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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-03
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】機器支持装置及び自動二輪車
(51)【国際特許分類】
   B62J 6/027 20200101AFI20220204BHJP
   B62J 11/00 20200101ALI20220204BHJP
   B62M 7/02 20060101ALI20220204BHJP
【FI】
B62J6/027
B62J11/00
B62M7/02 E
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018082105
(22)【出願日】2018-04-23
(65)【公開番号】P2019188938
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】521431099
【氏名又は名称】カワサキモータース株式会社
(72)【発明者】
【氏名】上野 州成
【審査官】田中 成彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-098749(JP,A)
【文献】特開2002-068059(JP,A)
【文献】実公昭62-004078(JP,Y1)
【文献】特開平08-178304(JP,A)
【文献】実開昭51-056752(JP,U)
【文献】特開2013-112293(JP,A)
【文献】特開2013-018324(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0193958(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 6/02 - 6/03
B62J 11/00
B62M 7/02
F16M 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体に機器を支持させる機器支持装置において、
前記構造体に支持される第1支持箇所、及び、前記構造体に対して前記第1支持箇所を中心に相対回転することを干渉面に当たることで規制する規制箇所を有する第1支持部と、
前記構造体を挟んで前記第1支持部の反対側に配置されており、前記構造体に支持される第2支持箇所を有する第2支持部と、
前記第1支持部及び前記第2支持部に支持されるとともに前記機器を取付可能な取付部と、
前記第1支持部と前記第2支持部とを連結する連結部と、
を備え
前記第1支持部と前記第2支持部とが対向する方向を対向方向と称したときに、前記連結部は、前記第1支持部及び前記第2支持部のうち、一方に対しては前記対向方向に相対移動不能に固定され、他方に対しては前記対向方向に相対移動可能に取り付けられることを特徴とする機器支持装置。
【請求項2】
請求項1に記載の機器支持装置であって
記第1支持部の前記第1支持箇所は前記構造体に対して前記対向方向に相対移動不能に固定されることで当該構造体に支持され、
前記第1支持部の前記規制箇所は、前記構造体に対して前記対向方向に相対移動可能に取り付けられることを特徴とする機器支持装置。
【請求項3】
請求項2に記載の機器支持装置であって、
前記第2支持部の前記第2支持箇所は前記構造体に対して前記対向方向に相対移動不能に固定されることで当該構造体に支持されることを特徴とする機器支持装置。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の機器支持装置であって、
前記第1支持部は、前記規制箇所が前記構造体と干渉することで、前記構造体に対して前記第1支持箇所を中心に相対回転することが規制されていることを特徴とする機器支持装置。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項に記載の機器支持装置であって、
前記第1支持部と前記第2支持部とが対向する方向を対向方向と称したときに、
前記第1支持部は、前記対向方向の一側から当該対向方向に延びるとともに、前記連結部を取り付けるための第1棒状体を有しており、
前記第2支持部は、前記対向方向のうち前記第1支持部と同じ側から前記対向方向に延びるとともに、前記連結部を取り付けるための第2棒状体を有していることを特徴とする機器支持装置。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか一項に記載の機器支持装置であって、
前記取付部は、第1機器と第2機器を前記機器として取付可能であり、前記第1機器を取付可能な第1取付部と、前記第2機器を取付可能な第2取付部と、を有することを特徴とする機器支持装置。
【請求項7】
請求項1から6までの何れか一項に記載の機器支持装置であって、
自動二輪車用の前記機器が取り付けられることを特徴とする機器支持装置。
【請求項8】
請求項7に記載の機器支持装置であって、
前記構造体がエンジンであり、
前記第1支持部及び前記第2支持部は、当該エンジンを挟んで左右に対向するように配置され、
前記連結部は、前記エンジンの前方を通ることを特徴とする機器支持装置。
【請求項9】
請求項8に記載の機器支持装置であって、
前記第1支持部は、前記規制箇所が前記エンジンに形成された孔部に挿入されることで、前記第1支持部が前記構造体に対して前記第1支持箇所を中心に相対回転することを規制することを特徴とする機器支持装置。
【請求項10】
請求項7から9までの何れか一項に記載の機器支持装置であって、
前方を照らす上ランプ、及び、前方を照らすとともに前記上ランプよりも高さ方向で低い位置の下ランプのうち、前記下ランプを前記機器として前記構造体に支持させることを特徴とする機器支持装置。
【請求項11】
請求項7から10までの何れか一項に記載の機器支持装置を備えることを特徴とする自動二輪車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、構造体に機器を支持させる機器支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、自動二輪車に設けられる左右一対のフォグランプの支持構造を開示する。特許文献1の自動二輪車は、フレームと、フレームに取り付けられるカウルステーを備える。カウルステーには、カウルが取り付けられるとともに、ランプステーが取り付けられる。ランプステーには、左右一対のフォグランプがそれぞれ取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-16773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、ランプステー等を介してフォグランプをフレームに支持させる場合、フォグランプの位置及び姿勢を安定させるためには、ランプステー等の位置及び姿勢を安定させる必要がある。特許文献1では、支持箇所毎に複数のボルトを用いてランプステーがフレームに取り付けられている。しかし、この種の方法では、ランプステーの固定作業が煩雑となる。しかし、ボルトの数を減らした場合、ランプステー及びフォグランプの位置及び姿勢が安定しなくなる可能性がある。あるいは、取付時の位置決めが困難になる可能性がある。この種の課題は、ランプステー以外の機器、フレーム以外の構造物、及び自動二輪車以外の対象物に対しても当てはまる。
【0005】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、構造体に機器を支持させる機器支持装置において、取付時の位置決めの容易さ又は取付後の安定性に優れるとともに、取付作業の煩雑さを抑制した構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
本発明の観点によれば、以下の構成の機器支持装置が提供される。即ち、この機器支持装置は、構造体に機器を支持させる。この機器支持装置は、第1支持部と、第2支持部と、取付部と、連結部と、を備える。前記第1支持部は、前記構造体に支持される第1支持箇所、及び、前記構造体に対して前記第1支持箇所を中心に相対回転することを干渉面に当たることで規制する規制箇所を有する。前記第2支持部は、前記構造体を挟んで前記第1支持部の反対側に配置されており、前記構造体に支持される第2支持箇所を有する。前記取付部は、前記第1支持部及び第2支持部に支持されるとともに前記機器を取付可能である。前記連結部は、前記第1支持部と前記第2支持部とを連結する。前記第1支持部と前記第2支持部とが対向する方向を対向方向と称したときに、前記連結部は、前記第1支持部及び前記第2支持部のうち、一方に対しては前記対向方向に相対移動不能に固定され、他方に対しては前記対向方向に相対移動可能に取り付けられる。
【0008】
これにより、第1支持箇所に加えて規制箇所を有するため、構造体への取付時に第1支持部の位置決めが容易になったり、構造体への取付後に第1支持部の位置及び姿勢を安定させることができる。特に、第1支持部が支持箇所に加えて規制箇所を有することで、第1規制箇所を構造体に固定する作業が不要となる。また、連結部が存在するため、同様の効果を、第2支持部にも発揮させることができる。更に、第1支持部及び第2支持部の位置及び姿勢が安定する結果、機器の位置及び姿勢を安定させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、構造体に機器を支持させる機器支持装置において、取付時の位置決めの容易さ又は取付後の安定性に優れるとともに、取付作業の煩雑さを抑制した構成を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る自動二輪車の側面図。
図2】自動二輪車の正面図。
図3】補助ランプ及び機器支持装置の斜視図。
図4】機器支持装置がエンジンに支持される様子を示す正面図。
図5】機器支持装置の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の説明では、自動二輪車1が前進する方向を前として、前後左右の方向を定義する(即ち、自動二輪車1に乗車した運転者から見た方向で左右方向を定義する)。従って、前後方向は車長方向に一致し、左右方向は車幅方向に一致する。また、鉛直方向(上下方向)は高さ方向に一致する。
【0012】
初めに、自動二輪車1の概要について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、自動二輪車1の側面図である。図2は、自動二輪車1の正面図である。図1に示すように、自動二輪車1は、エンジン(構造体)40と、前輪22と、後輪25と、を備える。これらの部材は、車体フレーム10によって支持されている。車体フレーム10は、ヘッドパイプフレーム11と、メインフレーム12と、エンジン取付フレーム13と、図略のリアフレームと、を含んで構成されている。
【0013】
ヘッドパイプフレーム11には、図略のステアリングシャフトを挿入するためのシャフト挿入孔が形成されている。ヘッドパイプフレーム11の上部及び下部には、それぞアッパーブラケット及びロアブラケットが取り付けられている。アッパーブラケット及びロアブラケットには、左右一対で配置されるフロントフォーク21を挿入するためのフォーク挿入孔がそれぞれ形成されている。フロントフォーク21の下部には前輪22が回転可能に取り付けられている。
【0014】
ヘッドパイプフレーム11には、前後方向に延びるメインフレーム12が接続されている。メインフレーム12は、左右一対で配置されており、ヘッドパイプフレーム11の後部から後方かつ下方に延びるように構成されている。また、メインフレーム12には、エンジン40を取り付けるためのエンジン取付フレーム13が接続されている。なお、車体フレーム10の構成は一例であり、本実施形態とは異なる形状の車体フレームが配置されていてもよい。
【0015】
メインフレーム12の後部には、スイングアーム24が取り付けられている。スイングアーム24は、図1に示すようにメインフレーム12の後部から後方に延びるように配置されている。スイングアーム24の後部には、後輪25が回転可能に取り付けられている。エンジン40で発生した動力は、図略のドライブチェーンを介して後輪25に伝達される。
【0016】
図1に示すように、高さ方向において前輪22より高い位置であって、自動二輪車1の前部には、ヘッドランプ(上ランプ)31が配置されている。ヘッドランプ31は例えば左右対称となるように左右一対で配置されており、自動二輪車1の前方を照射する。なお、ヘッドランプ31は、左右一対に限られず、例えば左右対称となるように(例えば左右方向の中央に)1つのみ配置されていてもよい。
【0017】
ヘッドランプ31の後方かつ上方には、車速、エンジン回転速度、及び警告情報等を表示可能なメータ装置32が配置されている。メータ装置32の更に後方には、ステアリングハンドル33が配置されている。運転者がステアリングハンドル33を回動させることで、フロントフォーク21が回動するため、自動二輪車1を旋回させることができる。
【0018】
ステアリングハンドル33の後方であって、エンジン40の上方には、エンジン40に供給するための燃料が貯留される燃料タンク34が配置されている。燃料タンク34の後方には、運転者が着座するためのフロントシート35が配置されている。フロントシート35の下方には、フロントシート35に着座した運転者が足を載せるためのフロントステップ36が配置されている。運転者は、フロントシート35に着座し、燃料タンク34及びその下方を足で挟み、フロントステップ36に足を載せることで、体を安定させるとともに重心を左右に移動させて操舵の一部を行う。
【0019】
自動二輪車1は、図1等に示すように、カウル38を備える。カウル38は、自動二輪車1の外表面を構成する樹脂製の部材である。本実施形態の自動二輪車1では、カウル38は、ヘッドランプ31の周囲、ステアリングハンドル33及び燃料タンク34の下方(車体側面)等を覆うように配置されている。なお、カウル38が配置される範囲及びカウル38の形状は一例であり、本実施形態とは異なる範囲にカウルが形成されていてもよいし、カウル38とは異なる形状のカウルが配置されていてもよい。
【0020】
前輪22の後方には、ラジエータ39が配置されている。ラジエータ39の内部には、エンジン40を冷却するための冷却水(冷却媒体)が流れている。ラジエータ39は、外気との熱交換によって、この冷却水の放熱を行う。
【0021】
ラジエータ39の前方には、補助ランプ50L,50Rが配置されている。図2に示すように、補助ランプ50L,50Rは、左右一対で配置されており、左側に配置される補助ランプに符号50Lを付し、右側に配置される補助ランプに符号50Rを付す。また、図2に示すように、左右一対の補助ランプ50L,50Rは、車両の前方に配置されるカウル38よりも高さ方向で低い位置であって、左右一対のフロントフォーク21の外側にそれぞれ配置されている。
【0022】
補助ランプ50L,50Rは、運転者が前方を視認し易くするため、又は、自動二輪車1が他人から視認され易くなるようにするためのランプである。補助ランプ50L,50Rは、具体的には、フォグランプ又はコーナーリングランプである。フォグランプとは、一例として霧の発生時に前方を照らす際に使用する補助ランプである。コーナーリングランプは、自動二輪車1の旋回時に(即ち、自動二輪車1のバンク時に)旋回先の路面を照射する。なお、左右一対の補助ランプ50L,50Rは、機器支持装置100を介してエンジン(構造体)40に支持されている。
【0023】
ヘッドランプ31と補助ランプ50L,50Rは、ともに前方に光を照射する点で共通であるが、以下の差異がある。即ち、図1及び図2に示すように、ヘッドランプ31は補助ランプ50L,50Rよりも、高さ方向で高い位置に配置される。そのため、ヘッドランプ31が上ランプに相当し、補助ランプ50L,50Rが下ランプに相当する。また、ヘッドランプ31はエンジン40の動作中は常に点灯しているのに対し、補助ランプ50L,50Rは運転者の操作によって点灯と消灯が切替可能である。また、ヘッドランプ31はカウル38の内部に配置されているのに対し、補助ランプ50L,50Rは外部に露出している。
【0024】
次に、主に図2及び図3を参照して、補助ランプ50L,50Rについて説明する。図3は、補助ランプ50L,50R及び機器支持装置100の斜視図である。図3に示すように、補助ランプ50L,50Rは、光源部51と、ランプカバー52と、を備える。
【0025】
光源部51は、発光体及びリフレクタから構成されており、前方を照らす光を発生させる。発光体は、白熱電球、ハロゲン電球、HID(High-Intensity Discharge)ランプ、LED(Light Emitting Diode)等であり、電力を使用して光を発する装置である。リフレクタは、様々な角度で配置された複数の反射板から構成されており、発光体が発した光を反射することで、所定方向及び所定範囲に光を照射する。
【0026】
ランプカバー52は、光源部51の周囲、特に光源部51の側面を覆うように配置されている。左右一対のランプカバー52は、自動二輪車1の左右方向の中央を通る面に対して対称である。以下、この面に対して対称であることを単に対称と称することがある。ランプカバー52は、光源部51を保持するとともに、光源部51の側面を保護する。補助ランプ50Lのランプカバー52は、左右方向の外側である左側の部分が他の部分よりも後方に延びるように形成されている。一方、補助ランプ50Rのランプカバー52は、左右方向の外側である右側の部分が他の部分よりも後方に延びるように形成されている。これにより、光源部51を外部からより確実に保護するとともに、光源部51の後部に取り付けられるハーネス及びコネクタ等を視認しにくくすることができる。
【0027】
また、補助ランプ50L,50Rは、左右方向を回転軸として(左右方向を回転の中心として)補助ランプ50L,50R又は光源部51を回転させることで、上下方向(仰俯方向)の光軸調整を行うことができる。具体的には、ランプカバー52の左右方向の外側の面に固定孔が形成されており、図3に示すように、これらの固定孔に第1固定具53が取り付けられている。光源部51は、第1固定具53によって押圧されることで位置及び姿勢が保持されている。第1固定具53を緩めて第1固定具53により光源部51の押圧を解除して、左右方向を回転軸としてランプカバー52に対して光源部51を回転させることで、上下方向の光軸調整を行うことができる。なお、ランプカバー52に対して左右方向を回転軸として光源部51を回転させる構成に代えて、機器支持装置100に対して左右方向を回転軸として光源部51を回転させる構成であってもよい。
【0028】
ランプカバー52は、更に、上下方向を回転軸として補助ランプ50L,50R又は光源部51を回転させることで、左右方向(水平方向)の光軸調整を行うことができる。具体的には、ランプカバー52の上面及び下面に固定孔が形成されており、図3に示すように、これらの固定孔に第2固定具54が取り付けられている。この第2固定具54を緩めることで、上記と同様に、左右方向の光軸調整を行うことができる。なお、ランプカバー52に対して上下方向を回転軸として光源部51を回転させる構成に代えて、上下方向を回転軸として光源部51を回転させる構成であってもよい。
【0029】
また、補助ランプ50L,50Rは、2軸のうち一方のみの光軸調整が可能であってもよい。また、補助ランプ50L,50Rは、光軸調整ができない構成であってもよい。また、2つの回転軸は左右方向又は上下方向に限られず、これらの方向に対して傾斜する角度を回転軸として補助ランプ50L,50R又は光源部51が回転可能な角度であってもよい。
【0030】
次に、主に図3から図5を参照して、機器支持装置100の構成及び取付方法について説明する。図4は、補助ランプ50L,50R及び機器支持装置100の斜視図である。図5は、機器支持装置100の分解斜視図である。
【0031】
機器支持装置100は、補助ランプ50L,50Rを取付可能に構成されるとともに、エンジン40に取付可能に構成される。この構成により、補助ランプ50L,50Rをエンジン40に支持させることができる。言い換えれば、補助ランプ50L,50Rは、機器支持装置100を介してエンジン40に取り付けられ、機器支持装置100を介してエンジン40に支持される。
【0032】
図5に示すように、機器支持装置100は、第1支持部61と、第2支持部62と、連結部70と、取付部80と、を備える。図2及び図4等に示すように、第1支持部61と第2支持部62はエンジン40を左右方向で挟むように配置される。言い換えれば、第1支持部61と第2支持部62は、左右方向で対向するように配置される。従って、本実施形態では、この左右方向が「対向方向」に相当する。なお、第1支持部61と第2支持部62は、左右方向以外の方向で対向するように配置されていてもよい。
【0033】
第1支持部61は、エンジン40の右側に配置されている。第1支持部61は、板厚方向が左右方向と同じになるように配置された板状の部材である。第1支持部61には、第1支持孔61aと、第1棒状体61bと、規制体61cと、が形成されている。
【0034】
第1支持孔61aは、第1支持部61をエンジン40に取り付けられて固定するために用いられる。具体的には、図4に示すように、エンジン40にはネジ溝が形成された第1固定孔41が形成されている。第1支持孔61aに第1エンジン固定ボルト91を差し込んで第1固定孔41に締結することで、第1支持部61がエンジン40に取り付けられる。この状態では、第1支持部61は、エンジン40に対して固定されており、左右方向、上下方向、及び高さ方向の何れにも相対移動することができない。また、第1支持部61は、エンジン40との間にエンジン取付フレーム13を位置させた状態で、第1エンジン固定ボルト91により共締めにより固定される。
【0035】
これにより、第1支持部61がエンジン40に支持される。詳細には、第1支持部61の第1支持孔61aが、第1エンジン固定ボルト91を介して、エンジン40に支持される。従って、第1支持孔61a(孔の内壁も含む、以下同じ)が「第1支持箇所」に相当する。なお、第1エンジン固定ボルト91とは異なる中継部材を介して、第1支持部61(第1支持孔61a)がエンジン40支持される構成であってもよい。この場合、第1支持孔61a(第1支持箇所)は、中継部材を取付可能であれば、孔以外の形状であってもよい。
【0036】
第1棒状体61b及び規制体61cは、第1支持部61からエンジン40側(第2支持部62側)に延びるように形成された丸棒状の部材である。第1棒状体61bは第1支持孔61aよりも前方に形成されており、規制体61cは第1支持孔61aと前後方向において同程度の位置に形成されている。第1棒状体61b及び規制体61cは第1支持部61に形成された孔に挿入されて溶接されている。この溶接を両面から行うため、及び、第1棒状体61b及び規制体61cを外れにくくするため、第1棒状体61bは第1支持部61からエンジン40の反対側にも突出しているが、この方向への突出は形成されていなくてもよい。第1棒状体61bは、第1支持部61を連結部70に取り付けるために用いられる。また、規制体61cは、エンジン40に対する第1支持部61の相対回転を防止するために用いられる。
【0037】
なお、第1棒状体61b及び規制体61cは、溶接ではなく固定具等の別の手段で取り付けられていてもよい。具体的には、第1棒状体61b又は規制体61cと同様の形状の細長状の部材が、第1支持部61に形成された孔及び固定具等により取り付けられる。この場合、細長状の部材が、上記の第1棒状体61b又は規制体61cの機能を発揮するため、「第1棒状体」又は「規制体」に相当する。あるいは、細長状の部材を介して、これらの機能を発揮していると捉え、細長状の部材を取り付けるための孔等が「第1棒状体」又は「規制体」に相当すると捉えることもできる。
【0038】
以下、規制体61cについて更に詳細に説明する。規制体61cは、エンジン40から突出する突出部43に形成された規制孔43aに挿入される。規制孔43aにはネジ溝は形成されていない。従って、規制体61cは規制孔43aに固定される訳ではなく、軸方向(左右方向、対向方向)に相対移動可能に取り付けられる。ここで、規制体61cが存在しない場合、第1エンジン固定ボルト91を第1固定孔41に締結する前においては、第1支持部61は第1エンジン固定ボルト91の軸方向を回転軸として回転可能である。更に、第1エンジン固定ボルト91を第1固定孔41に締結した後であっても、第1エンジン固定ボルト91の弛み又は振動等により、第1支持部61が回転することがある。この点、規制体61cを規制孔43aに挿入することで、第1支持部61に回転方向の力が掛かった場合であっても、規制体61cが規制孔43aの内壁である干渉面に当たって干渉することで、第1支持部61は回転しない。このように、規制体61cはエンジン40に対して第1支持部61が相対回転しないように規制する。
【0039】
なお、規制孔43aは規制体61cの全周を覆う孔であるが、第1支持部61の相対回転時に規制体61cと干渉するのであれば、規制孔43aは孔に限られない。即ち、第1支持部61の相対回転時に規制体61cと干渉する干渉面を有していればよい。第1支持部61は一方向及び他方向に相対回転するため、干渉面は基本的には規制体61cを挟むように形成されることが好ましい。ただし、例えば自重による相対回転のみを規制すれば十分である場合は、第1支持部61の一方向の相対回転のみを規制可能な干渉面のみが形成されていてもよい。
【0040】
規制孔43aは、自動二輪車1の組立工程においても用いられている。具体的には、自動二輪車1の組立工程において、規制孔43aに治具を取り付けてエンジン40を移動させる作業が行われる。このような治具を取り付ける孔は、組立工程のみで用いられ、組立てが完了した後は用いられない。この点、本実施形態の規制孔43aは、自動二輪車1の組立工程において治具を取り付ける機能と、第1支持部61の相対回転を規制する機能と、の両方を有している。そのため、エンジン40の構造を単純にして、加工コストを低減することができる。
【0041】
また、自動二輪車1の各部は、路面の凹凸等に応じて振動するとともに、エンジン40で発生した振動が伝達されることで振動する。また、自動二輪車1の各所には防振部材が配置されているため、位置に応じて振動の大きさ及び位相が異なる。仮に、規制体61cがエンジン40とは異なる部材に挿入されている場合、例えばエンジン40のみが大きく振動することで、例えば第1エンジン固定ボルト91及び規制体61c等に大きな負荷が掛かる可能性がある。この点、本実施形態では、第1固定孔41と規制孔43aは同じ構造体であるエンジン40に形成されている。従って、第1固定孔41と規制孔43aは一体的に振動する。その結果、第1支持部61もエンジン40と一体的に振動する。そのため、エンジン40の振動時において、第1エンジン固定ボルト91及び規制体61c等に負荷が掛かりにくい。なお、例えばエンジン40が防振部材を介さずに車体フレーム10に取り付けられている場合、車体フレーム10のうちエンジン40に近い部分に、規制体61cが取り付けられていても略同様の効果を発揮できる。
【0042】
このように、第1支持部61は、エンジン40への2つの取付箇所のうち一方を第1エンジン固定ボルト91を締結して相対移動不能に固定し、他方を規制体61cを挿入して相対移動可能に取り付けている。規制体61cを挿入する作業は、第1エンジン固定ボルト91を締結する作業よりは簡易であるため、機器支持装置100の取付工程を簡単にすることができる。更に、エンジン40の2つの取付箇所をともにボルトで固定する場合、仮に自動二輪車1が転倒したときに、この取付箇所に強い力が掛かることにより、エンジン40の第1固定孔41又は突出部43が破損する可能性がある。エンジン40が破損した場合は修理費用が高額になる。この点、本実施形態では、規制体61cが相対移動可能なので、取付箇所に掛かった力を分散できる可能性がある。更に、規制体61cには高い強度は要求されないので、第1エンジン固定ボルト91よりも強度を下げることで、転倒時に規制体61cが優先的に破損するようにして、エンジン40の第1固定孔41又は突出部43が破損する確率を下げることができる。
【0043】
第2支持部62は、エンジン40の左側に配置されている。第2支持部62は、板厚方向が左右方向と同じになるように配置された板状の部材である。第2支持部62には、第2支持孔62aと、第2棒状体62bと、連結部固定ナット62cと、が形成されている。なお、第2支持部62には、規制体61cに相当する部材は形成されていない。
【0044】
第2支持孔62aは、第1支持孔61aと同軸であり、第2支持部62をエンジン40に取り付けられて固定するために用いられる。また、第2支持部62をエンジン40に固定するためのボルトを第2エンジン固定ボルト92と称する。上記の第1支持孔61a及び第1エンジン固定ボルト91に関する説明は、位置関係が対称であることを除いて、第2支持孔62a及び第2エンジン固定ボルト92にも適用できる。また、第1固定孔41に相当する部分として、エンジン40の左側には第2固定孔42が形成されている。
【0045】
第2棒状体62bは、第2支持部62からエンジン40とは反対側(即ち、第1棒状体61bと同じ側)に突出する。第1支持部61と第2支持部62は対称であることを考慮すると、第1棒状体61bと第2棒状体62bの突出方向は反対であると捉えることもできる。第2棒状体62bは、第2支持部62を連結部70に取り付けるために用いられる。また、上記の第1棒状体61bの構造及び別の形態に関する説明は、第2棒状体62bにも適用できる。なお、第1棒状体61bは複数であるのに対し、第2棒状体62bは1つである。
【0046】
連結部固定ナット62cは、第2支持部62のうちエンジン40側に1つ形成されている。連結部固定ナット62cは連結部70を第2支持部62に固定するために用いられる。第2支持部62には、第1支持部61とは異なり連結部固定ナット62cがあるため、第2棒状体62bが1つであっても複数箇所の取付けが可能となる。なお、本実施形態では、第2棒状体62bは複数形成されていてもよい。
【0047】
連結部70は、第1支持部61と第2支持部62とを連結する。図5に示すように、連結部70は、第1連結板71と、第2連結板72と、連結棒73とを備える。
【0048】
第1連結板71は、第1支持部61に取り付けられる。第1連結板71には、第1連結孔71aが形成されるとともに、この第1連結孔71aには第1防振部材71bが取り付けられている。第1連結孔71a及び第1防振部材71bは、複数(第1棒状体61bと同数)設けられている。第1支持部61と第1連結板71は、第1連結板71がエンジン40側となるように取り付けられる。詳細には、第1棒状体61bを第1連結孔71aに挿入することで、第1支持部61に第1連結板71が取り付けられる。第1棒状体61bを軸方向に固定する構造は設けられていないため、第1支持部61は第1連結板71に対して対向方向に相対移動可能に取り付けられる。
【0049】
第2連結板72は、第2支持部62に取り付けられる。第2連結板72には、第1連結板71と同様に、複数の第2連結孔72aが形成されるとともに、これらの第2連結孔72aに第2防振部材72bがそれぞれ取り付けられている。第2支持部62と第2連結板72は、第2支持部62がエンジン40側となるように取り付けられる。詳細には、一方の第2連結孔72aに第2棒状体62bが挿入される。他方の第2連結孔72aには、連結部固定ナット62cと位置を合わせた状態で、連結部固定ボルト93及びブッシュ94が挿入される。連結部固定ボルト93は連結部固定ナット62cに締結される。このように、第2連結板72は、第1連結板71とは異なり、第2支持部62に対して相対移動不能に固定される。
【0050】
第2連結板72は、エンジン40に固定された第2支持部62に固定されている(左右方向に相対移動不能に取り付けられている)。そのため、連結部70は左右方向への移動が規制されている。また、第1支持部61と第1連結板71は、左右方向に相対移動可能に取り付けられている。しかし、連結部70の左右方向への移動が規制されているため、第1連結板71が移動して第1棒状体61bが抜けることはない。更に、第1支持部61はエンジン40に固定されているため、第1支持部61が移動して第1棒状体61bが抜けることもない。そのため、第1支持部61と第1連結板71とをボルト等で固定することなく、部品の外れを防止できる。その結果、機器支持装置100の取付工程を一層簡単にすることができる。
【0051】
連結棒73は、第1連結板71のうち第1連結孔71aよりも前方と、第2連結板72のうち第2連結孔72aよりも前方と、を接続する棒状の部材である。連結棒73は、第1連結板71及び第2連結板72に溶接されている。連結棒73の前後方向の位置は、エンジン40よりも前方である。これにより、エンジン40との干渉が防止される。前後方向に長い第1支持部61の後部に第1支持孔61aが形成されており、前後方向に長い第1連結板71の前部に連結棒73が取り付けられているため、第1支持孔61aから連結棒73までの長さが長くなるため、エンジン40との干渉が防止されている(第2支持部62等についても同様)。また、図2に示すように、連結棒73の高さ方向の位置は、ラジエータ39よりも下方である。これにより、連結棒73がラジエータ39への導風の流れを阻害することを抑制できる。また、連結棒73は左右方向の中央で若干下側に位置している部分を有する。これにより、例えば連結棒73がラジエータ39等の取付部材と干渉する場合であっても、干渉を回避できる。
【0052】
なお、本実施形態の連結棒73は継ぎ目のない形状であるが、複数の部材が溶接又は固定具等により接続された構成であってもよい。また、本実施形態では一体的に構成される連結部70が第1支持部61及び第2支持部62にそれぞれ取り付けられる。これに代えて、連結棒73と、第1支持部61又は第2支持部62と、の間に別の中継部材が取り付けられていてもよい。また、連結棒73が固定具により、第1連結板71及び第2連結板72に取り付けられていてもよい。
【0053】
このように、第1支持部61と第2支持部62とは、連結部70を介して連結されている。そのため、第1支持部61、第2支持部62、及び連結部70は、一体的に回転する。そのため、第2エンジン固定ボルト92の軸方向を回転軸として第2支持部62を回転させる力が掛かった場合、第1支持部61も一体的に回転しようとするため、規制体61cが規制孔43aの内壁(干渉面)と干渉するため、第2支持部62の回転が規制される。このように、規制体61cと規制孔43aによる回転規制の機能は、第1支持部61だけでなく、第2支持部62にまで及ぶ。従って、第2支持部62に回転規制のための構成を設ける必要がない。その結果、機器支持装置100の取付工程を簡単にすることができる。
【0054】
取付部80は、第1取付部81と、第2取付部82と、を備える。第1取付部81には、補助ランプ50Rが取り付けられる。第2取付部82には、補助ランプ50Lが取り付けられる。第2取付部82は、形状が対称である以外は、第1取付部81と同じ構成であるため、以下では主に第1取付部81について説明する。
【0055】
第1取付部81は、第1連結板71と一体的に構成されている。つまり、所定形状の1枚の板材を略直角に折り曲げて孔を形成することで、第1連結板71と第1取付部81が製造される。これにより、第1連結板71と第1取付部81とを別部材にして取り付ける場合と比較して、機器支持装置100の取付工程を単純にすることができる。なお、第1連結板71と第1取付部81とが別部材であってもよい。この場合、第1取付部81は、第1連結板71に取り付けられていてもよいし、連結棒73に取り付けられていてもよい。
【0056】
第1取付部81には、取付孔81aが形成されている。取付孔81aは、補助ランプ50Rの下面に設けられた第2固定具54を挿入可能である。つまり、ランプカバー52の下面の取付孔と取付孔81aとを合わせて第2固定具54を挿入して締結することで、補助ランプ50Rが第1取付部81に取り付けられる。同様に、取付孔82a及び第2固定具54を用いて、補助ランプ50Lが第2取付部82に取り付けられる。
【0057】
次に、機器支持装置100の取付方法について簡単に説明する。なお、以下で説明する取付方法は一例であり、異なる方法で機器支持装置100を取り付けることもできる。
【0058】
初めに、規制体61cを規制孔43aに挿入するとともに、第1エンジン固定ボルト91を第1支持孔61a及び第1固定孔41に挿入して締結することで、第1支持部61をエンジン40に取り付ける。
【0059】
次に、第2棒状体62bを第2連結孔72aに挿入するとともに、連結部固定ボルト93を第2連結孔72aに挿入して連結部固定ナット62cに締結することで、第2支持部62に連結部70を取り付ける。
【0060】
その後、一体となった第2支持部62と連結部70を、第1支持部61及びエンジン40に取り付ける。エンジン40は第2支持孔62aのみで取り付けられるので、位置決めがされていないが、連結部70を第1支持部61に取り付けることで位置決めがされるので、適切な位置に第2支持部62を取り付けることができる。
【0061】
以上に説明したように、上記実施形態の機器支持装置100は、エンジン40に補助ランプ50L,50Rを支持させる。この機器支持装置100は、第1支持部61と、第2支持部62と、取付部80と、連結部70と、を備える。第1支持部61は、エンジン40に支持される第1支持孔61a、及び、エンジン40に対して第1支持孔61aを中心に相対回転することを干渉面(規制孔43aの内壁)に当たることで規制する規制体61cを有する。第2支持部62は、エンジン40を挟んで第1支持部61の反対側に配置されており、エンジン40に支持される第2支持孔62aを有する。取付部80は、第1支持部61及び第2支持部62に支持されるとともに補助ランプ50L,50Rを取付可能である。連結部70は、第1支持部61と第2支持部62とを連結する。
【0062】
これにより、第1支持孔61aに加えて規制体61cを有するため、エンジン40への取付時に第1支持部61の位置決めが容易になったり、エンジン40への取付後に第1支持部61の位置及び姿勢を安定させることができる。特に、第1支持部61が支持箇所に加えて規制体61cを有することで、規制体61cをエンジン40に固定する作業が不要となる。また、連結部70が存在するため、同様の効果を、第2支持部62にも発揮させることができる。更に、第1支持部61及び第2支持部62の位置及び姿勢が安定する結果、補助ランプ50L,50Rの位置及び姿勢を安定させることができる。
【0063】
また、上記実施形態の機器支持装置100において、第1支持部61と第2支持部62とが対向する方向を対向方向と称したときに、第1支持部61の第1支持孔61aはエンジン40に対して対向方向に相対移動不能に固定されることで当該エンジン40に支持される。第1支持部61の規制体61cは、エンジン40に対して対向方向に相対移動可能に取り付けられる。
【0064】
これにより、規制体61cを対向方向に相対移動不能に固定する必要がないので、第1支持孔61aをエンジン40に取り付ける工程を簡単にすることができる。
【0065】
また、上記実施形態の機器支持装置100において、第2支持部62の第2支持孔62aはエンジン40に対して対向方向に相対移動不能に固定されることで当該エンジン40に支持される。連結部70は、第1支持部61及び第2支持部62のうち、一方(第2支持部62)に対しては対向方向に相対移動不能に固定され、他方(第1支持部61)に対しては対向方向に相対移動可能に取り付けられる。
【0066】
上記の構造にすることで、固定が必要な箇所を更に減らすことができるので、機器支持装置100をエンジン40に取り付ける工程を一層簡単にすることができる。
【0067】
また、上記実施形態の機器支持装置100において、第1支持部61は、規制体61cがエンジン40と干渉することで、エンジン40に対して第1支持孔61aを中心に相対回転することが規制されている。
【0068】
第1支持孔61aがエンジン40に支持されるとともに規制体61cの規制もエンジン40との干渉により行うことで、仮にエンジン40が振動した場合でも第1支持孔61aと規制体61cとが同じ動きで振動するため、第1支持部61に無理な負荷が掛かることを抑制できる。
【0069】
また、上記実施形態の機器支持装置100は、対向方向の一側から当該対向方向に延びるとともに、連結部70を取り付けるための第1棒状体61bを有している。第2支持部62は、対向方向のうち第1支持部61と同じ側から対向方向に延びるとともに、連結部70を取り付けるための第2棒状体62bを有している。
【0070】
これにより、第1支持部61と第2支持部62とで、連結部70を取り付ける方向を同じにすることができるので、機器支持装置100をエンジン40に取り付ける工程を簡単にすることができる。
【0071】
また、上記実施形態の機器支持装置100において、取付部80は、2つの補助ランプ50L,50Rを取付可能であり、補助ランプ50Rを取付可能な第1取付部81と、補助ランプ50Lを取付可能な第2取付部82と、を有する。
【0072】
これにより、1つの機器支持装置100で少なくとも2つの補助ランプ50L,50Rを取り付けることができる。また、単純な構造で2つの補助ランプ50L,50Rの位置決め精度を高くするとともに、2つの補助ランプ50L,50Rの位置及び姿勢を安定させることができる。
【0073】
また、上記実施形態の機器支持装置100には、自動二輪車1用の補助ランプ50L,50Rが取り付けられる。
【0074】
これにより、自動二輪車1では振動が発生し易かったり車体を傾けたりするため、位置ズレ等が生じにくい構成が求められる。そのため、位置及び姿勢の安定性が高いという効果を有効に活用できる。
【0075】
また、上記実施形態の機器支持装置100において、第1支持部61及び第2支持部62は、当該エンジン40を挟んで左右に対向するように配置される。連結部70は、エンジン40の前方を通る。
【0076】
これにより、エンジン40に第1支持部61及び第2支持部62を支持させつつ、比較的スペースが確保し易いエンジン40の前方を利用して両者を連結できる。
【0077】
また、上記実施形態の機器支持装置100において、規制体61cがエンジン40に形成された規制孔43a(孔部)に挿入されることで、第1支持部61がエンジン40に対して第1支持孔61aを中心に相対回転することを規制する。
【0078】
これにより、エンジン40に形成された規制孔43aを用いて規制体61cによる規制を実現できる。
【0079】
また、上記実施形態の機器支持装置100において、前方を照らすヘッドランプ31、及び、前方を照らすとともにヘッドランプ31よりも高さ方向で低い位置の補助ランプ50L,50Rのうち、補助ランプ50L,50Rをエンジン40に支持させる。
【0080】
これにより、補助ランプ50L,50R等のランプは僅かな位置ズレが生じただけで光の照射方向が変化するため、位置及び姿勢の安定性が高いという効果を有効に活用できる。
【0081】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0082】
第1支持部61、第2支持部62、及び連結部70について、孔、規制体、棒状体、防振部材、及びボルトの数及び位置は一例であり、上記実施形態とは異なっていてもよい。例えば、機器支持装置100は、第1支持部61及び第2支持部62を左右方向に反転させた(左右方向の中央を通る面を対称面として反転させた)構成であってもよい。この場合、右側ではなく左側で機器支持装置100の回転が規制されることとなる。なお、機器支持装置100の回転が片側ではなく両側で規制される構成であってもよい。
【0083】
上記実施形態では、第1棒状体61bと第2棒状体62bが突出する方向は同じであるが、異なっていてもよい。この場合、第1支持部61及び第2支持部62の左右方向の内側(又は外側)に第1連結板71と第2連結板72の両方が位置する。
【0084】
上記実施形態の機器は、フォグランプ及びコーナーリングランプ等の補助ランプ50L,50Rであるが、カメラ又はレーダであってもよい。カメラ又はレーダは設置向きが重要となるため、位置ズレが生じにくい効果を有効に発揮できる。また、カメラ又はレーダ以外の車載機器であってもよい。
【0085】
上記実施形態の機器支持装置100は、左右の両方に合計2つの機器を取り付けることができる。これに代えて、機器支持装置100は、1つのみの機器を取付可能であってもよい。この場合、取付部は左右方向の中央に配置されていてもよいし、左右方向の端部に配置されていてもよい。
【0086】
上記実施形態の構造体はエンジン40であるが、車体フレーム10等の強度が高い他の部材であってもよい。
【0087】
上記実施形態では、ツアラータイプの自動二輪車に本発明を適用する例を説明したが、他の自動二輪車(ネイキッドタイプ、モトクロスタイプ、スーパースポーツタイプ、クルーズタイプ、又はスクータータイプ等)にも本発明を適用できる。また、本発明は、自動二輪車以外の他の鞍乗型車両(運転者が跨って乗る車両)及び鞍乗型車両以外の車両にも適用することができる。他の鞍乗型車両としては、主として非舗装地を走行するための3輪又は4輪の全地形対応車(ATV、All Terrain Vehicle)を挙げることができる。また、車両以外にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 自動二輪車
31 ヘッドランプ(上ランプ)
40 エンジン
41 第1固定孔
42 第2固定孔
43a 規制孔
50L 補助ランプ(機器、第1機器、下ランプ)
50R 補助ランプ(機器、第2機器、下ランプ)
51 光源部
52 ランプカバー
61 第1支持部
62 第2支持部
70 連結部
71 第1連結板
72 第2連結板
73 連結棒
80 取付部
81 第1取付部
82 第2取付部
100 機器支持装置
図1
図2
図3
図4
図5