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特許7018651ヘッドサポートシステムおよびその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-03
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】ヘッドサポートシステムおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 11/00 20060101AFI20220204BHJP
【FI】
B25J11/00 Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2018553060
(86)(22)【出願日】2016-12-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-04-25
(86)【国際出願番号】 US2016069032
(87)【国際公開番号】W WO2017117299
(87)【国際公開日】2017-07-06
【審査請求日】2019-12-26
(31)【優先権主張番号】62/271,957
(32)【優先日】2015-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518229009
【氏名又は名称】エンハンス テクノロジーズ,リミテッド ライアビリティー カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Enhance Technologies,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ドイル,マーク,シー.
【審査官】木原 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-325377(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0136292(US,A1)
【文献】米国特許第05306232(US,A)
【文献】米国特許第05242377(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの頭部を支持するためのシステムにおいて、
ユーザの身体に装着されるように構成されたハーネスであって、ユーザの片側または両側の肩の上かその周りに装着されるように構成された肩部ハーネスを有するハーネスと、
支持ブラケットの第2の端部が前記ハーネスを装着したユーザの頭の後部に隣接して位置するような位置で前記ハーネスに取り付けられる第1の端部を有する支持ブラケットを具えるヘッドサポートと、
ユーザの頭部に装着されるように構成されたヘッドギアであって、ユーザの頭部の後ろに延在するように寸法決めされたバンドを有するヘッドギアと、
前記支持ブラケットの第2の端部と前記ヘッドギアとの間に結合された細長いコードであって、ユーザが頭を下に傾けることを許容し、その頭の重量を少なくとも部分的に支持する平衡力を提供する弾性構造を含むコードと、を具え、
前記コードの第1の端部は前記支持ブラケットの第2の端部に結合され、前記コードの第2の端部はクレビスに結合され、前記システムは前記バンドに結合されたレールを更に具え、前記クレビスは摺動可能に前記レールに連結され、頭を左右に回転させると前記クレビスが前記コードを変形させることなく前記レールに沿って摺動することを特徴とするシステム。
【請求項2】
ユーザの頭部を支持するためのシステムにおいて、
ユーザの身体に装着されるように構成されたハーネスであって、ユーザの片側または両側の肩の上かその周りに装着されるように構成された肩部ハーネスを有するハーネスと、
支持ブラケットの第2の端部が前記ハーネスを装着したユーザの頭の後部に隣接して位置するような位置で前記ハーネスに取り付けられる第1の端部を有する支持ブラケットを具えるヘッドサポートと、
ユーザの頭部に装着されるように構成されたヘッドギアであって、ユーザの頭部の後ろに延在するように寸法決めされたバンドを有するヘッドギアと、
前記支持ブラケットの第2の端部と前記ヘッドギアとの間に結合された細長いコードとを具え、
前記支持ブラケットの第2の端部は、ユーザが頭を下に傾けることを許容するとともに、その頭の重量を少なくとも部分的に支持する平衡力を提供するために、レスト位置から偏向可能であり、
前記コードの第1の端部は前記支持ブラケットの第2の端部に結合され、前記コードの第2の端部はクレビスに結合され、前記システムは前記バンドに結合されたレールを更に具え、前記クレビスは摺動可能に前記レールに連結され、頭を左右に回転させると前記クレビスが前記コードを変形させることなく前記レールに沿って摺動することを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1または2のシステムにおいて、前記ヘッドギアが、溶接ヘルメット、マスク、ヘッドマウントランプ、またはヘッドマウント拡大鏡を含むことを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1または2のシステムにおいて、前記コードは、前記コードの第2の端部を前記支持ブラケットに取り外し可能に接続するためのコネクタを具えることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1または2のシステムにおいて、前記ヘッドギアは、前記ハーネスが装着されたときにユーザの額に接触するように、前記ユーザの頭の周りに少なくとも部分的に延在するレスト部材を具えることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1または2のシステムにおいて、前記コードは、当該コードの長さが前記第1の端部と前記第2の端部との間の第1の長さから伸張可能であるが前記第1の長さへとバイアスされるようなバネ要素を含むことを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項1または2のシステムにおいて、前記支持ブラケットの前記第2の端部は、前記ヘッドギアが着用されているがユーザの頭を支持するために静止位置に向かってバイアスされているときに、ユーザの頭を前方に撓ませるユーザに適応するために、前記静止位置から撓むことができることを特徴とするシステム。
【請求項8】
前記コードが非弾性であることを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
ユーザの頭部を支持するためのシステムにおいて、
ユーザの身体に装着されるように構成されたハーネスであって、ユーザの一方または双方の肩の上かその周りに装着されるように構成された肩部ハーネスを含むハーネスと、
前記ハーネスを装着したユーザの頭部の近くに支持ブラケットが位置するように前記ハーネスに取り付けられる第1の端部を含む支持ブラケットを含むヘッドサポートと、
前記ハーネスが着用されたときにユーザの額に接触するようにユーザの頭の周囲に少なくとも部分的に延在するように、前記支持ブラケットの第2の端部に連結されたレスト部材と、
前記レスト部材に結合されたレールと、
前記支持ブラケットの前記第2の端部に結合されたクレビスであって、頭を左右に回転させると前記クレビスが前記支持ブラケットを変形させることなく前記レールに沿って摺動するように、前記レールに摺動可能に結合されたクレビスと、
を具え
前記支持ブラケットの前記第2の端部は、前記レスト部材が着用されているときにユーザがユーザの頭部を前に傾けるのに適応するためにレスト位置から偏向可能であるが、その場合でも前記ユーザの頭部を支持するために前記レスト位置へと付勢されていることを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項9に記載のシステムにおいて、前記レールは、クリップによって前記レスト部材に取り外し可能に結合されることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項1、2、または9のシステムにおいて、さらに、前記支持ブラケットの前記第2の端部のスライドマウントであって、前記クレビスに結合され、前記支持ブラケットの前記第2の端部で平行移動および回転するように構成されたスライドマウントを具えることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項9に記載のシステムにおいて、さらに、前記支持ブラケットの前記第2の端部に結合された第1の端部と前記クレビスに結合された第2の端部とを含むコードを具えることを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項9に記載のシステムにおいて、さらに、前記クレビスに結合された第1の端部と前記支持ブラケットに前記コードの前記第2の端部を取り外し可能に結合するためのコネクタに結合可能な第2の端部とを含むコードを具えることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項9に記載のシステムにおいて、前記レスト部材は、ユーザの頭に着用されるように構成されたヘッドギアによって担持されることを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項14に記載のシステムにおいて、前記ヘッドギアが、溶接ヘルメット、マスク、ヘッドマウントランプ、またはヘッドマウント拡大鏡を含むことを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項1、2、および9のいずれかのシステムにおいて、前記支持ブラケットは、実質的に剛性であることを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項1、2、および9のいずれかのシステムにおいて、さらに、前記ハーネスに連結され、ユーザの腕を支持するように構成されたアームサポートを具えることを特徴とするシステム。
【請求項18】
ユーザを支援するためのシステムにおいて、
ユーザの身体に装着されるように構成されたハーネスであって、ユーザの片側または両側の肩の上かその周りに装着されるように構成された肩部ハーネスを有するハーネスと、
前記ハーネス上のヘッドサポートと、
前記ハーネスに連結され、ユーザの腕を支持するように構成されたアームサポートであって、腕の動きに適応しつつ、ユーザの腕の動きに実質的に干渉することなくその動きに追従するように構成されたアームサポートとを具え、
前記ヘッドサポートは、支持ブラケットが前記ハーネスを着用しているユーザの頭に隣接して配置されるような位置で前記ハーネスに取り付けられた第1の端部を含む支持ブラケットと、前記ハーネスを着用したときにレスト部材がユーザの額の周りに少なくとも部分的に延在してユーザの額に接触するように前記支持ブラケットの第2の端部に結合されたレスト部材と、前記レスト部材に結合されたレールと、前記支持ブラケットの前記第2の端部に結合されたクレビスであって、頭を左右に回転させると前記クレビスが前記支持ブラケットを変形させることなく前記レールに沿って摺動するように、前記レールに摺動可能に結合されるクレビスと、を具え、
前記支持ブラケットの前記第2の端部は、前記レスト部材が着用されているときにユーザがユーザの頭部を前に傾けるのに適応するためにレスト位置から偏向可能であるが、その場合でも前記ユーザの頭部を支持するために前記レスト位置へと付勢されていることを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項18のシステムにおいて、前記アームサポートは、当該アームサポートに取り付けられ、ユーザの動作に伴って当該ユーザの腕に作用する重力を少なくとも部分的に相殺するように構成された1またはそれ以上の補償要素を具え、前記アームサポートはユーザの腕の動きに追従することを特徴とするシステム。
【請求項20】
ユーザの頭部を支持するための方法において、
前記支持ブラケットの前記第2の端部がユーザの頭の後部に隣接して配置されるように、ユーザの身体にハーネスを具えた請求項9に記載のシステムを装着するステップと、
前記支持ブラケットに結合された前記レスト部材を、前記レスト部材がユーザの頭の周囲に少なくとも部分的に延在してユーザの額と接触するように位置決めするステップと、
前記頭部の下方傾斜および回転を含む1またはそれ以上のタスクを行い、前記レスト部材が前記頭部の回転に対応し、前記頭部が下に傾いたときに頭部の重量を少なくとも部分的にオフセットするための平衡力を提供するステップとを含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2015年12月28日に提出された同時係属中の仮出願第62/271,957号の利益を主張するものであり、その開示全体は参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ユーザの身体、例えば、ユーザの頭部および/または腕を支持するシステム、デバイス、および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多くのタスクにおいて、作業を正しく視認するために、頭を下向きに傾けたり、前方に傾けたりして作業する必要がある。この例として、手術や溶接が含まれる。頭部を下向きに傾けて(下げて)作業を長時間行うと、作業者の頭部重量を負担する首の構造に、疲労、不快感、損傷などの悪影響を及ぼすことがある。
【0004】
図1A、1Bは、例えば、交換可能なカセット12とアームレスト14の使用を通じて、左腕LAと右腕RAを適応的に支持することができるアームサポートシステム10を着用する、典型的な作業位置におけるユーザUを示している。ユーザの腕の重量の全部または一部が、ユーザの肩や背中の筋肉から胴に伝達される。図1Bに示すように、ユーザUの頭部Hがおよそ経路PIに沿って下げられると、ユーザの頭部Hの体重を支えるためユーザの首Nの構造に歪みが生じる。任意にアームサポートシステム10はユーザの腕(RAおよびLA)を支えるが、ユーザの頭部Hの支持を補助することはなく、したがって、ユーザの首Nにかかる負担を軽減することはできない。
【0005】
米国特許第5,242,377号は、首の機能不全の人の頭部を所望の頭部位置に維持することを意図した医療用拘束装置を開示しており、米国特許第5,306,232号は、筋肉組織が減少するか筋肉制御を喪失した人の頭をほぼ直立姿勢に維持する頭部アライメントシステムを開示する。このように、これらの装置は、通常の動作中に頭部を支持するのではなく、ユーザの頭部を拘束することを意図している。
【0006】
したがって、例えば、疲労を防止または軽減するために、ユーザが頭を自由に動かしながらタスクを実行することを実現しつつ、ユーザの頭を支持する装置、システム、および方法が有用となる。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、ユーザの身体、例えば、ユーザの頭部および/または腕を支持するシステム、デバイス、および方法に関する。
【0008】
例示的な実施形態によれば、ユーザの頭部を支持するためのシステムが提供され、これはユーザの身体に装着されるように構成されたハーネスであって、ユーザの一方または双方の肩の上かその周りに装着されるように構成された肩部ハーネスを含むハーネスと、前記ハーネスに取り付けられる第1の端部を含む支持ブラケットを含むヘッドサポートと、前記支持ブラケットの第2の端部に連結されるレスト部材であって、前記ハーネスが着用されたときにユーザの額を支持するためにユーザの額を横切って延在するレスト部材とを具える。
【0009】
別の実施形態によれば、ユーザの頭部を支持するためのシステムが提供され、これはユーザの身体に装着されるように構成されたハーネスであって、一方または双方の肩の上かその周りに装着されるように構成された肩部ハーネスを含むハーネスと、支持ブラケットを有するヘッドサポートであって、前記ハーネスを装着したユーザの頭部の後頭部に隣接して前記支持ブラケットが位置するような位置で前記ハーネスに取り付けられた第1の端部を有するヘッドサポートと、前記支持ブラケットの第2の端部に連結されたレスト部材であって、前記ハーネスが着用されたときにユーザの額に接触するように、ユーザの頭部の周りに延在するレスト部材とを具える。
【0010】
さらに別の実施形態によれば、ユーザの頭部を支持するためのシステムが提供され、これはユーザの身体に装着されるように構成されたハーネスであって、ユーザの一方または双方の肩の上かその周りに装着されるように構成された肩部ハーネスを含むハーネスと、前記ハーネス上のヘッドサポートとを具える。任意で、システムはまた、ユーザの腕を支持するように構成され前記ハーネスに連結されたアームサポートであって、ユーザの腕の動きを実質的に妨害することなく動きに追従するアームサポートと、前記アームサポートに取り付けられ、ユーザが動きアームブラケットがユーザの腕の動きに追従するのに伴いユーザの腕にかかる重力を少なくとも部分的にオフセットする1またはそれ以上の補償要素とを具える。前記1またはそれ以上の補償要素は、前記アームサポートの向きに基づいてオフセット力を変化させる力プロファイルを提供するように構成される。
【0011】
さらに別の実施形態によれば、ユーザの頭部を支持するためのシステムが提供され、これはユーザの身体に装着されるように構成されたハーネスであって、ユーザの一方または双方の肩の上かその周りに装着されるように構成された肩部ハーネスを含むハーネスと、ヘッドサポートとを具える。前記ヘッドサポートは、支持ブラケットであって、当該支持ブラケットの第2の端部が前記ハーネスを装着したユーザの頭部に隣接して配置されるような位置で前記ハーネスに取り付けられた第1の端部を有する支持ブラケットと、前記支持ブラケットの第2の端部に担持された1またはそれ以上のプーリーと、前記ハーネスが装着されたときにユーザの額に接触するように、ユーザの頭部の周りに少なくとも部分的に延在するように寸法決めされたレスト部材と、ユーザの頭部の回転に対応するために、前記レスト部材に結合され、前記1またはそれ以上のプーリーの周りに部分的に延在する細長いコードとを具え、当該コードは、ユーザが頭を下げることができ、その頭の重さを少なくとも部分的に支持するための平衡力を提供する弾性構造を有する。
【0012】
さらに別の実施形態によれば、ユーザの頭部を支持するためのシステムが提供され、ユーザの身体に装着されるように構成されたハーネスであって、ユーザの一方または双方の肩の上かその周りに装着されるように構成された肩部ハーネスを含むハーネスと、第2の端部が前記ハーネスを装着したユーザの頭部に隣接して配置されるような位置で前記ハーネスに取り付けられた第1の端部を有する支持ブラケットを具えるヘッドサポートと、ユーザの頭部に装着されるように構成されたヘッドギアであって、ユーザの頭部の後ろに延在するように寸法決めされたバンドを有するヘッドギアと、前記支持ブラケットの第2の端部と前記ヘッドギアとの間に結合された細長いコードとを具え、当該コードは、ユーザが頭を下げることができ、その頭の重さを少なくとも部分的に支持するための平衡力を提供する弾性構造を有する。
【0013】
別の実施形態によれば、ユーザの頭を支持するための方法が提供され、これはユーザの身体に支持ブラケットを有するヘッドサポートを担持するハーネスを装着するステップであって、この支持ブラケットの第1の端部は、第2の端部が前記ハーネスを装着したユーザの頭の後部に隣接して配置されるような位置で前記ハーネスに取り付けられるステップと、前記支持ブラケットに結合されたレスト部材を、前記レスト部材がユーザの頭の周囲に少なくとも部分的に延在してユーザの額と接触するように位置決めするステップと、前記頭部の下方傾斜および回転を含む1またはそれ以上のタスクを行い、前記レスト部材が前記頭部の回転に対応し、前記頭部が下に傾いたときに頭部の重量を少なくとも部分的にオフセットするための平衡力を提供するステップとを含む。
【0014】
本発明の他の態様および特徴は、添付の図面と併せた以下の説明の考察から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明は、添付の図面と併せて読むと以下の詳細な説明から最もよく理解される。図面に示されている例示的な装置は、図示された実施形態の様々な態様および特徴を例示することに重点を置いて、必ずしも縮尺通りに描かれていないことが理解されたい。
図1図1A、1Bは、ユーザの腕を支持するためにユーザが着用するアームサポートシステムの斜視図であり、ユーザの頭部をそれぞれ上げ下げした状態を示している。
図2図2A~2Dは、様々な位置にある頭部を示す、ユーザの頭部を支持するためにユーザに装着されるサポートシステムの例示的な実施形態の斜視図である。
図3図3A、3Bは、ユーザの頭部を支持するサポートシステムの別の実施形態の側面図であり、それぞれ頭が下に傾けられていない、および下に傾けられている状態を示す。
図4図4A~4Cは、ユーザの頭部を支持するサポートシステムのさらに別の実施形態の斜視図であり、それぞれ頭が下に傾けられていない、下に傾けられている、および旋回された状態を示す。。
図5図5は、ユーザの頭部を支持するヘッドサポートシステムのさらに別の実施形態の側面図である。
図6図6は、ユーザの頭部を取り囲むヘッドバンドを有するヘッドサポートシステムの代替実施形態の斜視図である。
図7図7は、ユーザの頭部を取り囲むヘッドバンドを有するヘッドサポートシステムの代替実施形態の斜視図である。
図8図8A、8Bは、ユーザの頭の可動性を向上させる1以上のプーリーを含むヘッドサポートシステムの代替実施形態を示す。
図9図9A、9Bは、ユーザの頭の可動性を向上させる1以上のプーリーを含むヘッドサポートシステムの代替実施形態を示す。
図10図10A、10Bは、ユーザの頭部を支持するヘッドバンドを支持する弾性部材を含むヘッドサポートシステムの別の実施形態を示す。
図11図11A~11Cは、ユーザが着用するヘッドギアに平衡力を提供する、図6に示すサポートシステムと同様のヘッドサポートシステムのさらに別の実施形態を示す。図11D、11Eは、ヘッドギアを、図11A~11Cに示すシステムのようなヘッドサポートシステムに取り付けるためのクリップの代替実施形態を示す詳細である。
図12図12A、12Bは、ヘッドサポートシステムの別の実施形態の斜視図である。
図13図13A~13Cは、ユーザが着用するヘッドギアに平衡力を提供するヘッドサポートシステムの別の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照すると、図2A~2Dは、ユーザUが装着するサポートシステム50の第1の例示的な実施形態を示す。一般に、システム50は、ハーネスと、ヘッドサポートとを具え、任意でユーザの腕の一方または双方を支持するアームサポート機構を具えてもよい(ユーザの右腕と左腕を支持する2つのアームサポートが示されている)。ハーネスは、一般に、ユーザの胴、例えば、胸部、腰部および/または臀部の周りに装着されるように構成された取り付けバンド、ユーザの肩の上および/または周りに装着されるように構成された肩部ハーネス、および/または、開示の全体が参照により明確に本書に組み込まれている米国特許出願公開第2012/0184880号、第2014/0033391号、第2014/0158839号、および2015/0316204に開示されているサポートシステムと同様に、取り付けバンドと肩部ハーネスとの間に延在する1つ以上の垂直サポートを具えてもよい(全て明瞭化のために図示せず)。さらに、ハーネスは、例えば、アーム支持部を提供するためにシステム10の他の構成要素が結合され得る、ユーザの肩部の上または近くに配置される固定端部を有する肩ブラケットおよび/またはフレームを含むことができ、これは上記刊行物のシステムと同様に、肩ブラケットに対して1以上の軸の周りを回動する。本書のシステムはまた、必要に応じて、所望のおよび/または可変のオフセット力を提供するためのカセット12やアームレスト14など、これらの公報に開示されたものと同様の追加の構成要素を含むことができる。
【0017】
図2Aに示すように、ユーザUは、水平(以下、「下に傾いていない」と呼ぶ)に示されるユーザUの頭部Hを支持するようにも働く構成要素を含むアームサポートシステム50を装着して示されている。額バンド76が、ユーザの額F上に配置される。任意のパッド88を、額バンド76とユーザの額Fとの間に配置してもよい。額バンド76は、可撓性、半可撓性または剛性であってもよい。ユーザの頭部Hの上に少なくとも部分的に延びるように配置された1つ以上のストラップを含む任意のクラウンバンド80が、額Fに額バンド76を配置するのを補助しうる。任意で、例えばバンド76を定位置に保持し続けるために、ユーザの頭部の後に延在するストラップ(図示せず)を設けてもよい。弾性要素の、細長い弾性バンド70および72が、両端部において、額バンド76の位置71、73(73は図2Bに示されている)に、およびバックル84、86に、接合されている。弾性要素70、72の長さの調整機能を提供できるバックル84および86は、後述するように、Yフレームポスト58に連結され、最終的にアームサポートシステム50の後部フレームに連結されるYフレームバー60、62に(任意で回動可能に)連結される。弾性要素70、72は、ラテックスゴム、シリコーンまたはポリウレタンエラストマーのような任意の既知の弾性材料から作製することができ、またはコイルバネや一定力ばねのような一般に知られているバネ構造から形成することができる。図示する頭部Hが下に傾けられていない位置では、ユーザの首にはほとんどストレスがかからず、弾性バンド70および72は比較的緊張することがない。
【0018】
図2Bは、図2Aのシステム50の背面図を示す。Yフレームバー60、62を支持し位置決めするYフレームポスト58が、ソケットポスト52に接合している。ソケットポスト52は、フレームソケット24に挿入され、例えば、ベアリングやブッシング(図示せず)のような一般的に知られている要素を使用して、フレームソケット24に対してほぼ円弧A1に沿って回転することができる。ソケットポスト52は、例えば、クランプ、ネジ、シャフトカラー、クリップ、またはスクリュ(図示せず)のような一般に知られている要素を使用して、およそ経路P2に沿って、フレームソケット24に対して垂直に調節可能であってもよい。ソケットポスト52および取り付けられたYフレームバー60、62は、例えばヘッドサポートが不要な場合に、フレームソケット24から取り外し可能であってもよい。Yフレームポスト58およびYフレームバー60、62は、剛性または可撓性であってもよく、または所望の形状にするために曲げ加工によって形成可能であってもよい。例えば、図示された実施形態では、Yフレームポスト58とYフレームバー60、62の両方が硬質であり、弾性バンド70、72が弾性的に伸張してユーザの頭部Hの動きを可能にする。
【0019】
Yフレームポスト58は、例えばアームサポートシステムを担持するハーネスのフレームに結合されてもよい。例えば、図2Bに示すように、フレームソケット24はフレームT16に接合され、これがベルトストラット20に接合されたスパインチューブ18に連結されている。フレームソケット24、フレームT16、スパインチューブ18、およびベルトストラット20は、ユーザの腕や頭部の重量などの荷重が、可撓性要素を介してユーザの胴や臀部に伝達されるように、実質的に剛性の構造を提供する。
【0020】
図2Cは、図2A、2Bのアームサポートシステム50を装着したユーザUを示し、ユーザの頭部Hは、およそ経路P3に沿って首で前方に曲がっている(ここでは「前に傾く」と呼ばれる)。弾性要素70、72がこれに応答して、伸長している。フックの法則にほぼ合致する弾性要素の場合、弾性要素の力は伸びるにつれて増大し、ユーザの頭部Hを支持するために増大する平衡力が生成される。所与の位置における平衡力の量は、例えばある程度バネ定数を有する弾性要素を選択することによって、または弾性要素の長さをバックル84、86で調節することによって、ユーザによって選択可能である。フックの法則に合致しない弾性要素の場合、例えば一定力バネの場合には、平衡力は同じままである。
【0021】
図2Dは、図2Cのアームサポートシステム50を装着したユーザUを示し、ユーザの頭部は下に傾けられるとともに、およそ経路P4に沿って左に回転されている。ユーザUが頭を一方の側に回転させると、それに応じて弾性要素70、72が伸長または収縮する。さらに、これに応答して、バックル84、86がYフレームバー60、62の端部の周りで回動してもよい。弾性要素72は経路P4に沿った動きに応答して伸長し、弾性要素70は短くなるか、同じ長さであってもよい。
【0022】
図3Aに転ずると、アームサポートシステム90の別の例示的な実施形態が示されており、これは図2A~2Dの実施形態と概ね同様であり、ユーザUの頭部Hが傾いておらず、Yフレームバーとポストによってヘッドサポートの可撓性が提供されている。前述した実施形態とは異なり、Yフレームポスト92およびYフレームバー94の少なくとも一方は、頭部Hの動きに適応するように1以上の方向に弾性的に撓むことができ、一方、額バンド76をYフレームバー94に連結している細長い要素96は、実質的に非弾性である。図3Aに示すように、Yフレームポスト92とYフレームバー94は、ユーザが頭部Hを傾けずに作業する際には偏向しない。バックル84によってYフレームバー94に取り付けられ、地点71で額バンド76に取り付けられた細長い要素96は、比較的弾性のない細長いコード、ケーブル、ワイヤなどであってもよい。
【0023】
図3Bは、およそ経路P5に沿ってユーザの頭部Hが下に傾いた状態のアームサポートシステム90を示す。これに応答して、Yフレームポスト92およびYフレームバー94は、ほぼ円弧A2に沿って偏向されて示され、ユーザの頭部に平衡力を提供する、例えば板ばねとして作用する。細長い要素96(非弾性)はそれぞれ、ほぼ同じ長さのままである。
【0024】
図4Aは、ヘッドサポートシステムを有するアームサポートシステム100の別の例示的な実施形態を示し、これは、図2A~2Dのシステム50の変形例である。Yフレームバー60および62、Yフレームポスト58、ソケットポスト52、およびバックル84、86は、システム50と同じである。額バンド130は、可撓性、半可撓性又は剛性であってよく、ユーザの前額部Fに配置される。クラウンバンド80が、額バンド130を適切に配置するのを補助する。任意で、バンド76を定位置に保持することを強化するために、ユーザの後頭部の周りに延在するストラップ(図示せず)を設けてもよい。ガイドチューブ134が、例えば、ガイドチューブクリップ136または他のコネクタ(図示せず)によって額バンドに固定される。ガイドチューブ134は、剛性または可撓性であってもよく、PTFEまたはナイロンのような低摩擦材料から作製されてもよく、またはそのような材料で裏打ちされてもよい。ガイドチューブ134は、コード112が中を摺動可能なトラックを提供する。任意で、ガイドチューブ134内でコード112の滑らかな摺動運動を補助すべく、潤滑剤(図示せず)をガイドチューブ134内に提供してもよい。ガイドチューブ134内でコード112が滑らかに摺動すると、最小限の抵抗で頭を左右に回転することができる。
【0025】
コード112は、例えば1以上の弾性要素を介して、Yフレームバー60に連結されてもよい。例えば、コード112の両端部は、結合部115で別個の弾性要素110に接合することができる。弾性要素110は、バックル84でYフレームバー60に接合される。同等の弾性要素120が、結合部125でコード112の他端と接合し、バックル86でYフレームバー62に結合されている。図示のように、ユーザの頭部Hが下に傾いていない状態では、弾性要素110、120は比較的緊張していない。代替的に、単一の弾性要素を(非弾性の)コードの一端に設け、コードの他端をバックル86またはYフレームバー62に直接連結するようにしてもよい。
【0026】
図4Bは、図4Aのアームサポートシステム100において、ユーザの頭がおよそ経路P6に沿って下に傾けられた状態を示す。図2Cのように、応答して弾性要素110、120が伸張している。弾性要素がフックの法則に従うものである場合、弾性要素が伸びるほど力が増大し、ユーザの頭部Hを支持する平衡力が大きくなる。所与の位置での平衡力は、例えばある程度バネ定数を有する弾性要素を選択することによって、または弾性要素の長さをバックル84、86で調節することによって、ユーザによって選択可能である。フックの法則に合致しない弾性要素の場合、例えば一定力バネの場合には、平衡力は同じままである。ガイドチューブ134から延びるコード112の長さは、長さL1として示されている。
【0027】
図4Cは、ユーザの頭部が下に傾けられ、およそ経路P7に沿ってして右に回転しているアームサポートシステム100を示している。ユーザの頭が右へ回転するのに応じて、コード112がガイドチューブ134内を摺動するのに伴い、ガイドチューブ134から伸びるコード112の量が増加し、長さL2として示される。弾性要素110、120の長さは基本的に同じままであり、したがって前と同じ平衡力を提供し、ユーザの頭の回転動作によってさらに伸張されない。弾性要素110、120の伸張は、ユーザの頭部Hの左右の動作から切り離されており、代わりに、必要に応じてユーザの頭部Hの傾きにのみ応答する。
【0028】
図5は、図4A~4Cに示されたものと類似のアームサポートシステム150の別の例示的な実施形態を示し、ユーザの頭部が下に傾けられた状態で、Yフレームバーおよびポストによってヘッドサポートの可撓性が提供されている。ユーザが頭部Hを下に傾けて作業しているため、Yフレームポスト92とYフレームバー94が(およそ円弧A3に沿って)偏向されて示されている。バックル84によってYフレームバー94に取り付けられたコード145は、実質的に非弾性であってもよい。コード145は、図4A~Cを参照して説明したように、ユーザの頭の左右の動きに応答してガイドチューブ134内を摺動することができる。したがって、本実施形態では、Yフレームバー92および/またはYフレーム94は、頭部Hを下に傾けられるように弾性的に撓みつつ支持力を提供し、一方で、非弾性のコード145は、単にガイドチューブ134内を摺動し、最小の抵抗で頭部Hの回転に適応する。
【0029】
図6は、ユーザの頭が下に傾いた状態のアームサポートシステム170のさらに別の例示的な実施形態を示す。前の実施形態とは異なり、額バンド76または130は、本質的にユーザの頭部全体を取り囲むヘッドバンド156に置換される。ヘッドバンド156は、必要に応じて、可撓性、半可撓性、または剛性であってもよい。任意のクラウンバンド80が、ヘッドバンド156をユーザの頭上に適切に配置した状態を維持するのに役立つ。単一の弾性要素160が、前述の実施形態で説明した2つの要素によって与えられた弾性的な支持を提供する。
【0030】
例えば、図示のように、弾性要素160は、位置164でヘッドバンド156の後部に接続され、コネクタ154でサポートポスト152に接続されている。サポートポスト152はソケットポスト52に結合され、これにより(前の実施形態の場合と同様に)アームサポートシステム170のハーネスおよび/またはフレームに結合される。弾性要素160は、ラテックスゴム、シリコーン、またはポリウレタンエラストマーなどの任意の既知の弾性材料から作製することができ、またはコイルバネまたは一定力ばねなどの一般的に知られているバネ構造から形成することができる。弾性要素160は、ユーザUが頭部Hをおよそ経路P8に沿って傾けて作業することに応じて、伸長し長くなる。
【0031】
およそフックの法則に従う弾性要素の場合、弾性要素の力は、それが伸びるにつれて増大し、ユーザの頭部Hを支持するための平衡力を増大させる。所与の位置における平衡力の量は、例えばある程度バネ定数を有する弾性要素を選択することによって、または弾性要素の長さをコネクタ154で調節することによって、ユーザによって選択可能である。フックの法則に合致しない弾性要素の場合、例えば一定力バネの場合には、平衡力は同じままである。任意で、コネクタ154は、図2~4の説明で参照されるバックル84、86と同様の弾性要素の調節機能を組み込むことができる。
【0032】
図7は、図6に示すアームサポートシステム170の変形例であるアームサポートシステム180のさらに別の例示的な実施形態を示し、ここではサポートポスト172によってヘッドサポートの可撓性が提供される。ヘッドバンド156は、可撓性、半可撓性、または剛性であってもよい。任意のクラウンバンド80は、ヘッドバンド156をユーザの頭上に適切に配置した状態を維持するのに役立つ。単一の非弾性コード174が地点176でヘッドバンド156の後部に接続され、コネクタ154でサポートポスト172に接続される。サポートポスト172はソケットポスト52に結合され、これにより(前の実施形態の場合と同様に)アームサポートシステム180のハーネスおよび/またはフレームに結合される。ユーザUは、頭部Hがおよそ経路P9に沿って下に傾いた状態で示されている。これに応答して、サポートポスト172は、およそ円弧A4に沿って偏向し、ユーザの頭部に平衡力を提供する、例えば板ばねとして作用する。コード174(非弾性)は、ほぼ同じ長さのままである。
【0033】
図8A、8Bを参照すると、アームサポートシステム170の変形であり、プーリーが追加の移動性を提供するアームサポートシステム200の別の例示的な実施形態が示されている。ヘッドバンド188は、本質的にユーザの頭部全体を取り囲んでもよく、可撓性、半可撓性又は剛性であってもよい。任意のクラウンバンド80は、ヘッドバンド188をユーザの頭上に適切に配置した状態に保つのに役立つ。位置194および196(図示しない位置196は、位置194のほぼ反対側)でヘッドバンド188の両側に接合された単一の弾性要素190が弾性的な支持を提供する。弾性要素190は、プーリー184の溝186内に位置する。プーリー184は、例えば、転がり要素(ボールやローラ)軸受、ブッシング、または弾性要素190の角度に応じてプーリー184を傾斜させる球形軸受を使用して、ハブ188上でサポートポスト182の周りを自由回転することができる。
【0034】
図8Bは、図8Aのアームサポートシステムにおいて、ユーザの頭部がおよそ経路P10に沿って下に傾いた状態を示す。弾性要素190は、これに応答して伸張し長くなる。プーリー184は、ハブ188上でサポートポスト182の周りを自由回転することができ、ユーザUが頭部を左右に回転させたときに、サポートポストを中心とする弾性要素190の動きが容易になる。
【0035】
他の実施形態のように、代替的に、弾性要素190の代わりに(または加えて)弾性要素190を非弾性コード(図示せず)に置換するとともに、ヘッドサポートの支持力を、例えば直線状または他の形状に偏向されているが頭部Hを下に傾けるのに適応するように弾性的に撓むことができる偏向可能なサポートポスト(この場合は182)によって提供することができる。
【0036】
図9A、9Bを参照すると、図8A、8Bに示すアームサポートシステム200の変形例であるアームサポートシステム220の別の実施形態が示されており、単一のプーリーではなく、追加の移動性を提供する対のプーリーを具えている。図示のように、ヘッドバンド188は、本質的にユーザの頭部の全体を取り囲むことができ、可撓性、半可撓性、または剛性であってもよい。任意のクラウンバンド80は、ヘッドバンド188をユーザの頭上に適切に配置した状態に保つのに役立つ。あるいは、必要に応じて、ヘッドバンド188の代わりに額バンドを設けてもよい。
【0037】
位置194、196(図示しない位置196は、位置194のほぼ反対側)でヘッドバンド188の両側(または額バンドの両端部、図示せず)に接合された単一の弾性要素204が、弾性的な支持を提供する。弾性要素204は、プーリー184の溝186内に位置する。プーリー184は、例えば、転がり要素(ボールやローラ)軸受、ブッシング、または弾性要素204の角度に応じてプーリー184を傾斜させる球形軸受であるハブ188上でYフレームバー60、62の周りを自由回転することができる。
【0038】
図9Bは、ユーザの頭部がおよそ経路P11に沿って下に傾いた状態のアームサポートシステム220を示す。弾性要素204は、これに応答して伸張し長くなる。プーリー184は、ハブ188上のYフレームバー60、62の周りを自由回転することができ、ユーザUが頭部Hを左右に回転させたときに、Yフレームバー60、62の周りの弾性要素204の動きが容易になる。
【0039】
他の実施形態と同様に、さらなる変形例(図示せず)は、弾性要素204ではなく、Yフレームバーおよびポスト(このバージョンでは58、60、および62)によってヘッドサポートの可撓性が提供される。
【0040】
図10A、10Bに転ずると、米国特許出願公開第2014/0033391号に開示されたものに似た弾性ロッド232を含む弾性要素構造230を使用するヘッドサポート機構を含むアームサポートシステム250のさらなる別の例示的な実施形態が示されている。ヘッドバンド224は、本質的にユーザの頭部の全体を取り囲むことができ、可撓性、半可撓性、または剛性であってもよい。任意のクラウンバンド80は、ヘッドバンド224をユーザの頭上に適切に配置した状態に保つのに役立つ。
【0041】
ピボットマウント242は、ヘッドバンド224に取り付けられ、ピボットポイント244を含む。スライドマウント240は、ネジやピンなどの既知の締結要素を使用してピボットポイント244でピボットマウント242に取り付けられる。スライドマウント240は、スライドロッド236を囲んでおり、それに対して自由に平行移動および回転することができる。スライドロッド236の一端に結合された弾性ロッド232は、ユーザの頭部Hを支持するための平衡力を提供する。例えば、ロッド232は、ほぼ真っ直ぐまたは他の向きに付勢されているが、頭部Hの傾きに適応して弾性的に撓むことができ、これによってほぼ真っ直ぐな向きにバイアスが与えられた復元力を提供する。弾性ロッド232は、金属、樹脂、または他の適切な弾力材料で作ることができる。弾性ロッド232の他端は、フレームソケット24内に配置されたソケットポスト226内に(任意で回動可能に)取り付けられる。図10Aでは、ユーザの頭部Hは下に傾いていない状態で示され、弾性ロッド232は比較的直線状であり、したがってユーザの頭部Hには比較的小さな復元力しか加わらない。任意で、2以上の弾性要素構造230を用いて、所望の平衡力を達成してもよい。
【0042】
図10Bは、およそ経路P12に沿ってユーザの頭部Hが下に傾いた状態のアームサポートシステム250を示す。これに応答して、弾性ロッド232は、およそ円弧A5に沿って偏向されて示されている。この偏向位置で、弾性ロッド232は、ユーザの頭部Hを支持するための平衡力を提供する。ユーザの頭部の角度位置の変化に適応するために、スライドマウント240が、スライドロッド236に沿っておよそ経路P13に沿って平行移動する。
【0043】
図11Aは、図6のアームサポートシステム170の変形例であるアームサポートシステム320のさらに別の例示的な実施形態を示し、これはユーザUが作業を行う際に既存のヘッドギアを装着している場合に使用するものである。このようなヘッドギアの例には、保護ヘルメット、ヘッドマウントランプ、およびヘッドマウント拡大鏡が含まれる。これらの場合、ユーザUは、既存の装置の一部として既にヘッドバンドを着用しており、これが既に説明した額バンド76またはヘッドバンド156に干渉する可能性がある。例えば、図11Aに示すように、ユーザUは、シールド272と、ヘッドバンド274と、調整ノブ278とを有する汎用の溶接ヘルメット270を装着している。調整ノブ278で溶接ヘルメット270に取り付けられたクリップ296が示されている。弾性要素292は、地点306でクリップ296に取り付けられ、コネクタ154でサポートポスト152に取り付けられる。サポートポスト152は、ソケットポスト52内に配置され、それによってアームサポートシステム320のハーネスおよび/またはフレームに取り付けられる(前の実施形態のいずれかと同様)。このように溶接ヘルメット270に取り付けられたクリップ296に結合された弾性要素292は、ユーザの頭部Hを支持するための平衡力を提供する。
【0044】
図11Bは、図11Aの溶接ヘルメット270の詳細を示し、ヘルメットとクリップ296(両側からみたクリップ296)の特徴を示す。ヘルメット調整ノブ278が、調節ノブ278よりも小径のネック276によってヘッドバンド274に取り付けることができる。クリップ296は、ノッチ302を含むフロントプレート304を有する。ノッチ302は、ネック276にフィットするが、調整ノブ278とは干渉するように寸法決めされている。サイドストラップ308が、フロントプレート304をバックプレート300に連結し、フロントプレート304とバックプレート300との間に調整ノブ278を収容する空間を提供する。サイドストラップ308、フロントプレート304、およびバックプレート300は、可撓性、剛性、または半剛性である。弾性要素292は、取り付け点306でバックプレート300に取り付けられる。
【0045】
図11Cは、図11Bの詳細を示し、クリップ296が溶接ヘルメット270に完全に取り付けられている。クリップ296は、調整ノブ278を保持し、弾性要素292がユーザの頭部Hを支持するための平衡力を提供することを可能にする。
【0046】
図11Dは、溶接ヘルメット270などの既存のヘッドギア用の代替クリップ324を示す。バックプレーン326は、弾性要素340、342の取り付け点336を提供するストラップ330に結合される。弾性要素340、342は、単一の弾性要素344に合流してもよい。バックプレーン326およびストラップ330は、可撓性、剛性、または半剛性であってもよい。
【0047】
図11Eは、溶接ヘルメット270に完全に取り付けられた図11Dの代替クリップ324を示す。バックプレーン326は、ヘッドバンド274の内側に配置される。ストラップ330が、ヘッドバンド274の上部を越えて、ヘッドバンド274の外側で終端している。任意の固定ストラップ332が、ヘッドバンド274の下を越えて、追加の安全のために、ベルクロやスナップなどの既知のコネクタを用いてストラップ330に取り付けられる。したがって、クリップ324は、ヘッドバンド274を保持し、弾性要素340、342、および344が、ユーザの頭部Hを支持するための平衡力を提供することを可能にする。
【0048】
図12A、12Bに転ずると、図4A~4Cのシステム100と似たヘッドサポートシステム400の別の例示的な実施形態が示され、これはアームサポート機能を有さない。ユーザUは、図4A~4Cのフレームとヘッドサポート要素を装着して示されており、その頭部Hは、およそ経路P14に沿って下に傾けられている。可撓性、半可撓性または剛性であってもよい額バンド130が、ユーザの額F上に配置される。クラウンバンド80は、額バンド130を適切に配置するのを助ける。ガイドチューブ134が、例えばガイドチューブクリップ136によって額バンドに固定される。ガイドチューブ134は、剛性あるいは可撓性であってよく、PTFEやナイロンのような低摩擦材料から作製されてもよく、あるいはそのような材料で裏打ちされてもよい。ガイドチューブ134は、コード112が摺動するトラックを提供する。潤滑剤(図示せず)が、ガイドチューブ134内のコード112の滑らかな摺動運動を補助してもよい。ガイドチューブ134内のコード112の滑らかな摺動運動により、頭部Hの左右の回転が容易となる。コード112は、結合部115で弾性要素110に結合される。弾性要素110は、バックル84でYフレームバー60に結合される。結合部125でコード112の他端に連結された同等の弾性要素120が、バックル86でYフレームバー62に連結される。
【0049】
図12Bは、ヘッドサポートシステム400を背後から示す。Yフレームバー60、62を支持し位置づけするYフレームポスト58は、ソケットポスト52に接合されている。ソケットポスト52はフレームソケット24に挿入され、上述のようにフレームソケット24に対して回転することができる。ソケットポスト52はまた、前述したように、一般的に知られている要素を用いて、フレームソケット24に対して垂直に調節可能であってもよい。Yフレームポスト58およびYフレームバー60、62は、剛性または可撓性であってもよく、または所望の形状にするために曲げ加工によって形成可能であってもよい。フレームソケット24はフレームT16に結合され、フレームT6はベルトストラット20に結合されたスパインチューブ18に接続される。フレームソケット24、フレームT16、スパインチューブ18およびベルトストラット20は、ユーザの頭の重さなどの荷重が可撓性要素を介してユーザの胴体や臀部に伝達される実質的に剛性の構造である。
【0050】
図13A~13Cを参照すると、例えばユーザUが作業の実行において既存のヘッドギアを装着したときに用いるための、図11Dのアームサポートシステム320の変形例であるアームサポートシステム450の別の例示的実施形態が示されている。そのようなヘッドギアの例には、保護ヘルメット、ヘッドマウントランプ、およびヘッドマウント拡大鏡が含まれる。これらの場合、ユーザUは、前述した額バンド76またはヘッドバンド156に干渉する可能性がある既存の器具の一部としてのヘッドバンドを既に着用している。図13Aは、シールド272、ヘッドバンド274、および調整ノブ278を具える汎用の溶接ヘルメット270を装着しているユーザUである。代替クリップ460が、図11Dの代替クリップ324と同じ方法で、溶接ヘルメット270に完全に取り付けられて示されている。ヘッドバンド274の内側には、バックプレーン462(図11Dの326に相当、図示せず)が配置されている。
【0051】
ストラップ464は、ヘッドバンド274の頂部を越えて、ヘッドバンド274の外側で終端する。任意の固定ストラップ466が、ヘッドバンド274の下に達し、さらなる安全のために、ベルクロまたはスナップなどの既知のコネクタを使用してストラップ464に取り付けることができる。クリップ460は、レール端部478とレール本体480とを含むバックレール474のための取り付け面を提供する。レール端部478は、レールピボット470でクリップ460に取り付けられ、必要に応じてレールピボット470で自由回転することができる。レール本体480は、ユーザの頭部Hの動きに応答してレール本体480に沿って自由に移動するクレビス490のためのトラックを提供する。したがって、ユーザは、頭部Hを左右に自由に回転することができ、このときレール本体480に沿ってクレビス490がスライドして、クレビス490がサポートポスト152に隣接するユーザの頭部Hの実質的に中心に維持される。
【0052】
レール本体480は、ユーザの希望に応じて、湾曲していてもよく、直線状であってもよく、様々な曲率を有してもよく、または三次元で湾曲してもよい。レール本体480は、剛性、半剛性であってもよく、および/またはユーザが所望するように異なる形状に形成されてもよい。レール本体480の長さは、必要に応じて変更して、ユーザの頭の動作範囲を増加させることができる。最後に、レール本体480は、円形、長方形、楕円形、または他の望ましい形状のような異なる断面を有することができる。
【0053】
クレビス490は、レール本体480上にクレビス490を保持するピン494によって、レール本体480を囲んでいる。ピン494の周りを回転するクレビス490内に、ローラーまたはホイールのような任意の回転要素を設けて(図示せず)、クレビス490がレール本体480に沿って移動する際の摩擦を低減してもよい。クレビス490はまた、張力要素500が取り付けられる取り付け位置498を有する。張力要素500の他方の端部は、コネクタ154のサポートポスト152に取り付けられる。サポートポスト152はソケットポスト52内に固定され、したがってアームサポートシステム450のフレームに固定される(前述の実施形態のいずれかと同様)。したがって、このようにしてバックレール474およびクレビス490を介してクリップ460に結合された張力要素500は、溶接ヘルメット270とサポートポスト152との間に結合され、したがって、ユーザの頭部Hを支持する平衡力を提供することが可能となる。
【0054】
張力要素500は、弾性、非弾性、または両方の組み合わせであってもよい。張力要素500は、弾性である場合、ユーザが頭を下げたり上げたりすると変化するユーザの頭部Hの重量への平衡力を提供する。例えば、ユーザが頭部をほぼ直立させており、それほど平衡力を必要としない場合、弾性張力要素500には比較的張力がかからず、したがって大きな平衡力を生じない。ユーザが頭を下に傾けて、より多くの平衡力が望まれると、弾性張力要素500が伸長し、フックの法則に従って、より大きな平衡力がかかる。張力要素500は、任意で、弾性であるがフックの法則に従わない、例えば定荷重ばねであってもよい。張力要素500が非弾性である場合、サポートポスト152またはアームサポートシステムのフレームの他の構成要素が、可撓性または弾性などの可撓性を有して、頭が下に傾くにつれて変化するユーザの頭部の重量に対する平衡力を提供してもよい(前の実施形態を参照して説明したように)。
【0055】
図13Bは、アームサポートシステム450において、ユーザの頭部Hが下に傾き、全体的に左肩に向かって回転している状態を示す。この動作に応答して、ユーザの頭部Hの後部は、バックレール474とともに、およそ経路P15に沿って動く。レール本体480に沿って自由に摺動(または回転)できるクレビス490は、サポートポスト152に対して図13Aに示したのとほぼ同じ位置に留まる。クレビス490はほぼ元の位置にとどまるので、張力要素500は、ユーザの頭部Hの回転(横方向)の動きに応答して伸張する必要がなく、従って、その左右の運動によってさらに伸張することはない。このようにして、張力要素500の伸張は、ユーザの頭部Hの左右の動きから切り離されており、代わりに、必要に応じてユーザの頭部の傾きにのみ応答する。
【0056】
図13Cは、アームサポートシステム450において、ユーザの頭部Hが下に傾き、全体として右肩に向かって回転している状態を示す。この動作に応答して、ユーザの頭部Hの後部は、バックレール474とともに、およそ経路P16に沿って移動する。ここでも、レール本体480に沿って自由に摺動(または回転)するクレビス490は、サポートポスト152に対して図13Aに示したのとほぼ同じ位置に留まる。図13Bで説明したように、張力要素500の伸張は、ユーザの頭部Hの左右の動きから切り離されており、代わりに、必要に応じてユーザの頭部Hの傾きにのみ応答する。
【0057】
上述したヘッドサポートの他の変形例のいずれも、アームサポート機能なしで、すなわちスタンドアロン型のヘッドサポートシステムとして使用することもできる。任意選択的に、本書の実施形態のいずれかにおいて、ヘッドサポートの少なくとも一部分は取り外し可能とすることができ、例えば、Yフレームバーのベースは、例えばヘッドサポートが取り外し可能にハーネスに取り付けられ、図2Bの実施例のように、必要のないときにヘッドサポートを取り外すことができる。
【0058】
さらに、額バンド130、クラウンバンド80、ガイドチューブ134、ガイドチューブクリップ136、コード112、弾性要素110および120、Yフレームバーおよびポスト60、62、58、および58、ならびにバックル84、86などの前述したヘッドサポートの構成要素のいずれかが、再使用可能または使い捨て可能であってもよい。
【0059】
本明細書に記載された装置、システム、および方法は、例えば外科手術、製造、建設および/または他の活動の間の様々な作業中にユーザの頭部を支持するために使用され得ることが理解されよう。システムは、一般的に、ユーザが頭を前方に回転および/または曲げるなどの作業を実行しながら頭を自由に動かし、例えば疲労を予防または軽減するために頭の頭にオフセット力を与えることを可能にする。ユーザが頭を前に傾けたり、頭を前に曲げたりするときにユーザの頭に適用されるオフセット力は、本明細書のいずれかの箇所に記載されているように、例えば、コード、フレーム、および/またはシステムの他の構成要素によって生成されるバネや可能性のある力のプロファイルを変えることによって変更することができる。
【0060】
本明細書の任意の実施形態について示された要素または構成要素は、特定の実施形態の単なる例示であり、本明細書に開示された他の実施形態と組み合わせて使用できることが理解されよう。
【0061】
本発明は、様々な変形および代替実施例が可能であるが、その特定の例が図面に示され、本書に詳細に記載されている。しかしながら、本発明は、開示された特定の形態または方法に限定されるものではなく、逆に、本発明は、添付の特許請求の範囲内に入るすべての変形例、等価物および代替物を包含するものであることを理解されたい。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C