IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社三菱東京UFJ銀行の特許一覧

特許7018773電子債権の管理方法、管理装置、及びプログラム
<>
  • 特許-電子債権の管理方法、管理装置、及びプログラム 図1
  • 特許-電子債権の管理方法、管理装置、及びプログラム 図2
  • 特許-電子債権の管理方法、管理装置、及びプログラム 図3
  • 特許-電子債権の管理方法、管理装置、及びプログラム 図4
  • 特許-電子債権の管理方法、管理装置、及びプログラム 図5
  • 特許-電子債権の管理方法、管理装置、及びプログラム 図6
  • 特許-電子債権の管理方法、管理装置、及びプログラム 図7
  • 特許-電子債権の管理方法、管理装置、及びプログラム 図8
  • 特許-電子債権の管理方法、管理装置、及びプログラム 図9
  • 特許-電子債権の管理方法、管理装置、及びプログラム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-03
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】電子債権の管理方法、管理装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/02 20120101AFI20220204BHJP
【FI】
G06Q40/02
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018008299
(22)【出願日】2018-01-22
(65)【公開番号】P2019128664
(43)【公開日】2019-08-01
【審査請求日】2020-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】598049322
【氏名又は名称】株式会社三菱UFJ銀行
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】岸本 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】神野 貴文
(72)【発明者】
【氏名】吉野 喬晴
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-107368(JP,A)
【文献】特開2015-204063(JP,A)
【文献】特開2015-18298(JP,A)
【文献】国際公開第2017/038696(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0136700(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが実行する方法であって、
債権者端末から電子債権を識別する識別情報と前記電子債権の割引希望日とを受信し、
前記受信した割引希望日から所定の日数を減算することで特定された予約請求日を、前記識別情報と関連付けて管理テーブルに格納し、
前記管理テーブルを参照して、前記予約請求日が到来した前記識別情報を抽出し、前記抽出した識別情報に対応する前記電子債権の譲渡記録の予約請求をするための情報を、譲渡記録の予約請求があった後に前記電子債権の譲渡が実行されるまで前記電子債権の記録変更及び取消を制限する機能を有する記録機関サーバに対して送信する、電子債権の管理方法。
【請求項2】
前記譲渡記録の予約請求をするための情報は、前記割引希望日に基づく前記電子債権の譲渡記録日の情報を含む、請求項1に記載の電子債権の管理方法。
【請求項3】
前記電子債権の発生記録の予約請求をするための情報を受信し、前記電子債権の発生記録日を前記割引希望日とする、請求項1又は請求項2に記載の電子債権の管理方法。
【請求項4】
前記所定の日数は、前記受信される識別情報に対応して決められている、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の電子債権の管理方法。
【請求項5】
債権者端末から電子債権を識別する識別情報と前記電子債権の割引希望日とを受信する通信部と、
前記受信した割引希望日から所定の日数を減算することで特定された予約請求日と、前記予約請求日と関連付けられた前記識別情報と、が格納された管理テーブルを記憶する記憶部と、
前記管理テーブルを参照して、前記予約請求日が到来した前記電子債権を識別する識別情報を抽出し、前記抽出した識別情報に対応する前記電子債権の譲渡記録の予約請求をするための情報を、譲渡記録の予約請求があった後に前記電子債権の譲渡が実行されるまで前記電子債権の記録変更及び取消を制限する機能を有する記録機関サーバに対して送信する予約請求部と、
を備える電子債権の管理装置。
【請求項6】
前記譲渡記録の予約請求をするための情報は、前記割引希望日に基づく前記電子債権の譲渡記録日の情報を含む、請求項に記載の電子債権の管理装置。
【請求項7】
前記通信部は、前記電子債権の発生記録の予約請求をするための情報を受信し、前記電子債権の発生記録日を前記割引希望日とする、請求項又は請求項に記載の電子債権の管理装置。
【請求項8】
前記所定の日数は、前記受信される識別情報に対応して決められている、請求項5乃至請求項7のいずれか一項に記載の電子債権の管理装置。
【請求項9】
コンピュータに、
債権者端末から電子債権を識別する識別情報と前記電子債権の割引希望日とを受信し、
前記割引希望日から所定の日数を減算することで特定された予約請求日を、前記識別情報と関連付けて管理テーブルに格納し、
前記管理テーブルを参照して、前記予約請求日が到来した前記識別情報を抽出し、前記抽出した識別情報に対応する前記電子債権の譲渡記録の予約請求をするための情報を、譲渡記録の予約請求があった後に前記電子債権の譲渡が実行されるまで前記電子債権の記録変更及び取消を制限する機能を有する記録機関サーバに対して送信する処理を実行させるためのプログラム。
【請求項10】
前記譲渡記録の予約請求をするための情報は、前記割引希望日に基づく前記電子債権の譲渡記録日の情報を含む、請求項に記載のプログラム。
【請求項11】
前記電子債権の発生記録の予約請求をするための情報を受信し、前記電子債権の発生記録日を前記割引希望日とする処理を実行させる、請求項又は請求項10に記載のプログラム。
【請求項12】
前記所定の日数は、前記受信される識別情報に対応して決められている、請求項9乃至請求項11のいずれか一項に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子債権の管理方法、管理装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
株式会社全銀電子債権ネットワーク(でんさいネット(登録商標))がサービスを提供する「でんさい(登録商標)」がある。電子債権は、債権者又は債務者が、それぞれの窓口金融機関を通じて、でんさいネットに対して、発生記録、譲渡記録をすることにより決済をすることができるので、決済インフラとして利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-107367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子債権のファクタリングの申し込みをする場合、でんさいネットにファクタリング会社を債権者に指定した発生記録後、真の債権者の割引申込に基づいて、でんさいネットに譲渡記録を行うことで、ファクタリング対象債権の割引が実施される。債務者の窓口金融機関は、支払期日に債務者決済口座として記録されている決済口座から決済資金を引き落とし、電子債権の譲受人の決済口座宛に振り込みを行う。
【0005】
債務者の窓口金融機関の決済口座が、ファクタリング会社の窓口金融機関の決済口座ではない場合、債務者は、ファクタリング会社が利用する窓口金融機関の決済システムを利用しない。そのため、債務者が、ファクタリング会社が利用する窓口金融機関とは異なる他の窓口金融機関を通じて、でんさいネットに対して、割引対象債権の変更、取消請求が可能である。
【0006】
本発明は、他の窓口金融機関に決済口座を保有している債務者が発生させた電子債権を、ファクタリング会社が買い取る際、割引日を含む一定期間は、他の窓口金融機関の決済システムを利用した債務者による変更、取消請求を防止することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、電子債権を識別する識別情報と電子債権の割引希望日とを受信し、割引希望日前の予約請求日に、識別情報に対応する電子債権の譲渡記録の予約請求をするための情報を、譲渡記録の予約後に電子債権の譲渡が実行されるまで前記電子債権の記録変更及び取消を制限するサーバに対して送信する、電子債権の管理方法が提供される。
【0008】
譲渡記録の予約請求をするための情報は、割引希望日に基づく電子債権の譲渡記録日の情報を含んでもよい。
【0009】
電子債権の発生記録の予約請求をするための情報を受信し、電子債権の発生記録日を割引希望日としてもよい。
【0010】
所定の演算方法に基づいて割引希望日から遡った予約請求日を特定してもよい。
【0011】
電子債権を識別する識別情報と所定の演算方法の情報とを受信し、所定の演算方法に基づいて割引希望日から遡った予約請求日を特定してもよい。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、電子債権を識別する識別情報と電子債権の割引希望日とを受信する通信部と、割引希望日前の予約請求日に、識別情報に対応する電子債権の譲渡記録の予約請求をするための情報を、譲渡記録の予約後に電子債権の譲渡が実行されるまで前記電子債権の記録変更及び取消を制限するサーバに対して送信する予約請求部と、を備える電子債権の管理装置が提供される。
【0013】
譲渡記録の予約請求をするための情報は、割引希望日に基づく電子債権の譲渡記録日の情報を含んでもよい。
【0014】
通信部は、電子債権の発生記録の予約請求をするための情報を受信し、電子債権の発生記録日を割引希望日としてもよい。
【0015】
所定の演算方法に基づいて割引希望日から遡った予約請求日を特定する特定部と、を備えてもよい。
【0016】
通信部は、電子債権を識別する識別情報と所定の演算方法の情報とを受信し、特定部は、所定の演算方法に基づいて割引希望日から遡った予約請求日を特定してもよい。
【0017】
本発明の一実形態によれば、コンピュータに、電子債権を識別する識別情報と電子債権の割引希望日とを受信し、割引希望日前の予約請求日に、識別情報に対応する電子債権の譲渡記録の予約請求をするための情報を、譲渡記録の予約後に電子債権の譲渡が実行されるまで前記電子債権の記録変更及び取消を制限するサーバに対して送信する処理を実行させるためのプログラムが提供される。
【0018】
譲渡記録の予約請求をするための情報は、割引希望日に基づく電子債権の譲渡記録日の情報を含んでもよい。
【0019】
電子債権の発生記録の予約請求をするための情報を受信し、電子債権の発生記録日を割引希望日とする処理を実行させてもよい。
【0020】
所定の演算方法に基づいて割引希望日から遡った予約請求日を特定してもよい。
【0021】
電子債権を識別する識別情報と所定の演算方法の情報とを受信し、所定の演算方法に基づいて割引希望日から遡った予約請求日を特定する処理を実行させてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明を実施することにより、他の窓口金融機関に決済口座を保有している債務者が発生させた電子債権を、ファクタリング会社が買い取る際、割引日を含む一定期間は、他の窓口金融機関の決済システムを利用した債務者による変更、取消請求を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態に係る管理装置を含むシステムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る管理装置の機能構成を示すブロック図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る管理装置の記憶部が有する管理テーブルを示す図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る管理装置の処理を示す通信フロー図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る管理装置の処理を示す通信フロー図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る管理装置の処理を示す通信フロー図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る管理装置の処理を示す通信フロー図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る管理装置の処理を示す通信フロー図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る管理装置の処理を示す通信フロー図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る管理装置の処理を示す通信フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下に示す実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0025】
なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。
【0026】
<第1実施形態>
本発明の第1形態に係る管理装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
(構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る管理装置を含むシステムの構成を示すブロック図である。システムは、インターネット、通信回線などのネットワークNWを介して接続された、記録機関サーバDN、第1金融機関サーバB1、第2金融機関サーバB2、電子債権の譲渡人である第1債権者の端末である第1債権者端末C1、第1債権者から電子債権を譲り受ける譲受人である第2債権者の端末である第2債権者端末C2、及び債務者端末D1を有する。第1債権者は第1債権者端末C1を利用し、第2債権者は第2債権者端末C2を利用し、それぞれ第1金融機関サーバB1を介して、記録機関サーバDNに電子債権の発生記録請求、譲渡記録請求などを行う。債務者は債務者端末D1を利用し、第2金融機関サーバB2を介して、記録機関サーバDNに電子債権の発生記録請求などを行う。
【0028】
記録機関サーバDNは、電子債権の記録機関のサーバである。例えば、記録機関サーバDNは、でんさいネットである。記録機関サーバDNは、記録した電子債権への譲渡予約によって電子債権の譲渡が実行されるまで電子債権の変更、取消を制限する。第1金融機関サーバB1及び第2金融機関サーバB2は、ネットワークNTを介して、記録機関サーバDNと接続されている。
【0029】
なお、電子債権の変更、取消の制限は、例えば、債務者が債務者端末D1を利用し、第2金融機関サーバB2を介して、記録機関サーバDNに接続すると、記録機関サーバDNが、第2金融機関サーバB2を介して、債務者端末D1に対して、電子債権の変更、取消の制限がされている情報を送信し、情報を受信した債務者端末に電子債権の変更、取消の制限がされている旨の表示がされることにより、債務者に対して通知される。第1債権者及び第2債権者も同様である。
【0030】
第1金融機関サーバB1は、第1債権者端末C1及び第2債権者端末C2の窓口金融機関のサーバである。第1金融機関サーバB1は、後述するように、電子債権の管理装置BD1を有する。第1債権者端末C1及び第2債権者端末C2は、電子債権の管理装置BD1を介して、第1金融機関サーバB1との情報通信をする。
【0031】
第2金融機関サーバB2は、債務者端末D1の窓口金融機関のサーバである。第2金融機関サーバB2は、電子債権の管理装置を有する。債務者端末D1は、電子債権の管理装置を介して、第2金融機関サーバB2との情報通信をする。
【0032】
(管理装置の機能構成)
図2は、本発明の第1実施形態に係る管理装置の機能構成を示すブロック図である。第1金融機関サーバB1の電子債権の管理装置BD1は、通信部102、記憶部104、及び制御部106を有する。
【0033】
通信部102は、他の装置と通信を行う通信モジュールである。通信は、この例では、インターネット、通信回路である。通信の対象となる他の装置は、記録機関サーバDN、第2金融機関サーバB2、第1債権者端末C1、及び第2債権者端末C2である。
【0034】
記憶部104は、論理記憶領域であり、CPU内部の記憶領域、主記憶装置、二次記憶装置などのメモリである。記憶部104は、管理装置BD1の制御部106の各種機能を実現させるプログラム、及び後述する電子債権を管理する管理テーブルT1を記憶する。なお、外部装置として管理テーブルT1を有してもよい。
【0035】
なお、制御部106の各種機能を実現させるプログラムは、磁気記録媒体、光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供されてもよい。また、各プログラムは、ネットワークNW経由でダウンロードされてもよい。
【0036】
ここで、図3を参照して、電子債権を管理する管理テーブルT1を説明する。図3は、本発明の第1実施形態に係る管理装置の記憶部が有する管理テーブルT1を示す図である。管理テーブルT1には、第1債権者の電子債権に関して、債務者端末D1~D9、第1金融機関サーバB1以外の第2金融機関サーバB2を含む他の金融機関B2~B4、第1債権者端末C1が第1金融機関サーバB1に入力した割引希望日がそれぞれ紐づけられて記憶されている。なお、電子債権、電子債権の債務者、債務者の窓口金融機関、及び決済日についての情報を電子債権の識別情報という。
【0037】
例えば、第2金融機関サーバB2を利用する債務者端末D1に対する電子債権について、第1債権者端末C1が第1金融機関サーバB1に割引希望日2017年12月8日を送信した場合、後述する、第1金融機関サーバB1の入力部108が記憶部104に記憶されている管理テーブルT1に割引希望日2017年12月8日を入力し、第1金融機関サーバB1の特定部110が割引希望日から2営業日前の日を予約請求日として特定する。
【0038】
この例では、割引希望日が2017年12月8日であるから、予約請求日はその2営業日前の日である2017年12月6日である。すなわち、第1債権者端末C1が、割引希望日を第1金融機関サーバB1に送信すると、割引希望日-2営業日を予約請求日として特定する。他の債務者端末D2~D9についても同様である。なお、第1金融機関サーバB1の特定部110が割引希望日から予約請求日を特定するために遡る日数は、2営業日前でなくてもよく、電子債権ごとに遡る日数を変更してもよい。
【0039】
制御部106は、CPU(Central Processing Unit)である。
【0040】
制御部106は、記憶部104に記憶されたプログラムをCPUにより実行して、各種機能を管理装置BD1において実現させる。制御部106は、入力部108、特定部110、及び予約請求部112を有する。
【0041】
入力部108は、第1債権者端末C1が入力した割引希望日を、記憶部104が記憶する管理テーブルに入力する入力モジュールである。
【0042】
特定部110は、記憶部104が記憶する管理テーブルT1を参照して、割引希望日から遡った予約請求日を定めるモジュールである。
【0043】
予約請求部112は、記録機関サーバDNに対して予約請求日に譲渡記録の予約請求をするモジュールである。
【0044】
(管理装置の動作)
続いて、上記の管理装置の機能構成において実現される動作を、図4から図8に示す通信フローを用いて説明する。
【0045】
図4は、本発明の第1実施形態に係る管理装置の処理を示す通信フロー図である。まず、債務者端末D1は、第2金融機関サーバB2に対して、電子債権の発生記録の予約請求をするための情報を送信する(ステップS102)。このとき、債務者端末D1は、第2金融機関サーバB2に対して、電子債権の発生記録日として先日付を入力し、発生記録の予約請求をするための情報を送信する。
【0046】
債務者端末D1が電子債権の発生記録の予約請求をするための情報を送信すると、第2金融機関サーバB2が電子債権の発生記録の予約請求をするための情報を受信し、記録機関サーバDNに対して、電子債権の発生記録の予約請求をするための情報を送信する(ステップS104)。
【0047】
第2金融機関サーバB2が記録機関サーバDNに対して電子債権の発生記録の予約請求をするための情報を送信すると、記録機関サーバDNは、電子債権の発生記録の予約を記録原簿に記録する(ステップS106)。
【0048】
記録機関サーバDNが電子債権の発生記録の予約を記録原簿に記録すると、記録機関サーバDNは、第1金融機関サーバB1に対して、記録内容を送信する(ステップS108)。記録内容を受信した第1金融機関サーバB1は、債権者端末C1に対して、記録内容を送信する(ステップS110)。
【0049】
また、記録機関サーバDNは、第2金融機関サーバB2に対して、記録内容を送信する(ステップS112)。記録内容を受信した第2金融機関サーバB2は、債務者端末D1に対して、記録内容を送信する(ステップS114)。
【0050】
図5は、本発明の第1実施形態に係る管理装置の処理を示す通信フロー図である。以下では、図4の通信フロー以後の通信フローを説明する。第1債権者端末C1が記録内容を受信したのち、第1債権者が割引希望日を決めると図5の通信フローは開始する。
【0051】
第1債権者端末C1は、第1金融機関サーバB1に対して、電子債権の識別情報と電子債権の割引希望日の情報を送信する(ステップS116)。
【0052】
第1金融機関サーバB1が電子債権の識別情報と電子債権の割引希望日の情報を受信すると、第1金融機関サーバB1は、第1金融機関サーバB1の記憶部104に記憶されている管理テーブルT1に、入力部108が割引希望日を入力し、特定部110が割引希望日から遡った予約請求日を特定する(ステップS118)。
【0053】
図6は、本発明の第1実施形態に係る管理装置の処理を示す通信フロー図である。以下では、図5の通信フロー以後の通信フローを説明する。第1金融機関サーバB1が予約請求日を特定したのち、電子債権の予約請求日が到来したと判定すると、図6のフローは開始する(ステップS120)。
【0054】
電子債権の予約請求日が到来すると、第1金融機関サーバB1の電子債権の譲渡記録の予約請求をする予約請求部112は、記録機関サーバDNに対して、譲渡記録日の情報を含む譲渡記録の予約請求をするための情報を送信する(ステップS122)。この例では、第1金融機関サーバB1の予約請求部112が、記録機関サーバDNに対して、譲渡記録の予約請求をするための情報を送信するのは、上述したとおり、割引希望日の2営業日前である。
【0055】
第1金融機関サーバB1の予約請求部112が記録機関サーバDNに対して譲渡記録の予約請求をするための情報を送信すると、記録機関サーバDNは、電子債権の譲渡記録の予約を記録原簿に記録する(ステップS124)。
【0056】
記録機関サーバDNは、第1金融機関サーバB1に対して、記録内容を送信する(ステップS126)。記録内容を受信した第1金融機関サーバB1は、第1債権者端末C1に対して、記録内容を送信する(ステップS128)。
【0057】
また、記録機関サーバDNは、第2金融機関サーバB2に対して、記録内容を送信する(ステップS130)。記録内容を受信した第2金融機関サーバB2は、債務者端末D1に対して、記録内容を送信する(ステップS132)。
【0058】
このように、記録機関サーバDNは、記録した電子債権への譲渡予約によって電子債権の譲渡が実行されるまで電子債権の変更、取消を制限するため、記録機関サーバDNが譲渡記録の予約請求を受け付けることにより、第2金融機関サーバB2などの第1金融機関サーバB1以外の他の窓口金融機関を介して、発生記録の予約請求がされている電子債権の変更、取消をすることはできなくなる。
【0059】
図7は、本発明の第1実施形態に係る管理装置の処理を示す通信フロー図である。以下では、図6の通信フロー以後の通信フローを説明する。記録機関のサーバDNが電子債権の譲渡記録日が到来したと判定すると、図7のフローは開始する(ステップS134)。
【0060】
記録機関のサーバDNが電子債権の譲渡記録日が到来したと判定すると、記録機関サーバDNは、第1金融機関サーバB1に対して、電子債権の発生記録と譲渡記録の記録内容を送信する(ステップS136)。第1金融機関サーバB1が記録内容を受信すると、第1金融機関サーバB1は、第1債権者端末C1に対して、記録内容を送信する(ステップS138)。
【0061】
また、第1金融機関サーバB1が記録内容を受信すると、第1金融機関サーバB1は、第2債権者端末C2に対して、記録内容を送信する(ステップS140)。
【0062】
図8は、本発明の第1実施形態に係る管理装置の処理を示す通信フロー図である。以下では、図7の通信フロー以後の通信フローを説明する。記録機関のサーバDNが電子債権の決済日の2営業日前が到来したと判定すると、図8のフローは開始する(ステップS142)。
【0063】
記録機関のサーバDNが電子債権の決済日の2営業日前が到来したと判定すると、記録機関サーバDNは、第2金融機関サーバB2に対して、決済情報を送信(ステップS144)。
【0064】
第2金融機関サーバB2は債務者決済口座として記録されている口座から決済資金を引き落とし、第2債権者の窓口金融機関である第1金融機関の債権者振込口座として記録されている口座に決済資金を振り込む(ステップS146)。
【0065】
このように、第1債権者の窓口金融機関である第1金融機関サーバB1が記録機関サーバDNに対して譲渡記録の予約請求をすると、記録機関サーバDNは、譲渡記録の予約請求を受け付ける。記録機関サーバDNが譲渡記録の予約請求を受け付けると、債務者端末D1は第2金融機関サーバB2などの第1金融機関サーバB1以外の他の窓口金融機関を介して、発生記録の予約請求がされている電子債権の変更、取消をすることができなくなる。そのため、他の窓口金融機関に決済口座を保有している債務者が発生させた電子債権を債権者が買い取る際、割引日を含む一定期間は、他の窓口金融機関の決済システムを利用した債務者による変更、取消請求を防止することができる。
【0066】
<第2実施形態>
第1実施形態と異なり、第1債権者が、第1金融機関のサーバに対して、電子債権の発生記録の請求を行い、この際、電子債権の識別情報と電子債権の割引希望日の情報も送信する。以下、これを実現する構成のうち、第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0067】
図9は、本発明の第2実施形態に係る管理装置の処理を示す通信フロー図である。まず、第1債権者端末D1は、第1金融機関サーバB1に対して、電子債権の発生記録の請求をするための情報を送信する(ステップS202)。このとき、第1債権者端末D1は、第1金融機関サーバB1に対して、電子債権の識別情報と電子債権の割引希望日の情報も送信する。
【0068】
第1債権者端末D1が電子債権の発生記録の請求をするための情報と電子債権の割引希望日の情報を送信すると、第1金融機関サーバB1が電子債権の発生記録の請求をするための情報を受信し、記録機関サーバDNに対して、電子債権の発生記録の請求をするための情報を送信する(ステップS204)。
【0069】
第1金融機関サーバB1が記録機関サーバDNに対して電子債権の発生記録の請求をするための情報を送信すると、記録機関サーバDNは、電子債権の発生記録を記録原簿に記録する(ステップS206)。
【0070】
記録機関サーバDNが電子債権の発生記録を記録原簿に記録すると、記録機関サーバDNは、第1金融機関サーバB1に対して、記録内容を送信する(ステップS208)。記録内容を受信した第1金融機関サーバB1は、債権者端末C1に対して、記録内容を送信する(ステップS210)。
【0071】
また、記録機関サーバDNは、第2金融機関サーバB2に対して、記録内容を送信する(ステップS212)。記録内容を受信した第2金融機関サーバB2は、債務者端末D1に対して、記録内容を送信する(ステップS214)。
【0072】
図10は、本発明の第2実施形態に係る管理装置の処理を示す通信フロー図である。以下では、図9の通信フロー以後の通信フローを説明する。
【0073】
第1金融機関サーバB1は、既に受信している電子債権の識別情報と電子債権の割引希望日の情報とに基づいて、第1金融機関サーバB1の記憶部104に記憶されている管理テーブルT1に、入力部108が割引希望日を入力し、特定部110が割引希望日から遡った予約請求日を特定する(ステップS216)。
【0074】
このように、第1実施形態とは異なり、第1債権者が電子債権の発生記録の請求をする際に割引希望日の情報を送信することによっても、第1実施形態と同様に、第1債権者の窓口金融機関である第1金融機関サーバB1が記録機関サーバDNに対して譲渡記録の予約請求をし、記録機関サーバDNは、譲渡記録の予約請求を受け付け、債務者端末D1は第2金融機関サーバB2などの第1金融機関サーバB1以外の他の窓口金融機関を介して、発生記録の予約請求がされている電子債権の変更、取消をすることができなくなる。そのため、他の窓口金融機関に決済口座を保有している債務者が発生させた電子債権を債権者が買い取る際、割引日を含む一定期間は、他の窓口金融機関の決済システムを利用した債務者による変更、取消請求を防止することができる。
【0075】
上述した実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素やプロセスの追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
DN;記録機関サーバ、B1;第1金融機関サーバ、B2;第2金融機関サーバ、C1;第1債権者端末、C2;第2債権者端末、D1~D9;債務者端末、NW;ネットワーク、T1;管理テーブル、102;通信部、104;記憶部、106;制御部、108;入力部、110;特定部、112;予約請求部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10