(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-02
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】フィルム型ディスプレイ基板の製造方法およびフィルム型ディスプレイ基板製造用工程フィルム
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20220203BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
G09F9/00 338
G09F9/30 308Z
(21)【出願番号】P 2020070415
(22)【出願日】2020-04-09
(62)【分割の表示】P 2018128201の分割
【原出願日】2013-04-03
【審査請求日】2020-04-23
(31)【優先権主張番号】10-2012-0035708
(32)【優先日】2012-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】特許業務法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】ムン,ソ―ジン
【審査官】中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-224426(JP,A)
【文献】特開2009-230147(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0040180(US,A1)
【文献】特開2011-061215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00 - 9/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板の上面にフィルム型ディスプレイ基板用基材を設けるステップと、
前記基材の上面にパッケージング作業を進行してセルを製作するステップと、
前記セルの製作が完了した前記基材の上面を工程フィルムで覆うステップと、
前記工程フィルムが覆った状態で前記ガラス基板から前記基材を剥離するステップと、
前記ガラス基板から前記基材を剥離した後、前記工程フィルムが覆った状態で前記基材の背面に保護フィルムを付着するステップと、
前記基材の背面に保護フィルムが付着し、前記工程フィルムが覆った状態で前記基材をカッティングしてフィルム型ディスプレイ基板を完成するステップと、を含み、
前記工程フィルムは、ベースフィルム及び前記ベースフィルムの下面に設けられる粘着層を含み、
前記基材をカッティングした前記フィルム型ディスプレイ基板において、前記ベースフィルムの全部と前記粘着層の一部を切断し、前記フィルム型ディスプレイ基板から前記工程フィルムの一部を剥がすことを特徴とする、
工程フィルムを用いたフィルム型ディスプレイ基板の製造方法。
【請求項2】
ガラス基板の上面にフィルム型ディスプレイ基板用基材を設けるステップと、
前記基材の上面にパッケージング作業を進行してセルを製作するステップと、
前記セルの製作が完了した前記基材の上面を工程フィルムで覆うステップと、
前記工程フィルムが覆った状態で前記ガラス基板から前記基材を剥離するステップと、
前記ガラス基板から前記基材を剥離した後、前記工程フィルムが覆った状態で前記基材の背面に保護フィルムを付着するステップと、
前記基材の背面に保護フィルムが付着し、前記工程フィルムが覆った状態で前記基材をカッティングしてフィルム型ディスプレイ基板を完成するステップと、
前記基材の背面に保護フィルムが付着し、前記工程フィルムが覆った状態で前記フィルム型ディスプレイ基板の端子部分をオープンさせるステップと、を含み、
前記工程フィルムは、ベースフィルム及び前記ベースフィルムの下面に設けられる粘着層を含み、
前記基材をカッティングした前記フィルム型ディスプレイ基板において、前記ベースフィルムの全部と前記粘着層の一部を切断し、前記フィルム型ディスプレイ基板から前記工程フィルムの一部を剥がすことを特徴とする、
工程フィルムを用いたフィルム型ディスプレイ基板の製造方法。
【請求項3】
ガラス基板の上面にフィルム型ディスプレイ基板用基材を設けるステップと、
前記基材の上面にパッケージング作業を進行してセルを製作するステップと、
前記セルの製作が完了した前記基材の上面を工程フィルムで覆うステップと、
前記工程フィルムが覆った状態で前記ガラス基板から前記基材を剥離するステップと、
前記ガラス基板から前記基材を剥離した後、前記工程フィルムが覆った状態で前記基材の背面に保護フィルムを付着するステップと、
前記基材の背面に保護フィルムが付着し、前記工程フィルムが覆った状態で前記基材をカッティングしてフィルム型ディスプレイ基板を完成するステップと、
前記基材の背面に保護フィルムが付着し、前記工程フィルムが覆った状態で前記フィルム型ディスプレイ基板の端子部分をオープンさせるステップと、を含み、
前記工程フィルムは、ベースフィルム及び前記ベースフィルムの下面に設けられる粘着層を含み、
前記ベースフィルムは25μm乃至210μmの厚さを有し、前記粘着層は20μm乃至150μmの厚さを有することを特徴とする、
工程フィルムを用いたフィルム型ディスプレイ基板の製造方法。
【請求項4】
ガラス基板の上面にフィルム型ディスプレイ基板用基材を設けるステップと、
前記基材の上面にパッケージング作業を進行してセルを製作するステップと、
前記セルの製作が完了した前記基材の上面を工程フィルムで覆うステップと、
前記工程フィルムが覆った状態で前記ガラス基板から前記基材を剥離した後、前記工程フィルムが覆った状態で前記基材の背面に保護フィルムを付着するステップと、
前記基材の背面に保護フィルムが付着し、前記工程フィルムが覆った状態で前記基材をカッティングしてフィルム型ディスプレイ基板を完成するステップと、を含み、
前記工程フィルムはベースフィルム及び前記ベースフィルムの下面に設けられる粘着層を含み、
前記基材をカッティングした前記フィルム型ディスプレイ基板において、前記ベースフィルムの全部と前記粘着層の一部を切断し、前記フィルム型ディスプレイ基板から前記工程フィルムの一部を剥がすことを特徴とする、工程フィルムを用いたフィルム型ディスプレイ基板の製造方法。
【請求項5】
ガラス基板の上面にフィルム型ディスプレイ基板用基材を設けるステップと、
前記基材の上面にパッケージング作業を進行してセルを製作するステップと、
前記セルの製作が完了した前記基材の上面を工程フィルムで覆うステップと、
前記工程フィルムが覆った状態で前記ガラス基板から前記基材を剥離した後、前記工程フィルムが覆った状態で前記基材の背面に保護フィルムを付着するステップと、
前記基材の背面に保護フィルムが付着し、前記工程フィルムが覆った状態で前記基材をカッティングしてフィルム型ディスプレイ基板を完成するステップと、を含み、
前記工程フィルムはベースフィルム及び前記ベースフィルムの下面に設けられる粘着層を含み、
前記ベースフィルムは25μm乃至210μmの厚さを有し、前記粘着層は20μm乃至150μmの厚さを有することを特徴とする、工程フィルムを用いたフィルム型ディスプレイ基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム型ディスプレイ基板の製造方法およびフィルム型ディスプレイ基板製造用工程フィルムに関し、より詳細には、複数のフィルム型ディスプレイ基板を生産することにおいて、工程の便宜性を向上させることと同時に完成されたフィルム型ディスプレイ基板の信頼度を向上できるフィルム型ディスプレイ基板の製造方法およびそのようなフィルム型ディスプレイ基板を製造するための工程フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近の情報化社会でディスプレイは、視覚情報伝達媒体としてその重要性がより強調されており、そのようなディスプレイは、低消費電力化、薄型化、軽量化および高画質化される傾向にある。
【0003】
特に、ディスプレイ市場は、既存のCRT(Cathod-Ray Tube)に代って軽量で薄型であるフラットパネルディスプレイ(Flat Panel Display、FPD)を中心に急激に変化しており、このようなFPDは、液晶表示装置(Liquid Crystal Display、LCD)、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel、PDP)、有機電界発光表示装置(Organic Electro Luminescence Display、OLED)等に分類される。
【0004】
一方、既存のFPD製造工程は、高温で行われるため、それを勘案して耐熱性や透過性に優れたガラスを基板に使ってきたが、ガラス基板は、耐衝撃性が劣り、単位体積当たりの重さが大きく,ガラス基板を大面積化することは困難である
【0005】
それによって、近頃、耐衝撃性が良好であり、軽量化が可能な樹脂、例えば、光学特性が優れたポリカーボネート(polycarbonate、PC)、ポリイミド(polyimide、PI)、ポリエーテルスルホン(polyethersulfone、PES)、ポリアリレート(polyarylate、PAR)、ポリエチレンナフタレート(poly(ethylene naphthalate)、PEN)、テレフタル酸ポリエチレン(poly(ethylene terephthalate)、PET)、環状オレフィンコポリマ(cycloolefin copolymer)等の熱可塑性樹脂や、アクリル樹脂エポキシ樹脂、不飽和ポリエステルなどの熱硬化性樹脂を用いたフィルム型ディスプレイ基板(Flexible substrate)がフィルム型ディスプレイ基板を作製するのに用いられている。
【0006】
このようなフィルム型ディスプレイ基板は、ガラスより薄いプラスチックまたは、金属ホイールを基板として用いるため、既存ディスプレイに比べて、著しく薄くて柔軟であり、費用が安くて、多様な用途に適用でき、最近それに対する研究開発が活発に行われている。
【0007】
図1は、従来のフィルム型ディスプレイ基板の製造方法を簡略に示した概略的な模式図である。
【0008】
図1を参照すると、従来、フィルム型ディスプレイ基板を製造するためには、先にガラス10の表面に粘着剤20を塗布し、粘着剤20の上にフィルム型ディスプレイ基板の基材30が付着されて、基材30がガラス10に固定される。もちろん、基材30は、粘着剤20でない他の方法によりガラス10の上に固定されたりもする。
【0009】
次に、洗浄工程、薄膜蒸着工程、フォトレジスト工程およびエッチング工程などを進めて、基材30の表面に各種信号ラインと薄膜トランジスタアレイなどを形成させることによって、ディスプレイ部40とディスプレイ部40の一側に配置される端子部50を設ける。最後にこのようにパッケージングされた基材30をカッティングし、フィルム型ディスプレイ基板を完成させる。
【0010】
しかしながら、このような従来の方式では、フィルム型ディスプレイ基板を一つずつ個別的に製造するので、製品の生産単価が高まるという問題がある。
【0011】
また、このような従来の方式は、基材30をカッティングする過程などにおいて、ディスプレイ部40および端子部50にスクラッチが生じ、静電気の発生または、微細粉塵の発生により完成されたフィルム型ディスプレイ基板が不良品と判定される可能性が存在するという問題がある。
【0012】
それゆえ、フィルム型ディスプレイ基板を大量生産できると共に、完成されたフィルム型ディスプレイ基板の信頼度を高めることができる新しいフィルム型ディスプレイ基板の製造方法の研究開発が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】韓国公開特許第10-2008-0091964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、複数のフィルム型ディスプレイ基板を生産することにおいて、工程の便宜性を向上させると同時に完成されたフィルム型ディスプレイ基板の信頼度を向上できるフィルム型ディスプレイ基板の製造方法およびそのようなフィルム型ディスプレイ基板を製造するための工程フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的は、本発明により、ガラス基板の上にフィルム型ディスプレイ基板用基材を設けることこと;前記基材の上においてパッケージング作業を進めて相互に一定の間隔で離隔する複数のセルを製作すること;前記セルの製作が完了した後前記基材の表面を工程フィルムで覆うこと;前記基材が前記工程フィルムに積層された状態における前記ガラス基板から前記基材を剥離すること;および前記基材が前記工程フィルムに積層された状態における前記基材を前記セルごとにカッティングして、複数のフィルム型ディスプレイ基板を形成することを含むことを特徴とする工程フィルムを用いたフィルム型ディスプレイ基板の製造方法によって達成される。
【0016】
前記工程フィルムを用いたフィルム型ディスプレイ基板の製造方法は、前記複数のフィルム型ディスプレイ基板を形成することの後に、軟性回路基板(Flexible Printed Circuit)が前記フィルム型ディスプレイ基板にボンディングされるように前記フィルム型ディスプレイ基板の端子の部分を開口することをさらに含んでもよい。
【0017】
前記フィルム型ディスプレイ基板の端子の部分を開口することは、前記端子の部分に形成された回路を保護するため前記フィルム型ディスプレイ基板の表面に隣接した前記工程フィルムの下段部までのみをカッティングすることを含んでもよい。
【0018】
前記フィルム型ディスプレイ基板の端子の部分を開口することは、前記工程フィルムの下段部までをカッティングすることの後に、粘着テープを用いて前記フィルム型ディスプレイ基板から前記工程フィルムの一部を剥がすことをさらに含んでもよい。
【0019】
前記工程フィルムを用いたフィルム型ディスプレイ基板の製造方法は、前記ガラス基板から前記基材を剥離することの後に、前記基材を保護するため前記基材の背面に仕上げ用バックフィルム(Back Film)を付着することをさらに含んでもよい。
【0020】
前記目的は、本発明により、ガラス基板の上にフィルム型ディスプレイ基板用基材を設けること;前記基材の上においてパッケージング作業を進めてセルを製作すること;前記セルの製作が完了した前記基材の表面を工程フィルムで覆うこと;前記基材が前記工程フィルムに積層された状態における前記ガラス基板から前記基材を剥離すること;および前記基材が前記工程フィルムに積層された状態における前記基材をカッティングし、フィルム型ディスプレイ基板を形成することを含むことを特徴とする工程フィルムを用いたフィルム型ディスプレイ基板の製造方法によっても達成される。
【0021】
前記目的は、本発明により、フィルム型ディスプレイ基板の製造に用いられる工程フィルムとして、前記フィルム型ディスプレイ基板を製造する過程において、基材に一定の強度および平坦度を付与するために設けられる第1ベースフィルム;および前記第1ベースフィルムを前記フィルム型ディスプレイ基板用基材の上に積層できるように前記第1ベースフィルムの下面に設けられる第1粘着層を含むことを特徴とするフィルム型ディスプレイ基板製造用工程フィルムによっても達成される。
【0022】
前記第1粘着層は、有機ポリシロキサン混合物(Organopolysiloxane mixture)100重量部;および白金触媒(Pt-catalyst)0.2乃至1.0重量部を含み、前記フィルム型ディスプレイ基板用基材に対して小さい粘着力を有してもよい。
【0023】
前記第1粘着層は、粉塵の量を最小化するための架橋剤(Closslinker)0.1乃至1.0重量部をさらに含んでもよい。
【0024】
前記第1粘着層は、前記フィルム型ディスプレイ基板用基材に対する密着力を向上させるためのアンカレジ添加物(Anchorage additive)0.1乃至1.0重量部をさらに含んでもよい。
【0025】
前記第1ベースフィルムは、25μm乃至210μmの厚さを有し、前記第1粘着層は、20μm乃至150μmの厚さを有してもよい。
【0026】
前記フィルム型ディスプレイ基板製造用工程フィルムは、前記第1ベースフィルムの上に設けて、静電気の発生を防止する第1帯電防止コーティング層(anti-static coating layer)をさらに含んでもよい。
【0027】
前記フィルム型ディスプレイ基板製造用工程フィルムは、前記フィルム型ディスプレイ基板を製造する過程において、前記第1ベースフィルムを保護すると同時に前記第1ベースフィルムに一定の強度および平坦度を付与するために前記第1ベースフィルムの上に積層される保護フィルムをさらに含んでもよい。
【0028】
前記保護フィルムは、第2ベースフィルム;および前記第2ベースフィルムの上に前記第1ベースフィルムを接着するために前記第2ベースフィルムの下面に設けられる第2粘着層を含んでもよい。
【0029】
前記第2粘着層の粘着力は、前記第1粘着層の粘着力より小さくてもよい。
【0030】
前記保護フィルムは、前記第2ベースフィルムの上に設けて、静電気の発生を防止する第2帯電防止コーティング層;および前記第2ベースフィルムの下面に設けて、静電気の発生を防止する第3帯電防止コーティング層をさらに含んでもよい。
【0031】
前記フィルム型ディスプレイ基板製造用工程フィルムは、前記第1ベースフィルムが前記基材に積層されるまで前記第1粘着層の汚染を防止するため前記第1粘着層の下面に形成される粘着層保護フィルムをさらに含んでもよい。
【0032】
前記粘着層保護フィルムは、第3ベースフィルム;前記第3ベースフィルムの表面に設けて、静電気の発生を防止する第4帯電防止コーティング層;および前記第3ベースフィルムの下面に設けて、静電気の発生を防止する第5帯電防止コーティング層を含んでもよい。
【発明の効果】
【0033】
本発明によると、工程フィルムを用いて複数のフィルム型ディスプレイ基板を生産することにおいて工程の便宜性を向上させることと同時に完成されたフィルム型ディスプレイ基板の信頼度を向上させるフィルム型ディスプレイ基板の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
具体的な,非制限的な実施例は以下の図面と詳細な説明によってより明確に理解されるだ ろう。
【0035】
【
図1】従来のフィルム型ディスプレイ基板の製造方法を簡略に示した概略的な模式図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る工程フィルムを用いたフィルム型ディスプレイ基板の製造方法のフローチャートである。
【
図3】
図2の工程フィルムを用いたフィルム型ディスプレイ基板の製造方法の端子の部分を開口するステップのフローチャートである。
【
図4】
図2の基材の表面を工程フィルムで覆うステップを示した概略的な模式図である。
【
図5】
図2の工程フィルムを用いたフィルム型ディスプレイ基板の製造方法に用いられるフィルム型ディスプレイ基板製造用工程フィルムの断面図である。
【
図6】
図2の工程フィルムを用いたフィルム型ディスプレイ基板の製造方法の端子の部分を開口するステップを示した概略的な模式図である。
【
図7】
図2の工程フィルムを用いたフィルム型ディスプレイ基板の製造方法の端子の部分を開口するステップを示した概略的な模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付された図面を参照し、本発明の望ましい実施例を詳細に説明すれば、下記のとおりである。本発明のコンセプトは様々な形態で実現可能であり,ここで規定する実施例に限定されない。むしろ,実施例はこの開示が完全なものとなるように,そして当業者に十分に理解されるように提供されるものである。図面において,大きさや,層や領域の相対的な大きさは,明瞭にするために誇張されることがある。共通する要素に対する番号は全体を通して共通した番号を付す。
【0037】
図2は、本発明の一実施例に係る工程フィルムを用いたフィルム型ディスプレイ基板の製造方法のフローチャートであり、
図3は、
図2の工程フィルムを用いたフィルム型ディスプレイ基板の製造方法の端子の部分を開口するステップのフローチャートであり、
図4は、
図2の基材の表面を工程フィルムで覆うステップを示した概略的な模式図であり、
図5は、
図2の工程フィルムを用いたフィルム型ディスプレイ基板の製造方法に用いられるフィルム型ディスプレイ基板の製造用工程フィルムの断面図であり、
図6および
図7は、
図2の工程フィルムを用いたフィルム型ディスプレイ基板の製造方法の端子の部分を開口するステップを示した概略的な模式図である。
【0038】
このような図面を参照すると、本発明の一実施例に係る工程フィルムを用いたフィルム型ディスプレイ基板の製造方法(以下、「基板製造方法」という)は、ガラス基板の上に基材を設けること(S100)と、基材の上においてパッケージング作業を進めて複数のセルを製作すること(S200)と、基材の表面を工程フィルムで覆うこと(S300)と、ガラス基板から基材を剥離すること(S400)と、基材の背面に仕上げ用バックフィルムを付着すること(S500)と、基材をセル別にカッティングし、複数のフィルム型ディスプレイ基板を形成すること(S600)と、フィルム型ディスプレイ基板の端子の部分を開口すること(S700)を含む。
【0039】
以下、セル(C)は、パッケージング作業の後、カッティングが完了する前の基材130に設けられたそれぞれの単位体を意味し、フィルム型ディスプレイ基板150は、カッティングが完了したセル(C)の状態を意味する。
【0040】
ガラス基板の表面に基材を設けるステップ(S100)は、ガラスからなるガラス基板110の表面に液状プラスチックをコーティングしたり、または、ガラス基板110に粘着剤を塗布した後、既に作られたプラスチックフィルムをガラス基板110に付着することによって、このようなプラスチック(以下「基材130」という)がガラス基板110の上に積層されるステップである。
【0041】
本ステップにおいて、上述した基材130は、ポリイミド(Polyimide、PI)材質を含んでもよい、本発明の他の実施例では,液状プラスチックまたはプラスチックフィルムは、ポリカーボネート(Polycarbonate、PC)または、ポリエーテルスルホン(Polyethersulfone、PES)または、ポリアリレート(Polyarylate、PAR)またはポリエチレンナフタレート(Polyethylene naphthalate、PEN)またはテレフタル酸ポリエチレン(Polyethylene terephthalate、PET)または環状オレフィンコポリマ(Cycloolefin copolymer)等の熱可塑性樹脂を含んでもよく、アクリル樹脂または、エポキシ樹脂または、不飽和ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂を含んでもよい
【0042】
基材上においてパッケージング作業を進めて複数のセルを製作するステップ(S200)は、基材130上にその後フィルム型ディスプレイ基板150となる複数のセル(C)をそれぞれ形成するステップである。
【0043】
すなわち、本ステップ(S200)においては、相互に一定の間隔で離隔して配置される複数のセル(C)が形成される領域に洗浄工程、薄膜蒸着工程、フォトレジスト工程およびエッチング工程などを一体的に進めることによって、基材130に各種信号ラインと薄膜トランジスタアレイなどに設け、ディスプレイ部(D)と端子部(T)を形成させる。このようなセル(C)は、それぞれ基材130とともにカッティングされて、一つのフィルム型ディスプレイ基板150になる。
【0044】
このように本実施例では、従来とは異なり、一つの基材130に各種パッケージング工程を一体的に進行させることによって、複数のフィルム型ディスプレイ基板150を一度に生産できる。ただし、必要に応じて本ステップ(S200)では一つのセル(C)に対するパッケージング作業が進行されてもよく、本発明の権利範囲は、セル(C)の個数によって制限されない。
【0045】
基材を工程フィルムで覆うステップ(S300)は、パッケージング作業が完了されたセル(C)を基材130の大きさとほぼ同じ大きさの工程フィルム170を覆うことを含んでもよい。もちろん、工程フィルム170の大きさは、必要に応じて調節してもよく、本発明の権利範囲は、工程フィルム170の大きさによって制限されない。
【0046】
工程フィルム170は、フィルム型ディスプレイ基板150を製造する過程において、基材130に一定の強度および平坦度を付与できるように、基材130に積層されてもよい。
【0047】
図5に図示されたように、本実施例の工程フィルム170は、第1ベースフィルム171と、第1ベースフィルム171の下に設けられる第1粘着層172と、第1ベースフィルム171の上に設けられる第1帯電防止コーティング層173と、第1帯電防止コーティング層173の上に設けられる保護フィルム180と、第1粘着層172の下に設けられる粘着層保護フィルム190を含む。
【0048】
第1ベースフィルム171は、第1粘着層172および第1帯電防止コーティング層173を設ける板面を提供すると同時に、フィルム型ディスプレイ基板150を製造する過程で、基材130に一定の強度および平坦度を付与することによって、フレキシブル(Flexible)な基材130が損傷されることが防止される、第1粘着層172は、一定の粘着力を発揮し、第1ベースフィルム171を基材130の上に接着してもよい。
【0049】
本実施例において、第1ベースフィルム171は、ポリエステル(PET)または、ポリエチレンナフタレート(PEN)を含んでもよく、第1粘着層172は、小さい粘着特性を有するポリマの特徴を有するように、有機ポリシロキサン混合物(Organopolysiloxane mixture)100重量部と、白金触媒(Pt-catalyst)0.2乃至1.0重量部と、架橋剤(Closslinker)0.1乃至1.0重量部と、アンカレジ添加物(Anchorage additive)0.1乃至1.0重量部を混合して形成されてもよい。
【0050】
ここで、有機ポリシロキサン混合物(Organopolysiloxane mixture)は、第1粘着層172に粘着力をもたらすためのベース物質として使用してもよく、白金触媒は、分子量が小さい有機ポリシロキサン混合物を加硫促進させることによって、小さな分子量を有する有機ポリシロキサン混合物を大きな分子量を有する有機ポリシロキサン混合物に転換させるように添加される。
【0051】
また、架橋剤は、基材130のカッティング工程または、後述する端子の部分の開口工程などで発生しうる粉塵を最小化するために添加されてもよく、アンカレジ添加物は、基材130に対する工程フィルム170の密着力を向上させるために添加されてもよい。本実施例において、架橋剤は、水素化ケイ素(SiH)グループで選択されたシロキサン(siloxane)が用いられてもよく、そして、アンカレジ添加物は、有機シラン(Organic silane)が用いられてもよい。
【0052】
一方、第1ベースフィルム171は、25μm乃至210μmの厚さを有するように設けられてもよく、第1粘着層172は、20μm乃至150μmの厚さを有するように設けられてもよい。
【0053】
第1ベースフィルム171および第1粘着層172の厚さは主にカッティング作業において、レーザまたは、カッティング刃が基材130に接することなく、第1ベースフィルム171とその下面に設けられた第1粘着層172の一部分のみカットするようにするために調節されるが、それについての説明は後述する。
【0054】
第1帯電防止コーティング層173は、基材130に工程フィルム170を積層するかまたは、基材130から工程フィルム170を剥離する場合、静電気の発生を防止してもよい。すなわち、基材130に工程フィルム170を積層するかまたは、基材130から工程フィルム170を剥離する場合、または、後述する保護フィルム180を積層するかまたは剥離する場合などにおいて、静電気が発生することになれば、完成されたフィルム型ディスプレイ基板150が損傷され、フィルム型ディスプレイ基板150の信頼度が低下することがあるところ、それを防止するために第1帯電防止コーティング層173を設けてもよい。
【0055】
本実施例において、第1帯電防止コーティング層173は、ITO(Indium Tin Oxide)、CNT(Carbon Nano Tube)、ポリアニリン(Poly aniline)、ポリチオフェン(Polythiopene)等のような導電性物質にバインダ(Binder)を添加して設ける。
【0056】
ただし、本発明の他の実施例では、上述した架橋剤、アンカレジ添加物および第1帯電防止コーティング層173は、選択的に省略してもよい。特に第1帯電防止コーティング層173は、各工程が除電(静電気除去)設備下において進行される場合、省略されてもよく、これは他の帯電防止層についても同様のことがいえる。
【0057】
一方、保護フィルム180は、フィルム型ディスプレイ基板150を製造する過程で第1ベースフィルム171を保護すると同時に第1ベースフィルム171に一定の強度および平坦度を付与してもよい。
【0058】
図5に図示されたように、保護フィルム180は、第2ベースフィルム181と、第2ベースフィルム181の上に設けられる第2帯電防止コーティング層183と、第2ベースフィルム181の下に設けられる第3帯電防止コーティング層184と、第3帯電防止コーティング層184の下に設けられる第2粘着層182とを含んでもよい。
【0059】
第2帯電防止コーティング層183および第3帯電防止コーティング層184の材質に関する事項とその機能に関する事項は、上述した第1帯電防止コーティング層173と実質的に同一であるので、詳しい説明は省略する。
【0060】
第2ベースフィルム181は、第2帯電防止コーティング層183および第3帯電防止コーティング層184が設けられる板面を提供すると同時にフィルム型ディスプレイ基板150を製造する過程で基材130に一定の強度および平坦度を付与する第1ベースフィルム171の機能を補強してもよく、第2粘着層182は、保護フィルム180を第1ベースフィルム171に積層するために一定の粘着力を有してもよい。
【0061】
特に、第1ベースフィルム171が積層された状態における完成されたフィルム型ディスプレイ基板150を検収する場合などにおいて、仮に、第1ベースフィルム171にスクラッチなどが存在すると、フィルム型ディスプレイ基板150自体には、欠点がなくても完成された製品が不良と判定されるかもしれない。このような事態を防止するため,フィルム型ディスプレイ基板150の製造工程中に第1ベースフィルム171を保護フィルム180で保護してもよい。
【0062】
その他の第2ベースフィルム181および第2粘着層182の材質に関する事項はそれぞれ上述した第1ベースフィルム171および第1粘着層172に関する事項と実質的に同一なので詳しい説明は省略する。
【0063】
ただし、第1ベースフィルム171から保護フィルム180を剥離する場合、基材130から第1ベースフィルム171が浮き上がったり剥離されないよう、第2粘着層182の粘着力が第1粘着層172の粘着力より小さくなるように第2粘着層182の成分比を調節してもよい。
【0064】
すなわち、本実施例において、第1粘着層172および第2粘着層182は、小さい粘着特性を有するポリマの性質を有してもよく、または第2粘着層182の粘着力が第1粘着層172の粘着力より小さいように各構成の成分比を調節してもよい。
【0065】
上述した事項のうち、保護フィルム180において、第2帯電防止コーティング層183および第3帯電防止コーティング層184は、必要に応じて選択的に省略されてもよく、必要に応じて保護フィルム180自体も省略してもよい。
【0066】
一方、粘着層保護フィルム190は、基材130に第1ベースフィルム171を積層するまでに第1粘着層172に汚染物質が付着することを防止してもよい。
【0067】
図5に図示されたように、粘着層保護フィルム190は、第3ベースフィルム191と、第3ベースフィルム191の上に設けられる、第4帯電防止コーティング層192と、第3ベースフィルム191の下に設けられる第5帯電防止コーティング層193とを含んでもよい。
【0068】
第3ベースフィルム191は、PETまたはPEN及びオルレピンゲフィルムを含んでもよく、第4帯電防止コーティング層192および第5帯電防止コーティング層193が設けられる板面を提供してもよく、第4帯電防止コーティング層192および第5帯電防止コーティング層193はそれぞれ粘着層保護フィルム190を積層したり剥離したりする場合に静電気が発生することを防止してもよい。
【0069】
第4帯電防止コーティング層192および第5帯電防止コーティング層193の材質に関する事項は、上述した第1帯電防止コーティング層173と実質的に同一なので詳しい説明は省略する。また、第4帯電防止コーティング層192および第5帯電防止コーティング層193は、必要に応じて選択的に省略でき、必要に応じて粘着層保護フィルム190自体も省略してもよい。
【0070】
上述した工程フィルム170は、フィルム型ディスプレイ基板150の製造過程において、工程の便宜性を向上させることと同時に完成されたフィルム型ディスプレイ基板の信頼度を向上させる長所を有する。
【0071】
一方、ガラス基板から基材を剥離するステップ(S400)は、工程フィルム170が積層されている基材130をガラス基板110から分離させることを含んでもよい。
【0072】
本ステップ(S400)において基材130は、工程フィルム170の積層によって一定の強度および平坦度が維持できるので、従来に比べて著しく向上された工程効率および信頼度が保障される。
【0073】
基材の背面に仕上げ用バックフィルムを付着するステップ(S500)は、基材130の背面が汚染されないように基材130背面にPETまたはPEN材質のフィルムを付着させることを含んでもよい。基材の背面に仕上げ用バックフィルムを付着するステップ(S500)は、必要に応じて省略されてもよい。
【0074】
基材をセル別にカッティングし、複数のフィルム型ディスプレイ基板を形成するステップ(S600)は、セル(C)の形成領域により、基材130をレーザまたは、カッティング刃でカッティングし、それぞれのフィルム型ディスプレイ基板150を形成することを含んでもよい。
【0075】
フィルム型ディスプレイ基板の端子の部分を開口するステップ(S700)は、軟性回路基板(Flexible Printed Circuit)が端子部(T)にボンディングされるように完成されたフィルム型ディスプレイ基板150において、ディスプレイ部(D)を除いた端子部(T)をカッティングし、これ切り取ることを含んでもよい。
【0076】
図3に図示されたように、本ステップ(S700)は、フィルム型ディスプレイ基板の表面に隣接した工程フィルムの下段部までをカッティングするステップ(S710)と、粘着テープを用いてフィルム型ディスプレイ基板から工程フィルムの一部を剥がすステップ(S730)に区分される。
【0077】
図6および
図7において工程フィルム170は、第1ベースフィルム171および第1粘着層172のみが含まれている状態を説明するものである。
【0078】
フィルム型ディスプレイ基板の表面に隣接した工程フィルムを下段部までをカッティングするステップ(S710)は、軟性回路基板がボンディングされるように完成されたフィルム型ディスプレイ基板150の端子部(T)をレーザまたは、カッティング刃(N、
図6参照)で切開することを含んでもよい。
【0079】
図6に図示されたように、本ステップ(S710)では、端子部(T)を開口するために用いられるレーザまたは、カッティング刃(N)により端子部(T)に形成された回路が損傷されないように、すなわち、レーザまたは、カッティング刃(N)が第1ベースフィルム171全体と第1粘着層172の一部のみがカッティングされてもよい。
【0080】
この際、第1ベースフィルム171および第1粘着層172がとても薄くなると、いくらレーザまたは、カッティング刃(N)を精密に制御しても、端子部(T)に形成された回路が損傷する可能性が高まるので、このような危険が排除されるように、上述したように、第1ベースフィルム171が25μm乃至210μmの一定の厚さを有するように、また、第1粘着層172が20μm乃至150μmの一定の厚さを有するように調節されてもよい。
【0081】
レーザまたは、カッティング刃(N)によって切開されない工程フィルム170の下段の部分(tear line、
図6参照)は、後述する剥離ステップ(S730)で剥離されることによって、フィルム型ディスプレイ基板150の端子部(T)が完全に開口される。
【0082】
粘着テープを用いて、フィルム型ディスプレイ基板から工程フィルムの一部を剥がすステップ(S730)は、端子部(T)を覆っている工程フィルム170の一部分に粘着テープを付着し、それを引き剥がすことによって工程フィルム170の一部を剥がすことを含んでもよい。
【0083】
端子部(T)を覆っている工程フィルム170の一部分は、フィルム型ディスプレイ基板150の表面にほぼ隣接した位置まで切開された状態であり、工程フィルム170自体の厚さも非常に薄いので、本部分に粘着テープを付着し、その粘着テープを引くと、フィルム型ディスプレイ基板150の端子部(T)を簡単に開口できる。
【0084】
このように開口された端子部(T)には、軟性回路基板をボンディングすることによって、フィルム型ディスプレイ基板150が完成する。
【0085】
本実施例の基板製造方法は、フィルム型ディスプレイ基板150の製造過程において、工程フィルム170を用い、基材130を保護すると同時に、基材130に一定の強度および平坦度を付与し、ガラス基板110から基材130を剥離する場合などにおいて作業の便宜を図る長所を有する。
【0086】
上述において、本発明の特定の実施例が説明されて図示されたが、本発明は、記載された実施例に限定されず、本発明の思想および範囲から逸脱せずに、多様に修正および変形できることは、この技術の分野において、通常の知識を持った者に自明なことである。したがって、そのような修正例または変形例は、本発明の技術的思想や観点から個別的に理解されるべきであり、変形された実施例は、本発明の特許請求範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0087】
110 ガラス基板
130 基材
150 フィルム型ディスプレイ基板
170 工程フィルム
171 第1ベースフィルム
172 第1粘着層
180 保護フィルム
190 粘着層保護フィルム