IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社LIXILグループの特許一覧

特許7018796人体検知センサの検知範囲規定部材および便器
<>
  • 特許-人体検知センサの検知範囲規定部材および便器 図1
  • 特許-人体検知センサの検知範囲規定部材および便器 図2
  • 特許-人体検知センサの検知範囲規定部材および便器 図3
  • 特許-人体検知センサの検知範囲規定部材および便器 図4
  • 特許-人体検知センサの検知範囲規定部材および便器 図5
  • 特許-人体検知センサの検知範囲規定部材および便器 図6
  • 特許-人体検知センサの検知範囲規定部材および便器 図7
  • 特許-人体検知センサの検知範囲規定部材および便器 図8
  • 特許-人体検知センサの検知範囲規定部材および便器 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-03
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】人体検知センサの検知範囲規定部材および便器
(51)【国際特許分類】
   G01V 8/12 20060101AFI20220204BHJP
   A47K 13/24 20060101ALI20220204BHJP
   E03C 1/05 20060101ALI20220204BHJP
【FI】
G01V8/12 D
A47K13/24
E03C1/05
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018059760
(22)【出願日】2018-03-27
(65)【公開番号】P2019174157
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】辻 賢太郎
(72)【発明者】
【氏名】沓澤 寛人
(72)【発明者】
【氏名】内山 拓磨
【審査官】櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-098772(JP,A)
【文献】特開2013-181762(JP,A)
【文献】特開2004-333209(JP,A)
【文献】特開2012-211845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 8/10-8/18
A47K 13/00-17/02
G01J 1/06,1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体検知を行う赤外線センサ本体を有する人体検知センサの検知範囲を規定する人体検知センサの検知範囲規定部材において、
前記人体検知センサは、便器に設けられていて、
前記人体検知センサの検知範囲規定部材は、赤外線の透過を低下させる材料で形成され、前記赤外線センサ本体の検知面側である上方に設置可能なシート部材であり、
前記シート部材は、前記便器に形成された凹部にはめ込み可能に構成され、前記凹部にはめ込まれると前記赤外線センサ本体の上方かつ前記便器に対して前記便器の使用者がいる側である前側部分を覆い、後側部分は覆わないように配置され、
前記凹部は、前記赤外線センサ本体の上方かつ上下方向から見て前記赤外線センサ本体の周囲となる位置に設けられた上方に突出するリブの内側に形成されていることを特徴とする人体検知センサの検知範囲規定部材。
【請求項2】
前記人体検知センサの検知範囲規定部材は、ポリエチレンを材料として形成され、前記赤外線センサ本体の全体を覆うように設置可能に構成されている請求項1に記載の人体検知センサの検知範囲規定部材。
【請求項3】
人体検知を行う赤外線センサ本体を有する人体検知センサと、
前記人体検知センサの検知範囲を規定する人体検知センサの検知範囲規定部材と、を有し、
前記人体検知センサの検知範囲規定部材は、赤外線の透過を低下させる材料で形成され、前記赤外線センサ本体の検知面側である上方に設置可能なシート部材であり、
前記シート部材は、便器に形成された凹部にはめ込み可能に構成され、前記凹部にはめ込まれると前記赤外線センサ本体の上方かつ前記便器に対して前記便器の使用者がいる側である前側部分を覆い、後側部分は覆わないように配置され、
前記凹部は、前記赤外線センサ本体の上方かつ上下方向から見て前記赤外線センサ本体の周囲となる位置に設けられた上方に突出するリブの内側に形成されていることを特徴とする便器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体検知センサの検知範囲規定部材および便器に関する。
【背景技術】
【0002】
便器や洗面台などが設置された水回り空間に人体検知センサが設けられ、この人体検知センサが水回り空間に入ってきた使用者を検知すると、便器の便蓋が開いたり、照明が点灯したりするシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-169901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、人体検知センサが人体を検知すると便器の便蓋が開くシステムでは、使用者が洗面台を使用するために水回り空間に入ってきた場合でも、人体検知センサが使用者を検知して便器の便蓋が開いてしまうというような、不要な動作が行われることがある。このため、使用者が便器に近接した場合に便器の便蓋が開き、使用者が洗面台を使用する場合には、便蓋開けずに照明を点灯させるなど、水回り空間の形態に合わせて人体検知センサの検知範囲を個々に規定する必要がある。
しかしながら、水回り空間の形態に合わせて人体検知センサの検知範囲を規定するために、人体検知センサの仕様を個々に変更することは、人体検知センサを共通化することができないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、人体検知センサの仕様を変更せずに、人体検知センサの検知範囲を容易に規定することができる人体検知センサの検知範囲規定部材および便器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る人体検知センサの検知範囲規定部材は、体検知を行う赤外線センサ本体を有する人体検知センサの検知範囲を規定する人体検知センサの検知範囲規定部材において、前記人体検知センサは、便器に設けられていて、前記人体検知センサの検知範囲規定部材は、赤外線の透過を低下させる材料で形成され、前記赤外線センサ本体の検知面側である上方に設置可能なシート部材であり、前記シート部材は、前記便器に形成された凹部にはめ込み可能に構成され、前記凹部にはめ込まれると前記赤外線センサ本体の上方かつ前記便器に対して前記便器の使用者がいる側である前側部分を覆い、後側部分は覆わないように配置され、前記凹部は、前記赤外線センサ本体の上方かつ上下方向から見て前記赤外線センサ本体の周囲となる位置に設けられた上方に突出するリブの内側に形成されていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明にかかる便器は、人体検知を行う赤外線センサ本体を有する人体検知センサと、前記人体検知センサの検知範囲を規定する人体検知センサの検知範囲規定部材と、を有し、前記人体検知センサの検知範囲規定部材は、赤外線の透過を低下させる材料で形成され、前記赤外線センサ本体の検知面側である上方に設置可能なシート部材であり、前記シート部材は、便器に形成された凹部にはめ込み可能に構成され、前記凹部にはめ込まれると前記赤外線センサ本体の上方かつ前記便器に対して前記便器の使用者がいる側である前側部分を覆い、後側部分は覆わないように配置され、前記凹部は、前記赤外線センサ本体の上方かつ上下方向から見て前記赤外線センサ本体の周囲となる位置に設けられた上方に突出するリブの内側に形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明では、赤外線の透過を低下させる材料で形成された人体検知センサの検知範囲規定部材は、赤外線センサ本体の少なくとも一部を覆うように設けるように構成されている。これにより、人体検知センサの検知範囲規定部材が設けられた部分に対応する人体検知センサが検知可能な範囲の少なくとも一部では、人体検知センサが人体を検知しない、または人体を検知しにくいようにすることができる。
このように、本発明では、人体検知センサの仕様を変更せずに人体検知センサの検知範囲を容易に規定することができる。
また、人体検知センサの検知範囲規定部材が赤外線センサ本体を覆う範囲や、人体検知センサの検知範囲規定部材の赤外線の透過率を調整することで、共通の人体検知センサを用いた場合でも、個々に人体検知センサの検知範囲を規定することができる。
また、異なる仕様の人体検知センサに対しても、同じ形態の人体検知センサの検知範囲規定部材を使用することができる。
さらに、人体検知センサそのものの仕様を変更する必要がないことにより、人体検知センサを設置する現場において、必要に応じて人体検知センサの検知範囲を容易に規定することができる。このため、既存の人体検知センサに対しても、その検知範囲を容易に規定することができる。
【0009】
また、本発明に係る人体検知センサの検知範囲規定部材では、前記人体検知センサの検知範囲規定部材は、前記赤外線センサ本体の検知面側に設置可能なシート部材である。
このような構成とすることにより、人体検知センサの検知範囲規定部材を赤外線センサ本体と干渉させずに容易に設置することができる。また、異なる仕様の人体検知センサに対しても同じ人体検知センサの検知範囲規定部材を使用することができる。
【0010】
また、本発明に係る人体検知センサの検知範囲規定部材では、前記人体検知センサは、便器に設けられていて、前記シート部材は、前記便器に形成された凹部にはめ込み可能に構成されている。
このような構成とすることにより、シート部材を容易に設置することができる。
【0013】
また、本発明に係る人体検知センサの検知範囲規定部材では、前記人体検知センサの検知範囲規定部材は、ポリエチレンを材料として形成され、前記赤外線センサ本体の全体を覆うように設置可能に構成されていてもよい。
このような構成とすることにより、赤外線センサ本体の検知性能を全体的に減衰させることができ、赤外線センサ本体の検知可能な赤外線センサ本体からの距離を全体的に短くすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、人体検知センサの検知範囲を容易に規定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態による便器の一例を示す斜視図である。
図2】トイレ空間の一例の平面図である。
図3図1のA部分拡大図である。
図4】本体部、人体検知センサおよびシート部材を示す斜視図である。
図5】本体部および人体検知センサを示す斜視図である。
図6】人体検知センサの側面図である。
図7】人体検知センサの検知範囲を示す図である。
図8】本発明の第2実施形態による本体部、人体検知センサおよびカバー部材部材を示す斜視図である。
図9】人体検知センサおよびカバー部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態による人体検知センサの検知範囲規定部材および便器について、図1-7に基づいて説明する。
図1および図2に示すように、本実施形態による人体検知センサの検知範囲規定部材1Aは、トイレ空間11(水回り空間、図2参照)に設けられた人体検知センサ2の検知範囲を規定するために設けられている。
図2に示すように、トイレ空間11は、1つの小便器12と2つの洋式便器13が設けられている。トイレ空間11には、外周部に壁部14が設けられているとともに、2つの洋式便器13を仕切る仕切り壁部15が設けられている。
本実施形態では、2つの洋式便器13それぞれに対して人体検知センサ2が設けられている。以下では、人体検知センサ2が設けられた洋式便器13を便器13と表記する。
【0017】
図1に示すように、便器13は、便鉢が形成された便器本体3と、便器本体3の上に設置された便座装置4と、を有している。便座装置4は、便器本体3の後方上部に設置された本体部5と、本体部5に回動可能に取り付けられた便座6と、本体部5に回動可能に取り付けられて便座6の上部を開閉する便蓋7と、を有している。
以下では、便器13に対して便器13を使用する使用者がいる側を前後方向の前側、使用者に対して便器13がある側を前後方向の後側とし、前後方向に直交する水平方向を幅方向として説明する。
【0018】
本体部5は、各種機能を有する機能部51と、機能部51を収容するケース52と、を有している。
機能部51とは、便座6を回動させるための便座回動ユニット、便蓋7を回動させるための便蓋回動ユニット、局部洗浄装置、脱臭装置などの各種機能装置および各種機能部品、これらの各種機能装置および各種機能部品を制御する制御部、これらの各種機能装置および各種機能部品に電源を供給する電源部などを示している。
人体検知センサ2は、機能部51に設けられている。本実施形態では、制御部は人体検知センサ2が人体を検知すると、便蓋7が開いた状態(便座6の上部を開放した状態)となるよう制御する。このため、人体検知センサ2は、検知信号を制御部に通信可能に構成されている。
【0019】
ケース52は、機能部51の上部に配置されるケース上板部521と、機能部51の前側に配置されるケース前板部522と、機能部51の後側に配置されるケース後板部523と、機能部51の幅方向の両側に配置される一対のケース側板部524と、ケース上板部521の上面を覆うケースカバー板部525と、を有している。
ケース上板部521、ケース前板部522、ケース後板部523、およびケース側板部524は、一体に形成されている。
【0020】
図3および図4に示すように、ケースカバー板部525は、ケース上板部521の上面の前縁部近傍を覆う第1カバー板部53と、ケース上板部521の上面の前縁部近傍以外を覆う第2カバー板部54と、第2カバー板部54の上面の前縁部近傍を覆う第3カバー板部55と、第3カバー板部55の上面を覆う第4カバー板部56(図3参照)と、を有している。第1カバー板部53は、便蓋7が閉じた状態となると、便蓋7の下側に配置されている。図4では、第4カバー板部56を省略している。図4に第2カバー板部54の前縁部54aを示す。
ケースカバー板部525は、前縁部近傍が第1カバー板部53のみで構成され、その後側が第2カバー板部54、第3カバー板部55および第4カバー板部56の3重構造に構成され、さらにその後側が第2カバー板部54のみで構成されている。
【0021】
第2カバー板部54の上面には、前後方向の中間部に段部541が形成され、段部541よりも前側が段部541よりも後側よりも低くなっている。第3カバー板部55および第4カバー板部56は、第2カバー板部54における段部541よりも前側の部分の上側に重なって配置されている。
第4カバー板部56は、後端部56aが段部541と対向するように配置されている。第4カバー板部56の上面は、第2カバー板部54の段部541よりも後側部分の上面と面一となっている。
【0022】
図4および図5に示すように、人体検知センサ2は、機能部51の前部上方で幅方向の略中央に設けられている。人体検知センサ2は、第2カバー板部54の段部541の下側に配置されている。
ケース52には、人体検知センサ2の上部となる位置にケース上板部521およびケースカバー板部525を上下方向に貫通する人体検知センサ用孔部526が形成されている。
【0023】
人体検知センサ用孔部526は、ケース上板部521を上下方向に貫通するケース上板孔部571と、第2カバー板部54を上下方向に貫通する第2カバー板孔部542と、第3カバー板部55を上下方向に貫通するとともに後側に開口する第3カバー板切り欠き部551と、第4カバー板部56を上下方向に貫通するとともに後側に開口する第4カバー板切り欠き部561(図3参照)と、から構成されている。
【0024】
ケース上板孔部571は、ケース上板部521の前側部分における幅方向の略中央に形成されている。
第2カバー板孔部542は、第2カバー板部54の前側部分における幅方向の略中央に形成されている。第2カバー板孔部542は、ケース上板孔部571の上部に配置されている。
第3カバー板切り欠き部551は、第3カバー板部55の後端部近傍における幅方向の略中央に形成されている。第3カバー板切り欠き部551は、第2カバー板孔部542の前側部分の上側に配置されている。第3カバー板切り欠き部551は、第2カバー板孔部542の前側部分とほぼ同じ大きさに形成されている。
第4カバー板切り欠き部561は、第4カバー板部56の前端部近傍における幅方向の略中央に形成されている。第3カバー板切り欠き部551は、第3カバー板切り欠き部551の上側に配置されている。第3カバー板切り欠き部551は、第3カバー板切り欠き部551とほぼ同じ大きさに形成されている。
【0025】
ケース上板孔部571は、第2カバー板孔部542よりも小さく形成されていて、その縁部が第2カバー板孔部542、第3カバー板切り欠き部551および第3カバー板切り欠き部551の縁部よりも内側(人体検知センサ用孔部526の中央に向かう側)に配置されている。
ケース上板部521には、ケース上板孔部571の外側で、第2カバー板部54が上側に配置された際に第2カバー板孔部542の縁部とほぼ重なる位置に上側に突出するリブ572が形成されている。リブ572は上下方向から見た形状が環状で、ケース上板孔部571よりも外側に形成されている。ケース上板部521のうち、リブ572の内側でケース上板孔部571よりも外側となる部分をリブ内側板部573とする。
【0026】
リブ内側板部573は、外周部よりも内側のほうが薄く形成されている。リブ内側板部573のうち、リブ572に沿った外周部分を第1リブ内側板部574、第1リブ内側板部574の内側でケース上板孔部571の縁部に沿った内側部分を第2リブ内側板部575とする。
第2リブ内側板部575は、第1リブ内側板部574よりも薄く形成されている。第2リブ内側板部575の上面は、第1リブ内側板部574の上面よりも下側に凹んでいる。
第2リブ内側板部575の前側部分には、さらに板厚を薄く形成した凹部576が形成されている。凹部576は、ケース上板孔部571の前側部分の縁部に沿って配置され、ケース上板孔部571の前側に配置される部分、およびケース上板孔部571の前側部分の幅方向の両側に配置される部分によって上方から見た形状がU字形となる形状に形成されている。
凹部576の縁部は、第1リブ内側板部574と第2リブ内側板部575との境界部よりも内側に配置されている。
図4に示すように、凹部576の内側には、人体検知センサの検知範囲規定部材1Aを設置可能に構成されている。
【0027】
図4図6に示すように、人体検知センサ2は、赤外線センサの赤外線センサ本体21と、赤外線センサ本体21を支持するセンサ本体支持部22と、を有している。
センサ本体支持部22は、円柱状に形成されている。赤外線センサ本体21は、円柱状に形成され、軸線方向の一方側の端面が外側に突出するように湾曲している。赤外線センサ本体21の軸線方向の一方側の湾曲面をセンサ面(検知面)211とする。人体検知センサ2は、センサ面211側から人体(熱)を検知するように構成されている。
赤外線センサ本体21は、センサ本体支持部22の軸線方向の一方側に同軸に配列されるように連結されている。赤外線センサ本体21は、センサ面211が形成されている側と反対側がセンサ本体支持部22と接続されている。
【0028】
図4および図5に示すように、人体検知センサ2は、機能部51の前部上方で幅方向の略中央に設けられている。人体検知センサ2は、第2カバー板部54の段部541の下側に配置されている。
機能部51の前部上方で幅方向の略中央には、人体検知センサ2が固定されるセンサ固定部23が設けられている。センサ固定部23は、前側上方に開口する凹部231が形成され、この凹部231に人体検知センサ2のセンサ本体支持部22が差し込まれて固定されるように構成されている。
センサ固定部23に固定された人体検知センサ2は、センサ面211が前側上方を向いている。
【0029】
図3に示すように、ケースカバー板部525には、人体検知センサ用孔部526を上側から閉塞可能なセンサカバー527が着脱可能に設けられている。
センサカバー527は、第2カバー板孔部542、第3カバー板切り欠き部551および第4カバー板切り欠き部561に対応する板状に形成され、第2カバー板孔部542、第3カバー板切り欠き部551および第4カバー板切り欠き部561に嵌合可能に構成されている。
センサカバー527は、第2カバー板孔部542、第3カバー板切り欠き部551および第4カバー板切り欠き部561と嵌合しても、ケース上板孔部571のケース上板孔部571(図4および図5参照)とは嵌合せず、ケース上板孔部571の上側に配置されている。センサカバー527は、赤外線を透過可能な高密度ポリエチレンなどを材料として形成されている。
【0030】
図4に示す人体検知センサの検知範囲規定部材1Aは、赤外線の透過率の小さいPET(ポリエチレンテレフタレート)などをシート状に形成したシート部材8で構成されている。シート部材8は、第2リブ内側板部575の凹部576および、ケース上板孔部571の前側部分を被覆可能な大きさに形成されていて、第2リブ内側板部575の凹部576にはめ込まれるように構成されている。第2リブ内側板部575の凹部576にはめ込まれたシート部材8は、段差によって水平方向に移動しにくくなっている。
第2リブ内側板部575の凹部576にはめ込まれたシート部材8は、ケース上板孔部571の前側部分を被覆しているため、赤外線センサ本体21の前方下側の部分の上に重なって配置されている。
シート部材8には、下側の面に第2リブ内側板部575の凹部576の底面と接着するための接着テープが設けられていてもよい。
【0031】
上述したように、本実施形態では、シート部材8がケース上板孔部571の前側部分を被覆していることにより、人体検知センサ2の赤外線センサ本体21の下側略半分は覆われている。これにより、赤外線センサ本体21は、上側略半分のみが人体を検知し、下側略半分では人体を検知しないことになる。
このため、図7に示すように、本実施形態の人体検知センサ2の検知範囲S1は、シート部材8で赤外線センサ本体21の下側略半分を覆っていない場合の人体検知センサの範囲S2における後側の部分となり、シート部材8で赤外線センサ本体21の下側略半分を覆っていない場合と比べて、使用者が便器13に近接しないと人体検知センサ2が検知しないことになる。
【0032】
例えば、シート部材8で赤外線センサ本体21の下側略半分を覆っていない場合の人体検知センサの検知範囲S2に便器13が設けられた個室の外側の領域が入っていると、人体検知センサが個室の外側にいる使用者を検知してしまうが、本実施形態のようにシート部材8で赤外線センサ本体21の下側略半分を覆うことで、人体検知センサ2の検知範囲S1を個室の内部のみに規定することができ、人体検知センサが個室の外側にいる使用者を検知してしまうことを防止することができる。
【0033】
次に、上述した第1実施形態による人体検知センサの検知範囲規定部材および便器の作用・効果について図面を用いて説明する。
上述した第1実施形態による人体検知センサの検知範囲規定部材1A(シート部材8)は、赤外線の透過を低下させる材料で形成され、赤外線センサ本体21の少なくとも一部を覆うように設けられている。これにより、シート部材8が設けられた部分に対応する人体検知センサ2が検知可能な範囲の一部では、人体検知センサ2が人体検知を行わないようにすることができる。
このように、本実施形態では、人体検知センサ2そのものの仕様を変更せずに人体検知センサ2の検知範囲を容易に規定することができる。
また、シート部材8は人体検知センサ2と別に設けられているため、異なる仕様の人体検知センサ2に対しても、同じ形態のシート部材8を使用することができる。
さらに、人体検知センサ2そのものの仕様を変更する必要がないことにより、人体検知センサ2を設置する現場において、必要に応じて人体検知センサ2の検知範囲を容易に規定することができる。このため、既存の人体検知センサ2に対しても、その検知範囲を容易に規定することができる。
【0034】
また、シート部材8は、人体検知センサ2と離間した位置に設けられているため、シート部材8を赤外線センサ本体21と干渉させずに容易に設置することができる。
また、人体検知センサ2は、便器13に設けられていて、シート部材8は、便座装置4のケース52に形成された凹部576にはめ込み可能に構成されていることにより、シート部材8を容易に設置することができる。
【0035】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1実施形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1実施形態と異なる構成について説明する。
図8に示すように、第2実施形態による人体検知センサの検知範囲規定部材1Bは、便器13に設けられた赤外線センサ本体21のセンサ面211を覆うように赤外線センサ本体21に着脱可能なカバー部材9で構成されている。
【0036】
図9に示すように、カバー部材9は、人体検知センサ2のセンサ本体支持部22に取り付けられるセンサ取り付け部91と、センサ取り付け部91に支持され赤外線センサ本体21を覆うカバー本体92と、を有している。
センサ取り付け部91は、円筒状で、内部にセンサ本体支持部22が挿入可能な寸法に形成されている。センサ取り付け部91の軸線方向の一方側には、カバー本体92が接続されている。カバー本体92は、センサ取り付け部91の軸線方向から見ると略半円状でセンサ取り付け部91の軸線方向の一方側に湾曲する板状に形成され、センサ取り付け部91の軸線方向の一方側の開口の略半分を閉塞している。
本実施形態では、センサ取り付け部91とカバー本体92とは一体に形成され、例えば、ABS樹脂、ポリカーボネート、アクリル樹脂などで形成されている。
【0037】
センサ取り付け部91の軸線方向の他方側には、周方向に90°ずつ間隔をあけて軸線方向の他方側に開口する切り欠き部(係合部)911が4つ形成されている。4つの切り欠き部911は、同じ形状に形成されている。
人体検知センサ2のセンサ本体支持部22における軸線方向の他方側(赤外線センサ本体21が接続されていない側)には、径方向の外側に突出する2つの突出部221が互いに周方向に90°間隔をあけた位置に形成されている。2つの突出部221は、同じ形状に形成されている。
センサ取り付け部91の4つの切り欠き部911は、それぞれ人体検知センサ2のセンサ本体支持部22の2つの突出部221と嵌合可能に構成されている。
【0038】
カバー部材9は、人体検知センサ2に対して以下のように取り付ける。
カバー部材9のセンサ取り付け部91の軸線方向の他方側(カバー本体92が接続されていない側)を人体検知センサ2と同軸となる姿勢で赤外線センサ本体21と対向させ、人体検知センサ2に移動させてセンサ取り付け部91の内部に赤外線センサ本体21およびセンサ本体支持部22を挿入させる。
センサ取り付け部91の4つの切り欠き部911のうちの2つにセンサ本体支持部22の突出部221を挿入して切り欠き部911とセンサ本体支持部22とを嵌合させる。
【0039】
このとき、カバー部材9のカバー本体92で赤外線センサ本体21の表面を覆う。カバー本体92は、赤外線センサ本体21よりも軸線方向から見た形状が小さいため、赤外線センサ本体21のセンサ面211の一部を覆うことになる。カバー本体92は、赤外線センサ本体21のうちの所望の位置を覆うように配置し、人体検知センサ2の検知範囲を規定する。
センサ取り付け部91には4つの切り欠き部911が形成されているため、4つの切り欠き部911のうちの隣り合う2つの切り欠き部911をセンサ本体支持部22の突出部221と嵌合させることができるため、カバー部材9を人体検知センサ2に対して取り付ける周方向の位置を、90°ごとに任意の位置とすることができる。
【0040】
第2実施形態による人体検知センサの検知範囲規定部材1Bおよび便器13では、第1実施形態と同様の効果を奏する。
また、人体検知センサの検知範囲規定部材1Bは、赤外線センサ本体21のセンサ面211を覆うように赤外線センサ本体21に着脱可能なカバー部材9であることにより、赤外線センサ本体21に容易に設置することができる。
また、カバー部材9は、人体検知センサ2と係合可能な係合部を有していることにより、カバー部材9を赤外線センサ本体21に確実に設置することができる。
【0041】
以上、本発明による人体検知センサの検知範囲規定部材および便器の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の第1実施形態では、人体検知センサの検知範囲規定部材1Aは、赤外線センサ本体21のセンサ面211側に設置可能なシート部材8であり、第2実施形態では、人体検知センサの検知範囲規定部材1Bは、赤外線センサ本体21のセンサ面211を覆うように赤外線センサ本体21に着脱可能なカバー部材9であるが、シート部材8やカバー部材9で以外に赤外線センサ本体21を覆うことが可能な形態であればよい。
【0042】
また、上記の第1実施形態では、シート部材8は、便座装置4のケース52に形成された凹部576にはめ込み可能に構成されているが、便座装置4のケース52に凹部576が形成されていなくてもよい。また、ケース52には、凹部576以外の例えば、シート部材8をはさむ爪部などのシート部材8を支持する機構が設けられていてもよい。
また、上記の第2実施形態では、カバー部材9には切り欠き部911が設けられ、人体検知センサ2のセンサ本体支持部22には突出部221が設けられ、切り欠き部911が突出部221と嵌合して係合するように構成されている。これに対し、カバー部材9に切り欠き部911が設けられていなくてもよいし、センサ本体支持部22に突出部221が設けられていなくてもよい。また、カバー部材9は、切り欠き部911以外の人体検知センサ2と係合可能な係合部を有していてもよい。
【0043】
また、上記の実施形態では、人体検知センサの検知範囲規定部材1A,1Bは、赤外線を透過しない材料で形成され、赤外線センサ本体21の一部を覆うように設けられているが、赤外線の透過を低下させる材料(例えば、高密度ポリエチレンなど)で形成され、赤外線センサ本体21の全体を覆うように設けられていてもよい。このようにすることにより、人体検知センサ2の検知機能を全体的に減衰させることができ、これにより、人体検知センサ2の検知範囲を全体的に小さくすることができる。
【0044】
また、上記の実施形態では、人体検知センサの検知範囲規定部材1A,1Bによって、複数の便器13が設けられたトイレ空間11の便器13に設けられた人体検知センサ2の検知範囲を規定しているが、便器13や洗面台、浴槽などが設けられた水回り空間の便器13に設けられた人体検知センサ2の検知範囲を規定するように構成されていてもよい。
また、上記の実施形態では、人体検知センサ2が人体を検知すると、便器13の便蓋7を開放するように構成されているが、便蓋7を開放する以外に、照明を点灯したり、水回り空間の換気を行ったりするように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1A,1B 人体検知センサの検知範囲規定部材
2 人体検知センサ
8 シート部材
9 カバー部材
11 トイレ空間(水回り空間)
13 便器
21 赤外線センサ本体
211 センサ面(検知面)
576 凹部
911 切り欠き部(係合部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9