(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-03
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】使い捨て手動カートリッジボディピアシング器具
(51)【国際特許分類】
A44C 7/00 20060101AFI20220204BHJP
【FI】
A44C7/00 B
(21)【出願番号】P 2019510648
(86)(22)【出願日】2017-08-22
(86)【国際出願番号】 US2017047942
(87)【国際公開番号】W WO2018039189
(87)【国際公開日】2018-03-01
【審査請求日】2020-08-11
(32)【優先日】2016-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519025301
【氏名又は名称】レイル, ゴーラン
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】レイル, ゴーラン
(72)【発明者】
【氏名】レイル, ウラディミール
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05496343(US,A)
【文献】特開2002-085121(JP,A)
【文献】特開平10-234437(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0581022(KR,B1)
【文献】特開2014-018205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 7/00
A61B 17/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面に沿って親指グリップ部を有する主筐体と、
ポストを支持し、前記主筐体内のポスト保持具軌道に摺動自在に係合するポスト保持具と、
あご軌道がついた前記主筐体に摺動自在に係合するあごとを備え、
前記あご軌道は前記ポスト保持具軌道と平行であり、前記あごおよび前記主筐体が前記あご軌道に沿って一緒に動かされるにしたがい体部位に前記ポストで穴をあけるための支え台を前記あごが支持し、前記あごは前記支え台の下方反対側および前記主筐体の前記親指グリップ部の反対側に配置された指グリップ部を含
み、
前記あごが指グリップ部の後ろに配置された補剛材を含むとともに、前記補剛材が前記主筐体と前記あごとの間に付加的軌道を形成する、
ボディピアシング器具カートリッジ。
【請求項2】
前記補剛材が前記指グリップ部から前記あご軌道に対して平行に前記主筐体内へ延在する長手方向の補剛材を備える、請求項
1に記載のボディピアシング器具カートリッジ。
【請求項3】
前記補剛材が穴あけ中の前記あごおよび
主筐体の動きを安定させる、請求項
1に記載のボディピアシング器具カートリッジ。
【請求項4】
前記ポスト保持具軌道を出た後は外れて前記ポストを放すように、前記主筐体内の前記ポスト保持具軌道に摺動自在に係合しているあいだは結合されて前記ポストを支持する別個の部分を前記ポスト保持具が含む、請求項1に記載のボディピアシング器具カートリッジ。
【請求項5】
前記あごおよび前記主筐体を一緒に動かすことに抵抗するために前記主筐体と前記あごとの間に配置されたばねをさらに備える請求項1に記載のボディピアシング器具カートリッジ。
【請求項6】
前記あごと前記主筐体とを引き離す前記ばねに逆らって、前記主筐体の前記あご軌道に係合している前記あごを保持するための留め具を前記あごが含む、請求項
5に記載のボディピアシング器具カートリッジ。
【請求項7】
穴あけ中に前記あごおよび前記主筐体が一緒に動かされるにしたがい摺動して前記ポスト保持具を通り越して前記ポスト保持具の後端にひっかかり、穴あけ後に前記ばねが前記あごと前記主筐体とを引き離すにしたがい前記ポスト保持具を前記ポスト保持具軌道から押し出す押し留め具を前記あごが含む、請求項
5に記載のボディピアシング器具カートリッジ。
【請求項8】
前記支え台が、穴あけ場所の背面付近の領域におけるユーザの体部位を支持するための表面と、前記ポストと一直線になって貫通している穴とを備える、請求項1に記載のボディピアシング器具カートリッジ。
【請求項9】
穴あけ中に前記ポストによるいくらかの上下移動を吸収するために、貫通している前記穴が上下方向に長尺である、請求項
8に記載のボディピアシング器具カートリッジ。
【請求項10】
前記ポストがクラッチ無しピアシング用の円錐かかりを備える、請求項1に記載のボディピアシング器具カートリッジ。
【請求項11】
縦溝穴に配置されて穴あけ中にポストに係合し、その後に前記縦溝穴から滑り出るクラッチを前記支え台が収容する、請求項1に記載のボディピアシング器具カートリッジ。
【請求項12】
前記指グリップ部および前記親指グリップ部が握りをよくするための一続きのこぶまたは隆起をそれぞれ備える、請求項1に記載のボディピアシング器具カートリッジ。
【請求項13】
あご軌道がついた主筐体にあごが摺動自在に係合している状態、およびポスト保持具内で支持され、前記あご軌道と平行な前記主筐体内のポスト保持具軌道に摺動自在に係合しているポストと、前記あごとの間に体部位が置かれた状態で、前記体部位を前記あごの支え台を背にして配置するステップと、
前記あごの前記支え台の下方反対側に配置され、背後に補剛材が前記あご軌道と平行に並んでいる指グリップ部にまたがって、ユーザの手の親指以外の1本以上の指を置くステップと、
前記
主筐体の裏面に沿った親指グリップ部にまたがって、前記ユーザの手の親指を置くステップと、
前記あごの前記支え台を背にした前記体部位にポストが穴をあけるように、前記あごおよび前記
主筐体を前記あご軌道に沿って一緒に動かすために前記親指と前記1本以上の指との間に圧力をかけるステップとを含
み、
前記補剛材が前記主筐体と前記あごとの間に付加的軌道を形成する、
ボディピアシング方法。
【請求項14】
前記あごおよび前記主筐体を一緒に動かすことに抵抗するために前記主筐体と前記あごとの間にばねを配置するステップをさらに含む請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記あごと前記主筐体とを引き離す前記ばねに逆らって、前記主筐体の前記あご軌道に係合している前記あごを保持するための留め具を前記あごが含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
穴あけ中に前記あごおよび前記主筐体が一緒に動かされるにしたがい摺動して前記ポスト保持具を通り越して前記ポスト保持具の後端にひっかかり、穴あけ後に前記ばねが前記あごと前記主筐体とを引き離すにしたがい前記ポスト保持具を前記ポスト保持具軌道から押し出す押し留め具を前記あごが含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項17】
前記支え台が、穴あけ場所の背面付近の領域におけるユーザの体部位を支持するための表面と、前記ポストと一直線になって貫通している穴とを備える、請求項
13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、米国特許法119条(e)の下で、参照により本明細書に組み込まれる下記の米国仮特許出願に基づく利益を受けることを請求する。
【0002】
Reilらにより2016年8月23日に出願された“DISPOSABLE HAND OPERATED CARTRIDGE BODY PIERCING INSTRUMENT”と題する米国仮特許出願第62/378,638号(代理人整理番号RELGP003.P1)。
【技術分野】
【0003】
本発明は、体部位に装飾用の穴をあける装置および方法に関する。本発明は特に、使い捨て手動カートリッジボディピアシング器具用の装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
近年、米国および世界中でボディピアシングはますます一般的な行為になってきている。体部位に穴をあけることは古くから行われてきたが、この行為は急速に日常的な処置となりつつあり、医療の経験または訓練を積んでいない素人によって行われることが多い。主流のボディピアシングが、単に耳だけでなく、他の体部位に穴をあけることも含むように進化してきていることを理解しておくことも重要である。たとえば、海軍または腹の下部、眉毛、唇等の付近の肉に穴をあけることが以前に比べて現在はより一般的である。現在は、安全かつ衛生的に使い勝手よく体部位に穴をあけることを可能にする手動操作型デバイスが数多く入手できる。そのような機構の例は、1996年3月5日に発行されたReilの米国特許第5496343号明細書、1998年8月11日に発行されたReilの米国特許第5792170号明細書、1999年2月9日に発行されたReilの米国特許第5868774号明細書、2003年7月29日に発行されたReilの米国特許第6599306号明細書、および2004年9月28日に発行されたReilの米国特許第6796990号明細書に開示されており、これらすべてが参照により本明細書に組み込まれる。
【0005】
針を用いたもっぱら手による穴あけに加え、今日では種々のボディピアシング機構が入手可能である。これら種々のボディピアシング機構は実質的に、ポスト(スタッド、ピンまたはピアスピンともいう)がついた固定装飾片を含むスタッド(イヤリングまたはピアスイヤリングともいう)とナット(場合によってはクラスプともいう)とがカートリッジに取り付けられて構成されている。穴あけの過程において、体部位(たとえば耳たぶ)がポストとナットとの間にセットされ、手により、または専用のボディピアシング機構(「ガン」、器具またはアセンブリ)内でカートリッジを操作することにより、カートリッジが締め付けられ、その結果、ポストが体部位に穴をあけ、ナットに係合する。ある特殊なボディピアシングアセンブリは、穴あけ前にはボディピアシングアセンブリの異なる場所に別々に係合するポストとナットそれぞれに、別個の搬送体を用いている。
【0006】
たとえば、1985年7月9日にReilに発行された米国特許第4527563号明細書はガンタイプのスタッド据え付け部材を取り入れた耳スタッド取り付け機構を開示しており、耳に穴をあけ、スタッドまたはポストを穴に入れてスタッドまたはポストのバッククラスプまたはナットとしっかり結合させる際に、高レベルの衛生状態で無菌性が維持される。この改良型機構は、耳たぶ等に接触する使い捨ての部品を有するスタッドガンを利用している。この機構により、たとえばスタッドとクラスプがヒトの手に触れること、またはスタッドガンの交換可能な部品がヒトの手に触れることを必要とせずに、無菌の部品を据え付け、無菌状態で耳にスタッドおよびバックを取り付けることが可能なため、耳に穴をあけることに伴うリスクが減少する。
【0007】
さらに、1990年5月1日にReilに発行された米国特許第4921494号明細書は、イヤリングスタッドに取り付けるためのクラスプを保持し、スタッドが前進してクラスプに入るように導くガイドとなる、使い捨てスタッド搬送体および一体型イヤリング搬送体を開示している。イヤリング搬送体は、イヤリング搬送体が配置されてそのまま保持される端部に突起を有するスタッドガンとともに使用される。
【0008】
ナット用とポスト用の別個の搬送体を用いる穴あけ機構に関する一つの難点は、使用前に各搬送体が穴あけ機構に別々に装着されなければならないことである。別個の搬送体は小さく、扱いづらい。ポストおよびナットは、穴あけのために適切に配列されたそれぞれの搬送体にしっかりと保持されていなければならない。さらに、各搬送体は装着時に穴あけ機構にしっかり係合しなければならない。ポスト搬送体の場合、ポストが搬送体から外れて床に落ちてしまうことがたまにある。また、ナット搬送体は偶然に穴あけ器具から離れてしまうことがある。そのような事態が起きると、落ちてしまった部品は衛生的でなくなっているので廃棄しなければならない。
【0009】
あらゆる製品と同様に、穴あけ器具を低コストで製造することも望ましい。製造工程が追加されれば最終製品に追加コストがかかる。たとえば、ナット用とポスト用の別個の搬送体を用いる現行の従来型ボディピアシング器具は、ナット搬送体をはめ込むために使われる円筒部分に溶接された金属フランジを有する。全体部分をそれより大きな金属片から機械切削するよりは、溶接フランジのほうが安価ではあるが、金属フランジが不要になればより安価な選択肢がもたらされる。しかし、そのような解決策には、ボディピアシング器具に対するナット搬送体のしっかりとした係合および配置の必要条件を満たすことがまず必要となる。
【0010】
当然、どんな製品でも異なる製造ユニットの中で差異がある。したがって、複数の製造ユニットにわたって生じる嵌め合い部品同士の製造公差のすべてを製品の設計よって吸収することが望ましい。この目的を達成することにより、顧客満足度が上昇し、不良部品の返品が減少する。先行技術によるボディピアシング器具用ポスト搬送体は、装飾の最大外形寸法と円筒壁の内径との間のプレス嵌め(または締り嵌め)によりポストの装飾を保持するように設計されているため、ポストにかかる保持力が一定しない。そのようなプレス嵌めによる嵌合から生じる保持力は、装飾のサイズと円筒の首径の差がごくわずかに変化するだけで非常に大きく変動する。パーツ同士の製造公差を向上させることでこの問題に対処できるが、これには追加コストがかかる。(プラスチック成形品はより安価であるが、たとえば厳しい公差を維持するのは難しい。機械加工部品はより精密であるが、よりいっそうコストがかかる。)したがって、装飾とプラスチック成形ポスト搬送体との間の通常の製造公差では、装飾とポスト搬送体の嵌合はもろすぎるか、堅すぎることが多い。前者の場合は穴あけの前の取り扱い中にポストが搬送体から落ちてしまう可能性があり、後者の場合は穴あけ後に搬送体からポストが外れにくく、受け手に不快感をもたらす場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許第5496343号明細書
【文献】米国特許第5792170号明細書
【文献】米国特許第5868774号明細書
【文献】米国特許第6599306号明細書
【文献】米国特許第6796990号明細書
【文献】米国特許第4527563号明細書
【文献】米国特許第4921494号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述のことに鑑み、簡単、正確、反復可能、かつ安全なボディピアシングを提供する装置および機構が必要である。ナット用とポスト用の別個の搬送体を効率よく衛生的に装填することを可能にする穴あけ機構用の方法および装置が必要である。特に、より扱いやすく、装填時に無菌部品が落ちてしまう可能性の低いナット用とポスト用の別個の搬送体を提供する方法および装置が必要である。さらに、使い捨て部品のコストを削減することなどにより製造コストを削減するような方法および装置が必要である。精密製造公差が不要で、安定した性能が得られる設計が必要である。穴あけ技術が異なっていても使える標準的な部品を用いるような方法および装置も必要である。後述のとおり、本発明はこうしたニーズに応えるものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
体部位に装飾用の穴をあけるための装置および機構が開示されており、裏面に沿った親指グリップ部を有する主筐体と、ポスト保持具軌道内で結合されているあいだはポストを支持し、ポスト保持具軌道を出た後は外れてポストを放すように、主筐体内のポスト保持具軌道に摺動自在に係合して結合されている別個の部分を含むポスト保持具と、あご軌道がついた主筐体に摺動自在に係合したあごとを備える。あご軌道はポスト保持具軌道と平行であり、あごおよび主筐体があご軌道に沿って一緒に動かされるにしたがってポストで穴をあけるための支え台をあごが支持する。あごは、支え台の下方反対側および主筐体の親指グリップ部の反対側に配置された指グリップ部を含む。
【0014】
本発明の典型的な実施形態は、裏面に沿った親指グリップ部を有する主筐体と、ポストを支持し、主筐体内のポスト保持具軌道に係合するポスト保持具と、あご軌道がついた主筐体に摺動自在に係合するあごとを含むボディピアシング器具カートリッジを備える。あご軌道はポスト保持具軌道と平行であり、あごおよび主筐体があご軌道に沿って一緒に動かされるにしたがってポストで体部位に穴をあけるための支え台をあごが支持する。あごは、支え台の下方反対側および主筐体の親指グリップ部の反対側に配置された指グリップ部を含む。ポストはクラッチ無しピアシング用の円錐かかりを備えることができる。指グリップ部および親指グリップ部は握りをよくするための一続きのこぶまたは隆起をそれぞれ備えることができる。
【0015】
一部の実施形態では、あごは指グリップ部の背後に配置された補剛材を含んでもよい。補剛材は、指グリップ部からあご軌道に対して平行に主筐体内へ延在する長手方向の補剛材を備えることができる。補剛材は主筐体とあごとの間に付加的軌道を形成することができる。補剛材は、穴あけ中のあごおよび本体の動きを安定させる。
【0016】
別の実施形態では、ポスト保持具軌道を出た後は外れてポストを放すように、主筐体内のポスト保持具軌道に摺動自在に係合しているあいだは結合されてポストを支持する別個の部分を、ポスト保持具が含んでもよい。
【0017】
通常、あごおよび主筐体を一緒に動かすことに抵抗するため、主筐体とあごとの間にばねを配置することができる。あごと主筐体とを引き離すばねに逆らって、主筐体のあご軌道に係合しているあごを保持するための留め具をあごが含んでもよい。さらに、穴あけ中にあごおよび主筐体が一緒に動かされるにしたがい摺動してポスト保持具を通り越してポスト保持具の後端にひっかかり、穴あけ後にばねがあごと主筐体とを引き離すにしたがいポスト保持具をポスト保持具軌道から押し出す押し留め具をあごが含んでもよい。
【0018】
一部の実施形態では、支え台は、穴あけ場所の背面付近の領域におけるユーザの体部位を支持するための表面と、ポストと一直線になって貫通している穴とを備えることができる。貫通している穴は、穴あけ中にポストによるいくらかの上下移動を吸収するために上下方向に長尺でありうる。
【0019】
さらに別の実施形態では、縦溝穴に配置されて穴あけ中にポストに係合し、その後に縦溝穴から滑り出るクラッチを支え台が収容することができる。
【0020】
同様に、本発明の典型的な方法の実施態様は、あご軌道がついた主筐体にあごが摺動自在に係合している状態、およびポスト保持具内で支持され、あご軌道と平行な主筐体内のポスト保持具軌道に摺動自在に係合しているポストと、あごとの間に体部位が置かれた状態で、体部位をあごの支え台を背にして配置するステップと、あごの支え台の下方反対側に配置され、背後に補剛材があご軌道と平行に並んでいる指グリップ部にまたがって、ユーザの手の親指以外の1本以上の指を置くステップと、本体の裏面に沿った親指グリップ部にまたがって、ユーザの手の親指を置くステップと、あごの支え台を背にした体部位にポストが穴をあけるように、あごおよび本体をあご軌道に沿って一緒に動かすために親指と他の1本以上の指との間に圧力をかけるステップとを含む、体部位に穴をあける方法である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
類似の参照番号は、以下の図面を通じて対応する部分を示す。
【0022】
【
図1A】本発明の例示的手動ボディピアシングカートリッジの実施形態の側面図である。
【0023】
【
図1B】本発明の例示的手動ボディピアシングカートリッジの実施形態の別の図である。
【0024】
【
図1C】本発明の例示的手動ボディピアシングカートリッジの実施形態の下方側面図である。
【0025】
【
図1D】穴あけ後に開いたポスト搬送体を表す、本発明の例示的手動ボディピアシングカートリッジの実施形態の上面図である。
【0026】
【
図1E】穴あけ後に開いたポスト搬送体を表す、本発明の例示的手動ボディピアシングカートリッジの実施形態の上方側面図である。
【0027】
【
図1F】穴あけ後に開いたポスト搬送体を表す、本発明の例示的手動ボディピアシングカートリッジの実施形態の上方前面図である。
【0028】
【
図1G】使用できる状態の、本発明の例示的手動ボディピアシングカートリッジの実施形態の断面図である。
【0029】
【
図1H】体部位に穴をあけるために押し縮められた、使用中の、本発明の例示的手動ボディピアシングカートリッジの実施形態の断面図である。
【0030】
【
図1I】ポスト保持具を押し出すためにゆるめられた、使用中の、本発明の例示的手動ボディピアシングカートリッジの実施形態の断面図である。
【0031】
【
図2A】本発明の手動ボディピアシングカートリッジの実施形態において使用するための例示的ポスト保持具の正面等角投影図である。
【0032】
【
図2B】本発明の手動ボディピアシングカートリッジの実施形態において使用するための例示的ポスト保持具の背面等角投影図である。
【0033】
【
図3A】本発明の手動ボディピアシングカートリッジの実施形態とともに使用するための例示的円錐かかり付きポストの側面図である。
【0034】
【
図3B】本発明の手動ボディピアシングカートリッジの実施形態とともに使用するための例示的円錐かかり付きポストの裏面等角投影図である。
【0035】
【
図3C】本発明の手動ボディピアシングカートリッジの実施形態とともに使用するための例示的円錐かかり付きポストの正面等角投影図である。
【0036】
【
図4A】本発明の手動ボディピアシングカートリッジの実施形態において使用するための例示的主筐体の前方等角投影図である。
【0037】
【
図4B】本発明の手動ボディピアシングカートリッジの実施形態において使用するための例示的主筐体の背面等角投影図である。
【0038】
【
図4C】本発明の手動ボディピアシングカートリッジの実施形態において使用するための例示的主筐体の正面図である。
【0039】
【
図5A】本発明の手動ボディピアシングカートリッジの実施形態において使用するための例示的あごの左背面等角投影図である。
【0040】
【
図5B】本発明の手動ボディピアシングカートリッジの実施形態において使用するための例示的あごの右背面等角投影図である。
【0041】
【
図5C】本発明の手動ボディピアシングカートリッジの実施形態において使用するための例示的あごの側面図である。
【0042】
【
図6】オプショナルクラッチがついたあごを含む本発明の手動ボディピアシングカートリッジの実施形態を表す。
【0043】
【
図7】本発明の手動ボディピアシングカートリッジの実施形態の例示的操作方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
好ましい実施形態を含む以下の記述において、その一部をなし、本発明が実施される具体的な形態を例証として示す添付図面が参照される。なお、本発明の範囲を逸脱することなく、他の実施形態を用いてもよく、構造を変化させてもよいと解釈すべきである。
1.0 使い捨て手動カートリッジボディピアシング器具
【0045】
上述のとおり、本発明の種々の実施形態は、体部位に対する装飾用穴あけのためのボディピアシングカートリッジとともに使用し、これを包含するように設計されている。当業者によって理解されるとおり、本発明の実施形態は体のほとんどすべての部位に対する穴あけに用いることが可能であるが、特に鼻に対する穴あけに適している。本発明の実施形態は、手動の小型使い捨てデバイスを提供する。通常このデバイスは密閉滅菌包装されている。カートリッジには(スタッド装飾を含む)ポストがあらかじめ装填されているため、体部位のピアス穴を形成するために即操作可能であり、その後廃棄できる。
【0046】
図1Aから
図1Fは、本発明の例示的手動ボディピアシングカートリッジの実施形態の様々な図である。ボディピアシング器具カートリッジ100は、裏面に沿った親指グリップ部104を有する主筐体102を含む。ポスト保持具106は、ポスト108を支持し、主筐体102内のポスト保持具軌道110に摺動自在に係合している。あご112は、あご軌道がついた主筐体102に摺動自在に係合しており、あご軌道114はポスト保持具軌道110と平行である。あご112および主筐体102があご軌道114に沿って一緒に動かされるにしたがいポスト108で体部位に穴をあけるための支え台116をあご112が支持している。あご112は、支え台116の下方反対側および主筐体102の親指グリップ部104の反対側に配置された指グリップ部118も含む。
【0047】
通常本発明の実施形態は、滅菌できる射出形成プラスチック材料により製造することができるが、他の好適な材料でも可能である。主筐体102、あご112およびポスト保持具106用のそれぞれ別個の成形品はいずれも不透明なプラスチックから形成することができる。しかし、カートリッジを使用する前にスタッド装飾がポスト保持具106の中で見えるように、ポスト保持具106を透明プラスチックから成形することが望ましい。本発明の使い捨て手動カートリッジボディピアシング器具の実施形態を金属等の機械加工材料から製造することも可能ではあるが、すべての使い捨て製品にとって最優先事項である、安価に製造できるという理由から成形材料が好ましい。あらかじめ装着されたポストによる穴あけにデバイスが一度使用され、その後廃棄されるように、本発明の実施形態は密閉滅菌ブリスター包装で提供されることが好ましい。
【0048】
図1Gから
図1Iは、異なる操作段階における本発明の例示的手動ボディピアシングカートリッジの実施形態の断面図である。ユーザは(相手の)体部位120を、支え台116を背にして置く。あご112および本体102がユーザの手によって一緒に動かされることにより、ポスト108が体部位120に穴をあける。これに続き、ユーザはあご112と本体102とを離れさせ、その結果、ポスト108がポスト保持具106から外れ、体部位120に貫通したままとなる。
【0049】
図1Gは、使用できる状態の、使い捨て手動ボディピアシングカートリッジ100の断面図である。示されているようにポスト108は、主筐体102のポスト保持具軌道110内にあるポスト保持具106の中で支持されている。耳たぶ、鼻孔、へそのフラップ等の体部位120はあご112の支え台116を背にして置かれる。あご112は主筐体のあご軌道114に摺動自在に係合している。ばね130は主筐体102内に設けられ、あご112および主筐体102を一緒に動かすことに抵抗して主筐体102とあご112とを引き離す。あご112に取り付けられ、主筐体102内の縁端に掛止されている留め具126は、ばね130の力によってあご112が主筐体102のあご軌道114から押し出されてしまうのを防ぐ。
【0050】
図1Hは、体部位120に穴をあけるために押し縮められた、本発明の例示的手動ボディピアシング器具カートリッジ100の実施形態の断面図である。このようにするには、ユーザの手の人差し指など、親指以外の1本以上の指があご112の支え台116の下方反対側に配置された指グリップ部118にまたがって置かれ、ユーザの手の親指が本体102の裏面に沿った親指グリップ部104にまたがって置かれる。あご112の支え台116を背にした体部位120にポスト108が穴をあけるように、親指と他の1本以上の指との間に圧力をかけてあご112および本体102をあご軌道114に沿って一緒に動かす。ポスト108のとがった端は、体部位120に穴をあけた後、あご112の支え台116の穴112に入る。あご112および本体102を一緒に押すユーザの手の圧力に対してばね130が押し縮められる。さらに、上り傾斜がついた片持ちばね構成の押し留め具124があご112に取り付けられており、後方に動かされてポスト保持具106を通り過ぎるとその後ろで持ち上がる。
【0051】
あご軌道114と平行に並び、同じく主筐体102に入る、指グリップ部118後方の補剛材128をあご112が含んでいることが重要である。補剛材128は、穴あけ中のあごおよび本体の動きを安定させる。通常、補剛材は指グリップ部118からあご軌道114に対して平行に主筐体102内へ延在する長手方向の補剛材を備えるが、当業者によって理解されるように他の構成も可能である。補剛材128が付加的なあご軌道として機能するよう、その幅は本体102の受容ポケットに合っている。したがって、1組のオフセットあご軌道は、それに沿ってポスト108が確実に安定して動くようにして、あご112および支え台116のねじれを防いでいる。
【0052】
図1Iはポスト保持具106を押し出すためにゆるめられた本発明の例示的手動ボディピアシング器具カートリッジ100の断面図である。ユーザの手がゆるめられるのにしたがい、ばね130からの圧力があご112と本体102とを引き離す。ばね130からの圧力下であご112があご軌道114に沿って動くにしたがい、これまでポスト保持具106の後ろで持ち上がっていた押し留め具124が、今度はポスト保持具106を前方に向かってポスト保持具軌道110の外へ押し出す。ポスト保持具106は、後で詳述されるようにポスト保持具106がポスト保持具軌道110の中にあるあいだのみ結合されてポスト108を囲んで支持する2つの部分を備える。ポスト保持具106がいったん軌道110を出ると、ポスト保持具106の2つの部分は離れ、体部位120を貫通したポスト108を放す。
2.0 指グリップおよび親指グリップ
【0053】
この新規のカートリッジのもう一つの重要な特徴は、対向する両端にそれぞれグリップが含まれていることである。これらのグリップは、握りをよくするための一続きのこぶまたは隆起をそれぞれ備える指グリップ部および親指グリップ部をユーザに与える。なお、ユーザの手が逆で、親指が指グリップ部118、その他の指が親指グリップ部104にまたがっていても、デバイスは使用および操作が可能である。よって、異なるグリップ部118、104は採用するのが好ましいが必須ではないものとされる。グリップがカートリッジ100に直接ついていることで、ユーザは別個の器具または「ガン」にカートリッジを装填する必要なく穴あけを行うことが可能になる。カートリッジ100は、滅菌包装から出され、体部位120のピアス穴を形成するために一度使用されたら、廃棄される。この使い捨て型カートリッジ100は感染のリスクを減少させる。
3.0 ポスト保持具および円錐かかり付きポスト
【0054】
本発明の実施形態は、主筐体102内のポスト保持具軌道110に摺動自在に係合したポスト保持具106に支持されたポスト108を用いる。ポスト保持具106は、ポスト保持具106がポスト保持具軌道110内に摺動自在に係合している限りは結合されているがポスト保持具軌道110を出た後は外れてポスト108を放す別個の部分を備えるのが好ましい。たとえば、ポスト108のスタッド装飾を完全に囲んでかみ合わさり、ポストのとがった端がポスト保持具106から延在するのを可能にする、ポスト108のスタッド装飾用のソケット半分206A、206Bを有する2つの片割れ202A、202Bを、この別個の部分が備えることができる。さらに、ポスト108のまわりに組み立てられると互いに係合する、一方の片割れ側のピン204Aと他方の片割れ側の適合ソケット204Bとによって、2つの片割れをさらに位置合わせすることができる。
【0055】
図2Aおよび
図2Bは、本発明の手動ボディピアシングカートリッジ100の実施形態において使用するための例示的ポスト保持具106の等角投影図である。各片割れ202A、202Bが、主筐体102のポスト保持具軌道110の中で結合されているときにポスト108を支持するためのハーフソケット206A、206Bを備えるように、別個の片割れ202A、202Bは垂直面に沿って分かれている。2つの片割れ202A、202Bが結合されるときに位置合わせを補助するため、適合するピン204Aおよび穴204Bは、2つの片割れ202A、202Bが分かれる垂直面上において各片割れに配置されている。ピン204Aと穴204Bとは、ポスト保持具106の左と右または右と左に配することができる。
【0056】
図3Aから
図3Cは、本発明の手動ボディピアシングカートリッジの実施形態とともに使用するための例示的円錐かかり付きポストの様々な図である。本発明のカートリッジの実施形態は、適切なポスト108の設計をどれでも採用することができる。ポスト108は一端において、ポスト保持具106のハーフソケット206A、206Bによって形成されたソケットに囲われた装飾302を含む。ハーフソケット206A、206Bは、ポスト保持具106を出てあご112の支え台116に向かって延在するポスト108のシャフト304を支持する溝も形成している。
【0057】
シャフト304の反対の端にある先端306は、とがった端の適切な形であればよい。たとえば先端306は、カニューレ型、円錐の先端、かかりまたはボディピアシング用として既知の他の先端を備えうる。注目すべき一例において、先端306はシャフト304の直径より大きく広がる鋭い円錐端を含む円錐かかりを備える。(鋭い円錐端と同じテーパ角を有する)逆円錐部は、その直径が逆に最大径からシャフト304の直径に向かう。この円錐かかり形状により、ボディピアスが鼻孔等に形成され、とがった先端を留めるためのクラッチなしで所定の場所にとどまることができる。この広がった円錐かかりは、クラッチ無しピアシングでポストが脱落するのを防いでいる。
4.0 主筐体軌道
【0058】
図4Aから
図4Cは本発明の手動ボディピアシングカートリッジの実施形態において使用するための例示的主筐体102の様々な図である。主筐体102はポスト保持具軌道110およびあご軌道114を含む。さらに主筐体102は、上述のとおり付加的軌道として機能する、あご112に固定された補剛材128を受け取るための凹部404を含む。なお、ポスト保持具軌道110、あご軌道114および凹部404の異なる形状は変更可能である。それぞれの要素部分、すなわちポスト保持具106、あご112および補剛材128に適合する突出断面を呈し、それらとの摺動自在な係合が得られるように受け取ればよい。
【0059】
上述のとおりあご112は、あご112と主筐体102とを引き離すばね130に逆らって、主筐体102のあご軌道114に係合しているあご112を保持するための留め具126を含む。留め具126は、
図1Iに表された留め具126の場所にあるあご軌道114の水平縁端に係合するように設計されている。さらに主筐体102は、カートリッジ100が組み立てられたときに円筒形圧縮ばね130を正しい位置に固定するためのスプリング係合ピン402も含む。これは、後述のあご112のスプリング係合ソケット502に適合する。
5.0 あごおよび支え台
【0060】
図5Aから
図5Cは本発明の手動ボディピアシングカートリッジの実施形態において使用するための例示的あごの様々な図である。支え台116は、穴あけ場所の背面付近の領域におけるユーザの体部位を支持するための表面と、ポスト108と一直線になって貫通している穴122とを備えることができる。貫通している穴122は、穴あけ中にポスト108によるいくらかの上下移動を吸収するために上下方向に長尺でありうる。場合によってあご112は、その後ろに配置され、指グリップ部118と並んで穴あけ中のあご112および本体102の動きを安定させる補強梁または補剛材128を含んでもよい。
【0061】
図6はオプショナルクラッチ602がついたあご112を含む本発明の手動ボディピアシングカートリッジの実施形態を表す。示されているように、縦溝穴に配置されて穴あけ中にポスト108に係合し、その後に縦溝穴から滑り出るクラッチ602を支え台116がオプションで収容することができる。クラッチ602の後ろにはスプリングフィンガ604が配置され、クラッチ602がポスト108に係合するまでに滑り落ちないように、クラッチ602に少し圧力をかけている。本例では、クラッチ602の表面は部分的に支え台116として機能している。いずれの適切な既知のクラッチ602も、デバイス100のあご112とともに機能するように適合できる。
【0062】
穴あけ中にあご112および主筐体102が一緒に動かされるにしたがい摺動してポスト保持具106を通り越してポスト保持具106の後端に係合する押し留め具124をあご112が含んでもよいことは意義深い。そして、穴あけ後にばね130があご112と主筐体102とを引き離すにしたがい、押し留め具124はポスト保持具106をポスト保持具軌道110から押し出す。
6.0 手動ボディピアシングカートリッジの方法
【0063】
図7は、本発明の手動ボディピアシングカートリッジの実施形態の例示的操作方法のフローチャートである。あご軌道がついた主筐体にあごが摺動自在に係合している状態、およびポスト保持具内で支持され、あご軌道と平行な主筐体内のポスト保持具軌道に摺動自在に係合しているポストと、あごとの間に体部位が置かれている状態で、方法700は体部位をあごの支え台を背にして配置するステップ702から始まる。ステップ704において、あごの支え台の下方反対側に配置され、背後に補剛材があご軌道と平行に並んでいる指グリップ部に、ユーザの手の親指以外の1本以上の指がまたがって置かれる。ステップ706において、ユーザの手の親指が、本体の裏面に沿った親指グリップ部にまたがって置かれる。ステップ708において、あごの支え台を背にした体部位にポストが穴をあけるように、親指と他の1本以上の指との間に圧力をかけてあごおよび本体をあご軌道に沿って一緒に動かす。
【0064】
ここで本発明の好ましい実施形態の説明を締めくくる。本発明の好ましい実施形態の上記記載は、例証および説明のために示されている。網羅的であることまたは本発明を開示されている厳密な形に限定することを意図するものではない。上記の教示に鑑みて多くの改良および変形が可能である。
【0065】
本発明の範囲は本明細書の詳述な記載によってではなく、むしろこれに添付された特許請求の範囲によって限定されることが意図されている。上記の明細書、例示およびデータは、本発明の装置および方法の製造および利用について包括的な説明を提供している。本発明の範囲を逸脱することなく、本発明の多くの実施形態が生み出されうるため、本発明は本明細書に添付の特許請求の範囲に属する。