(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-02
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】電子膨張弁
(51)【国際特許分類】
F16K 1/44 20060101AFI20220203BHJP
【FI】
F16K1/44 D
(21)【出願番号】P 2020549656
(86)(22)【出願日】2019-03-22
(86)【国際出願番号】 CN2019079229
(87)【国際公開番号】W WO2019179517
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2020-09-15
(31)【優先権主張番号】201810243059.1
(32)【優先日】2018-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517149748
【氏名又は名称】浙江三花智能控制股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Zhejiang Sanhua Intelligent Controls CO., Ltd
【住所又は居所原語表記】Xialiquan, Qixing Street, Xinchang County, Shaoxing, Zhejiang 312500, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】特許業務法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン、 ユドン
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-287913(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0293519(US,A1)
【文献】特開昭63-067478(JP,A)
【文献】特表2016-540933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁室(102)を有する弁ボディ(10)と、
第1弁口(101)を設けた弁座(20)と、
ロータ(41)とスクリュロッド(44)とを含んで前記ロータ(41)を前記スクリュロッド(44)に固定接続して前記スクリュロッド(44)が雄ねじ部(44a)を有するロータユニット(40)と、
前記弁ボディ(10)に固定接続されて係合溝(53)と第1装着孔(54)とを有する支持フレーム(50)と、
前記係合溝(53)に沿って軸方向の昇降運動をする係合部(73)と前記雄ねじ部(44a)と螺合する雌ねじ部(74a)とを含むナット(70)と前記ナット(70)に固定接続されて前記雄ねじ部(44a)と前記雌ねじ部(74a)との螺合作用で少なくとも一部が前記弁室(102)で軸方向に昇降運動するコアユニット(60)とを備える電子膨張弁において、
前記コアユニット(60)が、弁棒(64)に固定接続される接続座(61)と前記第1弁口(101)に近接し、または、前記第1弁口(101)から離れる弁体ヘッド(631)を有する弁体(63)とを備え、
前記弁体(63)には、第2弁口(633)が設けられ、
前記弁棒(64)が、前記第2弁口(633)に近接し、または、前記第2弁口(633)から離れることを特徴とする電子膨張弁。
【請求項2】
前記接続座(61)が、本体室(6111)を有する本体(611)とガイド内室(6121/6121')を有するガイド部(612/612')とを備え、
前記弁体(63)の少なくとも一部分が、前記ガイド内室(6121/6121')で軸方向に移動することを特徴とする請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項3】
前記コアユニット(60)が、前記接続座(61)に固定接続されるスリーブ(62)を有し、
前記弁体(63)が、弁体突起部(632)を有し、
前記スリーブ(62)が、開口部(621)と支持部(622)とを有し、
前記弁体(63)の少なくとも一部が、前記開口部(621)を介して前記弁室(102)に入り込み、
前記支持部(622)が、前記弁体突起部(632)と当接し、または、離脱する支持面(622a)を有していることを特徴とする請求項2に記載の電子膨張弁。
【請求項4】
前記ガイド部(612)が、段部(6122)を有し、
前記スリーブ(62)が、前記段部(6122)に固定接続され、
前記段部(6122)と前記弁体突起部(632)との間に、第1バネ部品(400)が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の電子膨張弁。
【請求項5】
前記ガイド部(612’)が、ガイド開口部(612a')とガイド支持部(612b')とを有し、
前記弁体(63)が、弁体突起部(632)を有し、
前記弁体(63)の少なくとも一部が、前記ガイド開口部(612a')を介して前記弁室(102)に入り込み、
前記ガイド支持部(612b')が、前記弁体突起部(632)と当接し、または、離脱するガイド支持面(6121b')を有し、
前記ガイド部(612')が、前記弁体突起部(632)に近接し、または、前記弁体突起部(632)から離れる内壁面(612c')を有していることを特徴とする請求項2に記載の電子膨張弁。
【請求項6】
前記本体(611)には、装着孔(611c)及び第1流路S1が設けられ、
前記弁棒(64)が、前記装着孔(611c)を介して前記本体(611)に固定接続され、
前記弁棒(64)が、弁棒室(641)を有していることを特徴とする請求項3または5に記載の電子膨張弁。
【請求項7】
前記弁棒(64)の側壁に、第2流路S2を形成する貫通孔が設けられ、
前記弁棒(64)の棒ヘッドに、第3流路S3が設けられ、
前記電子膨張弁が、消音装置(90)を含み、
前記第1流路S1の外周部に、第1消音部材(91)が覆われ、
前記弁棒室(641)に、前記第3流路S3を覆う第2消音部材(92)が収容され、
前記弁体(63)の弁体室(635)に、ストッパ部材(300)を介して前記弁体室(635)に固定装着される第3消音部材(93)が収容され、
前記第2流路S2の外周部には、第4消音部材(94)が覆われ、
前記第1流路S1の中心線が、前記第2流路S2の中心線に垂直することを特徴とする請求項6に記載の電子膨張弁。
【請求項8】
前記電子膨張弁が、密閉部品(80)を有し、
前記密閉部品(80)が、前記第4消音部材(94)の外周部と前記ガイド部(612)の内周壁との間に設けられる第1密閉部品(81)と、前記弁体(63)の凹溝部(634)に嵌着される第2密閉部品(82)とを含むことを特徴とする請求項7に記載の電子膨張弁。
【請求項9】
前記本体(611)に、第1流路S1及び第3弁口(611d)が設けられ、
前記弁棒(64')が、前記ガイド内室(6121/6121')に圧入され、
前記弁棒(64')が、弁棒室(641')を有し、
前記弁棒(64')の棒ヘッドが、第3流路S3を形成していることを特徴とする請求項3または請求項5に記載の電子膨張弁。
【請求項10】
前記電子膨張弁が、消音装置(90)を含み、
前記第1流路S1の外周部には、第1消音部材(91)が覆われ、
前記弁棒室(641')に、第2消音部材(92)が収容され、
前記消音部材(92)が、前記第3流路S3を覆うとともに前記第2弁口(633)と前記第3弁口(611d)との間に位置し、
前記弁体(63)の弁体室(635)に、第3消音部材(93)が収容されていることを特徴とする請求項9に記載の電子膨張弁。
【請求項11】
弁室(102)を有する弁ボディ(10)と、
第1弁口(101)が設けられた弁座(20)と、
ロータ(41')とスクリュロッド(44')とを含んで前記ロータ(41')を前記スクリュロッド(44')に固定接続して前記スクリュロッド(44')が雄ねじ部(44a')を有するロータユニット(40')と、
前記弁ボディ(10)に固定接続されて前記雄ねじ部(44a')と係合する雌ねじ部(74a')を有するナット(70')と前記ナット(70')とリンク(421)の外周に外嵌されるバネレール(500)とスリップリング(501)とを含み、前記リンク(421)と前記スリップリング(501)とが当接し係合することでスクリュロッド(44)の軸方向の運動ストロークを制御するストッパ機構と、弁棒(64')に固定接続される接続座(61')と、前記第1弁口(101)に近接し、または、前記第1弁口(101)から離れる弁体ヘッド(631)を有する弁体(63)とを含むコアユニット(60')と、を備える電子膨張弁において、
前記弁体(63)には、第2弁口(633)が設けられ、
前記弁棒(64')が、前記第2弁口(633)に近接し、または、前記第2弁口(633)から離れることができ、前記接続座(61')の上端部が弁ニードルスリーブ(600)に固定接続され、
前記スクリュロッド(44')の下端部が、スクリュロッドスリーブ(700)に固定接続され、
前記弁ニードルスリーブ(600)と前記スクリュロッドスリーブ(700)とが対向配置され、
前記弁棒(64')が前記第2弁口(633)に当接される場合に、前記スクリュロッドスリーブ(700)が、前記弁ニードルスリーブ(600)から相対的に離れ、前記弁棒(64')が前記第2弁口(633)に当接されていない場合に、前記スクリュロッドスリーブ(700)が、前記第2弁口(633)に相対的に近接し、または、前記第2弁口(633)に当接されることを特徴とする電子膨張弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年03月23日にて中国特許庁に提出され、出願番号が201810243059.1であり、発明名称が「電子膨張弁」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は、援用されることで本出願に結合される。
本発明は、冷凍制御という技術分野に関するものであって、具体的には冷媒流量を調節する電子膨張弁に関わる。
【背景技術】
【0002】
冷凍加熱という技術分野において、電子膨張弁は、冷凍加熱機器の冷媒流量の制御部品であり、主に、流量調節のための弁ボディ部分と駆動のためのコイル部分とからなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図1は、背景技術における、小流量調節機能を有する電子膨張弁である。
コイル部分は、永久磁石式ステッピングモータ1’と3段減速を有する平歯車減速装置2’とモータの回転運動をスクリュロッドの垂直運動に変換するねじペア構成4’とを有している。
そして、このねじペア構成4’には、ねじ部5’とスクリュロッド3’とが形成され、弁ボディ部分が弁ボディ8と大弁口10’とを含む。
さらに、この弁ボディ8の内室には、波形管6’が収容され、波形管6’には、弁棒7’が固定接続され、大弁口10’に近接しまたは大弁口10’から離れるように弁棒7’によって弁ニードル部9’を弁ボディ8の内室で軸方向昇降運動させることで、大弁口10’を流れた冷媒の流量を調節している。
さらに、弁ニードル部9’には、小弁口91’が設けられ、弁棒7’が波形管6’の作用によって上下に移動することで、小弁口91’を開放させまたは閉じる。
弁棒7’には、ストッパシート92’が固定接続されている。
以下は、作動原理を結合して製品の作動方式を簡単に説明する。
まず、減速装置2’を動かすために空調システムの電子コントローラーによって電子膨張弁のステッピングモータ1’を制御し、スクリュロッド3’とねじ部5’との螺合作用でスクリュロッド3’が下に運動し、鋼球及び力伝達部品のブシュ作用で弁棒7’を下に運動させる。
この際、波形管6’が絶えず引張作用を受けて、弁ニードル部9’が、だんだん大弁口10’に近接し、逆パルスを付与すると、波形管6’の弾力復元作用で、弁棒7’が絶えず上に運動し、だんだん小弁口91’から離れた方向に運動し、小弁口91’を開放させ、ストッパシート92’が、固定スリーブの下端面に当接されるまで移動した時、弁ニードル部9’を大弁口10’から離れた方向に運動させる。
このような構成は、複雑で、減速歯車装置の存在のため、コイル部品がより大きい駆動力で弁の開閉を行わなければならず、電子膨張弁の冷媒の大流量と小流量に対する調節過程で、一般的に、波形管6’の復元力作用によって開放するが、製品の長期使用に連れて、波形管6’は、経年劣化などの現象が生じるおそれがあり、弁の開閉が順調に実現しない。
これに鑑みると、製品の構成が簡単で、小さい駆動力でも電子膨張弁の大流量と小流量の調節を実現するために、電子膨張弁の構成に対して如何にさらに最適化の設計を行うかということは、当業者にとって解決しようとする技術問題である。
【0004】
本発明の目的は、製品の構成が簡単で、小さい駆動力の作用でも電子膨張弁の大流量と小流量の調節を実現できる電子膨張弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を実現するために、本発明は、電子膨張弁を提供し、
弁室を有する弁ボディと、第1弁口が設けられる弁座と、直接または間接的に固定接続されるロータとスクリュロッドとを有し、スクリュロッドが雄ねじ部を有するロータユニットと、
弁ボディに固定接続され、係合溝と、スクリュロッドと係合する第1装着孔とを有する支持フレームと、
係合溝に沿って軸方向の昇降運動をする係合部、及び雄ねじ部と螺合する雌ねじ部とを有するナット、
ナットに固定接続され、雄ねじ部と雌ねじ部との螺合作用を介して、弁室で軸方向に昇降運動するコアユニットと、を備え、
前記コアユニットは、弁棒に固定接続される接続座と弁体ヘッドを有する弁体とを含む。
そして、弁体ヘッドが、第1弁口に近接し、または、第1弁口から離れることができ、さらに、弁体には、第2弁口が設けられ、弁棒が、第2弁口に近接しまたは第2弁口から離れることができる。
【0006】
本発明の電子膨張弁は、コアユニットが、ナットに固定接続され、スクリュロッドとナットとの螺合作用を介して、コアユニットが、弁室で軸方向に昇降運動し、複雑な減速歯車装置及び波形管をなくし、コイル駆動部品による駆動力を大幅に減少させ、コアユニットに対してさらに最適化設計を行うことで、コアユニットは、弁体と接続座とを含み、接続座を弁棒に固定接続させ、弁体が第1弁口に近接しまたは第1弁口から離れることができ、弁棒が、第2弁口に近接し、または、第2弁口から離れることができる。
そして、コアユニットは、スクリュロッドとナットとのねじ伝達作用で、弁室内で軸方向の昇降運動をして、電子膨張弁の大流量と小流量の調節を実現し、製品構成全体が簡単で、小さい駆動力の作用でも、電子膨張弁の大流量と小流量の調節を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本明細書と図面は、本発明を理解するために用いられ、本発明の実施例は、本発明を不当に限定せず、本発明を解釈するために用いられる。
【
図1】背景技術における2段式電子膨張弁の断面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態である電子膨張弁の断面図である。
【
図3】
図2の電子膨張弁におけるコアユニットの断面図である。
【
図4】
図2の電子膨張弁における支持フレームの立体模式図である。
【
図5】
図2の電子膨張弁におけるナットの立体模式図である。
【
図6】
図2の電子膨張弁における接続座の模式図である。
【
図7】本発明の電子膨張弁における弁体の断面図である。
【
図8】本発明における他のコアユニットを有する電子膨張弁の断面図である。
【
図9】本発明の第2実施形態である電子膨張弁の構成全体の断面図である。
【
図10】本発明の第3実施形態である電子膨張弁の模式図である。
【
図11-a】本発明の電子膨張弁における第1流路S1と第2流路S2との間の二つの位置関係の模式図である。
【
図11-b】本発明の電子膨張弁における第1流路S1と第2流路S2との間の位置関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施例及び実施例における特徴は、互いに組み合わせることができる。
以下は、図面を参照し、実施例を用いて、本発明を詳しく説明する。
【0009】
図2は、本発明の第1実施形態である電子膨張弁であって、弁ボディ10と弁座20とを有し、弁ボディ10には、弁室102が形成されている。
そして、弁座20と弁ボディ10とは、溶接で固定される別体構成であり、弁座20に第1弁口101が開設されているが、弁座20と弁ボディ10とが一体であってもよい。
さらに、弁ボディ10の側壁には、第1接続口が開設され、この第1接続口には、第1接続管100が溶接で固定され、弁座20の下端部には、第2接続口が開設され、この第2接続口には、第2接続管200が溶接で固定され、第1接続管100と第2接続管200とが第1弁口101を介して連通している。
冷媒は、第1接続管100から入った後、第1弁口101を経て第2接続管200から流出し、または、第2接続管200から入った後、第1弁口101を経て第1接続管100から流出してもよく、電子膨張弁の冷媒の流れ方向は、双方向の流通であってもよい。
【0010】
弁ボディ10の上端部には、弁ボディ突起部103が設けられ、この弁ボディ突起部103の外周壁には、上端部が閉塞口である筒状構成を呈するハウジング部30が溶接で固定され、ハウジング30と弁ボディ10とが、電子膨張弁の内室を構成している。
そして、この電子膨張弁の内室は、上下のチャンバーに区画され、下部のチャンバーが該弁室102を形成し、上部のチャンバーがロータ室を形成している。
ハウジング30の外周部には、コイル駆動部品が外嵌され、電子膨張弁のロータ室内には、ロータユニット40が収容されている。
そして、このロータユニット40は、ロータ部品41と固定座42と回転軸43とスクリュロッド44とを有し、固定座42が独立の部品としてロータ部品41と干渉していない。
そして、固定座42には、案内孔が設けられ、回転軸43の一端が案内部と係合し、他端がスクリュロッド44のスクリュロッド装着孔と係合し、ロータ部品41が、略H字状の構成を呈し、ロータ部品41には、一つ以上のロータ突起411が設けられている。
スクリュロッド44には、スクリュロッド段部441とスクリュロッド凹溝部442とが設けられ、スクリュロッド凹溝部442がロータ突起411と係合し当接している。
ロータ部品41とスクリュロッド44とが一体として射出成形され、電子膨張弁が作動する際、コイル駆動部品の励起作用で、ロータ部品41を回転させるように駆動し、ロータ部品41とスクリュロッド44とが固定接続されているから、スクリュロッド44が、ロータ部品41に連れて回転し、スクリュロッド44の雄ねじ部44aとナット70の雌ねじ部74aとの螺合作用で、コアユニット60を弁室102内で軸方向に昇降運動させる。
そして、回転軸43と固定座42との上端部が、ハウジング部30の端部の閉塞口に当接されることで、スクリュロッド44の軸方向における上向きの移動に対して位置制限を行う。
【0011】
図4に示すように、電子膨張弁は、支持フレーム50を有し、この支持フレーム50は、略上が小さく、下が大きいというキャップ状の構成を呈し、上支持フレーム51と下支持フレーム52とを含んでいる。
スクリュロッド44が貫通するように、上支持フレーム51には、スクリュロッド44と係合する第1装着孔54が設けられ、上支持フレーム51の端部台面とスクリュロッド44のスクリュロッド段部441とが係合することで、スクリュロッドが、周方向のみで回転し、軸方向で昇降運動することができないように、スクリュロッド44の軸方向における下向きの移動に対して位置制限を行って、下支持フレーム52には、ナット70との係合のための、少なくとも1本の係合溝53が開設されている。
下支持フレーム52の外周壁が、弁ボディ突起部103の内周壁に溶接で固定されることで、支持フレーム50を弁ボディ10に固定装着し、この支持フレーム50が、スクリュロッド44の軸方向の運動、及び、ナット70の周方向の運動に対して、いずれも位置制限の作用を果たし、スクリュロッド44の遊動を減少させ、遊動によるパルスまたは流量のばらつきを防止する。
ここで定義された支持フレーム50は、形状に対する説明のみであり、スクリュロッド44の軸方向の運動、及び、ナット70の周方向の運動に対して位置制限の作用を果たすとよく、他の形状の変化、例えば、カップ状部などの他の形状であってもよい。
【0012】
図2~
図3及び
図5~
図7に示すように、本発明の電子膨張弁は、コアユニット60を有し、このコアユニット60が接続座61を含む。
そして、この接続座61が、本体611とガイド部612とを含み、本体611には、本体室6111が形成されるとともに、本体端面611aがあり、本体端面611aには、係止溝611bが形成され、ガイド部612には、ガイド内室6121が形成されている。
図5に示すナット70は、ナット本体71と接続片72と少なくとも一つの係合部73とを有し、接続片72が金属材質であってもよく、ナット本体71がプラスチック材質であってもよく、接続片72がナット本体71と一体として射出成形されるという方式で成形されてもよく、接続片72とナット本体71とが、ともに金属材質であって溶接を介して固定接続されてもよい。
ここでは、ナットの構成材質を具体的に限定していなく、接続片72が接続片下端面72aを有し、係合部73が、ナット本体71から外部に延伸する突起部であり、係合溝53と係止することで、ナット70とコアユニット60との周方向の回転を防止している。
ナット本体71が、本体室6111に圧入され、ナット70がコアユニット60に固定接続され、具体的に、ナット70の接続片72の下端面72aが接続座61の本体端面611aに溶接固定されることで、ナット70全体をコアユニット60に固定装着させ、係合部73がさらに係止溝611bに当接される。
さらに、ナット70には、スクリュロッド44が通過するためのナット装着孔74が設けられ、コイル駆動部品の励起作用でロータ41を回転させ、スクリュロッド44がロータ41に連れてともに回転し、スクリュロッド44が常に周方向の回転を保持するから、ロータ41が、スクリュロッド44に固定接続される。
ロータ41も、スクリュロッド44と同じように周方向の回転を保持するため、ロータ41は、その磁性作用を十分に発揮し、スクリュロッド44の雄ねじ部44aとナット70の雌ねじ部74aとの螺合作用で、スクリュロッド44の回転運動をだんだんコアユニット60の、弁室102での軸方向の昇降運動に変換し、ナット70がコアユニット60とともに弁室102で軸方向に昇降運動する。
この駆動方式は、電子膨張弁の直動式という駆動方式であり、複雑な減速歯車装置及び波形管をなくして、コイル駆動部品の出力に対する需求を大幅に減少させ、コイル駆動部品の小型化を実現し、小さい駆動力でも電子膨張弁の大流量と小流量の調節を実現することができる。
より確実な作動方式を実現するために、一つまたは二つの係合部73を配置して、係合部73に対応する係合溝53と係止溝611bに対しても、一つまたは二つを配置して、無論、係合部73に対して、3つ以上を配置してもよい。
ナット70とコアユニット60とが固定接続され、ナット70とコアユニット60とが軸方向に回転運動することができず、軸方向の昇降運動のみをして、スクリュロッド44がねじペアを介してナット70に伝達する駆動力は、直接的にコアユニット60の軸方向の昇降運動に表現され、パルスの遅延を効果的に避け、開弁のパルスのばらつきを減少させている。
スクリュロッド44、ナット70、及び、コアユニット60という三者の間は、常に、互いにわずかなプレテンション状態にあり、駆動を始める時、スクリュロッド44がねじに伝動する際の瞬間衝撃を減少させ、ナット70の寿命を向上させ、駆動している時、受力部位が、ねじペアに耐えられ、さらに、ナット70の受力摩耗というリスクを減少させる。
【0013】
さらに、コアユニット60は、弁体63と弁棒64とを有し、接続座61が弁棒64に固定接続されている。
この接続座61には、装着孔611cが設けられ、弁棒64が装着孔611cを介して接続座61に溶接で固定されている。
そして、弁体63の少なくとも一部の本体が、ガイド内室6121に沿って軸方向に移動し、弁体63が、第1弁口101に近接しまたは第1弁口101から離れることで第1弁口101を流れた冷媒流量を調節する弁体ヘッド631を有している。
弁体63が第1弁口101とともに大流量調節機構を構成し、さらに、弁体63には、第2弁口633が設けられ、弁棒64が、第2弁口633に近接しまたは第2弁口633から離れることで第2弁口633を流れた冷媒流量を調節し、弁棒64が、第2弁口633とともに小流量調節機構を構成している。
この電子膨張弁のコアユニット60は、さらに全体が、下端が開口部を有する筒状部品を呈するスリーブ62を含む。
そして、スリーブ62が開口部621を有し、このスリーブ62の下端には、内部に折り曲げる支持部622が形成されている。
そして、この支持部622には、支持面622aが形成され、弁体63が、弁体突起部632と支持部622との係合を介してスリーブ62に吊り下げられることで、弁体63の脱落を防止し、弁体突起部632が、支持面622aと係合し当接する弁体突起面632aを有している。
スリーブ62が、ガイド部612の段部6122に溶接されることで、接続座61に固定装着される。
さらに、弁体突起部632と段部6122との間には、第1バネ部品400が設けられ、この第1バネ部品400は、閉弁状態にある場合に、冷媒が第2接続管200から入る時、コアユニット60に対する衝撃を防止し、弁体63を第1弁口101に当接させるように確保し、弁体ヘッド631が、冷媒の圧力作用で第1弁口101から離脱することを防止するために用いられる。
【0014】
さらに、製品の使用過程で、冷媒の流動音を低減させ、ユーザの使用の快適性を向上させるために、電子膨張弁は、さらに消音装置90を有している。
そして、本体611には、冷媒が流通するための第1流路S1が開設され、消音装置90は、第1消音部材91を含む。
この第1消音部材91が、第1流路S1を覆うことで流れた冷媒による渦巻きをなくして、大気泡を小気泡に砕いて、冷媒騒音を低減させている。
弁棒64には、弁棒室641が形成され、弁棒64の側壁には、冷媒が流通する第2流路S2を形成する貫通孔が開設されている。
弁棒64は、冷媒が流通するための第3流路S3が開設される棒ヘッドを有し、さらに、消音装置90は、弁棒室641に収容され、第3流路S3を覆う2消音部材92と、弁体63の弁体室635に収容される第3消音部材93と、弁棒64の外周部に設けられ、第2流路S2を覆う第4消音部材94とを含む。
各消音部材の材質は、メッシュ状または塊状の消音部材であってもよく、それらの組み合わせであってもよい。
ここで、消音部材の具体的な材質に対して限定していなく、消音機能を実現すればよく、以下は、閉弁状態を例として、消音作動の原理を簡単に説明する。
まず、弁体63の弁体ヘッド631が、第1弁口101と当接し係合し、弁棒64の棒ヘッドが第2弁口633と当接し係合する場合に、電子膨張弁は、固定の小流量調節状態を形成し、即ち、冷媒が、第3流路S3を流れて、電子膨張弁の固定の小流量調節機構を構成する。
冷媒が、第1接続管100から入った後、弁室102を経て第1消音部材91を介して冷媒による渦巻きをなくして、大気泡をだんだん砕いた後、第1流路S1に入って、第4消音部材94による消音乱流がされて、第2流路S2を介して弁棒室641に入って、第2消音部材92により消音乱流される。
そして、第3流路S3を経て第2弁口633を介して弁体室635に入って、さらに、第3消音部材93による消音乱流がされた後、最後は、第1弁口101を介して第2接続管200から流出し、冷媒は、消音装置の層ごとの消音乱流という作用で、冷媒の流動音を大幅に減少させ、ユーザの製品使用の快適性をさらに向上させる。
より優れた消音効果を実現するために、
図11-a、11-bに示すように、第1流路S1と第2流路S2とが交差するように配置されている。
すなわち、第1流路S1の中心線と前記第2流路S2の中心線とが垂直するように配置されてもよく、それぞれ2本の第1流路S1、及び、2本の第2流路S2を配置し、または、1本の第1流路S1及び2本の第2流路S2を配置してもよく、冷媒が弁室102に入った後、第1流路S1から第2流路S2までのストロークが長くなり、冷媒の有効消音面積を通る距離が長くなり、消音乱流という効果をさらに向上させる。
さらに、各部品の間の係合隙間には、媒体が入ることを防止するために、電子膨張弁には、電子膨張弁の各部品の間の密閉性能を向上させるための密閉部品80が設けられている。
この密閉部品80は、第4消音部材94の外周部とガイド部612の内周壁との間に設けられる第1密閉部品81と、弁体63の凹溝部634内に嵌着される第2密閉部品82とを含む。
【0015】
以下は、実施例の電子膨張弁の作動原理を説明する。
まず、コイル駆動部品の磁力作用でロータ41を回転させるように駆動し、回転軸43と固定座42との上端部のハウジング30に対する当接、及び、支持フレーム50の位置制限作用で、スクリュロッド44が、周方向の回動のみをして、このスクリュロッド44の雄ねじ部44aとナット70の雌ねじ部74aとのねじ伝動作用で、スクリュロッドが、ナット70及びコアユニット60をともに弁室102内で軸方向に昇降運動させる。
そして、開弁状態にある場合に、弁体突起部632がスリーブ62の支持面622aに支持されるとともに、この支持面622aに当接され、開弁からだんだん閉弁への過程で、ナット70とコアユニット60とが、ねじ伝達作動で下に運動する。
さらに、ナット70の係合部73が、支持フレーム50の位置制限作用で軸方向の昇降運動のみをして、係合部73も、係合溝53に沿って下に運動し、弁体63の弁体ヘッド631が、だんだん第1弁口101に近接する。
この過程は、大流量調節状態であり、弁体ヘッド631が、第1弁口101と係合し当接した後、スクリュロッド44が、ねじ伝動作用でナット70とコアユニット60とを引き続き下に運動させる。
そして、弁体突起面632aと支持面622aとが、元の係合当接状態からだんだん脱落し、弁棒64が、だんだん第2弁口633に近接する。
この過程は、小流量調節状態であり、弁体突起面632aと支持面622aとの間が、最大距離に離脱する際、弁棒64と第2弁口633とが当接し係合し、閉弁過程を実現する。
他方、閉弁状態にある場合に、弁体突起部632とスリーブ62の支持面622aとが離脱状態にあり、閉弁から開弁への場合に、逆方向励起パルスを付与し、ロータ41を回転させるように駆動し、スクリュロッド44が随行して回動し、このスクリュロッド44とナット70とのねじ伝動作動で、ナット70とコアユニット60とが、全体で上に運動し、係合部73も、係合溝53に沿って上に移動し、スリーブ62の支持面622aが、だんだん弁体突起面632aに近接し、弁棒64が、だんだん第2弁口633を開放させ、小流量調節状態を構成する。
この過程で、第1バネ部品400のバネ力の作用で、弁体63は、弁体ヘッド631と第1弁口101との間の係合当接を続いて保持し、支持面622aが、弁体突起面632aと係合し当接する場合に、弁棒64から第2弁口633までの距離が最も遠く、スクリュロッド44とナット70とのねじ伝動作用でナット70とコアユニット60とが引き続き上に運動し、スリーブ62が、弁体63を上に持ち上げさせることで、弁体ヘッド631が、だんだん第1弁口101から離れ、第1弁口を開放させ、大流量調節状態を構成する。
【0016】
以上は、コアユニット60に対する最適化設計によって接続座61を弁棒64に固定接続させ、開弁し、小流量調節をする過程で、スクリュロッド44とナット70とのねじ伝達作用で、スクリュロッド44の軸方向の回転運動をコアユニット60全体の弁室102での軸方向の上向きの運動に変換し、ねじ伝動作用で、接続座61が、弁棒64をだんだん第2弁口633から離れさせることで、小流量調節状態を形成する。
また、大流量と小流量に対する調節が必要である場合も、同様であり、弁体63と第1弁口101との係合過程でも、弁棒64と第2弁口633との係合過程でも、ナット70とスクリュロッド44との螺合作用で、即ち、電子膨張弁の直動式の駆動方式で、冷媒の大流量と小流量の調節を実現し、複雑な歯車減速式装置と波形管構成をなくして、製品構成全体がより簡単になり、コイル駆動部品の出力に対する要求が低くて、コイル駆動部品の小型化設計を実現し、小さい駆動力でも、弁の開閉を順調に実現することができる。
【0017】
図8は、本発明の電子膨張弁におけるコアユニットの他の模式図であり、冷媒がただ単方向で第1接続管100から弁ボディ10の内部に入ればよい場合に、このコアユニット60がスリーブ62と第1バネ部品400をなくして、コアユニット60は、一体構成である接続座61を有し、該接続座61が本体611とガイド部612'とを含む。
そして、このガイド部612'の下端部が、このガイド開口部621a'を有し、弁体63の少なくとも一部が、ガイド開口部621a'を介して弁室102に入り込み、ガイド部612'の下端部が、さらに内部に折り曲げるガイド支持部612b'を有している。
そして、ガイド支持部612b'には、ガイド支持面6121b'が形成され、弁体63の弁体突起部632が、ガイド支持面6121b'を介して接続座61に吊り下げられ、弁体63の少なくとも一部分が、ガイド内室6121'に沿って軸方向に移動する。
さらに、ガイド部612'が、内壁面612c'を有し、弁棒64が、第2弁口633に近接しまたは第2弁口633から離れる場合に、内壁面612c'が、相対的に弁体突起部632に近接し、または、弁体突起部632から離れる。
具体的には、弁体ヘッド631が、第1弁口101に当接された後、励起作用で接続座61が、弁棒64とともに引き続き下に運動し、だんだん第2弁口633を閉じて、この過程で、ガイド支持面6121b'が、だんだん弁体突起面632aから離れ、内壁面612c'が、だんだん弁体突起部632に近接し、逆に、反対の励起作用を受けると、弁棒64が、だんだん第2弁口633から離れる。
接続座61が、弁棒64とともに上に運動し、内壁面612c'をだんだん弁体突起部632から離れさせ、ガイド支持面6121b'が、だんだん弁体突起面632aに近接し、当接された後、第1弁口101を開放させるように弁体63を動かさせる。
本発明の電子膨張弁におけるガイド部612'のガイド支持面6121b'と弁体63の弁体突起面632aとの間の距離、または、スリーブ62の支持面622aと弁体突起面632aとの間の距離は、弁棒64と第2弁口633との小流量調節機構のストロークを構成し、他の関する部品の構成、及び、作動原理に対して、電子膨張弁において具体的に説明されたから、ここで逐一贅言していない。
【0018】
図9は、本発明の第2実施形態である電子膨張弁の模式図であり、この電子膨張弁と第1実施形態の電子膨張弁との相違点は、主に、ロータユニット、及び、コアユニットである。
そして、この電子膨張弁は、ロータユニット40'を有し、このロータユニット 40'が、ロータ41'とこのロータ41'に固定接続される固定座42'とスクリュロッド44'とを含む。
そして、ロータ41'と固定座42'とが一体として射出成形され、スクリュロッド44'が、固定座42'を介してロータ41'に間接的に固定接続され、固定座42'は、案内部を有するとともに固定座孔が開設されている。
スクリュロッド44'の上端部が、この固定座孔と係合するとともに、ハウジング30の端部の閉塞口に当接されることでスクリュロッド44'の軸方向の上向きの運動を制限する。
スクリュロッド段部441'が、上支持フレーム51の端部台面と当接し係合することによってスクリュロッド44'の軸方向の下向きの運動を制限することで、スクリュロッド44'が、常に周方向の回転を保持する。
そして、コアユニット60は、接続座61と弁体63とを含み、接続座61が本体611とガイド部612とを有し、本体611が本体室6111を有し、ナット70が本体室6111に圧入される。
本体611の側壁には、第1流路S1が設けられ、本体611が第3弁口611dを有し、弁棒64'がガイド内室6121に圧入されている。
さらに、弁棒64'が、棒ヘッドと弁棒室641'とを有している。
棒ヘッドには、第3流路S3が形成され、第1流路S1の外周部には、第1消音部材91が覆われ、弁棒室641'には、第2消音部材92が収容され、且つ、第2消音部材92が、第2弁口633'と第3弁口611dとの間に位置して、第2消音部材92が第3流路S3を覆って、他の構成特徴及び作動方式について、第1実施例で詳しく説明されたから、ここで逐一贅言していない。
【0019】
図9と
図10は、本発明の第2実施形態である電子膨張弁の模式図、及び、接続座の模式図である。
この電子膨張弁のロータユニット40'は、ロータ41'と、ロータ41'に固定接続される固定座42'と、スクリュロッド44'とを有している。
そして、ロータ41'と固定座42'とが一体として射出成形され、固定座42'が案内部を有するとともに、固定座孔が開設されている。
固定座42'には、リンク421が固定接続され、このリンク421は、案内部に溶接固定される水平部と、固定座孔を介して軸方向でロータ室に入り込む縦方向部とを含む。
ナット70'と接続片71'とが、一体として射出成形され、ナット70'が、接続片71'を介して弁ボディ10に固定装着されている。
また、ナット70'の外周部には、バネレール500が外嵌され、このバネレール500が鋼線から巻かれてなり、バネレール500に沿って螺旋運動するスリップリング501を有し、リンク421とスリップリング501とが係合し、スリップリング501の螺旋運動の上下死点を制御するために、バネレール500の上端部には、上ストッパ部が設けられ、スリップリング501が上向きに上死点までに運動すると、上ストッパ部は、スリップリング501が引き続き上に運動することを制限している。
バネレール500の下端部には、下ストッパ部が設けられ、スリップリング501が下死点までに運動すると、下ストッパ部は、スリップリング501が引き続き下に運動することを制限している。
バネレール500とスリップリング501とリンク421とは、電子膨張弁のストッパ機構を構成し、リンク421とスリップリング501との係合作用で、スクリュロッド44の軸方向の運動ストロークを制御することにより、コアユニット60'を弁室102で軸方向に昇降運動させる。
スクリュロッド44'が、雄ねじ部44a'を有し、このスクリュロッド44'の略全体が、ナット70'のナット装着孔74'に入り込み、ナット70'には、雌ねじ部74a'が設けられ、雄ねじ部44a'と雌ねじ部74a'との螺合作動でスクリュロッド44'の、ロータ41'の駆動による回転運動を、コアユニット60'の弁室102での軸方向の昇降運動に変換する。
スクリュロッド44'の下端部には、スクリュロッドスリーブ700が固定接続され、スクリュロッドスリーブ700は、第1スラスト面701を有している。
また、接続座61'の上端部には、弁ニードルスリーブ600が固定接続され、弁ニードルスリーブ600とスクリュロッドスリーブ700とが対向配置されるように構成されている。
弁ニードルスリーブ600は、第2スラスト面601を有し、第1スラスト面701と第2スラスト面601とが対向配置され、第1スラスト面701が、第2スラスト面601と離脱しまたは当接し、即ち、スクリュロッドスリーブ700が相対的に弁ニードルスリーブ600から離れ、または、相対的に弁ニードルスリーブ600に近接し、または、弁ニードルスリーブ600に当接される。
弁体ヘッド631が第1弁口101に当接された後、弁棒64'が励起作用で下向きに第2弁口633'を閉じ始めると、第1スラスト面701が第2スラスト面601から離脱し始め、弁棒64'が第2弁口633'に当接される時、第1スラスト面701が、既に第2スラスト面601から離脱する。
即ち、スクリュロッドスリーブ700が、相対的に弁ニードルスリーブ600から離れ、弁棒64'が、上向きに運動する。
第2弁口633'を開放させる時、第1スラスト面701が第2スラスト面601に近接し始め、弁棒64'が第2弁口633'に当接されていない時、第1スラスト面701がだんだん第2スラスト面601に近接し、または、第2スラスト面601に当接される。
即ち、スクリュロッドスリーブ700が、相対的に弁ニードルスリーブ600に近接し、または、弁ニードルスリーブ600に当接され、弁棒64'から第2弁口633'までの距離が最も遠い場合に、スクリュロッドスリーブ700と弁ニードルスリーブとが当接状態にある。
コアユニット60'は、接続座61'と弁体63とを含み、接続座61'が、本体611'とガイド部612とを含む。
本体611'は、第2バネ部品800が設けられる本体室6111'を有し、コアユニット60'において、本体611'には、第1連通通路S1'及び第3弁口611dが開設され、第2バネ部品800の一端が、第3弁口611dに当接され、他端が、スクリュロッドスリーブ700に当接される。
弁棒64'が、ガイド部612のガイド内室6121に圧入され、ガイド部612が段部6122を有し、スリーブ62が該段部6122に溶接されることで、接続座61'に固定装着されている。
段部6122と弁体突起部632との間には、第1バネ部品400が設けられ、冷媒の流動騒音をさらに低減させるために、消音装置90を有している。
そして、消音装置90は、第1流路S1を覆うための第1消音部材91と、弁棒室641'に収容されて第2弁口633と第3弁口611dとの間に位置する第2消音部材92と、弁体室635に収容されてストッパ部材300を介して弁体室635に固定装着される第3消音部材93とを備えている。
各部品の間の係合隙間には、媒体が入ることを防止するために、この電子膨張弁には、電子膨張弁の各部品の間の密閉性能を向上させるための密閉部品80が設けられ、この密閉部品80は、弁体63に設けられる第2密閉部品82を含む。
具体的に、弁体63には、凹溝部634が設けられ、第2密閉部品82が、凹溝部634に嵌着される。
【0020】
以下は、実施例の電子膨張弁の、閉弁から開弁への作動原理を説明する。
閉弁する際、弁体ヘッド631が、第1弁口101と当接し係合し、弁棒64が、第2弁口633と当接し係合し、ロータ41'がコイル駆動部品の励起作用で回転し、固定座42'が随行し回転するとともに、スクリュロッド44'を回転させる。
リンク421がスリップリング501をバネレール500の軸方向に沿って上に作動させ、スクリュロッド44'とナット70'とのねじ伝動作用でスクリュロッド44'の回転を、コアユニット60'の軸方向の上向きの作動に変換し、第2バネ部品800の自身の弾力復元作用で第1スラスト面701が、第2スラスト面601に当接され、スクリュロッド44'が、接続座61'とスリーブ62'とを全体で軸方向で上に運動させる。
スリーブ62'の支持面622a'が、だんだん弁体突起面632aに近接し、弁棒64'が、だんだん第2弁口633'から離れ、第2弁口633'を開放させ、冷媒の小流量調節を実現する。
スリーブ62'の支持面622a'が、弁体突起面632aに当接された後、スクリュロッド44'が、ねじ伝動作用でコアユニット60'全体を引き続き上に運動させ、接続座61'とスリーブ62'によって弁体63を第1弁口101から離れた方向に作動させ、第1弁口101を開放させ、冷媒の大流量調節を実現する。
スクリュロッド44'が、コイル駆動部品の励起作用でロータ部品41'及び固定座42'に連れて回転し、スクリュロッド44'の雄ねじ部44a'とナット70'の雌ねじ部74a'とのねじ伝動作用でスクリュロッド44'の回転運動を、コアユニット60'の軸方向に沿う昇降運動に変換する。
そして、弁ニードルスリーブ700とスクリュロッドスリーブ600との間の係合作用で、さらに、コアユニット60'を弁室102内で軸方向に昇降運動させる。
本実施例は、複雑な歯車式減速装置と波形管をなくして、製品構成全体が簡単で、スクリュロッド44'とナット70'とのねじ伝動作用、即ち、電子膨張弁の直動式の駆動方式で、電子膨張弁の大流量と小流量の調節という目的を実現することができる。
【0021】
以上は、本発明の実施例を説明し、本発明を限定せず、コアユニットは、異なる実施例において互いに置換されてもよく、例えば、本発明の第1実施形態におけるコアユニットは、第2実施形態である電子膨張弁に適用されることができる。
【0022】
本明細書における上、下、左、右、中、内などの方位用語、及び、第1、第2、第3、第4などの序数詞は、いずれも明細書の図面に表現された状態を説明し、本発明の部品の順序を制限しない。
【0023】
本発明の電子膨張弁は、コイル駆動部品の励起作用をロータ部品に伝達し、スクリュロッドとナットとのねじ伝動作動でスクリュロッドの回転を直接的にコアユニットの軸方向の昇降運動に変換し、減速歯車装置及び波形管をなくし、電子膨張弁の構成全体が簡単で、コイル駆動部品の出力に対する需求を大幅に減少させ、その同時に製品作動の確実性を向上させ、小さい駆動力の制御条件でも大流量と小流量との調節機能を実現し、コアユニット内で層ごとに消音装置を配置して、冷媒が弁室に入った後、騒音低減および流れの乱れを行うことで、大気泡をだんだん小気泡に砕いて冷媒の流動音を減低させ、優れた騒音低減を果たし、ユーザの製品使用という過程での快適性を向上させる。
【0024】
以上に説明した本発明は、さらに変更及び変化しても良く、本発明の精神原則内である等価置換、改良などは、本発明の保護範囲に該当する。