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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-02
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】経鼻配送装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 15/08 20060101AFI20220203BHJP
   A61M 11/08 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
A61M15/08
A61M11/08
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020195861
(22)【出願日】2020-11-26
(62)【分割の表示】P 2017112095の分割
【原出願日】2013-02-25
(65)【公開番号】P2021041212
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2020-12-21
(31)【優先権主張番号】61/603,095
(32)【優先日】2012-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514215697
【氏名又は名称】オプティノーズ アズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】きさらぎ国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジュペスランド,パー ギスレ
(72)【発明者】
【氏名】ルクレール,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】マハムード,ラミー エイ
(72)【発明者】
【氏名】スィウィンスキー,シェーン
(72)【発明者】
【氏名】ゴードン,ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】フィスク,ジャスティン
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-540147(JP,A)
【文献】特表2004-528073(JP,A)
【文献】特表2002-537908(JP,A)
【文献】特表2008-546499(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 15/08
A61M 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質を患者の鼻気道に配送する経鼻配送装置であって、
患者の鼻腔にフィットするノーズピースと、
前記患者が使用中に呼息するマウスピースと、
手動で変位されることにより、前記ノーズピースから物質を配送するよう配送ユニットを作動させる作動部を備える配送ユニットと、
前記ノーズピースおよび前記マウスピースと流体連通するバルブアセンブリとを備え、
前記バルブアセンブリは、ボディ要素と、前記配送ユニットの前記作動部の手動の変位により閉構成と開構成との間を移動可能に前記ボディ要素に配置され、前記ノーズピースを通して物質配送と同時にエアフローを提供するバルブ要素とを備え、
前記ボディ要素が、バルブ開口部を画定するバルブシートを含み、
前記バルブ要素が、前記バルブ要素が前記閉位置にあるとき前記バルブ開口部を閉じる働きをするシールを備える、配送装置。
【請求項2】
前記配送ユニットの前記作動部が貫通して延びる開口部を含むハウジングをさらに備える、
請求項に記載の配送装置。
【請求項3】
前記ハウジングが、前記配送ユニットの前記作動部をスライド可能に受け、前記ハウジングの前記開口部から空気が流れるのを防ぐシール部材をさらに備える、
請求項2に記載の配送装置。
【請求項4】
前記バルブ要素がシール部材を備え、
前記配送ユニットが、前記バルブ要素の前記シール部材の開放に続いて物質配送を提供 するよう構成されている、
請求項1~のいずれかに記載の配送装置。
【請求項5】
前記配送ユニットが、前記ノーズピースを通じて物質が配送される出口ユニットと、前記出口ユニットに物質を配送するために作動可能な物質供給ユニットとを備える、
請求項1~のいずれかに記載の配送装置。
【請求項6】
前記配送ユニットの前記作動部が、前記物質供給ユニットの物質収容チャンバを備える、
請求項に記載の配送装置。
【請求項7】
前記物質供給ユニットが、前記物質収容チャンバの押下により作動可能な機械的配送ポンプを備える、
請求項に記載の配送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物質を配送する、より詳細には、薬物、特に全身性または局所的医薬を含有する懸濁液や溶液としての液体もしくは粉末またはワクチンのうちの1つを患者の気道に配送する、経鼻配送装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図10を参照すると、鼻気道1は鼻中隔で隔てられる2つの鼻腔を有し、気道1は、副鼻腔口3や耳管口5などの数々の口と嗅覚細胞を含み、鼻粘膜で覆われている。鼻気道1は、鼻気道1が中咽頭帆13の開閉により鼻咽頭7前部と口腔9と選択的に連通して、鼻咽頭7、口腔9および下気道11と連通可能である。帆13は軟口蓋と呼ばれることも多く、口腔9を通じての呼息時に実現されるような一定の正圧が口腔9内に与えられることで実現される閉位置を実線で、開位置を破線で示す。
【0003】
治療を要する多くの鼻の病状がある。そのような病状の1つは、鼻の炎症、特には鼻炎であり、アレルギー性または非アレルギー性であり得、しばしば感染と関連があり、正常な鼻機能を阻害する。例として、アレルギー性および非アレルギー性の鼻気道の炎症は、最も一般的な症状として鼻甲介の勃起組織の鼻閉、流涙、水様粘液の分泌、くしゃみ、かゆみを典型的には集団の10~20%にもたらし得る。当然ながら、鼻閉は鼻呼吸を阻害して口呼吸させるので、いびきや睡眠障害の原因となる。他の鼻の病状としては、副鼻腔に生じる鼻ポリープ、アデノイド肥大、滲出性中耳炎、副鼻腔疾患および嗅覚低下が挙げられる。
【0004】
特定の鼻の病状の治療では、例えば鼻閉の治療や緩和などの特に鼻粘膜が主要な病理経路である場合、薬物の局所投与が好ましい。一般的に局所配送される薬物としては、うっ血除去薬、抗ヒスタミン剤、クロモグリク酸、ステロイド剤および抗生物質が挙げられる。現在、既知の抗炎症医薬のうち、局所ステロイド剤が鼻閉に有効であることが示されている。鼻閉の緩和には局所うっ血除去薬の使用も提案されている。多少異論もあるが、局所うっ血除去薬、ステロイド剤および抗菌剤を用いるアデノイド肥大および慢性滲出性中耳炎の治療も提案されている。さらに、医薬の局所投与は、鼻咽頭前部、副鼻腔および耳管の炎症症状の治療または少なくとも緩和に用いられている。
【0005】
薬物は鼻道を通じて全身的に配送される場合もあり、鼻道は、鼻粘膜の血流量が多く表面積が広いので全身に素早く吸収されるという利点があるため、例えばオキシトシンやカルシトニンといったホルモン剤や抗片頭痛組成物などの鎮痛剤などの医薬の全身配送の良好な投与経路を提供している。
【0006】
経鼻配送は、例えば鎮痛剤、制吐剤、インスリン、抗てんかん剤、鎮静剤および睡眠剤など急速に作用を開始する必要がある薬物、またその他例えば心血管系薬物投与などの医薬の配送に有利であることも期待される。経鼻投与は、注射と同様の速度で、また、経口投与よりも相当速く作用を開始することが想定されている。事実、経口投与後、胃内容うっ滞により作用開始がさらに遅れることがあるため、経鼻投与は多くの急性状態の治療において経口投与よりも有利である。
【0007】
経鼻配送はまた、現代のバイオ工学技術により生産されるタンパク質やペプチドの有効な配送経路を提供できることも期待される。そのような物質にとって、腸内代謝や肝臓での初回通過効果は、信頼できる費用効果的な配送の著しい障害となる。
【0008】
さらに、本発明の経鼻配送技術を用いた経鼻配送は、既存の技術を用いることが不可能な、多くの一般的な神経疾患、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、精神疾患および脳内感染の治療に有効であると立証されることが期待される。本発明の経鼻配送技術は嗅部への配送を可能にするが、該嗅部は、鼻腔上部に位置し、血液脳関門(BBB)を迂回し脳脊髄液(CSF)および脳との連通を可能にする唯一の領域である。
【0009】
また、本発明の経鼻配送技術はワクチンの有効配送を可能にすることが期待される。
【0010】
薬物配送の他にも、液体、具体的には生理食塩水溶液での鼻粘膜の洗浄が、微粒子や分泌物の除去ならびに鼻粘膜の粘膜毛様体の活性向上のため、一般的に実施されている。これらの溶液は活性薬物との併用で使用され得る。
【0011】
どのような種類の薬物配送でも正確で信頼できる投薬は不可欠であるが、治療域の狭い強力な薬物、重篤な有害事象の可能性のある薬物、および重篤かつ生死に関わる病状を治療する薬物の投与に関しては、特に重要である。病状によっては、例えば真性糖尿病の場合、特定の状態に合わせて用量を個別化することが不可欠である。糖尿病および実際には他の多くの病状で、医薬の用量は、実際のリアルタイムの測定結果に基づくことが好ましい。
【0012】
現在、血液試料が最も頻繁に用いられているが、いくつかの病状については血液検査の代わりに患者の呼気中の分子分析が提案されている。呼気分析は現在、胃潰瘍の原因となるヘリコバクターピロリ感染症などの病状の診断に用いられている。
【0013】
国際公開第2000/051672号は、物質、具体的には薬物を、鼻腔内に二方向流、つまり一方の鼻孔に入り、鼻中隔の後縁を回って反対方向に他方の鼻孔から出るエアフローを流して配送する配送装置を開示している。この二方向エアフローは、有利にも鼻粘膜の感覚神経を刺激する作用があるので、患者を配送に馴化させてより快適な配送状態を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】国際公開第2000/051672号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、患者の鼻腔に物質を配送する経鼻配送装置および方法を提供することであり、より具体的には、比較的簡易で機械的に作動可能な配送装置を提供することである。
【0016】
一態様では、本発明は、患者の鼻気道に物質を配送する経鼻配送装置を提供し、該装置は、患者の鼻腔にフィットするノーズピースと、患者が使用中に呼息するマウスピースと、配送ユニットであって、手動で変位されて配送ユニットを作動させノーズピースから物質を配送する作動部を備える配送ユニットと、ノーズピースおよびマウスピースと流体連通するバルブ(弁)アセンブリとを備え、バルブアセンブリは、ボディ要素と、配送ユニットの作動部の手動での変位により閉構成から開構成に移動可能にボディ要素に配置され、ノーズピースを通して物質配送と同時にエアフローを提供するバルブ要素とを備える。
【0017】
別の態様では、本発明は、患者の鼻気道に物質を配送する方法を提供し、該方法は、ノーズピースを患者の鼻腔にフィットするステップと、患者がマウスピース内に呼息するステップと、配送ユニットであって手動で変位されて配送ユニットを作動させノーズピースから物質を配送する作動部を備える配送ユニットと、ノーズピースおよびマウスピースと流体連通するバルブアセンブリとを備える配送装置を準備するステップであって、ここでバルブアセンブリは、ボディ要素と、配送ユニットの作動部の手動での変位により閉構成から開構成に移動可能にボディ要素に配置されたバルブ要素とを備えるステップと、配送ユニットの作動部を手動で変位させてアセンブリのバルブ要素をバルブアセンブリのボディ要素に対し閉構成から開構成に移動させ、ノーズピースを通して物質配送と同時にエアフローを提供するステップとを含む。
【0018】
次に、本発明の好ましい実施形態を、添付の図面を参照しながら、単なる例として以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1(a)】本発明の第1実施形態による経鼻配送装置の斜視図を示す。
図1(b)】本発明の第1実施形態による経鼻配送装置の斜視図を示す。
図2図1の配送装置の分解斜視図を示す。
図3】休止中の非作動構成の図1の配送装置の垂直断面図を示す。
図4】作動構成の図1の配送装置の垂直断面図を示す。
図5】作動構成の図1の配送装置の分解断片垂直断面図を示す。
図6(a)】図1の配送装置の配送ユニットの動作によるバルブアセンブリのシール部材の開放を示す。
図6(b)】図1の配送装置の配送ユニットの動作によるバルブアセンブリのシール部材の開放を示す。
図6(c)】図1の配送装置の配送ユニットの動作によるバルブアセンブリのシール部材の開放を示す。
図7】一例示的装置のノーズピースおよびマウスピースにおける流量と、マウスピースにおける圧力のプロットを示す。
図8(a)】本発明の第2実施形態による経鼻配送装置の休止中の非作動構成および作動構成の断片垂直断面図を示す。
図8(b)】図1の配送装置の配送ユニットの動作によるバルブアセンブリのシール部材の開放を示す。
図9(a)】本発明の第3実施形態による経鼻配送装置の休止中の非作動構成および作動構成の断片垂直断面図を示す。
図9(b)】本発明の第3実施形態による経鼻配送装置の休止中の非作動構成および作動構成の断片垂直断面図を示す。
図10】人間の患者の上部呼吸器の解剖図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1から図7は、本発明の第1実施形態による手動で作動される経鼻配送装置を示す。
【0021】
配送装置は、ハウジング115、患者の鼻腔にフィットするノーズピース117、患者が使用中に呼息するマウスピース119であって、患者が該マウスピース119を通じて呼息すると患者の鼻気道内にエアフローが配送され通過することを可能にするマウスピース119、および手動で作動されて患者の鼻腔に物質を配送する配送ユニット120を備える。
【0022】
ハウジング115は、この実施形態では略細長いチューブ状部分でありハウジング115の一端に開口部123を含むボディ部材121を備え、該開口部を通って、この実施形態では物質供給ユニット169の物質収容チャンバ173の基部により画定されている配送ユニット120の作動部が突き出す。
【0023】
この実施形態では、ボディ部材121は、一体に固定される2つのボディ部分121aと121bを備える。
【0024】
この実施形態では、ボディ部分121aと121bは、ここではスナップ嵌めタイプの互いに係合する突起124と窪み125と、ボディ部分121aと121bの接合部でエアフロー路を閉鎖する働きのあるシール要素126とを含む。
【0025】
この実施形態ではシール要素126は接着剤で結合されているが、代わりに溶接などで機械的に結合することもできる。
【0026】
代替の実施形態では、シール要素126は省略され得る。
【0027】
ハウジング115は、バルブアセンブリ127をさらに備え、該バルブアセンブリは、ノーズピース117およびマウスピース119と流体連通し、図3および図4に示すように閉構成から開構成に機能可能であり、ノーズピース117を通じて、この実施形態では空気のバースト(burst)としてのエアフローを、後に詳述する配送ユニット120の作動と同時に提供する。
【0028】
バルブアセンブリ127は、バルブ開口部130を画定するバルブシート129を含む主ボディ要素128と、図3および図4に示すように閉位置から開位置に移動可能にボディ要素128に配置されたバルブ要素131とを備える。
【0029】
図3に詳細に示すように、ボディ要素128は、この実施形態ではバルブシート129の一方の下側に、バルブ要素131の一端145が枢動するピボット135に対し枢動するピボット135と、この実施形態ではバルブシート129の他方の上側に、バルブ要素131の他端147がスライド面137に対しスライド可能なスライド面137とを備える。
【0030】
バルブ要素131は、この実施形態ではフレキシブルなアームである細長アーム141であって、この実施形態では、細長アーム141の下端の一端145はボディ要素128のピボット135に対し枢動し、細長アーム141の他端である上端147はボディ要素128のスライド面137とスライド可能に係合する細長アーム141と、アーム141に支持されるバルブ部材149とを備える。
【0031】
この実施形態では、アーム141は、ここでは内向きに付勢された第1のここでは下部のアーム部分151を備え、バルブ要素131が閉じた休止位置にあるとき、下部アーム部分151はハウジング115の長手方向軸に対し内向きに傾斜し、手動で作動されると物質供給ユニット169により係合され、後に詳述するようにバルブ要素131を開位置に移動させる。
【0032】
この実施形態では、アーム141は、ボディ要素128のスライド面137と係合してバルブ要素131を閉位置に付勢するように働く、第2のここでは上部のアーム部分153をさらに備える。
【0033】
この実施形態では、バルブ部材149は、バルブ要素131が閉位置にあるときバルブシート129により画定されるバルブ開口部130を閉じる働きをする、この実施形態ではフレキシブルまたは弾性要素であるシール161と、シール161の中心部を支持するサポート163とを備える。
【0034】
この構成により、図6(a)から図6(c)を参照すると、シール161は中心で支持されており、バルブ要素131が開位置に移動すると、サポート163は図6(b)に示すようにシール161の中心部を付勢してシール161のこの中心部を外向きに張り出させ、図6(c)に示すようにシール161が突然爆発的にバルブシート129から解放される時点に達するまで、シール161の周縁部のみをバルブシート129に係合させる。
【0035】
この解放様式は、シール面の小さな部分が解放されてから残りのシール面が解放される、より小さい初回バースト圧力を提供しがちな代替のピーリングタイプの解放様式と比べて、シール161のシール面の略全体が一瞬で解放される、エアフローの突然の初回バーストを得るのが望ましいこの用途では特に有効であると考えられる。
【0036】
この実施形態では、配送ユニット120は、物質を患者の鼻気道に配送するための出口ユニット167と、物質を出口ユニット167に配送するための物質供給ユニット169とを備える。
【0037】
この実施形態では、バルブアセンブリ127は、ユーザが3kPaの呼息圧力を生じさせているときに5L/分未満の、好ましくはユーザが10kPaの呼息圧力を生じさせているときに5L/分未満の、より好ましくはユーザが3kPaの呼息圧力を生じさせているときに1L/分未満の、さらに好ましくはユーザが10kPaの呼息圧力を生じさせているときに1L/分未満の各作動前効率を提供し、さらに好ましくはユーザが3kPaの呼息圧力を生じさせているときに実質的に流れはなく、さらに好ましくはユーザが10kPaの呼息圧力を生じさせているときに実質的に流れはなく、作動前効率は、マウスピース119内に配送された空気量の数分の1として作動の前に装置から漏れる空気量の測定単位になっている。
【0038】
この実施形態では、配送装置は、流量50L/分、呼息圧力3kPaで少なくとも80%の、好ましくは流量50L/分、呼息圧力3kPaで少なくとも85%の、より好ましくは流量50L/分、呼息圧力3kPaで少なくとも88%の、さらに好ましくは流量50L/分、呼息圧力3kPaで少なくとも90%の各作動後効率を提供するように構成されており、作動後効率は、マウスピース119内に配送された空気量の数分の1としてノーズピース117から配送される空気量の測定単位になっている。
【0039】
図7は、一例示的装置のノーズピース117とマウスピース119における流量と、マウスピースにおける圧力のプロットを示す。
【0040】
この実施形態では、作動前圧力5kPaで1L/分の作動前効率。
【0041】
この実施形態では、流量57.1L/分で88%の作動後効率である。
【0042】
この実施形態では、バルブ要素131は、開放時に、第1の初回バースト相と第1の初回相に続く第2の長時間のバースト相を有するエアフローバーストを提供し、初回バースト相のピーク流量は、長時間のバースト相の平均流量よりも大きい流量を有し、長時間のバースト相は初回バースト相よりも持続時間が実質的に長い。
【0043】
この実施形態では、物質がノーズピース117から配送ユニット120により配送される間の持続時間の10倍に相当する時間内での初回バースト相のピーク流量は、長時間のバースト相の平均流量よりも少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%、より好ましくは少なくとも20%大きい。
【0044】
この実施形態では、配送ユニット120は、シール部材149の開放後54msで開始し、シール部材149の開放後134msで終了するスプレーを提供する。
【0045】
一実施形態では、配送ユニット120は、シール部材149の開放に続いて物質配送を提供する。
【0046】
一実施形態では、配送ユニット120は、シール部材149の開放から約250msよりも短時間で、好ましくはシール部材149の開放から約200msよりも短時間で、より好ましくはシール部材149の開放から約150msよりも短時間で、さらに好ましくはより好ましくはシール部材149の開放から約100msよりも短時間で、物質配送を提供する。
【0047】
一実施形態では、配送ユニット120は、シール部材149の開放後約150msよりも短時間で、好ましくはシール部材149の開放後約100msよりも短時間で、さらに好ましくはシール部材149の開放後約50msよりも短時間で、さらに好ましくはシール部材149の開放後約25msよりも短時間長時間で、さらに好ましくはシール部材149の開放後約15msよりも短時間で開始する、物質配送を提供する。
【0048】
この実施形態では、出口ユニット167は、物質を患者の鼻気道に配送するためのノズル171を備える。この実施形態では、ノズル171は、エアゾールスプレーを提供するように構成されている。代替の実施形態では、液体を配送するために、ノズル171は、液体柱として液体ジェットを配送するように構成され得る。
【0049】
好ましい実施形態では、出口ユニット167の遠位端は、患者の鼻腔内に、少なくとも約2cm、好ましくは少なくとも約3cm、より好ましくは約2cmから約3cm延びるように構成されている。
【0050】
この実施形態では、物質供給ユニット169は、ポンプユニットであり、物質を収容し、ハウジング115の開口部123から物質供給ユニット169の作動部として延在する物質収容チャンバ173と、ここでは物質収容チャンバ173の典型的には患者の指または親指による押下で作動可能であり、定量ドースの物質を、物質収容チャンバ173から出口ユニット167へ、そしてノズル171から、ここではエアゾールスプレーとして配送する機械的配送ポンプ175を備える。
【0051】
この実施形態では、物質収容チャンバ173は、押下されて物質供給ユニット169を作動させると、バルブ要素131のアーム141の下部アーム部分151と係合し、物質供給ユニット169の作動とバルブ要素131のシール161の開放を同時に提供するので、ここではスプレーとしての物質と、ここでは空気のバーストとしてのエアフローが、同時に患者の鼻腔に配送される。
【0052】
この実施形態では、機械的配送ポンプ175は、定量ドースの物質を配送する液体配送ポンプであるが、代替の実施形態では、機械的配送ポンプ175は作動すると定量ドースの粉末化された物質を配送する粉末配送ポンプであり得る。
【0053】
この実施形態では、物質供給ユニット169は、複数の定量ドースの物質を連続的な配送操作で配送するマルチドースユニットである。
【0054】
代替の実施形態では、物質供給ユニット169は、単回の定量ドースの物質を配送するシングルドースユニットまたは2回分の定量ドースの物質を2回の連続的配送操作で配送するデュオドース(duo-dose)ユニットであり得る。
【0055】
別の代替実施形態では、物質供給ユニット169は、作動すると定量ドースの乾燥粉末としての物質を配送する乾燥粉末配送ユニットを備え得る。
【0056】
さらに別の代替実施形態では、物質供給ユニット169は、作動すると定量ドースのエアゾールスプレーとしての物質を配送する噴霧器を備え得る。
【0057】
さらに別の代替実施形態では、物質供給ユニット169は、懸濁液または溶液としての物質を含む、定量の噴霧剤、好ましくはヒドロフルオロアルカン(HFA)噴霧剤などを配送するエアゾール缶を備え得る。
【0058】
この実施形態では、ハウジング115は、ここでは環状シールのOリングとしてのシール部材181をさらに備え、該シール部材は、物質供給ユニット169の物質収容チャンバ173をスライド可能に受けて、配送されたエアフローがハウジング115の開口部123から漏れるのを防止する。
【0059】
一実施形態では、シール部材181は省略され得る。
【0060】
図8(a)と図8(b)は、本発明の第2実施形態による経鼻配送装置を示す。
【0061】
この実施形態の配送装置は、既に記載した第1実施形態と略同じなので、不要な重複説明を避けるために、同じ部品には同じ参照記号を付して差異のみを詳述する。
【0062】
この実施形態の配送装置が既に記載した第1実施形態と異なる主たる点は、バルブ部材149が、サポート163がバルブ開口部130の幅略全体にわたり延在するように構成されていることである。こうすると、シール161は上述の実施形態のように張り出すことができず、代わりに剥がすような動作により開放される。図8(a)は、休止中の非作動構成のバルブアセンブリ127を示す。図8(b)は、作動構成のバルブアセンブリ127を示す。
【0063】
図9(a)と図9(b)は、本発明の第3実施形態による経鼻配送装置を示す。
【0064】
この実施形態の配送装置は、既に記載した第1実施形態の配送装置と類似しているので、不要な重複説明を避けるために、同じ部品には同じ参照記号を付して差異のみを詳述する。
【0065】
この実施形態の配送装置が既に記載した第1実施形態と異なる主たる点は、シール161が、アーム141に支持されるのではなく、別個の要素であり、物質供給ユニット169の手動での作動によってアーム141の動きにより押しのけられる。図9(a)は、休止中の非作動構成のバルブアセンブリ127を示す。図9(b)は、作動構成のバルブアセンブリ127を示す。
【0066】
この実施形態では、シール161は、フレキシブル要素をここではフラップとして備え、一実施形態では、アーム141上の係合要素185により係合される弾性要素を備える。
【0067】
この実施形態では、係合要素185は、既に記載した第1実施形態と同様にシール161を張り出させる働きのある突起を備える。
【0068】
代替の実施形態では、係合要素185は、バルブ開口部130の幅略全体にわたり延在して、既に記載した第2実施形態と同様の剥がすような動作でシール161をバルブシート129から移動させ得る。
【0069】
最後に、本発明を好ましい実施形態で説明してきたが、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲を逸脱することなく多くの変形が可能であることを理解されたい。
図1(a)】
図1(b)】
図2
図3
図4
図5
図6(a)】
図6(b)】
図6(c)】
図7
図8(a)】
図8(b)】
図9(a)】
図9(b)】
図10