IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社彫刻プラストの特許一覧 ▶ 稲垣 宏道の特許一覧

<>
  • 特許-包装容器およびその製造方法 図1
  • 特許-包装容器およびその製造方法 図2
  • 特許-包装容器およびその製造方法 図3
  • 特許-包装容器およびその製造方法 図4-1
  • 特許-包装容器およびその製造方法 図4-2
  • 特許-包装容器およびその製造方法 図5
  • 特許-包装容器およびその製造方法 図6
  • 特許-包装容器およびその製造方法 図7
  • 特許-包装容器およびその製造方法 図8
  • 特許-包装容器およびその製造方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-03
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】包装容器およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/20 20060101AFI20220204BHJP
   B65B 7/28 20060101ALI20220204BHJP
【FI】
B65D77/20 E
B65B7/28 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017206021
(22)【出願日】2017-10-25
(65)【公開番号】P2019077472
(43)【公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】307027717
【氏名又は名称】株式会社彫刻プラスト
(73)【特許権者】
【識別番号】593031849
【氏名又は名称】稲垣 宏道
(74)【代理人】
【識別番号】100116713
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 正己
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 宏道
(72)【発明者】
【氏名】高橋 盛
【審査官】武内 大志
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-264904(JP,A)
【文献】国際公開第2014/042025(WO,A1)
【文献】特開平8-58793(JP,A)
【文献】特開昭62-193905(JP,A)
【文献】特開2007-297082(JP,A)
【文献】特開2004-323021(JP,A)
【文献】米国特許第5943844(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/20
B65B 7/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製の容器本体と、フィルムまたはシートからなる蓋材と、を備える包装容器であって、
前記容器本体は、底面部と、二組の向かい合う側壁部とを有する略箱型形状であって、かつ、前記側壁部の上端周縁にフランジ部を有し、
前記蓋材は前記フランジ部にシールされており、
前記二組の向かい合う側壁部のうち少なくとも一方の組の向かい合う側壁部は、互いの間隔が狭められるように弾性変形した状態であって、該側壁部によって側壁部と直交する方向に前記蓋材に張力がかかっており
前記容器本体は、前記二組の向かい合う側壁部の一方の組の向かい合う側壁部の上端部の少なくとも一部が、他の組の向かい合う側壁部の上端部よりも高い位置にある、
包装容器。
【請求項2】
樹脂製の容器本体と、フィルムまたはシートからなる蓋材と、を備える包装容器であって、
前記容器本体は、底面部と、二組の向かい合う側壁部とを有する略箱型形状であって、かつ、前記側壁部の上端周縁にフランジ部を有し、
前記蓋材は前記フランジ部にシールされており、
前記二組の向かい合う側壁部のうち少なくとも一方の組の向かい合う側壁部は、互いの間隔が狭められるように弾性変形した状態であって、該側壁部によって側壁部と直交する方向に前記蓋材に張力がかかっており
前記容器本体は、前記二組の向かい合う側壁部の一方の組の向かい合う側壁部の上端部の高さが互いに異なり、他の組の向かい合う側壁部の上端部は前記底面部と略平行な部分と傾斜した部分とを有する、
包装容器。
【請求項3】
前記蓋材の厚みが20μm以上、200μm以下である、請求項1または2に記載の包装容器。
【請求項4】
前記容器本体に内容物を収容した、請求項1~のいずれか一項に記載の包装容器。
【請求項5】
請求項1に記載の包装容器を製造する方法であって、
底面部と、二組の向かい合う側壁部とを有する略箱型形状で、前記側壁部の上端周縁にフランジ部を有し、前記二組の向かい合う側壁部の一方の組の向かい合う側壁部の上端部の少なくとも一部が、他の組の向かい合う側壁部の上端部よりも高い位置にあり、かつ、前記二組の向かい合う側壁部のうち少なくとも一方の組の向かい合う側壁部が互いに外側に傾斜した樹脂製の容器本体を、前記フランジ部を支えるバケットに装着する装着工程と、
前記フランジ部に、フィルムまたはシートからなる蓋材をシールするシール工程と、
を有し、
前記バケットは、少なくとも二組の向かい合う枠壁部からなる枠体を有しており、前記枠体の二組の枠壁部のうち少なくとも一方の組の枠壁部の最上部間の間隔が、これと当接する前記容器本体の向かい合う側壁部の最上部間の間隔よりも小さくなっており、
前記装着工程において、前記外側に傾斜した前記容器本体の前記側壁部は前記枠体によって内側方向に押されながら弾性変形することによって、前記側壁部の傾斜は装着前より急な傾斜となり、
前記シール工程において、前記蓋材は、前記変形してなる前記容器本体の前記フランジ部にシールされる、
包装容器の製造方法。
【請求項6】
請求項に記載の包装容器を製造する方法であって、
底面部と、二組の向かい合う側壁部とを有する略箱型形状で、前記側壁部の上端周縁にフランジ部を有し、前記二組の向かい合う側壁部の一方の組の向かい合う側壁部の上端部の高さが互いに異なり、他の組の向かい合う側壁部の上端部は前記底面部と略平行な部分と傾斜した部分とを有し、かつ、前記二組の向かい合う側壁部のうち少なくとも一方の組の向かい合う側壁部が互いに外側に傾斜した樹脂製の容器本体を、前記フランジ部を支えるバケットに装着する装着工程と、
前記フランジ部に、フィルムまたはシートからなる蓋材をシールするシール工程と、
を有し、
前記バケットは、少なくとも二組の向かい合う枠壁部からなる枠体を有しており、前記枠体の二組の枠壁部のうち少なくとも一方の組の枠壁部の最上部間の間隔が、これと当接する前記容器本体の向かい合う側壁部の最上部間の間隔よりも小さくなっており、
前記装着工程において、前記外側に傾斜した前記容器本体の前記側壁部は前記枠体によって内側方向に押されながら弾性変形することによって、前記側壁部の傾斜は装着前より急な傾斜となり、
前記シール工程において、前記蓋材は、前記変形してなる前記容器本体の前記フランジ部にシールされる、
包装容器の製造方法。
【請求項7】
前記変形する前の前記容器本体において前記フランジ部は、前記容器本体の外側に向かって下方に傾斜しており、
前記装着工程において、前記下方に傾斜した前記フランジ部が水平に変形する、請求項5または6に記載の包装容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品等の包装形態の一つとして、食品等を樹脂製の容器に収容した後、容器本体の上端の開口部周縁に設けられたフランジ部とフィルム状の蓋材とをヒートシールして密封包装した包装容器がある(特許文献1、2)。
【0003】
これらの包装容器は食品工場で食品等を収容し密封した後、冷蔵、冷凍状態で商品ケースに陳列される場合がある。
ところで、食品工場で製造した包装容器を冷蔵、冷凍すると容器内部に密閉された空気の体積が小さくなり、この結果、蓋材にシワやくぼみが生じて商品の外観が損なわれるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-221177号公報
【文献】特開2017-024803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、工業的量産が可能であり、密封性を確保でき、温度条件の変化によって容器内部の空気の体積変化が生じても蓋材にシワやくぼみの発生が少ない包装容器及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の包装容器の一態様は以下に記載する通りのものである。
(1)樹脂製の容器本体と、フィルムまたはシートからなる蓋材と、を備える包装容器であって、
前記容器本体は、底面部と、二組の向かい合う側壁部とを有する略箱型形状であって、かつ、前記側壁部の上端周縁にフランジ部を有し、
前記蓋材は前記フランジ部にシールされており、
前記二組の向かい合う側壁部のうち少なくとも一方の組の向かい合う側壁部は、互いの間隔が狭められるように弾性変形した状態であって、該側壁部によって側壁部と直交する方向に前記蓋材に張力がかかっており
前記容器本体は、前記二組の向かい合う側壁部の一方の組の向かい合う側壁部の上端部の少なくとも一部が、他の組の向かい合う側壁部の上端部よりも高い位置にある、
包装容器。
(2)樹脂製の容器本体と、フィルムまたはシートからなる蓋材と、を備える包装容器であって、
前記容器本体は、底面部と、二組の向かい合う側壁部とを有する略箱型形状であって、かつ、前記側壁部の上端周縁にフランジ部を有し、
前記蓋材は前記フランジ部にシールされており、
前記二組の向かい合う側壁部のうち少なくとも一方の組の向かい合う側壁部は、互いの間隔が狭められるように弾性変形した状態であって、該側壁部によって側壁部と直交する方向に前記蓋材に張力がかかっており、
前記容器本体は、前記二組の向かい合う側壁部の一方の組の向かい合う側壁部の上端部の高さが互いに異なり、他の組の向かい合う側壁部の上端部は前記底面部と略平行な部分と傾斜した部分とを有する、
包装容器。
【発明の効果】
【0007】
本発明の包装容器は、工業的量産が可能であり、密封性を確保でき、温度条件の変化によって容器内部の空気の体積変化が生じても蓋材にシワやくぼみの発生が少ない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明における容器本体及び包装容器の一例を示す図である。
図2図1に示した容器本体の断面を示す図である。
図3】本発明における容器本体をバケットに装着する工程を示す図である。
図4-1】本発明の包装容器を製造する際に用いるバケットの一例を示す図である。
図4-2】本発明の包装容器を製造する際に用いるバケットの断面を示す図である。
図5】本発明の包装容器及びその断面を示す図である。
図6】本発明の包装容器における容器本体の例を示す図である。
図7】本発明の包装容器の例を示す図である。
図8】本発明の包装容器の例を示す図である。
図9】本発明の包装容器の製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の構成を図に基づいて説明する。
図1Aに本発明の包装容器の容器本体10の形状の一例を表す。
容器本体10は、底面部1と、対向する一組の側壁部2a、2bと、対向する他の一組の側壁部3a、3bとを有し、各側壁部2a、2b、3a、3bの上端周縁にはフランジ部4が設けられている。
図1Bに容器本体10に蓋材5を被せて得られる包装容器20を示す。
容器本体10内に食品等を収容したのち、容器本体10の側壁部の上端周縁に設けられているフランジ部4と蓋材5の周縁部とをシールして食品を容器本体内に密封することにより包装容器20を得る。シールの方法はヒートシールでも良く、接着剤によるシールでもよいが、ヒートシールの方が好ましい。
【0010】
本発明においては、蓋材5を被せた後の容器本体10の形状は蓋材5を被せる前の容器本体10の形状とは異なっている。
蓋材5を被せた後の容器本体10は二組の向かい合う側壁部のうち少なくとも一方の組の向かい合う側壁部が互いの間隔が小さくなるように弾性変形した状態となっている。このため、包装容器20における蓋材5を被せた後の容器本体10の側壁部は元の形状に復帰しようとして、蓋材5には側壁部と直交する方向に張力が発生する。
この蓋材5にかかる張力の働きにより、蓋材5にはシワやくぼみの発生が少なく、商品の外観が損なわれることがない。また、店頭で冷蔵されて容器内部の空気の体積の減少が生じても蓋材にシワやくぼみの発生は少ない。
このように蓋材に張力が係るような包装容器を製造する方法については後述する。
【0011】
本発明における容器本体10はバケットに収容された状態で容器本体10の側壁部の上端周縁に設けられたフランジ部4と蓋材5とがヒートシールされる。
図2はバケットに収容される前の容器本体10を示す図であり、図2Aは容器本体10を、図2B図2AにおけるA-A’断面図を、図2C図2AにおけるB-B’断面図をそれぞれ示す。
図2に示した容器本体10においては、バケットに収容される前の容器本体10の側壁部2a、2b、3a、3bは容器本体の外側に角度θ1で傾斜しており、側壁部2a、2b、3a、3bに設けられたフランジ部4は容器本体の外側に向かって水平方向から下方に角度θ2で傾斜している。
【0012】
図3Aの上側の図及び図3Bの上側の図はバケット30に容器本体10を装着する状態を示す図であり、図3Aの下側の図及び図3Bの下側の図はバケット30に容器本体10を装着した状態を示す図である。
【0013】
バケットは、少なくとも二組の向かい合う枠壁部からなる枠体を有しており、前記枠体の二組の枠壁部のうち少なくとも一方の組の枠壁部の最上部間の間隔が、これと当接する前記容器本体の向かい合う側壁部の最上部間の間隔よりも小さくなっている。
このようなバケットを用いることにより、容器本体をバケットに装着する工程において、外側に傾斜した容器本体の側壁部は枠体によって内側方向に押されながら性変形することによって、前記側壁部の傾斜は装着前より急な傾斜となり、シール工程において、蓋材は、前記変形してなる前記容器本体のフランジ部にシールされる。
【0014】
図4-1はバケットの一例を示す図である。
バケット30はいずれも垂直な枠壁部21a、21b、31a、31bからなる枠体を備えている。
枠壁部21a、21b、31a、31bは容器本体の側壁部に比べるとより垂直に近く起立しており、バケット30の一組の枠壁部である枠壁部21aと21bとの間隔は容器本体10の側壁部2aの最上部と側壁部2bの最上部との間の間隔よりも小さくなっている。また、バケット30の他の一組の枠壁部である枠壁部31aと枠壁部31bとの間隔は容器本体10の側壁部3aの最上部と側壁部3bの最上部との間の間隔よりも小さくなっている。
なお、バケット30の枠壁部21aと21bとの間隔及びバケット30の枠壁部31aと31bとの間隔の両方を小さくする必要は無く、少なくとも一組の側壁部の間の間隔が容器本体の側壁部の最上部間の間隔よりも小さくなっていれば良い。
バケットの枠体40は図4-2Aに示すように枠体40のみからなっていても良く、図4-2Bに示すように底面部41を有していても良い。
また、図4-2E、図4-2Fに示すように、枠体40の枠壁部の枠幅を小さくし、枠壁部の下端部に支持部材42を設けることにより枠体40を支持するようにしても良い。
【0015】
また、図4-1ではバケット30がいずれも垂直な枠壁部21a、21b、31a、31bを有する枠体を備えた例を示した。
しかしながら、枠体の枠壁部は垂直に起立したものでなくても良く、図4-2Cに示したような枠壁部の最上部間の間隔が、これと当接する前記容器本体の向かい合う側壁部の最上部間の間隔よりも小さければ良い。図4-2Dはバケットが枠体40と底面部41とを備えている例である。
また、枠体40は容器本体の位置を固定し、容器本体の少なくとも一組の側壁部の最上部間の間隔を狭めることができる形状であればよく、図4-1、4-2に示した形状に限定されない。
バケットは、枠体を構成する少なくとも一組の枠壁部の最上部間の間隔が、これと当接する前記容器本体の向かい合う側壁部の最上部間の間隔よりも小さくなっていれば良い。
【0016】
図3A及び図3Bに示すように、容器本体10をバケット30の上方からバケット30内に押し込んで装着すると、バケット30内に押し込まれた容器本体10の側壁部2a、2b及び側壁部3a、3bはバケット30の枠壁部21a、21b、31a、31bから応力を受けて容器本体10の側壁部2aと2bとの間隔及び側壁部3aと3bとの間隔が小さくなるように弾性変形して図3Aの下側の図及び図3Bの下側の図に示すように、容器本体の側壁部2a、2b、3a、3bの傾斜は装着前より急な傾斜となり、容器本体のフランジ部4は水平に近い状態となる。
【0017】
図5は、バケット30に容器本体10を装着した状態で容器本体10に蓋材5を被せて容器本体10のフランジ部4と蓋材5の周縁部とをヒートシールして、包装容器20をバケット30から取り出した状態を示す図である。図5Aは包装容器を、図5B図5AにおけるC-C’断面図を、図5C図5AにおけるD-D’断面図をそれぞれ示す。
【0018】
バケット30から取り出された包装容器20の容器本体10はバケット30の枠壁部からの応力が無くなるため、弾性変形した状態から元の形状に復帰しようとする。このため、蓋材5には張力T1、T2がかかった状態となり、シワやくぼみの発生を防ぐことができる。また、ヒートシールする際にはフランジ部4は水平に近い状態となっているためフランジ部4の全面で蓋材5がシールされて蓋材5が強固にフランジ部に接着され、完全な密閉状態が確保できる。
【0019】
これにより、例えば収容物が食品の場合にあっては、食品を収容した直後に完全密閉することで、調理室の環境のままの空隙を密封することができ、以後のコンタミ(汚染)を防止することができる。また包装容器内の雰囲気を制御すること、即ちM.A.P.(Modified Atmosphere Packaging)が可能であり、例えば窒素雰囲気、窒素・炭酸ガス雰囲気、窒素・炭酸ガス・酸素雰囲気等に制御することが可能である。更には、食品にタレ等の液状物が含まれていたとしても、液漏れを起こす恐れがない。
【0020】
容器本体の形状の他の例を図6図7に示す。
図6に示したものは、一組の向かい合う側壁部2a、2bと他の一組の向かい合う側壁部3a、3bとの二組の向かい合う側壁部を有し、側壁部2a、2b、2c、2dの上端周縁にフランジ部4を有する箱形形状の容器本体60である。この容器本体60は一方の組の向かい合う側壁部3a、3bの上端部の少なくとも一部が頂点3c、3c’を形成しており、この頂点3c、3c’の位置が他の組の向かい合う側壁部2a、2bの上端部よりも高い位置にある。
このように容器本体の側壁部の高さを一定にせず、対峙する一組の側壁部が同一形状であって、該一組の側壁部の上端部の少なくとも一部が他の一組の対峙する側壁部の上端部よりも高い位置にあって頂点となるようにすることで、包装容器および内容物に立体感を持たせることができる。
【0021】
図7Aに示した包装容器70は底面部71を水平にして、かつ、側壁部72a、72b、73a、73bの下方に突起部75を設けた例である。
図7Aに示すように、前記突起部75の下縁部は、側壁部72a、72b、73a、73bの対応する上縁部と略同一形状であることが好ましい。側壁部72a、72b、73a、73bの対応する上縁部とは、突起部75を設けた部分の側壁部72a、72b、73a、73bの上方の上縁部のことをいう。
【0022】
図7Aに示した例では、上縁部が台形状の側壁部72a、72bの下方の突起部75は、図7Bに示すたように、上縁部の傾斜と平行になるように傾斜している。また、上縁部が水平状の側壁部73a、73bの下方の突起部75は、図7Cに示すように上縁部と平行になるように水平になっている。
【0023】
このように底面部71が略平面状(水平)であって、かつ、他の包装容器70と積み重ね可能となる位置に下方向に突き出した突起部75を有することで、底面部71の下側には空間ができる。この空間があることで他の包装容器70と積み重ねることが可能になると同時に、包装容器70を手に取りやすくなる。また、前述のように、電子レンジで加熱した際に食材の加熱ムラを抑制することができる。
【0024】
図8Aに示した包装容器80は、二組の向かい合う側壁部(82aと82b及び83aと83b)の一方の組の向かい合う側壁部(82a、82b)の上端部の高さが互いに異なり、他の組の向かい合う側壁部(83aと83b)の上端部は前記底面部と略平行な部分と傾斜した部分とを有する。
この包装容器80は、図8Bに示すように、包装容器80を積み重ねた場合には、左側面側にできる隙間に手を入れて本物品を容易に手に取ることができる。
【0025】
次に蓋材について説明する。
蓋材としてはフィルムまたはシートを用いることができる。
蓋材にフィルムまたはシートを用いることにより、包装容器の上面を高光沢、高透明にすることができる。これにより内容物をよりはっきりと見せることが可能となり、鮮度感を与えることができる。また、蓋材に防曇剤を塗布したり含有させたりすることで、包装容器に防曇性を付与することができる。
【0026】
蓋材は単層であっても積層されたものであっても構わないが、上記の高光沢、高透明にするためにはなるべく薄いものが好ましく、例えば、フィルムの場合には20μm以上150μm未満程度のものを、シートの場合には150μm以上200μm以下程度のものを良好に使用することができる。
【0027】
本発明の包装容器は、前記蓋材が、前記包装容器の収容物を電子レンジで加熱した際に発生する蒸気の圧力で蓋材に設けた蒸気孔が自動開孔する機能を有することが好ましい。これにより包装容器の蓋材であるフィルムまたはシートを事前に一部ピールしておくことなく、電子レンジ加熱することができ、利便性に優れる。
このような蓋材としては、例えば、せいろパック(登録商標)に使用されているフィルムを利用することができる(特許第4817583号公報参照)。
【0028】
また、包装容器に自動開孔性を付与するために、前記ヒートシールされた容器本体のフランジ部と蓋材との少なくとも一部が、他の部分よりもシール強度が弱く、前記包装容器内の収容物を電子レンジで加熱した際に発生する蒸気の圧力で剥離して開孔する機能を有するようにすることも好ましい。このようにするには、例えば、容器本体の側壁部周縁に設けられたフランジ部の一部分の幅を他の部分の幅よりも細くすればよい。
【0029】
前記本発明の包装容器に食品を収容してなる弁当等の包装製品は、内容物である食品を視認しやすく、また、外観上の立体感にも優れている。更に、包装容器が密封されている為、衛生面にも優れ、消費期限を長くすることもできる。
【0030】
本発明の容器において前記蓋材は、原反ロールから繰り出されるかまたは枚葉原紙として供給される時には平面状のフィルムまたはシートであって、ヒートシール前またはヒートシール時に容器本体の上端縁の形状に沿うように変形されてヒートシールされてなることが好ましい。
【0031】
更に、容器本体と蓋材とのヒートシール強度を調節したり、蓋材の端部の一部に突起状のつまみを設けたりすることで、易開封性を付与することができる。
【0032】
本発明に係る包装容器の製造方法の一例を図9に基づいて以下説明する。
本発明に係る包装容器の製造方法は、底面部と側壁部とを有し前記側壁部の上端部周縁にフランジ部を有する容器本体を複数並べて搬送し、前記容器本体のフランジ部に蓋材を連続的にヒートシールする工程を含む。
容器本体を収容するバケットがベルトコンベアに固定されて直線状に配置されて搬送される。バケットは間欠的に搬送しても連続的に搬送してもよい。
以下では、バケットを間欠的に搬送する場合について述べる。
図9では、バケット内における容器の状態を分かり易く示すために、バケット、容器及び蓋材を半分に切断した状態のものを示している。
【0033】
以下では、図1Aで示した容器本体10をバケットに装着した際、一組の側壁部2a、2bの間隔及び側壁部3a、3bの間隔が狭まるようにした場合を例にとって説明する。
本発明の包装容器の製造方法は以下の工程からなる。
A 包装容器をバケットに装着する工程
容器本体のスタッカー21から容器本体10を一個ずつ取り出してバケット30の上方からバケット30内にプッシャー22で押し込んで容器本体10をバケット30に装着する。
このとき、バケット30内に押し込まれた容器本体10の側壁部はバケット30の枠壁部から応力を受けて容器本体の側壁部の間隔が小さくなるように弾性変形して図3Aの下側の図及び図3Bの下側の図に示すように、容器本体10の側壁部の傾斜は装着前より急な傾斜となり、容器本体10のフランジ部4は水平に近い状態となる。
B ヒートシール工程
図9に示すように、平面状のフィルムまたはシートからなる蓋材5を繰り出しロールから繰り出してロール23を介して送り、容器本体10に被せる。ついで、容器本体10のフランジ部4の形状と略同一形状のヒートシーラー(ヒートシールブロック)24を蓋材5に当接させてフランジ部4と蓋材5の周縁部とをヒートシールして包装容器20を得る。この時、フランジ部4は水平に近い状態となっているためフランジ部4の全面で蓋材5がシールされるので、蓋材5が強固にフランジ部に接着され、良好な密閉状態が確保できる。
【0034】
また、本発明に係る包装容器の製造方法は前記容器本体のフランジ部と前記蓋材とのヒートシールを真空チャンバー内で行うことが好ましい。これにより、包装容器内部を例えば、窒素雰囲気、窒素・炭酸ガス雰囲気、窒素・炭酸ガス・酸素雰囲気等に制御することが可能となる。
【0035】
具体的には、上記本発明に係る包装容器の製造方法は、前記容器本体のフランジ部と前記蓋材とのヒートシールを真空チャンバー内で行い、前記真空チャンバーはチャンバー本体とこれと当接するチャンバー蓋とを有し、前記チャンバー本体側には前記バケットの受け台が設けられており、前記蓋材の幅は、前記容器本体の幅よりも広く、かつ前記真空チャンバーの幅よりも小さいものであって、前記バケットを前記受け台に装着し、前記蓋材を、前記チャンバー蓋と前記チャンバー本体とで挟み込んで真空チャンバーを密閉し、前記真空チャンバー内を脱気して充填用ガスを充填し、圧力を調整した後に、前記チャンバー蓋側に設けられたヒートシールブロックによって前記容器本体のフランジ部と前記蓋材とをヒートシールし、包装容器のフランジ部の外側の前記蓋材を除去することが好ましい。
【0036】
本発明の実施の態様を示すと以下の通りである。
(1)樹脂製の容器本体と、フィルムまたはシートからなる蓋材と、を備える包装容器であって、
前記容器本体は、底面部と、二組の向かい合う側壁部とを有する略箱型形状であって、かつ、前記側壁部の上端周縁にフランジ部を有し、
前記蓋材は前記フランジ部にシールされており、
前記二組の向かい合う側壁部のうち少なくとも一方の組の向かい合う側壁部は、互いの間隔が狭められるように弾性変形した状態であって、該側壁部によって側壁部と直交する方向に前記蓋材に張力がかかっている、
包装容器。
(2)前記蓋材の厚みが20μm以上、200μm以下である、上記(1)に記載の包装容器。
(3)前記二組の向かい合う側壁部の一方の組の向かい合う側壁部の上端部の少なくとも一部が、他の組の向かい合う側壁部の上端部よりも高い位置にある、上記(1)または(2)に記載の包装容器。
(4)前記二組の向かい合う側壁部の一方の組の向かい合う側壁部の上端部の高さが互いに異なり、他の組の向かい合う側壁部の上端部は前記底面部と略平行な部分と傾斜した部分とを有する、上記(1)または(2)に記載の包装容器。
(5)前記容器本体に内容物を収容した、上記(1)~(4)のいずれか一項に記載の包装容器。
(6)上記(1)に記載の包装容器を製造する方法であって、
底面部と、二組の向かい合う側壁部とを有する略箱型形状で、前記側壁部の上端周縁にフランジ部を有し、かつ、前記二組の向かい合う側壁部のうち少なくとも一方の組の向かい合う側壁部が互いに外側に傾斜した樹脂製の容器本体を、前記フランジ部を支えるバケットに装着する装着工程と、
前記フランジ部に、フィルムまたはシートからなる蓋材をシールするシール工程と、
を有し、
前記バケットは、少なくとも二組の向かい合う枠壁部からなる枠体を有しており、前記枠体の二組の枠壁部のうち少なくとも一方の組の枠壁部の最上部間の間隔が、これと当接する前記容器本体の向かい合う側壁部の最上部間の間隔よりも小さくなっており、
前記装着工程において、前記外側に傾斜した前記容器本体の前記側壁部は前記枠体によって内側方向に押されながら弾性変形することによって、前記側壁部の傾斜は装着前より急な傾斜となり、
前記シール工程において、前記蓋材は、前記変形してなる前記容器本体の前記フランジ部にシールされる、
包装容器の製造方法。
(7)前記変形する前の前記容器本体において前記フランジ部は、前記容器本体の外側に向かって下方に傾斜しており、
前記装着工程において、前記下方に傾斜した前記フランジ部が水平に変形する、上記(6)に記載の包装容器の製造方法。
【実施例
【0037】
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例の記載内容に何ら制約されるものではない。
[容器本体の製造]
容器本体:PPF(フィラー入りポリプロピレン) 厚さ400μm
容器本体の上端の外寸(L1×L1’) :120mm×180mm
容器本体の底面部の外寸(L2×L2’) :80mm×140mm
深さ(H) :40mm
フランジ部の幅 :10mm
蓋材 :PET(12μm)//CPP(20μm)
バケット:アルミニウム
バケットの内寸(L3×L3’) :105mm×165mm
【0038】
得られた包装容器の外観を観察したところ、しわやくぼみの発生は見られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、例えば、レトルト食品等の各種食品や薬品、化粧品等に包装容器として広く利用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 底面部
2a、2b 側壁部(容器本体)
3a、3b 側壁部(容器本体)
4 フランジ部
5 蓋材
10、60 容器本体
20、70、80 包装容器
21a、21b、31a、31b 枠壁部(バケット)
22 プッシャー
23 ロール
24 ヒートシーラー(ヒートシールブロック)
30 バケット
40 枠体
41 底面部
42 支持部材
図1
図2
図3
図4-1】
図4-2】
図5
図6
図7
図8
図9