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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-03
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】ワークの炭素皮膜被覆構造
(51)【国際特許分類】
   C23C 28/00 20060101AFI20220204BHJP
   C23C 28/04 20060101ALI20220204BHJP
   C25D 11/18 20060101ALI20220204BHJP
   B32B 9/00 20060101ALI20220204BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20220204BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20220204BHJP
   B32B 17/06 20060101ALI20220204BHJP
   B32B 18/00 20060101ALI20220204BHJP
   B32B 23/00 20060101ALI20220204BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20220204BHJP
【FI】
C23C28/00 C
C23C28/04
C25D11/18 A
B32B9/00 A
B32B15/08 M
B32B27/00 Z
B32B17/06
B32B18/00
B32B23/00
B32B5/18
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020106277
(22)【出願日】2020-06-19
(62)【分割の表示】P 2018111889の分割
【原出願日】2018-06-12
(65)【公開番号】P2020169390
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2020-09-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 日本鍍金材料協同組合が発行する月刊誌「鍍金の世界」1月号、平成30年1月15日発行、第51巻1号、No.600の表紙および裏表紙、「CNTを含有させた低温黒色クロム(CBC)被膜の高度化」第68~73頁。
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500398289
【氏名又は名称】吉田 英夫
(74)【代理人】
【識別番号】100085110
【弁理士】
【氏名又は名称】千明 武
(72)【発明者】
【氏名】吉田 英夫
【審査官】▲来▼田 優来
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-019700(JP,A)
【文献】特開2017-214505(JP,A)
【文献】特開2013-134799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C26/00,28/00
C25D11/18
B32B5/18
B05D7/24
C01B32/158
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの表層部に多孔質の一次皮膜を形成し、該一次皮膜の表層部に炭素ナノチューブを含む二次皮膜を配置したワークの炭素皮膜被覆構造において、炭素ナノチューブを集積して炭素皮膜を形成し、この複数の炭素皮膜を一次皮膜の表層部に層状に形成し、各炭素皮膜の表面を一次皮膜に沿って凹凸状に形成し、各炭素皮膜の凹凸部を上下の炭素皮膜の凹凸部に食い込ませて配置したことを特徴とするワークの炭素皮膜被覆構造。
【請求項2】
前記ワークと一次皮膜と複数の炭素皮膜層とを一体化した請求項1記載のワークの炭素皮膜被覆構造。
【請求項3】
前記二次皮膜を、炭素ナノチューブを含む、無機または有機系塗料の塗膜、機能性材料若しくはセラミックス、高分子材料、炭素材料の何れか一で形成した請求項1記載のワークの炭素皮膜被覆構造。
【請求項4】
前記機能性材料を、二フッカ材料、四フッカ材料、フッ素化合物、二酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化マンガン、アルミナ、ベントナイト、ハイドロキシアバタイト、ゼオライト、タルク、コリナイト、ポーラスシリカ、金、白金、パラジウム、窒化ホウ素、窒化チタン、窒化アルミ、DLC、磁性材料、金属材料、炭素材料の何れか一で形成した請求項記載のワークの炭素皮膜被覆構造。
【請求項5】
アルミニウムからなるワークの陽極酸化皮膜の表層部に前記炭素皮膜を被覆または含浸するとともに、陽極酸化皮膜の孔部に炭素ナノチューブの分散溶媒を浸入させて炭素皮膜を配置した請求項記載のワークの炭素皮膜被覆構造。
【請求項6】
前記陽極酸化皮膜の孔部に炭素皮膜を配置して孔内面を被覆し、または陽極酸化皮膜の内部に配置した複数の炭素皮膜によって孔部を封入した請求項記載のワークの炭素皮膜被覆構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に多孔質皮膜を形成したワークに、カーボンナノチューブ(以下、単にCNTと呼ぶ)等の炭素素材を高密度かつ高集積して被覆し、炭素の特性による卓越した電導性と熱電導性、耐熱性、強い強度としなやかさを有するとともに、ワークにCNT等の炭素を容易かつ安価に被覆して高密度かつ高集積する、ワークの炭素皮膜被覆構造に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブ(carbon nanotube)は、高い導電性、熱伝導性、耐熱性を備え、卓越した物性を持った化合物として注目されてきた。
しかし、CNTは開発以来、今日に至るまで具体的な製品や部品として使用された実績が殆どなく、多様な産業分野に活用できる実用技術としての開発が望まれていた。
【0003】
このような状況の下で、発明者はCNTの特性を活かす種々の技術開発に取り組んできた。
例えば、塗料やインクにCNTを混合する混合法である。しかし、塗料やインクにCNTを混合すると粘度が増加して塗布能力が低下してしまうため、CNTの混合は5%が実用的な限界になり、その利用に限界があった。
一般に塗装は分散ができれば産業化が可能であり、普及も容易であると考えられていたが、CNTの分散技術は難しく、CNTの均一性やCNT濃度の限界、CNTの種類と高分子塗料との最適化の難しさ、塗料の生成と保持の難度の高さが問題になり、市場への広がりや普及に障害となっていた。
【0004】
次はめっき技術を用いた「共析法」である。めっき液中にCNTを分散させ、析出することができれば、工業用途として広がっていくはずである。
しかし、CNT共析めっきはCNT析出比率が1%未満で、実用技術にほど遠く、しかもめっき液中のCNT分散状態の保持の難しさや、析出皮膜中のCNT含浸比率はおよそ15/1000が限界で低く、析出皮膜上の分布の不均一さや、めっき液の組成管理と保持の難しさがあるため、工業用途としての広がりを図れなかった。
【0005】
更に、ゴム等に混ぜ込む「混練法」である。ゴムにCNTを約10%程度添加し、安定した分散構造に混練することが期待されたが、ゴム特性の維持の難度による製品品質の信頼性確保、CNT分散技術と材料内不純物との相関による特性付与条件の最適化が難しく、工業用途としての広がりに障害があった。
【0006】
加えて、前述のような取り組みにも拘わらずCNTが普及しなかったのは、ワーク(素材)への密着が悪く、CNTの分散状態が短時間で低下してしまい、高濃度化ができない等の問題が解決できなかったことによる。
しかも、前述の技術は非常に狭い用途に限定された使用法で、素材の卑な特性を向上するためにCNTを使用し、CNT本来の貴な特性、すなわち高い導電性、熱伝導性、耐熱性を貴のまま、純粋に活用できる使用法ではなかった。
【0007】
そこで、発明者は独自の技術にCNTを融合させることによって、前述の方法と全く異なる新規な方法を見出した。
すなわち、発明者は既に、ワークの表面に金属を含む亜酸化物または酸化物からなる薄膜の一次皮膜の含浸層を形成し、該一次皮膜を多孔質皮膜に形成し、該一次皮膜に高分子材料、無機または有機系塗料の塗膜、機能性材料若しくはセラミックスの何れか一からなる二次皮膜を含浸したワークの皮膜形成構造を開発し、これを特願2015-118459号として提案している(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
そして、前記提案した技術を基に、多孔質の一次皮膜にCNT分散液を浸漬法または塗布法によって積層し、更に機能を付加する場合は、機能膜を積層して新規な皮膜を形成することを考案した。
その際、前記一次皮膜の凹凸部に二次皮膜の微粒子または結晶を独立かつ高密度に配置し、また機能性材料として金属材料や炭素材料の使用を想定した。
したがって、炭素材料としてCNTを使用する場合は、CNTを如何に高密度かつ高集積して緻密な炭素皮覆を形成するか、そのための一次皮膜と相性の良いCNTを選定するか、また選定したCNTと相性の良い分散剤の選定と含有比率の選定、最適状態における装置の設計と製造が重要になる。
【0009】
従来、ワークに炭素素材を高密度かつ高集積して緻密な炭素皮覆を形成する方法として、例えばCNTを分散した溶媒を含む容器に放熱板の放熱フィンをディッピング(浸漬)し、放熱フィンの表面にCNTを吸着させ、約80~95℃に加熱して乾燥し、ディッピングと乾燥を繰り返してCNTをコーティングするようにした放熱板の製造方法がある(例えば、特許文献2参照)。
【0010】
しかし、前記CNTのコーティング方法は、放熱フィンの表面が平滑なため、放熱フィンの表面にCNTを分散した溶媒が付着し辛く、またその付着にムラがあって緻密性を得られず、CNTを均一に被覆することが難しいという問題があった。
【0011】
また、アルミナ等の多孔質粒子を基体とし、この基体を流動媒体として各種焼却炉に投入し、原料の燃焼中に発生する未燃タ-ルまたは未燃炭化水素成分を、多孔質の細孔による容量効果によって基体の細孔内に捕集し、該基体を非酸化性雰囲気下において500~1200℃の温度で加熱することにより、細孔の内表面および基体の外表面に炭素をコーティングする、硬質活性炭吸着剤の製造方法がある(例えば、特許文献3参照)。
【0012】
しかし、前記製造方法は焼却炉や非酸化性雰囲気の高価かつ大掛かりな設備を要し、またその製造過程は未燃タ-ルや未燃炭化水素成分の細孔への捕集が難しく、しかも種々の煩雑な工程を要して手間が掛かる等の問題があった。
【0013】
前記問題を解決するものとして、シリコンおよび酸素、またはアルミニウム、シリコンおよび酸素を含む多孔質基材と、多孔質基材の細孔の内壁面の少なくとも一部を被覆した炭素系薄膜とを含み、炭素系薄膜は、六角網面構造の分子の骨格を構成する原子として窒素若しくはホウ素を有し、または官能基としてアミノ基、スルホン基、若しくはカルボキシル基を有する炭素被覆多孔体がある(例えば、特許文献4参照)。
【0014】
しかし、前記炭素被覆多孔体は、多孔質基材の細孔の内壁面の一部に炭素系薄膜を被覆し、外面を被覆していないため、炭素系薄膜による十分な特性を得られないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】特開2017-1312号公報
【文献】特開2007-19453号公報
【文献】特開2005-213056号公報
【文献】特開2014-111231号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明はこのような問題を解決し、表面に多孔質皮膜を形成したワークに、カーボンナノチューブ等の炭素素材を高密度かつ高集積して被覆し、炭素の特性による卓越した電導性と熱電導性、耐熱性、強い強度としなやかさを有するとともに、ワークにCNT等の炭素を容易かつ安価に被覆して高密度かつ高集積する、ワークの炭素皮膜被覆構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
請求項1の発明は、ワークの表層部に多孔質の一次皮膜を形成し、該一次皮膜の表層部に炭素ナノチューブを含む二次皮膜を配置したワークの炭素皮膜被覆構造において、炭素ナノチューブを集積して炭素皮膜を形成し、この複数の炭素皮膜を一次皮膜の表層部に層状に形成し、各炭素皮膜の表面を一次皮膜に沿って凹凸状に形成し、各炭素皮膜の凹凸部を上下の炭素皮膜の凹凸部に食い込ませて配置し、炭素皮膜による卓越した電導性と熱電導性、耐熱性、強い強度としなやかさを確実かつ安定して得られるとともに、各炭素皮膜を緻密かつ強固に密着ないし被覆させて、例えばそれらの折り曲げによる剥離やクラックの発生を防止するようにしている。
請求項2の発明は、ワークと一次皮膜と複数の炭素皮膜層とを一体化し、これらを強固かつコンパクトに構成するようにしている。
【0018】
請求項3の発明は、二次皮膜を、炭素ナノチューブを含む、無機または有機系塗料の塗膜、機能性材料若しくはセラミックス、高分子材料、炭素材料の何れか一で形成し、二次皮膜を種々の素材に拡張し、それらに炭素皮膜の形成を実現するようにしている。
【0019】
請求項の発明は、機能性材料を、二フッカ材料、四フッカ材料、フッ素化合物、二酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化マンガン、アルミナ、ベントナイト、ハイドロキシアバタイト、ゼオライト、タルク、コリナイト、ポーラスシリカ、金、白金、パラジウム、窒化ホウ素、窒化チタン、窒化アルミ、DLC、磁性材料、金属材料、炭素材料の何れか一で形成し、機能性材料を種々の素材に適用可能にしている。
【0020】
請求項の発明は、アルミニウムからなるワークの陽極酸化皮膜の表層部に前記炭素皮膜を被覆または含浸するとともに、陽極酸化皮膜の孔部に炭素ナノチューブの分散溶媒を浸入させて炭素皮膜を配置し、陽極酸化皮膜に炭素の卓越した電導性や熱伝導性、耐熱性、強い強度としなやかさを付与し、陽極酸化皮膜の新規かつ卓越した機能を得られるようにしている。
【0021】
請求項の発明は、陽極酸化皮膜の孔部に炭素皮膜を配置して内面を被覆し、または内部に配置した複数の炭素皮膜によって孔部を封入し、陽極酸化皮膜の孔部の耐食性を得られるとともに、従来の封孔処理と同等な効果を得られ、安価な設備と簡単な作業によって、従来の封孔処理に代用可能にし、また炭素皮膜の黒色による着色を可能にしている。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明は、炭素ナノチューブを集積して炭素皮膜を形成し、この複数の炭素皮膜を一次皮膜の表層部に層状に形成し、各炭素皮膜の表面を一次皮膜に沿って凹凸状に形成し、各炭素皮膜の凹凸部を上下の炭素皮膜の凹凸部に食い込ませて配置したから、炭素皮膜による卓越した電導性と熱電導性、耐熱性、強い強度としなやかさを確実かつ安定して得られるとともに、各炭素皮膜を緻密かつ強固に密着ないし被覆させて、例えばそれらの折り曲げによる剥離やクラックの発生を防止することができる。
請求項2の発明は、ワークと一次皮膜と複数の炭素皮膜層とを一体化したから、これらを強固かつコンパクトに構成することができる。
【0023】
請求項3の発明は、二次皮膜を、炭素ナノチューブを含む、無機または有機系塗料の塗膜、機能性材料若しくはセラミックス、高分子材料、炭素材料の何れか一で形成したから、二次皮膜を種々の素材に拡張し、それらに炭素皮膜の形成を実現することができる。
【0024】
請求項の発明は、機能性材料を、二フッカ材料、四フッカ材料、フッ素化合物、二酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化マンガン、アルミナ、ベントナイト、ハイドロキシアバタイト、ゼオライト、タルク、コリナイト、ポーラスシリカ、金、白金、パラジウム、窒化ホウ素、窒化チタン、窒化アルミ、DLC、磁性材料、金属材料、炭素材料の何れか一で形成したから、機能性材料を種々の素材に適用することができる。
【0025】
請求項の発明は、アルミニウムからなるワークの陽極酸化皮膜の表層部に前記炭素皮膜を被覆または含浸するとともに、陽極酸化皮膜の孔部に炭素ナノチューブの分散溶媒を浸入させて炭素皮膜を配置したから、陽極酸化皮膜に炭素の卓越した電導性や熱伝導性、耐熱性、強い強度としなやかさを付与し、陽極酸化皮膜の新規かつ卓越した機能を得られる効果がある。
【0026】
請求項の発明は、陽極酸化皮膜の孔部に炭素皮膜を配置して内面を被覆し、または内部に配置した複数の炭素皮膜によって孔部を封入したから、陽極酸化皮膜の孔部の耐食性を得られるとともに、従来の封孔処理と同等な効果を得られ、安価な設備と簡単な作業によって、従来の封孔処理に代用可能にし、また炭素皮膜の黒色による着色を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の基本形態を示す説明図で、電気化学装置によってワークに一次皮膜を析出している状況を示している。
図2】ワークの表面に一次皮膜である亜酸化物を析出した際の含浸状況を拡大して示す断面図である。
図3図2の要部を拡大して示す断面図で、(a),(b)は表面状態を異にするワークを示している。
図4】本発明に適用した吹き付け法によって、ワークの一次皮膜に二次皮膜を吹き付けて形成している状況を示す説明図である。
【0028】
図5】ワークに一次皮膜である亜酸化物を析出後、一次皮膜に二次皮膜である塗膜を形成した状況を模式的に示す断面図である。
図6図5の要部を拡大して示す説明図で、一次皮膜の表面の凹凸部が箸立て状に機能し、その凹凸部に二次皮膜の基部が植設されている状況を示している。
図7】二次皮膜形成後、ワークを折り曲げた際の状況を拡大して模式的に示す断面図である。
図8図7の折り曲げ部を更に拡大して示す模式図である。
図9】従来の二次皮膜である塗膜形成の状況の概観を拡大して示す断面図である。
【0029】
図10】本発明の第1実施形態に係る新規な表面処理法の概念を示す断面図である
図11図10の要部を模式的に拡大して示す断面図である。
図12】前記新規な表面処理法における一次皮膜の結晶構造を拡大して示すSEM写真で、その結晶間にCNTを入り込ませている。
図13】前記新規な表面処理法における一次皮膜と、CNTの複合皮膜を拡大して示す断面図である。
図14】新規な表面処理方法におけるCNTの分布状況の拡大写真と、その一部を更に拡大して示すSEM写真である。
【0030】
図15】本発明の第2実施形態に使用したサンプル片の作製状況を示す説明図で、一次皮膜を形成したワークをCNTを含む分散溶媒に一定時間浸漬してサンプル片を作製し、その中央部と末端部を切り取ってサンプル片としている。
図16】(a)~(d)は第2実施形態の第1の表面状況を拡大して示すSEM写真で、CNTと分散剤を1:1に調整したCNTの分散溶媒に、サンプルAを一定時間浸漬後、その表面状況とCNTの分散状況を拡大して示している。
図17】(a)~(d)は第2実施形態の第2の表面状況を拡大して示すSEM写真で、CNTと分散剤を1:2に調整したCNTの分散溶媒に、サンプルBを一定時間浸漬後、その表面状況とCNTの分散状況を拡大して示している。
【0031】
図18】(a)~(d)は、第2実施形態の第3の表面状況を拡大して示すSEM写真で、CNTと分散剤を1:4に調整したCNTの分散溶媒に、サンプルCを一定時間浸漬後、その表面状況とCNTの分散状況を拡大して示している。
図19】第2実施形態の第4の表面状況を拡大して示すSEM写真で、サンプルAの中心部と、サンプルDの末端部の表面状況とCNTの分散状況を拡大して示している。
図20】前記第2実施形態における一次皮膜の表面に、炭素皮膜を複数層配置した状況を示す拡大して示す断面図である。
図21図20の要部を拡大して示す断面図で、一次皮膜の表面の凹凸部が箸立て状に機能し、その凹凸部に炭素皮膜が食い込んでいる状況を示している。
【0032】
図22図21のワークを折り曲げている状況を拡大して示す断面図である。
図23】本発明の第3実施形態の製造工程の要部を示す断面図で、(a)はCNTの分散溶媒を収容した浴槽に一次皮膜を形成したワークを浸漬し、(b)はそれを引き上げ、(c)はそれを乾燥している状況を示している。
図24】本発明の第4実施形態の製造工程の要部を示す断面図で、(a)は陽極酸化皮膜を形成したアルミニウム製のワークを、CNTの分散溶媒を収容した浴槽に浸漬し、(b)はそれを引き上げ、(c)はそれを乾燥している状況を示している。
図25】前記第4実施形態の要部を拡大して示す断面図で、陽極酸化皮膜の表面と孔に炭素皮膜を配置して被覆し、孔部の内面を被覆するとともに、孔部を封孔している状況を拡大して示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の基本形態を、電気化学装置によって被処理部材であるステンレス鋼板製のワークの表面に一次皮膜を形成し、この一次皮膜に二次皮膜を形成する状況を図面によって説明すると、図1乃至図9において1は浴槽で、内部に電解液である処理液2が収容されている。
【0034】
前記処理液2は黒色クロム浴と同様に構成され、その成分組成は無水クロム酸CrO3 300~400g/l、けいフッ化ナトリウムNaSiF6 5~10g/l、酢酸バリウムC464Ba 2~5g/lからなり、また後述する冷却装置によって浴温を10℃以下に調整し、前記ワーク3の表面に一次皮膜として、亜酸化物である亜酸化クロムCrO3の析出を促し、金属クロムCrの析出を抑制させている。
この場合、所定の亜酸化物を析出するために、浴温を処理液2が凍結しない0℃以下に調整することが望ましく、基本形態では-5~10℃に調整している。
【0035】
前記処理液2に陰極片であるワーク3と、陽極片4である可溶性電極の金属クロム、不溶性電極であるカーボンまたは鉛が浸漬して配置され、これらに正負の電圧を印加する配線5,6が接続され、それらに整流機能を備えた制御装置7を介して電源装置8から電圧が印加され、ワーク3と陽極片4の電流密度を20A/dm2に調整している。
基本形態ではワーク3として、板厚0.5mmのステンレス鋼板(SUS304)を使用しているが、金属片に限らず酸化物または亜酸化物を析出可能な、ニッケル、鉄、銅、アルミニウム、真鍮、その他の金属および合金、合成樹脂、ガラス、セラミックス、紙、繊維、木を使用することも可能である。
【0036】
前記浴槽1の周辺に定量の処理液2を収容可能な冷却槽9が配置され、その内部に冷却装置10の冷媒導管11がジグザグまたはコイル状に配管されている。
図中、12は冷却装置10の冷却回路に介挿した冷媒循環用のコンプレッサ、13は冷却槽9を格納する冷却筒、14は冷却槽9の下端部のドレイン通路に介挿したフィルタである。
【0037】
前記冷却槽9の上下位置に処理液導入管15と処理液吐出管16とが配管され、処理液導入管15の一端が浴槽1の処理液2に没入して配管され、該処理液導入管15に処理液2を吸引可能な送液ポンプ17が介挿されている。前記処理液吐出管16の一端がフィルタ14に接続され、その他端が逆止弁18を介して浴槽1の下部に接続されている。
【0038】
図4は前記ワーク3に一次皮膜である低温黒色クロム(以下、CBCと云う)からなる亜酸化物を析出後、この一次皮膜に二次皮膜である合成樹脂系の塗料を吹き付けて、塗膜を形成する状況を示し、19は塗料吹き付け用の小形の塗装ガンで、この塗装ガン19の噴口側に筒状の塗料タンク20が斜状に立設され、下部に加圧空気導管21が接続されている。
そして、トリガ22の操作によって、塗料タンク20内の塗料をワーク3に析出した一次皮膜23に吹き付け可能にしている。基本形態では一次皮膜23である亜酸化物として、亜酸化クロムCrO3をワーク3に析出している。
【0039】
この場合、前記二次皮膜である塗膜の他の形成方法として、ハケ若しくはローラによる塗布、塗料を加熱して硬化させる焼付け塗装、前記塗料中に一次皮膜を含むワーク3を浸漬する浸漬塗り、前記塗料と一次皮膜23を含むワーク3に異極性の静電気を印加して水性塗料中のワーク3を塗装する電着塗装、ワーク3と噴霧状にした塗料を異極に帯電させて、電気的に塗料をワーク3に吸着させる静電塗装、等があり、この何れか一を選択して前記塗料を一次皮膜23に付着または吸着させ、作業条件に応じてその最適な方法を採択する。
【0040】
次に、ワーク3に一次皮膜23である亜酸化物ないしその酸化物である酸化クロムCr23を析出し、この一次皮膜23に二次皮膜24である塗膜を形成する。
先ず、ワーク3に一次皮膜23である亜酸化物ないしその酸化物である酸化クロムCr23を析出する場合は、処理液2と陰極片であるワーク3と陽極片4を収容可能な浴槽1を用意し、前記ワーク3と陽極片4に所定の電圧を印加し、これらに所定の電流密度を作用可能な電源装置8と、その制御装置7とを装備し、前記浴槽1の近接位置に冷却槽9を配置する。
【0041】
前記冷却槽9に冷却装置10を装備し、その冷媒導管11を冷却槽9内に配管するとともに、冷却槽9の上下に処理液導入管15と処理液吐出管16とを配管する。前記処理液導入管15に給液ポンプ17を介挿するとともに、処理液導入管15の一端を浴槽1の処理液2内に配管し、処理液吐出管16の一端を逆止弁18を介して浴槽1の下部に接続する。
【0042】
この後、処理液2を作製する。処理液2の成分組成は、無水クロム酸CrO3300~400g/l、還元抑制剤である珪フッ化ナトリウムNaSiF6 5~10g/lと酢酸バリウムC464Ba 2~5g/lからなり、この処理液2を浴槽1に収容する。
この場合、前記処理液2中の珪フッ化ナトリウと酢酸バリウムは電流を抑制し、ワーク3の表面に金属クロムCrの析出を抑制して、亜酸化物である亜酸化クロムCrO3の析出を促進する。
【0043】
そして、浴槽1にワーク3と陽極片4を収容し、これらの配線5,6を制御装置7と電源装置8に接続し、該電源装置8をONして所定の電圧を印加し、制御装置7を介してワーク3と陽極片4の電流密度を調整する。この基本形態ではそれらの電流密度を20A/dm2に調整する。
【0044】
この後、送液ポンプ17を始動し、浴槽1内の処理液2を吸引して冷却槽9に送り込み、また冷却装置10を始動し、コンプレッサ12を駆動して冷媒導管11に冷媒を循環させ、冷却槽9内の処理液2を冷却して処理液吐出管16から浴槽1の下部に送り出す。
このようにして、浴槽1内の処理液2を冷却し、基本形態では浴温を10℃以下に調整している。この場合、所定の亜酸化物を析出するために、浴温を処理液2が凍結しない0℃以下に調整することが望ましく、基本形態では-5~10℃に調整している。
【0045】
こうして、ワーク3と陽極片4に電圧を印加すると、ワーク3側に水素ガスが生成され、これが処理液2中を浮上して大気に放出され、陽極片4側では酸素ガスが生成され、これらが処理液2中を浮上して大気に放出される。
そして、処理液2内では主成分である無水クロム酸が陽極片4でイオン化され、そのクロム酸イオンが陽極片4から離れ処理液2中を移動して拡散し、ワーク3の界面へ移動したところで三価クロムに還元され、この三価クロムがワーク3の界面に析出する。
【0046】
その際、三価クロムは金属Crを基にワーク3の界面に析出し、この析出した金属Crに亜酸化物23である亜酸化クロムCrO3が結合し、これらに金属Crと亜酸化クロムが順次連結して亜酸化皮膜が形成され、その膜厚が1~2μm形成されると亜酸化物皮膜の導電性が失われ、その後の亜酸化物の形成が停止される。
前記亜酸化クロム皮膜は半光沢黒色を呈して1~2μmの薄膜に形成され、その後、大気中の酸素と結合してCr23の酸化物に変化し、より強固な一次皮膜23を形成する。
【0047】
前記亜酸化皮膜の析出に際しては、浴温を低温度の10℃以下、基本形態では-5~10℃に調整し、処理液2中の珪けいフッ化ナトリウムと酢酸バリウムによって電流を抑制し、またワーク3および陽極片4の電流密度を20A/dm2に設定しているため、ワーク3に対する金属クロムCrの析出が抑制される。
したがって、前記亜酸化物からなる一次皮膜23は金属Crに比べて柔らかで、導電性が低いことが推測される。
【0048】
発明者は前記析出した亜酸化皮膜の成分を確認するため、島津製作所社製 電子線マイクロアナライザー(EPMA 1720)によって定量分析したところ、C:24.91%、O:18.82%、Si:35.75%、Cr:11.16%、Ni:9.36%であり、Crの析出が抑制されていることが確認された。
【0049】
次に、発明者は日立ハイテック社製 超分解能電解放射型走査型電子顕微鏡(SU-10)によって、前記一次皮膜23の表面状態を確認したところ、特開2017-1312号公報の図3~8、図11と同様な結果を得られた。
このうち、前記公報における図3は、浴温-5℃、電流密度20A/dm2における一次皮膜23である亜酸化物の析出開始後、5分、10分、20分経過後の各表面状態を10K、20K、50K、100K(K:×1000)の各倍率で写真撮影したもので、各状態に複数の塊状ないし粒状組織が表出し、それらの組織が析出後の時間経過に伴って成長し、かつそれらの隙間が増大して凹凸状の分布状態が顕在化して形成されることが確認された。
【0050】
また、前記公報における図4は、浴温15℃、電流密度20A/dm2における一次皮膜23である亜酸化物の析出開始後、5分、10分、20分経過後の各表面状態を10K、20K、50K、100Kの各倍率で写真撮影したもので、各状態に複数の皺状ないし鱗片状組織が表出し、それらの組織が析出後の時間経過に伴って増加して成長し、それらの隙間が増大して凹凸状に分布していることが確認された。
【0051】
更に、前記公報における図5は、浴温-5℃における一次皮膜23の析出開始後、20分経過後の表面状態を100Kの倍率で写真撮影したもので、塊状ないし粒状組織の大きさを基準スケールで比較表示しており、塊状ないし粒状の大きさが25~200nmに形成されていることが確認された。
【0052】
次に、前記公報における図6は、浴温15℃における亜酸化物の析出開始後、20分経過後の表面状態を100Kの倍率で写真撮影したもので、皺状ないし襞状組織の大きさを前記スケールで比較表示しており、皺状ないし襞状の大きさが幅25~50nm、長さ400~650nmに形成されていることが確認された。
【0053】
また、前記公報における図7は、前記図5の表面状態を走査顕微鏡によって10~50Kに拡大して写真撮影したもので、亜酸化皮膜が微細な多孔質からなり、その表面が微細な凹凸からなるケーキないしスポンジ状に形成され、その表面に50~200nmの凹凸部が多数形成されていることが確認された。
更に、前記公報における図8は、前記公報の図3における一次皮膜23である亜酸化物の断面を写真撮影したもので、一次皮膜23の表面が微小な凹凸状に形成されてワーク3の表面に被覆されていることが確認された。
【0054】
以上のことからワーク3の表面は、図2のように模式的に表されると考えられ、これを更に拡大した図3(a),(b)で示すように、ワーク3の表面の凹凸部ないし鋸歯状部に多孔質の一次皮膜23の凹凸部が食い込んで、緊密に密着して析出していると考えられる。
この状況は前記公報の図11で更に拡大して示され、ワーク3の表層部に一次皮膜23が一定間隔に縞状に配置されて食い込み、ワーク3に強固に密着している。
【0055】
すなわち、ワーク3の表層部に一次皮膜23からなる含浸層が形成されて一体化され、ワーク3の表層部に一次皮膜23が確実かつ緊密に密着され、その剥離やクラックの発生を防止するとともに、一次皮膜23の多孔質構造に二次皮膜24を確実かつ強固に形成し、その剥離を防止すると考えられる。
【0056】
次に、前記ワーク3に二次皮膜として塗膜を形成する場合は、ワーク3に析出した亜酸化物または酸化物に無機または有機系塗料の塗膜を付着または吸着させる。
基本形態では、塗膜の付着または吸着方法として塗装ガン19による塗料の吹付け法を採用しているが、他の手法を採用することも可能である。
この場合、塗膜は酸素を透過し得るから、塗膜の形成時期は一次皮膜23の形成直後またはその後であっても良く、最終的に強固な酸化物に塗膜を形成すれば良いから、塗膜の形成時期による品質に特別な相違はない。
【0057】
そこで、塗膜形成前にワーク3に析出した一次皮膜23の亜酸化物または酸化物の表面を洗浄して乾燥し、このワーク3を例えば適宜な治具25に吊り下げる。
そして、塗装ガン19の塗料タンク20に所望の塗料を収容し、下部に加圧空気導管21を接続して塗装ガン19を保持し、噴口を前記ワーク3に向けてトリガ22を操作し塗料を吹き付ける。この状況は図4のようである。
【0058】
こうしてワーク3に吹き付けた塗料は亜酸化物または酸化物の一次皮膜23の表面に付着し、これを加熱し硬化して乾燥する。この場合の二次皮膜24である塗膜の形成状況は図5および図6のようである。
すなわち、二次皮膜24の塗膜の形成に際して、従来の塗膜形成に多用されたプライマーの代わりに、ワーク3に析出した亜酸化物または酸化物の薄膜の一次皮膜23を使用し、この一次皮膜23に塗膜の微粒子ないし結晶毎に独立して高密度に配置している。
【0059】
その際、塗膜の形成は基本的に一度で足り、従来のように下塗り、中塗り、上塗りの煩雑な塗布を要さず、その膜厚は従来の1/5~1/3の5μm以上の薄膜に形成され、これらが一次皮膜23の表面の微細な凹凸部に食い込んで緊密に密着する。したがって、従来の塗装法に比べて塗料の使用量が低減し塗膜形成を速やかに行なえ、塗膜形成を合理的かつ安価に行なえる。
【0060】
この場合、一次皮膜23の多孔質構造によって、表面の多数の凹凸部ないし孔部が一種の箸立て状に機能し、この凸部23aの間ないし孔部に二次皮膜24である塗膜が収束して植設されるから、塗膜の配置密度が前記孔部によって制御可能になり、合成樹脂性塗膜の高分子鎖を制御するとともに、前記凹凸部ないし孔部に二次皮膜24が高密度に分布して強固に密着する。
前記二次皮膜24は一次皮膜23の表層部に含浸層を形成し、一次皮膜23と一体化するから、二次皮膜24の剥離を防止するとともに、一次皮膜の多孔質構造によって二次皮膜24が確実かつ強固に密着する。
【0061】
このように、基本形態ではワーク3と一次皮膜23との含浸と、一次皮膜23と二次皮膜24との含浸によって、それらの一体化が促され、それらが確実かつ強固に密着するから、一次皮膜23と二次皮膜24を折り曲げても、それらの剥離やクラックの発生を防止する。
また、前記亜酸化物または酸化物は絶縁性を有するから、塗膜を薄厚にしても亜酸化物または酸化物を介してワーク3に通電することがなく、それらに電位差腐食を生ずることがないから耐食性が向上する。
更に、一次皮膜23は多孔質で柔軟であるから、塗膜の微粒子が容易に進入して食い込み、かつその離脱を阻止し、塗膜を確実に植設してアンカー部材の機能を果たし、塗膜を確実かつ強固に形成し、これに他の塗膜の連結を促して合理的に塗膜を形成する。
【0062】
しかも、前述のように塗膜が塗粒ないし結晶毎に独立して高密度に配置されているから、一部の塗粒ないし結晶に応力が作用しても他の塗粒ないし結晶に影響を及ぼすことがなく、図7および図8のように塗膜形成後にワーク3を折り曲げても、その応力が分散され、また塗膜表面を傷付けても塗膜が剥離したりクラックを生じたりしない。
それゆえ、塗膜形成後のワーク3は加工性が良く種々の加工に応じられ、塗膜の表面を碁盤目状に切り込み、そのクロスカット片の剥離の有無を試験しても剥離がなく、塗膜の高密着性が確認された。
【0063】
これに対し、従来の塗膜24の形成状況の概要は図9のようで、塗膜24の塗粒ないし結晶がバラバラに配置されて密度も低く、しかもピンホール等による電位差腐食を防ぐために、ワーク3にプライマー26を塗布し、このプライマー26に塗膜24を幾重にも塗布し、例えば50~100μmのように非常に厚い塗膜の形成を要する。
【0064】
したがって、塗料の使用量が増大し塗装に手間が掛かって作業コストが高価になるとともに、前述のように塗膜24の塗粒ないし結晶に独立性がなくバラバラで低密度に配置されているから、一部の塗粒ないし結晶に応力が作用した場合、その影響が他の塗粒ないし結晶に波及し、塗膜形成後にワーク3を折り曲げたり塗膜表面を傷付けると、塗膜24が剥離したりクラックしたりして加工性が悪い。
【0065】
なお、前述の基本形態ではワーク3に前記一次皮膜23を析出する方法として、電気化学作用に基づく電気めっき法を採用しているが、この他の析出方法として、いわゆる無電解めっき法を採用し、その無電解浴槽の処理液2の成分組成を、金属イオン供給剤である硫酸ニッケルと、還元剤である次亜燐酸ナトリウムと、粉末状のセラミックス等の添加物を含ませれば、電気化学作用による設備に比べて簡単な設備で亜酸化物または酸化物、ないしセラミックス等の析出を促すことができる。
【0066】
また、前述の基本形態では前記二次皮膜24を塗膜に適用しているが、塗膜の代わりに機能性材料若しくはセラミックス、テフロン(登録商標)、フッ素を適用することも可能である。
このうち、機能性材料として、例えば高分子材料、二フッ化材料、四フッ化材料、フッ素化合物、二酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化マンガン、アルミナ、ベントナイト、ハイドロキシアバタイト、ゼオライト、タルク、コリナイト、ポーラスシリカ、金、白金、パラジウム、窒化ホウ素、窒化チタン、窒化アルミ、DLC、磁性材料、金属材料、炭素材料を使用し、これらを一次皮膜23の表面や界面、或いは内部に介在させ、一次および二次皮膜23,24の耐食性、吸着性、耐摩耗性、触媒性、熱伝導性、低摩擦性、抗菌性等の機能性向上に適用することも可能である。
【0067】
そこで、発明者は第1実施形態として、二次皮膜24であるセラミックス皮膜(以下、CB皮膜と云う)に対するCNTの含浸ないし被覆を考えた。
すなわち、CB皮膜は高分子材料である塗料のような高集積構造を実現するので、塗料の高分子材料に似た単層のSWNT型CNも前述のアンカー構造を期待でき、CB皮膜にCNT皮膜を形成させて他の機能性物質や塗料を一体化させ、従来にはないCNT含有皮膜の新規な表面処理方法を目指すこととした。
【0068】
図10および図11は本発の第1実施形態に係るCNT含有皮膜の新規な表面処理法を示す概念図で、ワーク3の表面の凹凸状部に一次皮膜23を形成し、この一次皮膜23の表面にCNT27を高密度に配置し、また一次皮膜23上に二次皮膜24として機能性材料である高分子材料の塗料を被覆している。
前記二次皮膜24の塗料はCNT27を5%含み、このCNT27は多層CNT(MWNT)からなり、その直径は10~15φnm、長さは約10μmで、これを一次皮膜23の表面の結晶28の間の凹凸部ないし多孔部に配置している。この状況は図12のようである。
【0069】
図13は一次皮膜23とCNT27との複合皮膜の断面図で、ワーク3の表面に一次皮膜23を約1~1.5μm形成し、この一次皮膜23の表面にCNT27を約1μm形成している。
図14はそのCNT27の分布状況を平面的に示す組織図で、CNT27が網状に複雑に配置され、その一部を拡大している。
【0070】
このようにワーク3の表面の凹凸状部に一次皮膜23が強固に食い込み、この一次皮膜23の表面にCNT27が高密度に配置され、この一次皮膜23上にCNT27を含む二次皮膜24である高分子材料の塗料が被覆され(図10、11)、かつ一次皮膜23の表面の結晶28の間の凹凸部ないし多孔部にCNT27が入り込んで、一次皮膜23とCNT27の複合皮膜が一体的に形成されている(図12~14)。
したがって、一次皮膜23とCNT27の親和性にほぼ問題はなく、一次皮膜23と二次皮膜24である高分子材料の塗料は、CNT27を介在して前述と同様な高集積構造を実現することが確認された。
【0071】
次に、発明者は第2実施形態として、前記機能性材料として塗料の代わりに炭素材料を選択し、この炭素材料に例えばCNTを使用して、二次皮膜24を炭素皮膜に適用することを考えた。
この場合は、先ず一次皮膜23と相性の良いCNTを選定する必要がある。そこで、単層CNT(SWNT)か多層CNT(MWNT)または二層の(DWNT)、更にナノカーボンの構造として、CNT、フラーレンまたはグラフェンを選定した。
【0072】
この第2実施形態では多層CNT(MWNT)を選定し、その形状寸は直径が10~15φnm、長さは約10μmで、95%以上の高純度CNTを使用し、このCNTに対する分散剤(NMP)として、気化点が低く乾燥が容易な溶媒であるジクロルベンゼンを使用し、CNTの束を効率良く分離させるようにしている。
その際、CNTと分散剤(NMP)との含有比率(希釈率ないし調整比率)を1:1、1:2、1:4に選定し、それらの中から最良の希釈率を選定し、CNTを効率良く分散するようにしている。
なお、前記分散剤の他に、イソプロピルアルコール、アセトン、エチルアルコールを使用することも可能である。
【0073】
そこで、発明者は分散剤(NMP)の希釈率による、一次皮膜23とCNTとの親和性の良否を試験した。そのため、CNT27と分散剤(NMP)を1:1、1:2、1:4に調整してCNT27の種々の分散溶媒を作製し、これに前述の要領でワーク3の両面に一次皮膜23を形成したサンプル片29を10秒間浸漬し、その引き上げ後、サンプル片29の中心部と末端部を約5mmの方形に切り取り(図15)、これをSEM(走査電子顕微鏡)試料台(図示略)上に固定して、場所によるCNTの分散状況と表面組織を確認した。
【0074】
その際、チャージング防止のためにオスミウムコーター(メイワフォーシス株式会社製Neoc-STB)を用いて約15Åのオスミウム膜をコーティングした後、加速電圧30kvの条件下で、SEM(日本電子株式会社 JSM-6510)を用いてCNTの分散状況と表面組織を確認した。
【0075】
このうち、図16はCNT27と分散剤(NMP)を1:1に調整してCNT27の分散溶媒を作製し、これにサンプル片29を10秒間浸漬して引き上げ、その中心部を方形に切り取り、そのサンプルAの表面のSEM観察像を、(a)は35,000倍、(b)は15,000倍、(c)は7,000倍、(d)は7,000倍にそれぞれ拡大している。
各観察像のスケールバーは全て1μmである。各観察像中、白色部はCNT27であり、このCNT27が一次皮膜23に一様に分散していることが視認された。
【0076】
図17はCNT27と分散剤(NMP)を1:2に調整してCNT27の分散溶媒を作製し、これにサンプル片29を10秒間浸漬して引き上げ、その中心部を方形に切り取り、そのサンプルBの表面のSEM観察像を、(a)は35,000倍、(b)は15,000倍、(c)は7,000倍、(d)は7,000倍にそれぞれ拡大している。
各観察像のスケールバーは全て1μmである。各観察像中、白色部はCNT27であり、このCNT27が一次皮膜23に一様に分散している。この場合、図17図16に比べ分散剤(NMP)が増量した分、CNT27がCNT27に良好に分散し、高密度に集積している。
【0077】
図18はCNT27と分散剤(NMP)を1:4に調整して、分散剤を増量したCNT27の分散溶媒を作製し、これにサンプル片29を10秒間浸漬して引き上げ、その中心部を方形に切り取り、そのサンプルCの表面のSEM観察像を、(a)は35,000倍、(b)は15,000倍、(c)は7,000倍、(d)は3,000倍にそれぞれ拡大している。
各観察像のスケールバーは全て1μmである。各観察像中、白色部はCNT27であり、このCNT27が一次皮膜23に一様に分散している。この場合、図18図16および図17に比べ分散剤(NMP)が増量した分、CNT27が分散剤に更に良好に分散し、高密度に集積していることが推測される。これらの結果から、分散剤(NMP)の増量によって、CNT27が分散剤に良好に分散し、より高密度に集積することが確認された
【0078】
図19はCNT27と分散剤(NMP)を1:1に調整してCNTの分散溶媒を作製し、これにサンプル片29を10秒間浸漬して引き上げ、その中心部を方形に切り取ったもので、そのサンプルAの表面のSEM観察像を、(a)は35,000倍、(b)は3,000倍に拡大している。
また、サンプル片29の末端部を方形に切り取ったサンプルDの表面のSEM観察像を、(a)は35,000倍、(b)は3,000倍に拡大している。
各観察像のスケールバーは全て1μmである。各観察像中、白色部はCNT27であり、このCNT27が一次皮膜23にほぼ一様に分散している。
前記中心部のSEM観察像は図16とほぼ同様であり、また中心部と末端部の切り取り位置におけるSEM観察像はそれぞれ同様で、切り取り位置による差異は認められなかった。
【0079】
実際のCNT27の分散作業は、前述の分散剤(NMP)に所定量のCNT27を混合した後、例えば超音波振動器(図示略)によって、40~60kHz程度の超音波振動を約1時間与え、CNT27の分散を促進させた。
そして、CNT27を含む分散溶媒を、図4のように塗装ブース(図示略)に備えた塗装ガン19の塗料タンク20に収容する。前記塗装ブースは内部の吸排気を精密に行なえ、CNT27を含む噴霧気の漏出と、作業時における作業員の吸い込みを防止し、健康被害を阻止するように設計している。
この状況の下で一次皮膜23を析出したワーク3を塗装ブースに搬入し、これを治具25を介して吊り下げ、トリガ22を操作してCNT27を含む分散溶媒を一次皮膜23に吹き付ける。
【0080】
このようにするとCNT27を含む分散溶媒が一次皮膜23上に付着し、一次皮膜23の凹凸部に木目細かく強固に食い込んで付着する。この後、CNT27を含む分散溶媒に温風を吹き付け、または自然乾燥して、前記分散溶媒による炭素皮膜30を形成する。
このように炭素皮膜30は、塗装ガン19による吹き付け作業によって容易かつ安価に形成でき、その表面はCNT27によって薄黒色を呈し、かつ一次皮膜23の凹凸部に沿って凹凸状に形成される。したがって、ワーク3は炭素の特性を有する炭素皮膜30によって、卓越した電導性と熱電導性、耐熱性、強い強度としなやかさを奏する。
【0081】
一方、CNT27を含む分散溶媒の乾燥後、前記炭素皮膜30の表面にCNT27を含む分散溶媒を吹き付け、これを乾燥させて新たに炭素皮膜30aを形成し、更にこの炭素皮膜30aの表面にCNT27を含む分散溶媒を吹き付け、これを乾燥させて新たに炭素皮膜30bを形成することも可能である。
この場合、炭素皮膜30,30a,30bの表面は前述のように凹凸状に形成され、この凹凸部にCNT27を含む分散溶媒が木目細かく強固に食い込んで付着し、複数の炭素皮膜30,30a,30bが層状に形成されて剥離を阻止する。この状況は図20のようで、ワーク3は複数の炭素皮膜30,30a,30bによって炭素の特性による卓越した電導性と熱電導性、耐熱性、強い強度としなやかさを奏する。
【0082】
また、一次皮膜23の多孔質構造によって、図21のように表面の多数の凹凸部ないし孔部が一種の箸立て状に機能し、この相対する凸部23aの間ないし凹部に二次皮膜である炭素皮膜30が収束して植設されるから、炭素皮膜30の植設密度が前記凸部23aの間ないし凹部によって制御可能になり、前記凸部23aの間ないし凹部に炭素皮膜30が高密度に分布して強固に密着する。
前記炭素皮膜30は一次皮膜23の表層部に結果的に含浸層を形成し、一次皮膜23と一体化するから、炭素皮膜30,30a,30bの剥離を防止するとともに、多層構造の炭素皮膜30,30a,30bを確実かつ強固に密着する。しかも、複数の炭素皮膜30,30a,30bは、突起部23aおよびその間に食い込んで集積するから、強固に密着し剥離を阻止する。
【0083】
このように、第2実施形態ではワーク3の表面を一次皮膜23で含浸し、一次皮膜23を炭素皮膜30で含浸して、それらの一体化を促し、それらが確実かつ強固に密着するから、一次皮膜23と炭素皮膜30,30a,30bを折り曲げても、それらの剥離やクラックの発生を防止する。
しかも、ワーク3の表面は一次皮膜23に被覆され、一次皮膜23は複数層の炭素皮膜30,30a,30bによって緻密かつ強固に被覆されているから、炭素の特性によって卓越した電導性と熱電導性、耐熱性、強い強度としなやかさを奏する。
また、一次皮膜23は多孔質で柔軟であるから、炭素皮膜30が容易に進入して食い込み、かつその離脱を阻止して炭素皮膜30を確実に植設し、アンカー部材の機能を果たす。
それゆえ、炭素皮膜30を確実かつ強固に形成し、これに他の炭素皮膜30や必要に応じて塗膜や機能性材料の連結を促す。
【0084】
更に、前述のように炭素皮膜30が一次皮膜23の凹凸部に独立して高密度に配置されているから、一部の炭素皮膜30,30a,30bに応力が作用しても他の炭素皮膜30,30a,30bに影響を及ぼすことがなく、図22のように複数の炭素皮膜28の形成後にワーク3を折り曲げても、その応力が分散され、また炭素皮膜28を傷付けても剥離したりクラックを生じたりしない。
それゆえ、炭素皮膜30,30a,30bの形成後のワーク3は加工性が良く種々の加工に応じられ、炭素皮膜30,30a,30bの表面を碁盤目状に切り込み、そのクロスカット片の剥離の有無を試験しても剥離がなく、炭素皮膜30,30a,30bの高密度性と高集積性が確認された。
【0085】
それゆえに、この卓越した特性を利用して、航空機の塗装、下地処理、その薄膜軽量化を図れ、また機内のギャレー、ラバトリーの高機能化、高品位化、曇り止め効果を図れ、更に航空機用の熱交換機器の強度、熱伝導性、熱放出性、耐久性の向上を図れる。
また、自動車と産業機器関連では、ブレーキキャリパーの耐熱性を向上した塗料や、排気マフラーのカッターによるチッピング阻止、真空ポンプの回転ブレードの熱放散性改善を図れ、医療関連では高機能医療メス、高機能部品への応用を図れ、船舶産業においては船底、船体の塗装による付着物の低減による燃費改善を図れる。
【0086】
次に、発明者は第3実施形態として、炭素皮膜30の被覆を前述のCNT27を含む分散溶媒の吹き付けないし塗布の代わりに、デッピング(浸漬)による方法を考案した。
この方法は図23のようで、浴槽31の内部に所定量のCNT27と、分散剤(NMP)とを所定比率に混合して作成した分散溶媒32を収容し、この分散溶媒32に前述の要領で表面に一次皮膜23を形成したワーク3を、治具25を介し上下動させて浸漬し、一次皮膜23の表面に分散溶媒30を付着ないし吸着し、所定時間経過後にワーク3を浴槽31から引き上げ、一次皮膜23の表面に約80~95℃の温風を吹き付けて乾燥し、この後、ディッピングと乾燥を繰り返して一次皮膜23の表面にCNT27を含む炭素皮膜30,30a,30bを複数層コーティングする。
【0087】
このように第3実施形態は、多孔質の一次皮膜23の表面に炭素皮膜30をコーティングするから、従来のように平滑なワークの表面に炭素皮膜をコーティングする場合に比べて、炭素皮膜30を強固かつ緻密に形成でき、炭素の特性に基く卓越した電導性と熱電導性、耐熱性、強い強度としなやかさを一様に得られる。
【0088】
更に、発明者は第4実施形態として、アルミニウムおよびその合金のワーク3を陽極に接続し、鉛板等の陰極材料を陰極に接続して、これらを硫酸、蓚酸等の電解液に浸漬して電圧を印加し、ワーク3の表面に多孔質の酸化皮膜を形成する公知の陽極酸化法において、水分を含む多孔質で極めて硬いバルク層33と、緻密で活性な不定形アルミナのバリヤ層34と、からなる酸化皮膜35に形成した無数(数億~十数億/mm2)の微細な孔36(直径100~300Å)に着目した。
【0089】
そして、前記孔36を利用した従来の着色法または封孔処理の後に、または前記着色法および封孔処理に代わって、陽極酸化皮膜35を形成したワーク3を浴槽31の内部に収容した分散溶媒32に浸漬(デッピング)し、微細な孔36の内部と表面に分散溶媒32を付着ないし吸着させ、所定時間経過後にワーク3を浴槽31から引き上げ、例えば温風を吹き付けて乾燥する。この場合、炭素皮膜30は黒色であるから、炭素皮膜30を孔36に浸入するとともに表面に付着させることによって、ワーク3を黒色に着色することができる。
したがって、従来のような大掛かりで高価な設備を要することなく、簡単かつ安価な設備で簡便に封孔処理と着色処理を実現し得る利点がある。
この後、ディッピングと乾燥を繰り返して、微細な孔36内と表面にCNT27を含む炭素皮膜30,30a,30bを複数層コーティングし、それらに炭素の卓越した電導性と熱電導性、耐熱性、強い強度としなやかさを形成し得る。
【0090】
こうして得られた酸化皮膜35は黒色を呈し、または従来の着色に代わって、若しくは従来の着色に重複して新規な色の外観を呈し、孔36の内部と表面に形成した炭素皮膜30によって、従来の封孔効果と同様な効果と耐食性を得られる。
しかも、微細な孔36内と表面は、コーティングしたCNT27を含む炭素皮膜30によって、炭素の特性に基く卓越した電導性と熱電導性、耐熱性、強い強度としなやかさを奏するから、従来の陽極酸化法に比べ優れた機械的性質と電気的性質を備え、種々の分野における利用を期待できる。
【0091】
なお、前述した基本形態と各実施形態に使用した電気めっきおよび関連処理用語は、JIS H0400による。また、めっきの厚さ試験方法はJIS H8501、めっきの密着性試験方法はJIS H8504、アルミニウムおよびアルミニウム合金の陽極酸化皮膜厚さ試験方法-第1部:顕微鏡断面測定法は、JIS H8680-1、塗料用語はJIS K5500、塗料一般試験方法-第5部:塗膜の機械的性質-第1節:耐屈曲性(円筒形マンドレル法)は、JIS K5600-5-1、塗料一般試験方法-第5部:塗膜の機械的性質-第6節:付着性(クロスカット法)は、JIS K5600-5-6、セロハン粘着テープは、JIS Z1522、傾向ランプ・LEDの光源色および演色性による区分は、JIS Z9112による。
【0092】
また、素材(ワーク)は、被膜処理を施す前の鉄、鋼または非鉄金属をいう。
酸化セラミックス薄膜および複合皮膜は、素材(ワーク)にめっきを施した後、薄膜の高機能材料による塗装を施すことによって、めっきの性能に塗膜の性能を付加して、密着性、耐久性、装飾性などの品質を更に向上させた皮膜をいう。
この場合、平均膜厚さ0.1μm~10μmの一次皮膜めっきの上に、塗膜の高分子鎖を制御して高密度な二次皮膜塗装を施すことによって、着色した複合皮膜の場合で、15μm~20μmの薄膜化も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、表面に多孔質皮膜を形成したワークに、カーボンナノチューブ等の炭素素材を高密度かつ高集積して被覆し、炭素の特性による卓越した電導性と熱電導性、耐熱性、強い強度としなやかさを有するとともに、ワークにCNT等の炭素を容易かつ安価に被覆して高密度かつ高集積する、ワークの炭素皮膜被覆構造に好適である。
【符号の説明】
【0094】
3 ワーク
23 一次皮膜
23a 凸部
24 二次皮膜
27 CNT(カーボンナノチューブ)
30,30a,30b 炭素皮膜
32 分散溶媒
35 酸化皮膜
36 孔
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