コムアセンブリに関する。光周波数コムアセンブリは、共通の光路と、光周波数コムを構成するレーザー光を生成するように構成され、レーザー光を共通の光路に導入する光周波数コムソースと、共通の光路からのレーザー光を導入される少なくとも1つの分岐光路とを有し、少なくとも1つの分岐光路は少なくとも1つの光学素子を有する。光周波数コムアセンブリはさらに、少なくとも1つの光学素子の上流の周波数コムアセンブリ内の基準位置で分離されるレーザー光と、少なくとも1つの光学素子の下流の少なくとも1つの分岐光路に設けられた測定位置で分離されるレーザー光の間の光周波数コムの第1周波数モードv1の位相差を決定するように構成された位相測定アセンブリを有する。さらに、光周波数コムアセンブリは、決定された位相差の目標値からの偏差・ずれに基づき少なくとも1つの分岐光路からのレーザー光のための位相補正を与えるように構成された制御ユニットを有する。
【0058】
光周波数コムアセンブリは、本発明に従う方法を実行するように及び/又は本方法を用いて使用されるように構成され、適合される。本方法に関して記載されるどの特徴も光周波数コムアセンブリに移転でき、その逆の場合も同じである。
【0059】
以下では、図面に関連して複数の実施形態を記載することで本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】周波数コムの概念を示す概略表現を示す図である。
【
図2】実施形態に従う光周波数コムアセンブリを操作する方法を示す概略ブロック図である。
【
図3】基準光ソースとしてCWレーザーを有する実施形態に従う光周波数コムアセンブリを操作する方法を示す概略ブロック図である。
【
図4】光周波数コムソースから得られた基準光を有する実施形態に従う光周波数コムアセンブリを操作する方法を示す概略ブロック図である。
【
図5】光周波数コムソースから得られた基準光を有する別な実施形態に従う光周波数コムアセンブリを操作する方法を示す概略ブロック図である。
【
図6】本発明の実施形態を記載するために使用される異なるモデルに従う、分岐光路を通る光の周波数と前記分岐光路における光によって収集される位相シフト(位相ずれ)の関係の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
本発明は、光周波数コムを構成するレーザー光に関する。
図1の上側部分は、時間に対する電場で表現したレーザーパルス2を示す。レーザーパルス2のエンベロープ(包絡線)4とレーザーパルス2の搬送波6の両方が示されている。搬送波6は光周波数の範囲で正弦振動によって表されている。
【0062】
図1の下側部分は、周波数に対する強度の表現で、
図1の上側部分からのレーザーパルス2に関連する光周波数コム8を示す。この周波数コム8は、多数のレーザーモードを有し、その周波数は、式f
m=m×f
rep+f
0で記述でき、f
rep(繰り返し周波数)は、周波数領域の隣接モード間の距離である。mは自然数である。f
0は、周波数コム8のオフセット周波数、特に搬送エンベロープオフセット周波数と呼ぶ。実際の周波数コム8のモードはもちろん、周波数領域の有限の幅にわたって延びる。
【0063】
図2は、本発明の作動原理を示す概略ブロック図である。当該図は、光周波数コム8を構成するレーザー光を生成する光周波数コムソース3を有する光周波数コムアセンブリ1を示す。光周波数コム8は、例えば、fsレーザー(ファイバーレーザー、固体レーザーなど)、Hz線幅コム、DFGコム、電気光学コム、マイクロ共振器ベースコム、光電集積回路に基づくコムなどによって生成されるコムである。好ましくは、周波数ソース3はそれ自体(本質的に)、周波数コム8のオフセット周波数f
0及び/又は繰り返し周波数f
repに関して安定化されている。特に、光周波数コムソース3は、メンロシステムズのFC1500装置(250Mh繰り返し率、NOLMベースレーザー)などの、ファイバー結合出力ポート及び増幅器を備えたファイバーレーザーであってもよい。好ましい実施形態では、特許文献5(その全体が参照によってここに組み込まれる)に記載される2つの自由度をロックするための高速アクチュエータを備えたNOLMベースレーザーが使用される。NOLMベースレーザーはそれ自体、低ノイズであると既に知られている。高速アクチュエータによって、このノイズがさらに低減される。
【0064】
光周波数コムソース3で生成されるレーザー光は共通の光路5に導入される。共通の光路5は、共通の光路5からのレーザー光によって供給される多数の(図示の実施形態では3つの)分岐光路7(7a,7b,7c)に分岐する。しかしながら、たった1つの分岐光路7が設けられ、共通の光路5からの光を供給されても十分である。図示の実施形態では、分岐光路7は、例えばファイバースプリッターによって定義されてもよい共通の分岐位置で共通の光路5から分岐する。分岐光路7は、レーザー光を1又は複数のアプリケーションに供給できるそれぞれの出力9(9a,9b,9c)を有する。
【0065】
レーザー光を対応するアプリケーションの要件を満たすように具体的に適応させるために、分岐光路7のそれぞれは増幅器11(11a,11b,11c)及び非線形素子13(13a,13b,13c)を有する。非線形素子13は、対応するアプリケーションに必要なように、それぞれの分岐光路7を通過するレーザー光の周波数スペクトルを変更するように構成される。非線形素子13は個々の分岐光路7のために異なる構造を有してもよい。
【0066】
より一般的に、少なくとも1つの光学素子11,13がそれぞれの分岐光路7に設置されてもよい。少なくとも1つの光学素子11,13は、χ(2)プロセス及び/又はχ(3)プロセスを、少なくとも1つの光学素子11,13を通る(横断する)レーザー光に誘起するように構成されてもよい。それに代えて又は付加的に、それぞれの分岐光路7に設置された前記少なくとも1つの光学素子11,13は、前記少なくとも1つの光学素子11,13を通るレーザー光を増幅するように構成されてもよい。これは、例えば、分岐光路7の出力をユーザの特定のニーズに適応させることを可能にする。前記少なくとも1つの光学素子11,13は、セルフソリトンラマンシフトなどのラマン利得やブリルアン利得を、前記少なくとも1つの光学素子11,13を通るレーザー光に誘起するように構成されてもよい。特に、前記少なくとも1つの光学素子11,13は非線形周波数ブローデナーを有してもよい。これは、分岐光路7により供給されるアプリケーションで使用するための複数のモードの生成を可能にする。付加的に又はそれに代えて、前記少なくとも1つの光学素子11,13は増幅器11を有してもよい。
【0067】
非線形素子13、増幅器11及び/又は分岐光路7の他の光学素子は、非線形光学特性を有してもよい。分岐光路7に設けられた特定の素子の非線形光学特性及び、分岐光路7を通って延びる光が通る光路の長さの変動などの他の効果に起因して、レーザー光が分岐光路7を通るときに位相不安定性が導入される。少なくとも1つの分岐光路7を通って、特に分岐光路7の少なくとも1つの光学素子11,13を通って延びる光が通る経路は、環境変動などの変動を受ける。例えば、音響ノイズ、温度変化及び機械振動が特に有害である。それらは全て、光路を激しく乱し、少なくとも1つの分岐光路7内を進む光の位相振動を生じさせる。周波数は位相の時間派生物(時間微分)であるので、理想的な周波数コムの乱れた位相は、モードが元の位置から周波数シフトした周波数コムを生じさせる。この効果は本発明によれば少なくとも部分的に補正される。
【0068】
図2は、分岐光路7の少なくとも1つの光学素子11,13の上流の光周波数コムアセンブリ1に設けられた基準位置Rで分離されるレーザー光と、少なくとも1つの光学素子11,13の下流の分岐光路7cに設けられた測定位置P
1で分離されるレーザー光の間で光周波数コム8の第1周波数モードv
1の位相差を測定する位相測定アセンブリ15を概略的に示す。位相測定アセンブリ15の詳細を以下に記載する。図示の簡単のために、
図2は、分岐光路7cに対応する位相測定アセンブリ15のみを示す。しかしながら、類似の方法で、基準位置Rで分離されるレーザー光と、残りの分岐光路7b,7aの測定位置P2,P3で分離されるレーザー光の間の位相差を測定するための付加的な位相測定アセンブリ15が設けられる。
【0069】
基準位置Rで分離されるレーザー光と、分岐光路7のそれぞれのための測定位置Pで分離されるレーザー光の間でそれぞれ決定された位相差を用いて、位相補正が、分岐光路7のそれぞれからのレーザー光のために与えられる。
図2に示すように、特定の分岐光路7に対応する位相測定アセンブリ15は、第1周波数モードv
1での決定された位相差を制御ユニット17に与える。制御ユニット17は、それぞれの分岐光路7のために決定された位相差の目標値からの偏差・ずれに基づき、分岐光路7のそれぞれからのレーザー光のための位相補正をそれぞれ決定し、場合によっては実行する。目標値は予め決定された値であってもよく、又は光周波数コムアセンブリ1の操作中に自動的に又は手動で決定されてもよい。さらに、目標値は全ての分岐光路7に対して同じであってもよいし、又は同じでなくてもよい。
【0070】
位相補正は、位相の時間微分である周波数に起因して、それぞれの分岐光路7を通る(横断する)コム光の周波数シフトをもたらし得る時間依存位相不安定性を補償できる。
【0071】
特に、位相差は、位相の時間進展を適切に監視できるように連続的に又は準連続的に、例えば周期的に決定でき、また時間依存位相補正を与えるために位相補正のためにそれを考慮できる。
【0072】
図示の実施形態では、制御ユニット17は、分岐光路7の光学特性を適切に変更するために、それぞれの分岐光路7のために決定された位相差に基づいて分岐光路7に配置されたアクチュエータ19を操作することで分岐光路7からの光の位相補正を実行する。制御ユニット17によって操作される2以上のアクチュエータ19が1又は複数の分岐光路7に設置されることも考えられる。例えば、温度変更アセンブリ、ファイバースクイーザ、ピエゾドラムとして具体化され得るファイバーストレッチャー、自由空間光路セクションのために長さを調節するアクチュエータ、電気光学装置、音響光学装置又はその組み合わせがアクチュエータ19として使用されてもよい。特に、周波数コム8の第1周波数モードv1と第2周波数モードv2などの2つの異なる周波数モードの光のために決定された2つの位相差に従う位相補正を同時に与えるために、異なる性質の2以上のアクチュエータ19が使用され得る。
【0073】
制御ユニット17は、位相同期ループなどの閉じた制御ループに従って位相補正を実行してもよい。この場合、アクチュエータ19は、対応する分岐光路7(
図2の実線に示す)の測定位置Pの上流に設置されてもよい。しかしながら、代替として、アクチュエータ19は、
図2の破線で示すようにそれぞれの測定位置Pの下流に設置されてもよい。その際、位相補正を実行するための制御スキームはフィードフォワードスキームに一致する。それに代えて、アクチュエータ19を有さずに、分岐光路7によって光を供給されるアプリケーションにより得られるデータの後処理によって位相補正を実行することも考えられる。
【0074】
図3~5は、複数の実施形態に従う位相測定アセンブリ15の詳細を示す。
図3及び4に示す実施形態によれば、基準位置Rと分岐光路7のそれぞれの測定位置Pの間で第1周波数モードv
1での位相差の決定は、基準光と前記基準位置Rで分岐されるレーザー光の間のビート信号、及び、前記基準光と前記測定位置Pで分岐されるレーザー光の間のビート信号の測定を有する(である)。
【0075】
図3に示す実施形態によれば、ビート測定で使用される基準光は、非常に安定した連続波(CW)レーザー21によって提供される連続レーザー光である。連続波レーザー21からの基準光と基準位置Rで分岐される光の間のビート信号は、第1フォトダイオード23において測定され、そこに基準位置Rで分岐される光が連続波レーザー21からの基準光と重なるように導かれる。実施形態によれば、非常に安定したCWレーザー21からの光は、共通の分割位置Sで分割されて、フォトダイオード23,25に案内されてもよい。フォトダイオード23,25からの信号は、位相補正を実行するためにビート信号に基づいてアクチュエータ19を対応的に駆動する制御ユニット17に与えられる。
【0076】
図4は別な実施形態を示し、それによれば、フォトダイオード23,25に与えられる基準光は連続波レーザー21によって提供されず、光周波数コムソース3により提供される光周波数コム8から得られる。レーザー光は、位置Uで共通の光路5から分けられ、周波数フィルタ24によって1又は2,3のモードにフィルタリングされる。オプションで、基準光は増幅器25によって増幅されてもよい。次いで、位相差が決定される第1周波数モードv
1とは僅かに異なるモードを得るために、レーザー光は、周波数シフタ27、例えば音響光学変調器や電気光学変調器によって周波数シフトされる。結果得られる基準光は次にフォトダイオード23,25に供給され、基準位置R又は測定位置Pで分岐される光を有するビート信号がそれぞれ測定され、
図3に関して記載されるように制御ユニット17に与えられる。周波数コムソース3により提供される光から基準光を得ることは、連続波レーザー21などの基準光のための付加的ソースを設ける必要がないという利点を有する。しかしながら、周波数コムソース3により提供される光はパルスレーザー光であるので、基準位置R及び測定位置Pからフォトダイオード23,25に達するパルスが基準光のパルスと同期されることが保証されなければならない。このような実施形態では、中央値v
1の周りの多数の(一般に、数百)コムラインはビート信号に寄与してもよく、得られる無線周波信号の位相は全ての寄与モードの平均位相である。
【0077】
図示の実施形態では、基準位置Rは分岐光路7のそれぞれに対して同じである。これは、基準位置Rで分岐する光と基準光の間のビート信号がそれぞれの分岐光路7のために別個に測定される必要がないという利点を有する。むしろ、基準位置Rでのレーザー光と基準光の間のビート信号の1つの測定が、基準位置Rでのレーザー光と分岐光路7のそれぞれの測定位置Pの間の位相差をそれぞれ決定するために実行され、使用できる。
【0078】
図において、基準位置Rは、全ての分岐光路7が共通の光路5から分岐する位置にあるものとして示されている。このような実施は便利である、というのも第1フォトダイオード23に案内されるべきレーザー光が、共通の光路5を分岐光路7に分割するために設けられるスプリッタの付加的な出力から得られるからである。しかしながら、基準位置Rは、共通の光路5における別な位置に又は分岐光路7のうちの1つ(非線形光学素子11,13の上流)に設けられてもよい。
【0079】
図5は、
図4の実施形態に関連する実施形態を示す。再び、基準光は、光周波数コムソース3により提供される光周波数コム8から得られる。
図5に示すように、基準光と、測定位置Pで分離されるレーザー光の間のビート信号を測定するだけで十分である。基準光と、基準位置Rで分離されるレーザー光の間のビート信号を測定することは絶対に必要ではない。レーザー光は位置Uで共通の光路5から分割され、周波数フィルタ24により1又は2,3のモードにフィルタリングされる。オプションで、基準光はまた増幅器25によって増幅されてもよい。次いで、位相差が決定される第1周波数モードv
1とは僅かに異なるモードを得るために、レーザー光は、周波数シフタ27、例えば音響光学変調器や電気光学変調器によって周波数シフトされる。結果得られる基準光は次にフォトダイオード25に供給され、測定位置Pで分岐される光を有するビート信号が測定され、制御ユニット17に与えられる。
図4に示すフォトダイオード23は
図5の実施形態では設けられていない。基準光と測定位置Pで分離されるレーザー光の間のビート信号を測定するために使用される基準光は、光周波数コムソース3により共通の光路5に供給される周波数コム8からの情報(位相情報)を既に含んでいるので、たった1つのビート信号を測定することで、基準位置Rで分離される光と測定位置Pで分離される光の間の位相差を十分な精度で決定することができる。精度を増加させるために、基準位置Rの近くで又は基準位置Rで共通の光路5からの基準光として使用される光を分離すると有利である(つまり、位置Uと基準位置Rは同じであるか、互いに近い)。特に、基準光として機能する光が分離される位置Uは基準位置Rを定めてもよい。
【0080】
上述したように、分岐光路7の非線形素子13は、それぞれの分岐光路7によって光を供給されるアプリケーションによって使用されるべき周波数モードを与えてもよい。その周波数モードは、基準位置Rに存在しなくてもよい。ゆえに、その周波数は、基準位置Rで分離されるレーザー光とそれぞれの分岐光路7の測定位置Pで分離されるレーザー光の間の位相差が決定される第1周波数モードv1として使用されなくてもよい。1又は複数の分岐光路7に対して、分岐光路7から光を供給されるアプリケーションにより使用される第2周波数モードv2は第1周波数モードv1と異なってもよい。
【0081】
好ましくは、位相補正は周波数変換ステップを有し、それにより位相補正は、そのアプリケーションにより使用される第2周波数モードv
2での最適補正を与えるが、位相補正は、第1周波数モードv
1で決定された位相差を使用する。簡単なバージョンでは、第1周波数モードv
1で検出された位相差δφ
1が周波数変換ステップで使用でき、直線関係δφ
2=δφ
1*v
2/v
1に従って第2周波数モードv
2での位相差δφ
2を見積もることができる。この直線関係は、分岐光路7を通る光の周波数vと、分岐光路7における光によりピックアップされる位相シフト(位相ずれ)δφ(T)との関係を示す
図6のグラフに示された破線に対応する。破線で示された直線関係によれば、位相差は分散性質の無い周波数依存性を有する。
【0082】
しかしながら、群遅延及び位相遅延又はその変動は異なる媒体(真空を除く)において一般に等しくなく、特に、第2周波数モードv
2が第1周波数モードv
1から離れている場合、直線関係δφ
2=δφ
1*v
2/v
1が不正確かもしれない。特に、分岐光路7は正常分散特性を有してもよく、つまり小さい周波数の位相遅延は大きい周波数の位相遅延より大きい。ダイクロイック検出のコンセプトは周波数変換ステップの前述した簡単な形式で使用できるが、それは、固定位置周波数v
fixを導入して、周波数変換ステップで使用できる関係δφ
2=δφ
1*(v
2-v
fix)/(v
1-v
fix)を導くことで、周波数変換ステップのより精巧なバージョンを使用することによりさらに改良できる。固定位置周波数v
fixを考慮するより正確な関係は、分岐光路7を通る光の周波数vと、正常分散を有する分岐光路7のために分岐光路7における光によりピックアップされる位相シフト(位相ずれ)δφ(T)との関係を示す
図6の実線に対応する。これはより正確である。
【0083】
残念ながら、分岐光路7及び/又はそこに設けられた光学素子11,13のために、特に大抵の市販のファイバーのために、固定位置周波数vfixを予測するほど分散特性は十分よく知られていない。
【0084】
位相補正において改良された周波数変換ステップを実施するために、本方法は、それぞれの分岐光路7を通って延びるレーザー光の周波数と、基準位置Rで分離されるレーザー光の部分とそれぞれの測定位置Pで分離されるレーザー光の別な部分の間の位相差との関係を特徴付ける基準測定の実行をさらに有してもよい。この基準測定を使用して、固定位置周波数vfixが決定でき、位相補正が、第1周波数モードv1とは異なる所望の周波数モードで、特に第2周波数モードv2で高精度に最適化できる。基準測定の結果は固定位置周波数vfixの計算を可能にするが、固定位置周波数vfixの明確な計算は幾つかの実施形態によれば必要でない。
【0085】
実施形態において、改良された周波数変換ステップをもたらし、固定位置周波数vfixの決定を可能にするため、基準測定は、2つの異なる周波数での、基準位置Rで分離されるレーザー光の部分と測定位置Pで分離されるレーザー光の別な部分の間の位相差の測定を有してもよい。特に、基準測定は、特に第1周波数モードv1及び基準周波数モードv1bに対応する周波数コム8の2つの異なる周波数モードvref,A、vref,Bでの、基準位置Rで分離されるレーザー光の部分と測定位置Pで分離されるレーザー光の別な部分の間の位相差の測定を有してもよい。好ましい実施形態では、周波数vref,A、vref,Bの間の相対的な差は0.5%より大きく、より好ましくは2%より大きく、さらにより好ましくは5%より大きい。
【0086】
分岐光路7から分離されるレーザー光のための位相補正の提供は、安定化された第2周波数モードv2を有する分岐光路7から出力される光を得るために第1周波数モードv1とは異なる第2周波数モードv2を明らかにする、基準測定に基づいた周波数変換ステップを有してもよい。
【0087】
実施形態によれば、基準測定は光周波数コムアセンブリ1の操作の前又は初めに行われてもよい。固定位置周波数vfixは、その基準測定に従って決定されてもよく、操作中の更なる調節なしに周波数コムアセンブリ1の操作中に使用できる。
【0088】
固定位置周波数vfixは、特に、温度及び湿度などの時間変化する環境パラメータにより時間に依存してもよいが、やはりファイバーへの機械的応力が原因であってもよい。ゆえに、別な実施形態によれば基準測定は、分岐光路において2つの周波数モードの光を使用することで操作中に連続的に行われてもよい。
【0089】
図6は、周波数補正ステップの基礎を成す物理的状況を説明する。グラフは、光の周波数の関数として幾つかの選択された時間Tでの経路7を進む光のための位相遅延δφ(T)を表示する。周波数v1では、位相遅延が本発明に従い決定されると推定される。破線は、分散性質を有しない位相遅延に対応する、周波数の関数としての位相遅延の直線推定値を表す。直線は、ここで正常分散であると選択される、位相遅延の分散性質を考慮するモデルに対応する。この第2の線は固定位置周波数v
fixでy軸を横断し、より良い方法で第2周波数v
2での位相シフトを予測する。グラフはまた、本発明の実施形態に従うモデルの傾き及び/又は固定位置周波数を推量するために使用され得る元の周波数コムスペクトル30の範囲内の第2周波数v
1bを示す。
【符号の説明】
【0090】
1 光周波数コムアセンブリ
3 光周波数コムソース
5 共通の光路
P 測定位置
R 基準位置