(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-03
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】溶接電池キャップを有する電池セル
(51)【国際特許分類】
H01M 50/152 20210101AFI20220204BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20220204BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20220204BHJP
H01M 50/188 20210101ALI20220204BHJP
H01M 50/578 20210101ALI20220204BHJP
H01M 50/531 20210101ALI20220204BHJP
H01M 50/559 20210101ALI20220204BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20220204BHJP
H01M 50/645 20210101ALI20220204BHJP
H01M 50/169 20210101ALI20220204BHJP
【FI】
H01M50/152
H01M50/184 D
H01M10/04 W
H01M50/188
H01M50/578
H01M50/531
H01M50/559
H01M50/55 201
H01M50/645
H01M50/169
(21)【出願番号】P 2018567043
(86)(22)【出願日】2017-06-23
(86)【国際出願番号】 US2017038973
(87)【国際公開番号】W WO2017223429
(87)【国際公開日】2017-12-28
【審査請求日】2019-07-26
(32)【優先日】2016-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510192916
【氏名又は名称】テスラ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マスモト,ケンジン
(72)【発明者】
【氏名】ミレー,クリストフ
【審査官】原 和秀
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-542567(JP,A)
【文献】特開2012-124009(JP,A)
【文献】特開2007-194167(JP,A)
【文献】特表2010-511992(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0282504(US,A1)
【文献】国際公開第2016/157749(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10-50/198
H01M 50/50-50/598
H01M 50/60-50/691
H01M 10/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶体と、
前記缶体に収容されたゼリーロールと、
前記ゼリーロールに隣接して前記ゼリーロールの上方に、前記缶体に収容された上部絶縁体と、
前記上部絶縁体に隣接して前記上部絶縁体の上方に、前記缶体の内面に溶接された電池キャップと、を備え、
前記電池キャップは、
外側導電性リングと、
絶縁体リングと、
導電性天板であって、前記外側導電性リング、前記絶縁体リング、および前記導電性天板は互いに圧着される、導電性天板と、
前記導電性天板に電気的に接続されたとともに前記導電性天板に溶接されている、導電性破裂板であって、前記導電性破裂板と前記導電性天板との間の溶接部が、前記ゼリーロールの過剰圧力の際に、前記導電性破裂板の前記導電性天板からの電気的分離を許容するように構成された、導電性破裂板と、
前記導電性破裂板に電気的に接続され、前記ゼリーロール内に延びるカソードと、を備えることを特徴とする電池。
【請求項2】
前記導電性破裂板の周囲に配置された絶縁
体をさらに備える、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記上部絶縁体と前記導電性破裂板との間に配置された膨張容積をさらに備える、請求項1に記載の電池。
【請求項4】
前記外側導電性リングが、前記缶体に隣接して前記外側導電性リングの上部に平坦面を備える、請求項1に記載の電池。
【請求項5】
前記外側導電性リングの前記上部の前記平坦面は、アノードを備える、請求項
4に記載の電池。
【請求項6】
前記導電性天板がカソードを備える、請求項1に記載の電池。
【請求項7】
前記導電性天板の中央部に開口部と、
前記導電性天板の中央部にある前記開口部上に溶接されたカバーと
をさらに備える、請求項1に記載の電池。
【請求項8】
前記導電性破裂板の中央部分に開口部をさらに備え、前記カバーは頂部とプラグ部とを含み、前記プラグ部分は、前記導電性天板の前記中央部分の前記開口部と前記導電性破裂板の前記中央部分の前記開口部の両方を通って延びる、請求項7に記載の電池。
【請求項9】
電池を構築する方法であって、
缶体を形成する工程と、
ゼリーロールを形成する工程と、
前記ゼリーロールを前記缶体に挿入する工程と、
上部絶縁体を、前記ゼリーロールに隣接して前記ゼリーロールの上方に前記缶体に挿入する工程と、
外側導電性リング、絶縁体リング、導電性天板、および導電性破裂板を含む電池キャップを組み立てる工程であって、前記導電性破裂板が前記導電性天板に溶接される、工程と、
カソードを前記導電性破裂板に接続する工程と、
前記カソードが前記ゼリーロール内に延びるように前記電池キャップを前記缶体に挿入する工程と、
前記電池キャップを、前記上部絶縁体に隣接して前記上部絶縁体の上方に前記缶体の内面に溶接する工程と
を含み、
前記導電性破裂板と前記導電性天板との間の溶接部が、前記ゼリーロールの過剰圧力の際に、前記導電性破裂板の前記導電性天板からの電気的分離を許容するように構成されたことを特徴とする、方法。
【請求項10】
前記電池キャップの組み立ては、前記外側導電性リング、前記絶縁体リング、および前記導電性天板を互いに圧着することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
絶縁体を前記導電性破裂板の周囲に設置することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記上部絶縁体と前記導電性破裂板との間に、膨張容積を形成することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記外側導電性リングは、アノードである前記缶体に隣接して前記外側導電性リングの上部に、平坦面を備える請求項9に記載の電池。
【請求項14】
前記導電性天板の中央部分に開口部を形成する工程と、
前記電池キャップを前記缶体に溶接した後、充填材料を、前記開口部を通して前記缶体内に注入する工程と、
前記導電性天板の上にカバーを溶接して前記開口部を閉じる工程と
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記導電性破裂板の中央部に開口部を形成する工程と、
前記導電性天板の前記中央部分の前記開口部と前記導電性破裂板の前記中央部分の前記開口部とを通して、前記カバーのプラグ部を挿入する工程と
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本PCT出願は、2016年6月23日に出願された「BATTERY CELL HAVING WELDED BATTERY CAP」という名称の米国仮特許出願第62/353,664号明細書に基づく優先権を主張するものであり、これは全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は電池に関し、より詳細には、電池アレイに使用することができる単セル電池の構造に関する。
【背景技術】
【0003】
充電式電池は以前から知られており、家庭用電化製品、自動車、および多数の他の種類の装置を含む多数の装置に使用されている。例えば、電気自動車(またはハイブリッド電気自動車)では、何千もの比較的小さい個々の電池がアレイ(電池パック)に装填され、自動車に電力を供給するように相互接続される。時間が経つにつれて、これらの電池のそれぞれは、電気自動車の電気的要求を満たすために部分的または完全に充電され、部分的または完全に放電される。電気自動車に電力を供給するために必要とされる多数の電池のために、個々の電池の重量および容量は非常に重要である。さらに、電池の寿命およびアレイ内の電池の相互接続の複雑さもまた非常に重要である。
【0004】
「ゼリーロール」または「スイスロール」の設計は、ニッケルカドミウム(NiCd)、ニッケル水素(NiMH)およびリチウム-イオン(Liイオン)電池を含むほとんどの円筒形充電式電池に使用されている。この設計では、絶縁シートを敷設し、次にアノード材料の薄層を敷設し、セパレータ層を塗布し、そしてカソード材料を最上層に積層する。このサンドイッチはそれから巻き取られ、しばしば「缶体」と呼ばれる中空シリンダケーシングに挿入される。電池を密閉し、金属コンタクトを取り付け、電池を単4形/単3形/単2形/単1形アルカリ電池の代わりに使用する場合は、任意のボタントップを装着する。電池の断面がスイスロールケーキのように見えるので、その設計はその名前が付けられる。
【0005】
典型的な電池構造は、缶体、缶体内に収容されたゼリーロール、缶体に圧着された電池キャップ、ならびに様々な相互接続および絶縁体を含む。この構造はかなり単純であるが、幾つかの問題がある。ゼリーロールとゼリーロールの上に配置された上部絶縁体を缶体に入れた後、電池キャップを缶体に圧着する。上部絶縁体は、ゼリーロールを導電性電池キャップから絶縁する。電池キャップを缶体に圧着すると、ゼリーロールを損傷することがよくある。さらに、ゼリーロールを定位置に保持する上部絶縁体は圧着構造によってのみ定位置に保持されるので、上部絶縁体はゼリーロールに対して弱い物理的保護しか与えず、ゼリーロールのために体積を減らし、かなり硬い材料でなければならない。ゼリーロールは動作温度と共に膨張する可能性があるので、この弱い物理的保護は電池の早期故障につながり得る。圧着電池キャップ設計の他の欠点は、
図2A、
図2B、および
図3を参照してさらに説明される。
【発明の概要】
【0006】
したがって、他の欠点の中でも特に上述の欠点を克服するために、本開示の第1の実施形態により構築された電池は、缶体と、缶体に収容されたゼリーロールと、ゼリーロールに隣接してゼリーロールの上方に収容された上部絶縁体と、上部絶縁体に隣接して上部絶縁体の上方に、缶体の内面に溶接された電池キャップとを含む。電池キャップは、少なくとも外側導電性リング、絶縁体リング、および導電性天板を含む。外側導電性リング、絶縁体リング、および導電性天板は互いに圧着されている。電池キャップはさらに、導電性天板に電気的に接続された導電性破裂板と、ゼリーロール内に延びる導電性破裂板に電気的に接続されたカソードとを含む。
【0007】
第1の実施形態の電池を用いると、複数の利点がある。導電性天板が初めに構築され、その後缶体に溶接されるので、製造中にゼリーロールに生じる損傷は最小限になる。さらに、上部絶縁体は、より安価な絶縁体で、より薄い形材を用いて強度が低く構成されてもよく、その結果、コストが低くなる。第1の実施形態により構成された電池キャップを用いると、電池は、従来の電池よりも薄型で、ゼリーロールのためのより多くの空間、より軽量の電池、ならびに同等の体積および重量に対してより大きな電池容量を可能にする。
【0008】
第1の実施形態の電池には、様々な追加の構造および要素が任意選択で含まれてもよく、それらは、第1の実施形態の様々な態様に単独で含まれる、複数含まれる、または完全に含まれてもよい。電池は、導電性破裂板の周囲に配置された絶縁体リングを含み得る。電池は、上部絶縁体と導電性破裂板との間に配置された膨張容積をさらに含み得る。幾つかの態様では、外側導電性リングは、缶体に隣接して外側導電性リングの上部に平坦面を有する。電池のこの態様では、外側導電性リングの上部の平坦面はアノードである。また、この態様によれば、導電性天板は電池のカソードである。
【0009】
第1の実施形態の他の任意選択の態様によれば、電池は、導電性天板の中央部にある開口部と、導電性天板の中央部にある開口部上に溶接されたカバーとを含む。この態様の変形例では、電池はまた、導電性破裂板の中央部に、頂部およびプラグ部を含むカバーを有する開口部を含む。この開口部が利用可能であると、例えば、粉末または液体であり得る電解質を使用して、導電性天板および導電性破裂板に形成された開口部を介して、缶体を充填材料でさらに充填することができる。カバーの設置の際、プラグ部分は、導電性天板の中央部分の開口部と導電性破裂板の中央部分の開口部の両方を通って延び、電池を密閉する。
【0010】
導電性破裂板は、導電性天板に溶接することができる。さらに、導電性破裂板と導電性天板との間の溶接は、ゼリーロールの過剰圧力の際に、導電性破裂板の導電性天板からの電気的分離を可能にする。
【0011】
本開示の第2の実施形態によれば、電池を構築する方法は、缶体を形成することと、ゼリーロールを形成することと、ゼリーロールを缶体に挿入すること、上部絶縁体を、ゼリーロールに隣接してゼリーロールの上方に缶体に挿入することと、外側導電性リング、絶縁体リング、導電性天板、導電性破裂板を含む電池キャップを組み立てることとを含む。この方法はさらに、カソードを導電性破裂板に接続することと、カソードがゼリーロール内に延びるように電池キャップを缶体に挿入することと、電池キャップを、上部絶縁体に隣接して上部絶縁体の上方に缶体の内面に溶接することとを含む。
【0012】
第2の実施形態の方法には、様々な追加の構造および要素が任意選択で含まれてもよく、それらは、第1の実施形態の様々な態様に単独で含まれる、複数含まれる、または完全に含まれてもよい。電池キャップの組み立ては、外側導電性リング、絶縁体リング、および導電性天板を互いに圧着することをさらに含み得る。電池キャップの組み立ては、導電性破裂板を導電性天板に溶接することをさらに含み得る。方法は、絶縁体を導電性破裂板の周囲に設置することをさらに含み得る。方法はまた、上部絶縁体と導電性破裂板との間に膨張容積を形成することを含んでもよい。
【0013】
第2の実施形態の方法では、外側導電性リングは、アノードとして機能する缶体に隣接して、外側導電性リングの上部に平坦面を有することができる。この方法はまた、導電性天板の中央部分に開口部を形成することと、電池キャップを缶体に溶接した後、充填材料、例えば電解質を、開口部を通して缶体内に注入することと、次いで導電性天板の上にカバーを溶接して開口部を閉じることとを含んでもよい。この態様はまた、導電性破裂板の中央部に開口部を形成することと、導電性天板の中央部分の開口部と導電性破裂板の中央部分の開口部とを通して、カバーのプラグ部を挿入することとを含み得る。
【0014】
電池キャップを缶体に溶接することは、異なる方法で達成することができる。電池キャップは、電池キャップおよび缶体を、電池および電池キャップの中心軸の周りに回転させる溶接治具を使用して、缶体の上から缶体に溶接することができる。電池キャップは代わりに、電池キャップに隣接する缶体の側面から溶接することもできる。このような場合には、
【0015】
第2の実施形態の方法はまた、導電性破裂板を導電性天板に溶接することを含み得る。導電性破裂板と導電性天板との間の溶接は、ゼリーロールの過剰圧力の際に、導電性破裂板の導電性天板からの電気的分離を可能にする。
【0016】
開示された実施形態の利点は、図面を参照して以下の詳細な説明を読むことから明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【0018】
【
図2A】圧着電池キャップ接続を有する従来技術の電池を示す。
【
図2B】圧着電池キャップ接続を有する従来技術の電池を示す。
【0019】
【0020】
【
図4】説明した実施形態により構築された電池の側断面図である。
【0021】
【
図5】電池キャップを缶体に取り付ける前の
図4の電池の側断面図である。
【0022】
【
図6】記載された別の実施形態により構築された電池の側断面図である。
【0023】
【
図7】本発明の一実施形態による電池を構築する方法を説明するフローチャートである。
【0024】
【
図8】本発明の別の実施形態による溶接機内の
図4の実施形態により構築された電池の側断面図である。
【0025】
【
図9】本発明の別の実施形態による別の溶接機内の
図4の実施形態により構築された電池の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、電池式電気自動車(電気自動車)100の基本構成要素を示す。電気自動車100は、少なくとも1つの駆動モータ(牽引モータ)102Aおよび/または102Bと、対応する駆動モータ102Aおよび/または102Bに結合された少なくとも1つのギアボックス104Aおよび/または104Bと、電池パック106と、電子機器108(駆動モータ電子機器を含む)とを含む。一般に、電池パックは、電気自動車100の電子機器108に電気を供給し、駆動モータ102Aおよび/または102Bを使用して電気自動車100を推進する。電池パック106は、本発明の1つ以上の実施形態により構成された個々の電池のアレイを含む。電池パック106は、幾つかの実施形態では、何千もの個々の電池を含む。
【0027】
電気自動車100は、本明細書に記載されていないが当業者に周知の多数の他の構成要素を含む。
図1の電気自動車100の構造は4つの車輪を有するように示されているが、異なる電気自動車は4つより少ないかまたは4つより多い車輪を有することができる。さらに、異なる種類の電気自動車100は、他の種類の車両の中でも、オートバイ、航空機、トラック、ボート、列車エンジンを含む本明細書に記載の発明概念を組み込んでもよい。
【0028】
電池パック106は、数千個の個々の電池から形成されているので、各電池の重量は、数千個の電池を乗じると、極めて重要である。さらに、各電池の充電容量もまた、数千個の電池を乗じると、非常に重要である。さらに、各電池の構造は、電池パック106の安全性および信頼性の要件のために重要である。本明細書における以下の説明は、この
図1の構成要素にも関連し得る。本明細書で説明されるさらなる図において識別される構成要素を指すために共通の番号付けが使用され得る。
【0029】
図2Aおよび
図2Bは、圧着電池キャップ接続を有する従来技術の電池を示す。
図2Aを参照すると、電池200は、「ゼリーロール」204が設置されている缶体202を含む。「ゼリーロール」は、ニッケルカドミウム(NiCd)、ニッケル水素(NiMH)およびリチウム-イオン(Liイオン)電池を含む、大部分の円筒形充電式電池に使用されている。ゼリーロール設計では、絶縁シートが置かれ、次にアノード材料の薄層が置かれ、セパレータ層が塗布され、そしてカソード材料がその上に積層される。次に、このサンドイッチを円筒形に巻いて缶体202に挿入する。電池キャップは、導電性天板210と、導電性天板210を缶体202から絶縁する絶縁体214と、スペーサ(例えば、正特性「PTC」装置)216と、ダイヤフラム218と、絶縁体220および導電性破裂板222とを含むサンドイッチ構造である。電池キャップは、圧着部212を使用して缶体202に圧着されている。上部絶縁体206は、絶縁体214と組み合わせて、ゼリーロール204を電池キャップから隔離する。導電性破裂板222はダイヤフラム218に溶接され、カソード208は導電性破裂板222に溶接される。ゼリーロール204の過剰圧力の場合には、圧力がゼリーロール204によってダイヤフラム218に加えられ、導電性破裂板222とダイヤフラム218との間の溶接点を分離させ、カソードを導電性天板210から切り離し、電池200を効果的に動作不能にし、電池200および電池200を含むことができる電池パックにさらなる損傷を与えることを防ぐ。
【0030】
電池キャップが缶体202に圧着されているので、製造工程に困難がある。電池キャップが缶体202に圧着されるとき、ゼリーロール204が損傷する可能性がある。
図2の電池200の構造では、缶体202と電池上部との間の圧着接続部の高さ、ならびに電池200の構造的完全性を提供するために必要とされる電池キャップ構成要素の相対的な厚さのために缶体202内の容積が減少するため、ゼリーロール204のサイズが小さくなる。さらに、上部絶縁体206は、圧着接続によって適所に保持されるのに十分な強度の材料でなければならず、その結果コストが増大する。
【0031】
ここで
図2Bを参照すると、導電性天板210と、導電性天板210を缶体202(圧着部212)から絶縁する絶縁体214と、スペーサ(すなわちPTC)216と、ダイヤフラム218と、絶縁体220と導電性破裂板222とを含む電池キャップの構成要素が詳細に示される。電池キャップは、缶体202の圧着部212を使用して缶体202に圧着されている。上部絶縁体206は、絶縁体214と組み合わせて、ゼリーロール204を導電性天板210から隔離する。導電性破裂板222はダイヤフラム218に溶接され、カソード208は導電性破裂板222に溶接される。ゼリーロール204の過剰圧力の場合には、圧力がゼリーロール204によってダイヤフラム218に加えられ、導電性破裂板222とダイヤフラム218との間の溶接点を分離させ、カソード(図示せず)を導電性天板210から切り離し、電池200を効果的に動作不能にし、電池および電池200を含むことができるアレイにさらなる損傷を与えることを防ぐ。
【0032】
図3は、電池故障後の
図2Aおよび
図2Bの従来技術の電池を示す。電池キャップは、ゼリーロール204が過剰圧力状態になった後、ダイヤフラム218が導電性破裂板222から分離した後に示されている。ダイヤフラム218が導電性破裂板222に接続されていない場合、電池200は動作していない。
【0033】
図4は、説明した実施形態により構築された電池400の側断面図である。電池400は、「ゼリーロール」404が設置されている缶体402を含む。「ゼリーロール」は、ニッケルカドミウム(NiCd)、ニッケル水素(NiMH)、またはリチウム-イオン(Li-イオン)ベースの構造のうちの1つである。ゼリーロール404は円筒形であり、缶体402内に挿入される。電池400はさらに、ゼリーロール404に隣接してゼリーロールの上方に缶体402内に収容された上部絶縁体406を含む。電池400はまた、別個に構成され、後で溶接部420を介して上部絶縁体406に隣接して上部絶縁体の上方に缶体402の内面に溶接される電池キャップ403を含む。電池キャップ403は、外側導電性リング412、絶縁体リング414、および導電性天板410を含む。外側導電性リング412、絶縁体リング414、および導電性天板410は互いに圧着されている。絶縁体リング414は、導電性天板410と外側導電性リング412との間の導電性天板410の周囲に存在する。これらの構成要素は、電池キャップ403を缶体402に溶接する前に、圧着工程で一緒に圧着される。電池キャップ403は、導電性天板410と、ゼリーロール404内に延在するカソード408とに電気的に接続された導電性破裂板422をさらに含む。電池400は、外側導電性リング412、絶縁体リング414、導電性天板410、および導電性破裂板422の圧着された組み合わせの間に配置された導電性破裂板絶縁体リング407をさらに含む。
【0034】
電池400は、上部絶縁体406と導電性破裂板422との間に配置された膨張容積409をさらに含む。外側導電性リング412は、缶体402に隣接する上部に平坦面418を備える。電池400は、導電性天板410の中央部に開口部424と、導電性天板410の中央部にある開口部424上に溶接されたカバー426とをさらに含む。図示されるように、カバー426は頂部およびプラグ部を含み得る。電池キャップ403が缶体402に溶接された後でかつカバー426が導電性天板410に溶接される前は、開口部424は開いたままである。したがって、上部キャップが缶体402に溶接された後でかつカバー426が所定の位置に溶接される前に、充填材料で電池400をさらに充填することができる。充填材料は、粉末または液体のいずれかである電解質であり得る。外側導電性リング412の平坦面418により、電池400を電池パックの電池アレイに結合することができ、全ての接続が電池アレイの電池に対してアレイの上面で行われる。
【0035】
導電性破裂板422は導電性天板410に溶接され、カソード408は導電性破裂板422に溶接される。ゼリーロール404の過剰圧力の場合には、圧力がゼリーロール404によって導電性破裂板422に加えられ、導電性破裂板422と導電性天板410との間の溶接点を分離させ、カソード408を導電性天板410から切り離し、電池400を効果的に動作不能にし、電池および電池400を含むことができるアレイにさらなる損傷を与えることを防ぐ。このように導電性破裂板422と導電性天板410との間の溶接は、ゼリーロールの過剰圧力の際に、導電性破裂板の導電性天板からの電気的分離を可能にし、同等の強度を有する。導電性破裂板422と導電性天板410との間の溶接部の構造は、過剰圧力の際に分離を可能にするが、それ以外の場合には完全性を支持するように設計されている。
【0036】
図5は、電池キャップ403を缶体402に取り付ける前の
図4の電池の側断面図である。示されるように、電池キャップ403は、溶接工程で缶体402に接合され、缶体に固定される前に完全に形成されている。カソード408が、溶接の代わりにバネ圧によって導電性破裂板422に結合している幾つかの実施形態では、
図5の構造は、わずかに異なり得ることに留意されたい。
【0037】
図4および5の電池構造では、複数の利点が存在する。導電性天板が初めに構築され、その後缶体402に溶接されるので、製造中にゼリーロール404に生じる潜在的な損傷は最小限になる。さらに、上部絶縁体406は、より安価な絶縁体で、より薄い形材を用いて強度が低く構成されてもよく、その結果、コストが低くなる。図示のように構成された電池キャップ403を用いると、電池キャップ403はより低い外形を有し、ゼリーロール404用のより多くの空間およびより軽量の電池400を可能にする。この電池上部キャップ構造では、カソード408は従来の設計よりも大きく、従来の構造よりも電池400の中央部により近い。さらに、電池キャップ403が缶体402に溶接された後に利用可能な電池キャップ403を通じて開口部424を保持することによって、カバー426を取り付ける前に、追加の充填材料、例えば電解質を電池400に注入することができる。従来の構造に比べてさらなる利益および利点は、本明細書および本明細書におけるさらなる説明から明らかとなろう。
【0038】
図6は、説明した実施形態により構築された別の電池の側断面図である。電池600は、「ゼリーロール」604が設置されている缶体602を含む。「ゼリーロール」は、ニッケルカドミウム(NiCd)、ニッケル水素(NiMH)、またはリチウム-イオン(Li-イオン)ベースの構造のうちの1つである。ゼリーロール604は円筒形であり、缶体602内に挿入される。電池600は、ゼリーロール604に隣接してゼリーロールの上方に缶体602内に収容された上部絶縁体606をさらに含む。電池600はまた、別個に構成され、後に溶接部620を介して上部絶縁体606に隣接して上部絶縁体の上方に缶体602の内面に溶接される電池キャップ603を含む。電池キャップ603は、外側導電性リング612、絶縁体リング614、および導電性天板610を含む。外側導電性リング612、絶縁体リング614、および導電性天板610は互いに圧着されている。絶縁体リング614は、導電性天板610と外側導電性リング612との間の導電性天板610の周囲に存在する。電池キャップ603は、導電性天板610と、ゼリーロール604内に延在するカソード608とに電気的に接続された導電性破裂板622をさらに含む。電池キャップ603は、外側導電性リング612、絶縁体リング614、導電性天板610、および導電性破裂板622の圧着された組み合わせの間に配置された導電性破裂板絶縁体リング607をさらに含む。
【0039】
電池600は、上部絶縁体606、導電性天板610、および導電性破裂板622に隣接してそれらの間に配置された膨張容積609をさらに含む。外側導電性リング612は、缶体602に隣接する上部に平坦面618を備える。導電性破裂板622は導電性天板610に溶接され、カソード608は導電性破裂板622に溶接される(またはバネ荷重される)。ゼリーロール604の過剰圧力の場合には、圧力がゼリーロール604によって導電性破裂板622に加えられ、導電性破裂板622と導電性天板610との間の溶接点を分離させ、カソード608を導電性天板610から切り離し、電池600を効果的に動作不能にし、電池および電池600を含むことができるアレイにさらなる損傷を与えることを防ぐ。
【0040】
電池キャップ603には、導電性天板610および導電性破裂板622に形成された開口部624が形成されていてもよい。この開口部624は、電池キャップ603が缶体602に溶接された後に追加の充填材料を電池600に注入することを可能にする。追加の充填材料が開口部624を介して注入された後、カバー626が開口部624内に挿入され、溶接または他の固定プロセスによって適所に固定される。カバー626は、頂部と、導電性天板610および導電性破裂板622を通って延在するプラグ部とを含み得ることに留意されたい。この構造を有することによって、カバー626は、過剰圧力の事象によって導電性破裂板622が導電性天板610から分離した後でも、材料の漏出を防止する。
【0041】
図6の電池構造では、複数の利点が存在する。導電性天板が初めに構築され、その後缶体602に溶接されるので、製造中にゼリーロール604に生じる損傷は最小限になる。さらに、上部絶縁体606は、より安価な絶縁体で、より薄い形材を用いて強度が低く構成されてもよく、その結果、コストが低くなる。図示のように構成された電池キャップ603を用いると、電池600はより低い外形を有し、ゼリーロール604用のより多くの空間、より軽量の電池600、ならびに同等の体積および重量に対してより大きな電池容量を可能にする。従来の構造に比べてさらなる利益および利点は、本明細書および本明細書におけるさらなる説明から明らかとなろう。
【0042】
図4および
図6の電池400および600は、さらなる構造上の利点をもたらす圧着キャップ構造を含む。
図4を参照すると、導電性天板410、外側導電性リング412、および絶縁体リング414は、サンドイッチ構造が互いに圧着された後に互いに噛み合う相補的なくぼみおよび延長部を有する。同様に、
図6を参照すると、導電性天板610、外側導電性リング612、および絶縁体リング614は、サンドイッチ構造が互いに圧着された後に互いに噛み合う相補的なくぼみおよび延長部を有する。これらの相補的なくぼみおよび延長部は、これらの構成要素の周囲と一致しているので、噛み合いの態様は、部品の周囲についても当てはまり、従来技術の構造には存在しなかった圧着構造に強度を加える。
【0043】
図7は、本発明の一実施形態による電池の製造方法を説明するフローチャートである。
図7の動作700では、最初に缶体が適切な金属から形成される。次に電池キャップを最初に組み立てる(ステップ702)。この組み立ては、本明細書で
図4~
図6に示した構造と一致して行われる。電池キャップが組み立てられると、それは一緒に圧着される(ステップ704)。次に、カソードおよび導電性破裂板を電池キャップに取り付ける(ステップ706)。そのような取り付けは、幾つかの実施形態では溶接の形態をとり、ゼリーロールの過剰圧力事象の際に、導電性破裂板と導電性天板との間の溶接が、導電性破裂板の導電性天板からの電気的分離を可能にする。
【0044】
次に缶体にゼリーロールを充填し、上部絶縁体をゼリーロールの上方に配置する(ステップ708)。ステップ708は、電池キャップを組み立てる前に実行することができることに留意されたい。さらに、方法700のステップの順序は、他の様々なステップでも実行され得る。別の実施形態では、カソードはゼリーロールに挿入され、バネ荷重され、電池キャップが缶体に挿入されたときに電池キャップの導電部分と接触する。その後、電池キャップを缶体に溶接する(ステップ710)。
【0045】
方法700はまた、導電性天板の中央部および導電性破裂板の中央部に開口部を形成することを含み得る。この動作は、これらの構成要素のそれぞれの製造時に実行されてもよく、その結果、開口部は、電池キャップ構成要素の組み立て時に位置合わせされる。次いで、方法700は、開口部を通して注入または他のプロセスを介して、追加の材料、例えば電解質を缶体に挿入することをさらに含む(ステップ712)。方法700は次に、導電性天板の中央部の開口部と導電性破裂板の中央部の開口部とを通して、カバーのプラグ部分を挿入し、次いでカバーを導電性天板に溶接することを含む(ステップ714)。ステップ712および714の動作は、幾つかの事例において追加の問題に対処する。電池キャップを缶体に溶接する前に充填材料、例えば電解質を缶体に挿入する場合、充填材料は電池キャップに隣接する缶体の内面を汚染する場合がある。そのような場合、電池キャップに隣接する内面のこの部分は、清浄な溶接を確実にするために、電池キャップを缶体に溶接する前に洗浄しなければならない。ステップ712および714の選択肢では、全体的な製造コストはより大きくなり得る。
【0046】
図8は、本発明の別の実施形態による溶接機内の
図4の実施形態により構築された電池の側断面図である。溶接機800は基部802を含み、基部802に回転可能に取り付けられて、缶体402を電池キャップ403に溶接するために電池400が挿入される回転治具804である。支持構造806は基部802に結合し、電池キャップ403が缶体402と接触する位置に対応する缶体402内の深さに集光レーザビーム810を向ける集光レーザ808を支持する。電子機器812は、回転治具804および集光レーザ808を制御して、集光レーザ808が電池缶体402を電池キャップ403に溶接している間に、缶体402/電池キャップ403をそれらの中心軸814を中心に回転させる。全回転中に缶体402を電池キャップ403に溶接することによって、電池キャップ403は缶体402に取り付けられ、それに密閉される。
【0047】
図9は、本発明の別の実施形態による別の溶接機内の
図4の実施形態により構築された電池の側断面図である。溶接機900は基部902を含み、基部902に回転可能に取り付けられて、缶体402を電池キャップ403に溶接するために電池400が挿入される回転治具904である。支持構造906は基部902に結合し、缶体と接触する電池キャップ403に缶体402が当接する位置に、溶接部を向ける溶接機808を支持する。別の実施形態では、集光レーザが溶接機の代わりにあり、集光レーザビームを電池キャップ403が缶体402と接触する場所に向ける。電子機器912は、回転治具904および溶接機(すなわち集光レーザ)908を制御して、溶接機(すなわち集光レーザ)908が電池缶体402を電池キャップ403に溶接している間に、缶体402/電池キャップ403をそれらの中心軸814を中心に回転させる。全回転中に缶体402を電池キャップ403に溶接することによって、電池キャップ403は缶体402に取り付けられ、それに密閉される。
【0048】
図8および
図9の概念は、溶接のために一度に3つ以上の電池を受ける溶接機を作るために拡張することができる。さらに、そのような溶接機に一群の電池を挿入し、溶接後に電池を溶接機から取り外すための自動化を確立することができる。これらの機械は、本発明による電池の製造に使用される組み立てラインの一部を形成してもよい。
【0049】
前述の明細書において、本開示は特定の実施形態を参照して説明されてきた。しかしながら、当業者には理解されるように、本明細書に開示された様々な実施形態は、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な他の方法で修正または実施できる。したがって、この説明は例示と見なされるべきであり、開示されたシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品の様々な実施形態を作成および使用する方法を当業者に教示することを目的としている。本明細書に示し説明した開示の形態は代表的な実施形態として解釈されるべきであることを理解されたい。同等の要素、材料、プロセスまたはステップは、本明細書において代表的に例示および記載されたものに置換されてもよい。さらに、本開示のこの説明の利益を得た後に当業者には明らかになるように、本開示の幾つかの特徴を他の特徴の使用とは独立して利用することができる。
【0050】
本明細書で使用されるとき、用語「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」またはその文脈上の変形は、非排他的な包含を含むことを意図している。例えば、要素のリストを備えるプロセス、製品、物品、または装置は必ずしもそれらの要素のみに限定されず、明示的に列挙されていない、またはそのようなプロセス、製品、物品、または装置に固有の他の要素を含み得る。さらに、そうでないと明示的に述べられていない限り、「または」は包含的な「または」を指し、排他的な「または」を指すのではない。例えば、条件「AまたはB」は以下の、Aが真(または存在)かつBが偽(または存在しない)、Aが偽(または存在しない)かつBが真(または存在)、ならびにAおよびBの両方が真(または存在)のいずれか1つによって満たされる。
【0051】
ステップ、動作、または計算は特定の順序で提示されてもよいが、この順序は異なる実施形態では変更されてもよい。幾つかの実施形態では、本明細書において複数のステップが連続して示されている限りにおいて、代替実施形態におけるそのようなステップの幾つかの組み合わせは同時に実行されてもよい。本明細書に記載されている一連の動作は、中断され、一時停止され、逆にされ、または他の方法で制御され得る。
【0052】
特定の用途により有用であるように、図面/図に描かれた要素のうちの1つ以上がより分離されたまたは統合された方法で実施され、あるいは場合によっては除去または動作不能とされ得る。さらに、図面/図における任意の信号の矢印は単に例示的であり、他に特にそうでない限り限定的ではないと考慮されるべきである。