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特許7018719組み立てタスクのシーケンスを定義することによって衣服または室内装飾品を設計するためのコンピュータによって実施される方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-03
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】組み立てタスクのシーケンスを定義することによって衣服または室内装飾品を設計するためのコンピュータによって実施される方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/10 20200101AFI20220204BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20220204BHJP
【FI】
G06F30/10
G06T19/00 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2017141295
(22)【出願日】2017-07-20
(65)【公開番号】P2018022483
(43)【公開日】2018-02-08
【審査請求日】2020-07-09
(31)【優先権主張番号】16305931.4
(32)【優先日】2016-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500102435
【氏名又は名称】ダッソー システムズ
【氏名又は名称原語表記】DASSAULT SYSTEMES
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デニス ノウアイス
(72)【発明者】
【氏名】オークスキン オーツザル デル カスティッロ
(72)【発明者】
【氏名】シリル ンゴ ンゴク
【審査官】合田 幸裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0099683(US,A1)
【文献】特開2001-306652(JP,A)
【文献】特開平10-177587(JP,A)
【文献】国際公開第01/09778(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/10
G06T 19/00
IEEE Xplore
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元シーンにおいて仮想衣服または室内装飾品を設計するためのコンピュータによって実施される方法であって、
a)前記3次元シーンにおける3次元のマネキン、前記仮想衣服または室内装飾品のパターンパーツのセット、およびシーム仕様のセットを提供するステップであって、シームは、一緒に縫い合わされることになる2つのパターンパーツ縁部の点のペアの間の距離制約のセットを含む、ステップと、
b)ユーザから入力として、前記仮想衣服または室内装飾品を組み立てるための複数の組み立てタスクの宣言を受け取るステップと、
c)前記ユーザから入力として、少なくとも前記組み立てタスクの2つ以上の間の部分的順序付け関係の宣言を受け取るステップと、
d)前記部分的順序付け関係に従って前記組み立てタスクを実行するステップであって、各組み立てタスクは、組み立て中の前記仮想衣服または室内装飾品の状態を変化させる、ステップと
を含み、
e)前記組み立てタスクを実行する間に、有向弧によって連結されたノードを備えるツリーデータ構造を生成し、メモリデバイスに記憶するステップであって、各ノードは前記仮想衣服または室内装飾品の状態を定義する情報を記憶し、各弧は組み立てタスクに関連付けられ、第1のノードを第2のノードに接続する弧の前記組み立てタスクは前記第1のノードに関連付けられた状態を、前記第2のノードに関連付けられた状態に変化させる、ステップと
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
ステップd)は、前記仮想衣服または室内装飾品の前記組み立ての物理学ベースのシミュレーションを行うステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの組み立てタスクは、少なくとも
- パターンパーツを追加し、それを前記マネキンの周りに配置する、または前記マネキンの周りにすでに配置されたパターンパーツを除去すること、
- パターンパーツをアクティブ化または凍結することであって、アクティブ化されたパターンパーツは完全にシミュレートされる一方、シミュレーション中に、凍結されたパターンパーツは不動のままであるが、他のパーツと相互作用するのに適している、パターンパーツをアクティブ化または凍結すること、
- シーム仕様を追加または除去すること、
- シームをアクティブ化または凍結することであって、シミュレーション中に、凍結されたシームの前記距離制約は不変のままである一方、アクティブ化されたシームのものは、閾値に到達し前記ペアが併合されるまで漸進的に減少される、シームをアクティブ化または凍結すること、
- パターンパーツのシミュレーション詳細度を変化させること、または
- パターンパーツに対する幾何学的制約を導入もしくは除去すること
を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの組み立てタスクは、
- 重力強度、
- 組み立て速度、
- シームの2つの点を併合するための閾値、
- アクティブ化されたシームの前記距離制約の減少の同期のタイプ
の中から選択される少なくとも1つのシミュレーションパラメータを設定することを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
ステップb)は、ユーザからパターンパーツの設計、または前記マネキンの周りのパターンパーツの配置を変更するための、少なくとも1つの命令を受け取るステップをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
ステップb)およびc)は、対話的に実行されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
整合性チェックを行うステップであって、いずれの組み立てタスクにも関わらない、または組み立てタスクと矛盾するステータスを有するパターンパーツまたはシームが識別される、ステップをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記組み立てタスクをクリーンアップするステップをさらに含み、
- 前記仮想衣服からパターンパーツが除去されるとき、前記パターンパーツおよびそれを参照するいずれのシームも、すべての前記組み立てタスクから除去され、および/または
組み立てタスクからパターンパーツが除去されるとき、前記パターンパーツおよびそれを参照するすべてのシームは、すべての後続の組み立てタスクから除去される
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
有向弧によって連結されたノードを備えた直接有向非循環グラフデータ構造を生成し、メモリデバイスに記憶するステップであって、各ノードはリストの組み立てタスクの前記定義を記憶し、弧は前記組み立てタスクの順序を表す、ステップをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記直接有向非循環グラフデータ構造内のツリーを選択し、その弧によって定義された順序で前記ツリーの前記ノードに関連付けられた前記組み立てタスクを実行するステップをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ツリーデータ構造のノードに記憶された情報によって定義された状態から開始して、前記仮想衣服または室内装飾品のバリエーションを設計するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかに記載の方法をコンピュータシステムに実行させるためのコンピュータ実行可能命令を備えたコンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項1乃至10のいずれかに記載の方法をコンピュータシステムに実行させるためのコンピュータ実行可能命令を含むことを特徴とする、不揮発性コンピュータ可読データ記憶媒体。
【請求項14】
メモリおよびグラフィカルユーザインターフェイスに結合されたプロセッサを備えたコンピュータ支援設計システムであって、前記メモリは請求項1乃至10のいずれかに記載の方法を前記コンピュータ支援設計システムに実行させるための、コンピュータ実行可能命令を記憶することを特徴とするコンピュータ支援設計システム。
【請求項15】
衣服または室内装飾品を製造する方法であって、
- 請求項1乃至11のいずれかに記載の方法によって前記衣服または室内装飾品を設計するステップと、
- 前記設計するステップ中に生成された前記ツリーデータ構造のノードのセットに関連付けられた組み立てタスクに対応する、物理的組み立てタスクを実行することによって前記衣服または室内装飾品を物理的に製造するステップであって、前記ツリーデータ構造の前記弧によって定義される順序で実行される、ステップと
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ支援設計の分野に関する。より詳細には、1つまたは複数の2次元(2D)パターンパーツを備えた仮想衣服または家具の布張りを設計するための、コンピュータによって実施される方法に関する。さらにより詳細には、例えば同様な設計の部分的再使用を可能にすることによって、仮想衣服または家具の組み立てタスクの適切なシーケンスの定義を容易にすることを目標とする。
【0002】
本発明はまた、コンピュータ支援設計システム、コンピュータプログラム製品、およびこのような方法をコンピュータシステムに実行させるためのコンピュータ実行可能命令を含んだ不揮発性コンピュータ可読データ記憶媒体、ならびに現実の衣服または室内装飾品を製造する方法に関する。
【0003】
本発明は、現実の衣服の設計のための衣類産業、および現実の室内装飾品の設計のための家具産業に適用されるが、ビデオゲーム、アニメーション映画などにも適用される。一般に、それが仮想世界への統合のためであれ、または製造のためであれ、3次元(3D)においてコンピュータ上で現実的な衣類を設計することが必要ないずれの領域にも適用される。
【背景技術】
【0004】
以下では「マネキン」という語は、人間または動物の身体、人間の形をしたものまたは動物形の生き物、さらには野菜または無生物の物体(例えばソファなどの家具)の、コンピュータによって生成された通常は3次元の表示を指すように広く用いられる。しかしほとんどの場合マネキンは、人間または人間の形をしたものの身体を表すものとなる。マネキンは、最初から設計されることができ、または現実の身体または物体をスキャンすることによって再構築され得る。マネキンはまた「アバター」とも呼ばれ得る。
【0005】
「仮想衣服」または「仮想室内装飾品」という語は、マネキンによって着用されるために適した衣類、室内装飾品などの、コンピュータによって生成された2次元、または(ほとんどの場合)3次元表示を指すことになる。仮想衣服は、物理的世界において製造されるために適した「現実の」衣服のモデルとなり得る。以下では衣服の場合のみが論じられるが、すべてが等しく室内装飾品に当てはまる。
【0006】
マネキンおよび仮想衣服は、好ましくは「3次元」(3D)である。本明細書の以下では「3次元」物体とは、すべての角度からのそのパーツを見ることを可能にする、3次元表示を許容する物体またはそのデジタルモデルである。
【0007】
「パターンパーツ」または単に「パターン」という語は、衣服を製造するために用いられるために適した織物、皮革、または他の柔軟な材料を指す。衣服はほとんどの場合、いくつかのパターンパーツをそれらの縁部によって組み立てることにより製造される。パターンは、展開可能(それらは平面上に平坦に位置することができる)であり、それらの厚さはそれらの他の寸法と比べて無視し得る(少なくとも2桁小さい)ので、通常は2次元と見なされる。
【0008】
「シーム(seam)」は、同じまたは2つの異なるパターンパーツの2つの縁部の間の結合であり、これらは衣服を組み立てるために一緒に縫い合わされる。「縫い合わせ(stitching)」は、広く解釈されるべきであり、縫うことだけでなく例えば接着することも含み、織物または皮革などの柔軟な材料に適したすべての組み立て技法を包含する。
【0009】
コンピュータ支援技法は、ファッション産業におけるパターン製作の開発プロセスにおいて広く用いられている。具体的にはCAD(コンピュータ支援設計)およびCAM(コンピュータ支援製造)システムは、次いで衣服を製造するために用いられるデジタル2Dパターンパーツを生成するために役立っている。これらのパターンパーツは一般に、最終の衣服を物理的に構築するために必要な追加の情報により強化された、2次元境界曲線として記述される。市場にはLectra、Gerber Technology、Optitex、Assyst GmBH (Human Solutions Group)、Clo3D (Marvelous Designer)などの会社からのいくつかのCADシステムが存在する。それ等が提案するモジュールは、共通の特性を提示し、主に2Dパターンパーツ開発、CAD-CAM管理および製造(例えば自動機械によるパターンレイアウトおよび切断)に焦点が当てられる。
【0010】
3Dの出現と共に仮想衣類は標準になりつつあり、これは仮想衣服を得るために、2Dパターンパーツを仮想的に組み立てるための新しい技法を必要とする。しかしいくつかの出版物が、どのようにしてコンピュータによって衣服を設計およびシミュレートするかを教示しているが、それらの非常に少数だけが、いくつかのパターンパーツが一緒に縫い合わされて衣服となる、組み立てプロセスに対処している。
【0011】
文献(非特許文献1)は、いくつかの平坦なパターンパーツからの、3Dマネキンの周りへの衣服の組み立てを述べている。組み立てプロセスは4つのステップからなる:
1.マネキンの周りにパターンパーツを配置する、
2.一緒に縫い合わされることになるパターンパーツの縁部の収束、
3.その縁部が一緒に縫い合わされるパターンパーツの併合、
4.マネキンを考慮に入れた、ドレーピングの計算。
【0012】
この文献は、パターンパーツが一緒に縫い合わされる順序が重要であり、最終結果に影響を及ぼすことを説明している。この順序は試行錯誤によって見出される必要があり、ユーザは組み立てを再現したい場合は、それに留意する必要がある。
【0013】
文献(非特許文献2)は、衣服を設計およびシミュレートするための方法を述べており、マネキンの周りに平面のパターンパーツを予め配置するステップと、次いで、シームラインに沿ってそれらを併合することを伴う、予め配置されたパターンパーツを一緒に縫うステップとを含む。すべてのシームが同時に取り扱われる縫うステップは、すべてのパターンパーツが予め配置された後にのみ開始することができ、これは非常に制限的となる。
【0014】
同様に非特許文献3は、異なる組み立てタスクの順序を考慮に入れていない。
【0015】
非特許文献4は、一緒に縫われるパターンパーツ、および衣服の集合の仮想着付けが行われる順序を宣言することを可能にする、衣服パターンパーツのためのオントロジーを開示している。しかし各衣服を形成するパターンパーツの配置および縫い合わせについての詳細は示されておらず、すべてのシームは同時に組み立てるようである。
【0016】
衣服設計のためのほとんどの市販用ソフトウェアツールは、同じ手法に従っており、すなわちすべてのシームは同時に組み立てられる。例えばPhysan DC Suite、Optitex、BrowzwearからのV-Stitcher、HumanSolutions GmbhからのVidyaを参照。
【0017】
市販用ソフトウェアCLO3D/MarvelousDesignerは、順次的なやり方でシームおよびパターンに対処することを可能にする。実際このソフトウェアでは、
- シームは、ユーザによってアクティブ化または非アクティブ化され得る、
- パターンパーツは、アクティブ化/非アクティブ化/凍結され得る、
- ユーザによって、新しいパターンパーツおよびシームが導入され得る。
【0018】
アクティブ化/非アクティブ化コマンドを用いてユーザは、すべてのパターンおよびシームに同時に対処することを避けることができる。「パターン凍結」は、パターンパーツを凍結することを可能にし、すなわちパーツの相互貫通を避けるために、他のパターンパーツがそれと相互作用することを可能にしながら、その位置を固定する。このツールは、内側の衣服を凍結し、その上にドレーピングすることによって、複数の層からなる衣服のドレーピングを容易にするために有用となり得る。Clo3Dユーザマニュアル(非特許文献5)によれば、このステップバイステップのドレーピングプロセスは、複数の層からなる衣服のドレーピングのシミュレーションが不安定になることを防止する。
【0019】
この手法は、複雑な仮想3D衣服を作成することを可能にするが、再現性が不足している。2人のユーザが同じ衣服を同じパターンパーツおよびシームの定義を用いて設計しようとする場合、必ずしも厳密に同じ組み立てタスクを同じ順序で行わないようになるので、通常は異なる結果を得ることになる。
【0020】
さらに組み立てプロセスは、他の衣服に容易に適合され得ない。例えば袖なしドレスのために用いられる組み立てタスクのシーケンスは、袖のある同様な新たなドレスを作成するようには容易に適合され得ない。
【0021】
最後に、プロセス中にどのようにいくつかのパターンを他のものに置き換えるまたは変更するかは、明らかではない。
【0022】
さらに従来技術からの知られている手法は柔軟性が不足しており、ユーザは、それを実行するためにCADシステムによって用いられるパラメータをコントロールできない。このようなパラメータは例えば以下を含む。
- 重力強度。実際、構成に応じて重力は、組み立てを助けるまたは妨げ得る。例えば1G(すなわち通常の)重力は、0.2秒で20cmのパターンパーツの自由落下を生じ、これは例えばシャツの前面および背面パネルの組み立てを損ない得る。従っていくつかの組み立てステップ中に重力をオフに切り換える、または少なくともその強度を低減することが望ましくなる。これに対して重力は、T字型姿勢のマネキンの腕に折り重ねられた袖パターンパーツを平坦にすることができ、その組み立てを容易にする。
- 組み立て速度、これはそれらの構成に応じて大きく変わり得る、シームを組み立てる難しさを考慮に入れることを可能にする。
【0023】
本発明は、従来技術の欠点を克服し、柔軟な、効果的および再現可能なやり方で、仮想衣服または室内装飾品を組み立てることを可能にすることを目標とする。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0024】
【文献】X. Provot. Animation realiste de vetements. PhD Thesis. Universite Rene Descartes - Paris V, 1997
【文献】Marzia Fontana, Caterina Rizzi, Umberto Cugini. 3D virtual apparel design for industrial applications. Computer-Aided Design 37 (2005), pp 609-622
【文献】Michael Keckeisen. Physical Cloth Simulation and Applications for the Visualization, Virtual Try-On, and Interactive Design of Garments. PhD Thesis, Tubingen University, 2005
【文献】A. Fuhrmann, C. Gross, A. Weber. Ontologies for Virtual Garments, Workshop Towards Semantic Virtual Environments (SVE 2005), 2005
【文献】CLO 3D/Marvelous Designer Manual. 2013
【発明の概要】
【0025】
この目標を達成することを可能にする本発明の目的は、3次元シーンにおいて仮想衣服または室内装飾品を設計するためのコンピュータによって実施される方法であって、
a)3次元シーンにおける3次元のマネキン、前記仮想衣服または室内装飾品のパターンパーツのセット、およびシーム仕様のセットを提供するステップであって、シームは、一緒に縫い合わされることになる2つのパターンパーツ縁部の点のペアの間の距離制約のセットを含む、ステップと、
b)ユーザから、衣服または室内装飾品を組み立てるための複数の組み立てタスクの宣言を受け取るステップと、
c)ユーザから、少なくとも前記組み立てタスクの2つ以上の間の部分的順序付け関係の宣言を受け取るステップと、
d)前記部分的順序付け関係に従って前記タスクを実行するステップであって、各タスクは、組み立て中の衣服または室内装飾品の状態を変化させる、ステップと
を含み、
e)タスクを実行する間に、有向弧によって連結されたノードを備えるツリーデータ構造を生成するステップであって、各ノードは衣服または室内装飾品の状態に関連付けられ、各弧は組み立てタスクに関連付けられ、第1のノードを第2のノードに接続する弧のタスクは第1のノードに関連付けられた状態を、第2のノードに関連付けられた状態に変化させる、ステップと
をさらに含むことを特徴とする。
【0026】
本発明の方法の特定の実施形態によれば、
- ステップd)は、衣服または室内装飾品の組み立ての物理学ベースのシミュレーションを行うステップを含み得る。
【0027】
少なくとも1つのタスクは、以下の中から選択された少なくとも1つのステートメントを含み得る:パターンパーツを追加し、それをマネキンの周りに配置する、またはマネキンの周りにすでに配置されたパターンパーツを除去すること;パターンパーツをアクティブ化または凍結することであって、アクティブ化されたパターンパーツは完全にシミュレートされる一方、シミュレーション中に、凍結されたパターンパーツは不動のままであるが、他のパーツと相互作用するのに適している、パターンパーツをアクティブ化または凍結すること;シーム仕様を追加または除去すること;シームをアクティブ化または凍結することであって、シミュレーション中に、凍結されたシームの距離制約は不変のままである一方、アクティブ化されたシームのものは、閾値に到達し、点が併合されるまで漸進的に減少される、シームをアクティブ化または凍結すること;パターンパーツのシミュレーション詳細度を変化させること;およびパターンパーツに対する幾何学的制約を導入または除去すること。
【0028】
少なくとも1つのタスクは、以下の中から選択される少なくとも1つのシミュレーションパラメータを設定することを備え得る:重力強度;組み立て速度;シームの2つの点を併合するための閾値;アクティブ化されたシームの距離制約の減少の同期のタイプ。
【0029】
ステップb)は、ユーザからパターンパーツの設計、またはマネキンの周りのパターンパーツの配置を変更するための、少なくとも1つの命令を受け取るステップをさらに含み得る。
【0030】
ステップb)およびc)は、対話的に実行され得る。
【0031】
方法は、整合性チェックを行うステップであって、いずれの組み立てタスクにも関わらない、または組み立てタスクと矛盾するステータスを有するパターンパーツまたはシームが識別される、ステップをさらに含み得る。
【0032】
方法は、組み立てタスクをクリーンアップするステップをさらに含むことができ、衣服からパターンパーツが除去されるとき、パターンパーツおよびそれを参照するいずれのシームも、すべてのタスクから除去され、および/またはタスクからパターンパーツが除去されるとき、パターンパーツおよびそれを参照するすべてのシームは、すべての後続のタスクから除去される。
【0033】
方法は、有向弧によって連結されたノードを備えた直接有向非循環グラフデータ構造を生成するステップをさらに含むことができ、各ノードはリストのタスクに関連付けられ、弧は前記タスクの順序を表す。このような方法は、前記直接有向非循環グラフデータ構造内のツリーを選択し、その弧によって定義された順序でツリーのノードに関連付けられたタスクを実行するステップをさらに含み得る。
【0034】
本発明の他の目的は、このような方法をコンピュータシステムに実行させるためのコンピュータ実行可能命令を備えた、不揮発性コンピュータ可読データ記憶媒体に記憶されたコンピュータプログラム製品である。
【0035】
本発明の他の目的は、このような方法をコンピュータシステムに実行させるためのコンピュータ実行可能命令を含んだ、不揮発性コンピュータ可読データ記憶媒体である。
【0036】
本発明の他の目的は、メモリおよびグラフィカルユーザインターフェイスに結合されたプロセッサを備え、メモリはこのような方法をコンピュータ支援設計システムに実行させるためのコンピュータ実行可能命令を記憶する、コンピュータ支援設計システムである。
【0037】
本発明の他の目的は、衣服または室内装飾品を製造する方法であって、
- 上記に概説された方法によって前記衣服または室内装飾品を設計するステップと、
- ツリーデータ構造のノードのセットに関連付けられタスクに対応する物理的組み立てタスクを、同じ順序で実行することによって前記衣服または室内装飾品を物理的に製造するステップと
を含む。
【0038】
本発明の他の目的は、この製造の方法によって得られる衣服または室内装飾品である。
【0039】
本発明は、従来技術に対していくつかの主要な利点を有する。
- 衣服シミュレーションの性能を改善する。実際、シームはすべて同時に作成されるとは限らないので、同時に併合されなければならないパターンパーツは少なくなり、計算の負担、従ってシミュレーション時間を低減し、シミュレーションの安定性を改善する。
- 衣服の層の管理を容易にする。例えば最初にマネキンに最も近い衣服を組み立て、他のものを検討する前にそれらを凍結することが可能である。
- ユーザが幾何学的制約を定義することを要求する必要がないので、袖の組み立てを容易にする(このような制約の使用は、後に論じられるように任意選択である)。
- パターンパーツは、組み立て中に容易に置き換えられることができ、衣服の異なる構成をテストすることを可能にする(例えば長袖/半袖、ポケットあり/なしのシャツなど)。
- すでに定義されたタスクシーケンスは、同様な衣服を組み立てるために部分的に再使用され得る。
- 組み立てプロセスの再現性を可能にする。
- 組み立てフェーズ中に用いられるパラメータを、ユーザが管理することを可能にする(重力をアクティブ化するまたはしない、組み立て速度、同期を開始または停止するなどを含む設定)。
【図面の簡単な説明】
【0040】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面と併せ読まれるこの後の説明から明らかになるであろう。
図1A】仮想衣服のパターンパーツのセットを示す図である。
図1B】衣服のいくつかのシーム仕様を示す図である。
図2】タスク宣言ステップの概略表示を示す図である。
図3】3つの異なるタイプのシームの組み立ての同期を示す図である。
図4】例示的タスクグラフを示す図である。
図5図4のタスクグラフに関連付けられた例示的状態ツリーを示す図である。
図6】本発明の実施形態による衣服設計および組み立てワークフローのフローチャートである。
図7】本発明の実施形態による組み立てプロセスのフローチャートである。
図8A】本発明による方法の第1の実施形態を示す図である。
図8B】本発明による方法の第1の実施形態を示す図である。
図8C】本発明による方法の第1の実施形態を示す図である。
図8D】本発明による方法の第1の実施形態を示す図である。
図9A】本発明による方法の第2の実施形態を示す図である。
図9B】本発明による方法の第2の実施形態を示す図である。
図9C】本発明による方法の第2の実施形態を示す図である。
図9D】本発明による方法の第2の実施形態を示す図である。
図9E】本発明による方法の第2の実施形態を示す図である。
図9F】本発明による方法の第2の実施形態を示す図である。
図9G】本発明による方法の第2の実施形態を示す図である。
図9H】本発明による方法の第2の実施形態を示す図である。
図10A】本発明による方法の第3の実施形態を示す図である。
図10B】本発明による方法の第3の実施形態を示す図である。
図10C】本発明による方法の第3の実施形態を示す図である。
図10D】本発明による方法の第3の実施形態を示す図である。
図10E】本発明による方法の第3の実施形態を示す図である。
図10F】本発明による方法の第3の実施形態を示す図である。
図10G】本発明による方法の第3の実施形態を示す図である。
図10H】本発明による方法の第3の実施形態を示す図である。
図11】本発明の実施形態による方法を実行するために適したコンピュータシステムのブロック図である。
図12】本発明の実施形態による方法を実行するために適したコンピュータシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1Aは、34個のシームを用いて組み立てられる、14個のパターンパーツP1~P14でできているドレスのためのパターン設計の例を示す。図1Bは、これらのシームのいくつかS1~S7を表す。シームS1~S4は「内部的」であり、すなわちそれらは同じパターンパーツ(胴部P1の前面パネル)の縁部を結合する一方、シームS5~S7は「外部的」であり、すなわちそれらは異なるパターンパーツの縁部を結合することが留意されるであろう。シームは、2つの縁部の対応点(matching points)を結合するセグメントによって構成され、これらの点の間に距離制約を課す。シームは、セグメントの長さを漸進的に低減し、従って縁部の対応点を互いにより近くなるようにし、次いでこれらの点を、それらの距離が閾値より小さくなったときに併合することによって組み立てられる。メッシュは通常、例えば有限要素法によって、それらの物理的挙動をシミュレートすることを可能にするように、パターンパーツ上に定義され、対応点が併合されるとき、シームの両側のメッシュも併合される。文献(非特許文献2、非特許文献3、および非特許文献4)は、シームの組み立てを行う異なる方法を詳細に述べている。
【0042】
本発明によれば、衣服をコンピュータシステム上で設計およびシミュレートするために、ユーザは、マネキン、パターンパーツのセット、および衣服を組み立てるために必要なシームを定義する必要がある。マネキンおよびパターンパーツは、それぞれのデータベースからインポートされ、仮想3Dシーン内に置かれることができ、パターンパーツは、例えばそれらをドラッグおよびドロップすることによって、マネキンの周りに予め配置される。あるいはパターンパーツは、適切なCADツールを用いて、(通常は2Dにおいてであるが、場合によってはまた3Dシーンにおいて直接)設計され得る。シームは単に関連のある縁部を識別することによって定義されることができ、対応点は縁部上に位置するパターンパーツメッシュの頂点である。
【0043】
ユーザはまた、組み立てタスクのシーケンスを定義する必要がある。組み立てタスクは、以下の情報項目の少なくとも1つを備える。
- 衣服パターンパーツおよび/またはシームを宣言する、または宣言されたパターンパーツまたはシームに対して行われるアクションを示す、ステートメント、
- 1つまたは複数の設定、すなわち組み立ておよびシミュレーションプロセスの1つまたは複数のパラメータの値。
【0044】
シームが宣言されたときは、接合されることになるパターンパーツ境界の点のペアの間の長さ制約が作成される。制約長さは、現在の距離に初期化される。
【0045】
パターンパーツおよびシームは共にステータスを有し、これはこれらの要素が宣言されたときに初期値に設定され、その後ステートメントによって変更され得る。好ましい実施形態によればパターンパーツおよびシームは、2つの状態「アクティブ」または「凍結」の1つに宣言され得る。
【0046】
アクティブなパターンパーツはタスク実行中にシミュレートされる一方、凍結されたパーツはタスク実行中に存在するが移動しない(その初期の、または前にシミュレートされた位置に留まる)。
【0047】
アクティブなシームでは制約の長さは、対応点が併合されるまで漸進的に減少されるが、凍結されたシームでは長さ制約は不変である(これは特に、凍結されたシームの縁部が引き離されるのを回避する)。
【0048】
アクティブなシームは、同じアクティブなパターンパーツの、2つのアクティブなパーツの、またはアクティブなパーツと凍結されたものの、2つの縁部を結合することができる。しかし2つの凍結されたパターンパーツの間で定義されるシームは、無視される。シームがすでに完了している(その縁部が併合されている)ときは、それはもはや発展することはなく、それに関するすべてのステートメントは無視される。
【0049】
好ましい実施形態によればタスク宣言は、以下の中から選択されたゼロ個、1つまたは複数のステートメントを含むことができる。
- パターンパーツを追加し、それを3D仮想シーンにおいてマネキンの周りに配置する。デフォルトにより、新たに追加されたパターンパーツの初期ステータスは「アクティブ」である。
- マネキンの周りにすでに配置されたパターンパーツを除去する。
- シーム仕様を追加する。デフォルトにより、新たに追加されたシームのステータスは「アクティブ」である。
- パターンパーツまたはシームのステータスを「アクティブ」から「凍結」、またはその逆に変化させる。
- パターンパーツの詳細度を変化させる。上記で説明されたようにメッシュは、その物理的挙動をシミュレートすることを可能にするように、各パターンパーツ上に定義される。メッシュが微細なほど、シミュレーションはより正確になるが、計算はより集中的に(および遅く)なる。「最適な」メッシュの細かさは、設計およびシミュレーションプロセスの特定のステップに応じて変わり、比較的粗いメッシュは組み立てのためには十分となり得るが、組み立てられた衣服のドレーピングをシミュレートするためには、より微細なものが好ましくなる。
- 制約を定義する。実際、衣服パターンパーツ全体を凍結することが可能であることに加えて、パターンパーツのメッシュの頂点に、1、2、または3自由度(d.o.f.)低減が適用され得る。1d.o.f.低減は、その現在位置およびユーザによってもたらされる法線方向によって定義される平面内で頂点を移動させ、2d.o.f.低減は、その現在位置とある方向によって定義される直線上に頂点を移動させ、3d.o.f.低減は頂点を固定させる。d.o.f.低減は、例えば縫い合わされる前に重力の影響下で、袖がマネキンの腕から滑り落ちることを回避することができる。
【0050】
好ましい実施形態によればタスク宣言はまた、以下の中から選択されるゼロ、1つまたは複数のパラメータの設定を含むことができる。
- 重力強度。上記で説明されたように、いくつかの縫い合わせフェーズ中に、重力を低減する、さらにはオフに切り換えることが望ましくなり得る。これに対して他の縫い合わせフェーズのためには(例えば袖を縫い合わせるためには)、およびもちろんドレーピングのためには重力が必要とされ得る。
- 組み立て速度。シームの組み立ては、できるだけ速く行われるべきであるが、組み立てシミュレーションの収束を確実にするために制限され得る。シーム曲線に沿った頂点の密度、およびシームによって生成されるしわの数量は、制限された組み立て速度を必要とする要因である。従ってこのパラメータは、各タスクに対して独立に定義される。
- 併合閾値、すなわちアクティブなシームの対応点の間の、それらの点が併合される距離。
- 同期。縫い合わせフェーズの開始の前に、シームの対応点のペアを結合するセグメントは、異なる長さを有する。セグメントの長さを漸進的に減少させるために、いくつかのオプションがユーザに提供される。
1.一定の長さ低減レートを用いて、同時にすべてのセグメント長さを減少させ始める。最も短いセグメントは、最も長いものよりも前に併合の準備が整う。
2.同じ一定のレートですべてのセグメントの長さを減少させるが、すべての対応点ペアが同時に併合されるように、最も長いものから開始する。
3.同時にすべてのセグメントの長さを減少させ始めるが、対応点のすべてのペアが同時に併合されるように、異なる長さ低減レートを用いる。
【0051】
図3において画像(a)は、パターンパーツP1の初期条件を表し、画像(e)は、内部的シームS1、S2、S3、およびS4が縫い合わされたときの最終条件を表し、画像(b)、(c)および(d)は、上述の第1、第2、および第3のタイプの同期に対応する中間の状態を表す。
【0052】
図2は、組み立てタスクの構造を要約している。
【0053】
ユーザはまた、タスク間の親子関係を宣言する。このような関係はタスクの部分的順序付けを定義し、部分的とは、「親」は1つまたは複数の「子」をもつことができ、「子」は1つまたは複数の「親」をもつことができるからである。タスクおよびそれらの親子関係は、組み立てプロセスを、またはさらにはいくつかのタスクを共有する組み立てプロセスのセットを定義する。このプロセスまたはプロセスのセットを、グラフデータ構造、より正確にはそのノードは個々のタスクを表し、その弧はタスク間の親子関係を表す直接有向非循環グラフによって表すことが有利である。各タスクは、親としてグラフ内に分岐を作成するように2つ以上の結合を、または子として接合部(join)を作成するように2つ以上の結合を有することができる。衣服モデルの単一の変形に対する特定の組み立てプロセスは、グラフの単一の分枝によって表される。
【0054】
図4はこのようなグラフを示す。図においてノードA、B、およびCは、すべての組み立てプロセスに共通のタスクに対応し、ノードAは単一のエントリポイントを構成するが、他の例では複数のエントリポイントが存在し得る。ノードCに関連付けられたタスクの後にユーザは選択肢を有し、彼はノードD1およびE1に関連付けられたタスクを(この順序で)行うことができ、または彼はノードD2に関連付けられたタスクを行うことができ、その後彼は第2の選択肢に直面する。実際、タスクD2の後に、彼はノードE21またはノードE22のいずれかに関連付けられたタスクを行うことができる。両方の場合において組み立てプロセスの最終タスクは、ノードF2(これは「接合部」を構成する)によって表される。言い換えれば図4のグラフは、3つの可能な組み立てタスクのシーケンスを表す:
- A,B,C,D1,E1;
- A,B,C,D2,E21,F2;
- A,B,C,D2,E22,F2;
これらは3つの異なる衣服に至ることになる。
【0055】
本発明の異なる実施形態によれば図4のグラフは、組み立てプロセスの抽象的表示と見なされることができ、または好ましくは、コンピュータシステムのメモリデバイスに記憶されたデータ構造に対応する。後者の場合データ構造は、すべてのタスク(ノード)の定義、およびそれらの間の順序関係(弧)を含んでいるので、組み立てプロセスの再現性を確実にする。従って組み立ては複数回行われることができ、同一の結果に至り、例えばいくつかのパターンの設計にいくつかの変更が導入された場合は、最終結果における差異はこれらの変更のみに依存することになり、例えば組み立てタスクの順序の意図しない改変には依存しないことが確実にされることになる。
【0056】
組み立ておよびシミュレーションプロセスのたびに、組み立て中の衣服は、プロセスを再開するために必要なすべての情報により構成される、状態によって特徴付けられる。言い換えればプロセスが中断されても衣服の現在の状態が保存されれば、それが中断された時点からプロセスを再開し、中断が生じなかったかのように同じ結果を達成することが可能になる。典型的には状態は、以下の情報項目を含む。
- 用いられるパターンパーツのリスト、
- 用いられるシームおよびそれらのステータス、
- パターンパーツのメッシュの各頂点の位置および速度、ならびに
- パターンパーツメッシュの詳細度およびシームステータスに依存したシミュレーションによって用いられる、衣服モデルのトポロジー。
【0057】
衣服モデルのトポロジーは、個々のパターンパーツのメッシュを併合することによって得られる、衣服のメッシュの頂点を連結する縁部によって定義される。所与の状態の衣服に適用された組み立てタスクは、それを新しい状態にする。これらの状態は、その構造はタスクグラフとは整合性があるが異なるグラフ、より正確には有向ツリーデータ構造に体系化されることができる。図5は、図4のタスクグラフに関連付けられた状態ツリーを示す。
【0058】
状態ツリーのノードは状態を表し、図において0、1、2、3、41、42、51、521、522、621および622とラベルが付けられており、「0」のラベルが付けられた根ノードは空であり(第1のタスクの前は、状態はパターンパーツおよびシームを含まない)、葉(51、621、622)は完全に組み立てられた衣服に対応する。ツリーの縁部は、上述の組み立てタスクA、B、C、D1、D2、E1、E21、E22、F2に対応する。N個の可能なエントリタスク(すなわちN個の独立な初期タスク)でできているタスクグラフに対応する状態ツリーは、根ノードから開始するN個の分枝を有し、このケースは図に示されない。タスクグラフにおける分岐は、結果として状態ツリーにおける分岐を生じるが、タスクグラフにおける接合部は、独立な状態ツリー分枝を残す。実際、異なる初期状態に適用された同じタスクは、結果として異なる最終状態を生じる。例えばここで考察される例において、タスクF1は状態521および状態522に適用可能であり、それぞれ状態621および622に至る。縁部F2_1およびF2_2は、それぞれ異なる状態521および522に適用された、同じタスクF2に対応することが留意されるであろう。
【0059】
状態ツリーは、中断された組み立てプロセスを再び始めるためだけでなく、衣服の複数のバリエーションの設計およびシミュレーションをスピードアップするためにも有用である。例えば葉51に対応する衣服が設計された後に、状態3から開始して、葉621に対応する別の衣服を組み立てることが可能である。次いで状態42から開始して、葉622に対応する衣服が組み立てられ得る。全体として3つの衣服の組み立ては10個のタスクの実行を必要とする一方、状態が保存されなければ17個のタスクが必要になる。
【0060】
状態ツリーの構造を定義するためにはタスクグラフのみで十分であるが、ノードの内容、すなわち衣服状態を決定するためには、組み立てタスクを実行する必要がある。ユーザが状態ツリーを系統的に満たしたい場合は、彼は状態ツリーの深さ優先構文解析を行うことができる。初期条件として空の状態をとって最初にタスクAが、次いでB、C、D1、E1が実行されることになり、この時点で構文解析アルゴリズムは状態3に後戻りし、タスクD2、E21、F2が行われることになる。次いでアルゴリズムは状態42に後戻りし、タスクE22、およびF2(上記と同じタスクであるが、異なる状態から開始する)を行うことなる。各タスクの最終状態は、ツリーの対応するノードに記憶されることになる。従ってタスクグラフは、仮想衣服の組み立ての始まりの前に構築され得るが、状態ツリーは組み立てプロセス中に構築される。
【0061】
汎用タスクの実行は、図7のフローチャートに示される。これは初期化ステップで始まり、そこではメッシュを含む、個別的な布モデル構造が、各関係する衣服パターンパーツおよびシームの必要な詳細度に従って作成される。次いでメッシュの頂点の位置が、衣服パターンパーツがすでに存在する場合は初期状態から、そうでない場合は3D配置されたパターンパーツから、内挿される。
【0062】
次いでソルバは、1つのシミュレーションステップを実行する。タスクが、未だ併合されていないアクティブなシームを含んでいる場合は、タスク設定に従って縫い合わせセグメント長さが低減される。すべての縫い合わせセグメントが長さ閾値未満である場合は、対応する対応点は併合され、シミュレートされた布構造を再計算することを示唆する。その後にタスクシーケンスが使い尽くされていない場合は、後続のタスクの実行が始まる。
【0063】
図6は、本発明による衣服を組み立ておよびシミュレートするための対話型の方法を全体的に表すものである。方法は反復的に実行され、各反復においてユーザは、異なるアクションの中から選択することができる。彼は以下を行うことができる。
- 適切なCADツールを用いて、1つまたは複数のパターンパーツを設計または変更する、またはそれらをファイルからインポートする;
- 1つまたは複数のパターンパーツをアバターの周りに、例えばマウスまたは同様な入力デバイスを用いてそれらをドラッグおよびドロップすることによって、配置する;パターンパーツの位置は、状態ツリーの各ノードに記録される、衣服の「状態」に属する情報項目である;
- タスクを宣言する;
- タスク間の親子(すなわち部分的順序付け)関係を宣言する;
図7を参照して上述されたようにタスクのシーケンスを実行することによって、衣服の組み立ておよび/またはドレーピングをシミュレートする;
- プロセスを終了する。
【0064】
パターンパーツの設計またはインポート、またはタスクの記述の後に、タスクのクリーンアップが行われ得る。クリーンアップはタスクツリーを、衣服設計への変化にそれを適合させるように構文解析することにある;シームが設計から除去されている場合は、それはすべての組み立てタスクからも除去される;衣服パターンパーツが設計から除去されている場合は、このパターンパーツおよびそれを参照するあらゆるシームは、すべてのタスクから除去される;パターンパーツがタスクから除去されている場合は、このパターンパーツを参照するシームは、下流のタスクから除去される。
【0065】
整合性チェックが、2つのユーザアクションの間で行われ得る。これはタスクツリーを構文解析して、未使用のパターンパーツおよびシーム、プロセスの終わりで残る制約、および不可能な/一貫しないタスク、例えば凍結されたパターンパーツの間のシームを組み立てようとすることを識別し、ユーザに通信することを含む。次いでユーザは、不整合性を修正することがあり、またはしないこともある(例えば未使用のパターンパーツの存在は許容され得る)。
【0066】
図6の方法は、対話型のやり方でタスクグラフおよび状態ツリーの両方を構築することを可能にする。タスクを宣言することはノードをタスクグラフに追加し、親子関係を宣言することはグラフに縁部を追加し、シミュレーションを実行することは、状態ツリーのノード、およびシミュレーションの初期状態を表すノードと新たに生成されたノードとを連結する縁部を、生成する。
【0067】
非対話型-対話型ハイブリッド手法も実施されることができ、例えば初期タスクグラフは非対話的に定義されることができ、次いでそれは、組み立てシミュレーションを実行しながら新しいタスクを追加することによって対話的に変更され得る。
【0068】
本発明は、図8A~8D、9A~9G、10~10Gによって示される3つの例を用いて、より良く理解されるであろう。
【0069】
第1の例(図8A~8D)は、衣服GRを形成するための、マネキンMKの周りの、図1Aに示されるパターンパーツP1~P12の組み立てに関する。従来技術のように組み立ては、単一のタスク「A」において行われ、これは空の状態0に適用される。タスク宣言は以下のようになる。
【0070】
「タスクA」
- マネキンの周りにパターンパーツ1から14を追加する
・それらをアクティブに設定する
・詳細なメッシュを用いる(正確なシミュレーションのために)
- シームラインペアを選択することによって、34個すべての衣服シームを宣言する
・それらをアクティブに設定する(デフォルト)
- シミュレーションパラメータを設定する
・重力をアクティブ化する
・シームの組み立ての同期を設定する
・このタスクを達成するための期間を設定する(例えば2秒)
【0071】
タスクを実行することは状態1を生成し、そこで衣服全体が組み立てられる。図8AはマネキンMKの周りに配置されたパターンパーツを示し、図8Bは組み立てフェーズ中のパターンパーツの中間位置を示し、図8Cはマネキンにドレーピングされた組み立てられた衣服GRを示し、図8Dは状態ツリーを表す。
【0072】
組み立てを単一のステップで行うことは、最終結果をパターンパーツの配置およびシミュレーション条件に非常に敏感にさせるので、進めるための最良のやり方ではない。特に重力によるパターンパーツの自由落下は、正しい肩ひも組み立てを妨げ得る。さらに中間状態がないので、パターンパーツに対するいずれの変更も、シミュレーションの全面的な再実行が必要になり得る。
【0073】
図9Aから9Gに示される第2の例は、衣服の組み立ておよびシミュレーションが、順に実行される4つのタスクに分解される本発明の実施形態に関する。
【0074】
第1のタスクAは、衣服の胴部BDを組み立てることにある。その実行は、図8A(マネキンの周りに配置されたパターンパーツP1およびP2を示す)、および8B(組み立てられた胴部を示す)に示される。その宣言は以下のようになる。
【0075】
「タスクA」:胴部組み立て
- パターンパーツ1および2を追加する
・それらをアクティブに設定する
・粗いメッシュを用いる
- このタスク中に組み立てるためのシームを追加する(正面および背面胴部パーツの間に4つ+正面パーツ上の切り込みのために4つ+背面パーツ上の切り込みのために2つ)
- シミュレーションパラメータを設定する
・重力を非アクティブ化する
・シームの組み立ての同期を設定する
・このタスクを達成するための期間を設定する(0.5秒)
【0076】
重力は、肩ひもが組み立てられる前にパターンパーツが落下するリスクを避けるために非アクティブ化されること、および粗いメッシュが使用され、これは計算時間を低減しながら、組み立てステップの十分に正確なシミュレーションを可能にすることが、注目されるであろう。
【0077】
第2のタスクBは、衣服のメインスカートSKを組み立てることにある。その実行は、図8C(マネキンの周りに配置されたパターンパーツP3からP8を示す)、および8D(胴部およびスカートを含む部分的に組み立てられたドレスを示す)に示される。その宣言は以下のようになる。
【0078】
「タスクB」:メインスカート組み立て
- シミュレーションコストを最適にするために、パターンパーツ1および2をそれらの現在の状態に凍結する
- メインスカートパターンパーツ(3から8)を追加する
・それらをアクティブに設定する
・粗いメッシュを用いる
- 新たに追加されたパーツを一緒に、および既存のものに結合するために、12個のシームを追加する
- シミュレーションパラメータを設定する
・重力を非アクティブ化する
・シームの組み立ての同期を設定する
・このタスクを達成するための期間を設定する(1秒)
設定は、第1のタスクに対するものと同じである(より長い組み立て時間を除いて)。
【0079】
第3のタスクCは、スカート延長部を組み立てることにある。その実行は、図9E(マネキンの周りに配置されたパターンパーツP9からP14を示す)、および9F(重力がないことによりおよびメッシュの粗さにより正しくドレーピングされていない、組み立てられた衣服を示す)に示される。その宣言は以下のようになる。
【0080】
「タスクC」:スカート延長部組み立て
- パターンパーツ3から8を凍結する(パーツ1および2も、再アクティブ化は必要ないので凍結されたままとなる)
- スカート延長部パターンパーツ(9から14)を追加する
・それらをアクティブに設定する
・粗いメッシュを用いる
- 新たに追加されたパーツを一緒に、および既存のものに結合するために、12個のシームを追加する
- シミュレーションパラメータを設定する
・重力を非アクティブ化する
・シームの組み立ての同期を設定する
・このタスクを達成するための期間を設定する(0.5秒)
設定は、第1のタスクに対するものと同じである。
【0081】
第4のタスクDは、重力をアクティブ化し、より微細なメッシュを用いて、組み立てられた衣服のドレーピングを正確にシミュレートすることにある。その宣言は以下のようになる。
【0082】
「タスクD」:正確なシミュレーションを用いた最終ドレーピング
- すべてのパターンパーツを再アクティブ化する
- 粗いものから細いメッシュに切り換える
- [新しいシーム宣言なし]
- シミュレーションを実行する
【0083】
図9Hは状態ツリーを示し、これは単一の分枝(すなわちリスト)を備える。
【0084】
図10Aから10Hに示される第3の例は、衣服の異なるバージョンのシミュレーションを容易にするために状態ツリーが用いられる、本発明の実施形態に関する。
【0085】
図10Aは、半袖または長袖を有し得るTシャツG2のパターンパーツを示す(PA:前面パネル;PB:背面パネル;PC1:右袖、長いバージョン;PC2:右袖、短いバージョン;PD1:左袖、長いバージョン;PD2:左袖、短いバージョン)。組み立ては3つのタスクを含む。
【0086】
空の初期状態0に適用されるタスクAは、共通パーツを組み立てることにある。これは図10B(予め配置されたパターンパーツ)、および10C(組み立てられたパターンパーツ)に示される。その定義は以下のようになる。
【0087】
「タスクA」:共通パーツを組み立てる
- パターンパーツPAおよびPBを追加する
・それらをアクティブに設定する
・粗いメッシュを用いる
- それらを一緒に結合する4つのシーム(肩に2つ、および側部に2つ)を追加し、それらをアクティブに設定する
- シミュレーションパラメータを設定する
・重力を非アクティブ化する
・シームの組み立ての同期を設定する
・このタスクを達成するための期間を設定する(0.5秒)
【0088】
タスクAを実行することによって得られる状態1に適用されるタスクB1は、長袖を組み立てることにある。これは図10D(予め配置されたパターンパーツ)、および10E(組み立てられたパターンパーツ)によって示される。その定義は以下のようになる。
【0089】
「タスクB1」:長袖を組み立てる
- パターンパーツPC1およびPD1を追加する
・それらをアクティブに設定する
・粗いメッシュを用いる
- 各袖に対して、それらを前面および背面パターンパーツに結合し、および袖自体の形状を完結するために、3つのシームを追加し、それらをアクティブに設定する
- シミュレーションパラメータを設定する
・重力をアクティブ化する
・シームの組み立ての同期を設定する
・このタスクを達成するための期間を設定する(0.5秒)
【0090】
興味深いことには、マネキンの腕の周りに袖を組み立てるために必要であるので、重力がアクティブ化される。
【0091】
やはりタスクAを実行することによって得られる状態1に適用されるタスクB2は、半袖を組み立てることにある。これは図10F(予め配置されたパターンパーツ)、および10G(組み立てられたパターンパーツ)によって示される。その定義は以下のようになる。
【0092】
「タスクB2」:半袖を組み立てる
- パターンパーツPC2およびPD2を追加する
・それらをアクティブに設定する
・粗いメッシュを用いる
- 各袖に対して、それらを前面および背面パターンパーツに結合し、および袖自体の形状を完結するために、3つのシームを追加し、それらをアクティブに設定する
- シミュレーションパラメータを設定する
・重力をアクティブ化する
・シームの組み立ての同期を設定する
・このタスクを達成するための期間を設定する(0.5秒)
【0093】
図10Hに示される結果としての状態ツリーは、2つの分枝を有し、従って衣服の2つの異なるバージョンに対応する2つの異なる葉ノード、状態2_1および状態2_2を有する。さらにタスクが - 従ってツリーのノードが -、例えば第2の例に関して、重力の存在下で正確なドレーピングを計算するために、追加され得る。上記で論じられたように本発明の有利な特徴は、衣服の両方のバージョンは、状態1から開始して、すなわちタスクAを再実行する必要なしに、シミュレートされ得ることである。
【0094】
本発明の方法は、適切なプログラムをハードディスク、ソリッドステートディスク、またはCD-ROMなどのコンピュータ可読媒体に不揮発性の形で記憶し、それのマイクロプロセッサおよびメモリを用いてプログラムを実行する、場合によってはコンピュータネットワークを含む、適切にプログラムされた汎用コンピュータまたはコンピュータシステムによって行われ得る。
【0095】
図11を参照して、本発明の例示的実施形態による方法を実行するために適したコンピュータ、より正確にはコンピュータ支援設計ステーションが述べられる。図11ではコンピュータは、上述のプロセスを行う中央処理装置(CPU)PRを含む。プロセスは、実行可能プログラムすなわちコンピュータ可読命令のセットとして、RAM M1もしくはROM M2などのメモリ、またはハードディスクドライブ(HDD)M3、DVD/CDドライブM4に記憶されることができ、または遠隔に記憶され得る。マネキンデータベースおよびパターンデータベース、すなわち本発明の方法による実行可能プログラムによって処理されるために適した形でのマネキンおよび衣服パターンパーツのデジタルモデルの体系化されたセットも、メモリデバイスM1からM4の1つまたは複数に、または遠隔に記憶され得る。
【0096】
特許請求の範囲に記載される本発明は、本発明のプロセスのコンピュータ可読命令および/またはマネキンおよび衣服データベースが記憶された、コンピュータ可読媒体の形によって限定されない。例えば命令およびデータベースは、CD、DVD上に、FLASHメモリ、RAM、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、ハードディスク、またはサーバもしくはコンピュータなど、コンピュータ支援設計ステーションがそれと通信する任意の他の情報処理デバイスに記憶され得る。プログラムおよびデータベースは同じメモリデバイスに、または異なるメモリデバイスに記憶され得る。
【0097】
さらに本発明の方法を実行するために適したコンピュータプログラムは、CPU PRと、Microsoft VISTA、Microsoft Windows(登録商標) 8、UNIX(登録商標)、Solaris、LINUX(登録商標)、Apple MAC-OS、および当業者に知られている他のシステムなどのオペレーティングシステムとに連動して実行する、ユーティリティアプリケーション、バックグラウンドデーモン、もしくはオペレーティングシステムの構成要素、またはそれらの組み合わせとして提供され得る。
【0098】
CPU PRは、米国のIntelからのXenonプロセッサ、もしくは米国のAMDからのOpteronプロセッサとすることができ、または米国のFreescale CorporationからのFreescale ColdFire、IMX、またはARMプロセッサなどの他のプロセッサタイプとすることができる。あるいはCPUは、米国のIntel CorporationからのCore2 Duoなどのプロセッサとすることができ、または当業者は認識し得るようにFPGA、ASIC、PLD上に、または個別論理回路を用いて実現され得る。さらにCPUは、上述の本発明のプロセスのコンピュータ可読命令を行うように協調して動作する、複数のプロセッサとして実現され得る。
【0099】
図11のコンピュータ支援設計ステーションはまた、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、インターネットなどのネットワークとインターフェイスで接続するための、米国のIntel CorporationからのIntel Ethernet PROネットワークインターフェイスカードなどの、ネットワークインターフェイスNIを含む。コンピュータ支援設計ステーションはさらに、Hewlett Packard HPL2445w LCDモニタなどのディスプレイDYとインターフェイスで接続するための、米国のNVIDIA CorporationからのNVIDIA GeForce GTXグラフィックスアダプタなどの、ディスプレイコントローラDCを含む。汎用I/OインターフェイスIFは、キーボードKB、およびローラーボール、マウス、タッチパッドなどのポインティングデバイスPDとインターフェイスで接続する。ディスプレイ、キーボード、およびポインティングデバイスは、ディスプレイコントローラおよびI/Oインターフェイスと一緒に、グラフィカルユーザインターフェイスを形成する。
【0100】
ディスクコントローラDKCはHDD M3およびDVD/CD M4を通信バスCBSに接続し、これはコンピュータ支援設計ステーションの構成要素のすべてを相互接続するためのISA、EISA、VESA、PCIまたは同様のものとすることができる。
【0101】
ディスプレイ、キーボード、ポインティングデバイス、ならびにディスプレイコントローラ、ディスクコントローラ、ネットワークインターフェイスおよびI/Oインターフェイスの一般的な特徴および機能の記述は、これらの特徴は知られているので簡潔にするために本明細書では省略される。
【0102】
図12は、本発明の異なる例示的実施形態による方法を実行するために適したコンピュータシステムのブロック図である。
【0103】
図12では実行可能プログラムEXP、マネキンデータベースADB、および衣服パターンデータベースGDBは、サーバSCに接続されたメモリデバイスに記憶される。メモリデバイス、および全体的なサーバのアーキテクチャは、サーバにはディスプレイコントローラ、ディスプレイ、キーボードおよび/またはポインティングデバイスがない場合があることを除いて、図11を参照して上記で論じられたものと同じとすることができる。
【0104】
サーバSCは次いで、ネットワークNWを経由して管理者システムADSおよびエンドユーザコンピュータEUCに接続される。
【0105】
管理者システムおよびエンドユーザコンピュータの全体的なアーキテクチャは、管理者システムおよびエンドユーザコンピュータのメモリデバイスが実行可能プログラムEXP、マネキンデータベースADB、および衣服パターンデータベースGDBを記憶しないことを除いて、図11を参照して上記で論じられたものと同じとすることができる。しかしエンドユーザコンピュータは、以下で論じられるようにサーバの実行可能プログラムと協力するように設計されたクライアントプログラムを記憶する。
【0106】
理解され得るようにネットワークNWは、インターネットなどのパブリックネットワーク、またはLANもしくはWANネットワークなどのプライベートネットワーク、またはそれらの任意の組み合わせとすることができ、またPSTNまたはISDNサブネットワークを含むことができる。ネットワークNWはまた、イーサネットネットワークなどの有線とすることができ、またはEDGE、3Gおよび4G無線セルラシステムを含むセルラネットワークなどの無線とすることができる。無線ネットワークはまたWi-Fi、ブルートゥース(登録商標)、または知られている任意の他の無線の通信の形式とすることができる。従ってネットワークNWは単に例示的であり、本発明の進歩の範囲を全く限定しない。
【0107】
エンドユーザコンピュータのメモリデバイスに記憶され、そのCPUによって実行されるクライアントプログラムは、ネットワークNWを経由してサーバ上のマネキンおよび衣服パターンデータベースにアクセスする。これはエンドユーザが、マネキンとマネキンに適合された衣服を形成するパターンパーツのセットとを選択し、それらを3D仮想空間内に予め配置し、シームおよびタスク定義を入力することを可能にする。サーバは、ユーザからの入力を考慮に入れて、図2Aから10Hを参照して上述されたように処理を行う。それは次いでやはりネットワークNWを用いて、組み立てられた衣服が着せられたマネキン、状態ツリー、および任意選択でタスクグラフを送信する。
【0108】
1つの管理者システムADS、および1つのエンドユーザシステムEUXのみが示されるが、システムは任意の数の管理者システムおよび/またはエンドユーザシステムを限定されずにサポートすることができる。同様にまた本発明の範囲から逸脱せずに、複数のサーバ、マネキンデータベース、および衣服パターンデータベースもシステム内に実現され得る。
【0109】
本明細書で述べられるフローチャートにおけるいずれのプロセス、記述、またはブロックも、特定の論理機能、またはプロセスにおけるステップを実現するための、1つまたは複数の実行可能命令を含むモジュール、セグメント、またはコードの部分を表すものと理解されるべきであり、代替の実装形態は本発明の例示的実施形態の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0110】
CBS 通信バス
DC ディスプレイコントローラ
DKC ディスクコントローラ
DY ディスプレイ
M1 RAM
M2 ROM
M3 ハードディスクドライブ(HDD)
M4 DVD/CDドライブ
NI ネットワークインターフェイス
PD ポインティングデバイス
PR 中央処理装置(CPU)
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図9H
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図10G
図10H
図11
図12