(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-03
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】組立家具用係合部材、組立家具キット
(51)【国際特許分類】
F16B 35/00 20060101AFI20220204BHJP
A47B 47/04 20060101ALI20220204BHJP
A47B 47/02 20060101ALI20220204BHJP
F16B 12/02 20060101ALI20220204BHJP
F16B 12/30 20060101ALI20220204BHJP
F16B 12/14 20060101ALI20220204BHJP
F16B 37/00 20060101ALI20220204BHJP
F16B 33/02 20060101ALI20220204BHJP
F16B 23/00 20060101ALI20220204BHJP
A63H 33/42 20060101ALI20220204BHJP
【FI】
F16B35/00 J
A47B47/04 Z
A47B47/04 B
A47B47/02 A
F16B12/02 E
F16B12/30
F16B12/14
F16B37/00 C
F16B33/02 Z
F16B23/00 S
F16B35/00 A
A63H33/42 B
(21)【出願番号】P 2018132232
(22)【出願日】2018-07-12
【審査請求日】2021-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000010065
【氏名又は名称】フクビ化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】黒田 悠生
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 意法
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-095094(JP,A)
【文献】実開平04-126008(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 35/00
A47B 47/04
A47B 47/02
F16B 12/02
F16B 12/30
F16B 12/14
F16B 37/00
F16B 33/02
F16B 23/00
A63H 33/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組立家具を構成する板材に係合される組立家具用係合部材であって、
前記板材の貫通穴に挿通されるボルトと、前記ボルトに螺合するナットと、を少なくとも有し、
前記ボルトおよび前記ナットは、全体が樹脂で形成され、
前記ボルトはボルト頭頂部と該ボルト頭頂部から延びるボルトネジ部からなり、前記ボルトネジ部の外周面に形成される外ネジは、外径とピッチとの比率が2:1~4:1の範囲であり、
前記ナットの内ネジの内径とピッチとの比率が2:1~4:1の範囲であ
り、
前記組立家具用係合部材は、全体が樹脂で形成され前記板材どうしを接続する接続具を更に有し、前記接続具は、前記ボルト頭頂部の外形に沿った形状で凹み、前記ボルト頭頂部の少なくとも一部を受け入れる溝部と、該溝部の底面に形成され前記ボルトネジ部を貫通可能な穴部とを有するボルト受け部を備えることを特徴とする組立家具用係合部材。
【請求項2】
前記ボルトネジ部の外径と、前記ボルトのボルト頭頂部の最大径との比率が1:2~2:3の範囲であることを特徴とする請求項1記載の組立家具用係合部材。
【請求項3】
前記接続具は、複数の前記板材どうしが互いに直交するように固定することを特徴とする請求項
1または2記載の組立家具用係合部材。
【請求項4】
組立家具を構成する板材に係合される組立家具用係合部材を備えた組立家具キットであって、
前記板材の貫通穴に挿通されるボルトと、前記ボルトに螺合するナットと、を少なくとも有し、前記ボルトおよび前記ナットは、全体が樹脂で形成され、前記ボルトはボルト頭頂部と該ボルト頭頂部から延びるボルトネジ部からなり、前記ボルトネジ部の外周面に形成される外ネジは、外径とピッチとの比率が2:1~4:1の範囲であり、前記ナットの内ネジの内径とピッチとの比率が2:1~4:1の範囲である組立家具用係合部材と、前記板材とを少なくとも備え、
前記組立家具用係合部材は、前記ボルト頭頂部の形状が異なる3種類以上の前記ボルトを有することを特徴とする組立家具キット。
【請求項5】
組立家具を構成する板材に係合される組立家具用係合部材を備えた組立家具キットであって、
前記板材の貫通穴に挿通されるボルトと、前記ボルトに螺合するナットと、を少なくとも有し、前記ボルトおよび前記ナットは、全体が樹脂で形成され、前記ボルトはボルト頭頂部と該ボルト頭頂部から延びるボルトネジ部からなり、前記ボルトネジ部の外周面に形成される外ネジは、外径とピッチとの比率が2:1~4:1の範囲であり、前記ナットの内ネジの内径とピッチとの比率が2:1~4:1の範囲である組立家具用係合部材と、前記板材とを少なくとも備え、
前記組立家具用係合部材は、互いに異なる3色以上の色でそれぞれ着色された複数の前記ボルトを含むことを特徴とする組立家具キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立家具の板材に係合される係合部材、およびこれを備えた組立家具キットに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の穴が配列形成された板材と、ネジ、ボルト、L字金具などの係合部材とを用いて、複数の板材を任意の形状に組み合わせて、棚や作業台などを組立可能な組立家具キットは、ホームセンターなどで広く販売されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、多数の通孔が形成されたパンチングボードを、ボルト等の連結具と止め金具によって連結した組立家具が開示されている。また、特許文献2には、互いに係合可能な凸部と凹部とを備えた部材を係合させることによって、任意の形状に組み立てることが可能な組立材が開示されている。
【0004】
このような組立家具を、子供向けの知育用品として用いることが考えられている。組立家具は、部材の組み合わせによって様々な形状の家具を組み上げることができるため、子供の思考能力の向上、想像力の向上などに寄与することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3117060号公報
【文献】特開2001-98667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の組立家具を子供向けの知育用品として用いる場合、次のような課題があった。
(1)板材を係合させるボルトやナットの殆どは金属製であり、また、JISなどで規格化された精度で形成されているので、子供が容易に取り扱うことが難しい。
(2)板材を係合させるボルトやナットは、コスト削減や組立容易性の向上のために、できる限り共通化して少ない種類にするのが一般的であるが、知育用品として用いる場合には、部品どうしの最適な組み合わせを見出させるために、様々な形状のボルトやナットを備えることが望ましい。
(3)子供が興味を引くようなデザイン性に乏しい。
【0007】
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、取扱いが容易であり、子供であっても容易に係合させることが可能な組立家具用係合部材、およびこれを備えた組立家具キットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の組立家具用係合部材は、組立家具を構成する板材に係合される組立家具用係合部材であって、前記板材の貫通穴に挿通されるボルトと、前記ボルトに螺合するナットと、を少なくとも有し、前記ボルトおよび前記ナットは、全体が樹脂で形成され、前記ボルトはボルト頭頂部と該ボルト頭頂部から延びるボルトネジ部からなり、前記ボルトネジ部の外周面に形成される外ネジは、外径とピッチとの比率が2:1~4:1の範囲であり、前記ナットの内ネジの内径とピッチとの比率が2:1~4:1の範囲であり、前記組立家具用係合部材は、全体が樹脂で形成され前記板材どうしを接続する接続具を更に有し、前記接続具は、前記ボルト頭頂部の外形に沿った形状で凹み、前記ボルト頭頂部の少なくとも一部を受け入れる溝部と、該溝部の底面に形成され前記ボルトネジ部を貫通可能な穴部とを有するボルト受け部を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明では、前記ボルトネジ部の外径と、前記ボルトのボルト頭頂部の最大径との比率が1:2~2:3の範囲であることが好ましい。
【0017】
また、本発明では、前記接続具は、複数の前記板材どうしが互いに直交するように固定することが好ましい。
【0020】
本発明の組立家具キットは、組立家具を構成する板材に係合される組立家具用係合部材を備えた組立家具キットであって、前記板材の貫通穴に挿通されるボルトと、前記ボルトに螺合するナットと、を少なくとも有し、前記ボルトおよび前記ナットは、全体が樹脂で形成され、前記ボルトはボルト頭頂部と該ボルト頭頂部から延びるボルトネジ部からなり、前記ボルトネジ部の外周面に形成される外ネジは、外径とピッチとの比率が2:1~4:1の範囲であり、前記ナットの内ネジの内径とピッチとの比率が2:1~4:1の範囲である組立家具用係合部材と、前記板材とを少なくとも備え、前記組立家具用係合部材は、前記ボルト頭頂部の形状が異なる3種類以上の前記ボルトを有することを特徴とする。
【0021】
本発明の組立家具キットは、組立家具を構成する板材に係合される組立家具用係合部材を備えた組立家具キットであって、前記板材の貫通穴に挿通されるボルトと、前記ボルトに螺合するナットと、を少なくとも有し、前記ボルトおよび前記ナットは、全体が樹脂で形成され、前記ボルトはボルト頭頂部と該ボルト頭頂部から延びるボルトネジ部からなり、前記ボルトネジ部の外周面に形成される外ネジは、外径とピッチとの比率が2:1~4:1の範囲であり、前記ナットの内ネジの内径とピッチとの比率が2:1~4:1の範囲である組立家具用係合部材と、前記板材とを少なくとも備え、前記組立家具用係合部材は、互いに異なる3色以上の色でそれぞれ着色された複数の前記ボルトを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、取扱いが容易であり、子供であっても容易に係合させることが可能な組立家具用係合部材、およびこれを備えた組立家具キットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態の組立家具用係合部材を備えた組立家具キットの使用状態を示す外観斜視図である。
【
図3】ボルトの一例を示す上面図および断面図である。
【
図4】ボルトの他の一例を示す上面図および側面図である。
【
図5】ナットの一例を示す上面図および断面図である。
【
図6】ナットの他の一例を示す上面図および断面図である。
【
図7】ナットの頭頂部の変形例を示す斜視図である。
【
図10】ボルトやナットを回転させる工具の一例を示す斜視図である。
【
図11】本発明の組立家具キットの他の使用状態(組立例)を示す斜視図である。
【
図12】本発明の組立家具キットの他の使用状態(組立例)を示す斜視図である。
【
図13】本発明の組立家具キットの他の使用状態(組立例)を示す斜視図である。
【
図14】本発明の組立家具キットの他の使用状態(組立例)を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態の組立家具用係合部材、およびこれを備えた組立家具キットについて説明する。なお、以下に示す各実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0025】
(第1実施形態)
図1は、本発明の一実施形態の組立家具用係合部材を備えた組立家具キットの使用状態を示す外観斜視図である。なお、本実施形態では、組立家具キットの使用状態の一例として、本棚を組み上げた状態を示している。
本発明の組立家具キットによって作成した本棚10は、複数の板材11A~11Iと、これら板材11A~11Iに係合される複数の組立家具用係合部材12とを備えている。
板材11A~11Iは、例えば木材から形成されている。板材11A~11Iを構成する木材としては、例えば、杉、ヒノキなどの無垢材、集成材、単板積層材、合板、パーティクルボード)、ファイバーボードなどが挙げられる。
あるいは、板材11A~11Iを、例えば樹脂板や金属板で形成することもできる。
【0026】
板材11A~11Iのうち、板材11A,11Bは、この本棚10の側板を構成している。また、板材11C~11Fは棚板を構成している。また、板材11G,11Hは仕切板を、板材11Iは背板をそれぞれ構成している。これら板材11A~11Iのうち、板材11A,11Bは、厚み方向に貫通する複数の貫通穴21,21…が所定のピッチで配列形成されている。
【0027】
図2は、板材11A,11Bの一例を示す平面図である。板材11A,11Bは、例えば略長方形板状を成し、長辺の長さMLは800mm~1000mm、短辺の長さMSは300mm~400mm、厚みT1は5mm~25mm、好ましくは10mm~20mmの範囲にそれぞれ形成されている。
【0028】
板材11A,11Bには、例えば、貫通穴21が長辺方向に1列12個で短辺方向に4列配列されている。それぞれの貫通穴21は、例えば断面円形や断面長円形に形成されている。貫通穴21の寸法例としては、直径φ1が14mm~25mmの範囲である。より好ましくは17~22mmの範囲である。また、隣接する貫通穴21どうしのピッチMPは、50mm~115mm、好ましくは64mm~95mmの範囲である。板材11A,11Bの端部にある貫通穴21の中心と、板材11A,11Bの端部(長辺、短辺)との距離MGは、24mm~44mm、好ましくは27mm~38mmの範囲である。
【0029】
また、板材11C~11Fは、両方の短辺に沿って貫通穴21が形成され、更に両方の長辺に沿って貫通穴21として長穴が形成されている。
【0030】
組立家具用係合部材12は、ボルト31,ナット32,接続具33などから構成されている。ボルト31,ナット32,接続具33は、それぞれ全体が樹脂によって一体に成形されている。樹脂としては、硬質樹脂、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、PET樹脂、ナイロン樹脂などを用いることができる。
【0031】
組立家具用係合部材12の全体を樹脂によって構成することで、例えばボルト31,ナット32,接続具33などを任意の色に着色することができ、例えば、赤色、青色、黄色など複数の原色に着色することで、使用者である子供の興味を引くことができる。また、樹脂を用いることによって、組立家具用係合部材12の軽量化を図ることができる。更に、組立家具用係合部材12を樹脂によって構成することで、金属などと比較して手触りが良く、表面を粗面にするなどの表面加工も容易である。
【0032】
ボルト31,ナット32,接続具33を構成する樹脂として、着色樹脂を用いることで、互いに異なる複数の色、例えば3色以上に着色されていることが好ましい。特に、互いに色の異なる赤色、青色、黄色などの明るい原色に着色した複数の組立家具用係合部材12を混在させることで、組立家具キットの想定使用者である子供の視角的な興味を引くことができる。
【0033】
また、ボルト31,ナット32,接続具33を構成する樹脂の表面に微細な凹凸を形成し、表面を租面にすることも好ましい。これにより、ボルト31,ナット32,接続具33の手触りが良くなるとともに、把持した時の滑り止めの効果を得ることもできる。また、ボルト31とナット32とを螺合させた際に、内ネジと外ネジとの接触面積が減少し、少ない力でスムーズに螺合させることができる。
【0034】
図3は、ボルト31の一例を示す上面図(
図3(a))、側面図(
図3(b))および断面図(
図3(c)である。
組立家具用係合部材12であるボルト31は、ボルト頭頂部31Aとここから延びるボルトネジ部31Bとを備えている。ボルト頭頂部31Aは、外形が六角柱、四角柱、三角柱、円柱などの形状に形成されている。即ち、ボルト31は、六角ボルト、四角ボルト、三角ボルトなどが混在している(
図1参照)。
【0035】
組立家具キットにこれらボルト頭頂部31Aの形状にそれぞれ合わせた樹脂製のレンチなどを備えることによって、使用者である子供がボルト頭頂部31Aの形状に合わせて最適なレンチを選択するといった思考力を伸ばすことができる。
なお、
図3に示す実施形態では、ボルト頭頂部31Aの形状を六角柱にしている。これにより、六角レンチなどでボルト31を回動させることができる。
【0036】
ボルト31は、穴付きボルトであっても良い。即ち、ボルト頭頂部31Aからボルトネジ部31Bに向かって所定の深さの凹部31Nを形成し、この凹部31Nの形状を六角柱、四角柱、三角柱、十字形などにすることもできる。
図3に示す実施形態では、凹部31Nの形状を十字形にしている。これにより、十字ドライバなどでボルト31を回動させることができる。
【0037】
なお、ボルト31を穴付きボルトにする場合、ボルト頭頂部31Aの外形形状を円筒状や円板状にすることもできる。例えば、
図4(a)の上面図、
図4(b)の側面図に示すボルト31では、ボルト頭頂部31Aを薄い円板状に形成し、内側に十字形の凹部31Nを形成することで、平ボルト(薄板状ボルト)としている。
【0038】
また、ボルト31には、ボルト頭頂部31Aからボルトネジ部31Bの内部に至る空洞31Sを形成することもできる。即ち、
図3に示す実施形態では、この空洞31Sは、一端がボルト頭頂部31Aの凹部31Nに露出してボルトネジ部31Bの内部に広がる円筒形の空洞である。このように、ボルト頭頂部31Aの凹部31Nと連通した空洞31Sを形成することによって、ボルト31を軽量化することができ、ボルト31の取扱い性を向上させることができる。
【0039】
ボルト31のボルトネジ部31Bの外周面には、外ネジ31Rが形成されている。外ネジ31Rのネジ山は、延長方向に直角な断面が、例えば半円形を成すように形成されている。外ネジRのネジ山の断面を、例えば半円形にすることによって、鋭角な角部が無くなり、手触りが良くなって使用者である子供の興味を引くことができる。
【0040】
このようなボルト31は、外ネジ31Rの外径D1とピッチΔ1との比率が2:1~4:1の範囲になるように形成されている。こうした比率は、一般的なJIS規格のボルトと比較して、外ネジ31Rの外径D1に対するネジ山のピッチΔ1が大きい。これにより、ボルト31をナット32に螺合させる際に、回し初めの時点でボルト31を容易にナット32のネジ溝に嵌め込むことができ、使用者が子供であっても、ボルト31をナット32とを簡単に螺合させることができる。また、ネジ山のピッチΔ1が大きいことで、少ない回転数でボルト31をナット32とが完全に螺合するので、使用者が子供であっても容易にボルト31をナット32とを螺合させることができる。
【0041】
また、ボルト31は、ボルトネジ部31Bの外径D1と、ボルト頭頂部31Aの最大径D2との比率が1:2~2:3の範囲になるように形成することが好ましい。ボルトネジ部31Bの外径D1ボルト頭頂部31Aの最大径D2とを上述した比率範囲で形成することにより、ボルト31全体が一般的なJIS規格のボルトと比較して、膨らんだような形状になり、使用者である子供の興味を引くことができる。
【0042】
ボルト31各部の具体的な寸法例としては、ボルト31の外ネジ31Rは、外径D1が8mm~24mmの範囲内であり、より好ましくは外径D1が12mm~22mmの範囲内である。また、ボルト31の外ネジ31Rは、ピッチΔ1が4mm~6mmの範囲内である。
【0043】
また、ボルト31の外ネジ31Rの長さL1は、5~50mmである。なお、
図4に示すように、ボルト31が平ボルト(薄板状ボルト)の場合には、外ネジ31Rの長さL1を板材11A~11Iの厚みと同一にすることも好ましい。
【0044】
ボルト31のボルト頭頂部31Aは、最大径D2が22mm~38mmの範囲内であり、より好ましくは最大径D2が25mm~34mmの範囲内である。また、ボルト31のボルト頭頂部31Aは、高さ(厚み)H1が2mm~22mmの範囲内であり、より好ましくは高さ(厚み)H1が3mm~16mmの範囲内である。
【0045】
図5は、ナットの一例を示す上面図(
図5(a))、および断面図(
図5(b)である。
組立家具用係合部材12であるナット32の一例のナット321は、外形が例えば六角柱を成し、内穴の内周面には内ネジ321Rが形成されている。内ネジ321Rのネジ山は、延長方向に直角な断面が、例えば半円形を成すように形成されている。
【0046】
このようなナット321の内ネジ321Rは、ボルト31の外ネジ31Rに螺合可能なピッチΔ2に形成され、かつ、内ネジ321Rの内径D3とピッチΔ2との比率が2:1~4:1の範囲になるように形成されている。こうした比率は、一般的なJIS規格のナットと比較して、内ネジ321Rの内径D3に対するネジ山のピッチΔ2が大きい。これにより、ボルト31をナット321に螺合させる際に、回し初めの時点でボルト31を容易にナット321のネジ溝に嵌め込むことができ、使用者が子供であっても、ボルト31とナット321とを簡単に螺合させることができる。
【0047】
ナット321各部の具体的な寸法例としては、ナット321の内ネジ321Rは、内径D3が8mm~24mmの範囲内であり、より好ましくは内径D3が12mm~22mmの範囲内である。また、ナット321の内ネジ321Rは、ピッチΔ2が4mm~6mmの範囲内である。
【0048】
また、ナット321は、最大外径D4が24mm~36mmの範囲内であり、より好ましくは最大外径D4が28mm~34mmの範囲内である。また、ナット321の高さ(厚み)H2は8mm~20mmの範囲内であり、より好ましくは高さ(厚み)H2は10mm~16mmの範囲内である。
【0049】
なお、こうしたナット321の外形形状は、
図5に示す六角柱以外にも、ボルト31のボルト頭頂部31Aと同様に、四角柱、三角柱、円柱などの形状に形成することもできる。
【0050】
図6は、ナットの他の一例を示す上面図(
図6(a))、および断面図(
図6(b)である。
ナット32の他の一例であるナット322は、ナット頭頂部322Aと、このナット頭頂部322Aから延びるナットネジ部322Bとを有し、ナットネジ部322Bの内部に形成された開口に内ネジ322Rが形成されている。
【0051】
ナット頭頂部322Aは、外形が例えば六角柱を成し、内側に十字形の凹部322Nが形成されている。これにより、ナット322は、ナット頭頂部322Aの外側に嵌合可能な六角レンチを用いて回転させたり、また、十字形の凹部322Nに嵌合可能な十字ドライバーを用いて回転させることができる。
【0052】
ナットネジ部322Bは、長さL2が板材11A~11Iの厚みと同一になるように形成されていることが好ましい。また、内ネジ322Rが形成されたナットネジ部Bの内部空間と、ナット頭頂部322Aに形成された十字形の凹部322Nとは、互いに連通するように構成されていても良い。
【0053】
なお、ナット頭頂部322Aに形成される凹部322Nは、
図6のように十字形に形成する以外にも、例えば六角形、四角形、三角形などに形成して、使用者である子供に適切な回転工具(ドライバー)を選択させるようにすることも好ましい。
【0054】
このようなナット322の内ネジ322Rは、ボルト31の外ネジ31Rに螺合可能なピッチΔ3に形成され、かつ、内ネジ322Rの内径D5とピッチΔ3との比率が2:1~4:1の範囲になるように形成されている。こうした比率は、一般的なJIS規格のナットと比較して、内ネジ322Rの内径D5に対するネジ山のピッチΔ3が大きい。これにより、ボルト31をナット322に螺合させる際に、回し初めの時点でボルト31を容易にナット322のネジ溝に嵌め込むことができ、使用者が子供であっても、ボルト31とナット322とを簡単に螺合させることができる。
【0055】
ナット322各部の具体的な寸法例としては、ナット321のナットネジ部322Bに形成された内ネジ322Rは、内径D5が8mm~24mmの範囲内であり、より好ましくは内径D5が12mm~22mmの範囲内である。また、ナット322の内ネジ322Rは、ピッチΔ3が4mm~6mmの範囲内である。また、ナットネジ部322Bの長さ(内ネジ322Rの長さ)L2は6mm~26mmの範囲内であり、より好ましくは長さL2が11mm~21mmの範囲内である。
【0056】
また、ナット322のナット頭頂部322Aは、最大外径D6が24mm~36mmの範囲内であり、より好ましくは最大外径D6が28mm~34mmの範囲内である。また、ナット322のナット頭頂部322Aの高さ(厚み)H3は8mm~20mmの範囲内であり、より好ましくは高さ(厚み)H3は10mm~16mmの範囲内である。
【0057】
なお、こうしたナット322の外形形状は、
図6に示す六角柱以外にも、ボルト31のボルト頭頂部31Aと同様に、四角柱、三角柱、円柱などの形状に形成することもできる。
【0058】
また、ナット322のナット頭頂部322Aの形状を文字、任意の図形、機能性形状にすることも好ましい。例えば、
図7(a)では、ナット323のナット頭頂部を星形の図形323Aにしている。また、例えば
図7(b)では、ナット324のナット頭頂部を機能性形状であるフック形状324Aにしている。更に、例えば
図7(c)では、ナット325のナット頭頂部を機能性形状である小物入れの形状325Aにしている。
【0059】
こうしたナット323~325は、板材11A~11Iに形成された任意の位置の貫通穴21に、それぞれナットネジ部323B,324B,325Bを貫通させ、ボルト31を用いて係合させることができる。
このようにナットの頭頂部の形状を文字、任意の図形、機能性形状にすることによって、組立家具キットによって作成した本棚10のデザイン性を高めたり、本棚10に小物を引っ掛けるなど機能性を高めることができる。
【0060】
図8は、接続具の一例を示す外観斜視図である。
組立家具用係合部材12である接続具33の一例のL字固定具(接続具)331は、互いに直交する一面側固定部331Aと他面側固定部331Bを有する。この一面側固定部331Aと他面側固定部331Bには、それぞれボルト31のボルト頭頂部31Aの外形に沿った形状で凹み、ボルト頭頂部31Aの少なくとも一部を受け入れる溝部332と、この溝部332の底面332bに形成されて、ボルト31のボルトネジ部31Bを貫通可能な穴部333とを有している。
【0061】
こうしたL字固定具(接続具)331は、2枚の板材11A~11Iを互いに直角に固定させることができる。例えば、本棚10では、側板を成す板材11A,11Bと棚板を成す板材11C~11Fとを互いに直角に固定するために用いられている。
【0062】
そして、
図8に示すL字固定具(接続具)331では、ボルト31のボルト頭頂部31Aが六角柱を成す六角ボルトに対応して、溝部332が六角形を成す凹み形状にされている。ボルト31のボルト頭頂部31Aを溝部332に入れることによって、ボルト31の回転止めの役割を果たす。
【0063】
これにより、L字固定具(接続具)331をボルト31及びナット32によって板材11A~11Iに固定する際に、ボルト31のボルト頭頂部31Aをスパナなどで保持しなくても、ナット32を回転させるだけで、L字固定具(接続具)331を容易に板材11A~11Iに固定することができる。
なお、
図8に示すL字固定具(接続具)331では、六角ボルトに合わせて溝部332を六角形を成す凹み形状にしているが、ボルト31のボルト頭頂部31Aの形状に合わせて四角形の凹み形状、あるいは三角形の凹み形状などにすることもできる。
【0064】
このようなL字固定具(接続具)331各部の具体的な寸法例としては、一面側固定部331Aおよび他面側固定部331Bの板材に対する接触面での長さL3は、40mm~65mmの範囲内であり、より好ましくは長さL3は44mm~57mmの範囲内である。
【0065】
また、一面側固定部331Aと他面側固定部331Bの直交する角部と穴部333の中心との距離L4は、24mm~44mmの範囲内であり、より好ましくは長さL4は27mm~38mmの範囲内である。
【0066】
なお、この距離L3は、板材11A~11Iに形成された貫通穴21,21…のうち、板材11A~11Iの四辺に隣接する貫通穴21の中心と、板材11A~11Iの隣接する一辺との間の距離MGと同一にすることが好ましい。
これにより、L字固定具(接続具)331の一面側固定部331Aと他面側固定部331Bとが直交する角部が、板材11A~11Iの四辺のそれぞれから突出することなく、L字固定具(接続具)331を板材11A~11Iに取り付けることができる。
【0067】
図9は、接続具の他の一例を示す外観斜視図である。
組立家具用係合部材12である接続具33の一例の仕切固定具(接続具)335は、互いに水平方向および垂直方向にそれぞれ直交するように板材を保持する第1挟持部335Aと第2挟持部335Bとを有する。この第1挟持部335Aおよび第2挟持部335Bは、板材11A~11Iを厚み方向で挟持可能な略コ字形に形成されている。
【0068】
第1挟持部335Aは、ボルト31のボルト頭頂部31Aの外形に沿った形状で凹み、ボルト頭頂部31Aの少なくとも一部を受け入れる溝部336と、この溝部336の底面336bに形成されて、ボルト31のボルトネジ部31Bを貫通可能な穴部337とを有している。一方、第2挟持部335Bは、板材11A~11Iを摺動可能に挟持するだけで、ポルト31を貫通させるための穴などは形成されない。
【0069】
こうした仕切固定具(接続具)335は、2枚の板材11A~11Iを互いに水平方向および垂直方向にそれぞれ直交するように固定させることができる。例えば、本棚10では、仕切板を成す板材11G,11Hに仕切固定具(接続具)335の第1挟持部335Aをボルト31およびナット32によって固定し、第2挟持部335Bを棚板を成す板材11C~11Fに嵌め込むことで、仕切板を成す板材11G,11Hを棚板を成す板材11C~11Fの長さ方向に沿って任意の位置に移動可能に載置することができる。
【0070】
図10は、ボルトやナットを回転させる工具の一例を示す斜視図である。
図10(a)に示すように、本発明の組立家具キットには、ボルトやナットを回転させるドライバー(工具)40が付属する。
ドライバー40は、作用部41が例えば十字形を成し、
図3に示すボルト(穴付きボルト)31のボルト頭頂部31Aに形成された十字形の凹部31Nに作用部41を嵌合させてボルト31を回転させたり、
図6に示すナット322のナット頭頂部322Aに形成された十字形の凹部322Nに作用部41を嵌合させてナット322を回転させたりするのに用いることができる。
【0071】
こうしたドライバー(工具)40は、作用部41を支持する取っ手である把持部42が楕円球状に形成されている。把持部42を楕円球状に形成することによって、使用者が手の小さい子供であっても把持しやすく、容易にボルト31やナット322を回転させることができる。ドライバー40は、例えば全体が硬質樹脂によって構成されていればよい。
【0072】
また、
図10(b)に示すように、本発明の組立家具キットには、ボルトやナットを回転させるレンチ(工具)50が付属する。
レンチ50は作用部51に例えば六角形の開口が形成され、
図3に示すボルト31の六角柱のボルト頭頂部31Aに作用部51を嵌合させてボルト31を回転させたり、
図5に示すナット321や
図6に示すナット322のナット頭頂部322Aに嵌合させてナット321,322を回転させたりするのに用いることができる。こうしたレンチ50は、例えば全体が硬質樹脂によって構成されていればよい。
【0073】
レンチ50の作用部51は、
図10(b)に示す六角形以外にも、ボルト31のボルト頭頂部31Aの外形形状やナット32の形状に合わせて、四角形や三角形などに形成することもできる。また、複数の形状のボルト31やナット32に合わせて、作用部51の形状が異なる複数種類のレンチ50を添付することも好ましい。これによって、使用者である子供が、ボルト31やナット32の形状に合致するレンチ50を見出して使用するといった能力を向上させることに寄与する。
【0074】
本発明の組立家具キットの他の使用状態(組立例)を
図11~
図14に示す。
図11は、ハンガー棒を付加することによって、子供用のハンガー付きテーブルを組み立てた組立例である。
図12は、L字形の取っ手状部材と、車輪とを付加することによって、子供用の移動可能な玩具箱を組み立てた組立例である。
図13は、幅および長さの大きい棚板を座板として使用することによって、子供用の椅子を組み立てた組立例である。
図14は、樹脂製の回転板や抽斗を付加することによって、扉や抽斗付きの子供用の収納家具を組み立てた組立例である。
【0075】
なお、本発明の組立家具キットは、上述した使用状態(組立例)に限定されるものでは無く、任意の組み合わせによって、様々な形状の家具を組み立てることが可能である。
【0076】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0077】
10…本棚(組立家具キット)
11A~11I…板材
12…組立家具用係合部材
21…貫通穴
31…ボルト
32…ナット
33…接続具