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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-03
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】ラベル及びラベル付き容器
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/02 20060101AFI20220204BHJP
   B65D 25/34 20060101ALI20220204BHJP
   B65D 65/28 20060101ALI20220204BHJP
   B65D 23/08 20060101ALI20220204BHJP
   B65D 75/62 20060101ALI20220204BHJP
   A61J 1/00 20060101ALI20220204BHJP
   A61J 1/05 20060101ALI20220204BHJP
   A61M 5/00 20060101ALI20220204BHJP
【FI】
G09F3/02 A
G09F3/02 M
B65D25/34 B
B65D65/28
B65D23/08
B65D75/62 A
A61J1/00 410
A61J1/00 400
A61J1/05 313H
A61M5/00 512
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017182004
(22)【出願日】2017-09-22
(65)【公開番号】P2019056864
(43)【公開日】2019-04-11
【審査請求日】2020-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001748
【氏名又は名称】特許業務法人まこと国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】首藤 章之
(72)【発明者】
【氏名】辻本 享永
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-146263(JP,A)
【文献】特開2012-163674(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0087152(US,A1)
【文献】実開平1-110142(JP,U)
【文献】特開2016-175699(JP,A)
【文献】特開2001-315799(JP,A)
【文献】特開2000-109098(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 17/00-17/52
23/00-25/56
65/00-79/02
81/18-81/30
81/38
85/88
G09F 1/00- 5/04
A61J 1/00
A61J 1/05
A61M 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベル基材と、
前記ラベル基材に形成され且つラベル基材の表裏面に貫通する貫通部と、
前記ラベル基材の表面及び裏面の少なくとも一方面に固着され且つ前記貫通部を塞ぐ脆弱な封止部と、を有し、
前記封止部が、前記ラベル基材の一方面に固着された固着部位と、前記貫通部を塞ぐ閉塞部位と、を有し、前記閉塞部位が、前記貫通部の内部に入り込んでいる、ラベル。
【請求項2】
ラベル基材と、
前記ラベル基材に形成され且つラベル基材の表裏面に貫通する貫通部と、
前記ラベル基材の表面及び裏面の少なくとも一方面に固着され且つ前記貫通部を塞ぐ脆弱な封止部と、を有し、
前記封止部が、紫外線硬化型インキを固化させたインキ被膜から構成されている、ラベル。
【請求項3】
前記封止部が、前記ラベル基材の一方面に固着された固着部位と、前記貫通部を塞ぐ閉塞部位と、を有し、前記閉塞部位が、前記貫通部の内部に入り込んでいる、請求項に記載のラベル。
【請求項4】
前記貫通部が、複数形成され、その複数の貫通部が並んで形成されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項5】
前記封止部が、前記ラベル基材の一方面に設けられ、そのラベル基材の反対面に、貼着剤層が設けられている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のラベルと、前記ラベルが装着された容器と、を有するラベル付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル及び当該ラベルが装着されたラベル付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
目薬などの医薬品、化粧品、調味料、飲料、食品などが収納された容器に、ラベルを巻き付けて装着することが行われている。例えば、プレフィルドシリンジや点眼容器などの医薬品容器に熱収縮性粘着ラベルが装着された医薬品包装体が知られている(特許文献1)。
このような医薬品包装体などの包装体に対して、オートクレーブ殺菌を行う場合がある。前記オートクレーブ殺菌は、病原体などを死滅させる目的で実施され、オートクレーブ(耐圧性を有する蒸気殺菌機)を用いて前記医薬品包装体などの包装体を高温高圧の飽和水蒸気によって殺菌する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-061476号公報
【発明の概要】
【0004】
ところで、前記ラベルにミシン目線が形成されている場合がある。ミシン目線は、ラベルの表裏面に貫通する複数の貫通部からなり、その複数の貫通部が所定方向に断続的に形成されたものからなる。
このような貫通部を有するラベルが容器に装着されたラベル付き容器を、オートクレーブ殺菌した場合、その貫通部からラベルの裏面側に蒸気が侵入し、ラベルが部分的に浮き上がる、或いは、ラベルに皺が生じる場合がある。
また、前記のようなオートクレーブ殺菌しない場合でも、前記貫通部を有するラベルが容器に装着されたラベル付き容器を保管・運搬中に、貫通部を通じてラベルの裏面側に粉塵が入り込むおそれがある。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、裏面側に蒸気や粉塵などが侵入し難いラベル及びラベル付き容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1のラベルは、ラベル基材と、前記ラベル基材に形成され且つラベル基材の表裏面に貫通する貫通部と、前記ラベル基材の表面及び裏面の少なくとも一方面に固着され且つ前記貫通部を塞ぐ脆弱な封止部と、を有し、前記封止部が、前記ラベル基材の一方面に固着された固着部位と、前記貫通部を塞ぐ閉塞部位と、を有し、前記閉塞部位が、前記貫通部の内部に入り込んでいる
本発明の第2のラベルは、ラベル基材と、前記ラベル基材に形成され且つラベル基材の表裏面に貫通する貫通部と、前記ラベル基材の表面及び裏面の少なくとも一方面に固着され且つ前記貫通部を塞ぐ脆弱な封止部と、を有し、前記封止部が、紫外線硬化型インキを固化させたインキ被膜から構成されている。好ましくは、第2のラベルは、前記封止部が、前記ラベル基材の一方面に固着された固着部位と、前記貫通部を塞ぐ閉塞部位と、を有し、前記閉塞部位が、前記貫通部の内部に入り込んでいる。
【0007】
本発明の好ましいラベルは、前記貫通部が、複数形成され、その複数の貫通部が並んで形成されている
発明の好ましいラベルは、前記封止部が、前記ラベル基材の一方面に設けられ、そのラベル基材の反対面に、貼着剤層が設けられている
【0008】
本発明の別の局面によれば、ラベル付き容器を提供する。
本発明のラベル付き容器は、前記何れかのラベルと、前記ラベルが装着された容器と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のラベルは、ラベル基材の表裏面に貫通する貫通部が形成されているが、その貫通部が封止部にて閉塞されているので、貫通部からラベルの裏面側に蒸気や粉塵などが侵入することを防止できる。
また、前記封止部は脆弱であるため、人力でラベルの一部を容易に切り取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態のラベルを表面側から見た平面図。
図2図1のII-II線で切断した断面図。
図3図2の一部分を拡大した断面図。
図4】ラベル基材のみを表面側から見た平面図。
図5】第1実施形態のラベル付き容器の正面図。
図6】同背面図。
図7図5のVII-VII線で切断した断面図。
図8】医薬品容器にラベルを装着する過程を示す正面図。
図9】ラベルから副片を切り取った後のラベル付き容器の正面図。
図10】第1実施形態の第1変形例のラベルの拡大断面図。
図11】第1実施形態の第2変形例のラベルの拡大断面図。
図12】第1実施形態の第3変形例のラベルの拡大断面図。
図13】第2実施形態のラベルを表面側から見た平面図。
図14】同ラベルを裏面側から見た平面図。
図15図13のXV-XV線で切断した断面図。
図16】第2実施形態のラベル付き容器の正面図。
図17】他の実施形態の各種ラベルを表面側から見た平面図。
図18】他の実施形態の各種ラベルを表面側から見た平面図。
図19】他の実施形態の各種ラベルのラベル基材のみを表面側から見た平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
なお、本明細書において、ラベル基材の表面は、ラベルを容器に装着した際に外側となる面をいい、ラベル基材の裏面は、その反対側の面(ラベルを容器に装着した際に容器側となる面)をいう。また、「下限値X~上限値Y」で表される数値範囲は、下限値X以上上限値Y以下を意味する。前記数値範囲が別個に複数記載されている場合、任意の下限値と任意の上限値を選択し、「任意の下限値~任意の上限値」を設定できるものとする。
各図に示される部分及び層の寸法及び縮尺は、実際のものとは異なっていることに留意されたい。
【0012】
[第1実施形態]
図1乃至図3において、本発明のラベル1は、ラベル基材2と、前記ラベル基材2の面内に形成された貫通部3と、前記貫通部3を塞ぐ脆弱な封止部4と、を有し、好ましくは、ラベル基材2に設けられた貼着剤層5をさらに有する。封止部4がラベル基材2の一方面に設けられる場合、前記貼着剤層5は、そのラベル基材2の反対面に設けられる。
貫通部3は、ラベル基材2の表裏面に貫通しているが、封止部4によって閉塞されている。
封止部4は、ラベル基材2の表面及び裏面の少なくとも一方面に固着されており、人力で容易に破断するほどに脆弱である。封止部4は、例えば、前記ラベル基材2の一方面に固着された固着部位41と、前記貫通部3を塞ぐ閉塞部位42と、を有する。好ましくは、前記閉塞部位42は、前記貫通部3の内部に入り込んでいる。
【0013】
<ラベル基材>
ラベル基材2は、柔軟性及びラベル1としての機械的強度を有するシート基材と、前記シート基材に必要に応じて設けられた機能層と、を有する。ただし、各図において、前記機能層は図示しない。
ラベル基材2(ラベル基材2を構成するシート基材)の平面視形状は、特に限定されず、図1に示す様な平面視略矩形状、その他図示しないが、平面視略三角形状や略六角形状などの略多角形状、略円形状、略楕円形状、略T字状、略星状などが挙げられる。本明細書において「略」は、本発明の属する技術分野において許容される範囲を意味する。略四角などの略多角、略T字、略星の「略」は、例えば、角部が面取りされている形状、辺の一部が僅かに膨らむ又は窪んでいる形状、辺が若干湾曲している形状などが含まれる。なお、角部が面取りされているとは、角張った部分の角を取り去り、その部分を弧状又はなだらかな鈍角状に形成することをいう。略円及び略楕円の「略」は、例えば、周の一部が僅かに膨らむ又は窪んでいる形状、周の一部が若干直線又は斜線とされた形状などが含まれる。
【0014】
ラベル基材2を構成するシート基材は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。前記シート基材としては、例えば、合成樹脂製シート、金属蒸着シート、透明蒸着シート、発泡樹脂シート、紙、合成紙、不織布、及びこれらが2層以上積層された積層シートなどが挙げられる。なお、シートという用語には、一般にフィルムと呼ばれるものも含まれる。
合成樹脂製シートなどの材質は特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状オレフィン、ポリエチレンを含む共重合ポリマーなどのポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系、ポリアミド系、ポリスチレン系などが挙げられる。
金属蒸着シートは、前記合成樹脂製シートに金属が蒸着されているシートなどが挙げられる。
透明蒸着シートは、前記合成樹脂製シートに酸化アルミニウムやシリカなどの1種又は2種以上が蒸着されているシートなどが挙げられる。
【0015】
また、シート基材は、熱収縮性及び/又は自己伸縮性を有するものでもよく、或いは、熱収縮性及び自己伸縮性を有さないものでもよい。前記熱収縮性は、所要温度(例えば、70℃~100℃)に加熱されることによって収縮する性質をいう。自己伸縮性は、引っ張り力を加えることによって伸張し、その後、引っ張り力を解除することによってほぼ元の状態に復元する性質をいう。
本実施形態では、少なくとも熱収縮性を有するシート基材が用いられている。
前記シート基材の熱収縮率としては、通常、第1方向に於ける熱収縮率(90℃温水中に10秒間浸漬)が約10%以上、好ましくは約20%以上のものが例示される。また、シート基材は第2方向に若干熱収縮してもよく、かかる第2方向に於ける熱収縮率(90℃温水中に10秒間浸漬)は、約-3~15%程度のものが例示される。なお、第2方向は、シート基材の面内において第1方向に対して直交する方向である。
但し、熱収縮率(%)=[{(第1方向(又は第2方向)の元の長さ)-(第1方向(又は第2方向)の浸漬後の長さ)}/(第1方向(又は第2方向)の元の長さ)]×100。
【0016】
また、シート基材は、透明又は不透明のいずれでもよい。本明細書において、透明は、有色透明又は無色透明という意味である。好ましくは透明なシート基材が用いられ、より好ましくは無色透明なシート基材が用いられる。上記例示した中で、透明なシート基材としては、合成樹脂製シート、透明蒸着シート、合成樹脂製シートと透明な別のシートの積層シートなどが挙げられる。
シート基材の厚みは、特に限定されず、例えば、20μm~500μmであり、好ましくは、30μm~200μmである。
【0017】
前記機能層としては、例えば、デザイン印刷層、バリア層、表面保護層、滑り層などが挙げられる。
デザイン印刷層は、任意の文字、記号、絵柄などのデザインを表した印刷層である。デザイン印刷層は、通常、ラベル基材2の表面側からデザインを視認できるように設けられる。例えば、シート基材が透明である場合、デザイン印刷層はシート基材の表面及び裏面の少なくともいずれか一方に設けられる。シート基材が不透明である場合、デザイン印刷層は、シート基材の少なくとも表面(表面のみ又は表面及び裏面)に設けられる。
本実施形態では、透明なシート基材の表面の全体又は一部分に、デザイン印刷層(図示せず)が設けられている。
【0018】
バリア層は、シート基材に主としてガスバリア性及び光バリア性の少なくとも一方の性質を付与する層であり、好ましくは、光バリア性及びガスバリア性を付与する層である。なお、シート基材そのものがガスバリア性及び光バリア性の少なくとも一方を有する場合又は、このようなバリア性を必要としない場合には、バリア層は省略してもよい。なお、上記例示した中で、ガスバリア性を有するシート基材としては、ガスバリア性を有する合成樹脂製シート(例えば、6ナイロン/MXDナイロン/6ナイロン、6ナイロン/エチレン-ビニルアルコール共重合体/6ナイロンなどの層構成からなる合成樹脂製シート)、金属蒸着シート、透明蒸着シートなどが挙げられる。また、光バリア性を有するシート基材としては、金属蒸着シート、発泡樹脂シート、紙、合成紙などが挙げられる。
バリア層としては、ガスバリア性及び光バリア性を付与できる金属箔、光バリア性を付与できる印刷層などが挙げられる。光バリア性を付与できる印刷層としては、銀色ベタ印刷層などが挙げられる。
本実施形態では、ガスバリア性を有する透明なシート基材が用いられている。
【0019】
表面保護層は、シート基材の最表面に設けられ、ラベル1の傷付きなどを防止する層である。
また、滑り層は、シート基材の最表面又は最裏面に設けられ、ラベラーなどの装着装置でラベル1を容器に装着する際に、その滑りを良くするための層である。
【0020】
さらに、本実施形態では、ラベル基材2の裏面に、貼着剤層5が設けられている。
貼着剤層5は、ラベル1を容器に貼り付けるために設けられた、貼着剤からなる層である。なお、ラベル1を容器に装着する直前にラベル1に貼着剤を塗工してもよいので、前記貼着剤層5は、必要に応じて設けられる。
貼着剤層5は、ラベル基材2の裏面全体に設けられてもよく、或いは、ラベル基材2の一部分(ラベル1を容器に貼り付けるために必要な箇所のみ)に設けられていてもよい。
図示例では、貼着剤層5は、ラベル基材2の裏面全体に亘って設けられている。
【0021】
貼着剤としては、容器に接着可能な粘着剤又は接着剤が用いられる。粘着剤としては、感圧型粘着剤、加熱することによって粘着性を発揮する感熱性粘着剤などを用いることができる。接着剤としては、例えば、加熱することによって接着性を発揮する感熱性接着剤、紫外線又は電子線などの光線を照射することで接着性を発揮する紫外線硬化型接着剤などの電子線硬化型接着剤、溶剤型接着剤、水系接着剤などを用いることができる。
感圧型粘着剤は、室温(23℃)で流動性及び接着性を有し且つそれが長期間持続するものをいい、感熱性粘着剤は、室温(23℃)で流動性及び接着性を有さず、加熱することによって流動性及び接着性を生じた後、室温下でもそれが長期間持続するものをいう。感熱性接着剤は、室温(23℃)で流動性及び接着性を有さず、加熱することによって流動性及び接着性を生じた後、室温下で流動性を消失しつつ接着力を維持するものをいい、紫外線硬化型接着剤などの電子線硬化型接着剤は、室温(23℃)で流動性及び接着性を有さず、電子線を照射することによって流動性及び接着性を生じた後、室温下で流動性を消失しつつ接着力を維持するものをいい、溶剤型接着剤及び水系接着剤は、室温(23℃)で流動性及び接着性を有し且つ溶剤又は水が揮発することによって流動性を消失しつつ接着力を維持するものをいう。
【0022】
人力でラベル又はラベルの一部分を剥離でき且つ剥離後再貼付できることから、貼着剤として、粘着剤を用いることが好ましい。
一方で、離型紙に貼付する必要がなく且つ貼り付け時に流動化させて接着性を発現できることから、感熱性粘着剤、感熱性接着剤、電子線硬化型接着剤などを用いることが好ましく、さらに、感熱性粘着剤又は感熱性接着剤を用いることがより好ましい。
従って、人力でラベル又はラベルの一部分を剥離でき且つ剥離後再貼付できる上、離型紙に貼付する必要がなく且つ使用時に流動化して接着性を発揮できることから、感熱性粘着剤を用いることが特に好ましい。
感熱性粘着剤としては、例えば、ホットメルト型粘着剤、パートコート型感熱粘着剤、ディレードタック型感熱粘着剤などが挙げられる。
貼着剤層5の厚みは、特に限定されず、例えば、10μm~30μmである。
【0023】
<貫通部>
ラベル基材2には、貫通部3が形成されている。貫通部3は、ラベル基材2の表裏面に貫通しており、形成された貫通部3においてラベル基材2は厚み方向において分断されている。
貫通部3は、1つ形成されていてもよく、或いは、複数(2つ以上)形成されていてもよい。
本実施形態では、ラベル1の一部分を切り取るための分断用補助線として、複数の貫通部3が形成されている。かかる分断用補助線としての複数の貫通部3は、平面視で所望の形状を描くように並んで形成される。以下、複数の貫通部3(分断用補助線)を利用して切り取られるラベル1の一部分を「副片10」という場合がある。
【0024】
図1では、封止部4に覆われた貫通部3を隠れ線(小さな破線)で表しているため、貫通部3の詳細が不明確である。このため、図4に、貫通部3の詳細を表すために、図1から封止部4を除いた状態のラベル基材2を示す。以下、表面側から見た各平面図において、封止部4に覆われた貫通部3を隠れ線(小さな破線)で表している。
主として、図4を参照して、複数の貫通部3は、所望の方向に並んで配置されており、図示例では、複数の貫通部3は、平面視略逆U字状に配置されている。
【0025】
複数の貫通部3の平面視形状は、特に限定されず、平面視略直線状、略弧状、略くの字状、略Y字状などの平面視線状;平面視略円状、略楕円状などの平面視穴空き状などが挙げられる。封止部4にて容易に塞ぐことができることから、複数の貫通部3の少なくとも一部の貫通部3が、平面視線状に形成されていることが好ましく、複数の貫通部3の全てが平面視線状に形成されていることがより好ましい。
図3を参照して、貫通部3の幅3Wは、出来るだけ小さいことが好ましく、例えば、0~1mmであり、好ましくは、0~0.5mmであり、より好ましくは、0~0.3mmである。なお、貫通部3の幅3Wは、貫通部3を成す向かい合った内端面3a,3aの間の距離をいい、貫通部3の幅が0(零)とは、前記向かい合った内端面3a,3aが(分断されているが)接している状態をいう。
【0026】
図4を参照して、複数の貫通部3は、同じ平面視形状でもよく、或いは、異なる平面視形状の貫通部3を含んでいてもよい。
また、貫通部3は、ラベル基材2の端縁を含んで形成されていてもよく、或いは、(ラベル基材2の端縁を含まず)ラベル基材2の面内に形成されていてもよい。
図示例では、貫通部3は、ラベル基材2の端縁を含んで形成された切込み貫通部31と、ラベル基材2の面内に形成された面内貫通部32と、を有する。
切込み貫通部31は、例えば、第1方向に所望間隔を開けて一対形成されている。かかる切込み貫通部31は、例えば、ラベル基材2の端縁から第2方向に延びる平面視略直線状である。
面内貫通部32は、前記一対の切込み貫通部31のそれぞれの延長線上に延びる、比較的短い平面視略直線状の第1面内貫通部321と、前記一対の切込み貫通部31のそれぞれの延長線上に延び且つ第1面内貫通部321に対して所望間隔を開けて配置された、比較的長い平面視略直線状の第2面内貫通部322と、第2方向に延びる第3面内貫通部323と、を有する。
第1面内貫通部321と第2面内貫通部322は、交互に配置され、第3面内貫通部323は、切込み貫通部31から最も離れた第2面内貫通部322(又は第1面内貫通部321)に対して所望間隔を開けて配置されている。
【0027】
切込み貫通部31はラベル基材2の端縁から形成されているので、一対の切込み貫通部31で挟まれた部分を指先で容易に摘むことができる。このため、この一対の切込み貫通部31で挟まれた部分21は、摘み部として機能する。
また、複数の面内貫通部32は、その貫通部3で所望の図形を描くように並んで形成される。図示例では、複数の切込み貫通部31及び面内貫通部32並びに一対の切込み貫通部31で挟まれたラベル基材2の端縁によって囲われた部分が、平面視略帯状となる。この部分は、副片10であり、切込み貫通部31及び面内貫通部32を利用して、ラベル基材2から容易に分断することができる。
【0028】
<封止部>
図1乃至図3において、ラベル基材2には、前記複数の貫通部3(切込み貫通部31及び面内貫通部32)を塞いで、封止部4が設けられている。
封止部4は、ラベル基材2の表面及び裏面の少なくとも一方面に固着されている。本実施形態のように、ラベル基材2の裏面に貼着剤層5が設けられている場合には、封止部4は、ラベル基材2の表面に固着されている。
かかる封止部4は、前記ラベル基材2の表面(ラベル基材2の一方面)に固着された固着部位41と、前記貫通部3を塞ぐ閉塞部位42と、を有する。固着部位41及び閉塞部位42を有する封止部4は、立体的には1つの層を成している。
固着部位41は、貫通部3の周辺のラベル基材2の表面に固着されている。
固着部位41は、容易に剥がれない程度に、ラベル基材2の表面に固着されている。容易に剥がれない程度は、例えば、爪先で剥がそうとしても、固着部位41を綺麗に剥がすことが困難な程度をいう。
【0029】
閉塞部位42は、貫通部3を介したラベル基材2の表裏面への通気を遮断できるように、貫通部3を塞いでいる。閉塞部位42の周囲には前記固着部位41が延在されている。
閉塞部位42は、前記通気の遮断を確実化するために、図3に示すように、貫通部3の内部に入り込んでいることが好ましい。貫通部3の内部に入り込んだ閉塞部位42は、貫通部3を成す内端面3aに接する部分421を有する。
封止部4は、複数の貫通部3のそれぞれに対応して、個々に設けられていてもよい(この場合、貫通部3と同数の封止部4が設けられる)。封止部4の形成が容易なことから、幾つかの貫通部3に対応して1つの封止部4が設けられていることが好ましく、さらに、全ての貫通部3に対応して1つの封止部4が設けられていることがより好ましい。
図示例では、全ての貫通部3を閉塞するように、封止部4は、ラベル基材2の表面(又は裏面)の第1方向中途部において第2方向全体に亘る平面視略帯状に設けられている。
なお、上述のように、ラベル基材2の表面全体にベタ状に封止部4を形成してもよく、この場合でも全ての貫通部3が1つの封止部4にて閉塞される。
【0030】
封止部4は、脆弱である。封止部4は、脆質で且つ機械的強度が小さい。
封止部4の機械的強度は、人力で容易に破断できる程度である。
例えば、封止部4の引張り強度は、零を超え3MPa以下であることが好ましく、零を超え1MPa以下がより好ましい。このような強度の封止部4は、脆弱性を有し、人力で容易に破断し得る。なお、一般に、ラベル基材2の引張り強度は、15MPa以上であり、好ましくは、25MPa以上である。これよりも低いラベル基材2を用いると、ラベル1の機械的強度が不足し、ラベル付き容器の保管・運搬中にラベル1に予期せぬ破断を生じるおそれがある。
前記引張り強度は、JIS K 7127に準じて測定できる。
【0031】
封止部4は、透明又は不透明でもよい。後述するように、ラベル1の一部分である副片10を切り取った後、前記副片10に表されたデザインを封止部4を介して視認できるようにするために、封止部4は透明であることが好ましい。
【0032】
前記封止部4の厚みは、特に限定されないが、その厚みが余りに小さいと閉塞部位42が破断するおそれがあり、その厚みが余りに大きいと、ラベル1の全厚に対する封止部4の厚みの割合が大きくなりすぎる。かかる観点から、封止部4の厚みは、15μm~150μmが好ましく、さらに、20μm~120μmがより好ましく、30μm~100μmがさらに好ましい。
【0033】
封止部4の形成材料は、脆弱性を有している限り特に限定されないが、通常、合成樹脂から形成される。
封止部4を形成する合成樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂などが挙げられ、中でも、比較的軟らかいことからウレタンアクリル系樹脂が好ましい。
【0034】
前記ウレタンアクリル系樹脂は、ウレタン成分とアクリル成分を必須の構成成分として構成された重合体(共重合体)である。すなわち、ウレタンアクリル系樹脂は、分子内に、ウレタン結合を有するウレタン成分部分と、(メタ)アクリロイル基を有するモノマーに由来する構成単位(構造単位)を含むアクリル成分部分と、を含む重合体である。
前記ウレタン成分は、特に限定されないが、例えば、ポリイソシアネート化合物に由来する構成単位とポリオール化合物に由来する構成単位を有する。中でも、前記ウレタン成分は、ラベル基材2との密着性向上の観点から、ポリオール化合物としてポリエステルポリオールを必須の原料成分として構成されることが好ましい。例えば、ウレタンアクリル系樹脂は、ポリエステルポリオールに由来する構成単位を少なくとも有することが好ましい。
【0035】
前記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート等の公知のジイソシアネート類が挙げられる。
前記ポリエステルポリオールは、分子内(1分子内)に2個以上の水酸基を有するポリエステル化合物であり、中でも、分子内に2個の水酸基を有するポリエステルジオールが好ましい。ポリエステルポリオールは、特に限定されないが、ジカルボン酸成分とジオール成分を必須の構成成分として構成された重合体であることが好ましい。
【0036】
前記アクリル成分は、(メタ)アクリロイル基を有するモノマー(単量体)を必須のモノマー成分として構成される。アクリル成分を構成するモノマー成分には(メタ)アクリロイル基を有するモノマー以外のモノマー成分が含まれていてもよいが、アクリル成分を構成するモノマー成分は(メタ)アクリロイル基を有するモノマーのみからなることが好ましい。
前記(メタ)アクリロイル基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなどの直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸;カルボキシエチルアクリレートなどのカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル;2-ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;N-メチロール(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリル酸アミド誘導体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルエステル類などが挙げられる。
【0037】
本発明のラベル1は、例えば、次のような方法で製造できる。
裏面に貼着剤層5が積層されたラベル基材2に貫通部3を形成する。
貫通部3の形成は、例えば、貫通部3の平面視形状に合致した切断刃(穿孔刃)をラベル基材2の表面側から裏面に至るまで突き刺す、或いは、前記切断刃(穿孔刃)をラベル基材2の裏面側から表面に至るまで突き刺す、或いは、ラベル基材2の表面側(又は裏面側)からレーザーを照射する、などの方法が挙げられる。
例えば、切断刃(穿孔刃)をラベル基材2の表面側から裏面に至るまで突き刺す方法にて貫通部3を形成すると、図3に示すように、ラベル基材2の表面のうち貫通部3の周辺が貫通部3を中心にしてすり鉢状に凹み、貫通部3の周辺が貫通部3を中心に裏面側へ下がるテーパ面となる。貫通部3の周辺が裏面側へ下がるテーパ面となることに伴い、貫通部3の裏面のうち貫通部3の周辺が突出するようになる。
【0038】
貫通部3を形成したラベル基材2に、貫通部3を閉塞するように封止部4を形成する。
封止部4の形成方法は、特に限定されず、公知な方法を採用できる。
例えば、前記封止部4の形成材料(合成樹脂)及び必要に応じて添加される添加剤を含む塗工液を調製し、前記塗工液を貫通部3及び貫通部3の周辺を含む所望の領域に塗布し、塗工液を固化させることによって封止部4を形成できる。封止部4の形成材料として紫外線硬化型樹脂を採用することもでき、この場合の塗工液として、例えば、紫外線硬化型インキを用いることができる。かかるインキを用いた封止部4は、紫外線硬化型インキが固化したインキ被膜から構成される。
前記塗工液の塗工方法は、特に限定されず、公知の印刷法、コータ法を採用できる。所望の範囲に容易に塗工できることから、印刷法にて封止部4を形成することが好ましく、さらに、比較的厚みの大きい封止部4を形成できることから、シルクスクリーン印刷法にて封止部4を形成することが好ましい。印刷法で形成する場合、例えば、紫外線硬化型インキを印刷し、紫外線を照射してインキを固化させることよって、脆弱な封止部4を形成できる。
前記塗工液の塗工によれば、図3に示すような、閉塞部位42が貫通部3内に入り込んだ封止部4を容易に形成できる。
また、封止部4は、前記封止部4の形成材料(合成樹脂)及び必要に応じて添加される添加剤を含む樹脂材料を溶融させ、その溶融樹脂をラベル基材2の表面に積層することによって形成することもできる。このような樹脂材料の溶融押出法によって封止部4を形成する場合には、ラベル基材2の表面(ラベル基材2の一方面)の全体に封止部4を形成することが好ましい。
【0039】
<ラベルの使用例>
本発明のラベル1は、様々な容器に装着して使用される。
容器としては、例えば、PETボトルなどの飲料容器、バイアル瓶、アンプル瓶などの医薬品容器、調味料容器、シャンプーなどのサニタリー容器、洗剤容器、化粧品容器などの各種容器が挙げられる。
本発明のラベル1は、貫通部3から蒸気が侵入し難いので、オートクレーブ殺菌が行われる容器、例えば、医薬品容器に装着するラベル1として好適である。
図5乃至図7は、本発明のラベル1と、前記ラベル1が装着された医薬品容器7と、を有するラベル付き容器Aを示す。
図示例では、医薬品容器7としてプレフィルドシリンジを例示している。
かかる医薬品容器7(プレフィルドシリンジ)は、筒状胴部71と筒状胴部71の前方閉塞面に形成された薬剤注出口となる注射針装着部72とを有する容器本体73と、注射針装着部72に取り付けられたキャップ部74と、容器本体73の後方開口部に挿入されたプランジャー栓部75と、容器本体73内に封入された薬剤(図示せず)と、を有する。
【0040】
ラベル1は、前記容器本体73からキャップ部74を被覆するように装着されている。具体的には、ラベル1は、ラベル基材2の第1方向が筒状胴部71の周方向となるように、容器本体73及びキャップ部74の周囲に巻き付けられ、ラベル基材2の第1方向一方側の側端部2aの表面に第1方向反対側の側端部2bの裏面が重ねられて貼り付けられている。ラベル1のうち筒状胴部71に巻き付け装着された領域は殆ど熱収縮されておらず、一方、ラベル1のうち注射針装着部72及びキャップ部74に巻き付け装着された領域は、第1方向(筒状胴部71の周方向)に熱収縮されることにより、キャップ部74の周面に貼り付けられると共にキャップ部74の天面74a側へ折れ曲げられ前記天面74aに貼り付けられている。ラベル1は、貼着剤層5を介して前記容器本体73やキャップ部74に貼り付けられている。
なお、ラベル1のうち副片10(複数の貫通部3で囲われた部分)は、容器本体73の筒状胴部71に対応して装着されており、従って、副片10を含むその周辺領域は殆ど熱収縮されていない。容器7に装着された状態で、ラベル1は筒状を成している。
【0041】
前記ラベル付き容器Aは、例えば、次のようにして製造できる。
貼着剤層5が感熱性粘着剤又は感熱性接着剤から形成されている場合には、加熱して感熱性粘着剤などの接着性を発現させる。
次に、図8(a)に示すように、ラベル1の第1方向一方側の側端部2aの裏面を、貼着剤層5を介して医薬品容器7の筒状胴部71に貼り付けた後、ラベル1を筒状胴部71の周方向に巻き付け、第1方向反対側の側端部2bの裏面を一方側の側端部2aの表面に貼着剤層5を介して貼り付ける(同図(b)参照)。
最後に、ラベル1を加熱することにより、注射針装着部72及びキャップ部74に対応する領域が主として第1方向に熱収縮し、図5乃至図7に示すようなラベル付き容器Aを得ることができる。
【0042】
医薬品が収容されたラベル付き容器Aは、必要に応じて、オートクレーブ殺菌に供される。
本発明のラベル1は、貫通部3が封止部4によって閉塞されているので、オートクレーブ殺菌時に、貫通部3を通じてラベル1の裏面側に蒸気が侵入することを効果的に防止できる。
一般に、裏面に貼着剤層が設けられているラベルにあっては、貫通部から蒸気が侵入することによって貼着剤層の粘着性が低下し、容器からラベルが浮き上がる結果、皺などが生じやすい。この点、本発明のラベル1では、そのような事態を防止でき、ラベル1の良好な装着状態が保持される。
また、ラベル付き容器Aを保管・運搬中に貫通部3から粉塵などが入り込むことを防止できる。
さらに、貫通部3を閉塞する封止部4は脆弱であるため、複数の貫通部3を利用して副片10を容易に切り取ることができる。
例えば、ラベル付き容器Aのラベル1のうち、一対の切込み貫通部31で挟まれた部分21である摘み部を指で摘み、第2方向に引き出すことにより、図9に示すように、複数の貫通部3に従って副片10を切り出すことができる。封止部4は脆弱であるため、封止部4が副片10を切り取る際の障害にならず、副片10を容易に切り取ることができる。
切り取った副片10は、所望の用途に利用できる。例えば、ラベル付き容器Aにあっては、副片10に含まれるデザイン印刷層に、医薬品の製造年月日や製造ロットなどの医薬品情報を印刷しておく。そして、ラベル付き容器Aから切り取った副片10をカルテに貼り付けることにより、医薬品のトレーサビリティが可能となる。また、医療従事者が、副片10に所望の情報を書き込んでカルテなどに貼り付けてもよい。
【0043】
<変形例>
上記では、閉塞部位42が貫通部3の内側に入り込んでいる封止部4を有するラベル1を説明したが、例えば、図10に示すように、閉塞部位42が貫通部3の内側に実質的に入り込んでいない封止部4であってもよい。かかる封止部4は、固着部位41が貫通部3の周辺の表面に固着されているが、閉塞部位42は貫通部3の表面側に止められている。このような封止部4は、例えば、上記で説明した樹脂材料の溶融押出法によって形成できる。
【0044】
さらに、上記では、ラベル基材2の表面のうち貫通部3の周辺が裏面側へ下がるテーパ面とされたラベル1を説明したが、例えば、図11に示すように、ラベル基材2の表裏面が貫通部3の周辺を含んで平坦状であってもよい。このようなラベル1は、例えば、貫通部3を上記で説明したレーザーによって形成することによって得られ得る。
【0045】
また、図12に示すように、ラベル基材2の表面のうち貫通部3の周辺が表面側へ上がるテーパ面とされていてもよい。このようなラベル1は、例えば、上記で説明した、切断刃(穿孔刃)をラベル基材2の裏面側から表面に至るまで突き刺して貫通部3を形成することによって得られ得る。
なお、図11及び図12の例にあっては、閉塞部位42が貫通部3の内側に入り込んでいるが、これらの例についても、図10のように閉塞部位42が貫通部3の内側に実質的に入り込んでいなくてもよい(図示せず)。
【0046】
本発明のラベルは上記第1実施形態に限られず、本発明の意図する範囲で様々に変更できる。以下、第2実施形態を説明するが、その説明に於いて、主として上記第1実施形態と異なる構成及び効果について説明し、上記第1実施形態と同様の構成などについては、(それを説明したものとして)用語又は符号をそのまま援用し、その構成の説明を省略する場合がある。
【0047】
[第2実施形態]
第2実施形態は、複数の貫通部がラベル基材の一方の端縁から反対側の端縁にまで形成されているラベルに関する。
図13乃至図15において、本実施形態のラベル1も、ラベル基材2と、前記ラベル基材2の面内に形成された貫通部3と、前記貫通部3を塞ぐ脆弱な封止部4と、を有し、好ましくは、ラベル基材2の裏面に設けられた貼着剤層5をさらに有する。
貫通部3は、図14に示すように、切込み貫通部35と、面内貫通部36と、を有する。切込み貫通部35は、複数形成されており、ラベル基材2の第2方向一方側の端縁から第2方向に延びる一対と、ラベル基材2の第2方向反対側の端縁から第2方向に延びる一対と、からなる。
面内貫通部36は、複数形成されており、前記第2方向一方側の切込み貫通部35と反対側の切込み貫通部35の間に断続的に形成されている。
図示例では、4つの切込み貫通部35は、平面視略直線状で且つ同じ形状に形成され、複数の面内貫通部36は、平面視略直線状で且つ同じ形状に形成されている。もっとも、上記第1実施形態で説明したように、切込み貫通部35及び面内貫通部36の平面視形状は適宜な形状に形成できる。
かかる貫通部3を閉塞するように、第2方向全体に亘る平面視帯状の封止部4がラベル基材2の表面に設けられている。本実施形態の拡大断面図は、図3(或いは、図10乃至図12)と同様なので省略する。
【0048】
また、本実施形態では、貼着剤層5は、ラベル基材2の裏面全体に設けられておらず、ラベル基材2の第1方向一方側の側端部2a及び反対側の側端部2bに帯状に設けられている。なお、図14において、貼着剤層が設けられた範囲を判り易く図示するため、その範囲に無数のドットを付加している。
前記複数の貫通部3は、この貼着剤層5が設けられた側端部2a,2b以外の領域に形成されている。
【0049】
図16は、第2実施形態のラベル1が容器8に装着されているラベル付き容器Bを示す。
かかるラベル付き容器Bは、容器8と、容器8の周囲に巻き付け装着されたラベル1と、を有する。
容器8は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。図示例では、円筒状などの筒状胴部81と筒状胴部81の上方に形成され且つ上方に向かうに従って縮径した肩部82とを有する容器本体83と、容器本体83の注出口を塞ぐキャップ部84と、を有する。このような容器8は、一般に、飲料などを充填する容器8として公知である。
ラベル1は、ラベル基材2の一方側の側端部2aが貼着剤層5を介して筒状胴部81に貼り付けられ、ラベル基材2の第1方向が筒状胴部81の周方向となるように筒状胴部81の周囲に巻き付けられ、前記一方側の側端部2aの表面に反対側の側端部2bの裏面が重ねられて貼着剤層5を介して貼り付けられている。容器8に装着された状態で、ラベル1は筒状を成している。また、ラベル1は殆ど熱収縮されていない。
【0050】
本実施形態のラベル付き容器Bも貫通部3が封止部4によって閉塞されているので、ラベル付き容器Bの保管・運搬中にラベル1の裏面側に粉塵などが入り込むことを防止できる。
また、一対の切込み貫通部35で挟まれた部分を摘んで、外側に引き出すことにより、複数の貫通部3に従って副片10を切り取ることができる。本実施形態のように、複数の貫通部3がラベル基材2の第2方向一方側の端縁から反対側の端縁にまで断続的に形成されていることにより、筒状となったラベル1を容易に容器8から取り外すことができる。特に、複数の貫通部3は貼着剤層5が設けられた側端部以外の領域に形成されているので、副片10の裏面には貼着剤層5が存在せず、副片10の切り取りも容易である。
【0051】
[その他の実施形態]
上記第1及び第2実施形態では、封止部4をラベル基材2の表面(又は裏面)の一部分に設ける例として、封止部4が第2方向全体に亘る平面視略帯状に設けけられる場合を図示した。これ以外の例として、例えば、図17(a)に示すように、封止部4が、全ての貫通部3を覆いつつ第2方向中途部にまで平面視略帯状に設けられていてもよく、或いは、図17(b)に示すように、封止部4が、全ての貫通部3を覆いつつ第2方向中途部に且つ第1方向全体に亘る平面視略帯状に設けられていてもよく、或いは、図18(a)に示すように、封止部4が、全ての貫通部3を覆うように平面視略逆U字状に設けられていてもよい。その他、封止部4を設ける範囲は前記に限られず、適宜変更可能である。
【0052】
また、図18(b)に示すように、ラベル基材2の第2方向一方側の端縁部(及び/又は第2方向反対側の端縁部)を部分的に延出させることによって、延出摘み部29を形成してもよい。このように延出摘み部29を形成することにより、副片10の切り取りを容易に行える。
なお、この摘み部29の表面(又は裏面)に封止部4が設けられていなくても本発明の効果を奏するが、製造工程を考慮すると、摘み部29にも封止部4が連続的に設けられていることが好ましい。
【0053】
さらに、上記第1実施形態において例示した略Y字状や略くの字状の貫通部3を、図19に図示している。
略Y字状の貫通部35は、通常、ラベル基材2の面内に形成され、略くの字状の貫通部36は、ラベル基材2の面内及び/又は端縁から形成される。
【0054】
上記第1及び第2実施形態では、容器8に装着した状態で筒状に形成されるラベル1を例示したが、容器8に装着する前から筒状に形成されているラベル1であってもよく、或いは、容器8に装着した状態で筒状とならないラベル1でもよい。
また、本発明のラベル1は、貼着剤層5を介して容器8に装着される場合に限られず、例えば、ラベル基材2の熱収縮によって容器8に装着されるものでもよい。
なお、上記第1実施形態で説明したように、熱収縮性を有さないラベル基材2を用いて本発明のラベル1を構成してもよい。
また、上記第1実施形態で説明したように、副片10を切り出すための分断用補助線として利用され得る貫通部とする場合には、貫通部3は複数形成されていることが好ましく、上記例では、切込み貫通部と面内貫通部のそれぞれがラベル基材2に形成されているが、例えば、一対の切込み貫通部のみを形成してもよく、或いは、所定方向に並んだ複数の面内貫通部のみを形成してもよい(図示せず)。
その他、上記様々な実施形態から選ばれる2以上の構成を組み合わせてもよく、或いは、上記様々な実施形態から選ばれる1つ又は2つ以上の構成を、それ以外の実施形態に置換してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 ラベル
2 ラベル基材
3,31,32,321,322,323,35,36 貫通部
4 封止部
41 固着部位
42 閉塞部位
5 貼着剤層
7 医薬品容器
A,B ラベル付き容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19