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特許7018746ラボラトリ試料分配システムおよびラボラトリオートメーションシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-03
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】ラボラトリ試料分配システムおよびラボラトリオートメーションシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20220204BHJP
   G01N 35/04 20060101ALI20220204BHJP
【FI】
G01N35/02 C
G01N35/04 G
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017227667
(22)【出願日】2017-11-28
(65)【公開番号】P2018096981
(43)【公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-10-07
(31)【優先権主張番号】16201805.5
(32)【優先日】2016-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100203611
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 大地
(72)【発明者】
【氏名】アーメド・ハッサン
【審査官】瓦井 秀憲
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-172643(JP,A)
【文献】特表2015-503089(JP,A)
【文献】特表平08-510554(JP,A)
【文献】特開2014-153276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-35/10
B65G 54/00-54/02
G05D 1/00- 1/12
G05D 3/00- 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラボラトリ試料分配システム(100)であって、
- 1つまたは複数の試料容器(145)を搬送するように構成されたいくつかの試料容器キャリア(140)であって、それぞれの試料容器キャリア(140)が、少なくとも1つの磁気的に活性な装置(141)を備える試料容器キャリア(140)と、
- 前記試料容器キャリア(140)を支持するように構成された移送面(110)と、
- 前記移送面(110)の下に静置されたいくつかの電磁作動装置(120)であって、前記電磁作動装置(120)が、前記試料容器キャリア(140)に磁力を加えることにより、前記移送面(110)の上部上の前記試料容器キャリア(140)を動かすように構成された電磁作動装置(120)と、
- 回転装置(130)であって、
- 回転面(131)と、
- 前記回転面(131)の回転運動を引き起こすように構成された回転駆動装置(132)と、を備える回転装置(130)と、
- 回転されるべき試料容器キャリア(140)が前記回転面(131)上に動くように前記電磁作動装置(120)を駆動し、前記試料容器キャリア(140)の回転を引き起こすように前記回転駆動装置(132)を制御するように構成される、制御装置(150)と、
を備える、ラボラトリ試料分配システム(100)。
【請求項2】
- 前記回転面(131)の高さおよび前記移送面(110)の高さが同一であることを特徴とする、
請求項1に記載のラボラトリ試料分配システム(100)。
【請求項3】
- 前記回転装置(130)が、回転式プレート(133)を備え、
- 前記回転式プレート(133)のある側面が、前記回転面(131)を形成し、
- 前記回転装置(130)が、前記回転式プレート(133)の回転運動を引き起こすように構成されることを特徴とする、
請求項1または2に記載のラボラトリ試料分配システム(100)。
【請求項4】
- 前記移送面(110)が、凹所(180)を備え、
- 前記回転式プレート(133)が、前記凹所(180)内に配置されることを特徴とする、
請求項3に記載のラボラトリ試料分配システム(100)。
【請求項5】
- 前記回転式プレート(133)が、異方性の磁気特性を有する磁気的に活性な装置(190)を備えることを特徴とする、
請求項3または4に記載のラボラトリ試料分配システム(100)。
【請求項6】
- 前記電磁作動装置(120)が、強磁性コア(121)を備え、
- 前記強磁性コア(121)のうちの少なくとも1つが、上側の垂直位置と下側の垂直位置の間で垂直に移動可能であり、
- 前記上側の垂直位置では、前記垂直に移動可能な強磁性コア(121)の上面が、前記垂直に移動可能な強磁性コア(121)の上方に配置された前記試料容器キャリア(140)に接触し、
- 前記垂直に移動可能な強磁性コア(121)の前記上面が、前記回転面(131)を形成し、
- 前記回転駆動装置(132)が、前記垂直に移動可能な強磁性コア(121)の回転運動を引き起こすように構成されることを特徴とする、
請求項1または2に記載のラボラトリ試料分配システム(100)。
【請求項7】
- 前記垂直に移動可能な強磁性コア(121)の上方に配置された試料容器キャリア(140)の前記磁気的に活性な装置(141)、および/または前記回転駆動装置(132)、および/または電磁作動装置(120)が、前記垂直に移動可能な強磁性コア(121)を、前記上側の垂直位置から前記下側の垂直位置へ動かすように構成され、かつ/または前記垂直に移動可能な強磁性コア(121)を、前記下側の垂直位置から前記上側の垂直位置へ動かすように構成されることを特徴とする、
請求項6に記載のラボラトリ試料分配システム(100)。
【請求項8】
- 前記回転面(131)と前記回転面に配置された前記試料容器キャリア(140)の1つの面が、確実な連結または摩擦式の連結を形成することを特徴とする、
請求項1から7のいずれか一項に記載のラボラトリ試料分配システム(100)。
【請求項9】
- 回転されるべき前記試料容器キャリア(140)によって保持される試料容器(145)に配置されたバーコードラベル(161)をスキャンするように構成されたバーコードスキャニングユニット(160)を備え、
- 前記バーコードラベル(161)が、前記バーコードスキャニングユニット(160)によって読取り可能であるように、前記制御装置(150)が、前記回転面(131)の回転運動を引き起こすように構成される、
請求項1から8のいずれか一項に記載のラボラトリ試料分配システム(100)。
【請求項10】
- いくつかのラボラトリステーション(20、30)と、
- 請求項1から9のいずれか一項に記載のラボラトリ試料分配システム(100)であって、前記試料容器(145)を前記ラボラトリステーション(20、30)間で分配するように構成される、ラボラトリ試料分配システム(100)と、を備える、
ラボラトリオートメーションシステム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラボラトリ試料分配システムおよびラボラトリオートメーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のラボラトリ試料分配システムは、通常は、試料容器に収容された試料を様々なラボラトリステーション間で移送するために、ラボラトリオートメーションシステムで使用される。
【0003】
典型的なラボラトリ試料分配システムが、文書WO2013/064656A1で開示されている。このようなラボラトリ試料分配システムは、高い処理能力および信頼性の高い動作を提供する。
【0004】
米国特許第9248982(B2)号は、試料容器を移送するための移送システムを開示し、試料容器は、基部が車輪である試料容器キャリアに配置される。
WO2013/098202A1は、平面モータの形をとる駆動手段を備える、試料または試薬用の移送システムを開示する。
【0005】
ラボラトリオートメーションシステムの分析前ステーション、分析ステーション、および/または分析後ステーションの間で、試料容器を受け取り、保持し、移送するための典型的な試料容器キャリアが、DE102014202838B3に示される。
【0006】
WO2016/012517A1は、移送面上で、磁力によって試料容器を移送するための試料容器キャリアを開示する。
ラボラトリ試料分配システムによって分配される試料容器は、その試料容器に収容された試料を識別するために、バーコードまたは他の識別タグを含んでもよい。このような識別タグは、光学的認識装置、たとえばバーコードリーダまたはカメラによって読み出されてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】WO2013/064656A1
【文献】米国特許第9248982(B2)号
【文献】WO2013/098202A1
【文献】DE102014202838B3
【文献】WO2016/012517A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、識別タグは、普通は試料容器の周囲全体にわたって広がっていないので、特定の状況では、このような識別タグを読み取るのは複雑であることが判明した。試料容器は、通常はラボラトリ試料分配システムの移送面上で自由に回転できるので、識別タグを読み取るために試料容器がある位置に配置されるとき、読取り装置が、識別タグの十分な部分を識別できない可能性がある。
【0009】
本発明の目的は、試料容器の識別タグの十分な部分を識別するためのラボラトリ試料分配システムおよびラボラトリオートメーションシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、請求項1に記載のラボラトリ試料分配システムおよび請求項10に記載のラボラトリオートメーションシステムを提供することによって、この目的に対処する。
ラボラトリ試料分配システムは、いくつかの試料容器キャリアを備える。試料容器キャリアの数は、たとえば1から1,000,000までの範囲の数でもよい。
【0011】
試料容器キャリアは、1つまたは複数の試料容器を搬送し、かつ/または保持し、かつ/または収納するように構成される。試料容器は、通常は、ガラスまたは透明なプラスチックでできた管として設計され、通常は上端に開口を有する。ラボラトリ試料容器を使用して、血液試料、漿液(血清)(原語では“(blood) serum”)または血漿試料、尿試料、分離用ゲル、凝血塊(cruor:血餅とも)(血液細胞(blood cells))、化学試料などのラボラトリ試料を収容し、収納し、移送してもよい。試料容器は、回転対称でもよい。
【0012】
それぞれの試料容器キャリアは、少なくとも1つの磁気的に活性な装置を備える。磁気的に活性な装置は、永久磁石または電磁石でもよい。
ラボラトリ試料分配システムは、試料容器キャリアを支持または搬送するように構成された移送面をさらに備える。移送面は平面でもよく、試料容器キャリアは、移送面の上部上に配置される。
【0013】
ラボラトリ試料分配システムは、いくつかの電磁作動装置をさらに備える。電磁作動装置の数は、たとえば1から1,000,000までの範囲の数でもよい。
電磁作動装置は、移送面の下で、たとえば格子を形成する行と列に静置される。電磁作動装置は、強磁性コアを有するコイルでもよい。コイルは、磁界を発生させるように構成されてもよい。電磁作動装置によって発生した磁界は、移送面を貫いてもよい。磁界は、試料容器キャリアの磁気的に活性な装置の磁界と相互作用してもよい。試料容器キャリアに加えられる磁力は、この磁界の相互作用の結果である場合がある。磁力により、試料容器キャリアは、移送面上を摺動し、かつ/または動くことができる。このように、電磁作動装置は、試料容器キャリアの磁気的に活性な装置に磁力を加えることによって、移送面の上部上で試料容器キャリアを動かすように構成される。
【0014】
ラボラトリ試料分配システムは、回転装置をさらに備える。回転装置は、回転面を備える。回転面は、円形の面でもよい。回転面は、寸法において移送面の寸法に比べて小さくてもよい。回転面は、特定の側面、たとえば回転式の要素の上側として具現化されてもよい。回転式の要素は、回転可能に取付けられてもよい。回転装置は、回転面の回転運動を引き起こすように構成された回転駆動装置をさらに備える。回転駆動装置は、電動モータまたは空気圧モータでもよい。追加的に、または別法として、移送面の下に配置された電磁作動装置が、回転駆動装置を形成してもよい。
【0015】
ラボラトリ試料分配システムは、制御装置、たとえばパーソナルコンピュータまたはマイクロプロセッサベースの制御装置の形をとる制御装置をさらに備える。制御装置は、電磁作動装置を駆動するように構成される。それぞれの試料容器キャリアは、駆動された電磁作動装置に応答して、経路に沿って動いてもよい。試料容器キャリアの経路は、個別の経路でもよい。制御装置は、回転されるべき試料容器キャリアが回転面へ移動するように、電磁作動装置を駆動するように構成される。制御装置は、試料容器キャリアの回転が引き起こされるように、回転駆動装置をさらに制御するように構成される。
【0016】
回転面の寸法は、回転されるべき試料容器キャリアのフットプリントに比べて大きくてもよい。回転面は、回転されるべき試料容器キャリアを支持し、または搬送するように構成されてもよい。回転されるべき試料容器キャリアは、回転面の上方(above)または上部上(on the top)に配置されてもよい。回転面上に配置されるとき、試料容器キャリアは、搬送される試料容器と共に回転する。
【0017】
一実施形態では、回転面の(垂直の)高さおよび移送面の高さは同一である。高さは、同一の基準点を有する高度でもよい。回転面および移送面の高さが同一であることにより、回転されるべき試料容器キャリアが回転面へ動くとき、試料容器キャリアが傾くのを防止することができる。
【0018】
一実施形態では、回転装置は、回転式プレートを備える。回転式プレートは、円筒形でもよい。回転式プレートの上側は、回転面を形成してもよい。回転式プレートの上側は、回転式プレートの接面であってもよい。回転駆動装置は、回転式プレートの回転運動を引き起こすように構成される。回転駆動装置によって生じて回転式プレートに加えられる力によって、回転運動が引き起こされ得る。力は、確実な連結(positive connection)または摩擦式の連結を介して、回転式プレートに加えられてもよい。
【0019】
一実施形態では、移送面は、凹所を備える。凹所は、円形の形状を有してもよい。回転式プレートは、凹所の内部に配置されてもよい。回転式プレートは、凹所の内部に、回転可能に配置されてもよい。凹所および移送面を画定する要素は、1つの部品でもよい。
【0020】
一実施形態では、回転式プレートは、異方性の磁気特性、好ましくは異方性磁界を有する、磁気的に活性な装置を備える。外部で発生した磁界が、回転式プレートに配置された磁気的に活性な装置の磁界と相互作用することによって、回転力が発生する。回転式プレートに配置された磁気的に活性な装置は、永久磁石、たとえば棒磁石、または強磁性の材料として具現化されてもよい。
【0021】
一実施形態では、電磁作動装置は、それぞれの強磁性コアを備える。強磁性コアは、強磁性の材料でできた円柱形のものとして具現化されてもよい。強磁性コアの少なくとも1つは、上側の垂直位置と下側の垂直位置との間で垂直に移動可能に配置される。下側の垂直位置では、垂直に移動可能な強磁性コアは、移送面の下に位置してもよい。上側の垂直位置では、垂直に移動可能な強磁性コアの上面が、垂直に移動可能な強磁性コアの上に配置された試料容器キャリアの底面に接触する。下側の垂直位置では、垂直に移動可能な強磁性コアの上面は、通常は、試料容器キャリアの底面に接触しない。垂直に移動可能な強磁性コアの上面は、回転面を形成する。上面は、円柱の形状を有する垂直に移動可能な強磁性コアの上側でもよい。
【0022】
回転駆動装置は、垂直に移動可能な強磁性コアの回転運動を引き起こすように構成される。回転駆動装置は、垂直に移動可能な強磁性コアと機能的に連結してもよい。回転駆動装置は、垂直に移動可能な強磁性コアに力を加えることができ、この力は、垂直に移動可能な強磁性コアの回転を引き起こし得る。
【0023】
一実施形態では、垂直に移動可能な強磁性コアの上方に配置された試料容器キャリアの磁気的に活性な装置および/または回転駆動装置および/または電磁作動装置は、垂直に移動可能な強磁性コアを、上側の垂直位置から下側の垂直位置へ動かすように構成され、および/または、これ/これらは、垂直に移動可能な強磁性コアを、下側の垂直位置から上側の垂直位置へ動かすように構成される。垂直に移動可能な強磁性コアの運動は、磁界と強磁性コアの強磁性の材料との相互作用から生じる力によって引き起こされてもよい。制御装置は、垂直に移動可能な強磁性コアの運動を制御し、かつ/または開始するように構成されてもよい。
【0024】
一実施形態では、回転面とその回転面に配置される試料容器キャリアの1つの面は、確実な連結または摩擦式の連結を形成する。この確実な連結または摩擦式の連結により、試料容器キャリアの回転運動の最初および/または最後に、試料容器キャリアが滑ることを防止することができる。
【0025】
一実施形態では、ラボラトリ試料分配システムは、バーコードスキャニングユニットをさらに備える。このバーコードスキャニングユニットは、回転されるべき試料容器キャリアによって保持される試料容器に配置されるバーコードラベルをスキャンするように構成される。制御装置は、バーコードラベルがバーコードスキャニングユニットによって読取り可能であるように、回転面の回転運動を引き起こし、その結果として、回転面に配置され、スキャンされるべきバーコードラベルを有する試料容器を保持する試料容器キャリアの回転運動を引き起こすように構成される。回転面は、回転されるべき試料容器キャリアを回転させてもよい。バーコードスキャニングユニットは、試料容器キャリアの回転運動中に、バーコードラベルをスキャンするように構成されてもよい。バーコードは、移送されるべき試料容器キャリアの移動先を決定することができ、かつ/または試料容器に収容された試料に関連する情報を含むことができる。
【0026】
ラボラトリオートメーションシステムは、上述のラボラトリ試料分配システムを備える。ラボラトリオートメーションシステムは、いくつかのラボラトリステーションをさらに備える。ラボラトリステーションの数は、たとえば、1から100の範囲の数でもよい。
【0027】
ラボラトリステーションは、たとえば、分析前ステーション、分析ステーションおよび/または分析後ステーションでもよい。
分析前ステーションは、試料および/またはラボラトリ試料容器の、任意の種類の前処理を実施するように構成されてもよい。
【0028】
分析ステーションは、試料またはその試料の一部および/または試薬を使用して、測定信号を生成するように構成されてもよく、この測定信号は、分析物の有無およびその濃度を示す。
【0029】
分析後ステーションは、試料および/または試料容器の、任意の種類の後処理を実施するように構成されてもよい。
分析前ステーション、分析ステーションおよび/または分析後ステーションは、キャップ取外しステーション、キャップ再取付けステーション、分取ステーション、遠心分離ステーション、記録保管ステーション、ピペッティングステーション、選別ステーション、管タイプ識別ステーション、試料品質判定ステーション、付加バッファステーション、液面高さ検知ステーション、封止/開封ステーションのうち、少なくとも1つを備えてもよい。
【0030】
ラボラトリ試料分配システムは、ラボラトリステーション間で試料容器を分配するように構成される。ラボラトリ試料分配システムは、スキャンされたバーコードラベルに応答して、試料容器をラボラトリステーション間で分配するように構成されてもよい。
【0031】
本発明は、本発明の実施形態を概略的に示す図面に関連して、詳細に述べられる。図面を通じて、同じ要素は同じ参照符号で示される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】回転式プレートを備える第1の実施形態によるラボラトリ試料分配システムの概略図である。
図2】垂直に移動可能な強磁性コアを有する電磁作動装置を備えた別の実施形態によるラボラトリ試料分配システムの概略図である。
図3】垂直に移動可能な強磁性コアを備える図2の電磁作動装置を、より詳細に示す概略図である。
図4】別の実施形態によるラボラトリ試料分配システムの概略図である。
図5】試料分配システムを備えるラボラトリオートメーションシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、いくつかの試料容器キャリア140を備えるラボラトリ試料分配システム100を概略的に示す図である。説明のために、試料容器キャリア140の個数の代表として、3つだけの試料容器キャリア140が示されている。試料容器キャリア140の数は、たとえば、10から10,000の範囲の数でもよい。それぞれの試料容器キャリア140は、永久磁石の形をとる磁気的に活性な装置141を備える。さらに、それぞれの試料容器キャリア140は、試料容器145を保持する。バーコードラベル161が、それぞれの試料容器145に配置される。
【0034】
試料容器キャリア140は、ラボラトリ試料分配システム100の一部である平坦な移送面110に配置される。試料容器キャリア140は、移送面110を/移送面110上を摺動し、かつ/または動くように構成される。さらに、いくつかの、または複数の電磁作動装置120が、移送面110の下に静置される。電磁作動装置120は、試料容器キャリア140の永久磁石141に磁力を引き起こす磁界を発生させるように構成される。試料容器キャリア140は、この磁力の結果として、移送面110を/移送面110上を動く/摺動する。
【0035】
磁界の発生、およびそれに従う磁力の発生は、制御装置150によって制御される。制御装置150は、それぞれの試料容器キャリア140が個別の経路で摺動するように電磁作動装置120を駆動するように構成され、この経路は、制御装置150によって計画され、かつ/または制御される。
【0036】
試料分配システム100は、バーコードスキャニングユニット160をさらに備える。バーコードスキャニングユニット160は、各試料容器145に配置されたバーコードラベル161をスキャンするように構成される。バーコードラベル161をスキャンするために、制御装置150は、スキャンされるべきバーコードラベル161を有する試料容器145を備える試料容器キャリア140が、回転装置130の回転式プレート133上へ摺動するように、電磁作動装置120を駆動する。回転式プレート133および移送面110は、試料容器キャリア140が移送面110から回転式プレート133上に摺動するとき、これが傾くのを防止するために、同一の高さを有する。
【0037】
試料容器キャリア140が回転面131に配置されるとき、制御装置150は、回転駆動装置132を制御して、試料容器キャリア140を回転させる。試料容器キャリア140の回転中、バーコードスキャニングユニット160は、繰り返し、バーコードラベル161を読み取ろうと試みる。バーコードラベル161が正常に読み取られたとき、バーコードスキャニングユニット160は、読み取ったバーコードを制御装置150へ伝達し、制御装置150は、回転面131を回転させるのを止める。次いで、制御装置150は、試料容器キャリア140が回転式プレート133から離れるように、電磁作動装置120を駆動する。
【0038】
図2は、ラボラトリ試料分配システム100の別の実施形態を示す。ラボラトリ試料分配システム100は、円柱形の貫通孔125を有する移送面110を備える。貫通孔125は、電磁作動装置120の垂直に移動可能な円柱形の強磁性コア121に対して、同心円状に配置される。貫通孔125の直径は、試料容器キャリア140のそれぞれの台の直径よりも小さく、したがって、試料容器キャリア140は、開口125上を摺動しかつ/または動く。しかし、貫通孔125の直径は、垂直に移動可能な強磁性コア121の直径よりも大きく、したがって、垂直に移動可能な強磁性コア121は、移送面110を貫通することができる。
【0039】
図3は、図2の貫通孔125の下に配置された電磁作動装置120を、より詳細に示す。電磁作動装置120は、垂直に移動可能な強磁性コア121およびコイル122を備える。垂直に移動可能な強磁性コア121は、コイル122によって囲われる。コイル122は、強磁性コア121を径方向に固定する働きをする。垂直に移動可能な強磁性コア121の前側または上側は、回転面131を形成する。
【0040】
垂直に移動可能な強磁性コア121は、回転駆動装置132が、強磁性コア121の回転を引き起こすことができるように、回転駆動装置132と機能的に連結される。
垂直に移動可能な強磁性コアの上方に配置された試料容器キャリア140の磁気的に活性な装置141は、垂直に移動可能な強磁性コア121を、下側の垂直位置から上側の垂直位置への運動を引き起こす。垂直に移動可能な強磁性コア121に付与されたコイル122は、作動されるとき、垂直に移動可能な強磁性コア121が、上側の垂直位置から下側の垂直位置へ戻る運動を引き起こす、その結果、垂直に移動可能な強磁性コア121は、必要なときに、その下側の垂直位置と上側の垂直位置との間で移行することができる。
【0041】
下側の垂直位置では、回転面131は、移送面110の下に位置する。上側の垂直位置では、回転面131は、開口125を通過し、上方に配置された試料容器キャリア140の底に接触する。
【0042】
封止材170が、貫通孔125と、垂直に移動可能な強磁性コア121との間に配置されてもよい。封止材170は、移送面110と移動可能な強磁性コア121の間の間隙を物体が通過するのを防止する。封止材170は、たとえば、ギャップシール、ラビリンスシール、または互いにかみ合う形のものでもよい。
【0043】
バーコードラベル161をスキャンするために、第1のステップでは、垂直に移動可能な強磁性コア121は、下側の垂直位置にあり、制御装置150は、スキャンされるべきバーコードラベル161を有する試料容器145を搬送する試料容器キャリア140が、貫通孔125の上方へ摺動するように、電磁作動装置120を駆動する。
【0044】
試料容器キャリア140の磁気的に活性な装置141は、垂直に移動可能な強磁性コア121を、上側の垂直位置まで垂直な運動を引き起こす。
上側の垂直位置では、垂直に移動可能な強磁性コア121は、摩擦クラッチのように、試料容器キャリア140の底面に接触する。
【0045】
制御装置150は、次いで、回転駆動装置132を制御することによって、垂直に移動可能な強磁性コア121の回転運動を開始する。
次いで、バーコードスキャニングユニット160は、垂直に移動可能な強磁性コア121の回転運動中に、バーコードラベル161を読み取る。バーコードラベル161が正常に読み取られたとき、バーコードスキャニングユニット160は、読み取ったバーコードを、制御装置150に伝達する。制御装置150は、バーコードラベルが正常に読み取られた後、垂直に移動可能な強磁性コア121の回転運動が止まるように、回転駆動装置132を制御するように構成される。
【0046】
次いで、制御装置150は、垂直に移動可能な強磁性コア121の、下側の垂直位置へ戻る運動を開始する。
さらに、制御装置150は、試料容器キャリア140が貫通孔125から離れるように、電磁作動装置120を駆動する。
【0047】
進歩的なラボラトリ試料分配システム100の別の実施形態が、図4に示される。ラボラトリ試料分配システム100は、凹所180を有する移送面110を備える。回転式プレート133は、凹所180内に、回転可能に挿入される。回転式プレート133は、異方性磁界を有する棒磁石の形をとる磁気的に活性な装置190を備える。この棒磁石は、水平方向、すなわち、移送面110に対して平行に延在する。
【0048】
回転式プレート133は、磁気的に活性な装置190の磁界と、電磁作動装置120の磁界の相互作用から生じる磁力によって回転される。回転式プレート133は、磁気的に活性な装置190を含めて、電動モータのロータを形成する。電磁作動装置120は、電動モータのステータを形成する。電磁作動装置120は、回転磁界を引き起こすように制御され、ロータは、この回転磁界に従って回転する。言い換えれば、電磁作動装置120および回転式プレート133は、同期モータを形成する。
【0049】
回転式プレート133は、試料容器キャリア140の底面に、摩擦クラッチのように接触してもよい。
バーコードスキャニングユニット160によってバーコードラベル161をスキャンするために、制御装置150は、スキャンされるべきバーコードラベル161を有する試料容器145を備える試料容器キャリア140が、回転式プレート133上に摺動するように、電磁作動装置120を駆動する。次いで、制御装置150は、回転式プレート133が回転するように、電磁作動装置120を駆動する。次いで、バーコードスキャニングユニット160は、すでに図1~3に関連して述べたように、回転装置130の回転運動中に、バーコードラベル161をスキャンする。
【0050】
図5は、2つのラボラトリステーション20および30を備えるラボラトリオートメーションシステム10を概略的に示す図である。ラボラトリステーション20および30は、試料容器145に備えられた試料を処理する。
【0051】
たとえば、ラボラトリステーション20は尿検査を実施し、ラボラトリステーション30は血液分析を実施する。ラボラトリオートメーションシステム10は、たとえば図1~4に示されたような試料分配システム100をさらに備える。
【0052】
試料分配システム100は、試料容器145をラボラトリステーション20と30の間で分配するように構成される。ラボラトリステーション20と30の間の分配は、試料容器145に配置された、スキャンされたバーコードラベル161に応答してなされる。分配は、制御装置150によって制御されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5