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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-03
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 13/00 20060101AFI20220204BHJP
   B41J 2/32 20060101ALI20220204BHJP
【FI】
B41J13/00
B41J2/32 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2017250090
(22)【出願日】2017-12-26
(65)【公開番号】P2019115985
(43)【公開日】2019-07-18
【審査請求日】2020-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】本田 和広
(72)【発明者】
【氏名】阿部 栄文
(72)【発明者】
【氏名】西山 輝
(72)【発明者】
【氏名】柳田 慧
(72)【発明者】
【氏名】北村 雅彦
【審査官】飯田 義久
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-044547(JP,A)
【文献】特開2009-119733(JP,A)
【文献】特開2013-233751(JP,A)
【文献】特開平08-112951(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0128614(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 13/00
B41J 2/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーマルヘッドおよびプラテンローラを支持するフレームと、
印刷媒体の搬送をガイドする搬送ガイド部と、前記印刷媒体を前記サーマルヘッドと前記プラテンローラとの間に搬送する給紙ローラとを有する搬送ユニットと
を備え、
前記搬送ユニットは、前記印刷媒体の搬送方向における上流側に設けられた上流側係合部と、前記搬送方向における下流側に設けられた下流側係合部とを有し、前記上流側係合部および前記下流側係合部の各々が、前記フレームの所定の位置に係合することにより、前記フレームに位置決めおよび固定される
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記フレームは、左右両側壁部を互いに繋ぎ合わせる接続部を有し、
前記下流側係合部は、スナップフィット構造により、前記接続部に設けられた下流側被係合部に嵌め込まれて係合する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記上流側係合部は、上側規制部および下側規制部を有しており、前記上側規制部と前記下側規制部との隙間内に、前記フレームに設けられた上流側被係合部が前記下流側から挿し込まれることにより、前記上流側被係合部に対する上下方向への移動を規制可能に、前記上流側被係合部に係合する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記隙間は、前記下流側から前記上流側に向って徐々に上下幅が狭くなる形状を有している
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記搬送ユニットは、
前記プラテンローラを駆動する駆動モータを有し、
前記搬送ユニットおよび前記フレームの各々は、
前記駆動モータの回転軸と前記プラテンローラの回転軸との間に介在する少なくとも一つの歯車を回転自在に支持し、
前記搬送ユニットが前記フレームに位置決めおよび固定されることにより、前記搬送ユニット側に設けられた一の前記歯車と、前記フレーム側に設けられた他の一の前記歯車とが、互いに噛み合う
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記フレームを側面視したとき、前記一の歯車の回転軸中心と、前記他の一の歯車の回転軸中心と、前記下流側係合部による係合位置とが、略一直線上に並べて設けられている
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記搬送ユニットは、
前記印刷媒体の搬送を検出するセンサを有する
ことを特徴とする請求項5または6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記センサは、
前記上流側係合部と前記下流側係合部との間に設けられている
ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記搬送ユニットは、
当該搬送ユニットの左端部近傍に設けられた第1の前記下流側係合部と、
当該搬送ユニットの右端部近傍に設けられた第2の前記下流側係合部と
を有することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記搬送ユニットは、
当該搬送ユニットの中央部近傍に形成された中央係合部
を有することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記搬送ユニットは、
当該搬送ユニットが前記フレームに位置決めおよび固定された状態において、前記フレームに設けられた凹部または凸部に嵌合する、凸部または凹部を有する
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サーマルプリンタでは、サーマルヘッドとプラテンローラとの間において印刷媒体(例えば、感熱紙)を挟持することにより、印刷媒体をサーマルヘッドに押し当て、その状態で、サーマルヘッドに設けられた発熱素子によって印刷媒体を加熱することにより、印刷媒体に画像を形成する構成を採用している。
【0003】
一般的に、このようなサーマルプリンタは、サーマルヘッドとプラテンローラとの間に印刷媒体を送り込むための給紙ローラ、および、印刷媒体の搬送をガイドするための搬送ガイドが設けられている。例えば、下記特許文献1には、第1の起立フレーム壁によって、給紙コア軸および給紙ガイド部を支持するとともに、第2の起立フレーム壁によって、サーマルヘッド、プラテンローラ、およびフィードローラ(給紙ローラ)を支持するように構成された、感熱式印刷版プリンタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-221590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年では、サーマルプリンタの小型化が顕著であり、各構成部品が小型化しているうえに、各構成部品間の距離も近接しているため、上述した特許文献1の感熱式印刷版プリンタのように、フレームに対して各構成部品(サーマルヘッド、プラテンローラ、給紙ローラ、搬送ガイド)を個別に組み込む構成を採用した場合、組み立て作業が困難になる虞がある。
【0006】
そこで、例えば、印刷媒体の搬送に関する部品(例えば、給紙ローラおよび搬送ガイド)を予めユニット化しておき、当該ユニットをフレームに組み込む構成を採用することで、組み立て作業の工程数を軽減する方法も考えられる。しかしながら、この場合、フレームに対するユニットの組み込み精度に依存して、フレーム側で規定される印刷位置とユニット側で規定される搬送位置との位置関係を高精度に維持することが困難であり、よって、印刷媒体に対する印刷性能が低下してしまう虞がある。また、ユニットをフレームに確実に固定するために、ユニットをフレームにネジ止めする必要があり、結局は、組み立て作業の工程数を軽減できなくなってしまう虞がある。
【0007】
このようなことから、各構成部品を容易且つ高精度に組み込み可能とすることにより、印刷位置と搬送位置との位置関係を高精度に維持し、印刷媒体に対する印刷性能を高めることが可能な、画像形成装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態の画像形成装置は、サーマルヘッドおよびプラテンローラを支持するフレームと、印刷媒体の搬送をガイドする搬送ガイド部と、前記印刷媒体を前記サーマルヘッドと前記プラテンローラとの間に搬送する給紙ローラとを有する搬送ユニットとを備え、前記搬送ユニットは、前記印刷媒体の搬送方向における上流側に設けられた上流側係合部と、前記搬送方向における下流側に設けられた下流側係合部とを有し、前記上流側係合部および前記下流側係合部の各々が、前記フレームの所定の位置に係合することにより、前記フレームに位置決めおよび固定される。
【発明の効果】
【0009】
一実施形態によれば、各構成部品を容易且つ高精度に組み込み可能とすることにより、印刷位置と搬送位置との位置関係を高精度に維持し、印刷媒体に対する印刷性能を高めることが可能な、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係るサーマルプリンタの外観を示す斜視図である。
図2】一実施形態に係るサーマルプリンタの外観を示す斜視図である。
図3】一実施形態に係るサーマルプリンタの平面図である。
図4】一実施形態に係るサーマルプリンタの左側面図である。
図5】一実施形態に係るサーマルプリンタの右側面図である。
図6】一実施形態に係るサーマルプリンタの正面図である。
図7図1に示すサーマルプリンタのA-A断面図である。
図8】一実施形態に係るサーマルプリンタの組み立て構造を説明するための斜視図である。
図9】一実施形態に係るサーマルプリンタの組み立て構造を説明するための右側面図である。
図10】一実施形態に係るサーマルプリンタにおける複数枚のギヤの噛合構成を示す一部拡大図である。
図11】一実施形態に係るサーマルプリンタが備えるフレームおよびベース部材の外観(正面側)を示す斜視図である。
図12】一実施形態に係るサーマルプリンタが備えるフレームおよびベース部材の外観(背面側)を示す斜視図である。
図13】一実施形態に係るサーマルプリンタが備えるフレームおよびベース部材の正面図である。
図14】一実施形態に係るサーマルプリンタが備えるフレームおよびベース部材の背面図である。
図15】一実施形態に係るサーマルプリンタが備えるベース部材の側面図である。
図16】フレームに対してベース部材の上流側の部分が取り付けられた状態を示す斜視図である。
図17】フレームに対してベース部材の上流側の部分が取り付けられた状態を示す斜視図である。
図18】フレームに対してベース部材の上流側の部分が取り付けられた状態を示す側面図である。
図19】フレームに対してベース部材の全体が取り付けられた状態を示す斜視図である。
図20】フレームに対してベース部材の全体が取り付けられた状態を示す斜視図である。
図21】フレームに対してベース部材の全体が取り付けられた状態を示す側面図である。
図22】フレームに対してベース部材の全体が取り付けられた状態(背面側を下流側から見たときの状態)を示す斜視図である。
図23】フレームに対してベース部材の全体が取り付けられた状態(背面側を上流側から見たときの状態)を示す斜視図である。
図24】中央係合部による係合状態を示す拡大図である。
図25】ギヤと下流側係合部との位置関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、一実施形態について説明する。
【0012】
〔サーマルプリンタ100の基本的な構成〕
初めに、図1図7を参照して、一実施形態に係るサーマルプリンタ100の基本的な構成について説明する。
【0013】
図1および図2は、一実施形態に係るサーマルプリンタ100の外観を示す斜視図である。図3は、一実施形態に係るサーマルプリンタ100の平面図である。図4は、一実施形態に係るサーマルプリンタ100の左側面図である。図4は、一実施形態に係るサーマルプリンタ100の右側面図である。図6は、一実施形態に係るサーマルプリンタ100の正面図である。図7は、図1に示すサーマルプリンタ100のA-A断面図である。なお、以降の説明では、便宜上、図中Z軸方向を、上下方向とし、図中X軸方向(感熱紙Pの搬送方向、サーマルヘッド105の短手方向)を、前後方向とし、図中Y軸方向(感熱紙Pの搬送方向と直交する方向、サーマルヘッド105の長手方向)を、左右方向とする。但し、Z軸正方向を上、X軸正方向を前、Y軸正方向を右とする。また、以降の説明では、感熱紙Pの搬送方向における上流側(図中X軸負側)を、単に「上流側」と示し、感熱紙Pの搬送方向における下流側(図中X軸正側)を、単に「下流側」と示す。
【0014】
図1図7に示すサーマルプリンタ100は、「画像形成装置」の一例であり、感熱紙Pをサーマルヘッド105に押し当て、その状態で、サーマルヘッド105に設けられた発熱素子によって感熱紙Pを加熱することにより、感熱紙Pに画像を形成することができる、いわゆる感熱式のサーマルプリンタである。
【0015】
図1図7に示すように、サーマルプリンタ100は、フレーム101、プラテンローラ102、支持部材103、プレート104、サーマルヘッド105、FPC(Flexible Printed Circuits:フレキシブルプリント基板)106、FPCカバー120、および搬送ユニット130を備えて構成されている。
【0016】
支持部材103、プレート104、およびサーマルヘッド105は、互いに固定されることによって一体化される。なお、以降の説明では、支持部材103、プレート104、およびサーマルヘッド105が一体化されたものを、「ヘッドユニット」と称する。
【0017】
フレーム101は、金属板を加工することにより形成される、受け皿状の部材である。フレーム101は、当該フレーム101の左端部(図中Y軸負側の端部)において垂直に立設された左側壁部101aと、当該フレーム101の右端部(図中Y軸正側の端部)において垂直に立設された右側壁部101bと、当該フレーム101の下端部において、横幅方向(図中Y軸方向)に延在し、左側壁部101aと右側壁部101bとを互いに繋ぎ合わせる接続部101cとを有する。
【0018】
プラテンローラ102は、フレーム101の左右両側壁部101a,101bの間において、横幅方向(図中Y軸方向)に延伸する、円柱状の部材である。プラテンローラ102は、フレーム101の左右両側壁部101a,101bに取り付けられる軸受け101Aによって、その回転軸102Aの両端が軸支される。プラテンローラ102は、サーマルヘッド105の下側において、サーマルヘッド105と対向して設けられている。プラテンローラ102は、サーマルヘッド105との間の隙間内に、感熱紙P(図7参照)を挟み込むことにより、感熱紙Pの表面をサーマルヘッド105に押し当てることができる。また、プラテンローラ102は、駆動モータ133の駆動によって回転することにより、感熱紙Pを所定の搬送方向(図中X軸正方向)に搬送することができる。例えば、プラテンローラ102は、そのローラ部に、ゴム等の弾性素材が用いられる。また、例えば、プラテンローラ102は、その回転軸102Aに、金属等の比較的硬質な素材が用いられる。
【0019】
支持部材103は、金属板を加工することにより形成される、概ね水平な平面を有する蓋状の部材である。支持部材103は、フレーム101の内部空間の一部(プレート104およびサーマルヘッド105が収容されている部分)を上方から閉塞するように、フレーム101の上部に取り付けられる。支持部材103の裏面には、上方から当該支持部材103を貫通する固定ネジ103Bにより、プレート104がネジ止め固定される。これにより、支持部材103は、プレート104とともに、サーマルヘッド105を支持する。支持部材103は、その左右方向(図中Y軸方向)における両端部において、上方から当該支持部材103を貫通する固定ネジ103Aにより、フレーム101に対してネジ止め固定される。これにより、サーマルヘッド105とプラテンローラ102との間の隙間、および、サーマルヘッド105の角度は、所定の値に保たれるようになっている。
【0020】
プレート104は、支持部材103の裏面に取り付けられている。プレート104は、概ね水平な平面を有する平板状の部材である。例えば、プレート104は、金属等の比較的硬質な素材が用いられる。
【0021】
サーマルヘッド105は、プレート104の裏面において、プラテンローラ102と対向して設けられている。サーマルヘッド105は、複数の発熱素子が横幅方向(図中Y軸方向、感熱紙Pの搬送方向と直交する方向)に並べて設けられている。サーマルヘッド105とプラテンローラ102との間には、感熱紙Pの厚さよりも小さい、僅かな隙間が形成される。例えば、感熱紙Pの厚さを0.25mmとした場合、サーマルヘッド105とプラテンローラ102との間に、0.15mmの隙間が形成される。これにより、サーマルヘッド105とプラテンローラ102との間に、感熱紙Pを挿通させたときに、サーマルヘッド105に対して、感熱紙Pの表面を適切な圧力で押し当てることができる。サーマルヘッド105は、感熱紙Pの表面が押し当てられた状態で、外部回路からFPC106を介して供給された制御信号によって、複数の発熱素子の発熱が制御されることにより、感熱紙Pに対して画像を形成することができる。
【0022】
FPC106は、サーマルヘッド105に制御信号を供給するために、サーマルヘッド105と外部回路(図示省略)とを接続する部材である。FPC106は、金属膜からなる配線をポリイミド等の樹脂材料により挟んだ構造を有するフィルム状の部材である。FPC106は、可撓性を有しているため、折り曲げることが可能である。
【0023】
搬送ユニット130は、フレーム101に対して着脱可能であり、フレーム101の後部に組み込まれる。搬送ユニット130は、ベース部材131、給紙ローラ132、駆動モータ133、およびセンサ134を有している。ベース部材131は、各構成部品(給紙ローラ132、駆動モータ133、およびセンサ134等)が組み込まれた状態でフレーム101に取り付けられる樹脂製の部材である。ベース部材131の上面には、搬送ガイド部131Aが形成されている。搬送ガイド部131Aは、水平面と、当該水平面の左右両端部に設けられた垂直な側壁面とから構成されている。搬送ガイド部131Aは、感熱紙P(「印刷媒体」の一例)が載置されるとともに、その水平面によって感熱紙Pの高さ位置を規定しつつ、その左右両方の側壁面によって感熱紙Pの左右位置を規定することにより、感熱紙Pの搬送位置が適切なものとなるように、感熱紙Pの搬送をガイドする。なお、実際には、搬送ガイド部131Aは、「印刷媒体載置部」の一部を構成するものであり、「印刷媒体載置部」は、搬送ガイド部131Aと、搬送ガイド部131Aの後方に延在する他の部材(例えば、ケース等。図示省略)とによって、同一の高さの載置面が形成され、当該載置面に感熱紙Pが載置されることとなる。給紙ローラ132は、プラテンローラ102との間に介在する複数のギヤを介して、プラテンローラ102の回転に従動して回転することによって、搬送ガイド部131Aに載置された感熱紙Pを、プラテンローラ102とサーマルヘッド105との間の隙間内へ送出する。駆動モータ133は、その回転軸133A(図5参照)が、ベース部材131の右側面(図中Y軸正側の側面)を貫通して外側に露出するように、当該右側面の内側に取り付けられている。駆動モータ133は、外部回路(図示省略)からFPC133Bを介して供給された制御信号によって、その回転軸133Aが回転する。これにより、駆動モータ133は、感熱紙Pに対する印刷タイミングに応じて、複数枚のギヤ110A~110E(図5参照)を介して、プラテンローラ102を回転させる。駆動モータ133には、例えば、ステッピングモータ等が用いられる。センサ134は、感熱紙Pの搬送(具体的には、感熱紙Pの先端位置)を検出するセンサであり、プラテンローラ102よりも上流側に設けられている。センサ134としては、例えば、フォトセンサ等が用いられる。
【0024】
FPCカバー120は、「被覆部材」の一例である。FPCカバー120は、ヘッドユニットの後縁部に取り付けられ、支持部材103の上面に対して、固定ネジ121によってネジ止め固定される。FPCカバー120は、サーマルヘッド105から引き出されたFPC106の一部(ヘッドユニットに沿って配設された部分)を、ヘッドユニットとの間で挟み込むことにより、当該FPC106の一部の表面を覆いつつ、当該FPC106の一部を、ヘッドユニットの表面(上面、後面、および下面)に這わせた状態を維持することが可能な部材である。これにより、FPCカバー120は、FPC106の一部が、ヘッドユニットの周囲の各方向(上方、後方、および下方)に浮き上がってしまうことを防止することができ、したがって、FPC106の一部が、ヘッドユニットの周囲の各部材(たとえば、ヘッドユニットの後方に載置される感熱紙P等)と干渉してしまうことを防止することができる。
【0025】
このように構成されたサーマルプリンタ100は、搬送ガイド部131Aに載置された感熱紙Pが、給紙ローラ132の回転によって、サーマルヘッド105とプラテンローラ102との間の隙間内に送り込まれる。これにより、サーマルヘッド105およびプラテンローラ102が、送出されてきた感熱紙Pを挟持する。その状態で、駆動モータ133によって駆動されたプラテンローラ102が回転しつつ、印刷データに応じた制御信号が、FPC106を介して、外部回路(図示省略)からサーマルヘッド105へ入力される。サーマルヘッド105は、入力された制御信号に応じて複数の発熱体が発熱することにより、感熱紙Pを加熱する。これにより、サーマルヘッド105は、感熱紙Pに対して、印刷データに応じた画像を形成する。
【0026】
〔サーマルプリンタ100の組み立て構造〕
図8は、一実施形態に係るサーマルプリンタ100の組み立て構造を説明するための斜視図である。図9は、一実施形態に係るサーマルプリンタ100の組み立て構造を説明するための右側面図である。図10は、一実施形態に係るサーマルプリンタ100における複数枚のギヤ110A~110Eの噛合構成を示す一部拡大図である。
【0027】
図8(a)および図9(a)に示すように、搬送ユニット130は、ベース部材131に対して各構成部品(給紙ローラ132、駆動モータ133、およびセンサ134等)が組み込まれた状態で、フレーム101に対して着脱可能に構成されている。すなわち、搬送ユニット130は、フレーム101に組み込まれる前に、ベース部材131に対して、各構成部品を予め組み込んでおくことができ、その状態で、フレーム101に取り付けることが可能である。
【0028】
一方、フレーム101においても、搬送ユニット130が取り付けられる前に、当該フレーム101に組み込まれるべき全ての部品(例えば、プラテンローラ102、支持部材103、プレート104、サーマルヘッド105等)を、予め組み込んでおくことができる。
【0029】
そして、搬送ユニット130は、図8(a)および図9(a)の矢印Aに示すように、フレーム101に対して後方から組み込まれる。これにより、図8(b)および図9(b)に示すように、フレーム101および搬送ユニット130が一体化し、サーマルプリンタ100が構築されることとなる。
【0030】
なお、図9(b)に示すように、フレーム101の右側面(図中Y軸正側の側面)には、ギヤ110C~110Eが予め組み込まれており、搬送ユニット130の右側面(図中Y軸正側の側面)には、ギヤ110A~110Bが予め組み込まれている。そして、フレーム101に対して、搬送ユニット130が取り付けられることにより、図9(b)および図10に示すように、フレーム101側において最前段となるギヤ110Cと、搬送ユニット130側において最終段となるギヤ110Bとが、適切な位置関係となり、互いに高精度に噛み合うこととなる。これにより、本実施形態のサーマルプリンタ100は、駆動モータ133の回転軸133Aの回転力を、複数枚のギヤ110A~110E(図5参照)を介して、プラテンローラ102の回転軸102Aへ伝達し、プラテンローラ102を回転させることが可能となる。
【0031】
〔フレーム101およびベース部材131の取り付け構造〕
図8図10で説明したように、本実施形態のサーマルプリンタ100は、フレーム101に対して搬送ユニット130を組み込むことにより、当該サーマルプリンタ100を構築することができる。具体的には、各構成部品が予め組み込まれた状態のベース部材131を、各構成部品が予め組み込まれた状態のフレーム101に取り付けることにより、サーマルプリンタ100を構築することができる。この際、作業者は、フレーム101に対して、工具等を使用することなく(すなわち、手作業で)、容易且つ固定的に、ベース部材131を取り付けることが可能である。以下、これを実現するための、フレーム101に対するベース部材131の取り付け構造について、具体的に説明する。
【0032】
図11は、一実施形態に係るサーマルプリンタ100が備えるフレーム101およびベース部材131の外観(正面側)を示す斜視図である。図12は、一実施形態に係るサーマルプリンタ100が備えるフレーム101およびベース部材131の外観(背面側)を示す斜視図である。図13は、一実施形態に係るサーマルプリンタ100が備えるフレーム101およびベース部材131の正面図である。図14は、一実施形態に係るサーマルプリンタ100が備えるフレーム101およびベース部材131の背面図である。図15は、一実施形態に係るサーマルプリンタ100が備えるベース部材131の側面図である。
【0033】
(垂直壁部)
図11および図13に示すように、フレーム101は、左側壁部101aと右側壁部101bとを互いに繋ぎ合わせる接続部101cを有しており、当該接続部101cには、その一部が上方に直角に折り曲げられることにより、左右方向(図中Y軸方向)に延在する、垂直に立設された垂直壁部101dと、垂直壁部101eとが、互いに平行に設けられている。
【0034】
一方、図12および図14に示すように、ベース部材131の裏側(給紙ローラ132よりも下流側)には、左側壁部131aと右側壁部131bとの間に、左右方向(図中Y軸方向)に延在する、垂直に立設された垂直壁部131cと、垂直壁部131dとが、互いに平行に設けられている。
【0035】
フレーム101において、垂直壁部101d,101eの各々の上側(Z軸正側)の破断面は、水平な平面状となっている。また、ベース部材131において、垂直壁部131c,131dの各々の下側(Z軸負側)の破断面は、水平な平面状となっている。
【0036】
これにより、フレーム101にベース部材131を取り付けたときに、垂直壁部101d,101eの上側の破断面に対し、ベース部材131の垂直壁部131c,131dの下側の破断面が当接し、この際、いずれの破断面も水平な平面状であるから、これにより、ベース部材131は、フレーム101の垂直壁部101d,101eによって、上下方向(図中Z軸方向)における位置決めが正確になされるとともに、安定的に支持されることとなる。
【0037】
また、図12および図14に示すように、ベース部材131において、左側壁部131aおよび右側壁部131bの各々の下側(Z軸負側)の破断面は、水平な平面状となっている。これにより、フレーム101にベース部材131を取り付けたときに、接続部101cの上面に対し、左側壁部131aおよび右側壁部131bの下側の破断面が当接し、この際、接続部101cの上面、左側壁部131aの下側の破断面、右側壁部131bの下側の破断面は、いずれも水平な平面状であるから、これにより、ベース部材131は、上下方向(図中Z軸方向)における位置決めが正確になされるとともに、フレーム101の接続部101cによってより安定的に支持されることとなる。
【0038】
(係合部)
また、図11図15に示すように、ベース部材131は、センサ134よりも上流側に、上流側係合部221,222が設けられており、センサ134よりも下流側に、下流側係合部212A,212Bが設けられている。さらに、ベース部材131は、センサ134と給紙ローラ132との間に、中央係合部213が設けられている。ベース部材131は、上流側係合部221,222、下流側係合部212A,212B、および中央係合部213の各々が、フレーム101の所定の位置に係合することにより、フレーム101に位置決めおよび固定される。
【0039】
上流側係合部221は、ベース部材131の左側壁部131aに設けられている。上流側係合部221は、フレーム101における左側壁部101aの上流側の端部に形成された上流側被係合部201A(上縁部の一部が内側に直角に折り曲げられることによって形成された爪状の部分)に係合する。具体的には、図15(a)に示すように、上流側係合部221は、上側規制部221Aおよび下側規制部221Bを有しており、上側規制部221Aと下側規制部221Bとの隙間内に、フレーム101に設けられた上流側被係合部201Aが下流側から挿し込まれることにより、上流側被係合部201Aに係合することとなる。また、図15(a)に示すように、上流側係合部221の上記隙間は、下流側から上流側に向って徐々に上下幅が狭くなる形状を有している。これにより、上流側係合部221は、ベース部材131が傾いた状態(図18(a)参照)であっても、上記隙間内に上流側被係合部201Aを容易に挿し込むことができるようになっている。また、上流側係合部221の上記隙間の上下幅は、上流側被係合部201Aの板厚と略同寸法となっている。これにより、上流側係合部221に対して上流側被係合部201Aが係合したときに、上流側被係合部201Aの上下方向へのがたつきが生じないようになっている。
【0040】
上流側係合部222は、ベース部材131の右側壁部131bに設けられている。上流側係合部222は、フレーム101における接続部101cの上流側の端部(接続部101cにおける上流側の縁部の右端部)に形成された上流側被係合部201Bに係合する。具体的には、図15(b)に示すように、上流側係合部222は、上側規制部222Aおよび下側規制部222Bを有する、下流側に開口したコの字状をなしており、上側規制部222Aと下側規制部222Bとの隙間内に、フレーム101に設けられた上流側被係合部201Bが下流側から挿し込まれることにより、上流側被係合部201Bに係合することとなる。また、上流側係合部222の上記隙間の上下幅は、上流側被係合部201Bの板厚と略同寸法となっている。これにより、上流側係合部222に対して上流側被係合部201Bが係合したときに、上流側被係合部201Bの上下方向へのがたつきが生じないようになっている。また、上流側係合部222の上記隙間の奥壁部に対し、上流側被係合部201Bの破断面が当接することにより、ベース部材131は、フレーム101に対する、前後方向(図中X軸方向)の位置決めがなされることとなる。
【0041】
下流側係合部212A,212Bは、ベース部材131の裏側において、ベース部材131の垂直壁部131cに沿って左右一対に設けられている。下流側係合部212Aは、ベース部材131の左側壁部131aの近傍に設けられている。下流側係合部212Bは、ベース部材131の右側壁部131bの近傍に設けられている。
【0042】
下流側係合部212Aは、フレーム101の垂直壁部101dに形成された下流側被係合部202Aに係合する。具体的には、下流側係合部212Aは、ベース部材131の載置面の裏側から下方(図中Z軸負方向)に向けて突出しており、且つ、先端が爪状をなしている、スナップフィット構造を有している。そして、下流側係合部212Aは、下流側被係合部202Aに向って、ベース部材131とともに上方から押し込まれたとき、その爪状の先端部分が、垂直壁部101dと当接することにより、垂直壁部101dから離れる方向に弾性変形する。さらに、下流側係合部212Aは、その爪状の先端部分が、下流側被係合部202Aの開口内に達したとき、その弾性復帰力により、下流側被係合部202Aの開口縁部に係合することとなる。
【0043】
下流側係合部212Bは、フレーム101の垂直壁部101dに形成された下流側被係合部202Bに係合する。具体的には、下流側係合部212Bは、ベース部材131の載置面の裏側から下方(図中Z軸負方向)に向けて突出しており、且つ、先端が爪状をなしている、スナップフィット構造を有している。そして、下流側係合部212Bは、下流側被係合部202Bに向って、ベース部材131とともに上方から押し込まれたとき、その爪状の先端部分が、垂直壁部101dと当接することにより、垂直壁部101dから離れる方向に弾性変形する。さらに、下流側係合部212Bは、その爪状の先端部分が、下流側被係合部202Bの開口内に達したとき、その弾性復帰力により、下流側被係合部202Bの開口縁部に係合することとなる。
【0044】
中央係合部213は、ベース部材131の裏側かつ左右方向(図中Y軸方向)における中央において、垂直壁部131dの下側(Z軸負側)の破断面から下方に突出して設けられている。中央係合部213は、フレーム101の垂直壁部101eに形成された中央被係合部203に係合する。具体的には、中央係合部213は、先端が爪状をなしている、スナップフィット構造を有している。そして、中央係合部213は、中央被係合部203に向って、ベース部材131とともに上方から押し込まれたとき、その爪状の先端部分が、垂直壁部101eと当接することにより、垂直壁部101eから離れる方向に弾性変形する。さらに、中央係合部213は、その爪状の先端部分が、中央被係合部203の開口内に達したとき、その弾性復帰力により、中央被係合部203の開口縁部に係合することとなる。
【0045】
(凸部)
また、図12図14図15に示すように、ベース部材131の左側壁部131aの下側(Z軸負側)の破断面には、下方(図中Z軸負側)に突出した円柱状の凸部214Aが設けられている。また、ベース部材131の右側壁部131bの下側(Z軸負側)の破断面には、下方(図中Z軸負側)に突出した円柱状の凸部214Bが設けられている。凸部214Aは、フレーム101の接続部101cに形成された、当該凸部214Aと略同サイズの円形状を有する開口部204A(「凹部」の一例)に嵌め込まれる。凸部214Bは、フレーム101の接続部101cに形成された、当該凸部214Bと略同サイズの円形状を有する開口部204B(「凹部」の一例)に嵌め込まれる。これにより、凸部214A,214Bは、フレーム101に対するベース部材131の位置決め精度をより高めることができるようになっている。
【0046】
〔フレーム101に対するベース部材131の取り付け手順〕
次に、フレーム101に対するベース部材131の取り付け手順について説明する。フレーム101に対するベース部材131の取り付けは、ベース部材131の上流側の部分をフレーム101に取り付ける工程と、ベース部材131の下流側の部分をフレーム101に取り付ける工程との、2つの工程を含んで構成されている。なお、以降の説明において参照する各図面では、説明をわかり易くするために、フレーム101およびベース部材131の各々について、各構成部品が組み込まれていない状態を示しているが、実際には、フレーム101およびベース部材131の各々について、各構成部品が組み込まれた状態で、同様に、フレーム101に対してベース部材131を取り付けることが可能である。
【0047】
(ベース部材131の上流側の部分の取り付け)
図16および図17は、フレーム101に対してベース部材131の上流側の部分が取り付けられた状態を示す斜視図である。図18は、フレーム101に対してベース部材131の上流側の部分が取り付けられた状態を示す側面図である。フレーム101に対してベース部材131を取り付ける際には、まず、図16図18に示すように、ベース部材131の上流側の部分を、フレーム101に対して取り付ける。具体的には、図18(a)に詳しく示されているように、ベース部材131の下流側の部分を上方に持ち上げて、ベース部材131を傾けた状態で、ベース部材131の左側壁部131aに設けられている上流側係合部221の隙間内に、フレーム101の上流側被係合部201Aを下流側から挿し込むことにより、上流側係合部221に上流側被係合部201Aを係合させる。また、図18(b)に詳しく示されているように、ベース部材131の右側壁部131bに設けられている上流側係合部222の隙間内に、フレーム101の上流側被係合部201Bを下流側から挿し込むことにより、上流側係合部222に上流側被係合部201Bを係合させる。これにより、図16図18に示すように、ベース部材131の上流側の部分は、各方向(上下方向(図中Z軸方向)、左右方向(図中Y軸方向)、前後方向(図中X軸方向))に対する位置決めが正確になされるとともに、フレーム101に固定されることとなる。
【0048】
(ベース部材131の下流側の部分の取り付け)
図19および図20は、フレーム101に対してベース部材131の全体が取り付けられた状態を示す斜視図である。図21は、フレーム101に対してベース部材131の全体が取り付けられた状態を示す側面図である。図22は、フレーム101に対してベース部材131の全体が取り付けられた状態(背面側を下流側から見たときの状態)を示す斜視図である。図23は、フレーム101に対してベース部材131の全体が取り付けられた状態(背面側を上流側から見たときの状態)を示す斜視図である。図24は、中央係合部213による係合状態を示す拡大図である。
【0049】
次に、ベース部材131の下流側の部分を、フレーム101に対して取り付ける。これにより、図19図23に示すように、ベース部材131の全体が、フレーム101に対して取り付けられることとなる。具体的には、作業者は、ベース部材131の上流側の部分がフレーム101に固定された状態のまま、ベース部材131が水平状態となるように(すなわち、ベース部材131の傾いた状態が解消されるように)、図18の矢印Bに示すように、ベース部材131の下流側の部分を、フレーム101の接続部101cに向って下方へ押し込む作業を行うだけでよい。
【0050】
これにより、ベース部材131の裏側に設けられた下流側係合部212Aが、そのスナップフィット構造により、フレーム101の接続部101c(垂直壁部101d)に形成された下流側被係合部202Aに嵌め込まれて係合する。また、ベース部材131の裏側に設けられた下流側係合部212Bが、そのスナップフィット構造により、フレーム101の接続部101c(垂直壁部101d)に形成された下流側被係合部202Bに嵌め込まれて係合する。また、ベース部材131の裏側に設けられた中央係合部213が、そのスナップフィット構造により、フレーム101の接続部101c(垂直壁部101e)に形成された中央被係合部203に嵌め込まれて係合する。
【0051】
各係合部212A,212B,213のスナップフィット構造による係合状態は、図22および図23に詳しく示されており、さらに、図24において、その代表例として、中央係合部213のスナップフィット構造による係合状態が、拡大して示されている。これらの図からも明らかなように、各係合部212A,212B,213は、スナップフィット構造により、確実に各被係合部202A,202B,203に係合され、よって、各被係合部202A,202B,203から容易に抜け落ちることはない。これにより、ベース部材131の下流側の部分は、各方向(上下方向(図中Z軸方向)、左右方向(図中Y軸方向)、前後方向(図中X軸方向))に対する位置決めが正確になされるとともに、フレーム101の接続部101cに対して確実に固定されることとなる。
【0052】
このとき、図22および図23に示すように、フレーム101の接続部101cに設けられた垂直壁部101d,101eの上側の破断面に対し、ベース部材131に裏側に設けられた垂直壁部131c,131dの下側の破断面が当接するが、いずれの破断面も水平な平面状であるから、これにより、ベース部材131は、フレーム101の垂直壁部101d,101eによって、上下方向(図中Z軸方向)に対する位置決め、および、横方向の回転軸(図中Y軸)に対する回転角度の位置決めがより正確になされるとともに、より安定的に支持されることとなる。
【0053】
また、このとき、フレーム101の接続部101cの上面に対し、ベース部材131の左側壁部131aおよび右側壁部131bの各々の下側の破断面(凸部214A,214Bが設けられている破断面)が当接するが、接続部101cの上面、左側壁部131aの下側の破断面、右側壁部131bの下側の破断面は、いずれも水平な平面状であるから、これにより、ベース部材131は、上下方向(図中Z軸方向)に対する位置決め、および、横方向の回転軸(図中Y軸)に対する回転角度の位置決めがより正確になされるとともに、フレーム101の接続部101cによってより安定的に支持されることとなる。
【0054】
さらに、このとき、図20図23に示すように、ベース部材131の左側壁部131aの下側の破断面に設けられた凸部214Aが、フレーム101の接続部101cに形成された開口部204Aに嵌め込まれる。また、ベース部材131の右側壁部131bの下側の破断面に設けられた凸部214Bが、フレーム101の接続部101cに形成された開口部204Bに嵌め込まれる。これにより、ベース部材131は、左右方向(図中Y軸方向)および前後方向(図中X軸方向)に対する位置決めがより正確になされることとなる。
【0055】
〔ギヤ110B,110Cと、下流側係合部212Bとの位置関係〕
図25は、ギヤ110B,110Cと下流側係合部212Bとの位置関係を説明するための図である。図25に示すように、フレーム101に対して、搬送ユニット130が取り付けられることにより、フレーム101側において最前段となるギヤ110C(「一の歯車」の一例)と、搬送ユニット130側において最終段となるギヤ110B(「他の一の歯車」の一例)とが、適切な位置関係となり、互いに高精度に噛み合う状態となる。この状態において、図25に示すように、ギヤ110Bの回転軸中心P1と、ギヤ110Cの回転軸中心P2と、下流側係合部212Bによる係合位置P3とが、略一直線上に並んだ状態となる。これまでに説明したとおり、本実施形態のサーマルプリンタ100は、搬送ユニット130およびフレーム101が、高精度且つ確実に互いに固定されているため、多少の外力が加わる程度では、これらP1~P3の位置関係も、変動が生じないようになっている。但し、搬送ユニット130は、過剰な外力が加わることにより、係合部の変形等が原因となって、その上流側の部分が上方に持ち上がるように、係合位置P3を回転中心として、Y軸正側から見て時計回り(図中矢印C方向)に回動する可能性がある。しかしながら、本実施形態のサーマルプリンタ100は、上記したとおり、各位置P1~P3が略同一直線状に配置されているため、上記回動が生じた場合であっても、ギヤ110Bの回転軸中心P1と、ギヤ110Cの回転軸中心P2との軸間距離に変動が生じ難くなっている。これにより、本実施形態のサーマルプリンタ100は、上記回動が生じたとしても、ギヤ110Bとギヤ110Cとの間に大きな遊びが生じたり、ギヤ110Bとギヤ110Cとの間において大きな負荷が生じたりすることなく、ギヤ110Bとギヤ110Cとが互いに高精度に噛み合った状態を維持することができる。
【0056】
以上説明したように、一実施形態に係るサーマルプリンタ100は、フレーム101に対して、搬送ユニット130を着脱可能な構成を採用している。これにより、一実施形態に係るサーマルプリンタ100は、搬送ユニット130をフレーム101に取り付ける前に、搬送ユニット130のベース部材131に対して、各構成部品(例えば、給紙ローラ132、駆動モータ133、およびセンサ134等)を予め組み込んでおくことができる。また、フレーム101においても、搬送ユニット130が取り付けられる前に、各構成部品(例えば、プラテンローラ102、支持部材103、プレート104、サーマルヘッド105等)を、予め組み込んでおくことができる。そして、各構成部品が組み込まれた状態のフレーム101に対して、各構成部品が組み込まれた状態の搬送ユニット130を取り付けることにより、サーマルプリンタ100を構築することができる。したがって、一実施形態に係るサーマルプリンタ100によれば、当該サーマルプリンタ100の組み立て作業を容易化することができる。
【0057】
また、一実施形態に係るサーマルプリンタ100は、搬送ユニット130が、上流側係合部221,222と、下流側係合部212A,212Bとを有しており、上流側係合部221,222および下流側係合部212A,212Bの各々が、フレーム101の所定の位置に係合することにより、フレーム101に位置決めおよび固定される構成を採用している。これにより、一実施形態に係るサーマルプリンタ100は、搬送ユニット130を、フレーム101に対して容易に取り付けることができるとともに、搬送ユニット130の取り付け位置を、上流側係合部221,222および下流側係合部212A,212Bのそれぞれによって高精度に規定し、且つ、搬送ユニット130を複数の係合位置にて安定的に支持することができる。さらに、一実施形態に係るサーマルプリンタ100は、上記4つの係合部によってフレーム101に固定することにより、搬送ユニット130の変形が生じ難く、搬送ユニット130における各構成部品の位置精度を高精度に維持することができる。このため、一実施形態に係るサーマルプリンタ100によれば、フレーム101側において各構成部品によって規定される印刷位置と、搬送ユニット130側において各構成部品によって規定される搬送位置との位置関係を、高精度に保つことができる。したがって、一実施形態に係るサーマルプリンタ100によれば、各構成部品を容易且つ高精度に組み込むことが可能であり、且つ、印刷位置と搬送位置との位置関係を高精度に維持することが可能であるため、印刷媒体に対する印刷性能を高めることが可能である。
【0058】
また、一実施形態に係るサーマルプリンタ100は、下流側係合部212A,212Bおよび中央係合部213を、スナップフィット構造により、下流側被係合部202A,202Bおよび中央被係合部203に嵌め込まれて係合する構成を採用している。これにより、一実施形態に係るサーマルプリンタ100は、搬送ユニット130の下流側の部分を、下方へ押し込むだけで、各係合部を嵌め込むことができ、よって、搬送ユニット130の下流側の部分を、フレーム101に位置決めおよび固定することができる。したがって、一実施形態に係るサーマルプリンタ100によれば、フレーム101に対して、搬送ユニット130をより簡単に、位置決めおよび固定することができる。
【0059】
また、一実施形態に係るサーマルプリンタ100は、上流側係合部221,222が、上側規制部221A,222Aおよび下側規制部221B,222Bを有しており、当該上側規制部221A,222Aと下側規制部221B,222Bとの隙間内に、フレーム101に設けられた上流側被係合部201A,201Bが下流側から挿し込まれることにより、上流側被係合部201A,201Bに対する上下方向への移動を規制可能に、上流側被係合部201A,201Bに係合する構成を採用している。これにより、一実施形態に係るサーマルプリンタ100は、上流側係合部221,222の隙間内に、上流側被係合部201A,201Bを下流側から挿し込むだけで、搬送ユニット130の上流側の部分を、がたつきを生じさせることなく、フレーム101に位置決めおよび固定することができる。したがって、一実施形態に係るサーマルプリンタ100によれば、フレーム101に対して、搬送ユニット130をより簡単かつより高精度に、位置決めおよび固定することができる。
【0060】
特に、一実施形態に係るサーマルプリンタ100は、上流側係合部221の上記隙間は、下流側から上流側に向って徐々に上下幅が狭くなる形状を有している。これにより、一実施形態に係るサーマルプリンタ100は、ベース部材131の下流側の部分をフレーム101に固定する際に、ベース部材131が傾いた状態(図18(a)参照)であっても、上流側係合部221の上記隙間内に、上流側被係合部201Aを容易に挿し込むことができる。したがって、一実施形態に係るサーマルプリンタ100によれば、フレーム101に対して、搬送ユニット130をより簡単に、位置決めおよび固定することができる。
【0061】
また、一実施形態に係るサーマルプリンタ100は、フレーム101に対して、搬送ユニット130が、高精度に位置決めおよび固定されることにより、フレーム101側のギヤ110Cと、搬送ユニット130側のギヤ110Bとが、適切な位置関係となり、互いに高精度に噛み合う構成を採用している。これにより、一実施形態に係るサーマルプリンタ100は、ギヤ110Bとギヤ110Cとの間に大きな遊びを生じさせたり、ギヤ110Bとギヤ110Cとの間において大きな負荷を生じさせたりすることなく、駆動モータ133の回転軸133Aの回転力を、複数枚のギヤ110A~110Eを介して、プラテンローラ102の回転軸102Aへ伝達し、プラテンローラ102を回転させることができる。
【0062】
また、一実施形態に係るサーマルプリンタ100は、搬送ユニット130において、上流側係合部221,222と下流側係合部212A,212Bとの間に、印刷媒体の搬送を検出するセンサ134を配置した構成を採用している。これにより、一実施形態に係るサーマルプリンタ100によれば、センサ134の位置を高精度且つ安定的に維持することが可能となり、よって、センサ134の検出精度を高精度に維持することができる。また、センサ134(検出位置)と、サーマルヘッド105(印刷位置)との間に、下流側係合部212A,212B(係合位置)が存在することとなるため、感熱紙Pの検出位置と印刷位置との位置関係を高精度に維持することができる。
【0063】
また、一実施形態に係るサーマルプリンタ100は、搬送ユニット130において、上記4つの係合部に加えて、中央係合部213を設けており、これら5つの係合部によって、搬送ユニット130をフレーム101に固定する構成を採用している。これにより、これにより、一実施形態に係るサーマルプリンタ100によれば、搬送ユニット130をより確実に位置決めおよび固定することができるとともに、搬送ユニット130の変形をより生じ難くすることができ、したがって、搬送ユニット130における各構成部品の位置精度をより高精度に維持することができる。
【0064】
また、一実施形態に係るサーマルプリンタ100は、搬送ユニット130において、下流側係合部212A,212Bと、中央係合部213との間に、センサ134を配置した構成を採用している。すなわち、センサ134の周囲3点が、フレーム101に固定される構成を採用している。これにより、一実施形態に係るサーマルプリンタ100によれば、センサ134の位置をより高精度且つより安定的に維持することが可能となり、よって、センサ134の検出精度をより高精度に維持することができる。
【0065】
また、一実施形態に係るサーマルプリンタ100は、搬送ユニット130に駆動モータ133とセンサ134とを有する構成を採用しているため、搬送ユニット130において、駆動モータ133のFPC133Bに、センサ134のFPCを一体化することが可能となり、よって、FPCにかかるコストを低減することができるとともに、駆動モータ133および駆動モータ133と外部との電気的な接続を容易化することができる。
【0066】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【0067】
例えば、搬送ユニット130における係合部の数、設置位置、および構造は、上記実施形態で説明した構成とすることが好ましいが、当該構成に限らない。例えば、搬送ユニット130の上流側に、スナップフィット構造の係合部を追加で設けるようにしてもよい。また、例えば、搬送ユニット130の上流側の係合部を、スナップフィット構造に変更するようにしてもよい。また、例えば、上記実施形態では、搬送ユニット130に5つの係合部を設けているが、4つ以下、または、6つ以上の係合部を設けるようにしてもよい。但し、上流側および下流側のそれぞれに、少なくとも1つの係合部を設けることが好ましい。
【0068】
また、例えば、上記実施形態では、搬送ユニット130側に凸部を設けて、フレーム101側に凹部を設けるようにしているが、搬送ユニット130側に凹部を設けて、フレーム101側に凸部を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0069】
100 サーマルプリンタ(画像形成装置)
101 フレーム
101a 左側壁部
101b 右側壁部
101c 接続部
101d,101e 垂直壁部
102 プラテンローラ
103 支持部材
104 プレート
105 サーマルヘッド
106 FPC
120 FPCカバー
130 搬送ユニット
131 ベース部材
131a 左側壁部
131b 右側壁部
131c,131d 垂直壁部
131A 搬送ガイド部
132 給紙ローラ
133 駆動モータ
133A 回転軸
133B FPC
134 センサ
201A,201B 上流側被係合部
202A,202B 下流側被係合部
203 中央被係合部
204A,204B 開口部(凹部)
221,222 上流側係合部
212A,212B 下流側係合部
213 中央係合部
214A,214B 凸部
図1
図2
図3
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図5
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