(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-03
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】シャワー浴検知装置
(51)【国際特許分類】
F24H 15/00 20220101AFI20220204BHJP
【FI】
F24H1/00 E
(21)【出願番号】P 2017221779
(22)【出願日】2017-11-17
【審査請求日】2020-08-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 純一
(72)【発明者】
【氏名】嶋崎 勝
【審査官】長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-098952(JP,A)
【文献】特開2015-218969(JP,A)
【文献】特開2011-252685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
F24F 11/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室に設置されたシャワー及び給湯栓を含む給湯対象部に給湯を行う給湯運転を実行する機能を有する給湯装置と、
該給湯装置の給湯運転時の通水を検知する通水検知手段と、
前記浴室内の温度分布を検出し得るように該浴室に設置された温度分布検出器と、
前記通水検知手段により通水が検知されている状態で、前記温度分布検出器により検出された温度分布から、所定温度以上の領域であって、且つ所定の形状パターンを有する領域が検出された場合に、シャワー浴が行われていることを検知するシャワー浴検知部とを備え
ており、
前記所定の形状パターンは、前記領域が、前記シャワー側に先細りの先端部を有すると共に該シャワー側から離れるに伴い拡幅するというパターンであることを特徴とするシャワー浴検知装置。
【請求項2】
請求項
1記載のシャワー浴検知装置において、
前記シャワー浴検知部によりシャワー浴が行われていることが検知された場合に、該給湯装置のエネルギー消費量を抑制するように、前記給湯装置の運転制御を行う制御装置をさらに備えることを特徴とするシャワー浴検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室でのシャワー浴を検知する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1に見られるように、浴室及びその隣接室に備えた人感センサにより浴室及び隣接室のそれぞれの利用者が居るか否かを検出すると共に、浴室内の水栓やシャワーから吐出される湯量を流量検出手段により検出することと、浴槽内の湯はり量や浴槽内に利用者が浸っているか否か等を湯はり検出手段により検出することとを行い、これらの検出情報を用いて、浴室及びその隣接室の暖房制御を行うシステムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、浴室で利用者がシャワー浴を行った場合に、そのシャワー浴の実行を、浴室内での利用者の他の行動と区別して検知することができれば、様々な利点が生じ得ると考えられる。例えば、シャワー浴に適した態様で温水の温調制御や流量制御、あるいは空調制御を行ったり、あるいは、シャワー浴の快適性を損なわないようにしつつ、シャワー浴の実行中のエネルギー消費量を極力低減する等の処置をとることが可能となる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に見られる如き従来の技術は、浴室内でのシャワーの利用を、水栓の利用と区別して検知し得るものではなかった。
【0006】
なお、例えば、シャワー用の水路に水流センサもしくは流量センサを備えることで、シャワー浴の実行を検知することが考えられるものの、その場合には、該水流センサや流量センサがシャワーに専用的なものとなると共に、該水流センサや流量センサを配置するための水路構造が必要となるため、コスト的に不利なものとなりやすい。
【0007】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、浴室でのシャワー浴を適切に検知することができる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のシャワー浴検知装置は、上記の目的を達成するために、浴室に設置されたシャワー及び給湯栓を含む給湯対象部に給湯を行う給湯運転を実行する機能を有する給湯装置と、
該給湯装置の給湯運転時の通水を検知する通水検知手段と、
前記浴室内の温度分布を検出し得るように該浴室に設置された温度分布検出器と、
前記通水検知手段により通水が検知されている状態で、前記温度分布検出器により検出された温度分布から、所定温度以上の領域であって、且つ所定の形状パターンを有する領域が検出された場合に、シャワー浴が行われていることを検知するシャワー浴検知部とを備えることを基本構成とする。
【0009】
ここで、シャワー浴の実行時には、前記通水検知手段により通水が検知される。また、シャワー浴の実行時に、シャワーの噴出口からユーザに至る湯の通過領域は、ある温度以上の領域になると共に、該通過領域は一般に特徴的な形状パターンの領域となる。
【0010】
そこで、本発明では、前記シャワー浴検知部は、前記通水検知手段により通水が検知されている状態で、温度分布検出器により検出された温度分布から、所定温度以上の領域であって、且つ所定の形状パターンを有する領域が検出された場合に、シャワー浴が行われていることを検知する。これにより、浴室でのシャワー浴を適切に検知することが可能となる。
【0011】
シャワーから噴出される湯の全体は、通常、シャワーの噴出口から遠ざかるに伴い広がっていく。そこで、本発明では、前記所定の形状パターンとして、例えば、前記領域が、前記シャワー側に先細りの先端部を有すると共に該シャワー側から離れるに伴い拡幅するというパターンであることを特徴とした。これにより浴室でのシャワー浴を好適に検知することができる。
【0012】
なお、本発明において、「先細りの先端部」というのは、例えば楔形状の端部のように、先端に近いほど、細くなるような先端部を意味する。
【0013】
また、本発明では、前記シャワー浴検知部によりシャワー浴が行われていることが検知された場合に、例えば、該給湯装置のエネルギー消費量を抑制するように、前記給湯装置の運転制御を行う制御装置をさらに備えることが好ましい。
【0014】
これによれば、シャワー浴の実行中に、該シャワー浴に適した態様で、給湯装置のエネルギー消費量を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態のシャワー浴検知装置の全体構成を示す図。
【
図2】実施形態でのシャワー浴の検知処理を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態を
図1及び
図2を参照して以下に説明する。
図1を参照して、本実施形態のシャワー浴検知装置は、給湯装置1と、浴室BRに設置された温度分布検出器50とを備える。
【0017】
給湯装置1は、本実施形態では、所謂、風呂給湯装置であり、浴室BR及び台所等の給湯対象部への給湯を行う給湯運転を実行する機能を有することに加えて、浴室BR内の浴槽BTの湯はりを行う湯はり運転等の風呂運転を実行する機能を有する。この場合、風呂運転には、湯はり運転の他、浴槽BT内の湯を加熱する追い焚き運転、浴槽BTに足し湯を行う足し湯運転、浴槽BT内の湯水の保温を行う保温運転等も含まれ得る。
【0018】
この給湯装置1は、湯水の加熱を行い得るように構成された熱源機2と、熱源機2の作動制御等を行う機能を有する制御装置30と、給湯装置1の運転操作用の一つ以上のリモコン、例えば2つのリモコン40,41とを含む。
【0019】
熱源機2は、該熱源機2内に水道水等の給湯用水を導入する給水路3と、熱源機2内で加熱した給湯用水(湯)を給湯対象部に供給する給湯路4とが接続されていると共に、浴槽BT内の湯水を熱源機2との間で循環させる循環水路10を介して浴槽BTに接続されている。
【0020】
給水路3の上流側は水道管等を介して給水源に接続され、給湯路4の下流側は、浴室BR及び台所等の給湯対象部に備えられた給湯栓(所謂、カラン)等に、該給湯路4に連通する水路を介して接続されている。例えば、本実施形態では、浴室BRの給湯対象部B1には、給湯栓CU及びシャワーSHが設置されている。そして、これらの給湯栓CU及びシャワーSHが、給湯路4から浴室BRに至る水路4aの下流端に接続されている。
【0021】
熱源機2には、給水路3により導入される給湯用水を加熱するための熱源部を構成する第1熱交換器5及び第1バーナ6と、給水路3から給湯路4への通水を検知するための通水検知手段としての通水検知用センサ8と、浴槽BT内の湯水を循環水路10を通して循環させる循環ポンプ11と、浴槽BT内の湯水を加熱するための熱源部を構成する第2熱交換器12及び第2バーナ13とが搭載されている。
【0022】
第1熱交換器5は、給水路3から給湯路4への通水を該第1熱交換器5を介して行い得るように、給水路3と給湯路4との間に介装されている。なお、給水路3により熱源機2に導入される給湯用水の一部を、第1熱交換器5を経由させずに給湯路4に通水させるためのバイパス路が、該第1熱交換器5と並列に介装されていてもよい。
【0023】
第1バーナ6は、例えばガスバーナであり、その燃焼熱により第1熱交換器5を加熱する(ひいては、給水路3から第1熱交換器5を通って給湯路4に流れる給湯用水を加熱する)ように配置されている。
【0024】
通水検知用センサ8は、例えば、流量センサあるいは水流スイッチ等により構成され、給水路3及び給湯路4の一方、例えば給水路3に組み付けられている。また、給水路3及び給湯路4の一方、例えば給水路3には、給水路3から給湯路4への通水流量を調整するための水量制御弁9が組み付けられている。
【0025】
循環水路10は、浴槽BTの湯水の循環時に熱源機2側から浴槽BTに湯水を流す往路側水路10aと、浴槽BT側から熱源機2に湯水を流す復路側水路10bとにより構成される。往路側水路10a及び復路側水路10bのそれぞれの浴槽BT側の端部は、浴槽BTの側壁部にアダプタBaを介して接続され、該アダプタBaを介して浴槽BT内に連通されている。また、往路側水路10a及び復路側水路10bのそれぞれの熱源機2側の端部は、循環ポンプ11の吐出口と吸入口とに各々接続されている。
【0026】
第2熱交換器12は、循環水路10の途中で浴槽BTの湯水を該第2熱交換器12に流通させ得るように、該循環水路10の途中部、例えば、往路側水路10aの途中部に介装されている。なお、循環水路10で流通する湯水の一部を、第2熱交換器12を経由させずに流通させるためのバイパス路が、該第2熱交換器12と並列に介装されていてもよい。
【0027】
第2バーナ13は、例えばガスバーナであり、その燃焼熱により第2熱交換器12を加熱する(ひいては、循環水路10の途中で第2熱交換器12を通って流れる湯水を加熱する)ように配置されている。
【0028】
循環水路10の途中部、例えば復路側水路10bの途中部が、熱源機2の内部において、湯はり用水路20を介して給湯路4に接続されている。該湯はり用水路20には、該湯はり用水路20を開閉する電磁弁21と、該湯はり用水路20の通水流量を検出する水量センサ22とが組み付けられている。
【0029】
従って、電磁弁21を開弁制御しつつ、第1バーナ6の燃焼運転を行うことで、第1熱交換器5で加熱された給湯用水(湯)を給湯路4から湯はり用水路20及び循環水路10を介して浴槽BTに給湯する(すなわち、浴槽BTの湯はり、又は足し湯を行う)ことができるようになっている。
【0030】
補足すると、第1バーナ6及び第2バーナ13は、ガスバーナに限らず、灯油等の液体燃料を燃焼させるバーナであってもよい。また、本実施形態では、熱源機2は、バーナ6,13を含む燃焼式の熱源機であるが、バーナ6,13の代わりに、又はバーナ6,13に加えて、電気式の加熱源(ヒートポンプ式の加熱源を含む)を備えていてもよい。
【0031】
リモコン40,41のうちのリモコン40は、浴室BRに設置されるリモコン、リモコン41は、浴室BR以外の箇所、例えば台所に設置されるリモコンである。これらのリモコン40,41は、制御装置30と通信し得るように該制御装置30に有線接続されている。これらのリモコン40,41を操作することで、給湯装置1の種々の運転の実行もしくはその停止を制御装置30に指令したり、各給湯対象部に供給する湯水の温度である給湯温度の目標値や浴槽BT内の湯温である風呂温度の目標値、浴槽BT内の湯水の水位の目標値等の種々の運転条件を制御装置30に対して設定することが可能である。
【0032】
なお、リモコン40,41と制御装置30との間の通信方式は、有線通信に限らず、無線通信であってもよい。また、給湯装置1は、リモン40,41以外のリモコンをさらに含んでいてもよい。
【0033】
制御装置30は、マイコン、メモリ、インターフェース回路等を含む一つ以上の電子回路ユニットにより構成され、熱源機2に搭載されている。該制御装置30は、各リモコン40,41との通信によって種々の指令信号や設定情報が入力されると共に、給湯装置1に備えられた前記通水検知用センサ8を含む種々のセンサの検出信号と、温度分布検出器50の検出信号とが入力される。なお、図示は省略するが、通水検知用センサ8以外のセンサとしては、例えば給湯温度を検出する温度センサ、風呂温度を検出する温度センサ、浴槽BT内の湯水の水位を検出する水位センサ等が含まれる。
【0034】
そして、制御装置30は、実装されたハードウェア構成及びプログラム(ソフトウェア構成)により実現される機能として、
図1の二点鎖線枠で示すように、熱源機2の作動(詳しくは、第1バーナ6及び第2バーナ13のそれぞれの燃焼運転、水量制御弁9の作動、循環ポンプ11の作動、電磁弁21の開閉)を制御する運転制御部31としての機能と、浴室BRでのユーザPのシャワー浴が行われた場合にそれを検知するシャワー浴検知部32としての機能とを含む。
【0035】
この場合、運転制御部31は、シャワー浴検知部32の検知結果に応じた態様で熱源機2の作動を制御することが可能である。
【0036】
なお、制御装置30は、上記の機能以外に、例えば、浴室BRの天井部もしくは側壁に設置される暖房装置等の浴室空調装置(図示省略)の運転を制御する機能等を含み得る。
【0037】
温度分布検出器50は、本実施形態では、例えばサーモパイル型赤外線センサアレイ、あるいは、サーモパイルアレイにより構成される。該温度分布検出器50の正面側の所定範囲内の温度分布を検出する。該温度分布検出器50は、浴室BRでユーザPがシャワー浴を行った場合に、シャワーSHの側方から所定範囲内の温度分布を検出し得るように、浴室BRの側壁に設置されている。この温度分布検出器50により検出された温度分布を示す検出信号は、制御装置30に直接的に、もしくは浴室BR内のリモコン40を介して送信される。
【0038】
なお、温度分布検出器50の検出信号は、制御装置30だけでなく、図示しない浴室空調装置の制御装置にも送信されるようになっていてもよい。この場合、浴室空調装置の制御装置は、温度分布検出器50により検出された温度分布に応じた態様で浴室BRの空調制御を行うことができる。
【0039】
次に、浴室BRでユーザPがシャワー浴を行った場合の作動に関して説明する。浴室BR内のユーザPが、シャワー浴を行うべく、シャワーSH又は給湯栓CUの操作を行うと、給水路3から給湯路4を介してシャワーSHへの通水が行われる。このとき、制御装置30は、通水検知用センサ8の検出信号に基づいて当該通水を検知し、その検知に応じて、運転制御部31により、第1バーナ6の燃焼運転を開始させる。この場合、運転制御部31は、第1バーナ6の燃焼量(発生熱量)を、シャワーSHへの給湯温度を、リモコン40又は41で設定された目標値に一致もしくはほぼ一致させるように制御する。
【0040】
これにより、目標値に一致もしくはほぼ一致する給湯温度の湯がシャワーSHから噴出され、この状態で、ユーザPのシャワー浴が行われる。
【0041】
また、制御装置30は、上記のように通水検知用センサ8の検出信号により給水路3から給湯路4への通水が検知されている状態で、温度分布検出器50の検出信号により示される温度分布を取得し、該温度分布に基づいて、シャワー浴が行われているか否かを検知する処理をシャワー浴検知部32により逐次実行する。
【0042】
なお、取得する温度分布は、通水開始後の所定のサンプリング時刻(例えば、給湯温度の検出値と目標値との差が所定値以下に達した後の所定のサンプリング時刻)での瞬時的な温度分布でもよいが、例えば、通水開始後の所定の時間幅(例えば、給湯温度の検出値と目標値との差が所定値以下に達した後の所定の時間幅)の期間における平均の温度分布であってもよい。
【0043】
シャワー浴検知部32は、取得した温度分布から、所定温度以上となっている領域(以降、対象領域という)を抽出する。該所定温度としては、例えば、給湯温度の目標値よりも若干小さい温度、あるいは、人の標準的な体温よりも若干高い温度が用いられる。そして、シャワー浴検知部32は、抽出した対象領域の形状パターンに基づいて、シャワー浴が行われているか否かを判定する。
【0044】
ここで、シャワーSHの噴出口から噴出される湯は、ユーザPに達するまでは、
図1に破線(シャワーSHに連なる破線)で概略的に示すように、シャワーSHの噴出口から徐々に広がっていく(詳しくは、湯の存在領域の幅がシャワーSHの噴出口から離れるに伴い広がっていく)。そして、当該湯は、ユーザPに達すると、該ユーザPの体表面で拡散する。
【0045】
このため、温度分布検出器50の検出信号により制御装置30が取得した温度分布から抽出される対象領域は、概ね、
図2に参照符号53を付した如き形状の領域となる。すなわち、対象領域53は、シャワーSH側に先細りの先端部53aを有すると共に該先端部53aから離れるに伴い拡幅するというパターンの形状(以降、特徴形状という)を有する。この特徴形状が、本発明における所定の形状パターンに相当するものである。なお、シャワーSHの噴出口と、ユーザPとの間の空間における対象領域53の形状(換言すれば、対象領域53のうちの先端部53a寄りの形状)は概ね楔型の形状となる。
【0046】
そこで、シャワー浴検知部32は、抽出した対象領域が、上記特徴形状を有するものであるか否かを判定し、該特徴形状を有する場合には、シャワー浴が行われていると判定する。また、抽出した対象領域が、上記特徴形状を有しないものである場合、あるいは、前記所定温度以上の対象領域が抽出できなかった場合には、シャワー浴が行われていないと判定する。このようにシャワー浴検知部32の処理を行うことで、シャワー浴が実際に行われている場合には、それを適正に検知することができる。また、シャワー浴が行われていない場合に、シャワー浴が誤検知されるのを高い信頼性で回避することができる。
【0047】
制御装置30は、シャワー浴検知部32によりシャワー浴が行われていることが検知された場合には、当該検知がなされなくなるまで、給湯装置1のエネルギー消費量を抑制するための制御処理(以降、省エネ制御処理という)を運転制御部31により実行する。なお、該省エネ制御処理は、リモコン40又は41の操作によって、省エネモードが設定されている場合にだけ行うようにしてもよい。
【0048】
上記省エネ制御処理で、運転制御部31が実行する制御処理の例を以下にいくつか説明する。
【0049】
(第1例)シャワー浴では、一般に、シャワーSHからの湯の噴出量(単位時間当たりの噴出量)はさほど大きなものである必要はない。そこで、運転制御部31は、シャワー浴の実行が検知された後、給水路3から給湯路4への通水流量を、前記通水検知用センサ8又はこれとは別の流量センサの検出信号により逐次検出し、その検出値が、所定の上限値を超えた場合には、シャワー浴の実行が検知されなくなるまで、通水流量を該上限値に制限するように水量制御弁9を制御する。これにより、シャワーSHからの湯の噴出量が必要以上に過剰になるのが抑制される。ひいては、第1バーナ6の燃料使用量(エネルギー消費量)が抑制される。
【0050】
(第2例)シャワー浴では、一般に、シャワーSHから噴出される湯の温度はさほど高い温度である必要はない。そこで、運転制御部31は、シャワー浴の実行が検知された後、給湯温度の目標値又は検出値が所定温度(例えば人の標準的な体温よりも所定値だけ高い温度)よりも高い場合には、シャワー浴の実行が検知されなくなるまで、給湯温度を該所定温度に制限するように、第1バーナ6の燃焼量を制御する。これにより、第1バーナ6の燃料使用量(エネルギー消費量)が抑制される。
【0051】
(第3例)給湯装置1が浴槽BT内の湯温を保温するための保温運転を実行可能である場合、該保温運転は、複数のユーザの入浴の合間に浴槽BT内の湯が冷めてしまうのを防止するためのものである。従って、該保温運転は、浴室BRに入浴者が居る状態では、不要である場合が多い。そこで、運転制御部31は、シャワー浴の実行が検知された後、給湯装置1の保温運転機能がON状態になっている場合には、シャワー浴の実行が検知されなくなるまで、保温運転の実行(より詳しくは、浴槽BT内の湯の自動的な追い焚きを間欠的に実行する運転)を禁止する。これにより、第2バーナ13の燃料使用量(エネルギー消費量)が抑制される。
【0052】
(第4例)一回当たりのシャワー浴に要する継続時間や湯の総量は、一般に、さほど長時間もしくは多量のものである必要はない。そこで、運転制御部31は、シャワー浴の実行が検知された後、シャワー浴の実行の検知が継続する時間を計測すると共に、給水路3から給湯路4への通水流量を、前記通水検知用センサ8又はこれとは別の流量センサの検出信号により逐次検出し、その検出値を積算する。
【0053】
そして、計測時間が所定の上限時間に達し、且つ、通水流量の検出値の積算値が所定の上限総量に達すると、運転制御部31は、前記第1例と同様に、シャワー浴の実行が検知されなくなるまで、通水流量を所定の上限値に制限するように水量制御弁9を制御する。これにより、シャワーSHからの湯の噴出の継続時間や、該湯の噴出総量が必要以上に過剰になるのが抑制される。ひいては、第1バーナ6の燃料使用量(エネルギー消費量)が抑制される。
【0054】
(第5例)給湯装置1が、浴槽BT内の湯量が減った場合に、該浴槽BT内に自動的に足し湯を行う自動足し湯運転を実行可能である場合、該自動足し湯運転は、複数のユーザの入浴の合間に浴槽BT内に湯を適宜補充するためのものである。従って、該自動足し湯運転は、浴室BRに入浴者が居る状態では、不要である場合が多い。そこで、運転制御部31は、シャワー浴の実行が検知された後、給湯装置1の自動足し湯運転機能がON状態になっている場合には、シャワー浴の実行が検知されなくなるまで、自動足し湯運転の実行を禁止する。これにより、第1バーナ6の燃料使用量(エネルギー消費量)が抑制される。
【0055】
本実施形態では、前記省エネ制御処理は、例えば上記の如く実行される。これにより、シャワー浴の実行が検知された場合には、それに適した態様で、給湯装置1のエネルギー消費を抑制することができる。なお、省エネ制御処理は、上記の例に限らず、他の態様であってもよい。
【0056】
以上説明した実施形態によれば、通水検知用センサ8により給水路3から給湯路4への通水が検知された状態で、温度分布検出器50により検出される温度分布に基づいてシャワー浴の実行の有無を検知することで、当該検知を高い信頼性で適切に行うことができる。
【0057】
そして、シャワー浴の実行が検知された場合には、それに適した態様で、給湯装置1のエネルギー消費量を抑制するための省エネ制御処理を実行することができる。
【0058】
なお、以上説明した実施形態では、給湯装置1は、風呂運転を実行可能なものであるが、風呂運転を実行する機能を持たないものであってもよい。
【0059】
また、前記実施形態では、制御装置30にシャワー浴検知部32としての機能を備えたが、例えば、浴室BRのリモコン40、あるいは、温度分布検出器50に付設した制御処理部に、シャワー浴検知部32としての機能を備えるようにしてもよい。
【0060】
また、前記制御装置30が、浴室空調装置の運転制御を行う機能を有する場合には、シャワー浴の実行が検知された場合に、浴室BR内の空調制御を適宜変化させるようにしてもよい。
【0061】
また、前記実施形態では、シャワー浴の実行時における前記対象領域(検出された温度分布のうちの所定温度以上の領域)の特徴形状を、先細りの先端部を有すると共に該先端部から離れるに伴い拡幅するというパターンの形状として、該対象領域が該特徴形状を有するか否かを判定するようにした。ただし、該特徴形状は、例えば、大まかな形状以外の特徴項目を含んでいてもよい。例えば、該特徴形状は、対象領域の先端部の幅の範囲、対象領域の先端からの幅の広がり度合い(先端からの距離の単位長当たりの幅の変化率)の範囲、対象領域の先端から一定距離の位置における幅の範囲等が規定されていてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…給湯装置、8…通水検知用センサ(通水検知手段)、30…制御装置、32…シャワー浴検知部、50…温度分布検出器、53…温度分布から検出される領域、BR…浴室、B1…給湯対象部、SH…シャワー、CU…給湯栓。