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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-03
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】電子部品の導光構造
(51)【国際特許分類】
   H01H 19/02 20060101AFI20220204BHJP
   H01H 9/18 20060101ALI20220204BHJP
【FI】
H01H19/02 H
H01H9/18 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021051132
(22)【出願日】2021-03-25
(62)【分割の表示】P 2017149197の分割
【原出願日】2017-08-01
(65)【公開番号】P2021097054
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】P 2016154585
(32)【優先日】2016-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000215833
【氏名又は名称】帝国通信工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094226
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100087066
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 隆
(72)【発明者】
【氏名】塚原 吉晴
(72)【発明者】
【氏名】桑原 敏
(72)【発明者】
【氏名】林 直紀
【審査官】北岡 信恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-106514(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0012721(US,A1)
【文献】特開2013-182885(JP,A)
【文献】特開2016-091806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 19/00-21/88
H01H 9/16- 9/18
H01H 13/00-13/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面が操作部となっており且つその一方の面から突出する軸部を中心に円運動または円弧運動または揺動運動する操作つまみを、回路基板の一方の面側に設置し、
一方前記回路基板の他方の面側に、発光素子と、当該発光素子から発射された光を導入して所望の位置に設けた光出射面から出射させる導光体とを設置した電子部品の導光構造であって、
前記操作つまみには、前記操作部を外周面とする導光本体部と、当該導光本体部から前記軸部側に突出する導光軸部とを具備するつまみ用導光部を設け、
前記回路基板の所定位置に貫通する挿通部を設け、
前記操作つまみのつまみ用導光部の導光軸部先端に設けた光入射面と、前記導光体の光出射面とを、前記回路基板の挿通部を介して互いに対向するように設置し、
前記発光素子から発射された光を前記導光体の内部に導入して当該導光体の光出射面から出射させ、さらに前記つまみ用導光部の光入射面から入射させて操作部に導く
ことを特徴とする電子部品の導光構造。
【請求項2】
請求項1に記載の電子部品の導光構造であって、
前記導光体の光出射面と、前記つまみ用導光部の光入射面との間には、接触防止用の隙間が形成されていることを特徴とする電子部品の導光構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電子部品の導光構造であって、
前記操作つまみと回路基板と導光体とを収納するケースを具備し、当該ケースに設けた開口から前記操作つまみの操作部の一部を露出し、
前記導光体には、前記つまみ用導光部の光入射面に向けて光を出射する光出射面の他に、前記ケースに設けた照光部の裏面に向けて光を出射する光出射面を設けたことを特徴とする電子部品の導光構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作つまみを有する電子部品の導光構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、回転式電子部品の中には、例えば特許文献1に示すように、回転式電子部品(1)の回転つまみ(180)の外周部分の一部を外装用ケース(300)に設けた回転つまみ露出部(303)から外部に露出し、回転つまみ(180)の前記回転つまみ露出部(303)から露出した部分を指等で回転操作することで、内部の電気的機能部(摺接パターン65,摺動子110)を駆動し、その検出出力を変化させる構造のものがあった。
【0003】
一方、回路基板(60)上に設置した発光素子(70)から発射された光は、導光板(40)の内部に導入されて光乱反射部(43)に導かれ、光乱反射部(43)の前面から放射されて回転つまみ(180)のつまみ操作部(183)の背面側からこのつまみ操作部(183)を照らし出し、塗装されているつまみ操作部(183)表面の抜き文字等の部分を明るく表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-9937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、回転つまみを有する電子部品の中には、その構造上、回転つまみのつまみ操作部の背面側に導光板を設置することが困難な場合があった。例えば、特許文献1に示す回転式電子部品(1)の場合、回転つまみ(180)のつまみ操作部(183)の背面側に導光板(40)の光乱反射部(43)を設置しているが、このため、回転つまみ(180)のつまみ操作部(183)と外装用ケース(300)の回転つまみ露出部(303)の間の隙間から液体が浸入した場合、浸入した液体は、直接導光板(40)を伝って、発光素子(70)を設置した回路基板(60)表面に付着してしまう虞がある。これを防止するために、防滴構造を設置しようとすると、回転つまみ(180)のつまみ操作部(183)の背面側付近の構造が複雑化し、つまみ操作部(183)の背面側付近のスペースに導光板(40)の光乱反射部(43)を設置することが困難になる。
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、発光素子から発射される光を導入する導光体によって直接操作つまみの操作部を照明しなくても、操作つまみの操作部を容易かつ確実に照光することができる電子部品の導光構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、外周面が操作部となっており且つその一方の面から突出する軸部を中心に円運動または円弧運動または揺動運動する操作つまみを、回路基板の一方の面側に設置し、一方前記回路基板の他方の面側に、発光素子と、当該発光素子から発射された光を導入して所望の位置に設けた光出射面から出射させる導光体とを設置した電子部品の導光構造であって、前記操作つまみには、前記操作部を外周面とする導光本体部と、当該導光本体部から前記軸部側に突出する導光軸部とを具備するつまみ用導光部を設け、前記回路基板の所定位置に貫通する挿通部を設け、前記操作つまみのつまみ用導光部の導光軸部先端に設けた光入射面と、前記導光体の光出射面とを、前記回路基板の挿通部を介して互いに対向するように設置し、前記発光素子から発射された光を前記導光体の内部に導入して当該導光体の光出射面から出射させ、さらに前記つまみ用導光部の光入射面から入射させて操作部に導くことを特徴としている。
本発明によれば、発光素子から導光体に導入された光を、操作つまみに設けたつまみ用導光部を通して、操作つまみの操作部に導くので、操作つまみの操作部を容易かつ確実に明るく照明することができる。また例えば防滴等の関係で、構造上、導光体によって直接操作つまみの操作部を照明できない場合であっても、前記操作部を照明することが可能になる。
【0007】
また本発明によれば、回路基板の一方の面側に例えば検出手段等の回路を、もう一方の面側に発光素子等の回路を配置できる。つまり、回路基板の両面を有効に利用できる。また回路基板の発光素子を設置した面側に導光体を、他方の面側に操作つまみを設置するので、導光体と操作つまみの両者が相互に干渉せず、両者の設計の自由度を高くすることができる。
【0008】
また本発明によれば、回路基板の一方の側にある導光体内の光を、もう一方の側にある操作つまみのつまみ用導光部に、容易且つ確実に導入することができる。
【0009】
また本発明は、前記導光体の光出射面と、前記つまみ用導光部の光入射面との間に、接触防止用の隙間を形成したことを特徴としている。
これによって、導光体の光出射面と、円運動等するつまみ用導光部の光入射面とが接触して摺動・摩耗して生じる摩耗粉(カス)等によって光が乱反射し、つまみ用導光部内に確実に光を導入できなくなることを防止することができる。
【0010】
また本発明は、前記操作つまみと回路基板と導光体とを収納するケースを具備し、当該ケースに設けた開口から前記操作つまみの操作部の一部を露出し、前記導光体には、前記つまみ用導光部の光入射面に向けて光を出射する光出射面の他に、前記ケースに設けた照光部の裏面に向けて光を出射する光出射面を設けたことを特徴としている。
これによって、1つの導光体に、操作つまみの操作部とケースの照光部の2箇所を照光する機能を持たせることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、発光素子から発射される光を導入する導光体によって直接操作つまみの操作部を照明しなくても、操作つまみの操作部を容易かつ確実に照光することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】電子部品1の斜視図である。
図2】電子部品1の概略断面図(図1のA-A概略断面図)である。
図3】本体ユニット10と第4ケース300と防滴部材250の分解斜視図である。
図4】本体ユニット10の分解斜視図である。
図5】本体ユニット10を別の角度から見た分解斜視図である。
図6】第4ケース300を後側の下側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の1実施形態を用いて構成された電子部品(以下「回転式電子部品」という)1の斜視図、図2は回転式電子部品1の概略断面図(図1のA-A概略断面図)、図3は回転式電子部品1を構成する本体ユニット10と第4ケース300と防滴部材(以下「パッキン」という)250とを分解して示す斜視図、図4は本体ユニット10の分解斜視図、図5は本体ユニット10を別の角度から見た分解斜視図である。これらの図に示すように回転式電子部品1は、各種部品を収納した本体ユニット10と、本体ユニット10の操作つまみ100を突出する側の面を覆う第4ケース300とを具備して構成されている。なお以下の説明において、「上」とは本体ユニット10から第4ケース300を見る方向をいい、「下」とはその反対方向をいうものとする。また「前」とは下記する第1ケース20から操作つまみ100側を見る方向をいい、「後」とは第1ケース20から下記する回路基板160側を見る方向をいうものとする。
【0014】
図2図5に示すように本体ユニット10は、第1ケース20と第2ケース70の間に、摺動子130を取り付けた操作つまみ100を収納し、また第1ケース20の反対面側に、端子ユニット140を収納し、その上から回路基板160と、導光体190と、第3ケース220とを設置して構成されている。また回転式電子部品1は、この本体ユニット10にパッキン250と第4ケース300とを装着して構成されている。
【0015】
第1ケース20は非透明材料からなる合成樹脂を略矩形箱型に成形した成形品であり、その上部中央に略円筒状の軸受部21を設け、この軸受部21の操作つまみ100を向く側に凹部からなる第1収納部23を、回路基板160を向く側に凹部からなる第2収納部25を設けて構成されている。第1ケース20の左右両側面の第1収納部23側の部分には、下記する第2ケース70の爪部79を係止する矩形状の貫通孔からなる一対の被係止部27が設けられている。また第1ケース20の左右両側面の第2収納部25側の部分には、下記する第3ケース220の爪部223を係止する矩形状の貫通孔からなる一対の被係止部29が形成されている。また第1ケース20の左右両側面の前記両被係止部27,29の間の位置には、下記する第4ケース300の被係止部309を係止する爪状の一対の係止部30が形成されている。軸受部21の下方には、後方に向かって開口する略矩形状の端子ユニット収納部31が形成されている。また前記軸受部21の上面の中央部分の円弧面部分と、その左右両側の第1収納部23側に突出する上辺部分はパッキン搭載面33(33a~33c)となっている。また下記する操作つまみ100のストッパ部129を当接してそれより上方向への移動を阻止する左右一対のストッパ係止部35(図4では一方のみ示す)が形成されている。また図示はしていないが、第1収納部23内の軸受部21を設けた面の下方(下記するクリック用ボール127に対向する位置)には、円弧状方向(クリック用ボール127の移動する円弧方向)に向かって凹凸するクリック係合部が形成されている。
【0016】
第2ケース70は、非透明材料からなる合成樹脂を一体成形して構成されており、略平板矩形状のケース本体部71と、ケース本体部71の上部中央から操作つまみ100側に向けて突出する円板状のつまみ支持部73とを具備して構成されている。つまみ支持部73の操作つまみ100側の面の外周部分は円筒状に突出しており、またその内側中央には、有底円筒状の突出部75が突出して設けられている。ケース本体部71の左右両側辺からは、操作つまみ100側に向けて一対の係止爪77が突出している。係止爪77は平板状であり、その先端近傍の両外側位置に爪部79を設けている(図4図5では一方のみ示す)。またケース本体部71の上辺は、下記するパッキン250を当接するパッキン搭載面81となっている。
【0017】
操作つまみ100は合成樹脂の成形品であり、透明材料と非透明材料からなる二色成形品である。操作つまみ100は略円板形状であり、その外周面が操作部101となっている。操作つまみ100の第2ケース70側を向く面には、円形の凹部103が設けられ、凹部103内には、2つの筒状の突出部105,107が同心円状に突設されている。両突出部105,107の間の円形の凹部は、前記第2ケース70の突出部75を挿入する挿入部109となっている。また突出部107中央の凹部の底面は、略円錐凹状の光反射面110となっている。操作つまみ100の第1ケース20側を向く面の中央からは、略円柱形状の軸部111が突出している。軸部111の上面は摺動子取付面113となっており、さらに摺動子取付面113の中央からは円錐台形状の導光用突起115が突出している。導光用突起115の先端面は光入射面117になっている。摺動子取付面113上には、小突起からなる摺動子取付突部119が形成されている。軸部111の周囲には、リング状の防滴用凹部121が形成されている。また操作つまみ100の第1ケース20側を向く面の外周部分には、有底円形の穴からなるクリック機構収納部123が形成されている。クリック機構収納部123には、コイルバネ125とクリック用ボール127とが収納される。またクリック機構収納部123を設けたその外周部分は、操作つまみ100の外周から外方に膨らんでおり、膨らんだ部分をストッパ部129としている。
【0018】
また上述のように、操作つまみ100は、2種類の樹脂A1,A2(図2参照)を一体成形することによって構成されている。一方の樹脂A1は透明な樹脂であり、もう一方の樹脂A2は不透明な樹脂である。透明な樹脂A1は、その全体がつまみ用導光部A1を構成し、この操作つまみ100の軸部111と操作部101の間を光学的につないでおり、操作部101の外周面と、導光用突起115の光入射面117間を光学的に結ぶように成形されている。光入射面117は円形の平面状に形成されている。つまみ用導光部A1は、略円板状の導光本体部A11と、導光本体部A11の中心から軸部111側に垂直に突出して軸部111の中心部分を構成する導光軸部A13とを具備している。導光本体部A11の導光軸部A13とは反対側の面の中央に、前記光反射面110が形成されている。また前記両突出部105,107も導光本体部A11の一部を構成している。一方、樹脂A2は、導光本体部A11の光反射面110側の面の操作部101の裏面側の部分と、導光本体部A11の軸部111側の面略全体の部分とに形成されており、軸部111の導光軸部A13を除く部分と、摺動子取付面113と、防滴用凹部121とを構成している。
【0019】
摺動子130は、弾性金属板製であって、基部131と、基部131の外周からアーチ状に突出してそれらの根元部分を折り返してなるアーム部133とを具備している。アーム部133の中央には、回路基板160側に向けて突出するように屈曲する接点部135が形成されている。また基部131には、小孔からなる取付孔137が形成されている。
【0020】
端子ユニット140は、6本の金属板製の端子141を、略矩形状の成形樹脂製の端子用ケース143と略四角柱状の端子保持ケース145にインサート成形して構成されている。各端子141の一端は端子用ケース143の後方の面から1列に6本突出しており、他端側は端子用ケース143の側面から突出して下方向に屈曲し、端子保持ケース145で固定された後にその先端が端子保持ケース145の下面から一列に6本突出している。
【0021】
回路基板160は、硬質で略矩形状の板からなる絶縁基板161の上部に、円形の貫通する挿通部163を設け、この挿通部163の周囲の前面側に、前記摺動子130の接点部135を摺接させる摺接パターン165を形成し、また絶縁基板161の下辺近傍に横一列に前記端子141の一端を挿入する6つの小孔からなる端子挿入孔167を形成し、さらに絶縁基板161の後面側の前記挿通部163の下部に発光素子169を取り付け、また所定位置に他の各種電子部品171を取り付けて構成されている。絶縁基板161上には、図示しない回路パターンが形成されており、前記摺接パターン165や発光素子169や各種電子部品171や前記端子挿入孔167に取り付けられる端子141間を電気的に接続する。摺接パターン165としては、スイッチパターンや抵抗体パターン等の種々のパターンが適用できる。
【0022】
導光体190は、透明な合成樹脂を、前面が解放された略矩形箱型に一体成形して構成されている。導光体190の前面側は凹状の基板収納部191となっており、その底面の上部から円柱状の光導出部193を突出している。基板収納部191は、前記回路基板160全体を収納して覆う形状に形成されている。光導出部193は前記回路基板160の挿通部163に挿入できる寸法に形成されており、その先端面は光出射面195となっている。光出射面195は円形の平面状に形成されており、前記光入射面117と同一の外径寸法に形成されている。また導光体190の上端面も光出射面197となっている。また、導光体190の後面側には、光出射面195方向に光を反射させる光反射面199と、光出射面197方向に光を反射させる光反射面201とが形成されている。
【0023】
第3ケース220は、非透明な合成樹脂を略平板矩形状に成形して構成されており、前記第1ケース20の後面を略覆う外形形状に形成されている。第3ケース220の左右両側辺からは、第1ケース側に向けて一対の係止爪221を突出している。係止爪221は平板状であり、その先端近傍の両外側位置に爪部223を設けている。
【0024】
図3に示すように、パッキン250は、エラストマー等の弾性体を、横断面円形で略矩形のリング状に形成し、前方側の辺と左右両側辺を直線状に、後方側の辺を上方向に円弧状に湾曲した形状として構成されている。
【0025】
図6は第4ケース300を後側の下側から見た斜視図である。同図及び図2図3等に示すように、第4ケース300は、合成樹脂の成形品であり、下面が解放された略矩形箱型に成形して構成されており、これによって第4ケース300の下面に本体ユニット10の上部の部分を覆って収納するケース本体収納部301を形成している。第4ケース300の上面(化粧面)303の前記操作つまみ100に対向する位置には、操作つまみ100の操作部101の一部を露出する開口305が形成され、また前記導光体190の光出射面197に対向する位置には、照光部307が形成されている。照光部307は、第4ケース300を構成する透明な成形樹脂の表面に塗布した不透光性の塗装を、所望の文字や記号等の形状にレーザー等によって切り欠くことで形成されているが、他の種々の方法によって形成しても良い。また第4ケース300の左右両側面には、それぞれ前記第1ケース20の係止部30を係止する矩形状の貫通孔からなる被係止部309が形成されている。第4ケース300の開口305の周囲の裏面側には、開口305を囲むように、パッキン搭載面311(311a~311d、但し311cは図示せず)が形成されている。パッキン搭載面311は、略矩形リング状(パッキン250と同様の形状)の面を形成するように構成されている。
【0026】
次に、回転式電子部品1を組み立てるには、まず、本体ユニット10を組み立てる。即ち予め、操作つまみ100の摺動子取付面113に摺動子130の基部131を載置し、その際、摺動子取付面113の摺動子取付突部119を摺動子130の取付孔137に挿入し、その先端を熱カシメして(又は圧入のみで)取り付けておく。また操作つまみ100の防滴用凹部121内に、防滴用のグリスGを充填しておく。一方、端子ユニット140の後方から突出する各端子141の先端を、回路基板160の各端子挿入孔167に挿入し、その反対側において回路基板上の図示しない回路パターンに半田h(図2参照)によって固定しておく。
【0027】
そして、第1ケース20の第1収納部23内に、前記摺動子130を取り付け且つコイルバネ125とクリック用ボール127をクリック機構収納部123に収納した操作つまみ100を収納し、その際、操作つまみ100の軸部111を、第1ケース20の軸受部21内に回動自在に挿入し、軸支する。このとき、操作つまみ100のグリスGを充填した防滴用凹部121内に、第1ケース20の軸受部21が挿入されることで、防滴処理部が形成される。次に、前記操作つまみ100の前方側の側面を覆うように、第2ケース70を取り付け、係止爪77の爪部79を第1ケース20の被係止部27に係止し、これによって操作つまみ100を挟んだ状態で第2ケース70を第1ケース20に取り付ける。このとき、第2ケース70のつまみ支持部73が操作つまみ100の前方側の側面を覆い、その突出部75が操作つまみ100の挿入部109に挿入される。
【0028】
次に、前記端子ユニット140を取り付けた回路基板160と導光体190とを、第1ケース20の第2収納部25内に収納し、さらにその上から第3ケース220を被せる。そして第3ケース220の各爪部223を、第1ケース20の各被係止部29に係止し、これによって図3に示すような本体ユニット10が完成する。
【0029】
このとき、第1ケース20と第2ケース70の間の上面には開口H1が形成され、第1ケース20と第3ケース220の間の上面には開口H2(図2参照)が形成される。そして開口H1内には、操作つまみ100の操作部101の一部が外部(上方)に突出するように露出する。また開口H2内には、導光体190の光出射面197が外部(上方)に突出するように露出する。また、図2に示すように、回路基板160の摺接パターン165には、摺動子130の接点部135が当接している。またこのとき、端子ユニット140は、端子ユニット収納部31内に収納されている。またこのとき、導光体190の外周辺は、第1ケース20の導光体190側を向く面に当接し、回路基板160を覆っている。また導光体190の光導出部193は、回路基板160の挿通部163に挿入され、その先端の光出射面195は操作つまみ100の光入射面117に接近して、薄い隙間a1を介して対向している。
【0030】
次に、図3に示すパッキン250を、第4ケース300のケース本体収納部301内に挿入し、第4ケース300のパッキン搭載面311(311a~311d)に当接・設置する。そして、このパッキン250を取り付けた第4ケース300を、本体ユニット10の上から被せるように取り付ける。即ち、第4ケース300のケース本体収納部301内に本体ユニット10の上部を収納し、その際、本体ユニット10の各係止部30を、第4ケース300の各被係止部309に係止し、これによって回転式電子部品1の組み立てを完了する。なお上記組立手順はその一例であり、他の各種異なる組立手順を用いて組み立てても良いことはいうまでもない。
【0031】
このとき、図1図2に示すように、操作つまみ100の操作部101の一部は、開口305から露出する。また第4ケース300の照光部307の下面(裏面)に対向する位置に、導光体190の光出射面197が配置される。またこのとき、パッキン250は、第4ケース300のパッキン搭載面311(311a~311d)と、前記本体ユニット10のパッキン搭載面33(33a~33c),81との間で挟持され、密閉される。
【0032】
以上のようにして組み立てられた回転式電子部品1において、操作つまみ100を回転すると、摺動子130の接点部135が回路基板160の摺接パターン165上を摺動し、これによって各端子141間の検出出力が変化する。なお、操作つまみ100は、これを回転した際、そのストッパ部129(図5参照)が、第1ケース20の第1収納部23内に設けた左右一対のストッパ係止部35(図4では一方のみ示す)に当接することで、約半回転以上回転しない。つまり操作つまみ100は円弧運動をする。
【0033】
そして発光素子169を発光すれば、その光は図2に一点鎖線で示すように、導光体190内に導入される。導光体190内に導入された光の一部は、光反射面201等で反射されることで前記光出射面197に向かい、その面から放出され、前記第4ケース300の照光部307をその裏面側から明るく照らし出す。一方、発光素子169から導光体190内に導入された光の一部は、光反射面199等で反射されることで、前記光出射面195に向かい、その面から放出され、操作つまみ100の光入射面117からつまみ用導光部A1内に導入される。つまみ用導光部A1内に導入された光は、導光軸部A13内を進み、光反射面110等で反射されることで、導光本体部A11内を進み、操作部101の外周面に導かれ、操作部101を明るく照らし出す。
【0034】
一方、この回転式電子部品1は、図示しない電子機器の操作パネルに装着され、その際、第4ケース300の上面303が化粧面として、操作パネルの外部に露出する。そしてこの操作パネルの外部に露出した上面303に液体が降りかかることがある。降りかかった液体は、第4ケース300の開口305からその内部に浸入する。浸入した液体は、第4ケース300の内側面と、第1,第2ケース20,70の外側面との間の隙間から浸入しようとするが、その浸入は、パッキン250によって防止される。一方、本体ユニット10の開口H1内へ浸入した液体の内の一部は、摺動子130側に浸入しようとするが、前記グリスGを充填した防滴処理部によって、その浸入は阻止される。以上の各点から、第4ケース300の開口305から内部に浸入しようとする液体を効果的に防滴することができる。
【0035】
以上説明したように、この回転式電子部品1は、回路基板160の一方の面側に、軸部111を中心に円運動(円弧運動や揺動運動を含む)する操作つまみ100を設置し、操作つまみ100と回路基板160の間に操作つまみ100の前記運動に応じて出力を変化する摺動子130及び摺接パターン165からなる検出手段を設け、操作つまみ100と回路基板160と検出手段とを第1~第4ケース20,70,220,300内に収納し、第4ケース300に設けた開口305から操作つまみ100の外周の操作部101の一部を露出し、回路基板160上に設置した発光素子169から発射された光を、回路基板160の発光素子169を設置した面側に配置した導光体190の内部に導入してこの導光体190の所望の位置に設けた光出射面195から出射させ、さらに操作つまみ100の軸部111と操作部101の間を光学的につなぐつまみ用導光部A1を設け、前記導光体190の光出射面195から出射した光を、つまみ用導光部A1の軸部111側に位置する光入射面117から入射して操作部101に導く構成となっている。これによって、発光素子169から導光体190に導入された光を、操作つまみ100に設けたつまみ用導光部A1を通して、操作つまみ100の操作部101に導くので、操作つまみ100の操作部101を容易かつ確実に明るく照明することができる。またこの例のように、防滴のためにパッキン250を設置する関係で、構造上、導光体190によって直接操作つまみ100の操作部101を照明できない場合であっても、操作部101を照明することが可能になる。
【0036】
また発光素子169と操作つまみ100を、回路基板160を挟んだ反対面側に設置しているので、回路基板160の一方の面側に検出手段等の回路を、もう一方の面側に発光素子169等の回路を配置できる。つまり、回路基板160の両面を有効に利用できる。また回路基板160の発光素子169を設置した面側に導光体190を、検出手段を設置した面側に操作つまみ100を設置するので、導光体190と操作つまみ100の両者が相互に干渉せず、両者の設計の自由度を高くすることができる。
【0037】
また回路基板160には、導光体190又はつまみ用導光部A1を挿入して光を通す挿通部163を設けたので、回路基板160の一方の側にある導光体190内の光を、もう一方の側にある操作つまみ100のつまみ用導光部A1内に、容易且つ確実に導入することができる。
【0038】
また導光体190の光出射面195と、つまみ用導光部A1の光入射面117との間に接触防止用の隙間a1を形成したので、光出射面195と、円運動等する光入射面117とが接触して摺動・摩耗して生じる摩耗粉(カス)等によって光が乱反射し、つまみ用導光部A1内に確実に光を導入できなくなることを防止することができる。
【0039】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、上記実施形態では、導光体の光出射面とつまみ用導光部の光入射面との間に接触防止用の隙間を形成したが、場合によっては両者を当接させてもよい。また導光体の光出射面とつまみ用導光部の光入射面は、何れも平面としたが、平面以外の形状であっても良い。また上記実施形態では、回路基板の挿通部に導光体の光出射面を形成した光導出部を挿入したが、その代わりに、つまみ用導光部の光入射面を形成した導光軸部の先端を挿入しても良い。また上記実施形態では、つまみ用導光部として中実な透明樹脂を用いたが、例えば内部に空間を設け、空間内を光が伝導するように構成してもよく、要は導光体の光出射面から出射した光がつまみ用導光部の光入射面から入射して操作部に導かれる構成であれば、どのような構成であっても良い。また上記実施形態では操作つまみの回動角度をストッパ機構によって規制したが(円弧運動)、360°回転可能(回転運動)に構成しても良く、また回転以外の揺動運動を行うように構成しても良い。また上記実施形態では、第4ケースの開口が真上方向を向くように設置したが、別の方向(例えば、斜め上方や水平方向や斜め下方等)を向くように設置しても良い。また発光素子の回路基板上での設置位置に種々の変更が可能であることは言うまでもない。また上記実施形態では、光反射面を円錐形状に形成したが、半球形状や多角錐形状等、他の種々の形状に形成しても良い。
【0040】
また、上記記載及び各図で示した実施形態は、その目的及び構成等に矛盾がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。また、上記記載及び各図の記載内容は、その一部であっても、それぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は上記記載及び各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0041】
1 回転式電子部品(電子部品)
20 第1ケース(ケース)
70 第2ケース(ケース)
100 操作つまみ
101 操作部
111 軸部
117 光入射面
130 摺動子(検出手段)
160 回路基板
163 挿通部
165 摺接パターン(検出手段)
169 発光素子
190 導光体
195 光出射面
220 第3ケース(ケース)
300 第4ケース(ケース)
305 開口
A1 つまみ用導光部
a1 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6