(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-03
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】ケース入り眼鏡
(51)【国際特許分類】
G02C 5/00 20060101AFI20220204BHJP
G02C 5/12 20060101ALI20220204BHJP
G02C 5/16 20060101ALI20220204BHJP
G02C 13/00 20060101ALI20220204BHJP
【FI】
G02C5/00
G02C5/12
G02C5/16
G02C13/00
(21)【出願番号】P 2017242303
(22)【出願日】2017-12-19
【審査請求日】2020-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】512119300
【氏名又は名称】FILSTON GLOBAL DESIGN WORKS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002804
【氏名又は名称】特許業務法人フェニックス特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100148437
【氏名又は名称】中出 朝夫
(72)【発明者】
【氏名】石田 達也
【審査官】中村 説志
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-073625(JP,U)
【文献】登録実用新案第3187617(JP,U)
【文献】登録実用新案第3186149(JP,U)
【文献】登録実用新案第3166589(JP,U)
【文献】特開2016-080912(JP,A)
【文献】実開平04-129127(JP,U)
【文献】実開昭60-164922(JP,U)
【文献】実開平05-055917(JP,U)
【文献】特開2005-278802(JP,A)
【文献】特開平09-294620(JP,A)
【文献】実開平06-023031(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2010/0296045(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104142580(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 1/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性材料により一体成形されてなる眼鏡フロント枠(1)の両側方から後方にエンドピース(11)が持出成形されており、このエンドピース(11)の先端のヒンジ軸(12)に、可撓性材料からなるテンプル(2・2)がそれぞれ枢支され、互いに内側に折り畳み可能に構成されている一方、
前記眼鏡フロント枠(1)の鼻当部(13)にはスリット(13a)が形成されており、
眼鏡フロント枠(1)および両テンプル(2・2)が互いに寄り合う方向に撓曲して、前記スリット(13a)の内側に両テンプル(2・2)の本体が付勢状態で掛止されて、当該両テンプル(2・2)を折り畳み状態で保持できるように構成した眼鏡が、
略中央に開口部(31)が形成された一対の帯状シート材が側縁部において貼り合わされてなるケース(3)において、
前記フロント枠(1)および一方のテンプル(2)がケース(3)内に収納され、かつ、他方のテンプル(2)が、ケース(3)の外側から開口部(31)に露出するフロント枠(1)の鼻当部(13)のスリット(13a)に掛止されていることを特徴とするケース入り眼鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼鏡の改良、更に詳しくは、テンプルの掛止力に優れており、かつ、薄型の眼鏡ケースにも確実に固定することができるテンプル保持眼鏡およびケース入り眼鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、眼鏡はファッションアイテムとして使用されており、様々な種類があるが、近年では、薄型で携帯性に優れ、外観的にもスッキリとしたデザインのものの人気が高い。
【0003】
従来、未使用時の眼鏡が嵩張らないようにする構造として、内側に折り畳んだテンプルをブリッジ付近で掛止するものが開示されている(例えば、特許文献1および2参照)。
【0004】
しかしながら、かかる眼鏡では、テンプルの折り畳み位置に掛止部を形成しなければならず、デザインが制約されてしまうという問題がある。
【0005】
そこで、テンプルの保持部分を鼻当て部に設けた眼鏡が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
しかしながら、かかる眼鏡においては、たしかにテンプル保持領域にテンプルを掛止することによってデザインの自由度が上がるが、テンプルのヒンジ連結位置がフロント枠に近いために、テンプルがほとんど変形せず掛止力が弱いという問題がある。
【0007】
また、眼鏡の未使用時は、通常、箱型の眼鏡ケースに収納しておくことが多いが、ケース自体が嵩張ってしまうのでは、結果的に携帯性が向上しないことから、ケース自体も薄型にすることが好ましく、このような特殊な構造のケースの場合、眼鏡をケース内に確実に固定する手段が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】実開昭62-104223号公報
【文献】実開平5-66618号公報
【文献】実開平5-73625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来の眼鏡構造に上記のような問題があったことに鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、テンプルの掛止力に優れており、かつ、薄型の眼鏡ケースにも確実に固定することができるテンプル保持眼鏡およびケース入り眼鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者が上記技術的課題を解決するために採用した手段を、添付図面を参照して説明すれば、次のとおりである。
【0011】
即ち、本発明は、可撓性材料により一体成形されてなる眼鏡フロント枠1の両側方から後方にエンドピース11を持出成形して、このエンドピース11の先端のヒンジ軸12に、可撓性材料からなるテンプル2・2をそれぞれ枢支して、互いに内側に折り畳み可能に構成する一方、
前記眼鏡フロント枠1の鼻当部13にはスリット13aを形成して、
眼鏡フロント枠1および両テンプル2・2を互いに寄り合う方向に撓曲させて、前記スリット13aの内側に両テンプル2・2の本体を付勢状態で掛止して、当該両テンプル2・2を折り畳み状態で保持できるように構成した眼鏡を、
略中央に開口部31が形成された一対の帯状シート材が側縁部において貼り合わされてなるケース3において、
前記フロント枠1および一方のテンプル2をケース3内に収納して、かつ、他方のテンプル2を、ケース3の外側から開口部31に露出するフロント枠1の鼻当部13のスリット13aに掛止するという技術的手段を採用することによって、ケース入り眼鏡を完成させた。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては、可撓性材料により一体成形されてなる眼鏡フロント枠の両側方から後方にエンドピースを持出成形して、このエンドピースの先端のヒンジ軸に、可撓性材料からなるテンプルをそれぞれ枢支して、互いに内側に折り畳み可能に構成する一方、前記眼鏡フロント枠の鼻当部にはスリットを形成したことによって、
眼鏡フロント枠および両テンプルを互いに寄り合う方向に撓曲させて、前記スリットの内側に両テンプルの本体を付勢状態で掛止して、当該両テンプルを折り畳み状態で保持することができる。
【0015】
したがって、本発明の眼鏡によれば、眼鏡フロント枠およびテンプルの両方が弾性変形することによって、テンプルの掛止力を向上することができ、掛止部分に抜止めなどの加工をしなくても、簡素な構造で確実に掛止することができる。
【0016】
また、かかる掛止構造により、薄型の眼鏡ケースにも確実に固定することができることから、携帯性に優れたケース入り眼鏡を構成することもでき、産業上の利用価値は頗る大きい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態の眼鏡を表わす斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態の眼鏡を表わす上面図である。
【
図3】本発明の実施形態の眼鏡の折り畳み状態を表わす上面図である。
【
図4】本発明の実施形態の眼鏡ケースを表わす斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態の眼鏡のケース収容時を表わす上面図である。
【
図6】本発明の実施形態の眼鏡のケース収容時を表わす上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態を
図1から
図6に基づいて説明する。図中、符号1で指示するものは眼鏡フロント枠であり、この眼鏡フロント枠1は、レンズを保持するリムをブリッジで連結してなる。また、符号2で指示するものはテンプルであり、このテンプル2は、左右一対に設けられた耳掛用の長手部材である。更にまた、符号3で指示するものはケースであり、このケース3は、本発明の眼鏡を収納するためのものである。
【0019】
しかして、本実施形態の眼鏡を構成するにあっては、まず、可撓性材料により一体成形されてなる眼鏡フロント枠1の両側方から後方にエンドピース11が持出成形されている(
図1および
図2参照)。一体成形することによって部品同士の接合加工を削減することができ、かつ、接合部の破損リスクを軽減することもできる。
【0020】
そして、このエンドピース11の先端のヒンジ軸12に、可撓性材料からなるテンプル2・2がそれぞれ枢支され、互いに内側に折り畳み可能に構成されている。
【0021】
本実施形態では、これら眼鏡フロント枠1およびテンプル2の可撓性材料としてポリカーボネートを採用することができ、加工性に優れており耐久性も良好である。
【0022】
また、前記眼鏡フロント枠1の鼻当部13にはスリット13aが形成されている。本実施形態の鼻当部13は、リムに一体成形されたサドル型の形状を採用するとともに、スリット13aは、上側に開口している。
【0023】
このように構成したことによって、テンプルを収納する際は、眼鏡フロント枠1および両テンプル2・2が互いに寄り合う方向に撓曲して、前記スリット13aの内側に両テンプル2・2の本体が付勢状態で掛止されて、当該両テンプル2・2を折り畳み状態で保持することができる(
図3参照)。
【0024】
即ち、作用反作用により眼鏡フロント枠1およびテンプル2の両方が弾性変形することによって、テンプルの掛止力を向上することができ、掛止部分に抜止めなどの加工をしなくても、簡素な構造で確実に掛止することができるのである。
【0025】
また、眼鏡フロント枠1の両側方から後方にエンドピース11を持出成形して、このエンドピース11の先端のヒンジ軸12を設けていることにより、リムに近接するスリット13aの位置に対して、テンプル2の変形量を大きくすることができ(同時に反作用により眼鏡フロント枠1も変形して)、より強く付勢して掛止力を高めることができる。
【0026】
次に、上記のように構成した本発明のテンプル保持眼鏡をケースに収納する場合について以下に説明する。本実施形態では、略中央に開口部31が形成された一対の帯状シート材が側縁部において貼り合わされてなるケース3を構成する(
図4参照)。貼り合わせは縫合により行う。このケース3の内部に眼鏡を収容することにより、レンズ等の露出を防止して、本体を確実に保護することができる。
【0027】
まず、
図5に示すように、一方のテンプル2を折り畳んだ状態で、必要に応じて、スリット13aの内側に掛止して、ケース3内の側方から内部に挿入する。
【0028】
そして、他方のテンプル2を、ケース3の外側から開口部31に露出するフロント枠1の鼻当部13のスリット13aに掛止する(
図6参照)。
【0029】
こうすることによって、他方のテンプル2がケース3をガッチリと挟持するため、薄型の眼鏡ケースにも眼鏡を確実に固定することができ、携帯性に優れたケース入り眼鏡を構成することができる。
【0030】
本発明は、概ね上記のように構成されるが、本発明は図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、眼鏡フロント枠1およびテンプル2を構成する可撓性材料は、ポリカーボネートに限らず、他の樹脂材料や金属材料を採用することができる。
【0031】
また、鼻当部13のスリット13aは下側に開口していても良く、これら何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0032】
1 眼鏡フロント枠
11 エンドピース
12 ヒンジ軸
13 鼻当部
13a スリット
2 テンプル
3 ケース
31 開口部