(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-03
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】プレイ記録動画作成システム
(51)【国際特許分類】
A63F 13/525 20140101AFI20220204BHJP
A63F 13/497 20140101ALI20220204BHJP
A63F 13/79 20140101ALI20220204BHJP
A63F 13/86 20140101ALI20220204BHJP
G06T 19/00 20110101ALI20220204BHJP
G06F 3/04845 20220101ALI20220204BHJP
G06F 3/04842 20220101ALI20220204BHJP
【FI】
A63F13/525
A63F13/497
A63F13/79
A63F13/86
G06T19/00 300A
G06F3/0484 150
G06F3/0484 120
(21)【出願番号】P 2021012257
(22)【出願日】2021-01-28
【審査請求日】2021-06-04
(31)【優先権主張番号】P 2020205782
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520490174
【氏名又は名称】榊原 正啓
(73)【特許権者】
【識別番号】520490185
【氏名又は名称】菰下 将司
(73)【特許権者】
【識別番号】521239750
【氏名又は名称】株式会社Redefine Arts
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榊原 正啓
(72)【発明者】
【氏名】菰下 将司
【審査官】西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-166559(JP,A)
【文献】特開2019-071960(JP,A)
【文献】特表2018-525050(JP,A)
【文献】国際公開第2015/133032(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第1743043(CN,A)
【文献】ライブ配信アプリ『Live.me』、新たなライブ配信エンターテイメントを提案~ライブ配信とゲームを掛け合わせた、ハロウィン期間限定スペシャルコンテンツを公開~,PRTIMES [online],2016年10月27日,https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000072.000013957.html,[2021年10月6日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/24,13/00 -13/98,
G06F 3/01, 3/048- 3/0489,
G06T 1/00,
11/60-13/80,17/05,
19/00-19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1乃至複数のプレイヤーがそれぞれのキャラクターでプレイしたプレイ記録動画を作成するシステムであって、
第1表示部を有する第1端末と、
それぞれが第2表示部を有し、ネットワークを介して前記第1端末に接続可能である、1乃至複数の第2端末と、
前記プレイが実行される仮想空間の表示データ及び前記キャラクターのアバターの表示データが保存された記憶部と、
前記複数の第2端末のいずれかでの所定の入力操作に応じて前記記憶部から当該
第2端末に対応するプレイヤーのキャラクターのアバターの表示データを読み出し、前記仮想空間に当該アバターを表示するアバター表示制御部と、
前記第1端末での所定の入力操作に応じて、前記仮想空間の全体を俯瞰する俯瞰位置、又は、前記仮想空間内に配置された1乃至複数のキャラクターのアバターのいずれかを予め決められた画角で捉えるアバター捕捉位置を撮影位置として設定する撮影位置設定部と、
前記撮影位置において仮想カメラで前記仮想空間を撮影することにより得られる画像を生成する仮想空間撮影部と、
前記仮想空間撮影部により得られる画像を前記第1表示部に撮影画面として表示する第1画面表示制御部と、
前記撮影画面、又は前記キャラクターを操作するための予め決められたプレイ画面を前記第2表示部に表示する第2画面表示制御部と、
前記撮影画面を順次記録してプレイ記録動画を作成するプレイ記録動画作成部と
を備えることを特徴とする、プレイ記録動画作成システム。
【請求項2】
前記第1表示部が、
前記撮影画面を表示する撮影画面表示領域と、
前記仮想空間の全体を俯瞰した画像を表示する俯瞰画像表示領域と、
前記1乃至複数のキャラクターのアバターを個別に捉えた画像を表示するアバター画像表示領域と
を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のプレイ記録動画作成システム。
【請求項3】
前記第2表示部が、
前記撮影画面又は前記プレイ画面を表示する第1表示領域と、
前記仮想空間における、当該第2端末を操作するプレイヤーのキャラクターのアバターの位置を示す画像を表示するキャラクター位置情報領域と
を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のプレイ記録動画作成システム。
【請求項4】
前記撮影位置設定部が、前記俯瞰位置、前記アバター捕捉位置、又は、全てのキャラクターのアバターを捉える全アバター捕捉位置を撮影位置として設定する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のプレイ記録動画作成システム。
【請求項5】
さらに、
ネットワークを介して前記第1端末及び前記第2端末に接続可能であるサーバ装置
を備え、
前記サーバ装置が、前記記憶部、前記アバター表示制御部、前記撮影位置設定部、前記仮想空間撮影部、前記第1画面表示制御部、前記第2画面表示制御部、及び前記プレイ記録動画作成部のうちの一部又は全部を備える
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のプレイ記録動画作成システム。
【請求項6】
テーブルトップロールプレイングゲームのプレイ記録動画を作成するものであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のプレイ記録動画作成システム。
【請求項7】
前記第1画面表示制御部及び/又は前記第2画面表示制御部が、さらに、前記テーブルトップロールプレイングゲームにおいて用いられるアイテムの画像を前記第1表示部及び/又は前記第2表示部に表示する
ことを特徴とする請求項6に記載のプレイ記録動画作成システム。
【請求項8】
前記仮想空間が三次元空間であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のプレイ記録動画作成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブルトップロールプレイングゲーム(TRPG: Table-top Role Playing Game)などの演劇型ロールプレイの記録動画やスポーツゲーム、格闘ゲームなどの操作型ゲームのプレイ記録動画を作成するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ゲームマスターが予め用意したシナリオに沿って、複数のプレイヤーがロールプレイングを楽しむゲームとして、テーブルトップロールプレイングゲーム(TRPG)が従来知られている。TRPGは当初、ボードゲームとして開発されたが、近年ではプレイヤーとゲームマスターがそれぞれ操作する端末をネットワークにより接続して実施する形態が一般的になりつつある(例えば非特許文献1)。
【0003】
TRPGを行う際の流れを簡単に説明する。まず、ゲームマスター(ゲームキーパーと呼ばれることもある。)は、TRPGのシナリオを用意する。そのシナリオには、複数のキャラクターが登場するように設定されている。そして、複数のプレイヤーがそれぞれ、自らがそのシナリオにおいて演じるキャラクターを決定する。TRPGにおけるシナリオは多くの場合、複数のシーンで構成され、シーン毎にロールプレイのベースとなるストーリーが設定されている。TRPGにおけるシナリオは、一般的なコンピュータゲームのRPGのシナリオのように展開が予め決められたものとは異なり、全体のストーリーを崩さない範囲内でゲームマスターとプレイヤーが各シーンを展開していくことが可能である。
【0004】
ゲームを開始すると、ゲームマスター及び複数のプレイヤーが操作するそれぞれの端末の表示部に、最初のシーンの背景画像と、各プレイヤーが選択したキャラクターのアバターが表示される。ゲームマスターは、まず、シナリオの概要を説明し、その後、シナリオに沿ってシーンを進めてゆく。そして、各シーンにおいて、シナリオに定められたキャラクターの動作をプレイヤーに促す。キャラクターの動作としては、例えば、各シーンで予め用意された選択肢のいずれかを選択すること、前記複数のプレイヤー以外のプレイヤーとしてシナリオ中に用意されているノンプレイヤーキャラクター(NPC)との会話や戦闘を行うことなどがある。これらの動作には成否の判定が行われることがあり、その判定には、例えばサイコロの出目が用いられる。また、プレイヤーは、シナリオの進行とは関係なく、自らのキャラクターと他のプレイヤーのキャラクターを会話させたり、画面に表示される自らのキャラクターのアバターの表情や動作を変化させたりすることができる。ゲームマスターは、各シーンが所定の結末に至ると、背景画像を切り替えて次のシーンへと移行する。全てのシーンをプレイし終えるとゲームを終了する。
【0005】
上記の通り、TRPGではシナリオの展開に自由度があり、また、各キャラクターの動作の成否がサイコロの出目に依るため、同じシナリオをプレイした場合でもその経過や結果がプレイ毎に異なる。そこで、動画投稿サイトでは、自らが他のプレイヤーとともにプレイしたTRPGのゲーム画面を記録したプレイ動画をアップロードして他者に紹介したり、他者がプレイしたTRPGのプレイ動画を視聴したりするなどの交流が行われている。
【0006】
また、野球、テニス、ゴルフなどのスポーツゲームや格闘ゲームなどの操作型ゲームにおいても、熟練したプレイヤーが自らの技量をアピールするなどの目的でプレイ動画を録画し、それをアップロードして他者に紹介したり、他者のプレイを参考にして自らの技量の向上を図るなどの目的で他者がプレイしたゲームのプレイ動画を視聴したりするなどの交流が行われている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】"TRPGスタジオ",[online],ストライクワークス社,[2020年11月5日検索],インターネット<URL:https://trpg-studio.com/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来、TRPGのプレイ画面は、シーン毎の背景画像と各キャラクターのアバターを組み合わせて表示したものに過ぎず、アバターの表情や動作を除いてほとんど変化のない単調な動画であった。また、操作型ゲームのプレイ画面は、元来プレイヤーがキャラクターを操作するためのものであるため、それを録画したプレイ動画も同様に、当該キャラクターの動作を除いてほとんど変化のない単調な動画であった。プレイ動画の中には1時間を超える長時間のものがあるが、視聴者はほとんど変化のない単調な動画を見ているうちに飽きてしまう。
【0009】
TRPGのプレイ動画に関しては、視聴者を飽きさせないように、TRPGをプレイした後に背景画像やアバターなどを組み合わせて作成したオリジナルのアニメーション動画もアップロードされている。しかし、TRPGのプレイ後に改めてアニメーション動画を作成するには時間がかかり、またアニメーション動画の作成自体にも高い技術が求められるため、こうした技術に熟練した者にしか作成することができないという問題があった。
【0010】
ここでは、TRPGのプレイ動画や操作型ゲームのプレイ動画を例に従来技術の課題を説明したが、その他の様々なプレイ動画においても上記同様の問題があった。
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、視聴する者を飽きさせないプレイ記録動画をリアルタイムで作成することができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために成された本発明は、1乃至複数のプレイヤーがそれぞれのキャラクターでプレイしたプレイ記録動画を作成するシステムであって、
第1表示部を有する第1端末と、
それぞれが第2表示部を有し、ネットワークを介して前記第1端末に接続可能である、1乃至複数の第2端末と、
前記プレイが実行される仮想空間の表示データ及び前記キャラクターのアバターの表示データが保存された記憶部と、
前記複数の第2端末のいずれかでの所定の入力操作に応じて前記記憶部から当該端末に対応するプレイヤーのキャラクターのアバターの表示データを読み出し、前記仮想空間に当該アバターを表示するアバター表示制御部と、
前記第1端末での所定の入力操作に応じて、前記仮想空間の全体を俯瞰する俯瞰位置、又は、前記仮想空間内に配置された1乃至複数のキャラクターのアバターのいずれかを予め決められた画角で捉えるアバター捕捉位置を撮影位置として設定する撮影位置設定部と、
前記撮影位置において仮想カメラで前記仮想空間を撮影することにより得られる画像を生成する仮想空間撮影部と、
前記仮想空間撮影部により得られる画像を前記第1表示部に撮影画面として表示する第1画面表示制御部と、
前記撮影画面、又は前記キャラクターを操作するための予め決められたプレイ画面を前記第2表示部に表示する第2画面表示制御部と、
前記撮影画面を順次記録してプレイ記録動画を作成するプレイ記録動画作成部と
を備えることを特徴とする。
【0013】
上記第1端末は、テーブルトップロールプレイングゲーム(TRPG: Table-top Role Playing Game)などの演劇型ロールプレイの動画やスポーツゲームなどの操作型ゲームをプレイした動画を作成する者(例えば演劇型ロールプレイのプレイ記録動画を作成しようとするゲームマスターや、操作型ゲームのプレイ記録動画を作成しようとするプレイ記録動画作成者)が使用する端末である。また、上記第2端末は、演劇型ロールプレイにおいてロールプレイを楽しむプレイヤーや、操作型ゲームでキャラクターを操作するプレイヤー)が使用する端末である。
【0014】
上記システムにおいて、記憶部、アバター表示制御部、撮影位置設定部、仮想空間撮影部、第1画面表示制御部、第2画面表示制御部、及びプレイ記録動画作成部は、例えばネットワークを介して上記第1端末及び上記1乃至複数の第2端末と通信可能に構成されたサーバ装置に備えることができる。その場合、本発明に係るシステムは、サーバ装置、第1端末、及び複数の第2端末を備えた構成となる。あるいは、上記の一部又は全部を第1端末に備えるようにしてもよく、全てを第1端末に備える場合、本発明に係るシステムは、第1端末と複数の第2端末のみから構成することができる。
【0015】
従来のTRPGのプレイ画面は二次元的な仮想空間を表示したものであるが、本発明における上記仮想空間は、従来同様に二次元的な空間を表示したものであってもよく、三次元的な仮想空間を表示したものであってもよい。
【0016】
本発明では、例えばTRPGの場合、ゲームマスターが、第1端末を通じてシナリオを進行する。プレイヤーは、自らの第2端末で所定の入力操作を行うことにより、自らがプレイするキャラクター(プレイヤーキャラクター)のアバターを仮想空間で動作させる。また、ゲームマスターは、第1端末に所定の入力操作を行うことにより仮想空間の撮影位置を切り替えることができる。これにより、ゲームマスターは、ロールプレイの状況に応じて、第1端末の第1表示部と第2端末の第2表示部に、ロールプレイ中の仮想空間を該仮想空間の全体を俯瞰する俯瞰位置で撮影した画像と、1乃至複数のキャラクターのアバターのいずれかを予め決められた画角で捉えた画像のいずれかをプレイ画面として表示する。このプレイ画面は順次、プレイ記録動画作成部によって記録され、プレイ記録動画が作成される。なお、上記キャラクターには、ゲームマスターが第1端末で所定の入力操作を行うことにより動作させるノンプレイヤーキャラクターを含んでもよい。つまり、上記アバター捕捉位置には、プレイヤーキャラクターを捕捉する位置だけでなく、ノンプレイヤーキャラクターを捕捉する位置も含まれうる。
【0017】
本発明では、例えば、ゲームマスターが、シナリオの進行に重要な役割をするキャラクターにスポットライトをあてたいときに該キャラクターのアバターのみを捉えた画像を、それ以外の時には仮想空間全体を俯瞰した画像を表示するなど、表示の態様が変化に富んだプレイ記録動画が記録されるため、視聴者を飽きさせることがない。また、こうしたプレイ記録動画をロールプレイ中にリアルタイムで作成することができる。
【0018】
また、本発明では、操作型ゲーム(例えば野球ゲーム)の場合、プレイヤーは、自らの第2端末を用いて、ゲームソフトに予め設定されたシナリオに基づき、該ゲームソフトに予め設定された画角のプレイ画面を見ながらキャラクターのアバターを操作してゲームを進行する。複数のプレイヤーによる対戦ゲームの場合には、各プレイヤーの第2端末の第2表示部には、当該プレイヤーがキャラクターのアバターを操作するためのプレイ画面が表示される。つまり、プレイヤー毎に異なるプレイ画面が、第2表示部に表示されることになる。なお、上記プレイ画面を、仮想空間内に配置された1乃至複数のキャラクターのアバターのいずれかを予め決められた画角で捉えるアバター捕捉位置において仮想カメラで仮想空間を撮影することにより得られる画像の1つとして用いてもよい。これにより、撮影画面を撮影するために追加する仮想カメラの数を減らしてシステムに係る負荷を低減することができる。
【0019】
プレイヤーによるプレイの記録動画を作成しようとする(動画作成者)は、第1端末を通じてプレイヤーによるプレイの状況を確認し、第1端末に所定の入力操作を行うことにより仮想空間の撮影位置を切り替える。これにより、プレイ中の仮想空間を該仮想空間の全体を俯瞰する俯瞰位置で撮影した画像と、1乃至複数のキャラクターのアバターのいずれかを予め決められた画角で捉えた画像を撮影画面として選択する。選択した撮影画面は第1端末の第1表示部に表示され、これに基づいて動画が作成される。この場合にも、上記キャラクターには、ゲームにおける対戦相手や観客などのノンプレイヤーキャラクターが含まれうる。つまり、上記アバター捕捉位置には、プレイヤーキャラクターを捕捉する位置だけでなく、ノンプレイヤーキャラクターを捕捉する位置も含まれうる。
【0020】
本発明に係るシステムでは、前記第1表示部が、
前記撮影画面を表示する撮影画面表示領域と、
前記仮想空間の全体を俯瞰した画像を表示する俯瞰画像表示領域と、
前記1乃至複数のキャラクターのアバターを個別に捉えた画像を表示するアバター画像表示領域と
を有することが好ましい。
【0021】
上記構成を採ることにより、ゲームマスターは、1乃至複数のキャラクターのいずれかが特徴的な動作を行った場合に、当該キャラクターのアバター画像表示領域でその動作を簡便に確認して該キャラクターのアバターを捉える撮影位置を設定することができる。
【0022】
また、本発明システムでは、前記第2表示部が、
前記撮影画面又は前記プレイ画面を表示する第1表示領域と、
前記仮想空間における、当該第2端末を操作するプレイヤーのキャラクターのアバターの位置を示す画像を表示するキャラクター位置情報領域と
を有することが好ましい。
【0023】
ゲームマスターがいずれかのキャラクター(自身以外のプレイヤーのキャラクター)のアバターを捉える位置を撮影位置として設定した場合、撮影画面にはそのアバターのみが表示されており、プレイヤーは自らのキャラクターのアバターが仮想空間のどの位置にいるかを確認することが困難になる。上記構成を採ることにより、プレイヤーは、撮影画面に自らのキャラクターのアバターが表示されていない場合でも、仮想空間のどの位置に自らのキャラクターのアバターが位置しているかを簡便に確認することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明を用いることにより、視聴する者を飽きさせないプレイ記録動画をリアルタイムで作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明に係るプレイ記録動画作成システム全体の構成例。
【
図2】本実施例の演劇型ロールプレイ記録動画作成システムにおけるサーバ装置、ゲームマスター端末、及びプレイヤー端末の構成を説明する図。
【
図3】本実施例においてゲームマスター端末の表示部に表示される画面の例。
【
図4】本実施例においてプレイヤー端末の表示部に表示される画面の例。
【
図5】本実施例におけるシーンと仮想カメラの配置の一例。
【
図6】本実施例において作成されるプレイ記録動画について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明に係るプレイ記録動画作成システムの一実施例である演劇型ロールプレイ記録動画作成システムについて、以下、図面を参照して説明する。本実施例の演劇型ロールプレイ記録動画作成システムは、TRPGのプレイ記録動画を作成するために用いられる。
【0027】
本実施例の演劇型ロールプレイ記録動画作成システム(以下、単に「システム」とも呼ぶ。)1は、
図1に示すように、大別して、サーバ装置10、ゲームマスター端末20(本発明における第1端末に相当)、及び複数のプレイヤー端末30(本発明における第2端末に相当)で構成される。ゲームマスター端末20及びプレイヤー端末30はいずれも、ネットワークを介してサーバ装置10に接続可能である。
【0028】
図2に、サーバ装置10、ゲームマスター端末20、及びプレイヤー端末30の構成を示す。
【0029】
サーバ装置10は、例えば本実施例のシステム1において用いられるソフトウェアを提供する会社や、TRPGのシナリオやキャラクターといった素材を提供する会社によって運営管理される。
【0030】
サーバ装置10は、記憶部11を備えている。記憶部11内には、複数のシナリオのそれぞれに含まれるシーンの表示データが保存されたシーン表示データ記憶部111、複数のシナリオのそれぞれにおいて用いられるキャラクターのアバターの表示データが保存されたアバター表示データ記憶部112、撮影画面が保存される撮影画面記憶部113、及びプレイ記録動画が保存されるプレイ記録動画記憶部114が設けられている。
【0031】
また、サーバ装置10は、機能ブロックとして、端末決定部121、シナリオ決定部122、シーン設定部123、アバター表示制御部124、撮影位置設定部125、仮想空間撮影部126、撮影画面切替部127、及びプレイ記録動画作成部128を有している。これらの機能ブロックは、サーバ装置10に予めインストールされたサーバ装置用プログラム12をプロセッサ実行することにより具現化される。詳しくは後述するが、本実施例ではゲームマスター端末20の表示部26とプレイヤー端末30の表示部36のいずれにも撮影画面を表示するため、撮影画面切替部127が本発明における第1画面表示制御部と第2画面表示制御部の両方の機能を担っている。
【0032】
ゲームマスター端末20及びプレイヤー端末30は、TRPGをプレイしようとする者が使用する端末である。ゲームマスター端末20は、記憶部21と、機能ブロックであるゲームマスター画面表示処理部221を備えている。ゲームマスター端末20の実体は一般的なコンピュータであり、予めインストールされたゲームマスター端末用プログラム22をプロセッサで実行することによりゲームマスター画面表示処理部221が具現化される。また、ゲームマスター端末20には、ゲームマスターが適宜の入力指示を行うための入力部25と、後述する画面を表示するための表示部26(本発明における第1表示部に相当)が接続されている。
【0033】
プレイヤー端末30は、記憶部31と、機能ブロックであるプレイヤー画面表示処理部321を備えている。プレイヤー端末30の実体も、ゲームマスター端末20と同様に一般的なコンピュータであり、予めインストールされたプレイヤー端末用プログラム32をプロセッサで実行することによりプレイヤー画面表示処理部321が具現化される。また、プレイヤー端末30にも、プレイヤーが適宜の入力指示を行うための入力部35と、後述する画面を表示するための表示部36(本発明における第2表示部に相当)が接続されている。
【0034】
ゲームマスター端末20及びプレイヤー端末30はネットワークを介してサーバ装置10に接続可能であり、入力部及び表示部を有するもの(又は接続可能なもの)であれば、コンピュータに限定されない。例えば、スマートフォンやタブレット端末のような可搬型端末であってもよい。
【0035】
図2では、説明の都合上、ゲームマスター端末20とプレイヤー端末30を別の端末として記載したが、実際には、同じ者がゲームマスター及びプレイヤーのいずれによってもTRPGをプレイすることができるように構成されている。具体的には、上記ゲームマスター端末用プログラム22とプレイヤー端末用プログラム32の両方を含むTRPG用プログラムが予めコンピュータにインストールされており、使用者がゲームマスターとしてTRPGをプレイする場合にはゲームマスター端末用プログラム22を、プレイヤーとしてTRPGをプレイする場合にはプレイヤー端末用プログラム32を実行するように構成されている。
【0036】
次に、本実施例のシステムにおいてTRPGをプレイする際の流れを説明する。
【0037】
まず、ゲームマスターは、自らが使用する端末からサーバ装置10にログインし、ゲームマスターとしてTRPGをプレイする旨の所定の入力操作(例えば、画面に表示される「ゲームマスター」ボタンと「プレイヤー」ボタンのうちの前者を押す)を行う。これを受け、サーバ装置10では端末決定部121が当該端末をゲームマスター端末20に決定する。また、ゲームマスター端末20では、ゲームマスター端末用プログラム22が実行され、上述したゲームマスター画面表示処理部221が動作する。
【0038】
ゲームマスター端末20を決定すると、シナリオ決定部122は、予め用意されているTRPGシナリオの一覧を表示部26に表示する。ゲームマスターが、ゲームマスター端末20の表示部26に表示された一覧の中からいずれかのシナリオを選択する入力操作を行うと、サーバ装置10では、シナリオ決定部122が当該シナリオをTRPGに使用するシナリオとして決定する。また、当該シナリオのTRPGを行うプレイヤーの参加を受け付ける。
【0039】
プレイヤーは、自らが使用する端末からサーバ装置10にログインし、プレイヤーとしてTRPGをプレイする旨の所定の入力操作(例えば、画面に表示される「ゲームマスター」ボタンと「プレイヤー」ボタンのうちの後者を押す)を行う。これを受け、サーバ装置10では端末決定部121が当該端末をプレイヤー端末30に決定する。また、プレイヤー端末30では、プレイヤー端末用プログラム32が実行され、上述したプレイヤー画面表示処理部321が動作する。
【0040】
プレイヤー端末30を決定すると、シナリオ決定部122は、当該プレイヤー端末30に対して、プレイヤーの参加を受け付け中であるシナリオの一覧を送信する。プレイヤー端末30では受信したシナリオの一覧が表示部36に表示される。プレイヤーが、プレイヤー端末30の表示部36に表示された一覧の中からいずれかのシナリオを選択する入力操作を行うと、サーバ装置10では、シナリオ決定部122が当該プレイヤー端末30によりTRPGを実行するシナリオを決定する。
【0041】
ゲームマスター端末20において選択されたシナリオにおいて予め決められた数のプレイヤーが参加を決定した後、各プレイヤーは、自らのプレイヤー端末30により操作するキャラクターを選択する。プレイヤー端末30において選択されたキャラクターの情報はサーバ装置10に送信され、シナリオ決定部122によってプレイヤー端末30とキャラクターが対応付けられる。
【0042】
各プレイヤーのキャラクター(各プレイヤーのプレイヤー端末30により操作されるキャラクター)が決定すると、ゲームマスターはTRPGを開始する。この流れを説明する前に、ゲームマスター端末20においてゲームマスター画面表示処理部221により表示部26に表示される画面(
図3)、及び、各プレイヤー端末30において、プレイヤー画面表示処理部321により表示部36に表示される画面(
図4)について説明する。
図3及び
図4は、4人のプレイヤーがそれぞれ、キャラクターa, b, c, d(適宜、PC-a、PC-b、PC-c、PC-dとも表記する。)によりTRPGを行う場合のものである。
【0043】
ゲームマスター端末20の表示画面40には、撮影画面表示部41、仮想カメラ画像表示部42、シーン俯瞰図表示部43、音楽選択部44、シーン選択部45、効果音選択部46、及びキャラクター情報表示部47が設けられている。
【0044】
撮影画面表示部41には、TRPGの撮影画面が表示される。本実施例では、この撮影画面がプレイ画面(プレイヤー端末30の表示部36に提示する画面)を兼ねている。仮想カメラ画像表示部42には、TRPGの各シーンが展開される仮想空間内に配置される複数の仮想カメラの各々によって取得される画面と、イメージショットがそれぞれ表示される。イメージショットとは、例えばシナリオの各シーンで重要な役割を果たすアイテム等の画像であり、シーン毎に予め対象の画像が決められている。仮想カメラが配置される位置には、シーン全体を俯瞰的に捉える位置(俯瞰位置)、各プレイヤーキャラクター(PC)を個別にアップで捉える位置(PC撮影位置)、ノンプレイヤーキャラクター(NPC)を個別にアップで捉える位置(NPC撮影位置)が含まれる。
図5に示すように、PC撮影位置及びNPC撮影位置は、対象のキャラクター(PC, NPC)を仮想カメラ6により所定の画角で捉えることができる位置であり、キャラクターの移動に伴ってPC撮影位置及びNPC撮影位置も変化する。
【0045】
本実施例では、仮想カメラ画像表示部42に、俯瞰位置から広角レンズでシーン全体を捉えた画像を表示する俯瞰広角画像表示部421、俯瞰位置から標準レンズで予め決められた対象空間(例えば、当該シーンにおける中心位置を含む空間や、シナリオの展開において各アバターが主に活動する空間。
図3の例ではソファー。)を捉えた画像を表示する俯瞰標準画像表示部422、PC撮影位置からPC(プレイヤーキャラクターa, b, c, d)をそれぞれアップで捉えた画像を表示するPC表示部423、424、425、426、NPC撮影位置からNPCをアップで捉えた画像を表示するNPC表示部427、及び2種類のイメージショットを表示するイメージショット表示部428、429が表示される。
図3の例では1つのNPC表示部427と、2つのイメージショット表示部428、429を表示しているが、これらの表示部の数は適宜に変更可能である。
【0046】
シーン俯瞰図表示部43、音楽選択部44、シーン選択部45、効果音選択部46、及びキャラクター情報表示部47は従来、TRPGを行うために用いられているものと同様であるため、簡単に説明し、詳細な説明及び図示を省略する。
【0047】
シーン俯瞰図表示部43には、展開中のシーンの仮想空間におけるPC及びNPC(NPCは当該シーンに登場している場合のみ)の位置を示す平面図が表示される。音楽選択部44は、ゲームマスターが選択したシナリオについて予め用意されたバックグラウンドミュージックの一覧が表示される。シーン選択部45には、ゲームマスターが選択したシナリオを構成するシーンの一覧が表示される。効果音選択部46には、ゲームマスターが選択したシナリオについて予め用意された効果音の一覧が表示される。キャラクター情報表示部47には、各プレイヤーのキャラクターa, b, c, dに関する情報(例えば、戦闘シーンを含むシナリオの場合、残存体力/体力最大値、攻撃力、防御力、所持アイテム等の情報)が表示される。また、ゲームマスターが全てのキャラクターの動作を制御可能とする場合には、対象のキャラクターを指定するボタンや、指定したキャラクターの動作(表情の変化など)を変更する操作ボタンも表示される。
【0048】
プレイヤー端末30の表示画面50には、プレイ画面表示部51、シーン俯瞰図表示部52、キャラクター情報表示部53、動作判定表示部54、及び動作入力欄55が設けられている。キャラクター情報表示部53、動作判定表示部54、及び動作入力欄55は従来、TRPGを行うために用いられているものと同様であるため、簡単に説明し、詳細な説明及び図示を省略する。
【0049】
プレイ画面表示部51は、プレイ中の状況をプレイヤーが確認するメインの画面である。上記の通り、本実施例では撮影画面とプレイ画面が同じであるため、ゲームマスター端末20の表示画面40における撮影画面表示部41と同じ画面が表示される。シーン俯瞰図表示部52には、ゲームマスター端末の表示画面40におけるシーン俯瞰図表示部43と同様に、展開中のシーンの仮想空間におけるPC及びNPCの位置を示す平面図が表示される。キャラクター情報表示部53には、当該プレイヤー端末30で操作されるいずれかのキャラクターに関する情報(例えば、戦闘シーンを含むシナリオの場合、残存体力/体力最大値、攻撃力、防御力、等の情報)が表示される。動作判定表示部54には、シナリオの進行中に当該キャラクターの動作の成否やイベントの発生の有無などを判定するために使用するサイコロと、該キャラクターの動作の成否の判定基準などを示す情報が表示される。動作入力欄55には、キャラクターの表情を選択するボタン(笑顔、泣き顔、怒り顔など)が表示されるとともに、キャラクターの会話をテキスト入力する欄が表示される。ここでは表情を選択するボタンのみを図示したが、歩く、走る等の動作を選択するボタンを適宜に追加することができる。また、これらのボタンに代えて(あるいはこれらのボタンとともに)、プレイヤー端末30にモーションセンサを接続してプレイヤーの動作を捕捉してキャラクターのアバターの動作に反映するような形態を採ることもできる。
【0050】
ゲームマスターがシーン選択部45に表示されているシーン一覧から最初のシーン(シーン1)を選択すると、シーン設定部123は、対応するシーンの表示データをシーン表示データ記憶部111から読み出す。各シーンには、当該シーンにおける初期撮影画像の情報(典型的には俯瞰広角画像)が対応付けられている。また、撮影位置設定部125は、当該シーンにおいてシーン全体を俯瞰的に捉える撮影位置(俯瞰位置)を設定する。さらに、仮想空間撮影部126は、当該俯瞰位置に広角レンズを有する仮想カメラと、標準レンズを備えた仮想カメラを配置し、それぞれのカメラで仮想空間を撮影した画像データを取得する。俯瞰位置で取得された2つの画像(俯瞰広角画像と俯瞰標準画像)のデータはゲームマスター端末20に送信される。プレイヤー端末30には俯瞰広角画像が送信される。
【0051】
ゲームマスター端末20では、ゲームマスター画面表示処理部221が、サーバ装置10から受信した俯瞰広角画像を撮影画面表示部41及び俯瞰広角画像表示部421に表示し、俯瞰標準画像を俯瞰標準画像表示部422に表示する。また、プレイヤー端末30では、プレイヤー画面表示処理部321が、サーバ装置10から受信した俯瞰広角画像をプレイ画面表示部51に表示する。
【0052】
続いて、ゲームマスターは、プレイするシナリオの概要(背景となるストーリーやシナリオにおいて目的とする事項)をプレイヤーに説明する。この説明は、ゲームマスター端末20が有するマイクとプレイヤー端末30が有するスピーカーを通じて行うことができる。あるいは、ゲームマスター端末20からプレイヤー端末30に対してテキスト情報として送信してもよい。
【0053】
各プレイヤーが入力部35を通じた所定の操作(例えばプレイ画面表示部51内でクリック操作する)により、自らのキャラクターのアバターを仮想空間に配置する位置を決定すると、サーバ装置10では、アバター表示制御部124が、アバター表示データ記憶部112から当該キャラクターのアバターの表示データを読み出し、指定された位置に表示する。プレイヤーは、プレイ画面表示部51における所定の操作(例えばドラッグアンドドロップ)により、自らのキャラクターのアバターの表示位置(当該シーンにおけるキャラクターの立ち位置)を適宜に変更することができる。
【0054】
各プレイヤーが自らのキャラクターの立ち位置を決定すると、撮影位置設定部125は、各キャラクターをアップで捉える位置(PC撮影位置)を決定する。撮影位置設定部125は、キャラクターの移動に合わせてPC撮影位置も移動させる。仮想空間撮影部126は、各PC撮影位置で対象のキャラクターを撮影した画像データを取得する。各キャラクターの画像のデータはゲームマスター端末20に送信される。ゲームマスター端末20ではゲームマスター画面表示処理部221により、キャラクターa, b, c, dの画像がPC表示部423、424、425、426にそれぞれ表示される。
【0055】
このように、ゲーム開始時点では、ゲームマスター端末20の表示部26の撮影画面表示部41、及びプレイヤー端末30の表示部36のプレイ画面表示部51に、俯瞰広角画像が表示される。この画像には、仮想空間内に位置する全てのプレイヤーのアバターが含まれている。プレイ記録動画作成部128は、ゲームの開始と同時に、撮影画面表示部41及びプレイ画面表示部51に表示される画像データを順次、プレイ記録動画記憶部114に保存する。また、各撮影位置に配置された仮想カメラにより所定の時間間隔で撮影される画像も順次、参照画像として撮影画面記憶部113に保存していく。なお、プレイ記録動画作成部128は、これらのデータを画像ファイルや動画ファイルとして保存してもよく、それ以外の形式で保存してもよい。例えば、画像データを、各時点の仮想空間でのPC, NPC等の位置情報及び姿勢情報と、当該時点で選択されている仮想カメラの情報を対応づけたファイル(このような形式のデータファイルを、以下では「パラメータデータファイル」と呼ぶ。)とし、そのパラメータデータファイルを所定の時間間隔でプレイ記録動画記憶部114に保存するように構成することができる。つまり、プレイ記録動画のデータは、プレイ記録動画を構成する、各時点での画像データを再現するために必要な情報を含んだ適宜のファイル形式で保存すればよい。
【0056】
ゲームマスターは、シナリオの各シーンに設定されている内容に沿って、各プレイヤーによる各キャラクターの動作を促す。例えば、対象とするアイテムを探索するシーンでは、各プレイヤーのキャラクターに探索場所を指定させ、続いてサイコロを振って探索の成否を決定する。この場合、ゲームマスターは、当該イベントの成否に応じて当該シーンにおいて目的を達成するのに役立つようなアイテムを発見させることができる。
【0057】
ゲームマスターは、上記のようにあるキャラクターに動作を促す際に、入力部25を通じて仮想カメラ画像表示部42の中から当該キャラクターのPC画像表示部(423~426のいずれか)を選択する。すると、撮影画面切替部127は、ゲームマスター端末20の表示部26の撮影画面表示部41、及びプレイヤー端末30の表示部36のプレイ画面表示部51に、選択されたPC画像を表示する。このように、ゲームマスターによって仮想カメラ画像表示部42の中のいずれかが選択されると、撮影画面切替部127は撮影画面表示部41及びプレイ画面表示部51の表示を、ゲームマスターにより選択されたものに切り替える。これにより、注目すべきキャラクターの動作に注目させることができる。
【0058】
上記のようにプレイ画面が特定のキャラクターをアップで捉えた画像に切り替えられると、他のキャラクターが仮想空間のどの位置にいるのかをプレイ画面から確認することができなくなる。こうした場合には、アップで表示されているキャラクターを操作するプレイヤー以外の各プレイヤーは、シーン俯瞰図表示部52を確認し、自らのキャラクターが仮想空間のどの位置にいるか、また、他のプレイヤーやNPCとの位置関係がどのような状況にあるかを確認することができる。また、ゲームマスターも各PC、NPCがどのような位置関係にあるかを把握することができる。
【0059】
また、例えばあるシーンで、複数のキャラクターがNPCと対決する場合には、各キャラクターとNPCの攻撃ターン毎に、ゲームマスターが攻撃を行うキャラクター又はNPCをアップで捉えた画像を選択することにより、各プレイヤー及びNPCの攻撃シーンをプレイ画面として表示することができる。さらに、プレイヤーにサイコロを振らせる場面では、アイテム(サイコロ)をアップで表示した画面を選択することにより、その出目に着目させることができる。その他、シナリオの内容と関係なく面白い動作をしているキャラクターのアバターを見つけたときに、そのキャラクターをアップで捉えた画像を選択することもできる。
【0060】
上記のようにゲームマスターが切り替えた撮影画面は、順次、プレイ動画作成部128によってプレイ記録動画記憶部113に保存され、それら複数の撮影画面からプレイ記録動画が作成される。例えば、
図6に示すように、開始時にはシーン全体を捉える撮影画面を表示しておき(
図6(a))、NPCが現れるシーンではそのNPCをアップで捉えた撮影画面に切り替え(
図6(b))、該NPCとの対決に勝利したキャラクターがプレイヤーの操作によって喜びの動作をしている場合にそのキャラクターをアップで捉えた撮影画面に切り替える(
図6(c))など、展開に応じたプレイ画面に順次、切り替えることができる。
【0061】
従来のTRPGのプレイ画面は、シーン毎の背景画像と各キャラクターのアバターを組み合わせて表示したものに過ぎず、アバターの表情や動作を除いてほとんど変化のない単調な動画であったため、そのプレイ画面を元に作成されたプレイ動画は単調であり飽きてしまうという問題があった。
【0062】
これに対し、本実施例のシステム1では、上記のようにシナリオの展開に沿って表示する画像を切り替えて変化に富んだプレイ画面が作成されるため、視聴者は飽きることなくプレイ記録動画を視聴することができる。
【0063】
最初のシーンにおいて予め決められた目的を達成すると、ゲームマスターはシーン選択部45において次のシーン(シーン2)を選択する。シーン2~4についても上記同様の手順でTRPGが進められる。最後のシーン(シーン4)における目的(即ち、当該シナリオの目的)が達せられるとプレイを終了する。プレイの終了と同時にプレイ記録動画作成部128は、それまでに撮影画面記憶部113に保存した撮影画面に基づいてプレイ記録動画を作成し、プレイ記録動画記憶部114に保存する。このように本実施例のシステム1では、ゲームマスターがTRPGのプレイ中に適宜切り替えた撮影画面に基づいて、リアルタイムでプレイ記録動画が作成される。そのため、TRPGのプレイ後に別途、一から動画を作成及び編集する等、手間と時間がかかる作業を行う必要もない。
【0064】
プレイ記録動画の作成が終了すると、プレイ記録動画作成部128は、ゲームマスター端末20に対してプレイ記録動画の作成を完了した旨を通知する。ゲームマスターは通知を受けた後、サーバ装置10にアクセスし、作成されたプレイ記録動画をダウンロードすることができる。上記の通り、プレイ記録動画作成部128により作成される動画のデータファイルは動画ファイル形式であっても良く、パラメータデータファイル形式であってもよい。動画データをパラメータデータファイル形式とすることにより、動画ファイル形式に比べてデータ容量を小さく抑えることができる。ダウンロードしたプレイ記録動画は、動画サイトに投稿する等により他者に視聴させることができる。また、本実施例では、上記の通り、各撮影位置に配置された仮想カメラにより撮影される画像も順次、参照画像として撮影画面記憶部113に保存されているため、ゲームマスターは、必要に応じて、これらの参照画像を用いてプレイ記録動画を適宜に編集することができる。このとき、プレイ記録動画がパラメータデータファイル形式で作成されていると、そのファイルに含まれるパラメータを変更するのみで、簡便に適宜の対象(PC, NPCなど)の位置や姿勢などを変更したり、仮想カメラを変更(別の仮想カメラへの切替えや、画角の変更など)したりすることができる。なお、ここではプレイ記録動画作成部128が、プレイ記録動画記憶部114にプレイ記録動画を保存し、ゲームマスターがそこからダウンロードする構成としたが、プレイ記録動画作成部128が、作成したプレイ記録動画をプレイ記録動画記憶部114に保存することなく、ゲームマスター端末20に自動的に送信する等の変更も可能である。
【0065】
上記実施例は一例であって、本発明の趣旨に沿って適宜に変更することができる。上記実施例のシステムは、サーバ装置、ゲームマスター端末、及びプレイヤー端末で構成したが、ゲームマスター端末とプレイヤー端末のみで構成することもできる。その場合には、上記実施例におけるサーバ装置10と同様の記憶部及び機能ブロックをゲームマスター端末20又はプレイヤー端末30に備えればよい。
【0066】
上記実施例では、シナリオにおけるシーンを三次元空間としたが、従来のTRPG同様に二次元空間であってもよい。また、TRPG以外の即興劇を行う場合にも上記実施例と同様にプレイ記録動画を作成することができる。
【0067】
上記実施例では、ゲームマスターが各時点での撮影画像を選択する場合について説明したが、ゲームマスター端末と別に、プレイ記録動画を作成するための動画作成用端末を用意してもよい。その場合には、例えば、
図3により説明した表示画面のうち、撮影画面表示部41(この場合にはプレイ画面表示部として使用)、シーン俯瞰図表示部43、音楽選択部44、シーン選択部45、効果音選択部46、及びキャラクター情報表示部47を含む画面をゲームマスター端末の表示部に表示し、撮影画面表示部41、仮想カメラ画像表示部42、及びシーン俯瞰図表示部43を含む画面を動画作成用端末の表示部に表示するように構成すればよい。
【0068】
本発明に係るプレイ記録動画作成システムは、野球、テニス、ゴルフ等のスポーツゲームや、格闘ゲームなど、プレイヤーがキャラクターを操作するゲーム(操作型ゲーム)のプレイ記録動画を作成するために用いることもできる。以下、その場合に使用するプレイ記録動画作成システムについて、野球ゲームを例に説明する。ここでは上記実施例との表示画面の相違を主に説明し、上記実施例と共通する点については適宜、説明を省略する。操作ゲームのプレイ記録動画作成システムは、従来用いられているコンピュータゲームに、仮想カメラの撮影位置等を適宜に追加し、従来にないプレイ記録動画を作成するものである。
【0069】
このプレイ記録動画作成システムも、相互にネットワークを介して接続可能な、サーバ装置、動画作成用端末、及び1乃至複数のプレイヤー端末で構成される。
【0070】
動画作成者用端末の表示部(
図2における表示部26に相当)には、野球ゲームにおける撮影画面が表示される(
図3における撮影画面表示部41に相当)。上記実施例と同様に、仮想空間である野球場には、全体を俯瞰する位置、各プレイヤーのキャラクター(PC)のアバターを個別に捉える位置(PC撮影位置)、及び監督、コーチ、観客、審判などの予め決められたノンプレイヤ―キャラクター(NPC)を捉える位置(NPC撮影位置)、並びに各種アイテムを捉える位置にそれぞれ仮想カメラが配置される。
【0071】
仮想カメラ画像表示部(
図3における仮想カメラ画像表示部42に相当)には、上記複数の仮想カメラの各々によって取得される画面と、イメージショットがそれぞれ表示される。この例におけるイメージショットも上記実施例と同様に、操作型ゲームの各シーンで重要な役割を果たすアイテム、例えば、バッティング能力やピッチング能力を一時的に高めるアイテムの画像である。
【0072】
この例では、動画作成用端末の表示部における仮想カメラ画像表示部に、俯瞰位置から広角レンズで野球場全体を捉えた画像を表示する俯瞰広角画像表示部(
図3における俯瞰広角画像表示部421に相当)、俯瞰位置から標準レンズで予め決められた対象空間(例えば、バックスクリーン方向からピッチャーとバッターを捉える空間。
図3における俯瞰標準画像表示部422に相当)を捉えた画像を表示する俯瞰標準画像表示部、PC撮影位置からPC(ピッチャー、バッターなど)をそれぞれアップで捉えた画像を表示するPC表示部(
図3におけるPC表示部423~426に相当)、NPC撮影位置からNPCをアップで捉えた画像を表示するNPC表示部(
図3におけるNPC表示部427に相当)、及びイメージショットを表示するイメージショット表示部(
図3におけるイメージショット表示部428、429に相当)が表示される。なお、PC表示部に表示する画像には、後記のプレイ動画をそのまま使用してもよい。
【0073】
プレイヤー端末の表示部(
図2における表示部36に相当)には、プレイ画面表示部(
図4における撮影画面表示部51に相当)が設けられている。このプレイ画面表示部には、従来のコンピュータゲームと同様に、プレイヤーがキャラクターの操作(ピッチング、バッティング等)を行うために必要な画面(例えばピッチャー方向からキャッチャーを捉えた、ピッチングを行うための画面や、キャッチャー方向からピッチャーを捉えた、バッティングを行うための画面)が表示される。上記実施例におけるシーン俯瞰図表示部、キャラクター情報表示部、動作判定表示部、及び動作入力欄については操作型ゲームの特性に応じて適宜に設ければよい。このプレイ画面も、仮想空間内に配置されたキャラクターのアバターを予め決められた画角で捉えたものであることから、上記の通り、このプレ
イ画面をPC表示部に表示する画像として用いてもよい。これにより、これにより、撮影画面を撮影するために追加する仮想カメラの数を減らしてシステムに係る負荷を低減することができる。
【0074】
操作型ゲームの場合、撮影画面とプレイ画面が必ずしも同じではない(例えば撮影画像が野球場全体を俯瞰的に捉えたものである場合、その画面ではプレイヤーがキャラクターを操作することができないため、両者が異なる)。このシステムでは、プレイヤーは動画作成者による動画作成に係る作業とは無関係に、従来同様に操作型ゲームをプレイするため、以降は、動画作成に関する流れのみを説明する。
【0075】
動画作成者は、操作型ゲームの展開(試合展開)を観察しつつ、各時点で着目すべき対象を決定する。例えば、チャンスやピンチの場面ではピッチャーやバッターを着目すべき対象として、それらのアバターを捉える撮影位置で得られる画像を撮影画像として選択する。また、それ以外の場面では、例えば応援団や監督を捉える撮影位置で得られる画像を撮影画像として選択する。さらに、バッターがホームランを打った場合には打球を追う仮想カメラで得られる画像を撮影画像として選択する。こうした撮影画像の選択は動画作成者が適宜に決定する。選択された撮影画像は動画作成用端末の表示部の撮影
画面表示部(
図3における撮影
画面表示部41に相当)に表示される。
【0076】
この例においても、プレイ記録動画作成部(
図2におけるプレイ記録動画作成部128に相当)が、ゲームの開始と同時に、撮影画面表示部に表示される画像データを順次、プレイ記録動画記憶部(
図2におけるプレイ記録動画記憶部114に相当)に保存する。また、各撮影位置に配置された仮想カメラにより所定の時間間隔で撮影される画像も順次、参照画像として撮影画面記憶部(
図2における撮影画面記憶部113に相当)に保存する。
【0077】
操作型ゲームが終了(例えば試合が終了)すると、プレイ記録動画作成部は、それまでにプレイ記録動画記憶部に保存した各時点での撮影画面に基づいてプレイ記録動画を作成し、プレイ記録動画記憶部に保存する。プレイ記録動画の作成が終了すると、プレイ記録動画作成部は、動画作成用端末に対してプレイ記録動画の作成を完了した旨を通知する。動画作成者は通知を受けた後、サーバ装置にアクセスし、作成されたプレイ記録動画をダウンロードすることができる。ダウンロードしたプレイ記録動画は、動画サイトに投稿する等により他者に視聴させることができる。
【0078】
この例においても、上記の通り、各撮影位置に配置された仮想カメラにより撮影される画像が順次、参照画像として撮影画面記憶部に保存されているため、動画作成者は、これらの参照画像を用いてプレイ記録動画作成部により作成されたプレイ記録動画を適宜に編集することができる。
【0079】
さらに、1試合分のリアルタイム画像で構成されたプレイ記録動画は1試合の試合時間に相当する長さ(例えば3時間)と長時間にわたるが、例えば動画作成者が、撮影画像を選択する際に重要なシーンであることを記録するフラグを立てる等の構成を追加しておくことにより、プレイ記録動画の中からフラグを付した時点の撮影画像のみを抽出するなどして、スポーツニュースにおけるダイジェスト映像のような短時間の動画に編集することもできる。
【0080】
従来の操作型ゲームのプレイ動画は、元来プレイヤーがキャラクターを操作するための、プレイヤー端末に表示されるプレイ画面を録画したものであるため、キャラクターの動作を除いてほとんど変化のない単調な動画であった。これに対し、上記例のシステムでは、スポーツのテレビ中継のように展開に合わせて最適な視点で撮影された画像で構成された動画が作成されるため、長時間であっても視聴者は飽きることなくプレイ記録動画を楽しむことができる。
【符号の説明】
【0081】
10…サーバ装置
11…記憶部
111…シーン表示データ記憶部
112…アバター表示データ記憶部
113…プレイ画面記憶部
12…サーバ装置用プログラム
121…端末決定部
122…シナリオ決定部
123…シーン設定部
124…アバター表示制御部
125…撮影位置設定部
126…仮想空間撮影部
127…撮影画面切替部
128…プレイ記録動画作成部
20…ゲームマスター端末
21…記憶部
22…ゲームマスター端末用プログラム
221…ゲームマスター画面表示処理部
25…入力部
26…表示部
30…プレイヤー端末
31…記憶部
32…プレイヤー端末用プログラム
321…プレイヤー画面表示処理部
35…入力部
36…表示部
40…表示画面
41…撮影画面表示部
42…仮想カメラ画像表示部
421…俯瞰広角画像表示部
422…俯瞰標準画像表示部
423~426…PC表示部
427…NPC表示部
428、429…イメージショット表示部
43…シーン俯瞰図表示部
44…音楽選択部
45…シーン選択部
46…効果音選択部
47…キャラクター情報表示部
50…表示画面
51…プレイ画面表示部
52…シーン俯瞰図表示部
53…キャラクター情報表示部
54…動作判定表示部
55…動作入力欄
6…仮想カメラ
【要約】
【課題】視聴する者を飽きさせないプレイ記録動画をリアルタイムで作成することができる技術を提供する。
【解決手段】第1表示部26を有する第1端末20と、第2表示部36を有する複数の第2端末30と、仮想空間及びキャラクターのアバターの表示データが保存された記憶部11と、第2端末での入力操作に応じて仮想空間にアバターを表示するアバター表示制御部124と、第1端末での所定の入力操作に応じて俯瞰位置、又は、キャラクターのアバターを捉えるアバター捕捉位置を撮影位置に設定する撮影位置設定部125と、該撮影位置において仮想カメラで撮影して得られる画像を生成する仮想空間撮影部126と、該画像を第1表示部及び第2表示部に表示するプレイ画面表示部221、321と、プレイ画面を順次記録してプレイ記録動画を作成するプレイ記録動画作成部127とを備える。
【選択図】
図2