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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-03
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】摩擦圧接部を形成するための装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 20/12 20060101AFI20220204BHJP
【FI】
B23K20/12 A
B23K20/12 G
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018546773
(86)(22)【出願日】2016-11-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-01-10
(86)【国際出願番号】 GB2016053759
(87)【国際公開番号】W WO2017093726
(87)【国際公開日】2017-06-08
【審査請求日】2019-11-12
(31)【優先権主張番号】1521079.2
(32)【優先日】2015-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】518186414
【氏名又は名称】ジャックウェルド リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000811
【氏名又は名称】特許業務法人貴和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャックマン,スチュアート
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】英国特許第01324431(GB,B)
【文献】特開2002-301578(JP,A)
【文献】特開昭48-030650(JP,A)
【文献】特開2002-103060(JP,A)
【文献】特公昭49-029413(JP,B1)
【文献】特開2002-219584(JP,A)
【文献】特開平04-143086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のワークピースと第2のワークピースとの間に摩擦圧接を形成するための装置であって、
支持装置と、
前記支持装置によって支持され、該支持装置に対して回転駆動されるか、あるいは、該支持装置に対して、円弧状経路に沿って移動することができる、保持部材と、
第1の接合面および第2の接合面を有し、第1の接合面および第2の接合面が露出するように、かつ、第1の回転中心を中心として前記保持部材に対して回転可能に、前記保持部材上の装着位置に取り付けられ、前記保持部材が前記支持装置に対して回転駆動される、あるいは、円弧状の経路に沿って移動するとき、第1の回転中心は前記支持装置に対して軌道運動するように移動する、消耗要素と、
第1のワークピースおよび第2のワークピースの取り付け面が、前記消耗要素の第1の接合面および第2の接合面とそれぞれ位置合わせされるように、第1のワークピースおよび第2のワークピースを定位置にそれぞれ保持するように配置された、第1および第2の位置合わせ装置と、
を備える、装置。
【請求項2】
前記保持部材は、第2の回転中心の周りを回転するように駆動されるロータを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装着位置は、前記ロータを貫通して形成された開口部に備えられ、前記消耗要素は、該開口部に対して回転可能に取り付けられ、および、第2の回転中心は、第1の回転中心に対してオフセットされている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記消耗要素が、前記装着位置に回転可能に取り付けられた支持リング内に取り付けられている、請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記支持リングは、該支持リングの回転軸に対して第1の角度に設定された内面を有し、前記消耗要素は、該消耗要素の回転軸に対して第2の角度でオフセットされた外側リムを有する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
第1の角度および第2の角度は、互いに同じであるか、または実質的に同じである、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記消耗要素の表面に当接するように、前記支持リングに取り外し可能に取り付けられ、前記消耗要素の回転軸に平行な方向への前記消耗要素の移動を防止するロック要素を備える、請求項5または6の記載の装置。
【請求項8】
前記ロータは、駆動装置によって回転駆動されるように構成されている、請求項2~7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記駆動装置は、前記ロータと係合する駆動歯車またはホイールを備え、前記支持装置は、前記ロータを少なくとも部分的に囲むが、前記駆動歯車またはホイールと前記ロータとの間の係合を可能にするために、ギャップまたは中断部を有する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記支持装置は、リング歯車を備え、前記保持部材は、前記リング歯車と噛み合うように駆動され、前記リング歯車の内面の周りを回転する遊星歯車を備える、請求項1または2に記載の装置。
【請求項11】
第1の位置合わせ装置は、第1のワークピースを挿入することができる貫通孔が形成されたスリーブ要素を備え、該スリーブ要素は前記支持装置に対して所定の位置に保持される、請求項1~10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記スリーブ要素が、前記支持装置に対して回転可能な位置に保持される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
第1のワークピースを前記消耗要素に向かって駆動するテンション装置をさらに備える、請求項1~12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
2つのワークピースを結合するために溶接部を形成する方法であって、
第1および第2の接合面を有する消耗要素を提供し、
前記消耗要素を、支持装置によって支持された保持部材の取付位置に、第1の回転中心の周りに前記保持部材に対して回転可能に、かつ、前記消耗要素の第1および第2の接合面が露出するように、取り付け、
取り付け面をそれぞれ有する第1および第2のワークピースを提供し、
第1および第2のワークピースの前記取り付け面を前記消耗要素の第1および第2の接合面にそれぞれ整列させ、および、
第1の回転中心が前記支持装置に対して旋回運動するように、前記保持部材を回転させるか、または前記保持部材を円弧状の経路に沿って移動させることにより、第1および第2のワークピースの前記取り付け面と前記消耗要素の第1および第2の接合面との間に摩擦力を発生させる、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩擦圧接部を形成するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
溶接は、材料(通常金属または熱可塑性材料)を、材料間の融合を引き起こすことによって接合するために使用される周知の技術である。
【0003】
幾つかのタイプの溶接では、接合される材料に熱が直接加えられて、融合が起こる。例えば、これはアーク溶接で起こる。
【0004】
材料は、摩擦圧接によっても接合できる。摩擦圧接とは、接合される2つのワークピース(または他の構成要素)の面が共にしっかりと押さえつけられ、回転するなどして互いに移動する技術である。ワークピースの相対的な動きから、摩擦熱が生じ、ワークピース間の融着を引き起こす。
【0005】
摩擦圧接は、熱が直接加えられる他の溶接技術に対し、特に溶接ゾーンにおける過度の加熱の回避に関して幾つかの利点を有する。溶接手順中に発生する過度の熱は、例えば金属製ワークピースの結晶構造における望ましくない変化などの重大な問題を引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、摩擦圧接を実施するための改良された装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、摩擦圧接部を形成するための装置であって、装置は以下から構成される:
支持装置;
前記支持装置によって支持され、それに対して回転するように駆動されるか、または円弧状経路に沿って移動することができる保持部材;
第1の接合面を有する消耗要素であって、該消耗要素は、第1の接合面が露出するように前記保持部材上の装着位置に装着され、該消耗要素は、第1の回転中心の周りで保持部材に対して回転可能であり、前記保持部材が前記支持装置に対して回転、または前記支持装置に対して移動するように駆動されるとき、第1の回転中心は、前記支持装置に対して軌道運動するように移動する;および、
第1のワークピースの取り付け面が前記消耗要素の第1の接合面と位置合わせされるように、第1のワークピースを適所に保持するように配置された少なくとも第1の位置合わせ装置;
を含む。
【0008】
該装置は、第1のワークピースと第2のワークピースとの間に摩擦圧接部を形成し、前記消耗要素は第1および第2の接合面を有し、前記消耗要素が前記保持部材上の装着位置に装着されると、第1および第2の接合面が露出され、該装置は、第1のワークピースと第2のワークピースの取り付け面がそれぞれ前記消耗要素の第1と第2の接合面と整列するように第1と第2のワークピースを適所にそれぞれ保持するように配置される、第1および第2の整列構成を備えることが望ましい。
【0009】
好ましくは、単一の整列配置が提供される。
【0010】
前記保持部材は、第2の回転中心の周りを回転するように駆動可能なロータを備えるものが好都合である。
【0011】
前記装着位置は、前記消耗要素が回転可能に取り付けられたロータを貫通して形成された開口部を含み、第2の回転中心は回転の第1の中心に対してオフセットされていることが望ましい。
【0012】
前記消耗要素は、前記装着位置に回転可能に取り付けられた支持リング内に取り付けられることも望ましい。
【0013】
好都合には、前記支持リングは、その回転軸に対して第1の角度に設定された内面を有し、前記消耗要素は、その回転軸に対して第2の角度でオフセットされた外側リムを有する。
【0014】
第1および第2の角度は、互いに同じであるか、または実質的に同じであることが好ましい。
【0015】
好ましくは、該装置は、前記支持リングに取り外し可能に取り付けられ、前記消耗要素の表面に当接するように、前記消耗要素の回転軸に平行な方向への前記消耗要素の移動を防止するロック要素をさらに備える。
【0016】
前記ロータは、駆動装置によって回転駆動されるように構成されていることが好適である。
【0017】
有利には、前記駆動装置は、ロータと係合する駆動歯車またはホイールを備え、前記支持装置は、前記ロータを少なくとも部分的に囲むが、前記駆動歯車またはホイールと前記ロータとの間の係合を可能にするために、隙間(ギャップ)または中断部を有する。
【0018】
好ましくは、前記支持装置はリング歯車を備え、前記保持部材は、前記リング歯車と噛み合うように駆動され、前記リング歯車の内面の周りを回転する遊星歯車を備える。
【0019】
前記保持部材は、前記支持装置に対して円弧状の経路で移動するように駆動されるキャリッジを備えることが好適である。
【0020】
前記キャリッジは前記支持装置に対して回転しないものが好ましい。
【0021】
好ましくは、第1の位置合わせ構成は、第1のワークピースを挿入することができる貫通孔が形成されたスリーブ要素を備え、スリーブ要素は前記支持装置に対して所定の位置に保持される。
【0022】
前記スリーブ要素は、ワークピースが前記消耗要素に対して半径方向に移動しないように、前記支持装置に対して空間的に所定の位置に保持されることが好都合である。
【0023】
前記スリーブ要素は、前記支持装置に対して回転可能な位置に保持されるものが望ましい。
【0024】
該装置は、第1のワークピースを前記消耗要素に向かって駆動するテンション装置をさらに備えるものが望ましい。
【0025】
該装置は、第1のワークピースに対する前記消耗要素の回転を防止または禁止するように動作可能な回転抑制装置をさらに備えるものが好適である。
【0026】
有利には、前記回転阻止装置は、前記消耗要素の一部に取り付けられた保持要素を含む。
【0027】
好ましくは、前記保持要素は、前記消耗要素が前記支持装置に対して軌道運動で移動するときに、該保持要素を軌道運動で移動させる前記支持装置によって支持される。
【0028】
前記保持要素は、前記消耗要素が前記支持装置に対して軌道運動で移動するときに、前記消耗要素に取り付けられたままであることを可能にする可撓性接続部に取り付けられるものが好適である。
【0029】
前記回転抑制装置は、前記消耗要素の面から突出し、実質的に第1のワークピースに対して回転しない保持装置に対して摺動することができる1つ以上の突起を備えるものが好ましい。
【0030】
前記または各突起は、前記突起から前記消耗要素の回転中心を通る線とほぼ平行な1つまたは複数の面を有し、保持構成は、各面と実質的に位置合わせされ、その面または各面に対向または隣接する面を含むものが好ましい。
【0031】
前記または各突起は、一対の対向した実質的に平行な面を有し、前記保持装置は、前記面と実質的に整列し、前記面に接しているかまたは隣接しているものが好適である。
【0032】
前記または各突起に対し、前記保持装置は、前記突起が前記保持装置に対して摺動することができる方向に実質的に垂直な方向に前記第1のワークピースに対して移動可能なものが好ましい。
【0033】
前記位置合わせ装置は、前記支持装置の断面積と少なくとも同じ大きさの面積を有するワークピースの面に装置を取り付けられるものが好ましい。
【0034】
該装置は摩擦表面装置であり、前記消耗要素は細長く、第1のワークピースは、前記消耗要素からの材料がその上に堆積される表面を含み、前記消耗要素を表面に向かって駆動するために前記消耗要素に力を加える駆動装置が設けられており、前記消耗要素と表面との間の相対的な並進運動を生じさせる並進装置が設けられることが好適である。
【0035】
有利には、前記消耗要素の少なくとも一部は、前記保持部材内に取り付けられた球面軸受に取り付けられる。
【0036】
該装置は、第1および第2の隣接するワークピース間に溶接接合部を形成するための装置であり、消耗要素は細長く、位置合わせ装置は、ワークピースが互いに接触する領域と前記消耗要素が位置合わせされるように2つのワークピースを互いに隣接して保持し、前記消耗要素を互いに接触する領域に向かって駆動するために前記消耗要素に力を加える駆動装置が設けられており、前記消耗要素と前記ワークピースが互いに接触する領域との間に相対的な並進運動を生じさせる並進装置が設けられることが好ましい。
【0037】
前記2つのワークピースの取り付け面は、該ワークピースが互いに接触する領域に隣接するワークピースの領域を含むものが好ましい。
【0038】
本発明の別の態様は、溶接部を形成するための方法を提供し、該方法は支持構造を含み、第1の接合面を有する消耗要素を提供し、第1の接合面が露出するように前記消耗要素を保持部材上の装着位置に装着し、前記消耗要素は、第1の回転中心の周りで前記保持部材に対して回転可能であり、取り付け面を有する第1のワークピースを提供し、第1のワークピースの取り付け面を前記消耗要素の第1の接合面に整列させ、第1の回転中心が軌道運動するように、前記保持部材を回転させるか、または前記保持部材を円弧状経路に沿って移動させ、第1のワークピースの取り付け面と前記消耗要素の第1の接合面との間に摩擦力を発生させる。
【0039】
この方法は、2つのワークピースを接合するためのものであり、前記消耗要素は第1および第2の接合面を有し、前記消耗要素が前記保持部材の装着位置に装着されたときに、第1および第2の接合面が露出し、それぞれが取付面を有する第1および第2のワークピースが設けられ、この整列工程は、第1および第2ワークピースの取り付け面を前記消耗要素のそれぞれの第1および第2の接合面に整列させる工程を含み、回転工程は、第1および第2のワークピースの取り付け面と前記消耗要素の第1および第2の接合面との間に摩擦力を発生させることが望ましい。
【0040】
本方法は、前記消耗要素を単一のワークピースに接合することが望ましい。
【0041】
前記消耗要素は、第1の接合面と第2のブレース面とを有し、該消耗要素が前記保持部材の装着位置に装着されると、第1および第2の面が露出され、ブレース面を有するブレース要素が設けられており、整列工程は、第1のワークピースの取り付け面と前記ブレース要素のブレース面とを前記消耗要素それぞれの第1および第2の面に整列させる工程と、回転工程の間、前記ブレース要素は前記ブレース面に押し付けられるが、前記ブレース要素と前記ブレース面との間に溶接接合部が形成されないことが好適である。
【0042】
本発明のさらなる態様は、摩擦表面仕上げの方法を提供する。該方法は、
第1の接合面を有する細長い消耗要素を提供する工程と、
前記第1の接合面が露出するように、前記消耗要素を保持部材の保持位置に対して、前記消耗要素が前記保持部材に対して第1の回転中心の周りに回転できるように取り付ける工程と、
表面を提供する工程と、
前記表面を前記消耗要素の前記第1の接合面と整列させる工程と、
第1の回転中心が軌道運動するように、前記保持部材を回転させるか、または第1の回転中心が軌道運動するように、前記保持部材を円弧状の経路に沿って移動させて、前記表面と前記消耗要素の第1の接合面との間に摩擦力を発生させる工程と、
を備える。
【0043】
有利には、本方法は、溶接動作が進むにつれて前記消耗要素を前記表面に向かって駆動する工程をさらに含む。
【0044】
好ましくは、本方法は、溶接作業が進むにつれて前記消耗要素と前記表面との間に相対的な並進運動を加える工程をさらに含む。
【0045】
また、本発明の他の様態は、2つの隣接するワークピース間に溶接部を形成する方法であって、該方法は、
自由端を有する細長い消耗要素を提供する工程と、
前記自由端が露出し、前記消耗要素が、第1の回転中心の周りで保持部材に対して回転可能であるように、前記消耗要素を前記保持部材の取り付け位置に取り付ける工程と、
前記2つのワークピースを互いに隣接して保持し、前記ワークピースが互いに接触する領域に前記消耗要素を位置合わせする工程と、
第1の回転中心が軌道運動するように、前記保持部材を回転させるか、または、前記保持部材を円弧状の経路に沿って移動させることによって、前記消耗要素の自由端とワークピースが互いに接触する領域との間に摩擦力を発生させる工程と、
を備える。
【0046】
好都合には、本方法は、溶接作業が進むにつれて、前記ワークピースが互いに接触する領域に向かって前記消耗要素を駆動する工程をさらに含む。
【0047】
有利には、溶接部は、溶接作業が進むにつれて前記消耗要素と、前記ワークピースが互いに接触する領域との間に相対的な並進運動を加える工程をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1図1aおよび図1bは、本発明での使用に適したロータを示す。
図2図2は、本発明での使用に適した支持ケーシング9を示す。
図3図3は、本発明での使用に適した支持ケーシング9を示す。図3aは、本発明での使用に適した代替のロータの一部を示す。
図4図4は、本発明での使用に適した支持リングを示す。
図5図5は、本発明での使用に適した支持リングを示す。
図6図6は、共に組み立てられた支持ケーシング、ロータ、支持リングおよび消耗要素を示す。図6aは、代替の支持リングおよび消耗要素の一部を示す。
図7図7は、本発明での使用に適した支持リングを示す。
図8図8は、本発明を具体化する溶接装置を示す。
図9図9は、本発明での使用に適した支持リングを示す。
図10図10は、本発明を具体化する溶接装置と共に使用する2つの圧縮装置を示す。
図11図11aおよび図11bは、本発明を具体化する代替の溶接装置の部分を示す。
図12図12は、本発明での使用に適した回転防止装置を示す。
図13図13は、本発明での使用に適した回転防止装置を示す。
図14図14は、本発明を具体化する別の溶接装置を示す。
図15図15は本発明を具体化する別の溶接装置を示す図である。
図16図16は本発明を具体化する別の溶接装置を示す図である。
図17図17a~図17dは、2つの部材の間の溶接部を形成する装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明がより容易に理解され得るように、添付の図面を参照して本発明の実施形態を例として説明する:
最初に図1aおよび1bを参照すると、ロータ1が示されている。ロータ1は、一般に環状リングの形態をとり、ロータ1全体を通過する開口3を取り囲むリム2を有する。
【0050】
リム2は、ほぼ平行で対向する主表面4を有し、好ましくはこの領域の大部分にわたって実質的に一定の厚さ5を有する。
【0051】
リム2の各面4の外縁部6は、好ましくは円形または実質的に円形であり、リム2の外壁7は、その中に形成された一連の離間した歯8を有してもよい。好ましい実施形態において、リムの外壁7は、他の壁7のいずれかの側に上向きに延びる2つの突起14を有し、外壁7は概してトラフを画定する。これらの実施形態では、突起14の間に歯8が形成されている。
【0052】
ロータ1を貫通する開口3は、円形または実質的に円形であることが好ましい。しかしながら、開口3の円形の幾何学的中心は、ロータ1のリム2の円形の幾何学的中心からずれている。従って、開口3はリム2に対して偏心しており、同心ではないことが理解されよう。一実施形態では、開口3の直径は300mmであり、リム2の幾何学的中心と開口3の幾何学的中心との間の距離は5mmである。従って、リム2に対する開口3のオフセットの程度は、開口3の全直径の割合として比較的小さくてもよい。好ましい実施形態において、オフセット距離(すなわち、リム2と開口3の幾何学的中心間の距離)は、開口の直径の0.5%と3%の間である(オフセット距離は、プロセスパラメータおよび溶接される特定の材料に応じて、この範囲外であってもよい)。より好ましくは、オフセット距離は開口3の直径の1%と2%の間がよい。より好ましくは、オフセット距離は開口3の直径の1%と2%の間がよい。さらにより好ましい実施形態においては、オフセット距離は、開口3の直径の約1.67%がよい。
【0053】
しかし、他の実施例では、オフセット距離がより大きくてもよい。例えば、オフセット距離が開口の直径の30%と同じ高さである例が想定される。従って、全体の範囲は0.5%~30%であってもよい。
【0054】
ロータ1は、図2に示す支持ケーシング9内に取り付けられている。支持ケーシング9は弧状であり、好ましくは円形または実質的に円形のリングの一部の形態をとる。リングの内側は開いており、全体的に内向きのトラフを表している。一連の離間した第1のローラ10がトラフ内に設けられている。好ましい実施形態において、支持ケーシング9は、完全な円の半分以上を形成し、例えば、完全な円の200~250を含むことができる。
【0055】
第1のローラ10は自由に回転することができ、支持ケーシング9自体の平面にほぼ整列した平面内に設定される。
【0056】
支持ケーシング9は、適切なスタンドまたは支持体(図示せず)によって定位置に保持され、必要に応じて地面に載置されるか、または1つ以上の他の構成要素によって支持され得る。スタンドは、支持ケーシング9とは別に形成されていてもよいし、あるいは一体に形成されていてもよい。幾つかの実施形態において、1つまたは複数の交換可能なスタンドまたは他のサポートが提供されてもよく、その結果、支持ケーシング9は、異なる状況で所定の位置に保持することができる。
【0057】
ロータ1は支持ケーシング9内に設置されているが、明確性のため、図2には、ロータ1なしで支持ケーシング9が示されている。図3は、支持ケーシング9の一部の破断図を示す。支持ケーシング9は、外壁11と、トラフ形状を画定する2つの対向する側壁12とを有することが分かる。1つの第1ローラ10が示されており、これは、支持ケーシング9に対して軸13上で回転するように取り付けられている。
【0058】
ロータ1のリム2も示されている。支持ケーシング9およびロータ1の寸法は、ロータ1のリム2の外面7がローラ10上に載置され、外面7に形成された2つの突起14が第1のローラ10の支持縁15を跨ぐようにその両側に延在する。
【0059】
従って、ロータ1が支持ケーシング9内に取り付けられた状態では、ロータ1は支持ケーシング9に対して自由に回転(または回転駆動)することができるが、そこから取り外すことはできないことが理解されるであろう。支持ケーシング9が完全な円の半分以上を描くので、支持ケーシング9に形成された隙間は、ロータの外径よりも小さい幅を有するので、ロータ1は支持ケーシング9から半径方向に取り外すことができない。ロータ1のリム2の外面7に形成された突起14が支持ケーシング9の第1のローラ10の両側に位置しているので、ロータ1を支持ケーシング9から軸方向に取り外すこともできない。従って、ローラ10は、いずれの方向においても、支持ケーシング9に対するロータ1の長手方向運動を防止する。
【0060】
上記で第1のローラ10の使用を説明したが、ロータ1の自由回転を可能にする他の適切な構成を使用することもできる。例えば、一連の適切なブッシングを含む平軸受が使用されてもよい。
【0061】
使用時には、駆動歯車(図示せず)が、駆動歯車の歯がロータ1の外面7に設けられた歯8と噛み合うように配置される。駆動歯車は、支持ケーシング9から突出した外面上の点、すなわち支持ケーシング9内の隙間と整列しているロータ1の部分で、ロータ1と係合する。従って、ロータ1は、支持ケーシング9によって支持されて保持され、駆動歯車によって回転駆動され得ることが理解されるであろう。
【0062】
好ましくは、駆動歯車は、好適な形態をとることができるモータ(図示せず)によって駆動される。
【0063】
しかしながら、他の実施形態では、ロータは、1つ以上の歯車、ベルト、チェーン、作業ネジ、高調波駆動、または任意の他の適切な駆動方法によって駆動されてもよい。ロータ1を駆動するための幾つかの技術では、ロータ1の一部を支持ケーシング9の間隙を介して露出させる必要はない。この実施形態では、支持ケーシング9は、その中に破断部が形成されていない。例えば、ロータの中央に係合する代わりに、ロータの1つ以上の端部(軸方向)に駆動歯車、プーリなどを設けることができる。これらの実施形態では、駆動歯車/プーリなどは、支持ケーシングの横に(または軸方向に間隔をおいて)配置される可能性がある。
【0064】
上述したように、ロータ2の外面7には歯8が形成されていてもよい。この場合、第1のローラ10が歯8に直接接触すると、第1のローラ10を損傷する可能性があるため、望ましくないことがある。これを避けるために、ロータ2の外面7は、図3aに示すように、ロータ2の外面7の周りを走る溝またはトラフ7aを有してもよい。歯8は溝またはトラフ7a内に配置することができ、外面7の残りの部分は滑らかまたは実質的に滑らかである。これは、第1のローラ10が歯8に接触することなく外面7に載ることができ、駆動歯車など(図示せず)を溝またはトラフ7aに挿入して歯8と係合できることを意味する。
【0065】
ロータ1は、その内面22(すなわち、開口3を取り囲む面)に、一連の第2のローラ23を支持し、それらはそれぞれ、開口3の中心を直接通過する軸とほぼ平行な軸を中心に回転するように配置されている。従って、この実施形態では、第2のローラ23は、第1のローラ10と平行または実質的に平行であることが理解されるであろう。第2ローラ23は自由に回転するように配置されている。図示の実施形態では、第2のローラ23は、ロータ1の内側22に形成された内向きのトラフ24または他の凹部内の全体または一部に設けられている。
【0066】
好ましい実施形態において、一連の離間した第2のローラ23が、ロータ1の内側22の周りに設けられている。しかしながら、同じ全体的機能を提供する類似の構成が使用されてもよい。
【0067】
図4を参照すると、支持リング25の破断図が示されている。
【0068】
支持リング25の外縁部26は、ロータ1のリム2の外縁部7と同様であり、外縁部26の両側に一対の突起27が形成され、断面図では、外縁26はトラフの形をとっている。
【0069】
支持リング25の内側に面する内側エッジ28は、内側開口29を取り囲み、支持リング25の残りの幅に対して縮小された幅を有する。好ましい実施形態において、この減少した幅は、支持リング25の残りの幅の約半分である。
【0070】
図5は、以下に、より詳細に説明されるように溶接部を形成するプロセスで使用する材料のディスク16を示す。図示の例では、ディスク16は、円形または実質的に円形の形状であり、支持リング25の内径と同じまたは実質的に同じ外径を有する。ディスク16のリム17の幅は、好ましくは、支持リング25の狭められた内縁28の幅と同じかまたは実質的に同じである。
【0071】
使用時には、ディスク16を支持リング25の内側開口29内に配置して、支持リング25によって支持することができる。好ましい実施形態において、ディスク16は、内側開口29内にしっかりと嵌まり、支持リング25に対して容易に回転できない。
【0072】
ディスク16は、「パック」と呼ぶことが可能である。
【0073】
図6は、(本発明を具体化する完全に組み立てられた装置に存在し得るカラーのような特定の構成要素が明瞭化のために省略されていることを理解されたい)組み立てられた態様で上記の構成要素を示す。既に説明したように、ロータ1は、支持ケーシング9内に嵌合し、支持ケーシング9に保持された第1のローラ10上を自由に回転する。
【0074】
支持リング25は、ロータ1の内側開口3内に嵌合し、ロータ1に保持された第2軸受23は、支持リング25の外縁部26に形成されたトラフ形状内に嵌合する。支持リング25は、第2ローラ23上を自由に回転する。
【0075】
最後に、パック16は支持リング25の内側開口29内に嵌合する。
【0076】
上述した装置の1つの用途は、部材の2つの自由端部、特に(ただし排他的ではない)鉄道軌道レールの部分のような細長い部材を共に溶接することである。この溶接作業を実行するために、2つのレール部分の自由端がパック16の対向する主面に押し付けられ、ロータ1が駆動歯車およびモータによって(上述のように)回転駆動される。ロータ1が回転するにつれて、パック16の幾何学的中心とロータ1のリム2の内側開口3の幾何学的中心との間にオフセットがあるため、パック16が偏心運動を行うことが分かる 。また、これにより、パック16の主表面をレール部分の自由端に摺動させ、克服しなければならない摩擦力の結果として、パック16の主面とレール部分の自由端との間の界面に多量の熱エネルギーが発生する。この摩擦熱の結果として、レール部分の2つの自由端の間の適所にパック16が効果的に溶接され、最終溶接部の一部を形成する2つのレール部分の間に溶接部を形成することができる。従って、パック16は、このタイプの溶接プロセスにおいて消耗品パックとして作用することが理解されるであろう。
【0077】
パック16の主表面は、実質的に平面であり、互いに平行であるものが好ましい。しかし、他の実施形態では、溶接プロセスを改善するために、主面が軸方向に輪郭付けられ、および/またはテクスチャ加工される。これらの実施形態では、溶接物の自由端がパック16の主表面に押し付けられると、自由端の幾つかの部分のみが最初にパック16に接触でき、自由端の他の部分は溶接プロセスの後の段階でパック16と接触する。
【0078】
好ましい実施形態において、パック16は、一緒に溶接される2つのレール部分と同じまたは実質的に同じ材料から形成される。しかしながら、他の実施形態では、パック16は、レール部分の材料とは異なる材料から形成されてもよく、当業者は、適切な材料を選択するために使用され得る基準を理解するであろう。例えば、得られる溶接部の機械的性能を改善するために、および/または異なるプロファイルまたは冶金特性を有する2つのワークピースの間に接合部を形成する場合、異なる材料を使用することができる。
【0079】
当業者は理解しているように、各レール部分の自由端は、ロータ1の全回転中に、自由端の全ての部分が(軸方向から見て)パック16の適切な主面の外周内に入るように、パック16に対して配置されなければならない。従って、パック16は、ロータ1の回転に伴って、レール部分の自由端の一部が半径方向外側に突出しないように、十分に大きな直径を有していなければならない。
【0080】
好ましい実施形態において、ロータ1は、互いに取り外し可能に取り付けることができる2つの部分で形成されてもよい。これにより、一旦溶接プロセスが完了すると、上述したプロセスによって互いに溶接された2つの細長い要素をロータ1から取り外すことができる。例えば、ロータ1は、ボルト、クランプおよび/または他の適切な固定具によって互いにしっかりと取り付けられた2つの半体(図示せず)で形成することができる。溶接手順の間、2つの半体は互いに付着したままである。溶接作業が完了した後、2つの半体は、互いに分離され、離れて移動することができる。
【0081】
同様に、支持ケーシング9は、互いに取り外し可能に取り付けることができる2つ以上の部品に形成することもできる。支持ケーシング9がこのように形成されない限り、一旦溶接作業が完了すると、ロータ1を支持ケーシング9から取り外すことは困難または不可能であることが理解されるであろう。
【0082】
さらに、支持リング25は、溶接作業が完了した後に取り外すことができるように、2つ以上の取り外し可能で取り付け可能な部品で形成されてもよい。
【0083】
当業者であれば、溶接作業が完了した後、支持ケーシング9を最初に取り外し、その後、支持リング25を最終的に取り外す前に、ロータ1を次の工程で取り外す必要があることを理解するであろう。
【0084】
図6aは、支持リングに対してパックを保持する別の方法を示す。この実施形態では、パック16aは、パック16aの回転軸に対してある角度に設定された外側リム59を有する。従って、パック16aは円錐台形状をとる。幾つかの例では、回転軸に対する外側リム59の角度は、5°~20°であってもよいが、他の角度も可能である。
【0085】
支持リング25aは、内側に面する係合面60を有し、この係合面は、支持リング25aの回転軸に対してある角度に設定されている。好ましい実施形態では、この角度は、パック16aの外側リム59のオフセット角度と同じ、または実質的に同じである。
【0086】
この係合面60に加えて、係合面60の内径が最大となる側には、内向き面61が設けられている。内向き面61は、図示の例では、ねじ山がつけられている。ロックリング62が設けられ、このロックリング62は、ねじ込まれた内向き面61に係合できるようにねじ切りされた外面63を有する。
【0087】
使用時には、最初にパック16aが支持リング25aに挿入され、その結果オフセットされた外側リム59が内向きの係合面60によって受け入れられ、実質的に一致する。次に、ロックリング62は、ネジ付き内向き面61にねじ込まれ、パック16aの側面を押圧するまで前進する。当業者は、ロックリング62が、回転軸に沿って見たときにパック16aの側面と重なるのに十分な半径方向深さでなければならないことを理解するであろう。
【0088】
これにより、角度の付いた外側リム59と角度のついた係合面60との接触によって一方向(図6aの左側)に進むことが防止されて、他方(図6aの右側)には、ロックリング62が設けられているため、パック16aはいずれの方向にも回転軸に沿って移動することができない。
【0089】
しかし、他の実施形態では、パックの回転軸に平行な方向に限られた距離だけ移動する自由度をパックに与えてもよい。
【0090】
図7を参照すると、保持スリーブ31の2つの半体30が示されている。各半体30は、一般に、半円形である第1周辺部32と、概ね直線状であり、半円の自由端の間に直接延在する第2周囲部33とを有するハーフディスクの形態をとる。第2直線周囲部33には切欠部34が形成されている。切欠部34が両方の半体30の第2の周辺部33に形成されているが、幾つかの実施形態では、切欠部が、半体のうちの1つのみに形成される。
【0091】
2つの半体30は、それらのそれぞれの第2周辺部33が互いに接触するように一緒に配置されるとき、好ましくは、2つの切欠部34の組み合わせである中央に開口部を有するほぼ完全な円形を形成する。円形の形状が好ましいが、これは機械加工が比較的容易であるが、保持スリーブの他の任意の適切な外形を使用することができることを理解すべきである。
【0092】
他の例では、2つの半体は、完全な円または他の囲まれた形状を形成することができず、形状の周囲に1つまたは複数の隙間が存在し得る。例えば、2つの半体は、組み合わされたときに馬蹄形を形成してもよく、すなわち、周囲に1つの隙間を有する形状であってもよく、隙間は、支持スリーブ31を貫通して形成される切欠部分と接触する。
【0093】
この実施形態では、保持スリーブ31は、レールの一部分を保持するように意図されている。従って、切欠部34の各々は、保持されるべきレールの断面輪郭のほぼ半体の形状である。半体30が一緒に配置されるとき、保持スリーブ31の中心における開口部の全体の形状は、レールの断面形状全体の形状になる。
【0094】
もちろん、すべてのレールが同じ断面形状を有するわけではなく、切欠部34の形状は、保持スリーブ31によって保持される特定のタイプのレールに一致するように形成される必要がある。
【0095】
好ましくは、各半体30は、実質的に一定の厚さを有する。
【0096】
溶接装置によって互いに溶接されるべき細長い要素の各々に対して、好ましくは、1つの保持スリーブ31が設けられる。保持スリーブ31は、上述したロータ1の一方の側に設けられ、その機能の1つは、細長い要素を所定の位置に保持し、移動または回転を防止することである。
【0097】
図7からわかるように、この例では溶接されるべきレールの断面形状は不規則であり、保持スリーブ31に形成された開口部内にレールが溶接されると、保持スリーブ31自体が十分に強く保持されていないか、または溶接作業から生じる力のもとで変形されない限り、レール部分の回転は防止される。
【0098】
しかし、他の実施形態では、一緒に溶接される細長い要素の一方または両方は、ほぼ円形の断面形状を有してもよい。当業者であれば、溶接作業中にこのような要素を回転して静止状態に保持することはより難しいことを理解するであろう。また、ボルトなどの1つ以上の締結具を細長い要素の周囲に駆動して、溶接作業が進行する。
【0099】
使用時には、1つの支持スリーブ31がロータ1のいずれかの側に取り付けられ、一緒に溶接される細長い要素を定位置に保持する。支持スリーブ31は、ロータ1に対する支持スリーブ31の位置合わせが、溶接作業が進むにつれて正確かつ一貫して維持されることが重要であるが、任意の適切な方法で定位置に保持することができる。
【0100】
本発明の好ましい実施形態において、支持スリーブ31は、支持ケーシング9に取り付けられているか、またはそれ自体が支持ケーシング9に取り付けられた構成要素によって定位置に保持される。これは、溶接作業中に正しい位置合わせを確実にするのに役立つ。あるいは、ロータ1は、一方または両方の側に軸方向の延長部(図示せず)を有してもよく、各延長部は、内側に面するローラを有し、支持スリーブ31を回転可能に取り付けることができる。これらの実施形態では、支持スリーブ31を通過するワークピースは、好ましくは(例えば、支持ケーシングへの接続を介して、横方向の整列を維持してもよい)回転的に固定され、これにより、支持スリーブ31がロータ1すなわち、ロータ1は、支持スリーブ31の周りを回転し、支持スリーブ31は、依然として回転したままである。しかしながら、支持スリーブ31は、ワークピースをロータ1に対して所定の位置に横方向に保持する。この種の実施形態の利点は、ロータ1の横方向の移動または振動が直接支持スリーブ31に伝達され、従ってワークピースに伝達され、ロータ1とワークピースとの相対的な横方向の位置決めが正確に維持される。
【0101】
各ワークピースがパック16に対して長手方向に移動することが重要である。これにより、溶接作業の間にワークピースをパック16の主表面に対して駆動することが可能になる。これが達成される1つの方法は、各支持スリーブ31に対して、それを通過するワークピースが支持スリーブ31に対して長手方向に摺動できるようにすることである。そのような実施形態では、支持スリーブ31は、例えば支持ケーシングとの接続を介して、機械的に回転が抑制される。接続は、支持スリーブ31から外向きに延び、支持ケーシングまたはそれに取り付けられた別の固定された非回転物体に結合されるか、または一体的に形成される1つまたは複数の接続アーム(図示せず)支持ケーシングの外部に配置される。好ましい実施形態において、2つの連結アームが実質的に反対方向に支持スリーブ31から外向きに延び、支持ケーシングに取り付けられている。連結アームは、支持スリーブ31(従って、ワークピース)がパック16に対して軸方向に摺動することを可能にするように、軸方向で支持ケーシングに対して摺動可能に取り付けられてもよい。
【0102】
支持スリーブ31を通る開口部は、ワークピースの形状の少なくとも一部に密接に適合する形状を有する必要があるが、ワークピースが開口部を通って長手方向に摺動することが防止されるように、ワークピースの周りにあまり密着しない。
【0103】
この長手方向のモーメントが達成される好ましい方法は、ワークピースが支持スリーブ31に対して長手方向に固定されることであるが、支持スリーブ31自体がロータ1に対して長手方向に移動可能である。
【0104】
ワークピースは、例えば、支持スリーブ31の外面に形成された溝(図示せず)に挿入または駆動されるくさびの使用によって、支持スリーブ31に対して長手方向に固定されてもよい。各支持スリーブ31の開口を形成する際の公差は、開口を形成するために使用されるプロセスにもよるが、約0.2mmであってもよい。テーパ状の溝は、支持スリーブ31の中心の開口のまわりに直ちに形成されてもよい。これらの溝のテーパは、溝が支持スリーブ31の外面上でより広く、その内面に向かって先細になる。ワークピースは、開口を通って挿入され、パック16の主面に対して強制的に押圧され得る。次いで、くさびが溝内に押し込まれ、ワークピースを支持スリーブ31に対して長手方向の所定の位置に保持する。くさびは、例えば、小さな油圧シリンダーによって適所に駆動され、各くさびに対しそのようなシリンダーが1つ存在し得る。これらの実施形態では、支持スリーブ31を貫通して形成される開口部の形状は、開口部がワークピースだけでなく、くさびにも適合しなければならないので、ワークピースの断面形状と一致しないことが理解される。
【0105】
ロータ1に対する支持スリーブ31の長手方向の移動は、支持スリーブ31を支持ケーシング9に対して長手方向に摺動させることによって達成され得る。支持スリーブ31および支持ケーシング9は、協働するタングおよび溝要素、または支持スリーブ31が支持ケーシング9に対して長手方向に移動できるようにする任意の他の適切な構成で形成されてもよいが、これらの構成要素間の相対的な回転運動は許容しない。支持ケーシング9は、(例えば、内向きリップまたは他の突出部の形態の)エンドストップを有し、支持スリーブ31がロータ1またはパック16に接近または接触するのを防止する。
【0106】
当業者は、パック16とワークピースとの間の相対的な長手方向の運動は、他の適切な手段によって達成され得ることを理解するであろう。図8を参照すると、別の第2の支持ケーシング35が示されている。
【0107】
図8は、第2ケーシング35の中心を通る水平面を通る断面図を示している。図8は、第2ケーシング35の中心を通る水平面を通る断面図を示している。図2に示す支持ケーシング9のように、第2の支持ケーシング35は完全な円の一部のみを形成し、ロータの回転駆動を可能にする開放部分を有することが想定される。
【0108】
第2支持ケーシング35は、中央部36と、左右の側部37とを有する。中央部分36は、第1のローラ10を支持する内側に向いた第1のトラフを有する点で、図2および図3に示す支持ケーシング9と実質的に同じである。ロータ1は、第1ローラ10によって支持され回転し、ロータ1によって支持された第2ローラ23で支持リング25が回転する。パック16は、支持リング25によって適所に保持される。
【0109】
側部セクション37は、図示の実施形態では、中央セクション36と一体的に形成されている。
【0110】
各側部セクション37には、第2の支持ケーシング35の内向きリムに内向きリング38が形成されている。リング38は、図7に示すように、第2支持ケーシング38に対して長手方向に摺動することができるように、上述したのと同じ方法で、支持スリーブ31を収容するように寸法決めされている。内側に突出したリップ47が、各内側に向いているリング38の内側縁にまたはその近くに設けられ、エンドストップとして作用し、支持スリーブ31がロータ1に近づき過ぎないようにする。第2の支持ケーシング35は、各支持スリーブ31を、上述した構成要素によって定位置に保持されたときに、パック16と平行またはほぼ平行に保持する。
【0111】
好ましい実施形態では、各支持スリーブ31が第2支持ケーシング35に対して回転するのを防止するための配置が提供される。一実施形態では、1つ以上の協働するタング部および溝の配置が提供される。これらのタング部は、第2の支持ケーシング35の側部区域37の内側縁部に設けられた適切な形状の溝(図示せず)に嵌合するように、それぞれの支持ケーシング31の外周に設けられていてもよい。あるいは、溝は、第2の支持ケース35の内側縁に設けられた内側に突出したタング部を有する支持スリーブ31上に設けられてもよい。さらなる可能性として、これらの2つの組み合わせが提供されてもよい。第2支持部35に対する支持スリーブ31の回転を防止するための他の適切な配置も使用することができる。タング・アンド・グルーブタイプの構成の利点は、支持スリーブ31を第2の支持ケーシング35に対して長手方向に摺動させることができることである。
【0112】
支持スリーブ31は第2の支持ケーシング35に対して、溶接される2つのレール部分39が正しい回転方向に保持されるように、方向づけられている。支持スリーブ31が図7に示されているようなものである場合、支持スリーブ31は、その中心を通って形成された開口部(切欠部34の形状の組合せを含む)が、レール部分39が共に溶接されたとき、レール部分39は、その長さに沿って一貫した断面を有する連続レールを形成するようになっている。
【0113】
他の用途では、2つのワークピースが、その断面が整列しないように接合されてもよく、または同じ形状でなくてもよいことに留意されたい。
【0114】
次いで、2つのレール部分39は、図8に示すように、支持スリーブ31の中心を通って形成された開口を通過し、溶接動作の準備として、パック16の主要対向面に押し付けられる。
【0115】
図8に示す構成では、支持スリーブ31はレール部分39の空間的および回転的整合を維持する。また、レール部分39は、互いの方向に、すなわちパック16の対向する主表面に対してしっかりと押圧されなければならない。図8に示す構成では、これらの力は、図8には示されていない別のクランプによって提供される。他の例では、軸方向力は、支持スリーブ31を介してレール部分39に伝達されてもよい。
【0116】
さらなる実施形態では、支持スリーブ31自体が、図6に示される実施形態に関連して上述したように、ロータ1の軸方向延長部に支持されるローラに設けられてもよい。従って、支持スリーブ31は、ロータ1に対して自由に回転することができる。これらの実施形態では、支持スリーブは、溶接作業において接合されるべき細長い要素の空間的整列を目的として使用され、細長い要素の回転整列は、支持スリーブ31の軸方向の延長によって維持されるケーシングに固定された、またはケーシングの一部を形成する摺動ガイドなど、またはクランプのような他の要素に接続することができる。
【0117】
上述したように、この実施形態では、各支持スリーブ31の外面に形成された溝(図示せず)にくさびを挿入または駆動して、細長い要素を支持スリーブに対してしっかりと保持することができる。
【0118】
図9は、溶接作業の間、レール部分39のような細長い要素に長手方向圧縮を加えるための圧縮装置の構成要素の概略図である。図9には、レール部分39が端部に示されている。圧縮装置40は、レール部分39の横断面の上部および下部に一致するように成形された切欠部43を有するブロックの形態をとる上部および下部グリップ部を含む。
【0119】
上下グリップ部41、42は、支持ロッド44に摺動可能に取り付けられている。図示の実施形態では、2つの支持ロッド44が、レール部分39のいずれかの側に1つ設けられている。
【0120】
支持ロッド44に回転可能に取り付けられたグリップローラ45は、好ましい実施形態において鋼から形成されるが、他の適切な材料から形成されてもよい。グリップローラ45の側面46の輪郭は、レール部分39の断面形状の側面の一部または全部と一致するように全体的に形作られている。特に、グリップローラ45は、レール部分39の「フィッシングテーブル」の間に嵌合するように形成されていることが好適である。レール部分の比較的狭い中心が、その上端部および下端部において外方に広がる傾斜面48が形成される。
【0121】
図9は、上側および下側のグリップ部分41、42が互いに分離されているので、圧縮装置40をレール部分39の周りの所定の位置に移動させることができる設置構成の圧縮装置40を示している。これが行われると、上下グリップ部41、42が一体となって、レール部39の上下が、上グリップ部の下面に形成された切欠部43、および、下部グリップ部42の上面とに嵌合する。
【0122】
次いで、グリップローラ45は、1つ以上のモータ(図示せず)によって回転され、レール部分をパック16の方向に長手方向に駆動する。グリップローラ45がレール部分39を把持すると、レール部分39は、溶接作業が継続すると、パックにしっかりと係合し、圧縮状態を維持してパック16の表面に押し付けられる。
【0123】
溶接作業が完了すると、圧縮装置40は、上部および下部把持部41、42を分離し、圧縮装置40をレール部39の自由端から長手方向に摺動させることによって取り外すことができる。
【0124】
図10は、連結アーム49が各グリップローラ45の外面から突出しており、駆動ロッド50または他の連結部に連結されているモータによって回転されるグリップローラ45の代替を示す。グリップローラ45を回転させるために、各駆動ロッド50に縦方向の力が加えられ、グリップローラ45を回転させることができる。連結アーム49は、各グリップローラ45に対して偏心的に取り付けられてもよく、および/またはグリップローラ45自体が偏心して回転するように取り付けられてもよい。これによる1つの効果は、グリップローラ45が連結アーム49によって回転されてレール39をパック16の方に押すとき、グリップローラ45が互いに向かって付勢されるかバイアスされ、レールにクランプ力を及ぼし、レール39がグリップローラ45の間にしっかりと保持され、レール39とグリップローラ45との間の牽引力が増大する。
【0125】
圧縮装置40の対のグリップを溶接装置のいずれかの側に設け、一方が各レール部分39をパック16の方に押すことが想定される。
【0126】
圧縮装置40の間に延在する溶接装置のいずれかの側には、ピストン51が設けられている。駆動ロッド50は、ピストン51を各圧縮装置40の把持ローラ45から突出した連結アーム49に接続する。ピストン51は、必要に応じて両方の駆動ロッド50を外側に押し出すように、または両方の駆動ロッド50を内側に引っ張るように作動されてもよい。
【0127】
当業者であれば、上述の圧縮装置40がこの技術分野において知られていることを理解するであろう。
【0128】
両方の圧縮装置40が溶接装置の両側のレール部分39を把持すると、レール部分39が両方ともパック16に向かって内側に押し込まれるようにピストンを作動させて駆動ロッドを外側に押して、グリップローラ45を回転させるピストンは、溶接作業中にこの状態を維持することができ、それにより、レール部39を圧縮状態に維持し、互いの方へとしっかりと押し込まれ、溶接作業が続くときにレール部39の間にパック16を挟み込む。
【0129】
溶接作業が完了すると、駆動ピストンを駆動して駆動ロッドを外側に引っ張り、レール部分39の圧縮を緩和し、2つの圧縮装置40を取り外すことができるようにすることができる。
【0130】
ここで説明する溶接装置を用いた溶接動作の一例を説明する。
【0131】
当初は、1つのレール部分がすでに配置されており、このレール部分は既に不完全な鉄道ラインの一部を形成している他のレール部分に溶接されていることが想定されている。
【0132】
部分的に完成したラインに含まれる新しいレール部分は、その自由端が既存のレール部分の自由端に近くなるように所定の位置に移動される。
【0133】
2本のレール部分の自由端が合流する領域のまわりで、穴、溝などが地面から迅速に掘り出される。
【0134】
図9に示すような圧縮装置40を使用する場合には、これらの圧縮装置を2つのレール部分の自由端にねじ込むことができる。代替方法として(そしておそらくより実際的に)、圧縮装置40は、それらがレール部分の周りに嵌め込まれ、一緒にボルト止めされるかまたは他の方法で固定され得るように配置され得る。
【0135】
例えば、図8に示すような溶接装置は、2つのレール部分の間に導入される。新しいレール部分は、既存のレール部分の方向に持ち込まれ、レール部分の自由端は、支持スリーブ31に形成された開口を通過し、レール部分の自由端は、パック16の表面に付着する。
【0136】
次いで、圧縮装置40は、レール部分を一緒に駆動して、それらがパック16の対向する主表面に対してしっかりと押圧されるように駆動する。これで溶接作業が開始される。
【0137】
ロータ1は、上述したように、モータによって駆動される駆動輪によって回転される。これが起こると、支持リング25および支持リング25によって支持されたパック16は、回転する軌道運動を記述し、パック16の回転中心は、この回転が進むにつれて円形に移動し、パック16はロータ1に対して自由に回転することができる。
【0138】
当業者には理解されるように、この運動は、レール部分の自由端とパックとの間の摩擦に起因する、かなりの量の熱を発生させる。十分な摩擦熱が発生すると、レール部分の2つの自由端とパックの間に溶接接合部が形成されるように、回転が停止される。
【0139】
例えば、ブリスク製造のための代替プロセスとしての軌道摩擦圧接Journal of Materials Processing Technology 215 (2015) 189-192)に記載されているように、摩擦圧接プロセスでは4つの段階があると理解されている。フェーズ1(初期フェーズ)では、アスペリティ摩耗により真の接触面積が増加し、固体摩擦によって熱が発生する。第2のフェーズ(移行フェーズ)では、摩擦熱により材料が軟化し、接触時間が100%になるまで大きな摩耗粒子が表面から追い出される。フェーズ2は、材料がアキシャル荷重を支持できなくなったときに終了する。
【0140】
フェーズ3(平衡フェーズ)では、柔らかい材料がフラッシュの形成下で溶接ゾーンから押し出される。押し出された材料の下の層は同時に可塑化され、次のサイクルで押し出される。この段階では、結合および塑性変形の破壊および改質によって付加的な熱が発生する。
【0141】
第4および最終フェーズ(「減速フェーズ2」)において、相対運動は停止される。鍛造力が加えられ、残りの可塑化された材料が押し出されて溶接部を固め、全体構造を均質化する。
【0142】
当業者は、上記の溶接プロセスの間にこれらのフェーズがどのように生じるかを理解する。
【0143】
溶接部が十分に冷却されると、支持ケーシング35、ロータ1および支持リム25が分解され、溶接部から除去される。
【0144】
溶接部は、その後、フラッシュや溶接ゾーンから外側に広がり、レール部分のプロファイルを超えて延びる他の材料(パック16の突出材料を含む)の除去によって清掃される。このプロセスが終了すると、2つのレール部分の間の接合部は、その長さに沿って実質的に連続的な断面を有する。
【0145】
このプロセスでは、パックは消費されると理解され、パックの残りの部分が破壊または廃棄され、溶接部の一部として残る。
【0146】
最後の工程として、2つの圧縮装置40が取り外され、2つの圧縮装置40を新しいレール部分の自由端に通す必要があるが、これは煩雑で望みがたい可能性がある。好ましくは、上述したように、テンション装置40は、例えば上側グリップ部41と下側グリップ部42のどちらかを両側支持輪44から完全に取り外すことができるように(例えば、ボルトを緩めることによって)テンション装置40を取り外す。
【0147】
その後、溶接部が完成し、新しいレール部分の自由端に溶接された別のレール部分でこのプロセスを繰り返し返すことができる。
【0148】
本発明の使用は、レール部分に限定されず、任意の適切な要素は、上記手順を使用して一緒に接合されてもよい。
【0149】
細長い特徴を持たない物体が共に接合されることが想定される。これに代えて、あるいはこれに加えて一致または類似の形を有する自由端を有さない物体を一緒に結合することができる。接合される物体の一方または両方が、1つまたは複数の別個の非接触領域を含む断面を有する自由端を有することも想定される。これらの実施形態では、パックは接続されていない、および/または結合される対応した反対の要素を有さない不連続面およびブリッジ領域を接合することができる。
【0150】
上述の実施形態では、ロータ1の内側開口3内で回転する支持リング25が記述されている。しかし、幾つかの実施形態では、ロータ1の内側開口3の周りに設けられた第2のローラ23によって支持され、かつその上に直接回転するような形状のこの支持リングは存在しなくてもよい。このような実施形態では、パックの外縁部を適切な形状に形成することができることが理解されるであろう。第2のローラ23によるその支持およびその係合を容易にするために、第2のローラ23を備えている。
【0151】
幾つかの実施形態では、拘束要素を設け、溶接作業中にパックを正しい位置に維持することができる。例えば、支持ロッド31は、支持スリーブ31の1つのような別の構成要素に接触するかまたはほぼ接触するような長さを有するロッドを用いてパックに接続してもよい。パックが溶接作業中に正しい位置合わせから外れ始めると、支持ロッドは支持スリーブ31または他の構成要素に接触し、さらなる位置ずれを防止する。
【0152】
他の実施形態では、ばね上のロッドまたは他の拘束要素は、他の構成要素に接続され、パックに接触するかまたはほぼ接触するように配置され得る。例えば、ブロック(エラストマー材料から形成することができる)は、パック16の各主面から突き出てもよく、協働するブロックを支持ケーシング9、35の内面に設けてもよい。パック16が正しく整列されていれば、ブロックは互いに接触しないが、パック16が整列不良になる(すなわち、装置の許容公差の外側で整列しない)場合、ブロックは互いに接触し、パック16を押し戻して正しい整列にする。
【0153】
本発明に関わるプロセッサーのさらなる適用は、タービンブレードを中央ハブに結合すること(ブリスクを形成すること)であり得る。このような技術では、ブレードがハブの外周の周りで互いに接近して間隔を置いて配置されるため、各ブレードの根元の周囲の空間が制限されることがある。図11aは、この種の溶接作業に適した本発明の実施形態の概略図を示す。図11aは、円筒状または全体的に円筒形の内部断面形状を有するスリーブ53内に配置された、円筒形またはほぼ円筒形のパック52を示す。
【0154】
図示の実施形態では、パック52とスリーブ53は同軸であり、共通の軸54を共有している。軸受55は、スリーブ53の外面に取り付けられるか、一体成形される。この例では、軸受55は、球面の一部の形状を有する外面を有する球面軸受である。
【0155】
軸受55の周囲にロータ56が配置されている。ロータ56は、回転中心を中心に回転するように配置され、軸受55は、回転中心に対してオフセットされたロータの開口57に収容される。開口57の内面もまた、球の一部の形態をとり、開口55は、開口57内に密接に嵌合する。
【0156】
明確にするために、支持ケーシングは図11には示されていないが、支持ケーシングは、本発明の実際的な実施形態において提供されるべきである。
【0157】
ロータ56は、この実施形態ではほぼ平面であり、ロータ55の平面は、パック52およびスリーブ53の共通の長手方向軸に垂直な平面に対してオフセットされている。好ましい実施形態において、オフセットの角度は5°から30°であってもよい。
【0158】
図11に示す構成の使用において、パック52は、ブリスクのハブの外面と、ハブに取り付けられるブレードの根元との間に配置される。次いで、ロータ56を回転させる。これが起こると、スリーブ53およびパック52は、ロータ56の回転中心を中心とした軌道運動で移動する。図11bは、ロータ56の回転中にスリーブ53によって記述される経路58を概略的に示す。
【0159】
この場合、溶接されているすべての点は上記と同様の溶接作用を受けるが、パックの軌道運動は円形ではなく楕円形になる。
【0160】
あるいは、パック溶接界面の平面は、細長いワークピースの主軸に対してある角度で設定することができ、これにより、接合部の角度がワークピースに対してオフセットされたワークピース間にスカーフジョイントが形成される。
【0161】
上述した技術の代替として、中心太陽歯車の外側を回って回転する遊星歯車に、またはリング歯車の内側を回って、パックを連結することによって、パックの軌道オフセット運動を生成することができる。リング歯車の内側を周回する遊星歯車の場合、遊星歯車の直径はリング歯車の直径よりわずかに小さいので、リング歯車の中心とリング歯車の中心との間のオフセットの程度は、リング歯車の回転と遊星歯車の回転中心は、遊星歯車の直径の割合として比較的小さい。
【0162】
さらなる代替として、可動リングまたは他のキャリッジが設けられてもよく、その中にパックが保持されて自由に回転し、リングまたはキャリッジが軌道運動(例えば、円形トラックの周りを移動することによって)それ自体は回転しない。
【0163】
上記の例では、2つのワークピースが一緒に接合され、パックはワークピース間に配置され、パックの位置で2つのワークピースの間の溶接部の形成を可能にする。
【0164】
しかしながら、他の実施形態では、1つのワークピースとパックとの間に溶接部を形成することができる。実際、このような動作では、パック(またはパックの一部)が単一のワークピースに溶接される。これが望ましいとされる例に、当業界で周知の同心回転スピン技術を用いて、現在摩擦圧接を用いて溶接されている内燃機関のバルブステムおよびバルブディスクが挙げられる。
【0165】
さらなる例には、エンドプレートをアルミニウムの中空押出品に、または1つまたは複数のディスクを細長い要素の端部に溶接して、それらをさらにボルト締め加工することが含まれる。このアプローチは、溶接された端板接続よりも有利である。溶接接続の場合、疲労応力は、周期的な負荷応力を受ける応力のラインを横切って溶接部を整列させるために、実荷重の溶接容量を下げる必要があることを意味する。
【0166】
この場合、このようにして溶接されたエンドプレートは、同じ大きさの接続に対して著しく高い負荷能力を達成することができ、または同じ負荷能力のためにサイズを縮小することができる。これにより、例えば橋梁の設計を通じて、さらなるノックオン経済を実現することができる。
【0167】
上述の例では、2つのワークピースが、パックの対向する主表面に押し付けられ、平衡または実質的にバランスのとれた軸方向の力をもたらす。1つのワークピースが単一のワークピースに溶接される実施形態では、軸受のような部品は、単一のワークピースがパックの1つの主面に押し付けられるのに十分な軸方向荷重能力を有する必要があるが、同様である。
【0168】
別の実施形態では、溶接作業の間、軸表面を平衡させるか、または部分的に平衡させるために、補強部材(固定具など)をパックの対向する主表面に押し付けることができる。支持部材は、パックと溶接接続を形成しない材料から形成されてもよく、溶接作業が完了した後に単に取り外され、パックが単一のワークピースに溶接されたままにしてもよい。ブレース部材をパックに対して押し付けるのに必要な装置は、2つのワークピースが互いに接合されている上述の実施形態の第2のワークピースに使用されるのとほぼ同じであってもよい。
【0169】
上述の装置の発明者は、本発明を具体化する摩擦圧接装置が特に効果的かつ信頼性の高い溶接部を形成することを見出した。理論に拘束されることを望まないが、これらの利点は以下から生じることが考えられる。回転モーメントは、ロータまたはモータからパックホルダーまたはパックに伝達されない。パックホルダーは、自由に回転する軸受によってロータに対して支持される。パックホルダーの回転中心は、ロータの回転中心に対して偏心しており、偏心量は「e」と呼ぶことができる。ロータは、ロータに対するパックの偏心に起因して、半径eを有するロータの回転中心の周りの円形(注記:回転ではない)運動でパックを動かす。円形経路上の任意の点で、ロータは、偏心eを伴って、パックに接線方向の力を与える。ワークピースとパックインターフェースとの間の摩擦は、これらのインターフェースのエリアの中心に作用する抵抗力を生成する。この力は、ロータによって与えられる力に等しいが反対である。これら2つの等しいが反対方向の力は、それらの間に小さな距離を置いて回転モーメントを作り出す。しかしながら、パックの中心付近の界面の回転モーメントは非常に高く、そのためパックはプロセス中に有意な回転を経験しない。
【0170】
当業者は、上記の説明から理解されるように、パックはロータに対して回転自在であるが、溶接作業中には、パックは溶接されたワークピースに対して大きく回転しないことが予想される。地面に対して実質的に静止したままである2つのレールの自由端を一緒に溶接するために使用されるパックの例では(溶接作業の一部として互いに内側に動かされるのとは別に)、パックは地面に対してほぼ回転的に静止したままである。
【0171】
この場合、パックはロータが回転するケーシングに対して回転的に静止しているか、または実質的に静止しており、ロータはケーシングとパックとの間で回転してケーシングに対してパックの円運動を駆動する。
【0172】
本発明の幾つかの実施形態では、溶接動作中にワークが回転することを積極的に防止する回転防止装置をパックに設けることが望ましい場合がある。疑義を避けるために、回転抑制装置は、ロータに対するロータの回転を妨げないことに注意すべきである。実際、パックがワークピースに対して静止しているかまたは実質的に静止したままにするには、パックがロータに対して回転できることが重要である。
【0173】
1つの可能な回転抑制装置の概略図を図12に示す。この図では、パック59および第1回転阻止装置の構成要素のみが示されている。しかしながら、パック59は、上述したように溶接装置の一部を形成することが理解されるべきである。
【0174】
保持バー60は、概して円筒形で細長く、第1の端部61がパック59の面62に取り付けられる。保持バー60は、その回転中心から離間した位置で、好ましくは外側に近接してまたは近接して、パック59の面62に溶接される。当業者は、この説明から、保持バー60をパック59に取り付けることは、パック59がその中心点の周りを回転するのを防止するためであり、従って、保持バー60をその回転中心から著しく離間した位置でパック59に取り付けることが有利であることが理解されるであろう。保持バー60は、パック59の面62に取り付けられ、これらの2つの構成要素は互いに回転しないようになっている。好ましくは、このアタッチメントは溶接によって形成されるが、他の形態のアタッチメントを使用することもできる。
【0175】
好ましくは、保持バー60は、パック59の回転軸と実質的に平行な方向、すなわちパック59の平面に垂直または実質的に垂直な方向に延びる。
【0176】
その第2の端部62において、保持バー60はアーム63に取り付けられている。アーム63は、一般的に細長く、この例ではほぼ垂直に配置されている。保持バー60の第2の端部62は、アーム63に対して回転できないように取り付けられている。示された例では、保持バー60は、その上端に最も近いアーム63に取り付けられているが、これは必須ではなく、保持バー60をアーム63の任意の点に取り付けることができる。
【0177】
アーム63は、第1および第2の平行または実質的に平行な第1のリンク65を介して中間連結部材64に取り付けられている。図示の構成では、中間連結部材64は、アーム63の横に、すなわち、ほぼ水平に離間して配置されている。第1のリンク65の各々は、好ましくは細長く、その第1の端部66が、リンク65とアーム63との間の相対回転を可能にする回転可能な接続部67を介してアーム63に取り付けられている。回転可能な接続部67は、互いに垂直方向または実質的に垂直方向に離間している。各第1のリンケージ65の第2の端部67において、リンケージ65は、更なる回転可能な接続部69を介して中間接続部64に取り付けられ、リンケージ65と中間接続部64との間の相対回転を可能にする。さらに回転可能な接続部69は、これも互いに垂直方向または実質的に垂直方向に離間している。
【0178】
第1のリンク65は、互いに離間している。当業者は、アーム63と中間接続構成要素64との間の変位(図12に示す向きで、垂直または実質的に変位)を可能にするが、中間接続構成要素64におけるアーム63の相対回転方向を互いに保持する第1のリンク65によって形成されたアーム63と中間連結部材64との間の接続が平行リンクを含むことを理解するであろう。
【0179】
中間接続構成要素64は、やはり一対の平行なまたは実質的に平行な第2の連結部71を介してベース構成要素70に接続されている。ベース構成要素70は、図示の例では、中間接続構成要素64の下に配置されている。各第2のリンケージ71は、第1の端部72において、回転可能な連結部73を介して中間連結部材64に取り付けられている。これらの回転可能な連結部73は、互いに水平方向または実質的に水平方向に離間している。第2の端部74において、各第2のリンケージ71は、さらなる回転可能な接続部75を介してベース構成要素70に取り付けられ、これらのさらなる回転可能な接続部75は、互いに水平方向または実質的に水平方向に離間される。
【0180】
当業者は、2つの離間した第2のリンケージ71から形成された別の平行リンクによって中間連結部材64がベース部品70に取り付けられていることを再び認識するであろう。これにより、ベース構成要素70および中間接続構成要素64の相対回転方向を維持しながら、相対的な並進運動(図12に示す例では、水平または実質的に水平運動)が可能になる。
【0181】
好ましくは、ベース構成要素70は、パック59が溶接されるワークピースに対して実質的に静止して保持される。図12に示す例では、ベース構成要素70は地面76に取り付けられているが、ベース構成要素70は、溶接装置の他の適切な構成要素に取り付けられ、あるいは、そのような構成要素であることができる。
【0182】
上記のような第1および平行リンケージの全体的な効果は、アーム63が、回転自在に固定されたままで、パック59の平面とほぼ平行な平面内で垂直方向および水平方向の両方に移動できることである。アーム63の実質的に垂直方向の動きは、第1の平行リンケージによって許容され、アーム63の実質的に水平な動きは、第2の平行リンケージによって許容される。
【0183】
従って、パック59がワークピースに対して円運動を描くように、アーム63は、概して、パック59の動作に従う円運動で動くことができ、パック59の接続リンクバー60を介してアーム63に伝達することにより、パック59がワークピースに対して回転しないようにするのに役立つ。
【0184】
好ましい実施形態において、アーム63、中間接続構成要素64およびベース構成要素70はすべて、パック59の平面からオフセットした平面内にある。実際には、これは、この種の回転抑制装置を配置する最も効果的な方法である可能性が高いが、これにより、回転抑制装置の構成要素を溶接動作が行われる領域から離して配置することができる。
【0185】
接続バー60が形成される材料は、接続バー60のねじり捩れによっては不可能な、パック59の回転を防止するために高レベルの剛性を有する必要がある。接続バー60は、例えば、EN8鋼製であってもよい。さらに、接続バー60は、ねじりに対する高い抵抗を有するように成形されてもよく、例えば、概して円形のロッドの形態をとってもよい。
【0186】
溶接作業の間、サポートバー60がパック59に溶接されているワークピースに接触しないか、干渉しないことが重要であることが理解されよう。従って、サポートバー60は、パック59の面上のワークピースの予想される軌道の外側にある位置でパック59に取り付けなければならない。幾つかの実施形態では、溶接作業を妨害しない位置にサポートバー60を取り付けることができるように、そうでなければそうであるよりも大きくパック59を作ることが必要な場合がある。
【0187】
1つのワークピースのみがパック59の面に取り付けられる実施形態では、サポートバー60がパック59の反対面に取り付けられることが好ましい。
【0188】
図13は、さらなる回転防止装置を示す。この実施形態では、パック77には4つの突起が取り付けられている。第1の突起78は、その端部に近い位置でパック77の面79に取り付けられている。図13に示す向き(これは本発明にとって本質的ではない)において、第1の突起78は、パック77の頂部の近く、その回転中心81のほぼ真上に設けられている。第1の突起78は、平行または実質的に平行な対向面80を有する。これらの面80は、両方とも、図13に示す向きで、両方とも実質的に垂直に配置されている。言い換えれば、面80は、第1突起78とパック77の回転中心81とを結ぶ線に対して垂直または実質的に垂直な方向を向いている。
【0189】
第1の突起78の断面形状は、好ましくは略長方形であり、2つの面80は長方形の長辺を含む。突起78は、パック77の面79から離れるように突出しているので、その全部または大部分がパック77の平面から離間している。
【0190】
第1の突起78の深さは、好ましくは約2.5cm(すなわち、約1インチ)であるが、これは特定の用途および装置の全体的な寸法に応じて変化し得る。
【0191】
一対の第1摺動プレート82は、第1摺動プレート82の各々が第1突起78の面80と平行または実質的に平行な状態で、第1隆起部78の両側に配置されている。摺動プレート82の各々は、図13に示すバネ83によって表されるように、水平方向(すなわち、第1の突起78の面80に対して実質的に垂直な方向)に動くことができるように配置されている。しかしながら、ばねの使用は必要ではなく、任意の適切な構成を用いて摺動プレート82の運動を可能にしてもよい。
【0192】
好ましい実施形態において、摺動プレート82は互いに固定され、その間に第1の突出部78の面80間の距離と同じ幅またはそれよりわずかに広い間隔を画定する。ただし、これは必須ではない。
【0193】
第1の突出部78は、プレート82(および第1の突出部78の面80)と実質的に平行な方向に摺動プレート82に対して摺動することができる。この運動は、図13に示す矢印によって表される。
【0194】
第2の突起84は、パック77の底面近くの面79から突出している。第2の突起84の形状および構成は、第1の突起78の形状と同一または実質的に同じである。再度、第2の突起84は、その両側に摺動プレート85を有し、水平方向に移動することができる。第2の突起84は、摺動プレート85の平面とほぼ平行な方向、すなわち、パック77の回転中心81に実質的に直接的にまたは回転中心81から離れる方向に摺動プレート85に対して再び摺動することができる 。
【0195】
パック77の左右両側には、第3、第4の突起86、87が設けられている。これらの第3および第4の突起86、87は、第1および第2の突起78、84に対して90回転され、従って図13に示す向きで実質的に水平である面88を有する。再び、第3および第4の突起86、87のそれぞれの両側に摺動プレート89が設けられ、摺動プレート89が垂直方向(つまり、摺動プレート89の面に対して実質的に垂直な方向)に移動することができる。第3および第4の突起86、87はまた、摺動プレート89に対して水平方向(すなわち、パック77の回転中心81に向かって、またはその中心から離れる方向)に摺動することができる。
【0196】
図13には、図12のように、周囲のロータおよび他の構成要素のないパック77が示されている。しかしながら、パック77は、完全な溶接装置の一部として提供され、溶接動作の過程で、上述のように円運動を記述することが理解されるべきである。
【0197】
摺動プレート82、85、89は、溶接装置のケーシングに対して、または動作中に溶接されるべきワークピースに対して所定の位置に実質的に固定された別の構成要素に支持される。
【0198】
パック77がその円運動を描く場合、スライディングプレート82、85、89が(それらの平面に実質的に垂直な方向に)移動する能力は、摺動プレート2、85、89の存在により実質的に妨げられることなくパック77の円運動が起こることを可能にする。
【0199】
また、各突起78、84、86、87がそのそれぞれの摺動プレート82、85、89内を摺動できるという事実は、パック77の円運動が実質的に阻害されないようにする。しかし、突出部78、84、89が、それぞれ向きが固定された摺動プレート82、85、89の間に配置されているということは、パック77が円形動作中に発生する回転を防止するか、または実質的に防止することを意味する。
【0200】
ここでもまた、この回転阻止構成は、溶接作業中のパックの円運動を可能にするが、パックの回転を防止する。上述した実施形態(図12に示す)と同様に、溶接作業中にパックの面の突起がワークピースに接触したり干渉したりしないことが重要である。この場合もまた、パックは、そうでなければそうである場合よりもわずかに大きくする必要があり、溶接作業が進むにつれて突起(および関連する摺動プレート)がワークピースに接触しない。
【0201】
図13に示す構成では、4つの突起78、84、86、87が、パック77の1つの面の外周の周りに互いに均等に離間して設けられている。しかしながら、このことは本質的ではなく、突起についての適切な数および配置が採用され得る。すべての突起がパックの同じ面に設けられることも不可欠ではない。しかし、少なくとも2つの突起が必要とされ、2つの突起のみが設けられている場合、それらは互いに直角にまたは実質的に直角に配置されるべきであると予想される。
【0202】
代替案として、1つまたは複数の支持ロッドまたは他の細長い要素を、離間した位置でパックの面に(例えば、溶接によって)取り付けることができることが想定される。それらの他端で、支持ロッドは、ワークピースに対して移動したり回転したりしない構造にして取り付けられてもよい。この支持ロッドまたは各支持ロッドは、固定された位置においてこの構造で取り付けられるが、この構造に対してロッドのいくらかの角運動を可能にする可撓性接続によって取り付けられる。これはまた、溶接動作中にパックの円運動を可能にする回転阻止装置を提供することが予想されるが、溶接作業の進行に伴ってその回転が妨げられる。
【0203】
溶接作業中にパックの回転を防止または禁止するための他の構成は、当業者には明らかであり、本発明の範囲内に含まれる。
【0204】
図14は、本発明を具体化する別の溶接装置を示す。さらなる溶接装置100は、細長いワークピースを比較的広い表面に取り付けるのに適している。
【0205】
図14は、全体の形状がほぼ円筒形である別の溶接装置100の断面図を示す。
【0206】
別の溶接装置100は、概して円筒形の外側部分102を有するケーシング101を備え、大きなワークピース105のフェイス面104に取り付けられるようになっている第1の端部103を有する。示された例では、大きなワークのフェイス面104は、少なくともケーシング101の断面積と同じ大きさの領域を有する。第1の端部103において、第1の部分102は、ケーシング101のワークピース105への接続を補助するために、外向きに突出したフランジ104のような1つ以上の接続機能を有することができる。ケーシング101は、クランプまたは他の適切な手段によってワークピース105に取り付けることができる。
【0207】
その第2の端部106において、ケーシング101は、内方に曲がってそれ自体に戻って内側セクション107を形成するように成形されており、内側セクション107は再びほぼ円筒形であり、外側セクション102内にある。内側部分107は、外側部分102よりも短く、第1の端部103まで延びていない。
【0208】
ケーシング101の内側部分102と外側部分107との間には、ほぼ円筒形の空間108が存在する。
【0209】
空間108内には、略円筒形状を有するロータ109が配置されている。ロータ109は、任意の適切な形態をとることができる一連の軸受110によってケーシング101に対して回転可能に支持されている。
【0210】
ロータ109は、ケーシング102の内部セクション107の第2の端部103を越えて突出している。一般的にディスク状の消耗要素またはパック112は、ロータ109によって回転可能に支持され、ケーシング102の第一端部103とほぼ同じ位置に保持される。ケーシング101の第1の端部103がワークピース105にクランプされると、パック112もワークピース105の面104に当接することが理解されるであろう。
【0211】
パック112は、任意の適切な形態を取り得る軸受113によってロータ109に対して回転可能に保持されている。
【0212】
パック112は、他の実施形態に関連して上述したように、ロータ109に対して偏心した状態で保持される。図14に示す例では、これは、ロータ119の一方の側に内向きの突起114を含むことによって達成されるので、パック112は、ロータ109の一方の側に他方よりも近くで保持される。しかしながら、任意の適切な技術を使用して、パック112を偏心させて保持することができる。
【0213】
ロータ109の外面には駆動歯車115が形成されており、ケーシング101の内側部分102と外側部分107との間の空間108内に嵌合する。ケーシング101の外側部分102はその中に破断部116を含み、この間隙116には従動歯車117が突出されてロータ109の従動歯車115と噛み合っている。従って、ロータ109は、ケーシング101内で回転するように駆動されてもよいことが理解されよう。
【0214】
ケーシング101の内側部分107は、上述したように、ほぼ円筒状であり、そこを通る中央空間118を画定する。全体的に細長いワークピース119は、中央空間118を通過し、中央空間118内に保持された一対の離間したガイドプレート120によって定位置に保持される。ガイドプレート120には、ワークピース119の外形にほぼ対応する開口が形成されているので、ワークピース119をケーシング101に対して長手方向に摺動させるが、ケーシング101に対して回転させることはできない。しかしながら、(ワークピースを回転させるためのガイド構成を含む)適切な整列状態にワークピース119を維持するために、任意のガイド配置を使用することができ、本発明はこの種のガイドプレート120に限定されない。
【0215】
比較的大きなワークピース105を細長いワークピース119に接合するために、ロータ109を回転させて、大きなワークピース105の表面104に対して円運動を描くようにする。次いで、細長いワークピース119は、ガイドプレート120を通って前進され、パック112の他の表面に対して駆動される。他の実施形態に関連して上述したように、2つのワークピース105、119の間に溶接部が形成され、この溶接部の一部を形成する。
【0216】
溶接が完了すると、ケーシング101は、大きいワークピース105からアンクランプされ、ロータ109と共に引っ張られ、溶接されたワークピース105を残す。
【0217】
この種の実施形態は、例えばブレード(タービンブレードなど)をハブに溶接する際に使用することができる。
【0218】
本発明を具現化する技術のさらなる適用は、摩擦表面仕上げの分野にある。摩擦表面処理は、コーティング材料からなるロッドの自由端を表面に押し付けて回転させるプロセスである。表面とロッドの自由端との間の界面には、可塑化された層(上述したような)が生成されるこのようにロッドが表面に対して動かされる(または表面がロッドに対して動かされる)と、コーティング材料の層が表面上に堆積される。ロッドは一般にこのプロセスが行われるときに消費される。
【0219】
本発明の実施形態では、細長いロッドが、表面に対して回転するように駆動され得る、中心から外れた開口を有するロータ内で、表面に対して支持される構成が提供される。これが起こると、ロッドは、他の実施形態に関連して上述したように、円運動を記述する。ロータは回転し、ロッドは摩擦表面処理を開始するために表面に向かって同時に駆動される。ロッドと表面は、互いに対して並進的に動き、ロッドと表面との間の界面の点が表面に対して移動し、摩擦表面によるコーティングを堆積させる。
【0220】
このタイプの実施形態を図15に図式的に示す。図15は、上述したような消耗材料のロッド90を示す。図15に示す向きでは、ロッド90は実質的に垂直に配置され、ロッド90の材料の幾つかは実質的に水平な面91に堆積される。しかしながら、これらの配向は必要ではなく、実際にはロッドが表面に対して直角に配向されることは必須ではない。
【0221】
ロッド90は、ロッド90の周りに好適に密着するスリーブ92内に保持される。ロッド90は、スリーブ92に対して軸方向に摺動することができ、その結果、溶接作業が進むにつれて、表面91に向かって下方に駆動され得る。
【0222】
表面91に近いスリーブ92の端部またはその近くで、スリーブ92は、その中心および部分球面の外面94を通って形成された一般的な円形開口部を有する球形の軸受93内に受け入れられる。
【0223】
球面軸受93はロータ95内に回転可能に取り付けられ、ロータ95内には開口97が形成され、球面軸受93がそこに収容される。開口97は、ロータ95の中心に対してオフセットしている。図15では、明瞭化のためオフセットの程度が誇張されている。
【0224】
開口97の内面96は、球面軸受93の外形と一致するかまたは実質的に一致するように湾曲している。
【0225】
球面軸受93は、ロータ95に対してロッド90の軸の周りを回転することができることが理解されよう。さらに、ロッド90およびそのハウジング92が球面軸受93内に取り付けられているということは、ロッド90のある角度の「遊び」がロータ95に対して生じ得ることを意味する。しかしながら、他の実施形態では、球面軸受93を省略することができ、ハウジング92は球面を設けずにロータ95の開口内に直接回転可能に取り付けることができる。
【0226】
ロータ95は、ハウジング98内に取り付けられ、好ましくはロッド90の軸と平行または実質的に平行な軸の周りにそれに対して回転可能である。
【0227】
ロータ95は、ハウジング98に対して回転するように駆動されてもよい。
【0228】
図示の例では、球面軸受93、ロータ95およびハウジング98は、一般に、面91から間隔を置いて配置された平面形状に配置されている。図15の構成の上面図が図16に示されている。
【0229】
ロータ95がハウジング98に対して回転駆動されるとき、ロッド90(ハウジング92および球面軸受93と共に)は、他の実施形態に関して上述した動きと同様に、円運動を記述するように駆動される。これが起こると、ロッド90の自由端99と表面91との境界面で溶接プロセスが発生する。
【0230】
摩擦表面処理を行うには、ロッド90の連続的な下向きの力が働き、ケーシング98、ロータ95、球面軸受93、ケーシング92およびロッド90を面91に対して1つのユニットとして平行移動させることができるロッド90の材料の表面91上に層を堆積させる。代替的に、ケーシング98、ロータ95、球面軸受93、ケーシング92およびロッド90は、表面が平行移動している間も静止したままであってもよい。
【0231】
摩擦表面処理を実行するためには、表面と溶接装置の構成要素との間の適切な相対的位置を維持するために、位置合わせ構成を提供することが必要であろう。
【0232】
図15および図16に示されたものと同様の構成は、2つの要素、例えば一般に板状要素を一緒に接合するために使用されてもよい。プレート接合作業では、2つのプレートまたは同様の要素(または少なくとも1つの板状部分を有する要素)が提供され、要素は対応するまたは相補的な形状のエッジを有するので、それらの間に隙間をほとんどまたは全く伴わずにエッジを一緒に配置することができる。簡単な例は、互いに当接させることができる直線縁を有する2つのプレートである。この状況は図17aに概略的に示されており、対応する直線縁部123、124を有する2つのプレート121、122が互いに当接する。エッジ123、124の間の隙間の大きさは、明瞭にするために図17aで誇張されている。
【0233】
次に、図15および図16に示すような装置を使用して、2つの縁部123、124が互いに接触する領域に溶接作業を適用することができる。ロッド90は図17aに示されているが、明瞭化のために溶接装置の残りの構成要素は省略されている。ロッド90の自由端99は、2つのプレート121、122の端部123、124に跨っており、端部123、124が接する領域を覆っていることが分かる。
【0234】
溶接作業が進むにつれて、ロッド90および/またはプレート121、122は、ロッド90の端部99がプレート121、122と出会う点がラインの長さの少なくとも一部に沿って移動可能な2つの縁部123、124は互いに接触する。
【0235】
当業者が理解するように、この操作は、2つの縁部の間の溶接部をもたらすことがある。
【0236】
代替例として、各プレート121、122は、縁部123、124の幅が縮小された部分を有し、溶接作業中にロッド90の自由端99が挿入されるディップ125を形成することができる。これを図17bに示す。これは、プレート121、122の深さの輪郭内に、または実質的にその中に収まる、より清浄な溶接部をもたらす可能性が高いと予想される。
【0237】
図17aおよび図17bに示す例では、ロッド90は、プレート121、122の平面に対して正確にまたは実質的に直角に配向されている。しかしながら、これらの例のいずれにおいても、ロッド90は、プレート121、122の平面に対してある角度で設定されてもよい。
【0238】
図17cは、ロッド90がプレート121、122の平面に対して約45°の角度に設定されているさらなる別の例を示す。この例では、各プレート121、122は、そのエッジ123、124に角部126を有し、プレート121、122の平面に対して約45°の角度に設定され、各プレート121、122はそのエッジ123、124に向かって先細になる。これらの傾斜部分126は、互いに嵌り合って、2つのプレート121、122がお互いに会合する領域に傾いたディップを形成し、ディップの底部の角度は約90°である。
【0239】
ロッド90の自由端99は、(少なくとも初期的には)ほぼ平坦であるので、自由端99は、側面から見た場合、概ね正方形の輪郭を有する。従って、ロッド90の自由端99は、ディップにはめ込まれる。
【0240】
この実施形態の溶接プロセスでは、ロッド90の自由端99がディップ内に挿入され、溶接プロセスが、図17aおよび17bに関連して上述したプロセスと同様の方法で実行される。
【0241】
これらの例では、2つのプレートの取り付け面は、ロッドの自由端、すなわちプレートの上面の領域で接触するが、プレートの表面に直接接触するのではなく、プレートの上面に接触するプレートの表面の部分とみなすことができる。
【0242】
図17a~図17cに示す実施形態は、突合せ溶接の例である。図17dは、本発明を具体化する隅肉溶接の例を示す。図17dでは、2つのプレート127、128が互いに対して直角に配置され、ロッド90の自由端99は、プレート127、128が(内角で)互いに接触する、プレート127、128に接触するように配置されている。再度、溶接作業が開始され、ロッド90および/またはプレート127、128が移動され、ロッド90の自由端99が、プレート127、128が互いに接触するラインに沿って移動する。結果は、当業者によって理解されるように、プレート127、128の間の溶接部となる。
【0243】
ロッド90の自由端99は、図17dにおいて平坦であるように示されているが、端部は、(例えば)、ロッド90の軸線に対して45°に設定された側部を有し、プレート127、128に対してより完全に適合できる円錐形であってもよい。
【0244】
再度、この実施形態では、2つのプレートの取り付け面は、ロッドの自由端によって接触されるプレートの表面の一部であると考えられ、すなわち、互いに直接接触するプレートの表面ではなく、プレートの表面の露出した領域を直角に接合する。
【0245】
当業者は、本発明の実施形態を、ラップジョイント、エッジジョイント、および鋭角または鈍角で交差するプレート間のジョイントなどの他の種類の溶接ジョイントを形成するために使用できることを理解するであろう。
【0246】
本発明を具体化する装置は、強固で信頼性の高い溶接部の迅速かつ効率的な形成を可能にすることができることが理解されよう。
【0247】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、用語「含む」および「含んでいる」およびその変形は、指定された特徴、工程または整数が含まれることを意味する。これらの用語は、他の特徴、工程または特徴の存在を排除するために解釈されるべきではない。
【0248】
開示された機能を実行するための手段、または開示された結果を達成するための方法またはプロセスに関して、それらの特定の形態で、または必要に応じて表現された、上記の説明、以下の特許請求の範囲、または添付の図面に開示される特徴は、別々に、またはそのような特徴の任意の組み合わせにおいて、本発明をその多様な形態で実現するために利用される。
図1a
図1b
図2
図3
図3a
図4
図5
図6
図6a
図7
図8
図9
図10
図11a
図11b
図12
図13
図14
図15
図16
図17a
図17b
図17c
図17d