(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-03
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】磁場調整可能な磁性流体シール装置
(51)【国際特許分類】
F16J 15/43 20060101AFI20220204BHJP
F16J 15/53 20060101ALI20220204BHJP
F16J 15/447 20060101ALI20220204BHJP
【FI】
F16J15/43
F16J15/53
F16J15/447
(21)【出願番号】P 2021053981
(22)【出願日】2021-03-26
【審査請求日】2021-03-26
(31)【優先権主張番号】202110035433.0
(32)【優先日】2021-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598098331
【氏名又は名称】ツィンファ ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ドゥーツァィ・リー
(72)【発明者】
【氏名】ルイ・スン
(72)【発明者】
【氏名】チエン・リー
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108825790(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109357018(CN,A)
【文献】米国特許第05954342(US,A)
【文献】中国実用新案第207393960(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/40-15/453
F16J 15/46-15/53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁場調整可能な磁性流体シール装置であって、
内部にチャンバーを有する筐体と、
前記チャンバー内に回転可能に設けられる回転軸と、
前記回転軸の軸方向に間隔をあけて配置される複数のポールピースであって、前記ポールピースは前記回転軸の外側に嵌められ、前記ポールピースの内周面と前記回転軸の外周面とは、前記回転軸の径方向に間隔をあけてシール隙間を形成し、前記シール隙間内には磁性流体を有する複数のポールピースと、
隣接するポールピースの間に設けられる永久磁石コンポーネントであって、前記永久磁石コンポーネントは、前記回転軸の周方向に配置される複数の永久磁石を含み、前記永久磁石の数は調整可能である永久磁石コンポーネントと、を含む、
ことを特徴とする磁場調整可能な磁性流体シール装置。
【請求項2】
隣接する前記ポールピースは、第1のポールピースと第2のポールピースとを含み、前記第1のポールピースの前記第2のポールピースに対向する側壁に第1のリング状ボスが設けられ、前記第2のポールピースの対応する側壁に第2のリング状ボスが設けられ、前記第1のリング状ボスと前記第2のリング状ボスとが間隔をあけて対向して配置されることによって、前記ポールピースの外周面に開口するリング状溝が形成され、複数の前記永久磁石が前記リング状溝内に配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の磁場調整可能な磁性流体シール装置。
【請求項3】
前記筐体は、筒状ボディと、第1の端蓋と、第2の端蓋と、を含み、前記第1の端蓋は、前記回転軸の外側に嵌められ、かつ前記筐体の一端に位置し、前記第2の端蓋は、前記回転軸の外側に嵌められ、かつ前記筐体の他端に位置する、
ことを特徴とす
る請求項2に記載の磁場調整可能な磁性流体シール装置。
【請求項4】
前記筒状ボディは、前記第2の端蓋に着脱可能に接続され、前記第1の端蓋に延伸部が設けられ、前記延伸部と前記筒状ボディとが前記回転軸の軸方向に間隔をあけて配置されることによって、貫通孔が形成され、前記延伸部の内周面が前記第1のポールピースの外周面に接触し、前記筒状ボディの内周面が前記第2のポールピースの外周面に接触する、
ことを特徴とする請求項3に記載の磁場調整可能な磁性流体シール装置。
【請求項5】
前記永久磁石コンポーネントは、接続カバーと位置制限カバーとをさらに含み、前記接続カバーが前記筐体の外周面に設けられ、かつ前記延伸部と前記筒状ボディとに接続され、前記位置制限カバーが前記貫通孔内に位置し、かつ前記延伸部と前記筒状ボディとに接続される、
ことを特徴とする請求項4に記載の磁場調整可能な磁性流体シール装置。
【請求項6】
前記永久磁石コンポーネントはケースをさらに含み、前記ケース内にはチャンバーを有し、複数の前記永久磁石が前記ケースのチャンバー内に配列され、前記ケースが前記リング状溝内に位置する、
ことを特徴とする請求項2~5のいずれか一項に記載の磁場調整可能な磁性流体シール装置。
【請求項7】
前記ケースは、第1の側壁と、第2の側壁と、リング状底面と、を含み、前記第1の側壁と前記第2の側壁とが前記回転軸の軸方向に間隔をあけて配置され、前記リング状底面が前記第1の側壁と前記第2の側壁との間に位置し、前記第1の側壁及び前記第2の側壁にそれぞれ着脱可能に接続される、
ことを特徴とする請求項6に記載の磁場調整可能な磁性流体シール装置。
【請求項8】
前記リング状底面は、第1の部分と第2の部分とを含み、前記第1の部分と前記第2の部分とは弾性部材を介して接続され、前記弾性部材は、前記第1の部分と前記第2の部分とを互いに接近または離間させるように駆動可能である、
ことを特徴とする請求項7に記載の磁場調整可能な磁性流体シール装置。
【請求項9】
前記ケースは複数の仕切り板をさらに含み、複数の前記仕切り板が前記ケースを複数の仕切りケースに分割し、複数の前記永久磁石が前記仕切りケース内に配列され、複数の前記仕切りケースが前記回転軸
の周りに順次配列される、
ことを特徴とする請求項
7または8に記載の磁場調整可能な磁性流体シール装置。
【請求項10】
前記回転軸、前記ポールピース、前記第1の側壁及び前記第2の側壁のそれぞれは、磁性材料からなり、前記筐体、前記永久磁石コンポーネント及び前記リング状底面のそれぞれは、非磁性材料からなる、
ことを特徴とする請求項7~9のいずれか一項に記載の磁場調整可能な磁性流体シール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械工学シールの技術分野に関し、特に磁場調整可能な磁性流体シール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁性流体シールは、ますます広く応用されている新しい動的シール方式であり、そのシール隙間が小さく、一般にわずか0.1mm~0.3mmである。一般的には、磁性流体のシール隙間内の磁場強度が高いほど、磁性流体シールの耐圧能力が強くなる。現在、磁気源として強磁性の永久磁石を使用し、合理的な磁気回路を設計し、シール隙間内に高強さの磁場を発生させて、磁性流体シールの耐圧能力を確保していることが多い。場合によっては、装置の磁場の大きさに対する要求が異なるため、ポールピース-永久磁石-ポールピースが取り付けられた後にその取り外しや交換が困難であり、装置の磁場の大きさが調整できず、多くの問題が発生し、シール装置の使用に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、以下の事実及び問題点に対する発明者の発見及び認識に基づいてなされたものである。
磁場が強すぎるため、磁性流体を注入する際にすべてのシール隙間に磁性流体を満たすことが困難であるとともに、保管時に圧力を受ける必要もなく、この場合、高すぎる磁場強度は、磁性流体を沈下させ、磁性流体シールの寿命に影響を与える。磁性流体シール中の磁性流体を交換する必要がある場合、隙間中の磁性流体を回収し、新しい磁性流体を注入する必要があり、この場合強すぎる磁場の回収が困難であり、現在、磁性流体シールを全部取り外して洗浄するしかなく、大きな無駄が生じている。
【0004】
本発明は、関連技術における技術的課題の少なくとも1つをある程度解決することを目的とする。そのため、本発明の実施例は、磁場の大きさを調整できる磁場調整可能な磁性流体シール装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施例に係る磁場調整可能な磁性流体シール装置は、内部にはチャンバーを有する筐体と、前記チャンバー内に回転可能に設けられる回転軸と、前記回転軸の軸方向に間隔をあけて配置されるポールピースであって、前記ポールピースは、前記回転軸の外側に嵌められ、前記ポールピースの内周面と前記回転軸の外周面とは、前記回転軸の径方向に間隔をあけてシール隙間を形成し、前記シール隙間内には磁性流体を有するポールピースと、隣接するポールピースの間に設けられる永久磁石コンポーネントであって、前記永久磁石コンポーネントは、前記回転軸の周方向に配置される複数の永久磁石を含む永久磁石コンポーネントと、を含む。
【0006】
本発明の実施例に係る磁場調整可能な磁性流体シール装置は、複数の永久磁石を設けることにより、磁場の大きさを調整してシール装置の取り外し及び交換を行うことができ、構造が簡単で信頼性が高く、寿命が長いという利点がある。
【0007】
一部の実施例において、隣接する前記ポールピースは、第1のポールピースと第2のポールピースとを含み、前記第1のポールピースの前記第2のポールピースに対向する側壁に第1のリング状ボスが設けられ、前記第2のポールピースの対応する側壁に第2のリング状ボスが設けられ、前記第1のリング状ボスと前記第2のリング状ボスとが間隔に対向して配置されることによって、ポールピースの外周面に開口するリング状溝が形成され、複数の前記永久磁石が前記リング状溝内に配置される。
【0008】
一部の実施例において、前記筐体は、筒状ボディと、第1の端蓋と、第2の端蓋と、を含み、前記第1の端蓋は、前記回転軸の外側に嵌められ、かつ前記筐体の一端に位置し、前記第2の端蓋は、前記回転軸の外側に嵌められ、かつ前記筐体の他端に位置する。
【0009】
一部の実施例において、前記筒状ボディは、前記第2の端蓋に着脱可能に接続され、前記第1の端蓋に延伸部が設けられ、前記延伸部と前記筒状ボディとが前記回転軸の軸方向に間隔をあけて配置されることによって貫通孔が形成され、前記延伸部の内周面が前記第1のポールピースの外周面に接触し、前記筒状ボディの内周面が前記第2のポールピースの外周面に接触する。
【0010】
一部の実施例において、前記永久磁石コンポーネントは、接続カバーと位置制限カバーとをさらに含み、前記接続カバーが前記筐体の外周面に設けられ、かつ前記延伸部と前記筒状ボディとに接続され、前記位置制限カバーが前記貫通孔内に位置し、かつ前記延伸部と前記筒状ボディとに接続される。
【0011】
一部の実施例において、前記永久磁石コンポーネントはケースをさらに含み、前記ケース内にはチャンバーを有し、複数の前記永久磁石が前記ケースのチャンバー内に配列され、前記ケースが前記リング状溝内に位置する。
【0012】
一部の実施例において、前記ケースは、第1の側壁と、第2の側壁と、リング状底面と、を含み、前記第1の側壁と前記第2の側壁とが前記回転軸の軸方向に間隔をあけて配置され、前記リング状底面が前記第1の側壁と前記第2の側壁との間に位置し、かつ前記第1の側壁及び前記第2の側壁にそれぞれ着脱可能に接続される。
【0013】
一部の実施例において、前記リング状底面は、第1の部分と第2の部分とを含み、前記第1の部分と前記第2の部分とは弾性部材を介して接続され、前記弾性部材は、前記第1の部分と前記第2の部分とを互いに接近または離間させるように駆動可能である。
【0014】
一部の実施例において、前記ケースは複数の仕切り板をさらに含み、複数の前記仕切り板が前記ケースを複数の仕切りケースに分割し、複数の前記永久磁石が前記仕切りケース内に配列され、複数の前記仕切りケースが前記回転軸周りに順次配列される。
【0015】
一部の実施例において、前記回転軸、前記ポールピース、前記第1の側壁及び前記第2の側壁のそれぞれは、磁性材料からなり、前記筐体、前記永久磁石コンポーネント及び前記リング状底面のそれぞれは、非磁性材料からなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1の実施例に係る磁場調整可能な磁性流体シール装置の概略構造図である。
【
図2】
図1の実施例におけるA部分の断面図である。
【
図3】本発明の第2の実施例に係る磁場調整可能な磁性流体シール装置の永久磁石コンポーネントの概略構造図である。
【
図4】本発明の第3の実施例に係る磁場調整可能な磁性流体シール装置の永久磁石コンポーネントの概略構造図である。
【
図5】本発明の第4の実施例に係る磁場調整可能な磁性流体シール装置の永久磁石コンポーネントの概略構造図である。
【
図6】本発明の第5の実施例に係る磁場調整可能な磁性流体シール装置のA部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。前記実施例における例は、図面に示されている。以下、図面を参照して説明される実施例は、例示するものであり、本発明を説明するためのものであり、本発明を限定するものと理解してはならない。
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施例に係る磁場調整可能な磁性流体シール装置を説明する。
【0019】
本発明の実施例に係る磁場調整可能な磁性流体シール装置は、筐体1と、回転軸2と、複数のポールピース3と、永久磁石コンポーネント4と、を含み、筐体1の内部にはチャンバーを有し、回転軸2はチャンバー内に回転可能に設けられ、ポールピース3は回転軸2の軸方向に間隔をあけて配置され、ポールピース3は回転軸2の外側に嵌められ、ポールピース3の内周面と回転軸2の外周面とは、回転軸2の径方向に間隔をあけてシール隙間を形成し、シール隙間内には磁性流体を有し、永久磁石コンポーネント4は、隣接するポールピース3の間に設けられ、永久磁石コンポーネント4は、回転軸2の周方向に配置される複数の永久磁石41を含む。
【0020】
図1に示すように、筐体1の内部のチャンバーには回転可能な回転軸2が貫設され、軸スリーブの外面に複数のポールピース3が嵌められ、複数のポールピース3は、軸スリーブに左右に間隔をあけて配置され、ポールピース3の内周面と回転軸2の外周面とは、
図1の上下方向に間隔をあけてシール隙間を形成し、シール隙間内には磁性流体を有し、磁性流体がポールピース3に吸着され、回転軸2の外側に永久磁石コンポーネント4がさらに嵌められ、永久磁石コンポーネント4が隣接するポールピース3の間に位置し、永久磁石コンポーネント4は複数の永久磁石41からなり、複数の永久磁石41が回転軸2の外側に回転軸2の外周に沿って配列され、永久磁石41の数を変化させることにより、磁場の強さを変化させることができる。
【0021】
本発明の実施例に係る磁場調整可能な磁性流体シール装置は、複数の永久磁石41を設けることにより、磁場の大きさを調整してシール装置の取り外し及び交換を行うことができ、構造が簡単で信頼性が高く、寿命が長いという利点がある。
【0022】
一部の実施例において、隣接するポールピース3は、第1のポールピース31と第2のポールピース32とを含み、第1のポールピース31の第2のポールピース32に対向する側壁には第1のリング状ボス311が設けられ、第2のポールピース32の対応する側壁には第2のリング状ボス321が設けられ、第1のリング状ボス311と第2のリング状ボス321が間隔をあけて対向して配置されることによって、ポールピース3の外周面に開口するリング状溝33が形成され、複数の永久磁石41がリング状溝33内に配置される。
【0023】
図1に示すように、第1のポールピース31の右側壁の下方には第1のリング状ボス311が設けられ、第2のポールピース32の左側壁には第2のリング状ボス321が設けられ、第1のリング状ボス311と第2のリング状ボス321とが対向することによって、外側に開口するリング状溝33が形成され、複数の永久磁石41がリング状溝33内に配置され、これにより、ポールピース3の磁場配置を完成する。
【0024】
一部の実施例において、筐体1は、筒状ボディ11と、第1の端蓋12と、第2の端蓋13と、を含み、第1の端蓋12が回転軸2の外側に嵌められ、かつ筐体1の一端に位置し、第2の端蓋13が回転軸2の外側に嵌められ、かつ筐体1の他端に位置する。
【0025】
図1に示すように、筒状ボディ11の左端が第1の端蓋12に接続され、筒状ボディ11の右端が第2の端蓋13に接続され、第1の端蓋12と第2の端蓋13とは、筒状ボディ11内のチャンバーを閉鎖して、チャンバー内のポールピース3及び永久磁石コンポーネント4を固定することにより、磁場調整可能な磁性流体シール装置のシール効果がより優れる。
【0026】
一部の実施例において、筒状ボディ11と第2の端蓋13とは着脱可能に接続され、第1の端蓋12に延伸部121が設けられ、延伸部121と筒状ボディ11とが回転軸2の軸方向に間隔をあけて配置されることによって、貫通孔111が形成され、延伸部121の内周面が第1のポールピース31の外周面に接触し、筒状ボディ11の内周面が第2のポールピース32の外周面に接触する。
【0027】
図1に示すように、第1のポールピース31の外周面が第1の端蓋12の延伸部121の内周面に接触し、第2のポールピース32の外周面が筒状ボディ11の内周面に接触し、延伸部121の右端と筒状ボディ11の左端とが左右に間隔をあけて対向することによって、回転軸2の外周面に貫通孔111が形成され、貫通孔111とリング状溝33との左右方向における幅は同じであり、リング状溝33に配置された永久磁石41は、貫通孔111内から取り外し可能であり、磁場の大きさを調整することができる。
【0028】
一部の実施例において、永久磁石コンポーネント4は、接続カバー42と位置制限カバー43とをさらに含み、接続カバー42が筐体1の外周面に設けられ、かつ延伸部121及び筒状ボディ11に接続され、位置制限カバー43が貫通孔111内に位置し、かつ延伸部121及び筒状ボディ11に接続される。
【0029】
図1に示すように、接続カバー42が貫通孔111の外側に設けられ、接続カバー42の左端が延伸部121に接続され、接続カバー42の右端が筒状ボディ11に接続され、接続カバー42は、延伸部121と筒状ボディ11とを接続し、位置制限カバー43が貫通孔111内に設けられるとともに、延伸部121及び筒状ボディ11に接続され、永久磁石41をリング状溝33内に制限し、永久磁石41の位置変化による磁場への影響を防止するためのものである。
【0030】
別の実施例において、永久磁石コンポーネント4は、ケース44をさらに含み、ケース44内にはチャンバーを有し、複数の永久磁石41がケース44のチャンバー内に配列され、ケース44がリング状溝33内に位置する。
【0031】
図3に示すように、リング状溝33内にケース44が設けられ、ケース44が上方に開口し、永久磁石41がケース44の内部に配列され、これにより、永久磁石41が不規則に配列され脱落されてシール隙間内の磁性流体に影響を与えることを防止する。
【0032】
別の実施例において、ケース44は、第1の側壁441と、第2の側壁442と、リング状底面443と、を含み、第1の側壁441と第2の側壁442とは、回転軸2の軸方向に間隔をあけて配置され、リング状底面443が第1の側壁441と第2の側壁442との間に位置し、かつ第1の側壁441及び第2の側壁442にそれぞれ着脱可能に接続される。
【0033】
図4に示すように、ケース44の左側は第1の側壁441であり、ケース44の右側は第2の側壁442であり、ケース44の底面はリング状底面443であり、第1の側壁441及び第2の側壁442は、リング状底面443の左右両端にボルトによって着脱可能に接続され、これにより、ケース44の着脱及び交換が容易である。
【0034】
別の実施例において、リング状底面443は、第1の部分4431と第2の部分4432とを含み、第1の部分4431と第2の部分4432とは、弾性部材4433を介して接続され、弾性部材4433は、第1の部分4431と第2の部分4432とを互いに接近または離間させるように駆動することができる。
【0035】
図5に示すように、弾性部材4433の調節により、リング状底面443の左右方向における長さを変化させることができるため、異なる仕様の永久磁石41を使用することができ、磁場調整可能な磁性流体シール装置の使用範囲を拡大するとともに、永久磁石41をより密着させ、磁気漏れの発生を低減することができる。
【0036】
別の実施例において、ケース44は、複数の仕切り板をさらに含み、複数の仕切り板45がケース44を複数の仕切りケースに分割し、複数の永久磁石41が仕切りケース内に配列され、複数の仕切りケースが回転軸2周りに順次配列される。
【0037】
図6に示すように、仕切り板45を設けて、リング状ケース44を複数の扇形の仕切りケースに分割することにより、永久磁石41の交換がより便利になり、交換効率が大幅に向上する。
【0038】
一部の実施例において、回転軸2、ポールピース3、第1の側壁441及び第2の側壁442のそれぞれは、磁性材料からなり、筐体1、永久磁石コンポーネント4及びリング状底面443のそれぞれは、非磁性材料からなる。回転軸2、ポールピース3、第1の側壁441及び第2の側壁442は、良好な磁気伝導性能を有する必要があるため、磁性材料を用いて作られ、筐体1、永久磁石コンポーネント4及びリング状底面443は、永久磁石41の磁場に影響を与えやすいため、非磁性材料を用いて作られ、シール効果に影響を与えることを防止する。
【0039】
本発明の説明において、なお、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などの用語が示す方位又は位置関係は、図面に示された方位又は位置関係に基づくものであり、本発明を便利に又は簡潔に説明するためのものであり、指定された装置又は部品が必ず特定の方位にあり、特定の方位に構造され操作されると指示又は暗示するものではないので、本発明を限定するものと理解してはいけない。
【0040】
また、「第1の」、「第2の」の用語は目的を説明するためだけに用いられるものであり、比較的な重要性を指示又は暗示するか、或いは示された技術的特徴の数を黙示的に指示すると理解してはいけない。そこで、「第1の」、「第2の」が限定されている特徴は1つ又はより多くの前記特徴を含むことを明示又は暗示するものである。本発明の説明において、明確且つ具体的な限定がない限り、「複数」とは、2つまたは3つなど、2つ以上のことを意味する。
【0041】
本発明において、特に明示的な規定および限定がない限り、用語「取り付け」、「連なる」、「接続」、「固定」などの用語は広義の理解を意味するものとし、例えば、固定接続であってもよいし、着脱可能な接続であってもよいし、一体になっていてもよく、機械的な接続であってもよいし、電気的な接続であってもよいし、互いに通信可能であってもよく、直接接続されていてもよいし、中間媒体を介して間接的に接続されていてもよく、特に明示的に限定されない限り、2つの要素の内部の連通または2つの要素の相互作用関係であってもよい。当業者にとっては、上記用語の本発明における具体的な意味は具体的な状況に基づいて理解できる。
【0042】
本発明において、特に明示的な規定および限定がない限り、第1の特徴が第2の特徴の「上」または「下」にあることは、第1と第2の特徴が直接接触していてもよいし、第1と第2の特徴が中間媒体を介して間接的に接触していてもよい。また、第1の特徴が第2の特徴の「上」、「上方」および「上面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真上または斜め上にあってもよいし、第1の特徴の水平高さが第2の特徴よりも高いことのみを示していてもよい。第1の特徴が第2の特徴の「下」、「下方」および「下面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の直下または斜め下にあってもよいし、第1の特徴の水平高さが第2の特徴より小さいことのみを示していてもよい。
【0043】
本発明において、「一実施例」、「一部の実施例」、「例」、「具体的な例」、或いは「一部の例」などの用語とは、当該実施例或いは例に合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料或いは特性が、本発明の少なくとも1つの実施例或いは例に含まれることである。本明細書において、上記用語に対する例的な説明は、必ずしも同じ実施例或いは例を示すものではない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料或いは特性は、いずれか1つ或いは複数の実施例又は例において適切に結合することができる。さらに、互いに矛盾しない限り、当業者は本明細書で説明する異なる実施例または例ならびに異なる実施形態または例の特徴を結合し、組み合わせることができる。
【0044】
以上に本発明の実施例を示して説明したが、上記実施例は例示するものであり、本発明を限定するものではなく、当業者は、本発明の範囲内で上記実施例に対して変化、修正、置き換え及び変形を行うことができることを理解されたい。
【符号の説明】
【0045】
1 筐体
11 筒状ボディ
111 貫通孔
12 第1の端蓋
121 延伸部
13 第2の端蓋
2 回転軸
3 ポールピース
31 第1のポールピース
311 第1のリング状ボス
32 第2のポールピース
321 第2のリング状ボス
33 リング状溝
4 永久磁石コンポーネント
41 永久磁石
42 接続カバー
43 位置制限カバー
44 ケース
441 第1の側壁
442 第2の側壁
443 リング状底面
4431 第1の部分
4432 第2の部分
4433 弾性部材
45 仕切り板
【要約】
【課題】磁場の大きさを調整できる磁場調整可能な磁性流体シール装置を提案する。
【解決手段】本発明は、磁場調整可能な磁性流体シール装置を開示し、前記磁場調整可能な磁性流体シール装置は、筐体と、回転軸と、複数のポールピースと、永久磁石コンポーネントと、を含み、前記筐体の内部にはチャンバーを有し、前記回転軸は前記チャンバー内に回転可能に設けられ、前記ポールピースは前記回転軸の軸方向に間隔をあけて配置され、前記ポールピースは前記回転軸の外側に嵌められ、前記ポールピースの内周面と前記回転軸の外周面とは、前記回転軸の径方向に間隔をあけてシール隙間を形成し、前記シール隙間内には磁性流体を有し、前記永久磁石コンポーネントは隣接するポールピースの間に設けられ、前記永久磁石コンポーネントは、前記回転軸の周方向に配置される複数の永久磁石を含む。
【選択図】
図1