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  • 特許-適応型リソース割り当て方法及び装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-03
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】適応型リソース割り当て方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 9/50 20060101AFI20220204BHJP
【FI】
G06F9/50 150C
G06F9/50 120B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018563444
(86)(22)【出願日】2017-05-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-18
(86)【国際出願番号】 CN2017085285
(87)【国際公開番号】W WO2017206749
(87)【国際公開日】2017-12-07
【審査請求日】2020-05-21
(31)【優先権主張番号】201610382326.4
(32)【優先日】2016-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521286374
【氏名又は名称】ベイジン・オーシャンベース・テクノロジー・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジィァン,ジーヨン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ヂェンクン
【審査官】漆原 孝治
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-202959(JP,A)
【文献】特開2002-082926(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 9/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
適応型リソースを割り当てるための方法であって、
時間期間における各サービスステートメントの要求時間と、実際の実行時間と、応答時間とを備える実行状況情報に関する統計を収集するステップ(S102)と;
前記要求時間に基づき、各サービスステートメントが属する、前記時間期間の時間区間を特定するステップ(S104)と;
各サービスステートメントのタイプを特定するステップ(S106)と;
各時間区間における前記各サービスステートメントの前記実際の実行時間と前記応答時間とに基づき、次の時間期間の同一の時間区間における相異なるタイプのサービスステートメントのリソース割り当て量を調節するステップ(S106)と
実行時間閾値を設定するステップと;
を備え、
前記サービスステートメントの前記タイプは、第1のタイプのステートメントと第2のタイプのステートメントとを含み、
前記各時間区間における各サービスステートメントの前記実際の実行時間に基づき、前記各サービスステートメントのタイプを特定するステップ(S106)は、
前記各時間区間における前記各サービスステートメントの前記実際の実行時間が前記実行時間閾値を上回るかどうかを特定するステップと;
前記各時間区間における前記各サービスステートメントの前記実際の実行時間が前記実行時間閾値を上回る場合、前記サービスステートメントが前記第1のタイプのステートメントである、と特定するステップ;又は、
前記各時間区間における前記各サービスステートメントの前記実際の実行時間が前記実行時間閾値を上回らない場合、前記サービスステートメントが前記第2のタイプのステートメントである、と特定するステップ;を備える、
応型リソースを割り当てるための方法。
【請求項2】
各時間区間における前記各サービスステートメントの前記実際の実行時間と前記応答時間とに基づき、次の時間期間の同一の時間区間における相異なるタイプのサービスステートメントのリソース割り当て量を調節するステップは、
各時間区間における第1の実際の実行時間計を取得するために、各時間区間における前記第2のタイプのステートメント全ての実際の実行時間の合計を計算するステップと;
各時間区間における第1の応答時間計を取得するために、各時間区間における前記第2のタイプのステートメント全ての応答時間の合計を計算するステップと;
各時間区間における第2の実際の実行時間計を取得するために、各時間区間における前記第1のタイプのステートメント全の前記実際の実行時間の合計を計算するステップと;
各時間区間における第2の応答時間計を取得するために、各時間区間における前記第1のタイプのステートメント全の前記応答時間の合計を計算するステップと;
前記第1の実際の実行時間計と、前記第1の応答時間計と、前記第2の実際の実行時間計と、前記第2の応答時間計とに基づき、前記次の時間期間の前記同一の時間区間における前記第1のタイプのステートメントのリソース割り当て量と前記第2のタイプのステートメントのリソース割り当て量とを調節するステップと;を備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の実際の実行時間計と、前記第1の応答時間計と、前記第2の実際の実行時間計と、前記第2の応答時間計とに基づき、前記次の時間期間の前記同一の時間区間における前記第1のタイプのステートメントのリソース割り当て量と前記第2のタイプのステートメントのリソース割り当て量とを調節するステップは、
前記第1の応答時間計が前記第1の実際の実行時間計を上回るかどうかを特定し、肯定である場合、前記第2のタイプのステートメントの前記リソース割り当て量が少な過ぎる、と特定し、前記第1のタイプのステートメントの前記リソース割り当て量を減らすステップと;
前記第2の応答時間計が前記第2の実際の実行時間計を上回るかどうかを特定し、肯定である場合、前記第1のタイプのステートメントの前記リソース割り当て量が少な過ぎる、と特定し、前記第2のタイプのステートメントの前記リソース割り当て量を減らすステップと;を備える、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
記第1のタイプのステートメントの前記リソース割り当て量を減らすステップは、前記第1のタイプのステートメントの前記リソース割り当て量を前記第1のタイプのステートメントの所定の最少リソース割り当て量まで減らすステップを備え、
記第2のタイプのステートメントの前記リソース割り当て量を減らすステップは、前記第2のタイプのステートメントの所定の最少リソース割り当て量と、前記第1の実際の実行時間計により実際に消費されるリソース割り当て量とのうちの最大の値以上で、前記第2のタイプのステートメントの前記リソース割り当て量を減らすステップを備える、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
記第1のタイプのステートメント及び前記第2のタイプのステートメントを優先順位付けするステップであって、前記第2のタイプのステートメントは、前記第1のタイプのステートメントよりも優先順位が高い、ステップと;
具体的なシナリオにおいて、所定の時間における前記第2のタイプのステートメントの要求量が閾値を上回る場合、前記第2のタイプのステートメントの前記要求量が前記閾値を下回るまで前記第1のタイプのステートメントのリソース割り当て量をゼロへ減らすステップと;を更に備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
記第1のタイプのステートメント及び前記第2のタイプのステートメントを優先順位付けするステップと;
システムリソースの量がリソース閾値を下回る場合、リソース割り当て量を優先順位の高いサービスステートメントに割り当てる、及び/又は、優先順位の低いサービスステートメントのリソース割り当て量をゼロへ減らすステップと;を更に備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記時間期間は1日であり、各時間区間は1時間である、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成された複数のモジュールを備える、
適応型リソースを割り当てるための装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2016年6月1日に提出され「適応型リソース割り当て方法及び装置」と題された中国特許出願第201610382326.4号の優先権を主張し、上記中国特許出願は参照によってその全体が本願に組み込まれる。
【0002】
本願は情報処理技術の分野に関し、特に、適応型リソース割り当て方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
オンライントランザクションデータベースとは、一般に、OLTP(Online Transaction Processing、オンライントランザクション処理)データを記憶するデータベースを指す。オンライントランザクションデータベースはオンライントランザクションサービスを提供し、要求の応答時間は敏感である(影響を受けやすい)。
【0004】
データウェアハウスとは、一般に、OLAP(Online Analytical Processing、オンライン分析処理)の機能及びビジネスインテリジェンス(Business Intelligence、BI)の機能を提供するデータベースを指す。オンライントランザクションデータベースに比べて、データウェアハウスは、要求によってアクセスされる極めて多くの量のデータを扱うが、応答時間に敏感ではない。
【0005】
一般に、データベースシステムは、2つの主なサービス要求を満たすために用いられる。1つ目は、データベースシステムは、主たるオンライントランザクションサービスの要求を満たすために用いられる。この場合、データベースシステムは、ACID(Atomicity(原子性)、Consistency(一貫性)、Isolation(独立性)、Durability(永続性))性を有するトランザクションを短い要求応答時間内にサポートすることが求められ、比較的高いスループットを要する。2つ目は、データベースシステムは、データマイニング、BI等の分析サービスの要求を満たすために用いられる。トランザクションに関する分析サービスの要件は比較的低いが、単独要求によってアクセスされるデータの量は多く(数万行、数千万行にも及ぶ)、ステートメントは複雑である。この単独要求を実行する際には大量のリソースが消費され、応答時間は比較的長く、数分から数時間に及ぶ。データウェアハウスにおけるデータは、通常、オンライントランザクションデータベースから定期的にインポートされるため、データウェアハウスはオンライントランザクションデータベースよりも適時性に劣る。
【0006】
現在、大多数の企業では、先の2つのデータベースシステム(オンライントランザクションデータベース及びデータウェアハウス)は互いに独立している。オンライントランザクションデータベースにおけるデータは、ETLシステムとツールとを用いて、分析のためデータウェアハウスへ定期的にインポートされる。サービスの発展に伴い、データベースシステムがオンライントランザクションサービス及び分析サービスの両方をサポートでき、データの転送及び冗長なストレージを削減でき、最新のトランザクションデータのリアルタイム分析もできることを、より多くのユーザが希望している。
【0007】
オンライントランザクションデータベースとデータウェアハウスとを統合した場合、システムリソースの総量は限られているが分析クエリ要求は常に大量のシステムリソースを消費し、オンライントランザクションのアプリケーションが影響を受ける、という問題が生じる。例えば、遅延により大きな影響を受けるオンライントランザクションが期限切れ(タイムアウト)になったり、蓄えられ(ストックされ)たりした場合、主たるサービスに損失が生じる。
【0008】
一部のデータベース業者は、この問題を解決する解決策を提供している。広く採用されている解決策として、ユーザリソースを管理し、各ユーザに対し不使用のリソースプールを静的に設定するものがある。リソースプールとして、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、メモリ、IOPS(Input/Output Operations Per Second、1秒あたりの入出力操作)等のリソースが挙げられる。複合的なサービスが展開されるデータベースシステムにおいては、トランザクションサービスのユーザと分析サービスのユーザとに異なるリソースプールが設定される。先に述べた解決策が良好に実行されているシステムでは、上記両タイプのサービスに対しリソース利用の相互干渉を基本的に排除できる。
【0009】
この静的リソース事前設定による解決策は、相異なるサービス間の相互干渉の問題を部分的に解決できるものの、明らかに不利な点もある。
【0010】
第1に、管理者は、相異なるサービス間でリソースを合理的に割り当てることができない。リソースを合理的に割り当てるためには、両タイプのサービスが実行されている際のリソースの消費を精度よく測定することが要求される。しかし、サービスの複雑性及び変動性により、リソースの消費は安定した値とはならず、経時的に変化するのが普通である。単純な例ではあるが、各タイプのサービスにはピーク期間とオフピーク期間とがあり、サービスのピーク期間における値に基づき特定される割り当ては、サービスのオフピーク期間における値に基づき特定される割り当てとは異なる。
【0011】
第2に、事前に設定されたリソース割り当て量は、リソースのフル利用につながるものではない。オンライントランザクションサービス及び分析サービスを例にとる。これら両タイプのサービスとも、明確な周期性のある特性を有する。プロモーション等の特殊な時点に関わらず、オンライントランザクションサービスのピーク期間は、通常、昼間であり、オンライントランザクションサービスのオフピーク期間は、通常、夜間である。一方、分析サービスは、通常、例えば日決めや月決めといった周期的な統計の収集に関するサービスであるので、分析サービスのピーク期間は多くの場合夜間である。
【0012】
よって、ほとんどの場合、オンライントランザクションサービス及び分析サービスの実際のリソース利用状況を事前に特定することはできない。また、これら両タイプのサービスは各々がピーク期間とオフピーク期間とを有しており、ピーク期間におけるリソースの要求はオフピーク期間におけるリソースの要求とは異なる。システム管理者にとって、リソース割り当て量を事前に合理的に設定することは極めて困難である。
【0013】
従来の静的リソース事前設定による解決策では、リソース利用状況に基づいてリソース割り当て量をリアルタイムに調節できず、目下、この問題に対する有効な解決策は提案されていない。
【発明の概要】
【0014】
本願の目的は、適応型リソース割り当て方法及び装置を提供することにより、相異なるタイプのサービスのリソース割り当て量を相異なる時間区間において適応するよう調節し、主たるサービスの安定した運用を保証し、システムリソースをフルに利用することにある。
【0015】
本願は適応型リソース割り当て方法及び装置を提供する。
【0016】
適応型リソース割り当て方法が提供され、この方法は:時間期間における各サービスステートメントの要求時間と、実際の実行時間と、応答時間とに関する統計を収集するステップと;前記要求時間に基づき、各サービスステートメントが属する、前記時間期間の時間区間を特定するステップと;各時間区間における各サービスステートメントの前記実際の実行時間と前記応答時間とに基づき、各サービスステートメントのタイプを特定し、次の時間期間の同一の時間区間における相異なるタイプのサービスステートメントのリソース割り当て量を調節するステップと;を含む。
【0017】
適応型リソース割り当て装置が提供され、この装置は:時間期間における各サービスステートメントの要求時間と、実際の実行時間と、応答時間とに関する統計を収集するよう構成された統計収集部と;前記要求時間に基づき、各サービスステートメントが属する前記時間期間の時間区間を特定するよう構成された分割部と;各時間区間における各サービスステートメントの前記実際の実行時間と前記応答時間とに基づき、各サービスステートメントのタイプを特定するよう構成されたタイプ特定部と;次の時間期間の同一の時間区間における相異なるタイプのサービスステートメントのリソース割り当て量を調節するよう構成された調節部と;を含む。
【0018】
本願において提供される適応型リソース割り当て方法及び装置によれば、システムは、運用期間中に受信されたサービス要求タイプと相異なるタイプのサービス要求の負荷状況とに基づき、相異なる時間区間において相異なるタイプのサービスのリソース設定の比率を適応調節することで、主たるサービス(例えば、トランザクションサービス)の安定した運用を保証でき、システムリソースをフルに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本願の実施又は既存の技術における技術的解決策をより明確に説明するため、実施又は既存の技術の説明に必要な添付図面について以下簡潔に説明する。明らかに、下記の記載における添付図面は、本願の一部の実施を示すに過ぎず、当業者は、これらの添付図面に基づき創造的活動を要することなく他の図面を導き出すことができる。
【0020】
図1図1は、本願の実施に係る、適応型リソース割り当て方法のフローチャートである。
【0021】
図2図2は、本願の実施に係る、適応型リソース割り当て装置を示す概略構造図である。
【0022】
図3図3は、本願の実施に係る、タイプ特定部を示す概略構造図である。
【0023】
図4図4は、本願の実施に係る、調節部を示す概略構造図である。
【0024】
図5図5は、本願に係る、適応型リソース割り当て解決策のシステムを示す概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本願における技術的解決策を当業者がより深く理解することを可能とするように、本願の実施における技術的解決策を、本願の実施における添付図面を参照して明確かつ完全に以下説明する。明らかに、記載される実施は、本願の実施の一部に過ぎず、全てではない。本願の実施に基づき創造的活動を要することなく当業者によって得られる他の実施は全て、本願の保護範囲に含まれる。
【0026】
本明細書において用いられる「第1の」、「第2の」等の文言は、順番又は順序を指すことを特別に意図するものではなく、本願に限定を課すことを意図するものでもなく、単に、同一の技術用語を用いて記述される複数の要素又は操作を相互に区別するための文言に過ぎない。
【0027】
トランザクションサービス及び分析サービスに対するリソースの割り当てについては、ほとんどの場合、これら両タイプのサービスの実際のリソース利用状況を事前に特定することはできないため、システム管理者にとって事前にリソース割り当て量を合理的に設定することは困難である。システムの実際の運用において、トランザクションサービスの時間(的な)期間は分析サービスを上手く補完できる。静的リソース事前設定による割り当て解決策より良好な解決策は、システムに、サービスの時間期間に基づきリソースの割り当てを動的に調節させることである。トランザクションサービスのピーク期間においては、トランザクションサービスにより多くのリソースを割り当ててよく、分析サービスに対して用いられるリソースの総量は制限される。一方、トランザクションサービスのオフピーク期間においては、分析サービスに、より多くのリソースを割り当て、リソースをフルに利用して分析タスクを迅速に完了し、意思決定のための分析結果を取得できる。以上に基づき、本願は適応型リソース割り当て方法及び装置を提供する。
【0028】
添付図面を参照しつつ、本願における適応型リソース割り当て方法及び装置を詳細に以下説明する。図1は、本願の実施に係る適応型リソース割り当て方法の実施を示す、方法のフローチャートである。本願は、以下の実施及び添付図面において示される方法の操作のステップ及び装置の構造を提供するが、方法及び装置は、従来技術に基づく努力や創作性を伴わない努力を通じて、より多い又はより少ない操作ステップ及びモジュール構造を含んでもよい。必要不可欠な論理的因果関係を持たない各ステップ及び各構造について、ステップの実行順序及び装置のモジュール構造は、本願の実施で示される実行順序及びモジュール構造に限定されるものではない。方法及びモジュール構造が実際のアプリケーションにおける装置及び端末製品によって実行される場合、方法及びモジュール構造は、実施及び添付図面における方法の順序及びモジュール構造に基づいて実行できる、又は、並行に(例えば、並列プロセッサやマルチスレッド環境において)実行できる。図1に示すように、本願において提供される適応型リソース割り当て方法の実施は、以下を含んでよい。
【0029】
ステップS102:ある時間期間における各サービスステートメントの要求時間と、実際の実行時間と、応答時間とに関する統計を収集する。
【0030】
ステップS104:要求時間に基づき、各サービスステートメントが属する時間期間の時間区間を特定する。具体的には、各サービスステートメントの要求時間の時間区間が特定された場合、サービスステートメントはその時間区間に属する、と特定する。
【0031】
ステップS106:各時間区間における各サービスステートメントの実際の実行時間と応答時間とに基づき、各サービスステートメントのタイプを特定し、次の時間期間の同一の時間区間における相異なるタイプのサービスステートメントのリソース割り当て量を調節する。
【0032】
この適応型リソース割り当て方法によれば、システムは、運用期間中に受信されたサービス要求タイプと、相異なるタイプのサービス要求の負荷状況とに基づき、相異なる時間区間において相異なるタイプのサービスのリソース設定の比率を、適応調節でき、主たるサービス(例えば、トランザクションサービス)の安定した運用を保証でき、システムリソースをフルに利用できる。
【0033】
一般に、時間期間は、24の時間区間を含む1日に設定でき、各時間区間は1時間である。或いは、時間期間を1週間に設定して各時間区間を1日とする、時間期間を1ヵ月に設定して各時間区間を1日とする、又は、時間期間を1年に設定して各時間区間を1ヵ月とすることもできる。当然ながら、時間期間の具体的な期間及び対応する時間区間は、実際のニーズに基づき設定してよい。これについて本願は限定しない。一般に、時間期間の期間が短いほど且つ対応する時間区間の期間が短いほど、システムが適応してリソースを割り当てる精度が高くなる。
【0034】
本願において、サービスステートメント(サービス指示)のタイプは、トランザクションサービスステートメントと分析サービスステートメントとを含んでよい。当然ながら、サービスステートメントのタイプは、実際のニーズに基づき設定され得る、他のタイプのサービスステートメントを更に含んでよい。他のタイプのサービスステートメントのリソース割り当て量を適応調節する必要がある場合、本適応型リソース割り当て方法は、具体的な実施にも適用できる。本願においては、トランザクションサービスステートメント及び分析サービスステートメントを、主に、説明のための例として用いる。
【0035】
各サービスステートメントが属する時間区間が特定された後、各時間区間における各サービスステートメントの実際の実行時間に基づき、以下の好ましい実施を用いて、各サービスステートメントのタイプを特定してよい。好ましい実施とは、すなわち、各時間区間における各サービスステートメントの実際の実行時間が実行時間閾値を上回るかどうかを特定し、肯定である場合は、サービスステートメントが分析サービスステートメントである、と特定し、否定である場合は、サービスステートメントがトランザクションサービスステートメントである、と特定する実施である。先の好ましい実施において、サービスステートメントのタイプを迅速かつ精度よく特定でき、実際の状況に基づき実行時間閾値を設定又は調節できる。
【0036】
各サービスステートメントのタイプが特定された後、各時間区間における各サービスステートメントの実際の実行時間と応答時間とに基づき、以下の好ましい実施を用いて、次の時間期間の同一の時間区間における相異なるタイプのサービスステートメントのリソース割り当て量を調節することができる。
【0037】
ステップ1:各時間区間におけるトランザクションサービスステートメント全ての実際の実行時間の合計を計算して各時間区間における第1の実際の実行時間計(合計実行時間)を取得し、各時間区間におけるトランザクションサービスステートメント全ての応答時間の合計を計算して各時間区間における第1の応答時間計(合計応答時間)を取得する。
【0038】
ステップ2:各時間区間における分析サービスステートメント全ての実際の実行時間の合計を計算して各時間区間における第2の実際の実行時間計を取得し、各時間区間における分析サービスステートメント全ての応答時間の合計を計算して各時間区間における第2の応答時間計を取得する。
【0039】
ステップ3:第1の実際の実行時間計と、第1の応答時間計と、第2の実際の実行時間計と、第2の応答時間計とに基づき、次の時間期間の同一の時間区間におけるトランザクションサービスステートメントのリソース割り当て量と分析サービスステートメントのリソース割り当て量とを調節する。
【0040】
この第3のステップの具体的な操作は、以下の好ましい実施を用いて実施できる。すなわち、第1の応答時間計が第1の実際の実行時間計を上回るかどうかを特定し、肯定である場合は、トランザクションサービスステートメントのリソース割り当て量が少な過ぎる、と特定し、分析サービスステートメントのリソース割り当て量を減らす、例えば、分析サービスステートメントのリソース割り当て量を分析サービスステートメントの所定の最少リソース割り当て量へ減らす。また、第2の応答時間計が第2の実際の実行時間計を上回るかどうかを特定し、肯定である場合は、分析サービスステートメントのリソース割り当て量が少な過ぎる、と特定し、トランザクションサービスステートメントのリソース割り当て量を減らす、例えば、トランザクションサービスステートメントのリソース割り当て量を、トランザクションサービスステートメントの所定の最少リソース割り当て量と第1の実際の実行の期間中に実際に消費されるリソース割り当て量とのうち大きい方の値以上となるように減らす。
【0041】
分析サービスステートメントの最少リソース割り当て量及びトランザクションサービスステートメントの最少リソース割り当て量は、実際のニーズに応じて設定又は調節してよい。
【0042】
先の好ましい実施において、システムは、相異なるタイプのサービスステートメントの負荷状況に基づき、相異なるタイプのサービスステートメントのリソース割り当て量を適応調節できる。よって、リソース割り当て量の調節作業は比較的精度よくなされ、システムリソースはフルに利用され、相異なるタイプのサービスの円滑な運用が保証され、リソースの無駄な消費が減る。
【0043】
なお、相異なるタイプのサービスは、相異なるアプリケーションのシナリオにおいて重要度が異なる場合があることは特に留意すべき事項である。例えば、プロモーションにおいては、トランザクションサービスの円滑な運用が優先的に保証される必要がある。このことに鑑み、本願は、トランザクションサービスステートメント及び分析サービスステートメントを優先順位付けする好ましい実施を提供する。トランザクションサービスステートメントは分析サービスステートメントよりも優先順位が高い。具体的なシナリオにおいて、所定の時間におけるトランザクションサービスステートメントの要求量が閾値を上回る場合、トランザクションサービスステートメントの要求量が閾値を下回るまで分析サービスステートメントのリソース割り当て量をゼロへ減らす。閾値は実際のニーズに応じて設定又は調節してよい。先の好ましい実施においては、相異なるタイプのサービスステートメントを、相異なるタイプのサービスの重要度に基づき優先順位付けでき、特定のシナリオにおいて或るタイプのサービスが優先して運用されることを保証できる。一般に、トランザクションサービスステートメントの優先順位及び分析サービスステートメントの優先順位はシステム管理者が設定し、管理者は、システムが主にサポートしているサービスタイプに基づき優先順位付けを行う。
【0044】
また、システムリソースが不足している場合、相異なるタイプのサービスの優先順位に基づき、特定のタイプのサービスを運用のために優先的に選択してもよい。このことに鑑み、本願は、トランザクションサービスステートメント及び分析サービスステートメントを優先順位付けする好ましい実施を提供し、システムリソースの量がリソース閾値を下回る場合、リソース割り当て量を優先順位の高いサービスステートメントに割り当てる、及び/又は、優先順位の低いサービスステートメントのリソース割り当て量をゼロへ減らす。
【0045】
先の適応型リソース割り当て方法と同じ発明概念に基づき、本願は、以下の実施において説明する適応型リソース割り当て装置を提供する。適応型リソース割り当て装置が適応型リソース割り当て方法に類似する問題解決策の原理を有することに鑑み、適応型リソース割り当て装置の実施について適応型リソース割り当て方法の実施を参照できる。したがって、繰り返し説明はしない。
【0046】
図2は、本願に係る適応型リソース割り当て装置の実施を示す概略構造図である。図2に示すように、本装置は、統計収集部10と、分割部20と、タイプ特定部30と、調節部40とを含んでよい。
【0047】
統計収集部10は、ある時間期間における各サービスステートメントの要求時間と、実際の実行時間と、応答時間とに関する統計を収集するよう構成される。統計収集部10は、適応型リソース割り当て装置における、時間情報を収集するための部分であり、ソフトウェア、ハードウェア、又はそれらの組み合わせであってよく、例えば、時間情報収集機能を実装する入力/出力インターフェース、処理チップ等の構成部品であってよい。
【0048】
分割部20は、要求時間に基づき、各サービスステートメントが属する時間期間の時間区間を特定するよう構成される。分割部20は、適応型リソース割り当て装置における、時間区間を特定する部分であり、ソフトウェア、ハードウェア、又はそれらの組み合わせであってよく、例えば、時間区間特定機能を実装する入力/出力インターフェース、処理チップ等の構成部品であってよい。
【0049】
タイプ特定部30は、各時間区間における各サービスステートメントの実際の実行時間と応答時間とに基づき、各サービスステートメントのタイプを特定するよう構成される。タイプ特定部30は、適応型リソース割り当て装置における、時間区間を特定する部分であり、ソフトウェア、ハードウェア、又はそれらの組み合わせであってよく、例えば、時間区間特定機能を実装する入力/出力インターフェース、処理チップ等のコンポーネントであってよい。
【0050】
調節部40は、次の時間期間の同一の時間区間における相異なるタイプのサービスステートメントのリソース割り当て量を調節するよう構成される。調節部40は、適応型リソース割り当て装置における、リソース割り当て量を調節する部分であり、ソフトウェア、ハードウェア、又はそれらの組み合わせであってよく、例えば、リソース割り当て量調節機能を実装する入力/出力インターフェース、処理チップ等の構成部品であってよい。
【0051】
この適応型リソース割り当て装置によれば、システムは、運用期間中に受信されたサービス要求タイプと、相異なるタイプのサービス要求の負荷状況とに基づき、相異なる時間区間において相異なるタイプのサービスのリソース設定の比率を適応調節でき、主たるサービス(例えば、トランザクションサービス)の安定した運用を保証でき、システムリソースをフルに利用できる。
【0052】
一般に、時間期間は、24の時間区間を含む1日に設定でき、各時間区間は1時間である。或いは、時間期間を1週間に設定して各時間区間を1日とする、時間期間を1ヵ月に設定して各時間区間を1日とする、又は、時間期間を1年に設定して各時間区間を1ヵ月とすることもできる。当然ながら、時間期間の具体的な期間及び対応する時間区間は、実際のニーズに基づき設定してよい。これについて本願は限定しない。一般に、時間期間が短いほど且つ対応する時間区間が短いほど、システムが適応してリソースを割り当てる精度が高くなる。
【0053】
本願において、サービスステートメントのタイプは、トランザクションサービスステートメントと分析サービスステートメントとを含んでよい。当然ながら、サービスステートメントのタイプは、実際のニーズに基づき設定され得る、他のタイプのサービスステートメントを更に含んでよい。
【0054】
各サービスステートメントが属する時間区間が特定された後、各時間区間における各サービスステートメントの実際の実行時間に基づき、以下の好ましい実施を用いて、各サービスステートメントのタイプを特定してよい。本装置は、実行時間閾値を設定するよう構成された閾値設定部を更に含んでよい。実行時間閾値は実際の状況に基づき設定又は調節してよい。図3は、本願に係るタイプ特定部の実施を示す概略構造図である。図3に示すように、先のタイプ特定部30は、各時間区間における各サービスステートメントの実際の実行時間が実行時間閾値を上回るかどうかを特定するよう構成された特定モジュール31と、特定モジュール31の特定結果が肯定である場合、サービスステートメントが分析サービスステートメントである、と特定するよう構成された第1の処理モジュール32と、特定モジュール31の特定結果が否定である場合、サービスステートメントがトランザクションサービスステートメントである、と特定するよう構成された第2の処理モジュール33とを含んでよい。先の好ましい実施において、サービスステートメントのタイプを迅速かつ精度よく特定できる。
【0055】
図4は、本願に係る調節部の実施を示す概略構造図である。図4に示すように、調節部40は、各時間区間におけるトランザクションサービスステートメント全ての実際の実行時間の合計を計算して各時間区間における第1の実際の実行時間計を取得するよう構成された第1の計算モジュール41と、各時間区間におけるトランザクションサービスステートメント全ての応答時間の合計を計算して各時間区間における第1の応答時間計を取得するよう構成された第2の計算モジュール42と、各時間区間における分析サービスステートメント全ての実際の実行時間の合計を計算して各時間区間における第2の実際の実行時間計を取得するよう構成された第3の計算モジュール43と、各時間区間における分析サービスステートメント全ての応答時間の合計を計算して各時間区間における第2の応答時間計を取得するよう構成された第4の計算モジュール44と、第1の実際の実行時間計と、第1の応答時間計と、第2の実際の実行時間計と、第2の応答時間計とに基づき、次の時間期間の同一の時間区間におけるトランザクションサービスステートメントのリソース割り当て量と分析サービスステートメントのリソース割り当て量とを調節するよう構成されたリソース調節モジュール45とを含む。
【0056】
先のリソース調節モジュール45は、第1の応答時間計が第1の実際の実行時間計を上回るかどうかを特定し、肯定である場合、トランザクションサービスステートメントのリソース割り当て量が少な過ぎる、と特定し、分析サービスステートメントのリソース割り当て量を減らす、具体的には、分析サービスステートメントのリソース割り当て量を分析サービスステートメントの所定の最少リソース割り当て量へ減らすよう構成された第1の調節サブモジュールと;第2の応答時間計が第2の実際の実行時間計を上回るかどうかを特定し、肯定である場合、分析サービスステートメントのリソース割り当て量が少な過ぎる、と特定し、トランザクションサービスステートメントのリソース割り当て量を減らす、具体的には、トランザクションサービスステートメントの所定の最少リソース割り当て量と第1の実際の実行時間計により実際に消費されるリソース割り当て量とのうち最大の値以上で、トランザクションサービスステートメントのリソース割り当て量を減らすよう構成された第2の調節サブモジュールとを含んでよい。分析サービスステートメントの最少リソース割り当て量及びトランザクションサービスステートメントの最少リソース割り当て量は、実際のニーズに応じて設定または調節してよい。
【0057】
先の好ましい実施において、システムは、相異なるタイプのサービスステートメントの負荷状況に基づき、相異なるタイプのサービスステートメントのリソース割り当て量を適応調節できる。よって、リソース割り当て量の調節操作は比較的精度よくなされ、システムリソースはフルに利用され、相異なるタイプのサービスの円滑な運用が保証され、リソースの無駄な消費が減る。
【0058】
なお、相異なるタイプのサービスは、相異なるアプリケーションのシナリオにおいて重要度が異なる場合があることは特に留意すべき事項である。例えば、プロモーションにおいては、トランザクションサービスの円滑な運用が優先的に保証される必要がある。このことに鑑み、本願は、装置が、トランザクションサービスステートメント及び分析サービスステートメントを優先順位付けするよう構成された第1の優先順位付け部を更に含む好ましい実施を提供し、ここで、トランザクションサービスステートメントは分析サービスステートメントよりも優先順位が高い。具体的なシナリオにおいて、所定の時間におけるトランザクションサービスステートメントの要求量が閾値を上回る場合、トランザクションサービスステートメントの要求量が閾値を下回るまで分析サービスステートメントのリソース割り当て量をゼロへ減らす。先の好ましい実施においては、相異なるタイプのサービスステートメントを、相異なるタイプのサービスの重要度に基づき優先順位付けでき、特定のシナリオにおいて特定のタイプのサービスが優先して運用されることを保証できる。
【0059】
システムリソースが不足している場合、相異なるタイプのサービスの優先順位に基づき、特定のタイプのサービスが運用のため優先的に選択されてもよい。このことに鑑み、本願は、装置が、トランザクションサービスステートメント及び分析サービスステートメントを優先順位付けするよう構成された第2の優先順位付け部を更に含む好ましい実施を提供する。そして、システムリソースの量がリソース閾値を下回る場合、リソース割り当て量を優先順位の高いサービスステートメントに割り当てる、及び/又は、優先順位の低いサービスステートメントのリソース割り当て量をゼロへ減らす。
【0060】
好ましい実施及び添付図面を用いて、本願の技術的解決策を更に詳細に以下説明する。
【0061】
本願の適応型リソース割り当て解決策は、主に以下の各部を含む。
【0062】
(1)システム初期設定
【0063】
システム管理者はシステムに対し初期パラメータを設定する。設定は主に以下を含む。
【0064】
a.相異なるタイプのサービスステートメントを相互に区別するために用いられる特定基準を設定する。実行時間閾値(large_query_threshold)は、実際の状況に基づき事前に特定されてよい。サービスステートメントの実際の実行時間が実行時間閾値を上回る場合、サービスステートメントは分析サービスステートメントであるとみなされ、サービスステートメントの実際の実行時間が実行時間閾値を下回る場合、サービスステートメントはトランザクションサービスステートメントであるとみなされる。
【0065】
b.相異なるタイプのサービスステートメントを優先順位付けする。優先順位付けは、相異なるタイプのサービスステートメントの重要度に基づきなされてよい。これにより、システムリソースに重大な不足がある場合、優先順位が比較的高いサービスステートメントを優先的に処理できる、及び/又は、優先順位が比較的低いサービスステートメントを積極的に中断できる。一般に、複合的なサービスを有するシステムでは、トランザクションサービスが優先的に処理される。
【0066】
c.相異なるタイプのサービスステートメントに最少リソース割り当て量(min_oltp_time/min_olap_time)を設定する。システムの運用中、履歴収集データに基づき、オフピーク期間においては、優先順位が比較的高いサービスステートメントに対して非常に少量のリソースを用いる。これにより、優先順位が比較的高いサービスステートメントのリソース割り当て量を合理的に減らすことができる。しかしながら、優先順位が比較的高いサービスステートメントのサービス品質が保証されるためには、サービスステートメントに割り当てられるリソース割り当て量は、事前に設定された最少リソース割り当て量以上である。リソースが限られているシナリオやプロモーションのシナリオ等の特別なシナリオでは、優先順位が比較的低いサービスステートメントのリソース割り当て量をゼロへ減らせる。
【0067】
(2)運用統計情報の収集
【0068】
図5は、本願に係る適応型リソース割り当て解決策のシステムを示す概略構造図である。図5に示すように、システムの運用中、エグゼキューション装置は、サービスステートメントが実行される際、サービスステートメントの実行状況情報を収集する。実行状況情報は、主に以下のコンテンツ、すなわち、システムがサービスステートメントの要求を受信する時間(T_start)と;実際の実行時間(T_actual)と;応答時間(T_elapse)と;を含む。実際の実行時間(T_actual)は、スケジューラがサービスステートメントに割り当てた実行時間の合計を指す。スケジューラが割り当てた時間が期限切れとなる前に実行が終了した場合、実際の実行時間は実行に用いられた実際の時間を意味し、応答時間(T_elapse)は、システムがサービスステートメントを受信した時点から実行が終了した時点までの期間を意味する。
【0069】
エグゼキュータは、先の情報を収集した後、これらトリプレット(3つ組)(T_start、T_actual、T_elapse)を統計収集・分析モジュールへ通知する。統計収集・分析モジュールの機能は、先の適応型リソース割り当て装置における統計収集部、分割部、及びタイプ特定部の各機能と同等である。
【0070】
特に留意すべき事項は、スケジューラは、システムにおける、スケジューリングのフロントエンドにより送信された要求を受けるモジュールであり、相異なるタイプのタスクの各リソース割り当て量状況に基づき、特定のタスクの実行を開始するか、一時停止するか、終了するかを特定するものであることである。先のエグゼキュータは、システムにおける、フロントエンドにより要求されたタスクを実際に遂行するモジュールである。実行工程において、エグゼキュータは、スケジューラの命令に基づき実行を中断又は終了でき、実行の終了後、対応する実行状況情報を取得できる。
【0071】
(3)収集データの分析及びフィードバック
【0072】
統計収集・分析モジュールは、時間期間における各時間区間(例えば、1日の各時間(hour))における要求の分布状況を収集する。先ず、統計収集・分析モジュールは、要求時間(T_start)に基づき1日における全てのトリプレットをグループ化して、各グループに対し、各時間の要求セット:ReqSet(h0)、ReqSet(h1)、…、ReqSet(h23)を取得する。次いで、統計収集・分析モジュールは、各時間の要求セットReqSet(hi)におけるトリプレットのうち、実際の実行時間(T_actual)が実行時間閾値(large_query_threshold)を下回る全タプル(tuple)を特定し、新たなセットReqSetOltp(hi)を形成する。このセットは、各時間区間における全トランザクションサービスステートメントのセットであり、残りのセットは、各時間区間における全分析サービスステートメントのセットReqSetOlap(hi)である。
【0073】
2つのタプル(2つ組)のReqSetOltp(hi)及びReqSetOlap(hi)の各々における実際の実行時間(T_actual)の合計と応答時間(T_elapse)の合計とを計算し、第1の実際の実行時間計TotalAtimeOltp(hi)と、第1の応答時間計TotalEtimeOltp(hi)と、第2の実際の実行時間計TotalAtimeOlap(hi)と、第2の応答時間計TotalEtimeOlap(hi)との4つの時間値を取得する。これら4つの時間値に基づき1時間におけるシステムのリソース利用状況を特定でき(つまり、連続的にアップデートされるリソース割り当てテーブルを構築できる)、それには主に以下の2つのケースが含まれる。
【0074】
a.ケース1:第1の応答時間計TotalEtimeOltp(hi)>第1の実際の実行時間計TotalAtimeOltphi)(1+α)。ただし、αは本願における、許容できる統計及びタイミングの誤差を表す。
【0075】
このケースは、システムにおいて、トランザクションサービスステートメントを実行するにはリソースが不足していることを示している。したがって、一部の要求は時間内に実行されない、又は、実行中に中断されることになり、トランザクションサービスステートメントの応答時間が、実際の実行に要する時間よりも大幅に長くなる。
【0076】
b.ケース2:第2の応答時間計TotalEtimeOlap(hi)>第2の実際の実行時間計TotalAtimeOlap(hi)(1+α)。
【0077】
このケースは、システムにおいて、分析サービスステートメントを実行するにはリソースが不足していることを示している。したがって、一部の要求は時間内に実行されない、又は、実行中に中断されることになり、分析サービスステートメントの応答時間が、実際の実行に要する時間よりも大幅に長くなる。
【0078】
これら2つのケースが共存している場合、それは、時間内に2つのタイプのサービスステートメントに応答がなく、システムが過負荷であることを示す。或るタイプのサービスステートメントのリソース割り当て量を、優先順位に基づき減らしてよい。また、2つのタイプのサービスステートメントの各リソース割り当て量を、同一の比率又は相異なる比率に基づき減らしてよい。
【0079】
上記2つのケースのいずれも存在しない場合、それは、システムの負荷が軽く、2つのタイプのサービスステートメントが円滑に運用可能であることを示す。
【0080】
上記2つのケースのうち一方のみ存在する場合、それは、システムにおけるリソースの割り当てが一方のタイプのサービスステートメントへの時間内の応答を可能にするものの、他方のタイプのサービスステートメントを実行するための十分なリソースがないことを示す。この場合、次の時間期間の同一の時間区間(第2日の同一の時間)におけるリソース割り当て量が、システムが当該時間区間における2つのタイプのサービスステートメントに割り当てた各リソース割り当て量AssignTimeOltp(hi)及びAssignTimeOlap(hi)に基づき調節される。
【0081】
現に用いられている比較的簡易な調節のやり方は、トランザクションサービスステートメントのリソース割り当て量が少な過ぎる場合は分析サービスステートメントのリソース割り当て量を減らし、分析サービスステートメントのリソース割り当て量が少な過ぎる場合はトランザクションサービスステートメントのリソース割り当て量を減らすというやり方である。
【0082】
一方、本システムの実施においては、もっときめ細かい調節のやり方を選択できる。すなわち、a.トランザクションサービスステートメントのリソース割り当て量が不足している場合、分析サービスステートメントのリソース割り当て量を、分析サービスステートメントの所定の最少リソース割り当て量(min_olap_time)へ、直接、減らすことができる。b.分析サービスステートメントのリソース割り当て量が不足している場合は、調節されるリソース割り当て量が第2の応答時間計により実際に消費されるリソース割り当て量TotalEOltp(hi)とトランザクションサービスステートメントの所定の最少リソース割り当て量(min_oltp_time)とのうち最大の値以上であるという条件の下、トランザクションサービスステートメントのリソース割り当て量を特定の割合(例えば10%)だけ減らす。
【0083】
(4)リソース割り当て量のスケジューリング
【0084】
次の時間期間(例えば、第2日)において、システムは、前の時間期間(例えば、第1日)における対応する時間区間(1時間毎)において計算された値と先述の手段とに基づき、リソース割り当て量を調節し、相異なるタイプのサービスのリソース比率を再セットする。また、実行工程において、2つのタイプのサービスステートメントの新たな負荷状況が通知され分析される。
【0085】
注意すべきは、ホリデイシーズンのプロモーションイベント(例えば、ダブル11やブラックフライデー)等のシナリオにおいて、或るトランザクションサービスが他のトランザクションサービスよりも優先順位が高い場合、システムは、特定の時間区間(例えば1分)継続するトランザクションサービスステートメントの要求量が閾値を上回るかどうかを、リアルタイムに収集した情報に基づき特定してよく、トランザクションサービスステートメントの要求量が通常レベルに戻るまで当該時間区間における分析サービスステートメントのリソース割り当て量を、直接、減らしてもなくしてもよい。
【0086】
本願においては、相異なるタイプのサービスステートメントのリソースは、CPU(Central Processing Unit、中央処理演算装置)、メモリ、ストレージ、及び要求を実行するために必要なネットワークリソースであり、本願の主たるリソースはCPUである。同様に、ストレージの利用状況、IOの利用状況、ネットワークリソース等に基づく適応調節も、本願の技術的解決策に適用できる。
【0087】
以上の説明から、本願が以下の解決策を提供することが分かる。すなわち、システム上で初期のパラメータの設定が行われた後、システム管理者は、これまでの過去の時間区間における相異なるタイプのサービスステートメントのリソース利用状況に基づき、対応するこれからの時間区間におけるシステムのリソースの割り当てを適応調節して、主たるサービスの安定した運用を保証し、システムリソースをフルに利用する。
【0088】
本願の各実施における先の説明は、本願の幾つかの実施の適用に過ぎず、特定の標準、モデル、及び方法に基づいてわずかに改変された実施を用いて、本願の実施における解決策を実施できる。当然ながら、本願の実施における処理方法のステップに応ずる、創作性を伴わない他の変更を用いて同様の適用を実施することもできる。ここではその詳細を説明しない。
【0089】
本願は、実施又はフローチャートに記載の方法の操作ステップを提供するが、従来の手段又は非創造的な努力に基づき、より多い又はより少ない操作ステップを含めることができる。実施に列挙されたステップの順序は、単に多数のステップ実行順序のうちの1つであり、特有の実行順序を表しているものではない。実際の装置又はクライアント製品の場合、ステップは、実施又は添付の図面に示されている順序に基づいて実行されるか、又は並行して(例えば、並列プロセッサまたはマルチスレッド処理環境において)実行できる。
【0090】
前述の実施で説示された装置又はモジュールは、コンピュータチップ若しくはエンティティによって、あるいは特定の機能を備えた製品によって実施することができる。説明を容易にするために、前述の装置は、機能を様々なモジュールに分割することによって説示されている。当然、本願の実施に際し、全てのモジュールの機能は、1つ又は複数のソフトウェア及び/又はハードウェアで実施することができる。当然、特定の機能を実施するモジュールは、複数のサブモジュール又はサブユニットの組み合わせを使用することによって実施することができる。
【0091】
本願における方法、装置、又はモジュールは、コンピュータ読取可能なプログラムコードを使用することによって実施することができる。コントローラは任意の適切な方法で実施することができる。例えば、コントローラは、マイクロプロセッサ、プロセッサ、マイクロプロセッサ又はプロセッサが実行できるコンピュータ読取可能なプログラムコード(例えば、ソフトウェア若しくはファームウェア)を格納するコンピュータ読取可能な媒体、論理ゲート、スイッチ、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理コントローラ、若しくは埋込型マイクロコントローラとすることができる。コントローラの例としては、以下のマイクロコントローラが挙げられるが、これらに限定されない:ARC 625D、Atmel AT91SAM、Microchip PIC18F26K20、およびSilicone Lab C8015F320。メモリコントローラをメモリの制御ロジックの一部として実施することもできる。当業者には同じく公知であるが、コントローラは、コンピュータ読取可能なプログラムコードのみを用いて実施できることに加えて、論理ゲート、スイッチ、ASIC、プログラマブル論理コントローラ、又は埋込型マイクロコントローラ等の形態で同じ機能を実施することを可能にするために、方法ステップで論理プログラミングを実行することができる。したがって、コントローラは、ハードウェアコンポーネントとみなすことができ、コントローラにおける様々な機能を実施するように構成された装置も同様に、ハードウェアコンポーネント内の構造とみなすことができる。あるいは、様々な機能を実施するように構成された装置は、本方法を実施するソフトウェアモジュール及びハードウェアコンポーネント内の構造の両方と見なすことができる。
【0092】
本願の装置のいくつかのモジュールは、コンピュータによって実行されるコンピュータ実行可能な指令、例えば、プログラムモジュールの一般的な文脈で示すことができる。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行する又は特定の抽象データ型を実施する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造、タイプなどを含む。本願は、分散型コンピューティング環境においても実施できる。分散型コンピューティング環境において、タスクは、通信ネットワークを介して接続されたリモート処理デバイスによって遂行される。分散型コンピューティング環境において、プログラムモジュールは、格納デバイスを含むローカル及びリモートコンピュータ格納媒体に配置できる。
【0093】
本実施の説明から分かることであるが、当業者は、本願が、必要なハードウェア及びソフトウェアを用いて実施できることを、明確に理解することができる。こうした理解に基づき、本願の技術的解決策は、本質的に、又は既存の技術に貢献する部分を、ソフトウェア製品の形態で、又はデータ転送実施プロセス中に実施できる。ソフトウェア製品は、記録媒体、例えばROM/RAM、磁気ディスク、又は光ディスクに格納することができ、コンピュータデバイス(パーソナルコンピュータ、モバイル端末、サーバ、ネットワークデバイス等とすることができる)に命令して本願の実施又は実施の一部に記載の方法を実行させる幾つかの指令を含む。
【0094】
本明細書における実施は、順次方式で記載される。実施における同一又は類似の部分については、互いに参照できる。各実施は、他の実施との差異に焦点を当てている。本願の全て又はいくつかは、多くの汎用又は専用コンピュータデバイス環境又は構成、例えば、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ハンドヘルドデバイス又はポータブルデバイス、タブレットデバイス、モバイルコミュニケーション端末、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサシステム、プログラマブル電子デバイス、ネットワークPC、スモールコンピュータ、メインフレームコンピュータ、上記のシステム又はデバイスのいずれかを含む分散型コンピューティング環境などにおいて用いることができる。
【0095】
本願は実施を用いて説明するが、当業者が理解するように、本願の主旨から逸脱することなく多くの変形及び変更を本願に加えることが可能である。特許請求の範囲は、本願の主旨から逸脱することのないこれらの変形及び変更を包含するものである。
以下、本発明の実施の態様の例を列挙する。
[第1の局面]
適応型リソース割り当て方法であって:
時間期間における各サービスステートメントの要求時間と、実際の実行時間と、応答時間とに関する統計を収集するステップと;
前記要求時間に基づき、各サービスステートメントが属する、前記時間期間の時間区間を特定するステップと;
各時間区間における各サービスステートメントの前記実際の実行時間と前記応答時間とに基づき、各サービスステートメントのタイプを特定し、次の時間期間の同一の時間区間における相異なるタイプのサービスステートメントのリソース割り当て量を調節するステップと;を備える、
適応型リソース割り当て方法。
[第2の局面]
前記サービスステートメントの前記タイプは、トランザクションサービスステートメントと分析サービスステートメントとを含む、
第1の局面に記載の方法。
[第3の局面]
実行時間閾値を設定するステップを更に備え、
各時間区間における各サービスステートメントの前記実際の実行時間に基づき、各サービスステートメントのタイプを特定する前記ステップは:
各時間区間における各サービスステートメントの前記実際の実行時間が前記実行時間閾値を上回るかどうかを特定するステップと;
肯定である場合、前記サービスステートメントが分析サービスステートメントである、と特定するステップ;又は、
否定である場合、前記サービスステートメントがトランザクションサービスステートメントである、と特定するステップ;を備える、
第2の局面に記載の方法。
[第4の局面]
各時間区間における各サービスステートメントの前記実際の実行時間と前記応答時間とに基づき、次の時間期間の同一の時間区間における相異なるタイプのサービスステートメントのリソース割り当て量を調節する前記ステップは:
各時間区間における第1の実際の実行時間計を取得するために、各時間区間におけるトランザクションサービスステートメント全ての実際の実行時間の合計を計算するステップと;
各時間区間における第1の応答時間計を取得するために、各時間区間における前記トランザクションサービスステートメント全ての応答時間の合計を計算するステップと;
各時間区間における第2の実際の実行時間計を取得するために、各時間区間における分析サービスステートメント全ての実際の実行時間の合計を計算するステップと;
各時間区間における第2の応答時間計を取得するために、各時間区間における前記分析サービスステートメント全ての応答時間の合計を計算するステップと;
前記第1の実際の実行時間計と、前記第1の応答時間計と、前記第2の実際の実行時間計と、前記第2の応答時間計とに基づき、前記次の時間期間の前記同一の時間区間における前記トランザクションサービスステートメントのリソース割り当て量と前記分析サービスステートメントのリソース割り当て量とを調節するステップと;を備える、
第3の局面に記載の方法。
[第5の局面]
前記第1の実際の実行時間計と、前記第1の応答時間計と、前記第2の実際の実行時間計と、前記第2の応答時間計とに基づき、前記次の時間期間の前記同一の時間区間における前記トランザクションサービスステートメントのリソース割り当て量と前記分析サービスステートメントのリソース割り当て量とを調節する前記ステップは:
前記第1の応答時間計が前記第1の実際の実行時間計を上回るかどうかを特定し、肯定である場合、前記トランザクションサービスステートメントの前記リソース割り当て量が少な過ぎる、と特定し、前記分析サービスステートメントの前記リソース割り当て量を減らすステップと;
前記第2の応答時間計が前記第2の実際の実行時間計を上回るかどうかを特定し、肯定である場合、前記分析サービスステートメントの前記リソース割り当て量が少な過ぎる、と特定し、前記トランザクションサービスステートメントの前記リソース割り当て量を減らすステップと;を備える、
第4の局面に記載の方法。
[第6の局面]
前記分析サービスステートメントの前記リソース割り当て量を減らす前記ステップは:前記分析サービスステートメントの前記リソース割り当て量を前記分析サービスステートメントの所定の最少リソース割り当て量まで減らすステップを備え、
前記トランザクションサービスステートメントの前記リソース割り当て量を減らす前記ステップは:前記トランザクションサービスステートメントの所定の最少リソース割り当て量と、前記第1の実際の実行時間計により実際に消費されるリソース割り当て量とのうちの最大の値以上で、前記トランザクションサービスステートメントの前記リソース割り当て量を減らすステップを備える、
第5の局面に記載の方法。
[第7の局面]
前記トランザクションサービスステートメント及び前記分析サービスステートメントを優先順位付けするステップであって、前記トランザクションサービスステートメントは、前記分析サービスステートメントよりも優先順位が高い、ステップと;
具体的なシナリオにおいて、所定の時間における前記トランザクションサービスステートメントの要求量が閾値を上回る場合、前記トランザクションサービスステートメントの前記要求量が前記閾値を下回るまで前記分析サービスステートメントのリソース割り当て量をゼロへ減らすステップと;を更に備える、
第2の局面に記載の方法。
[第8の局面]
前記トランザクションサービスステートメント及び前記分析サービスステートメントを優先順位付けするステップと;
システムリソースの量がリソース閾値を下回る場合、リソース割り当て量を優先順位の高いサービスステートメントに割り当てる、及び/又は、優先順位の低いサービスステートメントのリソース割り当て量をゼロへ減らすステップと;を更に備える、
第2の局面に記載の方法。
[第9の局面]
前記時間期間は1日であり、各時間区間は1時間である、
請求項1の局面に記載の方法。
[第10の局面]
適応型リソース割り当て装置であって:
時間期間における各サービスステートメントの要求時間と、実際の実行時間と、応答時間とに関する統計を収集するよう構成された統計収集部と;
前記要求時間に基づき、各サービスステートメントが属する前記時間期間の時間区間を特定するよう構成された分割部と;
各時間区間における各サービスステートメントの前記実際の実行時間と前記応答時間とに基づき、各サービスステートメントのタイプを特定するよう構成されたタイプ特定部と;
次の時間期間の同一の時間区間における相異なるタイプのサービスステートメントのリソース割り当て量を調節するよう構成された調節部と;を備える、
適応型リソース割り当て装置。
[第11の局面]
前記サービスステートメントの前記タイプは、トランザクションサービスステートメントと分析サービスステートメントとを含む、
第10の局面に記載の装置。
[第12の局面]
実行時間閾値を設定するよう構成された閾値設定部を更に備え、
前記タイプ特定部は:
各時間区間における各サービスステートメントの前記実際の実行時間が前記実行時間閾値を上回るかどうかを特定するよう構成された特定モジュールと;
前記特定モジュールの特定結果が肯定である場合、前記サービスステートメントが分析サービスステートメントである、と特定するよう構成された第1の処理モジュールと;
前記特定モジュールの特定結果が否定である場合、前記サービスステートメントがトランザクションサービスステートメントである、と特定するよう構成された第2の処理モジュールと;を備える、
第11の局面に記載の装置。
[第13の局面]
前記調節部は:
各時間区間におけるトランザクションサービスステートメント全ての実際の実行時間の合計を計算して各時間区間における第1の実際の実行時間計を取得するよう構成された第1の計算モジュールと;
各時間区間における前記トランザクションサービスステートメント全ての応答時間の合計を計算して各時間区間における第1の応答時間計を取得するよう構成された第2の計算モジュールと;
各時間区間における分析サービスステートメント全ての実際の実行時間の合計を計算して各時間区間における第2の実際の実行時間計を取得するよう構成された第3の計算モジュールと;
各時間区間における前記分析サービスステートメント全ての応答時間の合計を計算して各時間区間における第2の応答時間計を取得するよう構成された第4の計算モジュールと;
前記第1の実際の実行時間計と、前記第1の応答時間計と、前記第2の実際の実行時間計と、前記第2の応答時間計とに基づき、前記次の時間期間の前記同一の時間区間における前記トランザクションサービスステートメントのリソース割り当て量と前記分析サービスステートメントのリソース割り当て量とを調節するよう構成されたリソース調節モジュールと;を備える、
第12の局面に記載の装置。
[第14の局面]
前記リソース調節モジュールは:
前記第1の応答時間計が前記第1の実際の実行時間計を上回るかどうかを特定し、肯定である場合、前記トランザクションサービスステートメントの前記リソース割り当て量が少な過ぎる、と特定し、前記分析サービスステートメントの前記リソース割り当て量を減らすよう構成された第1の調節サブモジュールと;
前記第2の応答時間計が前記第2の実際の実行時間計を上回るかどうかを特定し、肯定である場合、前記分析サービスステートメントの前記リソース割り当て量が少な過ぎる、と特定し、前記トランザクションサービスステートメントの前記リソース割り当て量を減らすよう構成された第2の調節サブモジュールと;を備える、
第13の局面に記載の装置。
[第15の局面]
前記第1の調節サブモジュールは、前記分析サービスステートメントの前記リソース割り当て量を、前記分析サービスステートメントの所定の最少リソース割り当て量へ減らすよう構成され;
前記第2の調節サブモジュールは、前記トランザクションサービスステートメントの前記リソース割り当て量を減らすよう構成され、前記トランザクションサービスステートメントの前記リソース割り当て量を減らすことは、前記トランザクションサービスステートメントの所定の最少リソース割り当て量と、前記第1の実際の実行時間計により実際に消費されるリソース割り当て量とのうちの最大の値以上で、前記トランザクションサービスステートメントの前記リソース割り当て量を減らすことを備える、
第14の局面に記載の装置。
[第16の局面]
前記トランザクションサービスステートメント及び前記分析サービスステートメントを優先順位付けするよう構成された第1の優先順位付け部を更に備え、
前記トランザクションサービスステートメントは前記分析サービスステートメントよりも優先順位が高く、
具体的なシナリオにおいて、前記第1の優先順位付け部は、所定の時間における前記トランザクションサービスステートメントの要求量が閾値を上回る場合、前記トランザクションサービスステートメントの前記要求量が前記閾値を下回るまで前記分析サービスステートメントのリソース割り当て量をゼロへ減らす、
第11の局面に記載の装置。
[第17の局面]
前記トランザクションサービスステートメント及び前記分析サービスステートメントを優先順位付けし、システムリソースの量がリソース閾値を下回る場合、リソース割り当て量を優先順位の高いサービスステートメントに割り当てる、及び/又は、優先順位の低いサービスステートメントのリソース割り当て量をゼロへ減らすよう構成された第2の優先順位付け部を更に備える、
第11の局面に記載の装置。
[第18の局面]
前記時間期間は1日であり、各時間区間は1時間である、
第10の局面に記載の装置。
【符号の説明】
【0096】
10 統計収集部
20 分割部
30 タイプ特定部
31 特定モジュール
32 第1の処理モジュール
33 第2の処理モジュール
40 調節部
41 第1の計算モジュール
42 第2の計算モジュール
43 第3の計算モジュール
44 第4の計算モジュール
45 リソース調節モジュール
図1
図2
図3
図4
図5