(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-03
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】植物由来成分のマイクロエマルション製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9794 20170101AFI20220204BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20220204BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20220204BHJP
A61K 8/67 20060101ALI20220204BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20220204BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20220204BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20220204BHJP
A61K 47/46 20060101ALI20220204BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220204BHJP
【FI】
A61K8/9794
A61K8/06
A61K8/34
A61K8/67
A61K8/9789
A61K9/107
A61K47/10
A61K47/46
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2017183872
(22)【出願日】2017-09-25
【審査請求日】2020-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】308040638
【氏名又は名称】株式会社バスクリン
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸茂 愛
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 茂
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-516990(JP,A)
【文献】特開2010-013429(JP,A)
【文献】松浦大輔、鈴木茂、金谷裕敏、綱川光男,生薬育毛剤のマイクロエマルション化による育毛成分の浸透性向上と効果の増強,FRAGRANCE JOURNAL,2008年10月,p.18-23
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K 36/00-36/9068
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分(A)~(C):
(A)エタノール、
(B)ショウキョウチンキ、トウガラシチンキ、クワ抽出液、サンショウ抽出液及びクジン抽出液から選ばれる水不溶性の植物由来成分及び
(C)水
を、成分(A)~(C)の合計100質量部に対して、成分(A)5~29質量部、成分(B)0.001~1.5質量部、成分(C)残部の配合割合で含み、リンゴポリフェノールを含有せず、かつ前記水不溶性の植物由来成分以外に、界面活性剤、高分子乳化剤、多価アルコール、糖アルコール、高級アルコール、リン脂質及びグリコールエーテルを含有しないマイクロエマルション製剤。
【請求項2】
経皮吸収促進剤を含有しない請求項
1記載のマイクロエマルション製剤。
【請求項3】
前記水不溶性の植物由来成分以外に、界面活性作用を有する物質を含有しない請求項
1又は2に記載のマイクロエマルション製剤。
【請求項4】
前記水不溶性の植物由来成分として、更に天然ビタミンEを含む請求項1~3のいずれか1項に記載のマイクロエマルション製剤。
【請求項5】
更にニンジン抽出液を含む請求項1~4のいずれか1項に記載のマイクロエマルション製剤。
【請求項6】
5~25質量%エタノール水溶液を調製した後、加温し、
前記水不溶性の植物由来成分を加え、混合した後、冷却することを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のマイクロエマルション製剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、界面活性剤等の界面活性作用を有する物質、好ましくは更に経皮吸収促進剤を含有しない植物由来成分のマイクロエマルション製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、生理活性物質の経皮/経粘膜吸収性を改善するためにマイクロエマルションを調製する試みが行われてきた。安定性の高いマイクロエマルション製剤を作る方法は、一般的に乳化剤を用いる。乳化剤のような界面活性剤を使用しない場合でも、様々な高分子、高級アルコール、リン脂質又は多価アルコールを用いる方法が知られている。
【0003】
また、物性的に少量しか配合できない有効成分を効率よく吸収させる目的として配合される経皮吸収促進剤も、DMSOなどの非プロトン性極性溶媒や高級アルコール類、界面活性剤、リン脂質、グリコールエーテル等、様々なものが検討されている。経皮吸収促進剤の問題点として皮膚への刺激性等があり、刺激の少ない経皮吸収促進剤も開発されているが、合成品がほとんどである。
【0004】
また、多量のイオン系界面活性剤を用いてマイクロエマルションを調製する場合、マイクロエマルションは粘膜、皮膚に対して刺激性を持つという欠点があった。
【0005】
特許文献1には、不快臭を与える高級アルコール等を使用せず、しかも従来の吸収促進剤を使用せず、局所刺激性の低いマイクロエマルション製剤として、特定の複数の界面活性剤を組合せることにより、吸収性の低い生理活性物質を含有する水相液滴を油相分散媒中に分散させたマイクロエマルション製剤が開示されている。
【0006】
特許文献2には、アルギン酸及び/又はその塩と、グリチルリチン酸及び/又はその塩と、多価アルコールとを含有し、界面活性剤を含有しないマイクロエマルション製剤が開示されている(例えば、請求項1、2、5)。
【0007】
特許文献3には、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステルからなる親水性非イオン界面活性剤、親水性両親媒性物質、油分、多価アルコール及び水を含有し、親油性非イオン界面活性剤を含有しないマイクロエマルションが開示されている(例えば、請求項1)。
【0008】
高分子乳化剤を含有するマイクロエマルション製剤としては、例えば、ポリ乳酸等を含有する製剤(特許文献4)、アクリル酸メタクリル酸アルキルコポリマーを含有する製剤(特許文献5)、ポリ酢酸ビニルを含有する製剤(特許文献6)、アルギン酸プロピレングリコールを含有する製剤(特許文献7)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開平7-2689号公報
【文献】特開2007-112740号公報
【文献】特許第5561756号公報
【文献】WO2012/169518
【文献】特開2011-178763号公報
【文献】特開2008-208117号公報
【文献】特開2007-112739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、界面活性剤等の界面活性作用を有する物質、好ましくは更に経皮吸収促進剤を含有しない植物由来成分のマイクロエマルション製剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、前記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、溶媒として水及びエタノールを用いて、混合順序、温度条件を工夫することにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)水不溶性の植物由来成分、水及びエタノールを含有し、界面活性剤、高分子乳化剤、多価アルコール、糖アルコール、高級アルコール、リン脂質及びグリコールエーテルを含有しないマイクロエマルション製剤。
(2)水不溶性の植物由来成分が水不溶性の植物抽出物である前記(1)に記載のマイクロエマルション製剤。
(3)経皮吸収促進剤を含有しない前記(1)又は(2)に記載のマイクロエマルション製剤。
(4)界面活性作用を有する物質を含有しない前記(1)~(3)のいずれかに記載のマイクロエマルション製剤。
(5)下記の成分(A)~(C):
(A)エタノール、
(B)水不溶性の植物由来成分及び
(C)水
を、成分(A)~(C)の合計100質量部に対して、成分(A)5~29質量部、成分(B)0.001~1.5質量部、成分(C)残部の配合割合で含む前記(1)~(4)のいずれかに記載のマイクロエマルション製剤。
(6)5~25質量%エタノール水溶液を調製した後、加温し、水不溶性の植物由来成分を加え、混合した後、冷却することを含む、前記(1)~(5)のいずれかに記載のマイクロエマルション製剤。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、界面活性剤等の界面活性作用を有する物質、好ましくは更に経皮吸収促進剤を用いずに、皮膚浸透性を高め、安定性を確保したマイクロエマルション製剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のマイクロエマルション製剤は、水不溶性の植物由来成分、水及びエタノールを含有する。
【0015】
本発明に用いる水不溶性の植物由来成分としては、油性成分を含有し、水不溶性の植物由来成分であれば、特に制限はなく、単一物質であっても、抽出物等の混合物であってもよい。本発明に用いる水不溶性の植物由来成分としては、好ましくは、植物原料由来のチンキ剤や様々な有機溶媒で抽出された植物抽出液で、油性成分を含む植物抽出液が用いられる。植物抽出液の調製に用いられる有機溶媒としては、好ましくはエタノールが挙げられる。抽出に用いる有機溶媒としてエタノールを用いる場合には、エタノールを除去することなく、そのまま、又は一部濃縮して用いることができる。
【0016】
本発明に用いる水不溶性の植物由来成分としては、具体的に、ショウキョウチンキ、トウガラシチンキ、クワ抽出液、サンショウ抽出液、クジン抽出液、天然ビタミンEが挙げられる。
【0017】
前記の植物由来成分は、製剤中のエタノール含量が多ければ、可溶化し、製剤中での安定性は増す。一方、製剤の溶剤が水のみの場合、撹拌しながら投入することでマイクロエマルション化するが、澱(沈殿物)が生じたり、植物由来成分中の有用成分が澱と共に沈殿したり、その製剤中での均一性が保てず安定性が低下する。
【0018】
マイクロエマルションを形成し、かつ植物由来成分及び製剤の安定性を確保する点から、エタノールの配合量は、水不溶性の植物由来成分、水及びエタノールの合計100質量部に対して、好ましくは5~29質量部、更に好ましくは9~25質量部である。
【0019】
透明性が高く、安定性の高いマイクロエマルション製剤とする点から、水不溶性の植物由来成分の配合量は、水不溶性の植物由来成分、水及びエタノールの合計100質量部に対して、好ましくは0.001~1.5質量部、更に好ましくは0.005~0.5質量部である。
【0020】
水不溶性の植物由来成分として、チンキ剤又は抽出液を用いた場合、これらに溶媒として含まれているエタノール及び水の含量は、前記の水不溶性の植物由来成分の配合量から除外し、マイクロエマルション製剤中のエタノール及び水の配合量に含めるものとする。
【0021】
本発明のマイクロエマルション製剤は、界面活性剤、高分子乳化剤、多価アルコール、糖アルコール、高級アルコール、リン脂質及びグリコールエーテルを含有しないことを特徴とする。
【0022】
界面活性剤は、すべての界面活性剤を包含し、イオン性界面活性剤(アニオン性界面活性剤(例えば、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩)、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤)と、ノニオン性界面活性剤(例えば、モノステアリン酸ソルビタン)とに大別される。
【0023】
高分子乳化剤とは、各種モノマーを重合して得られる乳化剤であり、高分子乳化剤の製造に用いるモノマーとしては、例えばイオン性モノマー、疎水性モノマー、これら以外のモノマーが挙げられる。
【0024】
高分子乳化剤としては、例えばポリ乳酸、アクリル酸メタクリル酸アルキルコポリマー、ポリ酢酸ビニル、アルギン酸プロピレングリコール等が挙げられる。
【0025】
多価アルコールとしては、例えばグリセリン、1,2-ペンタンジオール、1,3-プロパンジオール、ジグリセリン、1,3-ブチレングリコール等が挙げられる。
【0026】
糖アルコールとしては、例えばキシリトール、ソルビトール、トレハロース等が挙げられる。
【0027】
高級アルコールとは、炭素数6以上の脂肪族アルコールをいい、例えばオリーブアルコール、ホホバアルコール等が挙げられる。
【0028】
リン脂質としては、例えばレシチンが挙げられる。
【0029】
グリコールエーテルとは、グリコールの水酸基の片方又は両方がエーテル化した化合物をいい、例えば、エチレングリコールモノエーテル、エチレングリコールジエーテル、ジエチレングリコールモノエーテル、ジエチレングリコールジエーテル、トリエチレングリコールモノエーテル、トリエチレングリコールジエーテル、テトラエチレングリコールモノエーテル、テトラエチレングリコールジエーテル、ポリエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコールモノエーテル、プロピレングリコールジエーテル、ジプロピレングリコールモノエーテル、ジプロピレングリコールジエーテル、トリプロピレングリコールモノエーテル、トリプロピレングリコールジエーテル、ポリプロピレングリコールモノエーテル、ブチレングリコールモノエーテル、ブチレングリコールジエーテル、アルキレングリコールアセタート等が挙げられる。
【0030】
本発明のマイクロエマルション製剤は、余分な化学物質を用いないことを特徴とするものであり、前記した物質以外の経皮吸収促進剤及び/又は界面活性作用を有する物質を含有しないことが好ましい。
【0031】
本発明のマイクロエマルション製剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、前記した水不溶性の植物由来成分、水及びエタノール以外に、有効成分、保湿剤として用いられる水溶性の植物抽出液や、香料、着色剤等の添加剤を含有してもよいが、これらの任意成分の合計配合量は、水不溶性の植物由来成分、水及びエタノールの合計100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。
【0032】
本発明のマイクロエマルション製剤の製法としては、好ましくは、エタノールと水を混合し、5~25質量%エタノール水溶液とした後、45~65℃の範囲で加温し、水不溶性の植物由来成分(例えば、チンキ剤)を加え、通常の撹拌機で混合し均一にする。均一にした後、冷却する(好ましくは30℃以下)方法が挙げられ、これによって、透明性が高く(平均粒子径90~200nm)、かつ流動性の高いマイクロエマルション製剤を得ることができる。
【0033】
エマルション製剤の作製方法で、加温することは通常のことではあるが、加温し冷却し再エマルション化することで、経時的変化で生じる澱(沈殿物)の生成を抑制し、より安定性の高いマイクロエマルション製剤が得られる。
【0034】
5~25質量%よりも高濃度のエタノール水溶液を調製し、水不溶性の植物由来成分の添加後に、残りの水を加えて、エタノール濃度を5~25質量%に調整した場合、マイクロエマルションを形成するが、粒子径は粗く、透明性が低くなる。一方、5~25質量%よりも低濃度のエタノール水溶液を調製し、水不溶性の植物由来成分の添加後に、残りのエタノールを加えて、エタノール濃度を5~25質量%に調整した場合、透明性の高いマイクロエマルションとなるが、植物由来成分中の有用成分が澱と共に沈殿したり、その製剤中での均一性が保てず安定性が低下する。
水不溶性の植物由来成分の添加後に、水又はエタノールを加えることは好ましくない。
【0035】
前記した水不溶性の植物由来成分、水及びエタノール以外に、有効成分、水溶性の植物抽出液や、香料、着色剤等の添加剤を用いる場合、水不溶性の植物由来成分の添加前に、加温したエタノール水溶液に添加することが好ましい。
【0036】
本発明のマイクロエマルション製剤は常法により、経皮吸収製剤、経粘膜吸収製剤又は経口製剤に製剤化される。
【0037】
経皮吸収製剤は、例えば、マイクロエマルション製剤をスプレー容器に入れ、1日1~数回、頭皮に適量塗布する。また、マイクロエマルションの化粧水をボトル容器に入れ、朝晩洗顔後に適量塗布する。
【0038】
経粘膜吸収剤は、例えば、経鼻投与剤として、マイクロエマルション薬液を経鼻投与用のスプレー容器に充填し、鼻粘膜に噴霧塗布する。
【実施例】
【0039】
次に本発明について実施例を示して更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。以下の実施例等の記載において、特に言及しない限り「%」は「質量%」を示す。
【0040】
なお、以下の実施例において、水不溶性の植物由来成分としてチンキ剤又は抽出液を用いた場合には、チンキ剤及び抽出液中の溶媒及び水を除いた成分の含量をチンキ剤及び抽出液名の後のカッコ内に示した。
【0041】
(実施例1~6)
エタノールと精製水を表1に示す割合で混合し、エタノール水溶液を調製した後、表1に示す温度に加温し、表1に示す水不溶性の植物由来成分(チンキ剤又は抽出液)を加え、混合し均一にした後、30℃以下(室温)に冷却した。
【0042】
(比較例1)
エタノールに精製水を加え、50%エタノール水溶液を調製した後、加温し、ショウキョウチンキを表2に示す比率で加え、残りの精製水を加えてエタノール濃度を21.5%にし、混合し均一にした後、30℃以下(室温)に冷却した。
【0043】
(比較例2)
精製水を加え、加温せずにトウガラシチンキ及びショウキョウチンキを表2に示す比率で加え、混合し均一にした。
【0044】
(比較例3)
エタノールと精製水を表2に示す割合で混合し、エタノール水溶液を調製した後、加温せずにトウガラシチンキ及びショウキョウチンキを表2に示す比率で加え、混合し均一にした。
【0045】
実施例1~6及び比較例1~3の製剤について、以下に示す方法で製剤の評価を行った。結果を表1及び2に示す。
【0046】
(製剤の評価方法)
(1)製剤の形態及び外観(透明性)
本発明のマイクロエマルション製剤は透明性の高い外観を有する。マイクロエマルション製剤を200mLビーカーに入れた時、ビーカー越しに文字が確認できるか目視にて評価した。また、懐中電灯などの光を照射し、チンダル現象の有無を確認し、評価した。
○:ビーカー越しに文字が確認でき、チンダル現象も確認できる
×:ビーカー越しに文字を確認できない
【0047】
(2)製剤の平均粒子径(平均粒子径90~200nm)
レーザ回析/散乱式粒子径分布測定装置(HORIBA社製)にて製剤の平均粒子径を2回若しくは3回測定し、評価した。表に記載した数値はその平均値を示す。
(評価基準)
○:平均粒子径が90~200nm
×:平均粒子径が200nmを超える
【0048】
(3)経時的安定性(6-ショーガオールの安定性)
マイクロエマルション製剤を100mLの蓋付きガラス容器に入れ、40℃の温度条件下にて保存した。定期的に、液体クロマトグラフィー(HPLC)にて、製剤中の6-ショーガオールの定量を行った。
(評価基準)
○:6ヶ月時点で製剤中の6-ショーガオール含量の減少率が5%以下のもの
×:製剤中の6-ショーガオール含量の減少率が5%を超えるもの
【0049】
(4)経時的安定性(澱の生成の有無)
マイクロエマルション製剤を100mLの蓋付きガラス容器にいれ、成り行き室温と40℃の温度条件下にて保存した。定期的に、澱の有無を目視にて評価した。
(評価基準)
○:成り行き室温及び40℃条件下にて、製剤の状態が変わらない
×:成り行き室温及び/又は40℃条件下にて、沈殿若しくは浮遊するものが認められる
【0050】
【0051】
【0052】
表1及び2から、加温し冷却し再エマルション化することで、経時的変化で生じる澱(沈殿物)の生成を抑制し、より安定性の高いマイクロエマルション製剤が得られることがわかる。
【0053】
(実施例7)
ショウキョウチンキ(2.1%) 1.7%
サンショウ抽出液(0.9%) 1.0%
ニンジン抽出液 1.0%
センブリ抽出液 1.0%
ボタンピ抽出液 1.0%
エタノール 15%
精製水 残量
【0054】
エタノールと精製水を混合し、15%エタノール水溶液を調製した後、58.6℃に加温し、水溶性の植物由来成分(ニンジン抽出液、センブリ抽出液及びボタンピ抽出液)を加え、混合し均一にした後、水不溶性の植物由来成分(ショウキョウチンキ及びサンショウ抽出液)を加え、混合し均一にした後、30℃以下(室温)に冷却し、マイクロエマルション製剤を調製した。
【0055】
(比較例4)
ショウキョウチンキ(2.1%) 1.7%
サンショウ抽出液(0.9%) 1.0%
ニンジン抽出液 1.0%
センブリ抽出液 1.0%
ボタンピ抽出液 1.0%
エタノール 50%
精製水 残量
【0056】
エタノール水溶液のエタノール濃度を50%とする以外は、実施例7と同様にして水不溶性の植物由来成分を可溶化させた製剤を調製した。
【0057】
(実施例8)皮膚透過試験
実施例7及び比較例4の製剤を用いて経皮吸収性を評価した。
ミニブタ(ゲッチンゲン)腹側部皮膚を摘出し、皮下の脂肪及び筋肉を切除し、拡散表面積πcm2のフランツ型拡散セルに表皮側を上にして装着した。そのドナー側に各製剤5mLを投入し密閉した。レシーバー側には生理食塩水を10mL満たした後、セルを37℃に保った。サンプリングは24時間に試験皮膚とレシーバー相全量を採取して試料とした。
【0058】
試験皮膚は、細かく裁断し、メタノールにて超音波抽出を行いろ過後、濃縮乾固したものを1mLのメタノールで溶解し試験溶液とした。レシーバー相は、全量を固相抽出し、メタノールで回収したものを更に濃縮乾固し、1mLのメタノールで溶解し試験溶液とした。各試験溶液をHPLCにて定量した合算を皮膚への6-ショーガオールの透過とし、拡散表面積πcm2で除したものを透過量[μg/cm2]とした。また、透過量を単位時間当たりに換算したものをFlux[μg/cm2/h]とした。結果を表3に示した。
【0059】
【0060】
実施例7のマイクロエマルション製剤は、水不溶性の植物由来成分を可溶化させた製剤(50%エタノール製剤)と比較し、経皮吸収性を促進させることがわかった(6-ショーガオールの浸透性が約3倍向上)。
【0061】
(実施例9)
ショウキョウチンキ(2.1%) 2.0%
ニンジン抽出液 1.0%
センブリ抽出液 1.5%
ボタンピ抽出液 1.0%
モウコタンポポ根抽出液 2.0%
エタノール 20%
精製水 残量
【0062】
エタノールと精製水を混合し、20%エタノール水溶液を調製した後、57.8℃に加温し、水溶性の植物由来成分(ニンジン抽出液、センブリ抽出液、ボタンピ抽出液及びモウコタンポポ根抽出液)を加え、混合し均一にした後、水不溶性の植物由来成分(ショウキョウチンキ)を加え、混合し均一にした後、30℃以下(室温)に冷却し、マイクロエマルション製剤を調製した。得られたマイクロエマルション製剤をスプレー容器に入れ、1日1回、頭皮に適量塗布し、6ヶ月間使用した。使用6ヶ月後、毛髪数、毛直径ともに使用開始前と比べ、有意に増加した。
【0063】
(実施例10)
天然ビタミンE 0.015%
クワ抽出液(1.6%) 0.5%
モウコタンポポ根抽出液 2.0%
エタノール 20%
精製水 残量
【0064】
エタノールと精製水を混合し、20%エタノール水溶液を調製した後、56.2℃に加温し、水溶性の植物由来成分(モウコタンポポ根抽出液)を加え、混合し均一にした後、水不溶性の植物由来成分(天然ビタミンE及びクワ抽出液)を加え、混合し均一にした後、30℃以下(室温)に冷却し、マイクロエマルション製剤の化粧水を調製した。天然ビタミンEは、エタノールで50倍希釈したものを添加した(天然ビタミンEの配合量が0.015%になるように、エタノール希釈液は0.75%加えた。)。
【0065】
得られたマイクロエマルションの化粧水をボトル容器に入れ、朝晩洗顔後に適量塗布する。