(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-03
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】移動体評価装置、及び、移動体制御装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20220204BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/00 A
(21)【出願番号】P 2017159017
(22)【出願日】2017-08-22
【審査請求日】2020-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】515342479
【氏名又は名称】笠原 一
(74)【代理人】
【識別番号】100176256
【氏名又は名称】相田 隆敬
(73)【特許権者】
【識別番号】391021226
【氏名又は名称】株式会社カーメイト
(74)【代理人】
【識別番号】100083596
【氏名又は名称】橘高 郁文
(72)【発明者】
【氏名】笠原 一
【審査官】マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-048490(JP,A)
【文献】特開平05-313583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路名及び住所で規定された所定の交通ルールが適用されるルール適用位置を記憶した記憶部と、
移動体の緯度・経度を取得する取得部と、
前記移動体の前記所定の交通ルールへの対応を評価する評価部と、
を備え、
前記評価部は、前記取得された移動体の緯度・経度に基づき前記移動体が走行中の住所及び前記移動体の移動方向を決定し、前記決定された住所内に存在する走行方向の異なる複数の道路のうち、前記決定された移動方向に前記移動体が走行可能な道路に対応する前記所定の交通ルールへの前記移動体の対応を、前記取得された移動体の緯度・経度に基づき評価することを特徴とする移動体評価装置。
【請求項2】
前記記憶部には、前記所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の
道路名及び住所が、前記所定の交通ルールごとに記憶されており、
前記評価部は、前記所定の交通ルールごとに前記所定の交通ルールへの対応を評価することを特徴とする
請求項1に記載の移動体評価装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記移動体の緯度・経度に対応する時刻情報又は速度情報を更に取得し、
前記評価部は、前記所定の交通ルールと、前記所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の
道路名及び住所と、前記取得された緯度・経度と、前記取得された時刻情報又は速度情報と、に基づき、前記移動体の前記所定の交通ルールへの対応を評価することを特徴とする
請求項1又は2に記載の移動体評価装置。
【請求項4】
道路名及び住所で規定された所定の交通ルールが適用されるルール適用位置が記憶されるコンピュータにインストールされるプログラムであって、
移動体の緯度・経度を取得するステップと、
前記移動体の前記所定の交通ルールへの対応を評価するステップと、
を備え、
前記評価するステップでは、前記取得された移動体の緯度・経度に基づき前記移動体が走行中の住所及び前記移動体の移動方向を決定し、前記決定された住所内に存在する走行方向の異なる複数の道路のうち、前記決定された移動方向に前記移動体が走行可能な道路に対応する前記所定の交通ルールへの前記移動体の対応を、前記取得された移動体の緯度・経度に基づき評価することを特徴とする移動体評価プログラム。
【請求項5】
前記コンピュータには、前記所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の
道路名及び住所が、前記所定の交通ルールごとに記憶されており、
前記評価するステップでは、前記所定の交通ルールごとに前記所定の交通ルールへの対応を評価することを特徴とする
請求項4に記載の移動体評価プログラム。
【請求項6】
前記取得するステップでは、前記移動体の緯度・経度に対応する時刻情報又は速度情報を更に取得し、
前記評価するステップでは、前記所定の交通ルールと、前記所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の
道路名及び住所と、前記取得された緯度・経度と、前記取得された時刻情報又は速度情報と、に基づき、前記移動体の前記所定の交通ルールへの対応を評価することを特徴とする
請求項4又は5に記載の移動体評価プログラム。
【請求項7】
道路名及び住所で規定された所定の交通ルールが適用されるルール適用位置を記憶した記憶部と、
移動体の緯度・経度を取得する取得部と、
前記移動体の走行を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記取得された移動体の緯度・経度に基づき前記移動体が走行中の住所及び前記移動体の移動方向を決定し、前記決定された住所内に存在する走行方向の異なる複数の道路のうち、前記決定された移動方向に前記移動体が走行可能な道路に対応する前記所定の交通ルールと、前記取得された緯度・経度と、に基づき、前記移動体の走行を制御することを特徴とする移動体制御装置。
【請求項8】
前記記憶部には、前記所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の
道路名及び住所が、前記所定の交通ルールごとに記憶されており、
前記制御部は、前記所定の交通ルールごとに前記移動体の走行を制御することを特徴とする
請求項7に記載の移動体制御装置。
【請求項9】
前記取得部は、前記移動体の緯度・経度に対応する時刻情報又は速度情報を更に取得し、
前記制御部は、前記所定の交通ルールと、前記所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の
道路名及び住所と、前記取得された緯度・経度と、前記取得された時刻情報又は速度情報と、に基づき、前記移動体の走行を制御することを特徴とする
請求項7又は8に記載の移動体制御装置。
【請求項10】
道路名及び住所で規定された所定の交通ルールが適用されるルール適用位置が記憶されるコンピュータにインストールされるプログラムであって、
移動体の緯度・経度を取得するステップと、
前記移動体の走行を制御するステップと、
を備え、
前記制御するステップでは、前記取得された移動体の緯度・経度に基づき前記移動体が走行中の住所及び前記移動体の移動方向を決定し、前記決定された住所内に存在する走行方向の異なる複数の道路のうち、前記決定された移動方向に前記移動体が走行可能な道路に対応する前記所定の交通ルールと、前記取得された緯度・経度と、に基づき、前記移動体の走行を制御することを特徴とする移動体制御プログラム。
【請求項11】
前記コンピュータには、前記所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の
道路名及び住所が、前記所定の交通ルールごとに記憶されており、
前記制御するステップでは、前記所定の交通ルールごとに前記移動体の走行を制御することを特徴とする
請求項10に記載の移動体制御プログラム。
【請求項12】
前記取得するステップでは、前記移動体の緯度・経度に対応する時刻情報又は速度情報を更に取得し、
前記制御するステップでは、前記所定の交通ルールと、前記所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の
道路名及び住所と、前記取得された緯度・経度と、前記取得された時刻情報又は速度情報と、に基づき、前記移動体の走行を制御することを特徴とする
請求項10又は11に記載の移動体制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の交通ルールへの対応を正確に評価するための移動体評価装置、及び、交通ルールに対して移動体を適切に制御するための移動体制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に搭載されたカメラにより撮影された車両の周囲の動画データと、GPS信号から検出された車両の走行状態と、に基づき、検出された走行状態が法定基準に違反しているか否かを判定する装置が知られている。例えば、信号無視の場合には、動画データに映った信号機が、信号機(赤)のテンプレートと一致する場合に、信号無視と判定する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、画像というものは、車両からの距離、車両からの角度、周囲の明るさ、カメラの性能等によって無数のバリエーションで撮影されてしまうものであるため、テンプレートと大きく異なった画像も存在し得る。そのため、テンプレートと比較する方法により信号機や標識の存在を高精度に特定することは、極めて困難である。
【0005】
そこで、本発明は、移動体の交通ルールへの対応を正確に評価するための移動体評価装置、及び、交通ルールに対して移動体の走行を適切に制御するための移動体制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の緯度・経度を記憶した記憶部と、移動体の緯度・経度を取得する取得部と、前記所定の交通ルールと、前記所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の緯度・経度と、前記取得された緯度・経度と、に基づき、前記移動体の前記所定の交通ルールへの対応を評価する評価部と、を備えたことを特徴とする移動体評価装置を提供している。
【0007】
このような構成によれば、どの道路を走行していたか等を地図等を用いて把握するまでもなく、緯度・経度のデータのみで、移動体の交通ルールへの対応を正確に評価することが可能となる。特に、「ある人物が、取り締まりを受けていない違反をどれくらい犯していたか」等を調査する際に、より効果的である。この際、所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の緯度・経度として、公安委員会、警察署等が発行する意思決定のデータに記載された緯度・経度を用いることで、より正確に移動体の交通ルールへの対応を評価することが可能となる。
【0008】
また、前記記憶部には、前記所定の交通ルールが適用される複数のルール適用位置の緯度・経度が点集合範囲として記憶されており、前記評価部は、前記取得された緯度・経度が、前記点集合範囲に含まれるか否かに基づき、前記移動体の前記所定の交通ルールへの対応を評価することが好ましい。
【0009】
このような構成によれば、公安委員会、警察署等が発行する意思決定のデータ等に記載された緯度・経度がおおまかなものであっても、所定の交通ルールが当然適用される緯度・経度までルール適用位置とみなすことができるので、移動体の交通ルールへの対応を漏れなく評価することが可能となる。
【0010】
また、前記記憶部には、前記所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の緯度・経度が、前記所定の交通ルールごとに記憶されており、前記評価部は、前記所定の交通ルールごとに前記所定の交通ルールへの対応を評価することが好ましい。
【0011】
このような構成によれば、所望の交通ルールへの対応だけを評価する等、様々な要望に対して対応することが可能となる。
【0012】
また、前記取得部は、前記移動体の緯度・経度に対応する時刻情報又は速度情報を更に取得し、前記評価部は、前記所定の交通ルールと、前記所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の緯度・経度と、前記取得された緯度・経度と、前記取得された時刻情報又は速度情報と、に基づき、前記移動体の前記所定の交通ルールへの対応を評価することが好ましい。
【0013】
このような構成によれば、移動体の位置に関する交通ルールへの対応でなく、移動体の速度に関する交通ルールへの対応まで評価することが可能となる。
【0014】
また、前記記憶部には、前記所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の緯度・経度として、住所が記憶されており、前記取得部は、更に、前記移動体の移動方向を取得し、前記評価部は、前記所定の交通ルールと、前記住所と、前記取得された緯度・経度と、前記取得された移動方向と、に基づき、前記移動体の前記所定の交通ルールへの対応を評価することが好ましい。
【0015】
このような構成によれば、交通ルールが適用される住所と、移動体の緯度・経度と、移動体の移動方向と、が分かれば、どの道路を走行していたか等を地図等を用いて把握するまでもなく、移動体の交通ルールへの対応を評価することが可能となる。
【0016】
また、本発明の別の観点によれば、所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の緯度・経度が記憶されるコンピュータにインストールされるプログラムであって、移動体の緯度・経度を取得するステップと、前記所定の交通ルールと、前記所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の緯度・経度と、前記取得された緯度・経度と、に基づき、前記移動体の前記所定の交通ルールへの対応を評価するステップと、を備えたことを特徴とする移動体評価プログラムを提供している。
【0017】
また、前記コンピュータには、前記所定の交通ルールが適用される複数のルール適用位置の緯度・経度が点集合範囲として記憶されており、前記評価するステップでは、前記取得された緯度・経度が、前記点集合範囲に含まれるか否かに基づき、前記移動体の前記所定の交通ルールへの対応を評価することが好ましい。
【0018】
また、前記コンピュータには、前記所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の緯度・経度が、前記所定の交通ルールごとに記憶されており、前記評価するステップでは、前記所定の交通ルールごとに前記所定の交通ルールへの対応を評価することが好ましい。
【0019】
また、前記取得するステップでは、前記移動体の緯度・経度に対応する時刻情報又は速度情報を更に取得し、前記評価するステップでは、前記所定の交通ルールと、前記所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の緯度・経度と、前記取得された緯度・経度と、前記取得された時刻情報又は速度情報と、に基づき、前記移動体の前記所定の交通ルールへの対応を評価することが好ましい。
【0020】
また、前記コンピュータには、前記所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の緯度・経度として、住所が記憶されており、前記取得するステップでは、更に、前記移動体の移動方向を取得し、前記評価するステップでは、前記所定の交通ルールと、前記住所と、前記取得された緯度・経度と、前記取得された移動方向と、に基づき、前記移動体の前記所定の交通ルールへの対応を評価することが好ましい。
【0021】
また、本発明の別の観点によれば、所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の緯度・経度を記憶した記憶部と、移動体の緯度・経度を取得する取得部と、前記所定の交通ルールと、前記所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の緯度・経度と、前記取得された緯度・経度と、に基づき、前記移動体の走行を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする移動体制御装置を提供している。
【0022】
このような構成によれば、どの道路を走行していたる等を地図等を用いて把握するまでもなく、緯度・経度のデータのみで、移動体の走行を適切に制御することが可能となる。特に、警察の取り締まりが少ない道路や交通事項の多い道路等でこの制御を行うと、より効果的である。この際、所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の緯度・経度として、公安委員会、警察署等が発行する意思決定のデータに記載された緯度・経度を用いることで、より適切に移動体の走行を制御することが可能となる
【0023】
また、前記記憶部には、前記所定の交通ルールが適用される複数のルール適用位置の緯度・経度が点集合範囲として記憶されており、前記制御部は、前記取得された緯度・経度が、前記点集合範囲に含まれるか否かに基づき、前記移動体の走行を制御することが好ましい。
【0024】
このような構成によれば、公安委員会、警察署等が発行する意思決定のデータ等に記載された緯度・経度がおおまかなものであっても、所定の交通ルールが当然適用される緯度・経度までルール適用位置とみなすことができるので、移動体の走行をより適切に制御することが可能となる。
【0025】
また、前記記憶部には、前記所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の緯度・経度が、前記所定の交通ルールごとに記憶されており、前記制御部は、前記所定の交通ルールごとに前記移動体の走行を制御することが好ましい。
【0026】
このような構成によれば、各交通ルールに応じて移動体の走行をより適切に制御することが可能となる。
【0027】
また、前記取得部は、前記移動体の緯度・経度に対応する時刻情報又は速度情報を更に取得し、前記制御部は、前記所定の交通ルールと、前記所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の緯度・経度と、前記取得された緯度・経度と、前記取得された時刻情報又は速度情報と、に基づき、前記移動体の走行を制御することが好ましい。
【0028】
このような構成によれば、移動体の位置に関する制御のみならず、移動体の速度に関する制御まで行うことが可能となる。
【0029】
また、前記記憶部には、前記所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の緯度・経度として、住所が記憶されており、前記取得部は、更に、前記移動体の移動方向を取得し、前記制御部は、前記所定の交通ルールと、前記住所と、前記取得された緯度・経度と、前記取得された移動方向と、に基づき、前記移動体の走行を制御することが好ましい。
【0030】
このような構成によれば、交通ルールが適用される住所と、移動体の緯度・経度と、移動体の移動方向と、が分かれば、どの道路を走行していたか等を地図等を用いて把握するまでもなく、移動体の走行を制御することが可能となる。
【0031】
また、本発明の別の観点によれば、所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の緯度・経度が記憶されるコンピュータにインストールされるプログラムであって、移動体の緯度・経度と、を取得するステップと、前記所定の交通ルールと、前記所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の緯度・経度と、前記取得された緯度・経度と、に基づき、前記移動体の走行を制御するステップと、を備えたことを特徴とする移動体制御プログラムを提供している。
【0032】
また、前記コンピュータには、前記所定の交通ルールが適用される複数のルール適用位置の緯度・経度が点集合範囲として記憶されており、前記制御するステップでは、前記取得された緯度・経度が、前記点集合範囲に含まれるか否かに基づき、前記移動体の走行を制御することが好ましい。
【0033】
また、前記コンピュータには、前記所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の緯度・経度が、前記所定の交通ルールごとに記憶されており、前記制御するステップでは、前記所定の交通ルールごとに前記移動体の走行を制御することが好ましい。
【0034】
また、前記取得するステップでは、前記移動体の緯度・経度に対応する時刻情報又は速度情報を更に取得し、前記制御するステップでは、前記所定の交通ルールと、前記所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の緯度・経度と、前記取得された緯度・経度と、前記取得された時刻情報又は速度情報と、に基づき、前記移動体の走行を制御することが好ましい。
【0035】
また、前記コンピュータには、前記所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の緯度・経度として、住所が記憶されており、前記取得するステップでは、更に、前記移動体の移動方向を取得し、前記制御するステップでは、前記所定の交通ルールと、前記住所と、前記取得された緯度・経度と、前記取得された移動方向と、に基づき、前記移動体の走行を制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0036】
本発明の移動体評価装置によれば、移動体の交通ルールへの対応を正確に評価することが可能となる。また、本発明の移動体制御装置によれば、交通ルールに対して移動体を適切に制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の第1の実施の形態による移動体評価装置の使用環境を示した模式図
【
図2】本発明の第1の実施の形態による複数のルール適用位置の緯度・経度の説明図
【
図3】本発明の第1の実施の形態による評価のフローチャート
【
図4】本発明の第2の実施の形態による移動体制御装置の使用環境を示した模式図
【
図5】本発明の第2の実施の形態による制御のフローチャート
【
図6】本発明の変形例によるルール適用位置と住所との関係を示した図
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の第1の実施の形態による移動体評価装置1について、
図1-
図3を参照して説明する。
【0039】
移動体評価装置1は、移動体の交通ルールへの対応を評価するためのものであり、本実施の形態では、
図1に示すように、車両2の交通ルールへの対応を評価する。移動体評価装置1は、通信センター3に設置されているものとする。
【0040】
車両2には、自らの位置を検出可能なGPS装置21が搭載されており、自らの位置に関する位置情報22を、検出時刻である時刻情報23に関連付けて移動体評価装置1に送信可能な構成となっている。
【0041】
移動体評価装置1は、記憶部4と、取得部5と、評価部6と、を備えている。
【0042】
記憶部4には、所定の交通ルール(交通規制、交通制限等)が適用されるルール適用位置の緯度・経度が、所定の交通ルールごとに記憶されている。所定の交通ルールとしては、道路標識(規制標識、指示標識、補助標識)、道路標示(規制表示、指示表示)等で示されるルールが考えられ、これらのルールが適用されるルール適用位置の緯度・経度は、公安委員会、警察署等が発行する意思決定のデータに記載されたものを用いるものとする。
【0043】
これらのルール適用位置は、データ上で取り扱えば済むので地図のように表示する必要はないが、理解容易のために、これらのルール適用位置の緯度・経度を表示した場合、
図2に示すようなものとなる。
図2では、所定の速度制限が適用される複数のルール適用位置の緯度・経度が点集合範囲Aを形成し、一時停止が適用される複数のルール適用位置の緯度・経度が点集合範囲Bを形成し、駐車禁止が適用される複数のルール適用位置の緯度・経度が点集合範囲Cを形成していることを示している。
【0044】
本実施の形態では、所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の緯度・経度と正確に一致する緯度・経度だけでなく、各点集合範囲に含まれる緯度・経度は全て、所定の交通ルールが適用されるルール適用位置とみなす。
【0045】
取得部5は、車両2に搭載されたGPS装置21と通信可能な構成となっており、GPS装置21から送信された車両2の位置情報22及び時刻情報23を受信する。受信された位置情報22及び時刻情報23は、記憶部4に記憶される。位置情報22は、車両2の位置を緯度・経度で示したものである。
【0046】
評価部6は、所定の交通ルールと、所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の緯度・経度と、位置情報22と、時刻情報23と、に基づき、車両2の交通ルールへの対応を評価する。
【0047】
この評価部6による車両2の交通ルールへの対応の評価について
図3のフローチャートを用いて説明する。
図3では、
図2の点集合範囲Aに相当する所定の制限速度に対する対応を評価するものとする。この評価は、取得部5が位置情報22及び時刻情報23を受信すると同時に行ってもよいし、後から行ってもよい。
【0048】
まず、評価部6は、第1の位置情報22と、第1の位置情報22に関連付けられた第1の時刻情報23と、を記憶部4から取得する(S1)。
【0049】
但し、リアルタイムで評価を行う場合には、記憶部4に記憶された第1の位置情報22及び第1の時刻情報23ではなく、取得部5により受信されたものをそのまま用いてもよい。
【0050】
続いて、第1の位置情報22が、点集合範囲Aに含まれるか否かを判断する(S2)。この判断は、第1の位置情報22を示す緯度・経度(数値)と、点集合範囲Aに含まれる緯度・経度(数値)と、をデータ(数値)上で比較することで行う。
【0051】
第1の位置情報22が、点集合範囲Aに含まれない場合(S2:NO)、そのまま処理を終了する。
【0052】
一方、第1の位置情報22が、点集合範囲Aに含まれる場合(S2:YES)、その直前又は直後の第2の位置情報22と、第2の位置情報22に関連付けられた第2の時刻情報23と、を記憶部4から取得する(S3)。
【0053】
続いて、第1の位置情報22と第2の位置情報22との差異、及び、第1の時刻情報23と第2の時刻情報23との差異に基づき、車両2の速度を算出する(S4)。この場合も、第1の位置情報22と第2の位置情報22との差異は、それぞれの緯度・経度を示すデータ(数値)のみから算出することができる。
【0054】
最後に、所定の制限速度と、S4で算出された車両2の速度と、を比較することで、車両2の所定の制限速度への対応を評価する(S5)。例えば、S4で算出された車両2の速度が、所定の制限速度を超えている場合には、速度制限違反と評価することができる。
【0055】
以上説明したように、本実施の形態による移動体評価装置1では、所定の交通ルールと、所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の緯度・経度と、車両2の位置情報(緯度・経度)と、に基づき、車両2の所定の交通ルールへの対応を評価する。
【0056】
このような構成によれば、どの道路を走行していたか等を地図等を用いて把握するまでもなく、緯度・経度のデータのみで、車両2の交通ルールへの対応を正確に評価することが可能となる。特に、「ある人物が、取り締まりを受けていない違反をどれくらい犯していたか」等を調査する際に、より効果的である。この際、所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の緯度・経度として、公安委員会、警察署等が発行する意思決定のデータに記載された緯度・経度を用いることで、より正確に車両2の交通ルールへの対応を評価することが可能となる。
【0057】
また、本実施の形態では、所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の緯度・経度と正確に一致する緯度・経度だけでなく、同じ交通ルールが適用される複数の緯度・経度の点集合範囲に含まれる緯度・経度は全て、所定の交通ルールが適用されるルール適用位置とみなす。
【0058】
このような構成によれば、公安委員会、警察署等が発行する意思決定のデータ等に記載された緯度・経度がおおまかなものであっても、所定の交通ルールが当然適用される緯度・経度までルール適用位置とみなすことができるので、車両2の交通ルールへの対応を漏れなく評価することが可能となる。
【0059】
また、記憶部4には、所定の交通ルールが適用される複数のルール適用位置の緯度・経度が所定の交通ルールごとに記憶されており、車両2の交通ルールへの対応も所定の交通ルールごとに評価する。
【0060】
このような構成によれば、所望の交通ルールへの対応だけを評価する等、様々な要望に対して対応することが可能となる。
【0061】
続いて、本発明の第2の実施の形態による移動体制御装置10について、
図4及び
図5を参照して説明する。第1の実施の形態と同一の部材には同一の参照番号を付し、その説明は省略する。
【0062】
本実施の形態では、移動体制御装置10は、
図4に示すように、車両2に搭載されている。また、車両2には、GPS装置21も搭載されており、位置情報22及び時刻情報23を、常時又は定期的に検出しているものとする。
【0063】
移動体制御装置10は、記憶部4と、取得部5と、制御部7と、を備えている。
【0064】
記憶部4には、第1の実施の形態と同様に、所定の交通ルール(交通規制、交通制限等)が適用されるルール適用位置の緯度・経度が、所定のルールごとに記憶されている。
【0065】
取得部5は、GPS装置21から送信された位置情報22及び時刻情報23を受信する。受信された位置情報22及び時刻情報23は、記憶部4に記憶される。
【0066】
制御部7は、所定の交通ルールと、所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の緯度・経度と、位置情報22と、時刻情報23と、に基づき、に基づき、車両2の走行を制御する。
【0067】
この制御部7による車両2の走行の制御について
図5のフローチャートを用いて説明する。
図5では、所定の制限速度に対する対応を評価するものとする。この制御は、取得部5が位置情報22及び時刻情報23を受信すると同時に行うことが好ましい。
【0068】
まず、制御部7は、第1の位置情報22と、第1の位置情報22に関連付けられた第1の時刻情報23と、を記憶部4から取得する(S11)。
【0069】
但し、リアルタイムで制御を行う場合には、記憶部4に記憶された位置情報22及び時刻情報23ではなく、取得部5により受信されたものをそのまま用いてもよい。
【0070】
続いて、第1の位置情報22が、点集合範囲Aに含まれるか否かを判断する(S12)。この判断は、第1の位置情報22を示す緯度・経度(数値)と、点集合範囲Aに含まれる緯度・経度(数値)と、をデータ(数値)上で比較することで行う。
【0071】
第1の位置情報22が、点集合範囲Aに含まれない場合(S12:NO)、そのまま処理を終了する。
【0072】
一方、第1の位置情報22が、点集合範囲Aに含まれる場合(S12:YES)、その直前又は直後の第2の位置情報22と、第2の位置情報22に関連付けられた第2の時刻情報23と、を記憶部4から取得する(S13)。
【0073】
続いて、第1の位置情報22と第2の位置情報22との差異、及び、第1の時刻情報23と第2の時刻情報23との差異に基づき、車両2の速度を算出する(S14)。この場合も、第1の位置情報22と第2の位置情報22との差異は、それぞれの緯度・経度を示すデータ(数値)のみから算出することができる。
【0074】
最後に、所定の制限速度と、S14で算出された車両2の速度と、に基づき、車両2の走行を制御する(S15)。例えば、S14で算出された車両2の速度が、所定の制限速度を超えている場合には、車両2の速度を所定の制限速度以下まで減速させる制御を行う等が考えられる。
【0075】
以上説明したように、本実施の形態による移動体制御装置10では、所定の交通ルールと、所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の緯度・経度と、車両2の位置情報(緯度・経度)又は速度と、に基づき、車両2の走行を制御する。
【0076】
このような構成によれば、どの道路を走行していたる等を地図等を用いて把握するまでもなく、緯度・経度のデータのみで、車両2の走行を適切に制御することが可能となる。特に、警察の取り締まりが少ない道路や交通事項の多い道路等でこの制御を行うと、より効果的である。この際、所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の緯度・経度として、公安委員会、警察署等が発行する意思決定のデータに記載された緯度・経度を用いることで、より適切に車両2の走行を制御することが可能となる。
【0077】
また、本実施の形態では、所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の緯度・経度と正確に一致する緯度・経度だけでなく、同じ交通ルールが適用される複数の緯度・経度の点集合範囲に含まれる緯度・経度は全て、所定の交通ルールが適用されるルール適用位置とみなす。
【0078】
このような構成によれば、公安委員会、警察署等が発行する意思決定のデータ等に記載された緯度・経度がおおまかなものであっても、所定の交通ルールが当然適用される緯度・経度までルール適用位置とみなすことができるので、車両2の走行をより適切に制御することが可能となる。
【0079】
また、記憶部4には、所定の交通ルールが適用される複数のルール適用位置の緯度・経度が所定の交通ルールごとに記憶されており、車両2の走行の制御も所定の交通ルールごとに行う。
【0080】
このような構成によれば、各交通ルールに応じて車両2の走行をより適切に制御することが可能となる。
【0081】
尚、本発明の移動体評価装置及び移動体制御装置は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0082】
例えば、上記実施の形態では、公安委員会、警察署等が発行する意思決定のデータ等に緯度・経度が記載されているという前提で、車両2の交通ルールへの対応の評価等を行ったが、公安委員会、警察署等が発行する意思決定のデータ等が住所で記載されている場合であっても、同様に車両2の交通ルールへの対応の評価等を行うことができる。
【0083】
一般的に、公安委員会、警察署等が発行する意思決定のデータ等では、「○○道路、○○市○○町○○番地から○○市○○町○○番地まで、制限速度40km」のように、ルール適用位置が記載されている。しかしながら、本変型例では、道路を把握することなく、住所のみで車両2の交通ルールへの対応の評価を行う。
【0084】
例えば、
図6を参照すると、「1番地から3番地まで制限速度40km」と記載されていた場合、点線で囲まれた領域Dが「1番地から3番地まで」の範囲に相当することとなる。但し、各番地の四角内(
図6では、“1”、“2”、“3”)には家屋が存在しているため、各四角内は、車両が走行可能な領域から除かれ、更に、日本の車両は左側走行であることを考慮すると、1番地から3番地へ向けて走行可能な領域は、斜線で示す領域Eとなる。
【0085】
従って、車両2がどの道路を走行しているかを把握するまでもなく、車両2が緯度・経度が領域Dの中を1番地から3番地へ向けて走行していれば、“領域Eを走行している”と推測することができるので、制限速度40kmの対象とすることができる。以降は、
図3と同様に、制限速度(この場合は40km)と、車両2の速度と、を比較することで、車両2の制限速度への対応を評価することが可能となる。
【0086】
このように、本変型例では、交通ルールが適用される住所と、車両2の緯度・経度と、車両2の移動方向と、が分かれば、どの道路を走行していたか等を地図等を用いて把握するまでもなく、車両2の交通ルールへの対応を評価することが可能となる。
【0087】
速度制限に限らず、一時停止等のその他の交通ルールへの対応を評価することも可能である。例えば、一時停止の場合、まず、一時停止が適用される住所から所定範囲をルール適用範囲と設定しておく。その上で、上記と同様にして、“当該ルール適用範囲を走行している”と推測できた場合には、当該ルール適用範囲において停止したか否かを評価すればよい。
【0088】
更に、これらの推測結果に基づき、車両2の走行の制御を行うことも可能である。
【0089】
また、上記実施の形態では、本発明の“交通ルール”として、“速度制限”を例に車両2の評価及び制御を行ったが その他の“交通ルール”について本発明を適用することもできる。
【0090】
例えば、一時停止の停止線の緯度・経度を記憶部4に記憶しておけば(
図2の点集合範囲B)、当該緯度・経度において車両2の速度がゼロの瞬間がない場合に“一時停止違反”と評価することができる。
【0091】
また、駐車禁止や停止禁止領域の緯度・経度を記憶部4に記憶しておけば(
図2の点集合範囲C)、車両2の位置情報22が当該緯度・経度と所定時間以上一致していた場合に“駐車禁止違反”、“停止禁止違反”と評価することができる。
【0092】
また、立ち入り禁止領域の緯度・経度を記憶部4に記憶しておけば、車両2の位置情報22が当該緯度・経度と一致していた場合に“立ち入り禁止違反”と評価することができる。この場合には、時刻情報23を取得する必要も、車両2の速度を算出する必要もない。
【0093】
また、精度が落ちる可能性はあるが、点集合範囲ではなく、所定の交通ルール(交通規制、交通制限等)が適用されるルール適用位置の緯度・経度だけで、評価・制御を行ってもよい。
【0094】
また、第2の実施の形態では、車両2の速度を所定の制限速度以下まで減速させる例を説明したが、例えば、逆走している車両を停止させる等、その他の走行の制御を行ってもよい。
【0095】
上記実施の形態では、本発明の“所定の交通ルールが適用されるルール適用位置の緯度・経度”として、公安委員会、警察署等が発行する意思決定のデータを用いたが、その他から取得したデータを用いてもよい。
【0096】
また、上記実施の形態では、GPS装置21により検出された位置情報22及び時刻情報23を用いて車両2の位置・速度を特定したが、その他の方法で車両2の位置・速度を特定してもよい。
【0097】
また、本発明の“移動体”には、車両以外にも人間や動物も含まれる。
【0098】
また、本発明は、評価部6や制御部7が行う処理に相当するプログラムや、当該プログラムを記憶した記録媒体にも応用可能である。記録媒体の場合、コンピュータ等に当該プログラムがインストールされることとなる。ここで、当該プログラムを記憶した記録媒体は、非一過性の記録媒体であっても良い。非一過性の記録媒体としては、CD-ROM等が考えられるが、それに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0099】
1 移動体評価装置
2 車両
3 通信センター
4 記憶部
5 取得部
6 評価部
7 制御部
10 移動体制御装置
21 GPS装置
22 位置情報
23 時刻情報