(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-03
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】薬物送達デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 5/20 20060101AFI20220204BHJP
A61M 5/24 20060101ALI20220204BHJP
【FI】
A61M5/20 540
A61M5/20 550
A61M5/24
(21)【出願番号】P 2019501589
(86)(22)【出願日】2017-07-12
(86)【国際出願番号】 EP2017067509
(87)【国際公開番号】W WO2018011255
(87)【国際公開日】2018-01-18
【審査請求日】2020-06-29
(32)【優先日】2016-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ-アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・リーバイン
【審査官】上田 真誠
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-539684(JP,A)
【文献】国際公開第2009/047247(WO,A1)
【文献】特開2007-222661(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0015055(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/20
A61M 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイス(1)であって:
注射針(4)とストッパ(5)とを含む薬物カートリッジ(3)を受けるように適用されたハウジング(2)であって、薬物カートリッジ(3)は、ハウジング(2)内で注射針(4)を有効に覆う、または注射針(4)をハウジング(2)の遠位端(2.2)を越えて前進させるように、ハウジング(2)内で軸方向に可動である、ハウジングと、
加圧ガスを含みハウジング(2)内に配置されたガスタンク(9)であって、薬物カートリッジ(3)を遠位方向(D)に動かすための挿入キャビティ(10)、ストッパ(5)を遠位方向(D)に動かすための投薬キャビティ(13)、および薬物カートリッジ(3)を近位方向(P)に動かすための後退キャビティ(16)に有効に連結可能な、ガスタンク(9)と、
ハウジング(2)に固定され、近位方向(P)におけるハウジング(2)に対する薬物カートリッジ(3)の動きを制限するように適用された、後退解放部材(8)と、
投薬キャビティ(13)または挿入キャビティ(10)と後退解放部材(8)との間にあり、投薬キャビティ(13)内または挿入キャビティ(10)内圧力が所定値を超えることによって可撓性薄膜(15)が変形された場合、後退解放部材(8)を作動させ、近位方向(P)におけるハウジング(2)に対する薬物カートリッジ(3)の動きを可能にするように適用された、可撓性薄膜(15)と
、
ハウジング(2)内に摺動可能に配置された後退部材(6)と、
該後退部材(6)内に摺動可能に配置され、挿入部材(7)および薬物カートリッジ(3)が軸方向において互いに対して動くことができないように薬物カートリッジ(3)を保持するように適用された、挿入部材(7)と
を含み、
ここで、後退解放部材(8)は、ハウジング(2)に固定され、近位方向(P)におけるハウジング(2)に対する後退部材(6)の動きを制限するように該後退部材(6)に係合するように適用される、
前記薬物送達デバイス。
【請求項2】
挿入キャビティ(10)は、後退部材(6)内に画成され、流路(12)によってガス
タンク(9)に有効に連結可能であり、圧力を受けたとき遠位方向(D)に挿入部材(7)を動かすように適用される、請求項
1に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項3】
投薬キャビティ(13)は、挿入部材(7)内に画成され、圧力を受けたとき遠位方向(D)にストッパ(5)を変位させるように該ストッパ(5)によって遠位方向に制限されるように適用され、投薬キャビティ(13)は、挿入部材(7)内の流れリミッタ(14)によって挿入キャビティ(10)から隔てられる、請求項
2に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項4】
可撓性薄膜(15)は、挿入部材(7)内に配置され、投薬キャビティ(13)内圧力が所定値を超えることによって可撓性薄膜(15)が変形された場合、後退部材(6)から後退解放部材(8)を係合解除するように適用される、請求項
1~
3のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項5】
後退キャビティ(16)は、ハウジング(2)と後退部材(6)との間に画成され、圧力を受けたとき近位方向(P)に後退部材(6)を動かすように適用され、後退キャビティ(16)は、ブリード穴(17)によって挿入キャビティ(10)に連結される、請求項
1~
4のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項6】
挿入部材(7)は、薬物カートリッジ(3)の近位カラー(3.1)に係合するように適用される、請求項
1~
5のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項7】
ガスタンク(9)は、軸方向に摺動可能であり、穿孔可能薄膜として配置されたまたは穿孔可能薄膜を含む遠位壁(9.1)を含み、鋭い近位先端を有する針の形態の流路(12)が、後退部材(6)内に配置され、ガスタンク(9)を挿入キャビティ(10)に連結するようにガスタンク(9)の遠位壁(9.1)を穿孔するように適用される、請求項
1~
6のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項8】
後退部材(6)は、横断壁(6.2)と周囲壁(6.3)とを含み、および/または、挿入部材(7)は、横断壁(7.2)と周囲壁(7.3)とを含む、請求項
1~
7のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項9】
挿入部材(7)は、後退部材(6)の周囲壁(6.3)に対する気密封止のための封止部材(11.1)を含む、請求項
8に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項10】
後退解放部材(8)は、可撓性薄膜(15)によって係合されるように適用された径方向内方に向いた突起(8.2)を含む、請求項1~
9のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項11】
後退解放部材(8)は、後退部材(6)の凹部(6.1)に係合するためのフック(8.1)を含む、請求項
1~
10のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項12】
後退部材(6)は、2つの軸方向に離間された封止部材(11.2、11.3)によって、ハウジング(2)の内面に対して封止され、より近位に配置された封止部材(11.2)は後退部材(6)上に配置され、より遠位に配置された封止部材(11.3)はハウジング(2)上に配置され、したがって、後退キャビティ(16)を封止する、請求項
1~
11のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項13】
後退部材(6)の外径は、ハウジング(2)の内周よりも小さい、請求項
12に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項14】
封止部材(11.2)は、後退部材(6)上の周囲リブ(6.4)上に配置され、および/または、封止部材(11.3)は,ハウジング(2)から後退部材(6)を径方向に離間するようにハウジング(2)内の周囲リブ(2.1)上に配置される、請求項
13に記載の薬物送達デバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、薬物送達デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
注射の投与は、精神的にも身体的にも、使用者および医療従事者にとっていくつかの危険と課題をもたらすプロセスである。薬剤を患者に投与するための、選択された薬剤投与量を含む充填済みシリンジが、当業界で知られている。
【0003】
改善された薬物送達デバイスが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、改善された薬物送達デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1による薬物送達デバイスによって達成される。
【0006】
例示的な実施形態は、従属請求項において提供される。
【0007】
本開示によれば、薬物送達デバイスは:
- 注射針とストッパとを含む薬物カートリッジを受けるように適用されたハウジングであって、薬物カートリッジは、ハウジング内で注射針を有効に覆う、または注射針をハウジングの遠位端を越えて前進させるように、ハウジング内で軸方向に可動である、ハウジングと、
- 加圧ガスを含みハウジング内に配置されたガスタンクであって、薬物カートリッジを遠位方向に動かすための挿入キャビティ、ストッパを遠位方向に動かすための投薬キャビティ、および薬物カートリッジを近位方向に動かすための後退キャビティに有効に連結可能な、ガスタンクと、
- ハウジングに固定され、近位方向におけるハウジングに対する薬物カートリッジの動きを制限するように適用された、後退解放部材と、
- 投薬キャビティまたは挿入キャビティと後退解放部材との間にあり、投薬キャビティ内または挿入キャビティ内圧力が所定値を超えることによって可撓性薄膜が変形された場合、後退解放部材を作動させ、近位方向におけるハウジングに対する薬物カートリッジの動きを可能にするように適用された、可撓性薄膜と
を含む。
【0008】
本開示の薬物送達デバイスは、自動的な動作シーケンスによる注射サイクルを可能にする。加圧ガスは、高粘性薬物の注射に適した特に高い投薬力を可能にする。薬物カートリッジの加速および衝撃は穏やかであり、したがって、薬物カートリッジの損傷の危険が低減される。ガスタンクがキャビティに連結されると、圧縮ガスが薬物カートリッジおよびカートリッジ内のストッパを前進させる。この動きの間、投薬キャビティおよび/または挿入キャビティ内の圧力は、ストッパが動くことで投薬キャビティの体積が増加し続けるので、所定値を超えることはない。ストッパがシリンジの底に達すると、加圧ガスのさらなる流入により、投薬キャビティ内の体積はそれ以上増加できないが圧力が上昇することができ、それによって可撓性薄膜が変形して後退解放部材を作動させ、それによって近位方向におけるハウジングに対する薬物カートリッジの動き、すなわちシリンジおよび針の後退が可能になる。したがって、薬物送達デバイスは、自動的な針後退によって注射後の針の安全性を提供する。
【0009】
例示的な一実施形態において、薬物送達デバイスは:
- ハウジング内に摺動可能に配置された後退部材と、
- 後退部材内に摺動可能に配置され、挿入部材および薬物カートリッジが軸方向において互いに対して動くことができないように薬物カートリッジを保持するように適用された、挿入部材と
をさらに含み、
ここで、後退解放部材は、ハウジングに固定され、近位方向におけるハウジングに対する後退部材の動きを制限するように後退部材に係合するように適用される。
【0010】
例示的な一実施形態において、挿入キャビティは、後退部材内に画成され、流路によってガスタンクに有効に連結可能であり、圧力を受けたとき遠位方向に挿入部材を動かすように適用される。
【0011】
例示的な一実施形態において、投薬キャビティは、挿入部材内に画成され、圧力を受けたとき遠位方向にストッパを変位させるようにストッパによって遠位方向に制限されるように適用され、投薬キャビティは、挿入部材内の流れリミッタによって挿入キャビティから隔てられる。
【0012】
例示的な一実施形態において、可撓性薄膜は、挿入部材内に配置され、投薬キャビティ内圧力が所定値を超えることによって可撓性薄膜が変形された場合、後退部材から後退解放部材を係合解除するように適用される。
【0013】
例示的な一実施形態において、後退キャビティは、ハウジングと後退部材との間に画成され、圧力を受けたとき近位方向に後退部材を動かすように適用され、後退キャビティは、ブリード穴によって挿入キャビティに連結される。
【0014】
例示的な一実施形態において、挿入部材は、薬物カートリッジの近位カラーに係合するように適用される。
【0015】
例示的な一実施形態において、ガスタンクは、軸方向に摺動可能であり、穿孔可能薄膜として配置されたまたは穿孔可能薄膜を含む遠位壁を含み、鋭い近位先端を有する針の形態の流路が、後退部材内に配置され、ガスタンクを挿入キャビティに連結するようにガスタンクの遠位壁を穿孔するように適用される。
【0016】
例示的な一実施形態において、後退部材は、横断壁と周囲壁とを含み、および/または、挿入部材は、横断壁と周囲壁とを含む。
【0017】
例示的な一実施形態において、挿入部材は、後退部材の周囲壁に対する気密封止ための封止部材を含む。
【0018】
例示的な一実施形態において、後退解放部材は、可撓性薄膜によって係合されるように適用された径方向内方に向いた突起を含む。
【0019】
例示的な一実施形態において、後退解放部材は、後退部材の凹部に係合するためのフックを含む。
【0020】
例示的な一実施形態において、後退部材は、2つの軸方向に離間された封止部材によって、ハウジングの内面に対して封止され、より近位に配置された封止部材は後退部材上に配置され、より遠位に配置された封止部材はハウジング上に配置され、したがって、後退キャビティを封止する。
【0021】
例示的な一実施形態において、後退部材の外径は、ハウジングの内周よりも小さい。
【0022】
例示的な一実施形態において、封止部材は、後退部材の周囲リブ上に配置され、および/または、封止部材は,ハウジングから後退部材を径方向に離間するようにハウジングの周囲リブ上に配置される。
【0023】
本開示の適用性のさらなる範囲は、本明細書の以下に示される詳細な説明から明らかになろう。しかし、当業者にはこの詳細な説明から本開示の趣旨および範囲内で様々な変更および改変が明らかであるので、詳細な説明および具体的な例は、本開示の例示的な実施態様を示すが、例示としてのみ示されると理解されたい。
【0024】
本開示は、例示としてのみ与えられしたがって本開示を制限するものではない本明細書の以下に示される詳細な説明および添付の図面からより十分に理解できるようになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】薬物送達デバイスの例示的な一実施形態の概略的な詳細図である。
【
図2】使用前の、薬物送達デバイスの概略的な詳細図である。
【
図3】予備起動中の、薬物送達デバイスの概略的詳細図である。
【
図4】針挿入中の、薬物送達デバイスの概略的な詳細図である。
【
図5】薬物送達中の、薬物送達デバイスの概略的な詳細図である。
【
図6】薬物送達の終了のときの、薬物送達デバイスの概略的な詳細図である。
【
図7】針後退中の、薬物送達デバイスの概略的な詳細図である。
【
図8】針後退の終了のときの、薬物送達デバイスの概略的な詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
すべての図面において、対応する部材には同じ参照符号が印付けられている。
【0027】
図1は、注射デバイス1の例示的な一実施形態の概略的な詳細図である。注射デバイス1は、薬物カートリッジ3を受けるように適用されたハウジング2を含む。薬物カートリッジ3は、注射針4が取り付けられ得る、セプタムを含む遠位端を有することができる。または、薬物カートリッジ3は、ハウジング2の遠位端2.2の開口部2.3から延びることができるまたはそこを通って延ばされる、注射針4が取り付けられた充填済みシリンジの形態を有することもできる。ストッパ5は、薬物カートリッジ3内に配置され、薬物カートリッジ3を近位方向に封止し薬物カートリッジ3内に含まれる薬物を注射針4の中へと変位させるように遠位方向Dに動かされるように適用される。後退部材6は、ハウジング2内に配置され、ハウジング2に対して軸方向に摺動することができる。薬物カートリッジ3は、挿入部材7によって保持される。図示の実施形態では、挿入部材7は、薬物カートリッジ3の近位カラー3.1に係合しており、したがって挿入部材7および薬物カートリッジ3は、互いに対して軸方向に動くことができない。挿入部材7は、後退部材6内に摺動可能に配置され、したがって挿入部材7および薬物カートリッジ3は、後退部材6に対して軸方向に動くことができる。
【0028】
後退解放部材8は、ハウジング2に固定され、後退部材6の凹部6.1に係合するフック8.1を含み、それによってハウジング2に対する近位方向Pにおける後退部材6の動きが制限される。
【0029】
加圧ガスを含むガスタンク9は、ハウジング2内に配置され、軸方向に摺動することができる。ガスタンク9は、穿孔可能薄膜として配置されるまたは穿孔薄膜を含む遠位壁9.1を含む。
【0030】
後退部材6は、横断壁6.2と、周囲壁6.3とを含む。挿入部材7は、横断壁7.2と、周囲壁7.3も含む。後退部材6の横断壁6.2および周囲壁6.3、ならびに挿入部材7の横断壁7.2は、挿入キャビティ10を画成する。挿入部材7は、後退部材6の周囲壁6.3に対する気密封止のための封止部材11.1を含むことができる。鋭い近位先端を有する針の形態の流路12が、後退部材6の横断壁6.2内に配置され、ガスタンク9を挿入キャビティ10に連結するためにガスタンク9の遠位壁9.1を穿孔するように適用される。
【0031】
挿入部材7の横断壁7.2および周囲壁7.3、ならびに薬物カートリッジ3のストッパ5は、投薬キャビティ13を画成する。近位カラー3.1は、たとえば封止部によって、挿入部材7内に気密に嵌められる。
【0032】
流れリミッタ14は、挿入部材7の横断壁7.2内に配置され、挿入キャビティ10と投薬キャビティ13との間のガスの流れを制限する。可撓性薄膜15は、挿入部材7の周囲壁7.3内に配置される。後退解放部材8は、投薬キャビティ13内の圧力が所定値を超えた場合に可撓性薄膜15が外方に変形された場合、その可撓性薄膜15によって係合されるように適用された、径方向内方に向く突起8.2を含む。それによって、後退解放部材8は外側に偏向することができ、それによってフック8.1が後退部材6の凹部6.1から係合解除される。
【0033】
後退部材6は、軸方向に離間される2つの封止部材11.2、11.3であって、後退部材6上に配置されるより近位方向に配置される封止部材11.2、およびハウジング2上に配置されるより遠位方向に配置される封止部材11.3によって、ハウジング2の内面に対して封止される。後退部材6の外径は、ハウジング2の内周よりも小さく、したがって、後退部材6、ハウジング2および封止部材11.2、11.3によって後退キャビティ16が画成される。例示的な一実施形態において、封止部材11.2は、後退部材6の周囲リブ6.4上に配置され、および/または封止部材11.3は、ハウジング2から後退部材6を径方向に間隔をあけるように、ハウジング2内の周囲リブ2.1上に配置される。
【0034】
ブリード穴17は、後退部材6の周囲壁6.3内に配置され、挿入キャビティ10を後退キャビティ16に連結する。
【0035】
図2は、使用者に提示されるような、使用前の状態にある、薬物送達デバイス1の概略的な詳細図である。後退部材6は、遠位位置にあり、後退解放部材8によってハウジング2に連結されている。ガスタンク9は、近位位置にあり、したがって流路12はガスタンク9の遠位壁9.1から間隔が置かれている。挿入部材7は、後退部材6内において近位位置にある。したがって、薬物カートリッジ3は、やはりまたハウジング2内の近位位置にあり、したがって注射針4はハウジング2内に隠れている。
【0036】
図3は、予備起動中の、薬物送達デバイス1の概略的な詳細図である。ガスタンク9は、使用者によって後退部材6の方に向けて遠位方向Dに動かされている。したがって、流路12はガスタンク9の遠位壁9.1を穿孔し、それによって加圧ガスがガスタンク9から流路12を通って挿入キャビティ10へと流入する。ガスは、さらに、ブリード穴17を通って後退キャビティ16に流入する。
【0037】
図4は、針挿入中の薬物送達デバイス1の概略的な詳細図である。挿入キャビティ10内の圧力が増加されることで、挿入部材7および針4を含む薬物カートリッジ3は後退部材6およびハウジング2に対して遠位方向Dに動かされ、それによって注射針4が開口部2.3を通ってハウジング2の遠位端2.2を越えて突出し、それによってたとえば患者の皮膚である、注射部位内に挿入される。後退キャビティ16内の圧力も増加されるが、後退部材6は、凹部6.1に係合する後退解放部材8のフック8.1によってハウジング2に連結されているので、近位方向Pに動くことができない。
【0038】
図5は、薬物送達中の、薬物送達デバイス1の概略的な詳細図である。針挿入の間、挿入キャビティ10の体積は、挿入部材7が後退部材6内を遠位方向Dに動くので、増加する。この動きは、後退部材6および挿入部材7のそれぞれの止め具6.5、7.4が互いに当接すると、終わる。この体積がそれ以上増加しなくなると、加圧ガスの連続した流れの結果、挿入キャビティ10内の圧力が上昇し、それによって加圧ガスが挿入キャビティ10から流れリミッタ14を通って投薬キャビティ13へと流入するようになる。投薬キャビティ13内の圧力が上昇することで、ストッパ5が薬物カートリッジ3内で遠位方向Dに動かされ、それによって薬物が薬物カートリッジ3から注射針4を通って注射部位内へと変位される。
【0039】
図6は、薬物送達の終わりのときの、薬物送達デバイス1の概略的な詳細図である。ストッパ5は、それが薬物カートリッジ3の底に達するまで動き続ける。
【0040】
図7は、針後退中の、薬物送達デバイス1の概略的な詳細図である。薬物投薬中、投薬キャビティ13の体積は、ストッパ5が薬物カートリッジ3内を遠位方向Dに動くので、増加する。ストッパ5が薬物カートリッジ3の底に達したときにこの動きが終わると、体積はそれ以上増加しなくなり、そのように投薬キャビティ13に加圧ガスが流入し続け、その結果投薬キャビティ13内の圧力が上昇し、それによって可撓性薄膜15が外方に変形されて後退解放部材8の突起8.2に押し付けられる。それによって、後退解放部材8は、外方に偏向され、それによってフック8.1が後退部材6の凹部6.1から係合解除される。後退キャビティ16内の圧力はすでに上昇しており、それが結果的に後退部材6の近位方向Pの動きをもたらし、それによって挿入部材7、薬物カートリッジ3および注射針4が連行される。
【0041】
図8は、針後退の終わりのときの、薬物送達デバイス1の概略的な詳細図である。後退部材6の近位方向Pの動きにより、挿入部材7、薬物カートリッジ3および注射針4が連行され、注射針4がハウジング2内に後退する。後退部材6の遠位端6.6がハウジング2上の封止部材11.2を越えて近位方向に動くと、後退キャビティ16は耐密でなくなり、したがって加圧ガスが後退キャビティ16から逃げることができるようになる。これは、注射サイクルが終わったことを使用者に知らせる可聴フィードバックを生成する。
【0042】
図9は、投薬キャビティ13内の圧力p対時間tを示す線図である。期間Iの始めでは、ガスタンク9は、流路12によって穿孔され、投薬キャビティ13内の圧力pは上昇し始める。期間Iの間、薬物送達デバイス1は、
図3および
図4に示されるような状態を進んでいる。期間Iの終わりでは、圧力pは、ストッパ5の脱離力に打ち勝つのに十分な大きさになり、それによってストッパ5は、期間IIにおいて、
図5および
図6に示されるように遠位方向Dに動き始める。期間IIの間、投薬キャビティ13内の圧力pは、実質的に同じレベルのままである。期間IIの終わりでは、ストッパ5は、
図6に示されるように薬物カートリッジ3の底に達し、投薬キャビティ13内の圧力pは、期間IIIにおいてさらに上昇する。期間IIIの終わりでは、可撓性薄膜15が
図7に示されるように後退解放部材8を作動させ、それによって後退キャビティ16の体積が増加し、それでも投薬キャビティ13内の圧力pは実質的にそのレベルのままである。薬物送達デバイス1が
図8に示されるような状態に達すると、後退キャビティ16は耐密でなくなり、それによって圧力pは、その初期レベルまで低下する。
【0043】
本開示の薬物送達デバイス1は、自動的な動作シーケンスによる注射サイクルを可能にする。加圧ガスは、高粘性薬物の注射に適した特に高い投薬力を可能にする。薬物カートリッジ3の加速および衝撃は、
図9で見られるように穏やかであり、したがって、薬物カートリッジ3の損傷の危険が低減される。薬物送達デバイス1は、自動的な針後退によって注射後の針の安全性を提供する。
【0044】
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、1つまたはそれ以上の薬学的に活性な化合物を説明するために本明細書において使用される。以下に説明されるように、薬物または薬剤は、1つまたはそれ以上の疾患を処置するための、様々なタイプの製剤の少なくとも1つの低分子もしくは高分子、またはその組み合わせを含むことができる。例示的な薬学的に活性な化合物は、低分子;ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(たとえばホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素);炭水化物および多糖類;ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(裸およびcDNAを含む)、RNA、アンチセンスDNAおよびRNAなどのアンチセンス核酸、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドを含むことができる。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに組み込むことができる。これらの薬物の1つまたはそれ以上の混合物もまた、企図される。
【0045】
用語「薬物送達デバイス」は、薬物をヒトまたは動物の体内に投薬するように構成されたあらゆるタイプのデバイスまたはシステムを包含するものである。限定されることなく、薬物送達デバイスは、注射デバイス(たとえばシリンジ、ペン型注射器、自動注射器、大容量デバイス、ポンプ、かん流システム、または眼内、皮下、筋肉内、もしくは血管内送達にあわせて構成された他のデバイス)、皮膚パッチ(たとえば、浸透圧性、化学的、マイクロニードル)、吸入器(たとえば鼻用または肺用)、埋め込み(たとえば、コーティングされたステント、カプセル)、または胃腸管用の供給システムとすることができる。ここに説明される薬物は、針、たとえば小ゲージ針を含む注射デバイスで特に有用であることができる。
【0046】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスで使用するように適用された主要パッケージまたは「薬物容器」内に含むことができる。薬物容器は、たとえば、カートリッジ、シリンジ、リザーバ、または1つまたはそれ以上の薬学的に活性な化合物の保存(たとえば短期または長期保存)に適したチャンバを提供するように構成された他の容器とすることができる。たとえば、一部の場合、チャンバは、少なくとも1日(たとえば1日から少なくとも30日まで)の間薬物を保存するように設計することができる。一部の場合、チャンバは、約1カ月から約2年の間薬物を保存するように設計することができる。保存は、室温(たとえば約20℃)または冷蔵温度(たとえば約-4℃から約4℃まで)で行うことができる。一部の場合、薬物容器は、薬物製剤の2つまたはそれ以上の成分(たとえば薬物および希釈剤、または2つの異なるタイプの薬物)を別々に、各チャンバに1つずつ保存するように構成された二重チャンバカートリッジとすることができ、またはこれを含むことができる。そのような場合、二重チャンバカートリッジの2つのチャンバは、ヒトまたは動物の体内に投薬する前、および/または投薬中に薬物または薬剤の2つまたはそれ以上の成分間で混合することを可能にするように構成することができる。たとえば、2つのチャンバは、これらが(たとえば2つのチャンバ間の導管によって)互いに流体連通し、所望の場合、投薬の前にユーザによって2つの成分を混合することを可能にするように構成することができる。代替的に、またはこれに加えて、2つのチャンバは、成分がヒトまたは動物の体内に投薬されているときに混合することを可能にするように構成することができる。
【0047】
本明細書において説明される薬物送達デバイスおよび薬物は、数多くの異なるタイプの障害の処置および/または予防に使用することができる。例示的な障害は、たとえば、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病に伴う合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症を含む。さらなる例示的な障害は、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチである。
【0048】
糖尿病または糖尿病に伴う合併症の処置および/または予防のための例示的な薬物は、インスリン、たとえばヒトインスリン、またはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1類似体もしくはGLP-1受容体アゴニスト、またはその類似体もしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、または薬学的に許容される塩もしくはその溶媒和物、またはそれらの任意の混合物を含む。本明細書において使用される用語「誘導体」は、元の物質と構造的に十分同様のものであり、それによって同様の機能または活性(たとえば治療効果性)を有することができる任意の物質を指す。
【0049】
例示的なインスリン類似体は、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28-B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0050】
例示的なインスリン誘導体は、たとえば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-γ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(N-リトコリル-γ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン、およびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。例示的なGLP-1、GLP-1類似体およびGLP-1受容体アゴニストは、たとえば:リキシセナチド(Lixisenatide)/AVE0010/ZP10/リキスミア(Lyxumia)、エキセナチド(Exenatide)/エクセンディン-4(Exendin-4)/バイエッタ(Byetta)/ビデュリオン(Bydureon)/ITCA650/AC-2993(アメリカドクトカゲの唾液腺によって産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(Liraglutide)/ビクトザ(Victoza)、セマグルチド(Semaglutide)、タスポグルチド(Taspoglutide)、シンクリア(Syncria)/アルビグルチド(Albiglutide)、デュラグルチド(Dulaglutide)、rエクセンディン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド(Langlenatide)/HM-11260C、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン(Nodexen)、ビアドール(Viador)-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、TT-401、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、エキセナチド(Exenatide)-XTENおよびグルカゴン-Xtenである。
【0051】
例示的なオリゴヌクレオチドは、たとえば:家族性高コレステロール血症の処置のためのコレステロール低下アンチセンス治療薬である、ミポメルセン(mipomersen)/キナムロ(Kynamro)である。
【0052】
例示的なDPP4阻害剤は、ビルダグリプチン(Vildagliptin)、シタグリプチン(Sitagliptin)、デナグリプチン(Denagliptin)、サキサグリプチン(Saxagliptin)、ベルベリン(Berberine)である。
【0053】
例示的なホルモンは、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンなどの、脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストを含む。
【0054】
例示的な多糖類は、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩を含む。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。ヒアルロン酸誘導体の例としては、HylanG-F20/Synvisc、ヒアルロン酸ナトリウムがある。
【0055】
本明細書において使用する用語「抗体」は、免疫グロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。免疫グロブリン分子の抗原結合部分の例は、抗原を結合する能力を保持するF(ab)およびF(ab’)2フラグメントを含む。抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、組換え型、キメラ型、非免疫型またはヒト化、完全ヒト型、非ヒト型(たとえばマウス)、または一本鎖抗体とすることができる。いくつかの実施形態では、抗体はエフェクター機能を有し、補体を固定することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、Fc受容体と結合する能力が低く、または結合することはできない。たとえば、抗体は、アイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは変異体とすることができ、Fc受容体との結合を支持せず、たとえば、これは、突然変異したまたは欠失したFc受容体結合領域を有する。
【0056】
用語「フラグメント」または「抗体フラグメント」は、全長抗体ポリペプチドを含まないが、抗原と結合することができる全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を依然として含む、抗体ポリペプチド分子(たとえば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)由来のポリペプチドを指す。抗体フラグメントは、全長抗体ポリペププチドの切断された部分を含むことができるが、この用語はそのような切断されたフラグメントに限定されない。本開示に有用である抗体フラグメントは、たとえば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、直鎖抗体、二重特異性、三重特異性、および多重特異性抗体(たとえば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)などの単一特異性または多重特異性抗体フラグメント、ミニボディ、キレート組換え抗体、トリボディまたはバイボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュラー免疫薬(SMIP)、結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体を含む。抗原結合抗体フラグメントのさらなる例は、当技術分野で知られている。
【0057】
用語「相補性決定領域」または「CDR」は、特異的抗原認識を仲介する役割を主に担う重鎖および軽鎖両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。用語「フレームワーク領域」は、CDR配列ではなく、CDR配列の正しい位置決めを維持して抗原結合を可能にする役割を主に担う重鎖および軽鎖両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、通常、当技術分野で知られているように、抗原結合に直接的に関与しないが、特定の抗体のフレームワーク領域内の特定の残基が、抗原結合に直接的に関与することができ、またはCDR内の1つまたはそれ以上のアミノ酸が抗原と相互作用する能力に影響を与えることができる。
【0058】
例示的な抗体は、アンチPCSK-9mAb(たとえばアリロクマブ(Alirocumab))、アンチIL-6mAb(たとえばサリルマブ(Sarilumab))、およびアンチIL-4mAb(たとえばデュピルマブ(Dupilumab))である。
【0059】
本明細書において説明される化合物は、(a)化合物または薬学的に許容されるその塩、および(b)薬学的に許容される担体を含む医薬製剤において使用することができる。化合物はまた、1つまたはそれ以上の他の医薬品有効成分を含む医薬製剤、または存在する化合物またはその薬学的に許容される塩が唯一の有効成分である医薬製剤において使用することもできる。したがって、本開示の医薬製剤は、本明細書において説明される化合物および薬学的に許容される担体を混合することによって作られる任意の製剤を包含する。
【0060】
本明細書において説明される任意の薬物の薬学的に許容される塩もまた、薬物送達デバイスにおける使用に企図される。薬学的に許容される塩は、たとえば酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩は、たとえば、HClまたはHBr塩である。塩基性塩は、たとえば、アルカリもしくはアルカリ土類金属、たとえばNa+、もしくはK+、もしくはCa2+、またはアンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1からR4は互いに独立して:水素、場合により置換されたC1~C6-アルキル基、場合により置換されたC2~C6-アルケニル基、場合により置換されたC6~C10-アリル基、または場合により置換されたC6~C10-ヘテロアリール基を意味する)から選択されるカチオンを有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、当業者に知られている。
【0061】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物またはメタノラート(methanolate)またはエタノラート(ethanolate)などのアルカノラート(alkanolate)である。
【0062】
本明細書に記載の物質、配合、装置、方法、システムおよび実施形態の様々な構成要素の修正(追加および/または削除)は、本開示の全範囲および趣旨から逸脱することなく行うことができ、本発明は、そのような修正、および本発明のあらゆる均等物もすべて包含することが当業者には理解されよう。
【符号の説明】
【0063】
1 薬物送達デバイス
2 ハウジング
2.1 周囲リブ
2.2 遠位端
2.3 開口部
3 薬物カートリッジ
3.1 近位カラー
4 注射針
5 ストッパ
6 後退部材
6.1 凹部
6.2 横断壁
6.3 周囲壁
6.4 周囲リブ
6.5 止め具
6.6 遠位端
7 挿入部材
7.2 横断壁
7.3 周囲壁
7.4 止め具
8 後退解放部材
8.1 フック
8.2 突起
9 ガスタンク
9.1 遠位壁
10 挿入キャビティ
11.1 封止部材
11.2 封止部材
11.3 封止部材
12 流路
13 投薬キャビティ
14 流れリミッタ
15 可撓性薄膜
16 後退キャビティ
17 ブリード穴
D 遠位方向
P 近位方向