(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-03
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】エネルギ貯蔵システム
(51)【国際特許分類】
H01M 50/271 20210101AFI20220204BHJP
H01M 10/6552 20140101ALI20220204BHJP
H01M 10/6554 20140101ALI20220204BHJP
H01M 50/213 20210101ALI20220204BHJP
H01M 50/236 20210101ALI20220204BHJP
H01M 50/273 20210101ALI20220204BHJP
H01M 50/293 20210101ALI20220204BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20220204BHJP
H01M 50/505 20210101ALI20220204BHJP
H01M 50/512 20210101ALI20220204BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20220204BHJP
【FI】
H01M50/271 Z
H01M10/6552
H01M10/6554
H01M50/213
H01M50/236
H01M50/271 S
H01M50/273
H01M50/293
H01M50/342 201
H01M50/505
H01M50/512
H01M50/55 201
(21)【出願番号】P 2019539264
(86)(22)【出願日】2018-01-10
(86)【国際出願番号】 IB2018050158
(87)【国際公開番号】W WO2018134704
(87)【国際公開日】2018-07-26
【審査請求日】2019-07-25
(32)【優先日】2017-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510192916
【氏名又は名称】テスラ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バートン,アウグスト イー.
(72)【発明者】
【氏名】レーン,ロバート クリントン
(72)【発明者】
【氏名】シディアック,ネイサン カリル
(72)【発明者】
【氏名】カール,ジュリアン クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ロス,ヒュー バーネット
(72)【発明者】
【氏名】ストックトン,ウィリアム ビー.
(72)【発明者】
【氏名】マノブ,ニコラス ポール
【審査官】上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/162841(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/035683(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/271
H01M 10/6552
H01M 10/6554
H01M 50/213
H01M 50/236
H01M 50/273
H01M 50/293
H01M 50/342
H01M 50/505
H01M 50/512
H01M 50/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギ貯蔵システムであって、
モジュールハウジングと、
前記モジュールハウジングの内側に配置された複数のバッテリセルであって、前記複数のバッテリセルの各々は、第1の端部および第2の端部を含み、前記複数のバッテリセルの各々はさらに、正極端子および負極端子を含
み、前記複数のバッテリセルは、前記第1の端部の側に前記正極端子および前記負極端子を有する、複数のバッテリセルと、
前記複数のバッテリセルの
前記第1の端部の上方に配置された第1の相互接続部と、
前記複数のバッテリセルの
前記第1の端部の上方に配置された第2の相互接続部と、
前記バッテリセルの前記正極端子を前記第1の相互接続部に接続する複数の第1のセルコネクタと、
前記バッテリセルの前記負極端子を前記第2の相互接続部に接続する複数の第2のセルコネクタと、
内側面および外側面を備え、前記第1の相互接続部および前記第2の相互接続部の上方に配置された天板であって、前記天板は、
前記複数のバッテリセルのうち1つまたは複数のバッテリセルの上側に配置された1つまたは複数の脆弱領域を含
み、前記脆弱領域は、より低い完全性を有し、かつ、故障したバッテリセルによって圧力が高まるときに、および/または、前記故障したバッテリセルによって放出された苛性ガスに曝されるときに破裂するように構成された前記天板の領域であり、破裂が起こると、前記故障したバッテリセルからのガスが前記モジュールハウジングの外部に排出される、天板と、
を備える、エネルギ貯蔵システム。
【請求項2】
前記天板における前記脆弱領域は、前記天板の物理的に弱い部分である、請求項1に記載のエネルギ貯蔵システム。
【請求項3】
前記脆弱領域は、前記天板における構造的な窪みであり、前記構造的な窪みは、前記天板の前記内側面にあり、前記外側面は平面である、請求項2に記載のエネルギ貯蔵システム。
【請求項4】
前記天板が単一の材料から形成され、材料の一部が、前記脆弱領域から除去された、請求項2に記載のエネルギ貯蔵システム。
【請求項5】
前記天板が複合材料から形成された、請求項2に記載のエネルギ貯蔵システム。
【請求項6】
相互接続層をさらに備え、前記相互接続層は、前記第1の相互接続部および前記第2の相互接続部を含む、請求項1に記載のエネルギ貯蔵システム。
【請求項7】
前記第1の相互接続部および前記第2の相互接続部は、前記バッテリセルの前記正極端子および前記負極端子からそれぞれ電流を収集する、請求項1に記載のエネルギ貯蔵システム。
【請求項8】
前記モジュールハウジングの内側の前記複数のバッテリセル間に間隙材料をさらに備えた、請求項1に記載のエネルギ貯蔵システム。
【請求項9】
前記間隙材料は、シリコン系材料からなる、請求項8に記載のエネルギ貯蔵システム。
【請求項10】
前記複数のバッテリセルの周囲に配置されたスリーブをさらに備えた、請求項1に記載のエネルギ貯蔵システム。
【請求項11】
前記複数のバッテリセルと熱的に接続されたコールドプレートをさらに備えた、請求項1に記載のエネルギ貯蔵システム。
【請求項12】
エネルギ貯蔵システムを組み立てる方法であって、
モジュールハウジングの内側に複数のバッテリセルを配置する工程であって、前記複数のバッテリセルの各々は、第1の端部および第2の端部を含み、前記複数のバッテリセルの各々はさらに、正極端子および負極端子を含
み、前記複数のバッテリセルは、前記第1の端部の側に前記正極端子および前記負極端子を有する、工程と、
前記複数のバッテリセルの前記正極端子を、複数の第1のセルコネクタを介し
て第1の相互接続部に結合する工程
であって、前記第1の相互接続部が、前記複数のバッテリセルの前記第1の端部の上方に配置される、工程と、
前記複数のバッテリセルの前記負極端子を、複数の第2のセルコネクタを介し
て第2の相互接続部に結合する工程
であって、前記第2の相互接続部が、前記複数のバッテリセルの前記第1の端部の上方に配置される、工程と、
前記第1の相互接続部および前記第2の相互接続部の上方に、天板を配置する工程であって、前記天板は、1つまたは複数のバッテリセルの上側に配置された1つまたは複数の脆弱領域を含
み、前記脆弱領域は、より低い完全性を有し、かつ、故障したバッテリセルによって圧力が高まるときに、および/または、前記故障したバッテリセルによって放出された苛性ガスに曝されるときに破裂するように構成された前記天板の領域であり、破裂が起こると、前記故障したバッテリセルからのガスが前記モジュールハウジングの外部に排出される、工程と、
を含む、方法。
【請求項13】
前記複数のバッテリセルの間に間隙材料を追加する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記複数のバッテリセルのうちの1つまたは複数の周囲にスリーブを追加する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のバッテリセルの間または下に、1つまたは複数のヒートパイプを追加する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記エネルギ貯蔵システムがさらに相互接続層を備え、前記相互接続層は、前記第1の相互接続部および前記第2の相互接続部を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記天板内の前記脆弱領域は、前記天板の物理的に弱い部分である、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記脆弱領域は、前記天板における構造的な窪みである、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
エネルギ貯蔵システムであって、
モジュールハウジングと、
前記モジュールハウジングの内側に配置された複数のバッテリセルであって、前記複数のバッテリセルの各々は、第1の端部および第2の端部を含み、前記複数のバッテリセルの各々はさらに、正極端子および負極端子を含
み、前記複数のバッテリセルは、前記第1の端部の側に前記正極端子および前記負極端子を有する、複数のバッテリセルと、
前記複数のバッテリセルを絶縁するための材料と、
1つまたは複数のバッテリセルの故障からの放電を誘導するための材料と、
前記バッテリセルの前記正極端子に結合された複数の第1のセルコネクタと、
前記バッテリセルの前記負極端子に結合された複数の第2のセルコネクタと、
前記複数のバッテリセルの上方に配置された相互接続層であって、前記相互接続層は、
前記複数の第1のセルコネクタを第1の相互接続部に結合するように構成された前記第1の相互接続部
であって、前記第1の相互接続部が、前記複数のバッテリセルの前記第1の端部の上方に配置される、第1の相互接続部、および、
前記複数の第2のセルコネクタを第2の相互接続部に結合するように構成された前記第2の相互接続部
であって、前記第2の相互接続部が、前記複数のバッテリセルの前記第1の端部の上方に配置される、第2の相互接続部を含み、
前記第1の相互接続部および前記第2の相互接続部は、前記複数のバッテリセルの上側の同じ水平面内にある、相互接続層と、
前記相互接続層の上方に配置された天板であって、前記天板は、1つまたは複数のバッテリセルの上側に1つまたは複数の脆弱部分を含
み、前記脆弱領域は、より低い完全性を有し、かつ、故障したバッテリセルによって圧力が高まるときに、および/または、前記故障したバッテリセルによって放出された苛性ガスに曝されるときに破裂するように構成された前記天板の領域であり、破裂が起こると、前記故障したバッテリセルからのガスが前記モジュールハウジングの外部に排出される、天板と、
を備える、エネルギ貯蔵システム。
【請求項20】
前記バッテリセルを絶縁するための前記材料と、1つまたは複数のバッテリセルの前記故障からの前記放電を誘導するための前記材料とは、同じ材料である、請求項19に記載のエネルギ貯蔵システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連特許/特許出願への相互参照]
本PCT出願は、「ENERGY STORAGE SYSTEM」と題され、2017年1月20日に出願され、その全体が参照により本明細書に組み入れられ、すべての目的のために、本PCT出願の一部とされる米国特許出願第15/411,154号に対する優先権を主張する。
【0002】
本開示は、エネルギ貯蔵システムに関する。さらに詳しくは、本開示は、エネルギ貯蔵システムの構造的および電気的態様に関する。
【背景技術】
【0003】
エネルギ貯蔵システムは、様々な状況で使用される。たとえば、太陽光発電から発生したエネルギを貯蔵するために、蓄電システムが使用され得る。本開示のエネルギ貯蔵システムは、ともに積み重ねられた多数のセルの「パック」を含んでいる。パック内のこれらのセルおよび他の構成要素は、エネルギを貯蔵する充電プロセス中、および、エネルギが消費される放電プロセス中の両方において、動作中に熱を発生する。セルは、故障すると、通常、高温のガスを放出する。これらのガスはパック内の他のセルの完全性に影響を与え、故障していない機能セルにかなりの損傷を与える可能性がある。したがって、言及された問題のうちの1つまたは複数を低減または除去する、改善されたエネルギ貯蔵システムが必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1A】本発明の特定の実施形態による、バッテリセルの斜視図を例示する。
【0005】
【
図1B】本発明の特定の実施形態による、バッテリセルの側面図を例示する。
【0006】
【
図2】本発明の特定の実施形態による、モジュールハウジングの内側に配置されたバッテリセルのアレイの斜視図を例示する。
【0007】
【
図3】本発明の特定の実施形態による、バッテリセル間に据えられた間隙材料を有するバッテリセルのアレイの上面図を例示する。
【0008】
【
図4】本発明の特定の実施形態による、バッテリセルの周囲に据えられたスリーブを有するバッテリセルのアレイの上面図を例示する。
【0009】
【
図5】本発明の特定の実施形態による、冷却を提供するためのバッテリセル間の冷却管を例示する。
【0010】
【
図6】本発明の特定の実施形態による、バッテリセルの上方に配置された第1の相互接続部および第2の相互接続部を例示する。
【0011】
【
図7】本発明の特定の実施形態による、相互接続層を例示する。
【0012】
【
図8】本発明の特定の実施形態による、相互接続層の一部の詳細図を例示する。
【0013】
【
図9A】本発明の特定の実施形態による、六角形の脆弱領域を有するエネルギ貯蔵システムの天板を例示する。
【0014】
【
図9B】本発明の特定の実施形態による、円形の脆弱領域を有するエネルギ貯蔵システムの天板を例示する。
【0015】
【
図9C】本発明の特定の実施形態による、多角形の脆弱領域を有するエネルギ貯蔵システムの天板を例示する。
【0016】
【
図10】本発明の特定の実施形態による、エネルギ貯蔵システムの分解図を例示する。
【0017】
【
図11】本発明の特定の実施形態による、エネルギ貯蔵システムの側面図を例示する。
【0018】
【
図12】本発明の特定の実施形態による、エネルギ貯蔵システムを組み立てる方法を例示する。
【0019】
【
図13A】本発明の特定の実施形態による、エネルギ貯蔵システム内の冷却要素を例示する。
【0020】
【
図13B】本発明の特定の実施形態による、エネルギ貯蔵システム内のコールドプレートを例示する。
【0021】
本開示の実施形態およびそれらの利点は、以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解される。図面の1つまたは複数に例示されている同様の要素を識別するために同様の参照番号が使用されていることを理解されたい。ここで、図面中の表示は、本開示の実施形態を例示する目的であり、限定する目的ではない。
【発明の概要】
【0022】
本開示は、エネルギ貯蔵システムに関する。より具体的には、本開示は、エネルギ貯蔵システムの構造的態様に関する。
【0023】
エネルギ貯蔵システムは、モジュールハウジングの内側に配置された多数のバッテリセルを有するモジュールハウジングを含んでいる。バッテリセルの各々は、第1の端部および第2の端部を有している。さらに、バッテリセルの各々は、正極端子および負極端子を有している。第1の相互接続部が、多数のバッテリセルの上方に配置される。第2の相互接続部が、多数のバッテリセルの上方に配置される。多数の第1のセルコネクタが、バッテリセルの正極端子を、第1の相互接続部に接続する。同様に、多数の第2のセルコネクタが、バッテリセルの負極端子を、第2の相互接続部に接続する。内側面と外側面とを有する天板が、第1の相互接続部および第2の相互接続部の上方に配置される。天板は、1つまたは複数のバッテリセルの上側に1つまたは複数の脆弱領域を含んでいる。脆弱領域は、完全性がより低く、したがって、バッテリセルがガスを放出する場合に機械的故障が発生しやすい領域である。これらの領域は、周囲の領域と比較して物理的により脆弱な領域であり得、セルの故障により、圧力が高まると、破裂し得る。あるいは、脆弱領域は、故障したバッテリセルによって放出された苛性ガスに曝されると、化学的に弱くなり、優先的に破裂し得る。脆弱領域はまた、物理的弱化と化学的弱化との組合せによっても故障し得る。
【0024】
本発明の態様は、添付の図面に例示される特定の例を用いて、特定の態様または特徴に対して以下に詳細に記載される。可能な限り、同じまたは対応する部分を称するために、対応するまたは類似の参照番号が、図面全体にわたって使用される。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、バッテリセル100を、
図1Aで斜視図を、
図1Bで側面図を例示する。
図1Aおよび
図1Bを組み合わせて参照すると、バッテリセル100は、バッテリセル100内に貯蔵された物質の化学エネルギを、電気エネルギに変換することができる、任意のタイプの従来式バッテリセルであり得る。バッテリセル100は、第1の端部102および第2の端部104を有している。バッテリセル100は、正極端子106と、第1の端部102に向かう負極端子108とを有している。異なる幾何学的形状の正極端子106が存在してもよいが、正極端子106は、バッテリセル100の第1の端部102から優先的に突出し、正極端子106への接触が可能とされ、第1の端部102を第2の端部104と区別している。負極端子108は、第2の端部104において優先的に始まり、バッテリセル100の外面110に続き、少なくとも第1の端部102の一部に巻き付く。外面から第1の端部まで巻き付いているバッテリセル100の一部は、バッテリセル100の「肩部」と呼ばれ得る。負極端子108は、肩部に優先的に形成されるので、負極端子への接続は、肩部においてなされ得る。言い換えれば、負極端子108は、バッテリセル100の肩部に優先的に存在する。正極端子106と負極端子108とが互いに接触して短絡しないように、バッテリセル100の表面110に、絶縁領域112が提供され得る。絶縁領域112は、正極端子106と負極端子108との間の表面110の領域上のみならず、他の任意の手段によっても提供され得る。代替実施形態では、正極端子と負極端子とを入れ替えることができる。
【0026】
図2は、モジュールハウジング200の内側に配置されたバッテリセル100のアレイを例示する。モジュールハウジング200は、例示されるように直立方式でバッテリセル100を収容するための手段を有することができる箱形包囲体であり得る。本発明の特定の実施形態によれば、モジュールハウジング200は、基部202と、基部202上に支持された4つの側壁204とを含んでいる。側壁204は、留め具、接着剤などの任意の適切な機械的接合手段を介して基部202に取り付けられ得る。モジュールハウジング200は、一体型箱形構造でもあり得る。モジュールハウジング200の基部202は、モジュールハウジング200の内側にバッテリセル100を正確に位置決めするためのスロットまたは他の任意のそのような手段(図示せず)を含み得る。モジュール式ハウジングは、能動的冷却素子または電気素子を含み得る。
【0027】
バッテリセル100は、
図10に図示されるように、バッテリセル100の第1の端部102が、天板900の方を向き、バッテリセル100の第2の端部104が、天板900から離れて基部202の方を向くように、モジュールハウジング200内で均一な方向に優先的に配置される。基部は、コールドプレートを備えていてもよく、または単に非冷却プレートであってもよい。基部は、基部またはモジュールハウジングの他の部分を通るバッテリセル100間の電気的接続の形成を防ぐために絶縁され得る。バッテリセル100は、システムの幾何学的および設計上の制約によって指示されるように、異なる向きに配列され得る。バッテリセル100は、例示されるように行および列に配列されてもよく、または用途要件にしたがって使用されるバッテリセル100の数に基づいて、バッテリセル100は、他の積み重ね方式でも配列され得る。
【0028】
エネルギ貯蔵システムの動作中、バッテリセル100は熱を発生する。システムは、ポリマー系の絶縁材料または他のタイプの絶縁材料など、他のセル(および/または他の電気部品)によって発生する熱からバッテリセル100を断熱するための機構または材料を含み得る。システムはまた、エネルギ貯蔵システムの動作中にバッテリセル100によって発生した熱を除去するために、コールドプレートまたはヒートパイプなどの機構を含み得る。バッテリセル100の負極端子は、セルの側面に存在し得る。したがって、バッテリセル100を互いに電気的に絶縁することが望ましい場合がある。エネルギ貯蔵システムは、バッテリセルを互いに電気的に絶縁するための機構または材料、および電気的接続が所望されない他の電気部品を含み得る。この電気的絶縁を実行するための機構または材料は、以下でさらに記載されるように、間隙材料またはスリーブを含み得る。代替実施形態では、エアギャップが、必要な電気的絶縁を提供し得る。
【0029】
さらに、バッテリセル100は故障し、その内容物を他のバッテリセル100およびシステムの他の部分にとって腐食性の高温ガスとして放出し得る。エネルギ貯蔵システムは、バッテリセル100の故障中に、高温ガス放出を誘導するための機構または材料を含み得る。特定の実施形態では、他のバッテリセル(および/または他の電気部品)によって発生する熱からバッテリセルを絶縁するための機構または材料、およびバッテリセル故障中に高温ガスの放出を誘導する機構または材料は同じであり得る。他の実施形態では、別々の機構または材料が、バッテリセルを他のバッテリセルから絶縁することも、任意の高温ガスの放出を誘導することもできる。絶縁材料または機構は、間隙材料300(
図3に図示する)またはスリーブ400(
図4に図示する)であり得る。同様に、高温ガスの放出を誘導するための機構または材料は、間隙材料300またはスリーブ400であり得る。
【0030】
図3は、バッテリセル100間に間隙材料300を有するバッテリセル100のアレイの上面図を例示する。間隙材料300は、バッテリセル100を、他のバッテリセル100によって発生した熱から断熱することができ、またバッテリセル100を互いに電気的に絶縁することもできる。これは、負極端子がバッテリセルの側面に存在する可能性があるので、必要であり得る。間隙材料300はまた、バッテリセル100の故障から発生するあらゆる放電を、他のバッテリセル100から離れるように誘導し得る。
【0031】
また、バッテリセル100を熱的および/または電気的に絶縁し、バッテリセル100の故障から発生する放電を、バッテリセル100のアレイから離れるように誘導するために、別の材料を使用することもできる。たとえば、これは、熱的および/または電気的に絶縁性であるセルの周囲に第1の間隙材料を提供することによって想起することができる。たとえば、材料の多孔性のために、この材料が故障セルからの高温ガス放出を完全に誘導するには不十分である場合、第2の間隙材料を、第1の間隙材料の周囲に配置して、所望の放電誘導を生じさせることができる。
【0032】
間隙材料300は、フォーム、布地、バッティング、膨張材料、および断熱の分野で知られている関連する断熱材料の形態の断熱材料を含むが、これらに限定されない、様々な材料から選択され得る。これは、シリコン、エポキシ、ウレタン、ポリイミド、芳香族ポリエーテルおよびスルホンのようなポリマーフォーム、ならびに高い熱安定性を有するとして一般に知られているフェノールフォーム材料を含んでいる。これは、同じクラスのポリマーから形成されたシンタクチックフォーム(中空のマイクロバブルフィラを有する樹脂系材料)をさらに含んでいる。これは、樹脂マトリックスに完全に浸されるのではなく、バインダを用いてともに接合された(マイクロバブルのような)絶縁粒子の接合アセンブリを含むように拡張され得る。これは、エアロゲルおよび多孔質セラミックのような非ポリマーフォームも含んでいる。布地およびバッティングは、セラミックおよびガラス繊維フェルト、紙、布地、およびバッティングを含んでいる。熱の存在下で膨張しそして炭化する材料である膨張性材料は、自立充填材料として組み込むことができるか、あるいはフォーム、シンタクチックフォーム、または布様材料の上記の選択肢に組み込むことができる。このように、充填材料は、上述したクラスの材料の組合せとすることができる。充填材料は、耐火分野で知られている難燃剤および難燃材料を組み込むことによってさらに強化され得る。
【0033】
間隙材料300は、モジュールハウジング200の1つまたは複数の側壁204におけるポートを介して材料を追加することによって、モジュール式ハウジング内のバッテリセル100間の空間に配置され得る。あるいは、バッテリセルがモジュール式ハウジング内の、天板を除いた位置に据えられた後に、この材料が、上部から追加され得る。充填材料を組み込む追加のアプローチは、組み立て中、またはセルの組み立て後であるが最終包囲体が閉じられる前に、あらかじめ形成された断熱材のインサートを間隙に配置することを含んでいる。多数のタイプの間隙材料が使用されるとき、他の技術が使用されてもよい。たとえば、第1の間隙材料は、たとえば、コーティング技術による第2の材料の添加が後続するディップコーティングまたはスピンコーティングによって、または、バッテリセルがモジュール式ハウジング内の、天板を除く位置に据えられた後に、側壁内のポートを介して、または、上部から間隙材料を追加することによってコーティングされ得る。
【0034】
図4は、バッテリセルの周囲にスリーブを有する本発明の別の実施形態の上面図を例示する。スリーブ400は、1つまたは複数のバッテリセル100の周囲に優先的に提供される。特定の実施形態では、スリーブは、各バッテリセル100の周囲に提供され得る。別の実施形態では、各バッテリセルが互いに電気的および/または熱的に絶縁されるように、各バッテリセル100よりも少ないスリーブが、周囲に提供され得る。
【0035】
スリーブ400は、特に、バッテリセル100を互い(および、他の電気部品)から電気的に絶縁し、バッテリセル100を互い(および、他の熱部品)から熱的に絶縁し、および/または、バッテリセルの故障に起因するあらゆる高温ガスの放出を誘導するように、間隙材料300と同様の機能を果たし得る。スリーブ400は、バッテリセル100の外面に適合する内面を有する円筒形スリーブであり得る。スリーブ400は、スリーブ400がバッテリセル100に圧入されるように、バッテリセル100の外径と同じ、またはわずかに小さい内径を有し得る。スリーブ400は、他の任意の適切な方式でも同様に、バッテリセル100に取り付けられ得る。スリーブ400は、たとえば、負極端子への接続がバッテリセルの面に対して行われ、バッテリセル100の肩部に対して行われない場合に、バッテリセル100の正極端子106および負極端子108への電気的接続を可能にするためのギャップまたは空間を含み得る。スリーブ400を使用することは、より高い充填効率を可能にし、電気的または熱的な絶縁、あるいは特定の方向への高温ガス放出の誘導などの所望の特性を提供するのに必要な材料の量を減らすことができる。
【0036】
特定の実施形態では、スリーブ400と間隙材料300とはともに存在し得る。たとえば、スリーブ400は、断熱、電気的絶縁を提供するために、および/または、故障したセルの放電を誘導するために、(たとえば、すべてのバッテリセル、または、すべてよりも少ないが必要な機能を提供するのに十分である)1つまたは複数のバッテリセルの周囲に配置され得る。スリーブがすべての所望の特性を提供する訳ではない場合、間隙材料300は、モジュール式ハウジングの1つまたは複数の側壁204内のポートを介して間隙材料を追加することによって、(すべてのバッテリセルがスリーブを有する必要がある訳ではないことを念頭において)スリーブを有するバッテリセル100間の空間に配置され得る。あるいは、バッテリセルが、天板を除く、モジュール式ハウジング内の所定位置に据えられた後、間隙材料が上部から追加され得る。
【0037】
図5は、特定の実施形態による、バッテリセルによって発生した熱を除去するために使用される冷却管を例示する。
図5に図示するように、バッテリセル100の行間に冷却管500が配列される。他の実施形態では、多数の冷却管500が、バッテリセル100間に提供され得る。冷却の必要性に応じて、バッテリセル100間に冷却管500が、任意に適切に配列され得る。冷却管500は、バッテリセル100から熱を除去し、温度を許容範囲内に維持することに役立つ。特定の実施形態では、間隙材料300、スリーブ400、および冷却管500は、互いの中で組み合わせて使用される。たとえば、バッテリセル100の冷却に役立てるために、モジュールハウジング200の内側に冷却管500が提供され得、次に、故障したバッテリセル100からの放電を誘導に役立てるために、バッテリセル100および冷却管500の周囲に間隙材料300が提供され得る。冷却管500は、熱伝達を改善する内部管腔(すなわち、内部分割壁)を優先的に有している。米国特許出願第14/056,552号は、本発明のエネルギ貯蔵システム内で使用することができるような熱管理のための冷却管の特徴を記載している。米国特許出願第14/056,552号の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0038】
他の実施形態では、発生した熱を除去するために、冷却管の代わりに、ヒートパイプがバッテリセル間に配置される。ヒートパイプは、管または他の形状の金属、あるいは高い熱伝導率を有する別の材料を押し出すことによって製造され得る。押し出しプロセス中に、毛細管として機能する小さなフィンが形成される。押し出された管または他の形状は、液体で充填され、空気が排気され、次いで液体/気体混合物がシールされた管または形状内に存在するように管または他の形状がシールされる。ヒートパイプは、より高温の領域と熱的に接触している液体が熱を吸収し、液体から気体への相転移を受けることがある蒸発プロセスを介して冷却を提供する。気体は、気体から十分な熱を除去するのに十分低温な領域に到達し、次いで気体は凝縮して液体に戻る。液体は、押し出しプロセス中に形成されたフィンからの毛細管現象の助けを借りて熱源に戻り得る。米国特許出願第14/189,219号は、エネルギ貯蔵システム内の熱管理のためのヒートパイプのさらなる特徴を記載しており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
特定の実施形態では、システム使用中に発生した熱をさらに除去するために、(液体冷却を提供する)コールドプレートがバッテリセル100と熱的に接続され得る。コールドプレートは、バッテリセル100と直接熱的に接触していてもよく、あるいは、コールドプレートとバッテリセル100との間に1つまたは複数の層および/または機構が存在し得る。特定の実施形態において、バッテリセル100は、バッテリセルの下に配置された過剰な熱を除去するために、1つまたは複数のヒートパイプと接触している。ヒートパイプに含まれる熱を消散させるのに役立つコールドプレートが、ヒートパイプの下に(バッテリセル100から離れたヒートパイプの側に)配置される。
【0040】
特定の実施形態では、セル間にヒートパイプを何ら配置することなく、コールドプレートが、セルの片側と熱的に接触し得る。コールドプレートは、セルおよび/または互いに熱的に接続された単一のプレートまたは多数のプレートから物理的に構成され得る。他の実施形態では、1つまたは複数のヒートパイプが、バッテリセル100間に配置され、コールドプレートがバッテリセル100の下側に配置される。ヒートパイプとコールドプレートは互いに熱的に接続され得る。
【0041】
ヒートパイプおよびコールドプレートを組み込んでいる実施形態のさらなる詳細は、
図13Aおよび
図13Bを参照して記載される。
図13Aおよび
図13Bは、特定の実施形態による、エネルギ貯蔵システムを備えた1つまたは複数の冷却要素を例示する。
図13Aは、ヒートパイプ1300およびコールドプレート1302を有するエネルギ貯蔵システムを例示する。
図13Aに例示する実施形態では、バッテリセル100によって発生した熱は、ヒートパイプ1300とコールドプレート1302との両方を使用して除去される。接着層1304は、ヒートパイプ1300とコールドプレート1302とを接合する。
図13Aに図示されるように、ヒートパイプ1300は、各面が誘電体コーティング層でコーティングされ、コールドプレート1302は、コールドプレート1302に最も近い面が誘電体コーティング層でコーティングされている。ヒートパイプ1300およびコールドプレート1302が、
図13Aに図示されるように誘電体コーティング層でコーティングされている場合、接着層1304は、誘電体コーティング層1306、1310に直接接合している。同様に、接着層1312は、バッテリセルをヒートパイプ1300に接合する。
図13Aに図示されるように、接着層接合部1312は、バッテリセル100を、ヒートパイプ1300上の誘電体コーティング層1308へ直接接合する。接着層1304、1312は、誘電体である高い熱伝導率を有する接着剤を優先的に備えているが、接着層は、接合される要素間(たとえば、ヒートパイプ1300とコールドプレート1302との間)に必要な接着力を提供する任意のタイプの接着剤を備え得る。ヒートパイプ1300に熱的に結合されているコールドプレート1302は、
図13Aに図示されるように、ヒートパイプから、
図13Bに図示されるように、バッテリセルから、熱を直接除去する。
【0042】
特定の実施形態では、誘電体コーティング層のうちの1つまたは複数は、省略され得る。誘電体コーティング層が存在しない場合、接着層1304または接着層1312は、ヒートパイプまたはコールドプレートのいずれかに直接接合し得る。たとえば、誘電体コーティング層1306が存在しない場合、接着層1304は、コールドプレート1302に直接接合するが、誘電体コーティング層1310を介してヒートパイプ1300に接合するだろう。代替実施形態では、ヒートパイプとコールドプレートまたはヒートパイプとの間に、追加の層が存在し得る。ヒートパイプとバッテリセルとの間に、追加の層が存在し得る。他の実施形態では、接着層1304、1312のうちの1つまたは複数は、省略され得る。
【0043】
図13Bは、ヒートパイプなしでバッテリセルに熱的に接続されたコールドプレートを有する実施形態を例示する。
図13Bに図示されるように、コールドプレート1302は、誘電体コーティング層1306でコーティングされている。バッテリセル100は、接着剤1312を使用して、誘電体コーティング層1306を介してコールドプレートに接合される。上述のように、誘電体コーティング層を省略することができ、その場合、バッテリセルは、接着剤を使用してコールドプレートに直接接合される。また、特定の実施形態では、追加の層が存在する。
【0044】
図6は、バッテリセル100の上方に配置された第1の相互接続部602および第2の相互接続部600を例示する。バッテリセル100はスリーブ400とともに図示されているが、バッテリセル100は、スリーブ400なしで提供され得ることを理解されたい。第1および第2の相互接続部602、600は、金属のプレートであり得る。さらに、セル端子との第1および第2の相互接続部602、600の接触を介して、意図されない電気的接続を形成しないように、第1および第2の相互接続部602、600の下面(すなわち、バッテリセル100に近い面)が、電気的に絶縁されることが好ましい。
図6に図示されるように、電気的接続は、第1および第2のセルコネクタ604、606を使用して行われる。
【0045】
第1および第2の相互接続部602、600は、エネルギ貯蔵システムの動作中に、バッテリセル100を充電および放電するために使用される。第1の相互接続部602(または、1組の相互接続部)は、バッテリセル100の正極端子106に接続され、第2の相互接続部600(または、1組の相互接続部)は、バッテリセル100の負極端子108に接続される。第1のセルコネクタ604は、各バッテリセル100の正極端子106を、第1の相互接続部602に接続する。第1のセルコネクタ604は、ワイヤまたは別の電気的接続であり得、バッテリセル100の正極端子106に接続される。ワイヤまたは他の電気的接続でもあり得る第2のセルコネクタ606は、バッテリセル100の負極端子108を、第2の相互接続部600に接続する。第2のセルコネクタ606は、バッテリセル100の負極端子108の任意の部分に接続され得る。バッテリセル100の負極端子108は、正極端子106から離れた端部から、バッテリセル100の面上、さらに正極端子106の面の周囲、すなわち第1の端部102の「肩部」の上まで延びていてもよい。正極端子および負極端子が互いに電気的に絶縁されているという条件で、負極端子は、第1の端部102上に大きくさえ配置され得る。第2のセルコネクタ606は、バッテリセル100の肩部で、バッテリセル100の負極端子と接触し得る。代替実施形態では、正極端子と負極端子とを入れ替えることができる。
【0046】
図6に図示されるように、バッテリセル100の正極端子106は、多数の第1セルコネクタ604を介して第1の相互接続部602に接続され、バッテリセル100のすべての負極端子108は、多数の第2セルコネクタ606を介して第2の相互接続部600に接続される。すなわち、
図6に図示されるバッテリセル100のすべてが、電気的に並列接続される。電気的に並列接続された一群のバッテリセル100は、別の一群のバッテリセル100に電気的に直列接続され得る。
【0047】
第1および第2の相互接続部602、600は、バッテリセル100の上側の同じ水平面内にある。第1のセルコネクタ604および第2のセルコネクタ606は、第1の相互接続部602および第2の相互接続部600の上側にわずかに突出し得る。第1および第2の相互接続部602、600はまた、第1および第2の相互接続部602、600が配置された同じ水平面内に、第1および第2のセルコネクタ604、606を収容するための溝などを含み得る。特定の実施形態では、天板900(
図9に図示される)は、第1および第2のセルコネクタ604、606が、バッテリセル100から上側へ突出することを可能にする機構を備えている。たとえば、天板900は、第1および第2の相互接続部602、600が抑制されずに突出できるように、材料が除去され得る。1つまたは複数のスリーブ400を含む他の実施形態では、スリーブ400は、天板900がバッテリセル100の上方に据えられることをさまたげることなく、第1および第2の相互接続602、600が、それぞれ正極端子106および負極端子108に接続されることを可能にするギャップまたは空間を含み得る。
【0048】
図7は、第1および第2のセルコネクタ604、606が、第1および第2の相互接続部602、600と同じ平面に形成されている本開示の別の実施形態を例示する。この物理的相互接続層700は、バッテリセル100の正極端子106と負極端子108の両方のための接続手段を含んでいる。この接続手段は金属シートの一部であってもよく、この金属シートは、セルコネクタおよび相互接続部(または、1組の相互接続部)を含んでいる。
図6を参照して記載した実施形態におけるように、相互接続部は、意図しない電気的接続を防ぐために、電気絶縁層を含み得る。電気的な絶縁は、正極端子106または負極端子108への電気的接続が行われる領域において除去されても、存在しなくてもよい。バッテリセル100のブロックは、互いに並列接続されても、また直列接続されてもよい。
【0049】
図8は、相互接続層700のさらなる構造上の詳細を例示する。相互接続層700は、バッテリセル100の正極端子106と負極端子108との両方を接続し得る。相互接続層は、正極相互接続部802および負極相互接続部804を含んでいる。正極相互接続部802は、バッテリセル100の正極端子106を、相互接続層700と接続し、負極相互接続部804は、バッテリセル100の負極端子108を、相互接続層700と接続する。
【0050】
正極相互接続部802は、多数の第1の接続点806において、バッテリセル100の正極端子106を接続する。同様に、負極相互接続部802は、多数の第2の接続点808において、バッテリセル100の負極端子108を接続する。第1の接続点806および第2の接続点808は、正極相互接続部802および負極相互接続部804それぞれの一体部分であり得る。第1の接続点806および第2の接続点808は通常、正極相互接続部および負極相互接続部と同じ水平面内にあり、これら相互接続部と同じ材料から形成され得る。正極相互接続部802および負極相互接続部804は、同じ材料から形成され得る。
【0051】
たとえば、
図8に図示されるように、電流は左から右へ流れ得る。左側のバッテリセル100は、互いに電気的に並列接続され、次に右側のバッテリセル100と直列接続され得る。
図8に図示されるように、バッテリセル100のブロックは、破線880、890によって画定される。破線880内に図示されているバッテリセル100は、互いに電気的に並列接続される。この一群のバッテリセル100は、その後、破線890内に図示される一群のバッテリセル100と直列接続される。破線890内の一群のバッテリセル100は、互いに並列接続される。この記載は、説明のみを目的としており、直列および並列の異なる数のバッテリセル100を有する他の構成も同様に可能である。
【0052】
天板900は、第1の相互接続部602および第2の相互接続部600の上方に据えられる。
図9A~
図9Cは、天板900の構造的な詳細を例示する。天板900は、多数の脆弱領域904を含んでいる。特定の実施形態では、内側面902は、バッテリセル100の上側に配置された多数の脆弱領域904を含んでいる。他の実施形態では、脆弱領域904は天板の外側部分にあり得る。天板900の内側面902上の脆弱領域904の数は、用途要件にしたがって変わり得る。脆弱領域904は、天板900の構造的に弱い部分である。脆弱領域904は、エネルギ貯蔵システムの他の機構または要素を収容するために、六角形形状、環状形状、または不規則形状を含む、本発明の必要性に応じて任意の適切な形状を有し得る。
【0053】
たとえば、
図9Aに図示されるように、脆弱領域904は、六角形形状を有している。
図9Bに図示されるように、脆弱領域904は、材料の一部が円周に沿って除去されている環状形状を有している。除去された材料の一部は、円周に沿って提供されたノッチであり得る。他の実施形態では、脆弱領域904は、第1および第2のセルコネクタ604、606を、正極端子106および負極端子108に収容するために、
図9Cに図示される形状のような不規則な多角形形状を有し得る。
【0054】
脆弱領域は、バッテリセルが故障して、その内容物を排出するときに、高温ガスを誘導するために使用され得る。脆弱領域は、高温ガスを、望ましい放出位置に誘導し、より重要なことには、他のバッテリセルのような望ましくない領域から遠ざけるのに役立つ。高温ガスは通常、苛性アルカリであり、十分な量の苛性ガスが他のセルに曝されると、他のバッテリセルの故障を引き起こし得る。脆弱領域を形成することは、苛性ガスを他のバッテリセル100から遠ざけるように誘導し、バッテリセルの故障による損傷を最小限に抑えるのに役立つ。
【0055】
天板900は、故障したバッテリセルの上側の脆弱領域904が破裂したときに、故障したバッテリセルからガスを放出させるように設計されている。脆弱領域は、ガスからの圧力の増大、および/または、脆弱領域に衝突し破裂を引き起こす苛性ガスにより、優先的に破裂する。破裂が起こると、ガスはモジュール式ハウジングの外部に排出され得る。
【0056】
脆弱領域904を有する天板900は、様々な手法で製造され得る。たとえば、天板900は、単一の材料から形成され得る。天板900の厚さが、他の場所における天板900の厚さと比較して、脆弱領域904においてより薄くなるように、材料の一部が、天板900から、脆弱領域904の意図された位置において除去され得る。したがって、脆弱領域904は、天板900の内側面902上の溝または構造的な窪みであり得る。あるいは、脆弱領域904は、天板900の外側面上の溝または構造的な窪みであり得る。
【0057】
別の実施形態では、天板900は、厚い層すなわち構造層を含み、各バッテリセルの上側に開口部を有している。開口部は、バッテリセルが故障したときにガスが放出されるようにする任意の形状であり得、突出した相互接続部またはセルコネクタなどの他の構成要素のための空間を提供するように成形され得る。次に、マイカの薄層のような薄層が、厚い層すなわち構造層に接合(または、他の方法で追加)され得る。薄い層は、厚い層すなわち構造層における開口部を覆う。この薄い層は、故障したバッテリセルからの圧力が蓄積したときに、十分破裂するように薄くなければならない。薄い層は、優先的に、故障したバッテリセルのみを破裂させ、(故障していない)残りのバッテリを、覆われたままにする。厚い層すなわち構造層は、熱を利用して層を接合することによって、適切な接着剤を含む様々な手段を介して、または、天板900の材料を備える材料のために適した他の任意の手段を介して、薄い層に接合され得る。
【0058】
他の実施形態では、脆弱領域904は、複合材料によって天板900を製造することによって天板900上に形成される。たとえば、天板900は、上部にスチールメッシュを有するマイカ層によって製造され得る。スチールメッシュは、その後、脆弱領域904となるように意図されている天板900の一部から取り除かれ、バッテリセル100の上側にマイカのみを残す。したがって、脆弱領域904は構造的に弱くなり、故障したバッテリセル100から出る高温ガスなどによって力が加わった場合、天板900は脆弱領域904において故障する。本明細書に記載された天板900の製造の方法および組成は、本質的に単なる例示であり、材料ならびに製造工程におけるあらゆる変形は、用途要件にしたがってなされ得る。天板900は、(不要な電気を防ぐために電気的絶縁を加えられた)金属、セラミック、マイカを有する金属、難燃複合材、プラスチック、または必要な構造的な絶縁特性を提供することができる他の任意の材料を備えることができる。
【0059】
図10は、様々な構成要素を図示するエネルギ貯蔵システム1000の拡大図を例示する。モジュールハウジング200は、通常、基部202と4つの側壁204とを含むが、側壁204のような1つまたは複数の要素を取り除くことができる。モジュールハウジング200は、一般に、収容されたバッテリセル100から電気的に絶縁されている。これは、物理的な分離を介して、または電気的な絶縁層を介して生じ得る。特定の実施形態では、基部202は、金属シートの上に電気絶縁層を備えている。他の実施形態では、基部202は、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、他のプラスチック、非導電性複合材、または絶縁炭素繊維などの非導電性または電気絶縁材料から形成される。側壁204はまた、絶縁層を含み得るか、またはポリプロピレン、ポリウレタン、ポリビニル塩素、他のプラスチック、非導電性複合体、または絶縁炭素繊維などの非導電性または電気的な絶縁材料から形成され得る。
【0060】
本発明の特定の実施形態により、側壁204は、側壁204を基部202に結合するために基部202に提供された穴1004に嵌合し得る突起1002を含んでいる。バッテリセル100は、エネルギ貯蔵システム1000が使用されることになる用途要件にしたがって、所定の位置的な配列で基部202上に据えられる。第1の相互接続部602および第2の相互接続部600を含む相互接続層700は、バッテリセル100の上側に配置される。天板900は、相互接続層700の上方に配置される。天板900は、単一のプレートでもよく、または、例示されるように、天板900は、多数の天板900を含み得る。多数の天板900は、本発明の範囲にしたがって任意の適切な方式で互いに結合され得る。天板900は、構造的な窪みを有する内側面902とは対照的に平面的な外側面1006を含んでいる。
【0061】
図11は、エネルギ貯蔵システム1000の側面図を例示する。モジュールハウジング200、相互接続層700、および天板900の寸法は、バッテリセル100がモジュールハウジング200の内側に効率的にパッケージングされ、相互接続層700がバッテリセル100の正極端子106および負極端子108と接触できるようになっている。相互接続層700および天板900は、同様な寸法を有している。モジュールハウジング200は、相互接続層700および天板900の対応する寸法と一致する長さおよび幅の寸法を有している。したがって、モジュールハウジング200の基部202および側壁204は、適切な寸法を有している。
【0062】
図12は、特定の実施形態による、エネルギ貯蔵システム1000を生成するための方法1200を例示する。エネルギ貯蔵システム1000は、モジュールハウジング200を含んでいる。方法1200によれば、ステップ1202において、バッテリセル100が、モジュールハウジング200の内側に配置される。バッテリセル100は、第1の端部102および第2の端部104を有している。各バッテリセル100は、正極端子106および負極端子108を含んでいる。バッテリセル100は、セルを正しく配置するためにモジュールハウジング上の基準点を使用するために、当業者に知られているように、モジュールハウジング200の基部202上のスロットまたは他の任意のそのような手段によって、あるいはコンピュータ支援された機構によって画定された所定の位置に配置され得る。ステップ1204において、バッテリセル100の正極端子106は、多数の第1のセルコネクタ604を介して第1の相互接続部602に結合される。第1のセルコネクタ604は、ワイヤなどの任意の適切な電気的接合手段であり得る。ステップ1206において、バッテリセル100の負極端子108は、多数の第2のセルコネクタ606を介して第2の相互接続部600に結合される。第2のセルコネクタ606は、ワイヤなどの任意の適切な電気的接合手段であり得る。
【0063】
あるいは、正極端子および負極端子への接続部は、すべて同じ水平面内にある第1の相互接続部602および第2の相互接続部600を介して相互接続層700に結合され得る。ステップ1208において、天板900は、第1の相互接続部602および第2の相互接続部600の上方に配置される。天板900は、1つまたは複数のバッテリセル100の上側に1つまたは複数の脆弱領域904を含んでいる。脆弱領域904は、天板900の構造的に弱い部分である。
【0064】
天板900は、脆弱領域904を生成するために、異なる技術にしたがって、異なる材料から製造され得る。たとえば、天板900は、単一の材料から形成され得る。天板900の厚さが、他の場所における天板900の厚さと比較して、脆弱領域904においてより薄くなるように、材料の一部が、天板900から、脆弱領域904の意図された位置において除去され得る。よって、脆弱領域904は、天板900の内側面902上の溝または構造的な窪みであり得る。脆弱領域904は、天板900の外側面上の溝または構造的な窪みであり得る。脆弱領域を形成するために、本明細書に記載され、当業者に知られることになるような他の手法が使用され得る。
【0065】
方法1200はさらに、バッテリセル100間に間隙材料300を配置することを含み得る。間隙材料300は、バッテリセル100に電気的な絶縁および/または熱的な絶縁を提供することができる。間隙材料はまた、故障したバッテリセルからのセル放電を誘導することもできる。方法1200はまた、1つまたは複数のバッテリセル100の周囲にスリーブ400を配置することを含み得る。スリーブは、任意の間隙材料の代わりに、または、それとともに使用され得る。方法1200はまた、バッテリセル100へ冷却を提供するために、バッテリセル間に冷却管500を配置することを含み得る。さらに、方法1200は、熱を消散させるために、バッテリセルと熱的に接続する1つまたは複数のコールドプレートを配置することを含み得る。1つまたは複数のコールドプレートは、モジュールハウジング200の基部202上に、あるいは基部202の代わりに配置され得る。コールドプレートが基部202の上、または基部202の代わりに据えられると、ステップ1202において、バッテリセルは、基部202の代わりにコールドプレート上に配置される。あるいは、バッテリセルは、1つまたは複数のヒートシンクに熱的に接続され得る。ヒートシンクの周囲に周囲の空気や冷たい空気を循環させることで、熱が除去され得る。
【0066】
方法1200は、間隙材料、スリーブ、ヒートパイプ、および/または、冷却管の任意の組合せを配置することを含み得る。間隙材料300は、バッテリセル100がモジュールハウジング200内に入った後に追加され得る。たとえば、間隙材料300は、側壁204内のポートを介して追加され得る。間隙材料300はまた、第1および第2の相互接続部602、600と天板900とを組み立てる前に上部から追加され得る。
【0067】
前述の開示は、本開示を、開示された厳密な形態または特定の使用分野に限定することを意図するものではない。したがって、本明細書に明示的に記載されているか示唆されているかに関わらず、本開示の観点から、本開示に対する様々な代替の実施形態および/または修正が可能であると考えられる。このように、本開示の実施形態を記載したが、当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく形式および詳細に変更を加えることができることを理解するであろう。したがって、本開示は特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0068】
前述の明細書において、本開示は特定の実施形態を参照して記載された。しかしながら、当業者に理解されるように、本明細書に開示された様々な実施形態は、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、他の様々な手法で修正または他の方法で実施され得る。したがって、この記載は、例示的なものと見なされるべきであり、開示されたエアベントアセンブリの様々な実施形態を作成および使用する方式を、当業者に教示する目的のためのものである。本明細書に図示され記載された開示の形態は、代表的な実施形態として解釈されるべきであることが理解されるべきである。等価の要素、材料、プロセス、またはステップは、本明細書において代表的に例示および記載されたものに置換され得る。さらに、本開示のこの記載の利益を得た後にすべてが当業者に明らかになるように、本開示の特定の特徴は、他の特徴の使用とは無関係に利用され得る。本開示を説明および特許請求するために使用される「含む」、「備える」、「組み込む」、「からなる」、「有する」、「である」のような表現は、非排他的な方式で解釈されることが意図されており、つまり、明示的に記載されていない項目、構成要素、または要素の存在も許容する。単数形への言及も、複数形に関連すると解釈されるべきである。
【0069】
さらに、本明細書に開示された様々な実施形態は、例示および説明の意味で解釈されるべきであり、決して本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。すべての結合子参照(たとえば、取り付けられた、添付された、結合された、接続されたなど)は、本開示の読者の理解を助けるために使用されているに過ぎず、特に、本明細書に開示されているシステムおよび/または方法の位置、方位、または使用に関する制限はない。したがって、結合子参照がある場合は、それは広く解釈されるべきである。さらに、そのような結合子参照は、2つの要素が互いに直接接続されていることを必ずしも暗示しない。
【0070】
加えて、限定されないが、「第1」、「第2」、「第3」、「一次」、「二次」、「主」、または他の任意の通常のおよび/または数値的用語のようなすべての数値的用語は、本開示の様々な要素、実施形態、変形、および/または修正についての読者の理解を助けるために、識別子としてのみ解釈されるべきであり、特に、他の要素、実施形態、変形および/または修正に対する、またはそれを超えるあらゆる要素、実施形態、変形、および/または修正の順序または優先に関するいかなる制限もない。
【0071】
図面/図に描写された要素のうちの1つまたは複数はまた、特定の用途により有用であるものとして、より分離されたまたは統合された方式で実施され得るか、または場合によっては、動作不能として除去または放棄され得ることが認識されよう。