(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-02
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】清掃具
(51)【国際特許分類】
A47L 25/00 20060101AFI20220203BHJP
A47L 13/51 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
A47L25/00 A
A47L13/51
(21)【出願番号】P 2021001467
(22)【出願日】2021-01-07
【審査請求日】2021-01-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390003562
【氏名又は名称】株式会社ニトムズ
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】柴田 文江
(72)【発明者】
【氏名】川田 勉
【審査官】関口 知寿
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-046065(JP,U)
【文献】特開平07-023890(JP,A)
【文献】国際公開第2015/145704(WO,A1)
【文献】特開2006-006860(JP,A)
【文献】実開平06-072560(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2003/0089632(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 25/00
A47L 13/51
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の一端が開放された収納空間を有するケースと、
粘着テープロールを回転可能に支持した状態で、一部が前記ケースの前記収納空間に収納される清掃具本体と、を備え、
前記清掃具本体は、
粘着テープロールを回転可能に支持する筒状または柱状のロール支持体と、
清掃時にユーザーが持つハンドルであって、前記ロール支持体の径方向に延びるハンドルと、
前記ロール支持体と前記ハンドルとを連結する連結体と、を備え、
前記連結体が収納時において前記ケースの軸方向に沿って延びる部分を有し、
前記ケースは、前記粘着テープロールが開放側から奥側へと、当該粘着テープロールの挿入開始から収納に至るまで一方向に挿入可能であり、
側面において開放側から奥側に延びるように設けられ、
挿入時に前記連結体
の前記軸方向に沿って延びる部分を当接させた状態で前記ケースの軸方向に誘導しつつ、
収納時に前記連結体
の前記軸方向に沿って延びる部分に当接することで、前記ロール支持体を前記ケースの前記収納空間に吊り下げる挿入誘導部と、
前記挿入誘導部に対して径方向の反対側に位置しており、前記ケースの置かれる面に当接する面または突起を有する接地部と、
前記ケースの内部に設けられ、前記ロール支持体または前記連結体に当接することにより、前記ロール支持体の、前記連結体を中心とした許容角度以上の振れを防止する振れ止め機構と、を備える清掃具。
【請求項2】
前記振れ止め機構は、前記ロール支持体に当接することにより、前記ロール支持体の前記振れを防止し、
前記挿入誘導部は、前記連結体を前記誘導するとともに、前記ロール支持体を前記振れ止め機構が前記当接する位置へと誘導する、請求項1に記載の清掃具。
【請求項3】
前記挿入誘導部は、前記ケースの前記側面から径外側に突出している、請求項1または2に記載の清掃具。
【請求項4】
前記振れ止め機構は、前記ケースの奥側端面から軸方向に沿って内側に延びる突起である、請求項1~3のいずれかに記載の清掃具。
【請求項5】
前記ロール支持体は、軸方向端部に凹部を備え、
前記振れ止め機構は、前記ケースの奥側端面から軸方向に沿って内側に延びる突起であって、かつ、前記ロール支持体の前記凹部に嵌る突起を備える、請求項4に記載の清掃具。
【請求項6】
前記ロール支持体は、軸方向端部に突出したつまみ部を備え、
前記つまみ部は、前記粘着テープロールの軸方向への移動を当接により規制する径外側位置と、前記規制を解除する径内側位置との間で、少なくとも一部が前記ロール支持体の径方向に移動可能とされている、請求項1~5のいずれかに記載の清掃具。
【請求項7】
前記清掃具本体を前記ケースに収納する際、前記突起は、前記凹部に嵌ることにより、前記ロール支持体を前記ケースの軸方向に誘導し、
前記挿入誘導部による前記連結体の誘導と前記突起による前記ロール支持体の誘導とが、前記収納の過程において部分的に重複する、請求項5に記載の清掃具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープロールを回転させて清掃対象物表面の塵埃等を除去できる清掃具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
前記清掃具として、長手方向の端部が開放された収納空間を有するケースに、粘着テープロールを支持した清掃具本体を収納できるものがある。このケースの一例として、特許文献1(意匠公報)に記載のものがある。
【0003】
特許文献1(意匠公報)に記載のケースに清掃具本体を収納すると、清掃具本体においてユーザーがつかむハンドルが、ケースの上方に突出する。通常、ハンドルは垂直に突出する。ここで、清掃具本体の用途により、ハンドルには長いものと短いものとが存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ハンドルのうち長いものを用いた清掃具においては、ケースの置き場所における床面の傾斜等が原因でハンドルが傾くと、清掃具全体の重心バランスが崩れて、ケースごと倒れ、床面に寝た状態となってしまうことがあった。特に、清掃具の使用に伴い粘着テープロールの残量が少なくなっていくと、粘着テープロールの径寸法が小さくなることから、ハンドルに傾きがより生じやすくなる。このため従来の清掃具は、使い勝手の点で改良の余地があった。
【0006】
そこで本発明は、清掃具本体をケースに収納した際、ケースごと倒れてしまうことを抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、長手方向の一端が開放された収納空間を有するケースと、粘着テープロールを回転可能に支持した状態で、一部が前記ケースの前記収納空間に収納される清掃具本体と、を備え、前記清掃具本体は、粘着テープロールを回転可能に支持する筒状または柱状のロール支持体と、清掃時にユーザーが持つハンドルであって、前記ロール支持体の径方向に延びるハンドルと、前記ロール支持体と前記ハンドルとを連結する連結体と、を備え、前記ケースは、前記粘着テープロールが開放側から奥側へと一方向に挿入可能であり、側面において開放側から奥側に延びるように設けられ、前記連結体を前記ケースの軸方向に誘導しつつ、前記連結体に当接することで、前記ロール支持体を前記ケースの前記収納空間に吊り下げる挿入誘導部と、前記挿入誘導部に対して径方向の反対側に位置しており、前記ケースの置かれる面に当接する面または突起を有する接地部と、前記ケースの内部に設けられ、前記ロール支持体または前記連結体に当接することにより、前記ロール支持体の、前記連結体を中心とした許容角度以上の振れを防止する振れ止め機構と、を備える清掃具である。
【0008】
この構成によると、振れ止め機構により、ロール支持体の大きな振れを防止できる。
【0009】
また、前記振れ止め機構は、前記ロール支持体に当接することにより、前記ロール支持体の前記振れを防止し、前記挿入誘導部は、前記連結体を前記誘導するとともに、前記ロール支持体を前記振れ止め機構が前記当接する位置へと誘導する。
【0010】
この構成によると、挿入誘導部により、ロール支持体が振れ止め機構の当接する位置へと誘導される。このため、ロール支持体の大きな振れを確実に防止できる。
【0011】
また、前記挿入誘導部は、前記ケースの前記側面から径外側に突出しているものとできる。
【0012】
この構成によると、挿入誘導部がケースの内部に突出しないので、粘着テープロールをケースに収納する際に邪魔にならない。
【0013】
また、前記振れ止め機構は、前記ケースの奥側端面から軸方向に沿って内側に延びる突起であるものとできる。
【0014】
この構成によると、ケースの奥側端面に突起を突出させればいいので、振れ止め機構を簡単に形成できる。
【0015】
また、前記ロール支持体は、軸方向端部に凹部を備え、前記振れ止め機構は、前記ケースの奥側端面から軸方向に沿って内側に延びる突起であって、かつ、前記ロール支持体の前記凹部に嵌る突起を備えるものとできる。
【0016】
この構成によると、突起により、揺れ止めをなすとともに、ロール支持体を軸方向へ誘導することもできる。
【0017】
また、前記ロール支持体は、軸方向端部に突出したつまみ部を備え、前記つまみ部は、前記粘着テープロールの軸方向への移動を当接により規制する径外側位置と、前記規制を解除する径内側位置との間で、少なくとも一部が前記ロール支持体の径方向に移動可能とされているものとできる。
【0018】
この構成によると、つまみ部により、粘着テープロールの軸方向への抜け止めをなすことができるとともに、つまみ部の操作で粘着テープロールを容易に抜き差しできるため、粘着テープロールの交換が簡単である。
【0019】
また、前記清掃具本体を前記ケースに収納する際、前記突起は、前記凹部に嵌ることにより、前記ロール支持体を前記ケースの軸方向に誘導し、前記挿入誘導部による前記連結体の誘導と前記突起による前記ロール支持体の誘導とが、前記収納の過程において部分的に重複するものとできる。
【0020】
この構成によると、収納時に清掃具本体をケースに挿入する際、最初から最後まで切れ目なく誘導がなされるため、挿入をスムーズにできる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、振れ止め機構により、ロール支持体の大きな振れを防止できる。このため、清掃具本体をケースに収納した際、ケースごと倒れてしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態に係る清掃具の、清掃具本体をケースに収納した状態を示す斜視図である。
【
図2】前記清掃具本体を、粘着テープロールと共に示す斜視図である。
【
図3】前記清掃具の要部を示す(粘着テープロールは図示しない)縦断面斜視図である。
【
図6】本発明の他の実施形態に係る清掃具の要部を示す(粘着テープロールは図示しない)縦断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に本発明につき、一実施形態を取り上げて説明を行う。
図1に示すように、本実施形態の清掃具1は、大きく分けて、清掃具本体2とケース3により構成されている。
【0024】
清掃具本体2は、主に、
図2に示すようにロール支持体21、ハンドル22、連結体23を備えている。ロール支持体21は、筒状または柱状であって、粘着テープロールR(ロール支持体21の軸方向(または長手方向)に離して図示)を軸方向周りで回転可能に支持する。ロール支持体21は、軸方向端部に凹部211とつまみ部212とを備える。なお、後述するように、本発明において凹部211は必須ではなく、他形態でも実施可能である。凹部211は、本実施形態では
図3に示すように、挿入方向(
図1に示す左斜め下方向、
図3に示す左斜め上方向)基準での、清掃具1の奥側端部に設けられていて、奥側に開口した円形の開口部2111と、開口部2111に連通して挿入方向基準での手前側に延びる空間を有している。前記空間は略円筒状部2112により画定されている。この略円筒状部2112の内面に、後述するケース3の突起331が当接可能となっている。つまみ部212も、挿入方向基準での、清掃具1の奥側端部に設けられていて、開口部2111が形成された円板状部分から突出した部分である。つまみ部212は、前記円板状部分において、径方向に対向する対称形状で一対設けられている。前記一対は、
図2に示すようにハンドル22の向きを垂直方向とした場合、水平方向に対向するように設けられている。このつまみ部212は、通常時は径外側位置にあって粘着テープロールRの芯体に当接することで、粘着テープロールRを回転可能としながら、軸方向への抜け止めをなす。一方、粘着テープロールRの交換時は、つまみ部212を構成する一対をユーザーがつまんで、径方向の内方に弾性変形させることにより、つまみ部212の一部(本実施形態では先端側部分)を径内側位置に移動させ、粘着テープロールRを容易に抜き差しできる。このため、粘着テープロールRの交換が簡単である。
【0025】
ハンドル22は、清掃時にユーザーが持つ部分であって、ロール支持体21の(軸方向ではなく)径方向に延びている。本実施形態では、アルミニウム合金製のパイプが用いられているが、樹脂、木材等からなる種々の棒状体または管状体でハンドル22を形成できる。また、ハンドル22は1本の連続した形態であってもよいし、複数本を連結した形態であってもよい。また、本実施形態のハンドル22は直棒状とされているが、湾曲した形状であったり、径寸法に大小を設けたり、途中や端部に輪状の部分を設けたりすることもできる。
【0026】
連結体23は、
図3に示すように、ロール支持体21とハンドル22とを連結する部分である。本実施形態では、鉄、ステンレス合金等の金属製(必要により、表面にメッキや塗装が施されている)の丸棒が曲げられることで、ロール支持体21とハンドル22とを、ケース3への収納時でもケース3に干渉しないように連結するよう形成されている。連結体23は、ロール支持体21の回転中心軸線に一致する第1部分231、ロール支持体21の軸方向端面に外部で沿う第2部分232、ロール支持体21の外周の湾曲面に沿う第3部分233、ハンドル22に対して継手24を介して挿入される第4部分234を有する。前記各部分231~234は直線方向に延びている。
【0027】
第3部分233は、ケース3の外面(具体的には上面34)に当接することで、ロール支持体21をケース3の内部に存在する収納空間3aに吊り下げる「吊り下げ支持部」として機能する。連結体23の曲げは略直角になされているが、特に、ロール支持体21の外部に露出する部分については、任意の角度及び曲率で曲げられていてよい。ただし、本実施形態では、前述のように第3部分233を「吊り下げ支持部」として機能させることと、ケース3に対して第3部分233を軸方向にスライドさせつつロール支持体21をケース3の収納空間3aに移動させることと、を行うため、第1部分231と第3部分233とは、軸方向が平行となるように形成されている。よって、第3部分233はロール支持体21の軸方向に平行して延びる。
【0028】
ケース3は、長手方向の一端(
図3の右下側端部)が開放され、他端(奥側端/
図3の左上側端部)が閉鎖された収納空間3aを有しており、清掃具本体2の粘着テープロールRが、ケース3の開放側から奥側へと一方向に挿入可能である。清掃具本体2は、粘着テープロールRを回転可能に支持した状態で、ロール支持体21と連結体23の一部である第1部分231及び第2部分232がケース3の収納空間3aに収納される。
【0029】
ケース3は、主に、挿入誘導部31、接地部32、振れ止め機構33を備えている。挿入誘導部31は、ケース3の側面(本実施形態では上面34)において開放側の端部から奥側に、具体的にはケース3の軸方向での略中央部まで延びるように設けられている。挿入誘導部31は、ケース3の上側にて上面34から突出している規制壁311を有する。規制壁311は、ケース3の上面34において、ケース3の軸方向に沿い平行に形成された側方部分3111と、側方部分3111の一端を連結する端縁部分3112を有する。各部分3111,3112の根元部分とケース3の上面34との間には湾曲面が形成されていて、挿入誘導部31が突出していても、清掃具本体2等が引っ掛かりにくい。また、ケース3の美観を向上させている。側方部分3111の間隔は、連結体23の吊り下げ支持部(第3部分)233の直径よりもわずかに大きく形成されている。このため、側方部分3111の内面により、吊り下げ支持部233の径方向へのずれが規制されることで、清掃具本体2をケース3に収納する際、吊り下げ支持部233を軸方向にスムーズに移動させられる。また、規制壁311のケース3の上面34からの高さは、連結体23の吊り下げ支持部233の直径よりも大きい(高い)。このように形成された挿入誘導部31は、
図1、
図3に示すようにケース3の径外側に突出している。挿入誘導部31の、ケース3の上面34からの突出寸法は、好ましくは3mm~45mm、より好ましくは6~20mm、さらに好ましくは8~15mmである。また、端縁部分3112の内面に、連結体23の第4部分234が当接することで、清掃具本体2のケース3に対する軸方向の位置決めがなされる。
【0030】
ケース3の上面34のうちケース3の開放側部分であって、前記平行に形成された部分の間は、上下に連通する切欠部341が形成されていて、
図3に示すように、この切欠部341に連結体23の第2部分232と第3部分233の一部が位置する。これにより、連結体23がケース3から軸方向にはみ出ないようにできる。ちなみに、ケース3の上面34のうち前記平行に形成された部分の間は、
図4に示すように湾曲面とされている。
【0031】
このように形成された挿入誘導部31は、
図1、
図3に示すようにケース3の上面34から径外側(具体的には上側)に突出している。この構成により、例えば特許文献1に記載のケースのように、挿入誘導部31がケース3の内部に突出しないので、粘着テープロールRをケース3に収納する際に邪魔にならない。また、ケース3のうち粘着テープロールRが収納される部分を、挿入誘導部31がケース3の内部に突出しない分コンパクトに形成できる。
【0032】
挿入誘導部31は、連結体23のうち吊り下げ支持部(第3部分)233をケース3の軸方向に誘導しつつ、ケース3の外面にて吊り下げ支持部233に当接することで、
図3及び
図4に示すように、ロール支持体21をケース3の収納空間3aに吊り下げる。連結体23の吊り下げ支持部(第3部分)233の断面形状は円形である。このため、清掃具本体2をケース3に収納した状態では、ケース3の上面34のうち挿入誘導部31において規制壁311に囲まれた部分に対して、連結体23の吊り下げ支持部(第3部分)233の外周面における下端が、軸方向に一連で線接触または帯状に接触する。なお、接触状態はこれに限定されず、例えば、一連の接触ではない、間欠的な複数個所での点接触であってもよい。よって、ロール支持体21、及び、粘着テープロールRは、連結体23の吊り下げ支持部233の外周面における下端が支点2a(
図3、
図4参照)になって、ケース3の収納空間3aに吊り下げられる。また、この吊り下げにより、ロール支持体21、及び、粘着テープロールRは、側面視で、前記支点2aを中心とした周方向(
図4の湾曲矢印M)に振れ得る状態となる。この状態において振れをなくすため、後述する振れ止め機構33が設けられている。
【0033】
挿入誘導部31は、前述のように連結体23の吊り下げ支持部233を誘導することに加え、ロール支持体21を、振れ止め機構33が当接することで振れを防止する位置へと誘導する。このように構成された挿入誘導部31により、ロール支持体21の大きな振れを確実に防止できる。
【0034】
接地部32は、挿入誘導部31に対して径方向の反対側(本実施形態ではケース3の下側)に位置しており、ケース3の置かれる面(床面や家具の上面等)に当接する面を有する。本実施形態の接地部32は、ケース3の置かれる面に対して当接する平面とされている。ただし、接地部32はこれに限らず、例えば平面等から突出する複数の突起を形成しておき、その突起の先端がケース3の置かれる面に対して当接するよう構成されていてもよい。
【0035】
振れ止め機構33はケース3の内部に設けられている。この振れ止め機構33は、ケース3に挿入されたロール支持体21に当接する。この当接により、ロール支持体21の、連結体23のうち吊り下げ支持部233を中心とした許容角度(ケース3ごと倒れることが生じるような角度)以上の振れを防止することができる。特に、清掃具1の使用に伴い粘着テープロールRの残量が少なくなっていくと、粘着テープロールRの径寸法が小さくなる。そうなると、大きな振れ(
図4の湾曲矢印Mが大きな振れ)が起こりやすくなる。このため、本実施形態の振れ止め機構33は、粘着テープロールRの残量が少なくなっていった場合に対して有効である。
【0036】
本実施形態の振れ止め機構33は、ケース3の奥側端面から軸方向に沿って内側に延びる突起331を備える。ケース3の奥側端面に突起331を突出させればいいので、振れ止め機構33を簡単に形成できる。この突起331は、軸方向に直交する断面形状が十字状とされている。突起331の、ケース3の奥側端面(内面)からの突出寸法は、ロール支持体21の寸法に応じて設定すればよいが、好ましくは5~85mm、より好ましくは20~70mmである。突起331は、ケース3に挿入されたロール支持体21の凹部211に嵌る。突起331がロール支持体21の凹部211に嵌った状態で、ロール支持体21が連結体23の吊り下げ支持部233を中心として振れようとすると、
図5に示すように、凹部211の内面に突起331が当接する。このため、これ以上はロール支持体21が移動しないから、当接した状態を超えてロール支持体21が振れることが防止される。これに伴い、ハンドル22の振れも防止される。この振れ止め機構33により、ロール支持体21の大きな振れを防止できるので、ケース3に対してハンドル22が大きく傾いたことが原因で、清掃具1がケース3ごと転倒してしまうことを防止できる。
【0037】
本実施形態では、ロール支持体21が軸方向端部に凹部211を備え、振れ止め機構33がロール支持体21の凹部211に嵌る突起331を備える。この突起331により、前述のようにロール支持体21の揺れ止めをなすが、これに加えて、ロール支持体21を軸方向へ誘導することもできる。突起331は、挿入誘導部31(具体的には規制壁311)とは軸方向で重複せず、挿入誘導部31よりもケース3の奥側に形成されている。本実施形態の、
図3に示した挿入誘導部31と突起331の軸方向の位置関係では、清掃具本体2をケース3に収納する際、軸方向への誘導に関し、挿入誘導部31の誘導と突起331の誘導とが重なってなされる時間が存在する。具体的には、清掃具本体2をケース3に挿入していく初めの段階では、挿入誘導部31の誘導だけがなされ、途中から、突起331の誘導が開始される。このため、収納時に清掃具本体2をケース3に挿入する際、最初から最後まで切れ目なく誘導がなされるため、挿入をスムーズにできる。特に本実施形態では、挿入の途中から挿入誘導部31の誘導と突起331の誘導とが重なってなされるので、確実な挿入が可能である。なお、本実施形態とは異なり、突起331は、挿入誘導部31(具体的には規制壁311)とは軸方向で重複して設けることも可能である。
【0038】
ちなみに、本実施形態では、連結体23で上下に延びる第4部分234が、挿入誘導部31の規制壁311における内面に当接することによっても、補助的な振れ止めがなされる。
【0039】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0040】
例えば、振れ止め機構33に関し、ケース3において設けられる位置は限定されない。例えば、前記実施形態のような、ケース3の奥側端面から延びる突起331であって、ロール支持体21の凹部211に嵌る突起331のほか、ロール支持体21の外周面や、回転中心から外れた部分、また、粘着テープロールR、連結体23のいずれかに当接する部分として形成することもできる。
【0041】
例えば、
図6に示すように、振れ止め機構33をケース3の奥側端面から延びる突起332とし、ここにロール支持体21におけるつまみ部212(そのうち径内側の側面)とが当接することで、ロール支持体21の大きな振れを防止できるよう構成することもできる。
【0042】
また、前記実施形態では、ケース3の側に凸である突起331が形成され、ロール支持体21の側に凹である凹部211が形成されていた。しかし、凹凸の関係はこれと逆であってもよく、ケース3の側に凹である部分が形成され、ロール支持体21の側に凸である部分が形成されていてもよい。
【0043】
また、ケース3に関し、前記実施形態では軸方向が横になる「横置き」の状態を前提として説明した。しかし、例えばハンドル22が短いタイプの清掃具1では、前述の振れ止め作用は明確に奏されなくなるものの、ケース3の軸方向端面を接地させるようにして、「縦置き」の状態で使用することも可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 清掃具
2 清掃具本体
2a 吊り下げの支点
21 ロール支持体
211 凹部
212 つまみ部
22 ハンドル
23 連結体
233 吊り下げ支持部、連結体の第3部分
3 ケース
3a 収納空間
31 挿入誘導部
32 接地部
33 振れ止め機構
331 突起
332 突起
34 ケースの上面
R 粘着テープロール
M 振れの方向
【要約】
【課題】清掃具本体をケースに収納した際、ケースごと倒れてしまうことを抑制する。
【解決手段】ケース3の側面において開放側から奥側に延びるように設けられ、ロール支持体21とハンドル22とを連結する連結体23をケース3の軸方向に誘導しつつ、前記連結体23に当接することで、前記ロール支持体21を前記ケース3の収納空間3aに吊り下げる挿入誘導部31と、前記挿入誘導部31に対して径方向の反対側に位置しており、前記ケース3の置かれる面に当接する接地部32と、前記ケース3の内部に設けられ、前記ロール支持体21または連結体23に当接することにより、前記ロール支持体21の、前記連結体23を中心とした許容角度以上の振れを防止する振れ止め機構33と、を備える清掃具1である。
【選択図】
図3