(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-03
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】直接チル鋳造のための動的モールド形状制御
(51)【国際特許分類】
B22D 11/049 20060101AFI20220204BHJP
B22D 11/05 20060101ALI20220204BHJP
【FI】
B22D11/049
B22D11/05 A
B22D11/05 B
(21)【出願番号】P 2019569311
(86)(22)【出願日】2018-06-11
(86)【国際出願番号】 IB2018054214
(87)【国際公開番号】W WO2018229634
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2019-12-12
(32)【優先日】2017-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500185081
【氏名又は名称】ワグスタッフ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】コーディル クレイグ リチャード
(72)【発明者】
【氏名】シェイバー クレイグ リー
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン マイケル キム
【審査官】坂口 岳志
(56)【参考文献】
【文献】特開昭50-026724(JP,A)
【文献】特開昭54-013422(JP,A)
【文献】特開昭57-115946(JP,A)
【文献】特開平10-193043(JP,A)
【文献】特表平10-500629(JP,A)
【文献】特開2000-000639(JP,A)
【文献】特開2016-022521(JP,A)
【文献】米国特許第04030536(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 11/04 - 11/059
B22D 11/16 - 11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を鋳造するための装置であって、
第1および第2の対向する側壁と、
前記第1の側壁と前記第2の側壁との間に延びる第1および第2の端壁であって、前記第1および第2の対向する側壁ならびに第1および第2の対向する端壁が、略長方形のモールドキャビティを形成する第1および第2の端壁と、
2つ以上の力受容要素と、を含み、
前記第1および第2の対向する側壁のうちの少なくとも一方が、2つ以上の接触領域を含み、前記2つ以上の力受容要素の各々が、前記接触領域の各々において2つ以上の旋回取付けポイントで前記第1および第2の対向する側壁の少なくとも1つに取り付けられ、前記2つ以上の力受容要素は、前記第1および第2の対向する側壁のうちの少なくとも一方の長さに沿って移動可能であり、
前記2つ以上の接触領域の各々が、前記モールドキャビティの外部から加えられるそれぞれの力を受容することに応答して、前記第1および第2の対向する側壁のうちの少なくとも一方の第1の端部と、前記少なくとも1つの第1および第2の対向する側壁のうちの第2の端部との間の直線に対して変位するように構成され、前記2つ以上の接触領域の各々が、前記少なくとも1つの第1および第2の対向する側壁の前記第1の端部と第2の端部との間で前記第1および第2の対向する側壁のうちの少なくとも1つの長さに沿って互いに離間しており、前記2つ以上の接触領域のうちの第1の接触領域における前記直線に対する前記それぞれの変位が、前記2つ以上の接触領域のうちの第2の接触領域における前記直線に対する変位とは異なり、
前記力受容要素の各々に加えられる力は、前記2つ以上の旋回取付けポイントにわたって分配され、
前記2つ以上の接触領域の各々におけるそれぞれの力が、前記第1および第2の対向する側壁のうちの少なくとも一方の前記第1の端部と前記第2の端部との間で前記第1および第2の対向する側壁のうちの少なくとも一方の湾曲を変化
させる、装置。
【請求項2】
前記2つ以上の前記接触領域の第1の接触領域における前記それぞれの力が、第1の方向における力を含み、前記2つ以上の接触領域の前記第2の接触領域における前記それぞれの力が、前記第1の方向とは反対の第2の方向における力を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記2つ以上の接触領域の前記第1の接触領域における前記それぞれの力が、第1の方向における第1の大きさの力を含み、前記2つ以上の接触領域の前記第2の接触領域における前記それぞれの力が、前記第1の方向における第2の大きさの力を含み、前記第2の大きさが、前記第1の大きさとは異なる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1および第2の対向する側壁が、内側鋳造面と、外側表面と、を含み、前記第1および第2の対向する側壁の各々が、前記外側表面に沿って配置された可撓性ブラダーをさらに含み、冷却流体チャンバが、各それぞれの対向する側壁と前記それぞれの可撓性ブラダーとの間に画定される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1および第2の対向する側壁の各々の前記鋳造表面が、それらのそれぞれの冷却流体チャンバと流体連通する複数のオリフィスを含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
冷却流体チャンバと前記それぞれの側壁との間に配置されたバッフルをさらに含み、前記バッフルが、複数の流量制限オリフィスを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1および第2の対向する側壁の各々における前記複数のオリフィスが、鋳造材料が前記第1および第2の対向する側壁の前記鋳造表面を越えて前進するときに、冷却流体を前記それぞれの冷却流体チャネルから前記鋳造材料に向かって方向付けるように構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
2つ以上の固定位置部材をさらに含み、
前記2つ以上の固定位置部材が、前記2つ以上の接触領域のうちの1つ以上に加えられるそれぞれの力に応答して、前記第1および第2の対向する側壁の動きに抵抗するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第1および第2の対向する側壁が、上部および下部を各々含み、前記第1および第2の対向する側壁のうちの少なくとも一方の前記上部が、前記第1および第2の対向する側壁のうちの少なくとも一方の前記第1の端部と、前記少なくとも1つの第1および第2の対向する側壁の前記第2の端部との間の直線に対して第1の距離だけ前記第1の接触領域に近接して変位され、前記第1および第2の対向する側壁のうちの少なくとも一方の前記下部が、前記第1および第2の対向する側壁のうちの少なくとも一方の前記第1の端部と、少なくとも1つの第1および第2の対向する側壁の前記第2の端部との間の直線に対して第2の距離だけ前記第1の接触領域に近接して変位され、それにより、前記モールドキャビティの上部と前記モールドキャビティの下部との間にテーパーを画定する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
金属を鋳造するためのシステムであって、
コントローラーと、
モールドであって、
第1の側壁と、
前記第1の側壁に対向する第2の側壁と、
第1の端壁と、
前記第1の端壁に対向する第2の端壁であって、前記第1の側壁、前記第2の側壁、前記第1の端壁、および前記第2の端壁が、協働してモールドキャビティプロファイルを有するモールドキャビティを画定する、第2の端壁と、を含む、モールドと、
前記モールドキャビティとは反対に位置された前記第1の側壁に2つ以上の旋回取付けポイントで取り付けられた第1の力受容要素であって、前記第1の力受容要素の前記2つ以上の旋回取付けポイントにわたって分配される前記第1の力受容要素に加えられる第1の力が、前記コントローラーによって制御され、前記第1の力受容要素において前記第1の側壁の第1の変位を引き起こす、第1の力受容要素と、
前記モールドキャビティとは反対に位置された前記第1の側壁に2つ以上の旋回取付けポイントで取り付けられた第2の力受容要素であって、前記第2の力受容要素の前記2つ以上の旋回取付けポイントにわたって分配される前記第2の力受容要素に加えられる第2の力が、コントローラーによって制御され、前記第2の力受容要素において前記第1の側壁の変位を引き起し、前記第1の変位は、前記第2の変位と異なる、第2の力受容要素と、を含み、前記第1の力受容要素および前記第2の力受容要素が、前記第1の端壁と前記第2の端壁との間の前記第1の側壁の長さに沿って、互いから離間されており、前記第1の力受容要素および前記第2の力受容要素は、前記第1の側壁の長さに沿って移動可能である、システム。
【請求項11】
前記コントローラーが、前記モールドを使用する鋳造プロセス中に、前記第1の力受容要素の前記第1の変位および前記第2の力受容要素の前記第2の変位を調整するように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記コントローラーが、鋳造される金属の特性または前記モールドを出る前記金属のプロファイルのうちの少なくとも一方に応答して、前記第1の変位および前記第2の変位を調整する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記モールドの前記第1の側壁および前記第2の側壁が、鋳造プロセス中に前記モールドから出る金属に沿って冷却流体を方向付けるための複数のオリフィスを各々含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
冷却流体チャネルが、前記モールドキャビティの外側の前記第1の側壁に沿って画定され、前記冷却流体チャネルが、前記第1の側壁と可撓性ブラダーとの間に画定される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記2つ以上の旋回取付けポイントは、前記第1および第2の対向する側壁のうちの少なくとも一方の長さに沿って互いに対して変位し、かつ、前記旋回取付けポイントと前記力受容要素の各々に力が加えられるポイントとの間で互いに接続される、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属の連続鋳造のためのシステム、装置、および方法に関し、より具体的には、鋳造プロセス中にモールドから鋳造されたインゴットのプロファイルを動的に制御するために直接チル鋳造モールドの形状を制御するための機構に関する。
【背景技術】
【0002】
金属製品は様々な方法で形成され得るが、多くの成形方法では、最初に、インゴット、ビレット、または、例えば圧延もしくは機械加工などにより金属最終製品を製造することができる原材料として機能し得る他の鋳造部品が必要である。インゴットまたはビレットを製造する1つの方法は、直接チル鋳造として知られている半連続鋳造プロセスであり、垂直に配向されたモールドキャビティは、鋳造ピットの下方に垂直に移動するプラットフォームの上に位置している。スターティングブロックは、プラットフォーム上に位置することができ、少なくとも最初は、鋳造プロセスを開始させるために、モールドキャビティのボトムを形成することができる。溶融金属がモールドキャビティに注がれると、溶融金属は、典型的には冷却流体を使用して、冷却される。その上にスターティングブロックを備えたプラットフォームは、所定の速度で鋳造ピットに下降して、モールドキャビティを出てかつスターティングブロックと共に下降する金属を凝固させることを可能にする。より多くの溶融金属がモールドキャビティに入り、固体金属がモールドキャビティから出るとき、プラットフォームは下降し続ける。この連続鋳造プロセスにより、金属インゴットおよびビレットは、モールドキャビティのプロファイルに従って形成され、鋳造ピットの深さおよびその中で動く油圧作動プラットフォームによってのみ長さが制限される。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、金属の連続鋳造のためのシステム、装置、および方法に関し、より具体的には、鋳造プロセス中にモールドから鋳造されたインゴットのプロファイルを動的に制御するために直接チル鋳造モールドの形状を制御するための機構に関する。実施形態は、第1および第2の対向する側壁と、第1の側壁と第2の側壁との間に延びている第1および第2の端壁と、を含む、材料を鋳造するための装置を提供することができ、第1および第2の対向する側壁ならびに第1および第2の対向する端壁は、略長方形のモールドキャビティを形成する。その第1および第2の対向する側壁のうちの少なくとも一方は、2つ以上の接触領域を含むことができ、その2つ以上の接触領域の各々は、モールドキャビティから外部から加えられるそれぞれの力を受容することに応答して、第1および第2の対向する側壁のうちの少なくとも一方の第1の端部と、少なくとも1つの第1および第2の対向する側壁の第2の端部との間の直線に対して変位するように構成され得る。2つ以上の接触領域のうちの第1の接触領域におけるそれぞれの変位は、2つ以上の接触領域のうちの第2の接触領域における変位と異なっている場合があり、2つ以上の接触領域の各々におけるそれぞれの力は、第1および第2の対向する側壁のうちの少なくとも一方の湾曲を変化させ得る。
【0004】
いくつかの実施形態によれば、2つ以上の接触領域のうちの第1の接触領域におけるそれぞれの力は、第1の方向の力を含むことができ、2つ以上の接触領域の第2の接触領域におけるそれぞれの力は、第1の方向とは反対の第2の方向における力を含むことができる。2つ以上の接触領域のうちの第1の接触領域におけるそれぞれの力は、第1の方向における第1の大きさの力を含むことができ、2つ以上の接触領域のうちの第2の接触領域におけるそれぞれの力は、第1の方向における第2の大きさの力を含むことができ、その第2の大きさは第1の大きさとは異なる。第1および第2の対向する側壁は、内側鋳造表面(inner casting surface)および外側表面を含み得る。第1および第2の対向する側壁の各々は、外側表面に沿って配置された柔軟なブラダーをさらに含むことができ、冷却流体チャンバは、各それぞれの対向する側壁とそれぞれの柔軟なブラダーの間に画定される。第1および第2の対向する側壁の各々の鋳造表面は、それぞれの流体チャンバと流体連通する複数のオリフィスを含み得る。冷却流体チャンバとそれぞれの側壁との間にバッフルを配置することができ、バッフルは複数の流量制限オリフィスを含む。第1および第2の対向する側壁の各々における複数のオリフィスは、鋳造材料が第1および第2の対向する側壁の鋳造表面を越えて前進するときに、冷却流体をそれぞれの冷却流体チャネルから鋳造材料に向かって方向付けるように構成され得る。
【0005】
例示的な実施形態の第1および第2の対向する側壁ならびに第1および第2の対向する端壁は、協働して、対向する側壁および端壁によって画定される形状を有するモールドキャビティを画定し得る。装置の例示的な実施形態は、2つ以上の接触領域のうちの第1の接触領域に第1の力を加えるための第1の手段と、2つ以上の接触領域のうちの第2の接触領域に第2の力を加えるための第2の手段と、を含み得る。第1の手段および第2の手段は、鋳造される材料の1つ以上の特性に従ってモールドキャビティの形状を変化させるために単一のコントローラーによって制御され得る。第1の手段および第2の手段は、鋳造材料合金、モールドキャビティを出る鋳造材料の温度、鋳造材料の温度プロファイル、またはモールドキャビティを出る鋳造材料の形状のうちの1つ以上に基づいて材料が鋳造されるときに、モールドキャビティの形状を変化させるように構成され得る。
【0006】
本明細書で提供される装置の実施形態は、コントローラーを含むことができ、第1の接触領域の変位および第2の接触領域の変位は、モールドキャビティへの液体の予期せぬ減速か、または第1の接触領域および第2の接触領域の一方または両方にそれぞれ力を加えるアクチュエータからのフィードバックの少なくとも一方に応答して行われる。実施形態は、2つ以上の固定位置部材を含むことができ、2つ以上の固定位置部材は、2つ以上の接触領域のうちの1つ以上に加えられるそれぞれの力に応じて第1および第2の対向する側壁の動きに抵抗するように構成され得る。第1および第2の対向する側壁は各々、上部および下部を含み得る。第1および第2の対向する側壁のうちの少なくとも一方の上部は、第1および第2の対向する側壁のうちの少なくとも一方の第1の端部と、少なくとも1つの第1および第2の対向する側壁の第2の端部と、の間の直線に対して第1の距離だけ第1の接触領域に近接して変位され得る。第1および第2の対向する側壁のうちの少なくとも一方の下部は、第1および第2の対向する側壁のうちの少なくとも一方の第1の端部と、少なくとも1つの第1および第2の対向する側壁の第2の端部と、の間の直線に対して第2の距離だけ第1の接触領域に近接して変位され得、それにより、モールドキャビティの上部とモールドキャビティの下部との間にテーパーが形成され得る。
【0007】
本明細書に記載の実施形態は、金属を鋳造するためのシステムを提供し得る。そのシステムは、コントローラーと、第1の側壁、その第1の側壁とは反対の第2の側壁、第1の端壁、その第1の端壁に対向する第2の端壁を含むモールドと、を含み得る。第1の側壁、第2の側壁、第1の端壁、および第2の端壁は、協働して、モールドキャビティプロファイルを有するモールドキャビティを画定し得る。そのシステムは、モールドキャビティとは反対に位置された第1の側壁の第1の力受容要素を含むことができ、第1の力受容要素に加えられる第1の力は、コントローラーによって制御され、第1の力受容要素において第1の側壁の第1の変位を引き起こすことができる。第1の側壁の第2の力受容要素は、モールドキャビティとは反対に位置させることができ、第2の力受容要素に加えられる第2の力は、コントローラーによって制御することができ、第2の力受容要素において第1の側壁の変位を引き起こす。第1の変位は、第2の変位と異なり得る。コントローラーは、モールドを使用する鋳造プロセス中に、第1の力受容要素の第1の変位および第2の力受容要素の第2の変位を調整するように構成され得る。コントローラーは、鋳造される金属の特性またはモールドを出る金属のプロファイルのうちの少なくとも一方に応じて、第1の変位および第2の変位を調整することができる。
【0008】
いくつかの実施形態によれば、モールドの第1の側壁および第2の側壁は各々、鋳造プロセス中にモールドから出る金属に沿って冷却流体を導くための複数のオリフィスを含むことができる。冷却流体チャネルは、モールドキャビティの外側の第1の側壁に沿って画定されてもよく、その冷却流体チャネルは、第1の側壁と可撓性ブラダーとの間に画定されてもよい。第1の力および第2の力は、第1の力受容要素および第2の力受容要素に反対方向に加えられるように構成され得る。第1の側壁および第2の側壁の各々は、その中に、それぞれの冷却流体チャネルおよび複数の冷却流体オリフィスを画定してもよい。システムは、冷却流体供給を含むことができ、その冷却流体供給は、冷却流体をそれぞれの冷却流体チャネルの各々に提供して、モールドキャビティを出る鋳造材料に向かって複数のオリフィスを通して異なる角度で噴霧するように構成され得る。
【0009】
本明細書に記載の実施形態は、モールドの構成要素を提供し得る。コンポーネントは、第1の端壁と第2の端壁との間に画定された長さに沿って延びる本体と、モールドキャビティの一部を画定し、第1の端壁から第2の端壁まで延びる内側面と、内側面とは反対の外側表面であって、その外側表面は第1の力および第2の力を受容するように構成されている、外側表面と、を有し得る。第1の端壁および第2の端壁は実質的に静止していてもよく、コンポーネントは、第1の力および第2の力(第1の力および第2の力は異なる)の付加に応じて、第1の端壁と第2の端壁との間の第1の形状から、第1の端壁と第2の端壁との間の第2の形状に変位するように構成される。
【0010】
実施形態は、第1の端部と第2の端部との間の長さに沿って延びている長手方向に延びる本体と、モールドキャビティの一部を画定し、第1の端部近位から第2の端部近位へと延びている内側面であって、オリフィスの第1のセットおよびオリフィスの第2のセットは、内側面に近接した壁において画定される、内側面と、内側面とは反対の外側表面と、外側表面に近接して配置された第1の流体チャンバと、外側表面に近接して配置された第2の流体チャンバと、を含み、第1の流体チャンバはオリフィスの第1のセットと流体連通し、第2の流体チャンバはオリフィスの第2のセットと流体連通している、直接チル鋳造モールドの壁を提供し得る。いくつかの実施形態によれば、内側面は、外側表面に加えられる軸に沿った力を受容することに応答して、内側面に実質的に直交する軸に沿って変位するように構成され得る。オリフィスの第1のセットは、長手方向に延びる本体の内側面に近接して配設されたオリフィスのセットを含むことができ、オリフィスの第1のセットは、長手方向に延びる本体に沿って延びる。オリフィスの第2のセットは、長手方向に延びる本体の内側面に近接して配設されたオリフィスのセットを含むことができ、オリフィスの第2のセットは、長手方向に延びる本体に沿って延びる。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、直接チル鋳造モールドの壁は、ファスナの第1のセット、ファスナの第2のセット、およびファスナの第3のセットを含むことができ、ファスナの第1、第2、および第3のセットの各々は、外側表面に沿って長手方向に延びる。第1の流体チャンバは、ファスナの第1のセットとファスナの第2のセットとの間に配置することができ、第2の流体チャンバは、ファスナの第2のセットとファスナの第3のセットとの間に配置することができる。第1の流体チャンバおよび第2の流体チャンバは、外側表面上において長手方向に延びる本体に沿って延びることができ、側壁の外側表面は、第1の流体チャンバおよび第2の流体チャンバの少なくとも1つの壁を画定する。第1の流体チャンバおよび第2の流体チャンバは、側壁の外側表面によって一方の側において境界されることができ、かつ可撓性膜によって側壁の外側表面とは反対に境界されることができる。
【0012】
例示的な実施形態の直接チル鋳造モールドの壁は、力受容部材を含むことができ、その力受容部材は、長手方向に延びる本体の外側表面に取り付けることができ、ファスナの第1のセット、ファスナの第2のセット、およびファスナの第3のセットのうちの少なくとも2つの第1のサブセットによって、長手方向に延びる本体の外側表面に取り付けられる。力受容部材は、ファスナの第1のセット、ファスナの第2のセット、およびファスナの第3のセットのうちの少なくとも2つの第2サブセットを使用して、ファスナの長手方向に延びるセットに沿って再位置付け可能であってもよく、第2のサブセットは第1のサブセットとは異なる。第1の流体チャンバは、側壁内に画定された通路を介してオリフィスの第1のセットと流体連通し得る。側壁の内側面は、グラファイト材料を含んでもよく、そのグラファイト材料は、直接チル鋳造モールドの壁と適合して屈曲するように構成され得る。
このように本発明の実施形態を一般的な用語で説明してきたが、必ずしも一定の縮尺で描かれていない添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】従来技術による直接チル鋳造モールドの例示的な実施形態を示す図である。
【
図2】従来技術による直接チル鋳造によって形成されたインゴットを示す図である。
【
図3】本発明の例示的な実施形態による調節可能な湾曲プロファイルを備えた側面を有する直接チル鋳造モールドの上面図である。
【
図4】本発明の例示的な実施形態による調節可能な湾曲プロファイルを備えた側面を有する直接チル鋳造モールドの底面図である。
【
図5】本発明の例示的な実施形態による直接チル鋳造モールドの側壁アセンブリを示す図である。
【
図6】本発明の例示的な実施形態による直接チル鋳造モールドの側壁アセンブリの別の図である。
【
図7】本発明の例示的な実施形態による直線的な構成における直接チル鋳造モールドの側壁アセンブリの側壁および力受容部材のコンポーネント図である。
【
図8】本発明の例示的な実施形態による直接チル鋳造モールドの側壁アセンブリの一部に関する裏面図である。
【
図9】本発明の例示的な実施形態による湾曲構成における直接チル鋳造モールドの側壁アセンブリの側壁および力受容部材のコンポーネント図である。
【
図10】本発明の例示的な実施形態による直接チルモールドの側壁アセンブリの一部の端部である。
【
図11】本発明の例示的な実施形態による直接チルモールドの側壁アセンブリの側壁に沿った力分布に関する機構を示す図である。
【
図12】本発明の例示的な実施形態による直接チルモールドの側壁の破断図である。
【
図13】本発明の例示的な実施形態による内側鋳造表面を含む直接チルモールドのモールド壁の投影像である。
【
図14】本発明の例示的な実施形態による調節可能な側壁を有する直接チルモールドの上面図である。
【
図15】本発明の別の例示的な実施形態による調節可能な側壁を有する直接チルモールドの上面図である。
【
図16】本発明の例示的な実施形態による複数の直接チルモールドを含むモールドフレームアセンブリを示す図である。
【
図17】本発明の例示的な実施形態による隣接直接チルモールドアセンブリの2つの隣接側壁アセンブリを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の例示的な実施形態を、本発明のすべてではないがいくつかの実施形態が示されている添付の図面を参照して、以下で、より完全に説明する。実際に、発明は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。同じ番号は、全体を通して同じ要素を指している。
【0015】
本発明の実施形態は、一般に、より一貫したインゴットプロファイルを促進するための直接チル鋳造モールドの設計に関する。垂直チル鋳造は、様々な製造用途で使用するために大きな断面積を有し得るインゴットまたはビレットを製造するために使用されるプロセスである。垂直直接チル鋳造のプロセスは、その中に配置された1つ以上の垂直配向モールドキャビティを含有する水平テーブルで開始する。モールドキャビティの各々は、モールドキャビティのボトムを密封するためにスターティングブロックまたは開始プラグによってボトムを最初に閉じる。溶融金属は、モールドキャビティを満たすために金属分配システムを介して各モールドキャビティに導入される。モールドのボトムに近接し、スターティングブロックに隣接している溶融金属が凝固すると、スターティングブロックは直線的経路に沿って垂直下向きに移動される。スターティングブロックの移動は、スターティングブロックが取り付けられている油圧で下げられたプラットフォームによって引き起こされ得る。スターティングブロックの垂直下方への移動により、凝固した金属がモールドキャビティから引き出され、追加の溶融金属がモールドキャビティに導入される。一旦開始されると、このプロセスは、モールドキャビティによって定義されるプロファイルと、プラットフォームおよびスターティングブロックが移動される深さによって定義される高さと、を有する金属インゴットを形成する半連続鋳造プロセスのために、比較的定常状態で移動する。
【0016】
鋳造プロセス中、スターティングブロックが下向きに進むにつれて、金属がモールドキャビティを出る前に、モールド自体が冷却されて金属の凝固が促進され、また、冷却流体は、鋳造金属インゴットから熱を引き出し、かつ、インゴットの凝固したシェル内の溶融金属を凝固させるために、金属が鋳造される際に、モールドキャビティの出口に近い金属の表面に導入される。スターティングブロックが下方に進むと、冷却流体をインゴットに直接噴霧して、表面を冷却し、インゴットのコア内から熱を引き出すことができる。
【0017】
直接チル鋳造プロセスにより、インゴットは、様々なプロファイル形状と共に、広範で様々なサイズおよび長さで鋳造することができる。円形ビレットおよび長方形インゴットが最も一般的であるが、他のプロファイル形状も可能である。円形プロファイルビレットは、ビレットの周囲の外側表面からコアまでの距離が全周にわたって等しいという均一形状からの恩恵を受ける。しかしながら、長方形のインゴットには、表面からコアまでの深さのこの均一性が欠けているため、直接チル鋳造プロセス中に考慮すべき追加の課題が存在する。
【0018】
長方形のプロファイルを有するインゴットを製造するための直接チル鋳造モールドは、モールドキャビティを出た後に冷えるとインゴットが変形するため、完全に長方形のモールドキャビティを有さない。プラットフォームおよびスターティングブロックが下降する際にインゴットの一部がモールドキャビティを出ると、凝固シェル内に溶融コアまたは少なくとも部分的に溶融したコアが保持される。コアが冷えて凝固すると、インゴットの外部プロファイルが変化するため、モールドキャビティプロファイルは、最終的な冷却インゴットの形状を画定する一方で、最終的な冷却インゴットと同一の形状またはプロファイルを有さない。
【0019】
図1は、直接チル鋳造システムのテーブルまたはフレームアセンブリ内に収容される従来の直接チル鋳造モールド100の例示的な実施形態である。示すように、モールド100は、モールドキャビティの第1の端壁130と第2の端壁140との間に延びる第1の対向する側壁110および第2の対向する側壁120を含む。第1および第2の対向する側壁110、120ならびに第1および第2の端壁130、140は、組み合わされて、略長方形プロファイルを有するモールドキャビティ150を形成する。第1および第2の対向する側壁110、120は、アーチ形状、または壁プロファイルに対して少なくともある程度の湾曲を有する。この形状により、鋳造インゴットは、直接チル鋳造プロセスの定常状態鋳造操作中に、実質的に平坦な対向する側面を有することができる。端壁130および140はまた、例えば、湾曲、弓状に配設された一連の平坦な側面、複合湾曲、または直線的側面を含むことができる特定形状も有し得る。本明細書に記載の鋳造プロセスの「定常状態」部分は、初期始動段階または始動鋳造段階の後、および鋳造プロセスの終了または鋳造段階の終了前の鋳造プロセスの部分である。モールドキャビティを出るインゴットの部分の温度プロファイルが一定またはほぼ一定のままであるとき、定常状態鋳造が起こる。鋳造される材料のタイプに基づいて、開始段階から、定常状態段階、終了段階までの鋳造の各段階で、異なる鋳造制御パラメーターが望まれる場合がある。
【0020】
鋳造プロセスの定常状態部分中に製造されたインゴット部分に関してその長方形プロファイルに基づいて実質的に平坦な側面を有するインゴットを生成させるために、直接チル鋳造モールドが設計および開発されてきたが、直接チル鋳造のスタートアッププロセスには、始動鋳造段階プロセスと始動鋳造段階プロセス中に形成されたインゴットの初期部分を、鋳造プロセスの定常状態段階と定常状態鋳造中に形成されたインゴットの部分から区別するという課題が含まれる。
【0021】
直接チル鋳造の始動段階中には、高い温度勾配により、鋳造の定常状態段階中に経験されるのとは異なる様式でインゴットの変形を引き起こす熱応力が誘発される。鋳造の始動段階対定常状態段階で経験される温度勾配の変化および応力の変化に起因して、一定プロファイルのモールドキャビティは、始動段階中に鋳造されるインゴット部分(バットとも呼ばれる)の不均一プロファイル、および定常状態鋳造段階中に鋳造されるインゴットをもたらす。定常状態鋳造中に製造される部分はインゴットの大部分を形成するため、インゴットの対向する側面および端部が実質的に平坦であるようにモールドプロファイルを設計することができる。これにより、
図2の鋳造インゴット横断面に示されているように、始動段階中に形成された実質的に平坦な側面を欠くインゴットのバットとなる場合がある。
図2の図示された実施形態は、鋳造プロセス中のインゴットモールドの基本的な横断面を示している。図に示すように、溶融金属161は、モールド側壁110と120との間にあるモールドのキャビティ内に受け入れられ、そこで、溶融金属は、破線163によって示されるサンプの近位において固体金属に移行する。図示された位置のスターティングブロック157は、既にプラットフォーム159と共に矢印162の方向に下降しており、鋳造は現在定常状態段階であり、インゴット160の側面165は実質的に平坦である。始動段階中に製造されたインゴット160の部分は、定常状態鋳造段階の望ましい平坦側面175に対する膨張170であるプロファイルを有するスターティングブロック157に隣接して示されている。
【0022】
始動段階170中に製造されるインゴット部分の変形は、インゴットの最終用途に応じて使用できない場合があり、その結果、始動期間中に形成されたインゴットの部分が犠牲になる場合がある(すなわち、インゴットから切り取って再利用/再鋳造)。インゴットのこの犠牲バット部分は、特に、比較的大きなプロファイルを有する直接チル鋳造モールドでは、かなりのサイズになる可能性があり、失われる時間、再加熱/再溶融のコスト、インゴットの失われた部分に関連する労力、およびインゴットが最大サイズとなる可能性が低下し、その結果として、直接チル鋳造プロセスの効率が低下する。インゴットまたはビレットの「ヘッド」を形成する際に鋳造の最後に同様の問題が存在する場合があり、鋳造が定常状態でなくなり、インゴットの使用可能部分を最大化しかつ廃棄物を減らすために特定の制御パラメーターが必要になることがある。
【0023】
本発明のある特定の実施形態は、従来の直接チルインゴット鋳造モールドのバット膨張を排除し、廃棄物を減らし、そしてインゴットが鋳造される効率を改善するために、鋳造プロセス中に動的に移動することができる可撓性対向側壁を有する直接チル鋳造モールドを含む。本明細書に記載の直接チル鋳造モールドは、モールドがインゴットを鋳造しながら形状を変化させることができる可撓性のモールドの側壁上に対向する一対の鋳造表面を含むことができる。対向する側壁の各々は、モールドの対向された側壁を動的に移動させ、鋳造プロセス中に形状を変化させる力を受容するように各々構成された2つ以上の接触部分または力受容要素を含み得る。以下でさらに説明するように、2つ以上の接触領域に加えられる力は独立していてもよく、反対方向の力を含んでいてもよい。接触領域は、加えられる力から生じる側壁の形状をより大きく制御できるようにするために、任意選択的に、対向する側壁の長さに沿って再位置付け可能であり得る。
【0024】
図3は、本発明の例示的な実施形態による直接チル鋳造モールドアセンブリ200の上面図を示している。図示するように、モールドアセンブリ200は、第1および第2の対向する側壁アセンブリ210、220、ならびに第1および第2の端壁アセンブリ230、240を含む。対向する側壁アセンブリ210、220の各々は、モールドキャビティの全周の形状であるモールドキャビティのプロファイルを形成するために、端壁アセンブリ230および240の端壁と協働するモールドキャビティ250の側壁を含む。
【0025】
図4は、モールドアセンブリ200のボトムプレートの図を示しており、理解を容易にするために、
図3に見えるモールドアセンブリの側壁アセンブリおよびトッププレートを省略している。図示するように、対向する側壁アセンブリ210および220のボトムプレート212および222は、モールドキャビティ250に面する縁に湾曲214および224を含む。この湾曲は、少なくともモールドキャビティ250の側壁および端壁が提供し得る大きさと同じ大きさであるモールドアセンブリ200のボトムに開口部を提供する。モールドアセンブリ200の側壁は、それぞれのボトムプレート212、222の湾曲よりも小さい湾曲を画定し得るが、それぞれの側壁の湾曲は、側壁アセンブリ210、220のボトムプレート212、222の湾曲214、224より大きくなくてもよい。
【0026】
上述のように、本明細書に記載の例示的な実施形態の対向する側壁は、2つ以上の湾曲プロファイル間で動的に調整可能であるプロファイルを含み得る。対向する側壁の湾曲を調整することにより、鋳造プロセスの始動時に製造されるインゴットバットまたはビレットバットを、鋳造されるビレットまたはインゴットの意図される目的にとって不満足なバットにする膨張または他の寸法的もしくは物理的属性無しで、製造することが可能となり得る。本明細書に記載の例示的な実施形態は、所定の鋳造ピットにおける1つのモールドからほぼ無限にサイズを最適化することができる。
【0027】
図5は、トッププレート216、作動プレート218、およびボトムプレート212を含む一対の対向する側壁アセンブリ210のうちの一方を示している。ボトムプレートは、
図4に関して上述した湾曲214を含む。側壁211は、実質的に真っ直ぐで曲がっていない構成で示されている。また、以下で説明および図示されるように、冷却流体が側壁211の背後に配置されたチャネルを通って流れるように構成された流体導管ブロック260も見える。側壁は、開口部250を狭めるトップからボトムへのテーパーを含み得る。任意の度合いのテーパーを使用することができるが、望ましい範囲は、側壁211の上縁から側壁の底縁まで、0.5度~3度程度のテーパーであり得る。流体導管ブロック260は、流体導管ブロックの入口から側壁アセンブリ210の1つ以上の流体チャンバへの流体の流れを適合させるための流体流路を含み得る。流体導管ブロック260は、任意選択的に、側壁アセンブリ210の1つ以上の流体チャンバへの流体導管ブロック260を通る流体の流れを制御するために、1つ以上のバルブを含み得る。流体導管ブロック260は、任意選択的に、流体が流体導管ブロックを通過する際に流体をろ過するための1つ以上のフィルター要素を含み得る。さらに、流体導管ブロック260は、任意選択的に、冷却流体の圧力を調整し得る。
【0028】
例示的な実施形態の側壁211は、以下により詳細に説明するように、モールド壁の屈曲を容易にするために、強靭であるが可撓性である材料で作ることができる。例えば、アルミニウムを使用してもよく、特に、強度対可撓性の比および耐食性のために6061-T651を選択することができる。T651処理を施したアルミニウムは、溶体化熱処理され、応力が緩和され、人工熟成されるため、本願の実施形態で望ましい特性が向上する。溶融アルミニウムの鋳造は、金属組成に影響を与える可能性があるが、以下で説明する冷却機構はモールド壁の温度をより低く維持するのに役立つため、本明細書に記載の実施形態は、モールド壁の表面でのみテンパーを失うことがあり得る。したがって、モールド壁に使用される材料のテンパーおよび強度はより一貫して維持される。鋳造表面から水チャンバまでの距離が短く、モールド壁材料全体にわたって温度勾配が大きくなり得るため、A-Oテンパー(アニールされた)を使用してもよい。
【0029】
以下でさらに考察される流体チャンバ内の冷却流体圧力は、約0psi(ポンド/平方インチ)~約45psiの範囲、望ましくは約2psi~15psiであり得る。側壁211の面上には、側壁211からモールドキャビティに向けて潤滑流体を導くために、モールドキャビティのトップに近接している側壁上の位置に配設された複数のオリフィス262が存在する。以下に示すように、オリフィスの第2のセットもまた264で示すように提供してもよい。オリフィス262の第1のセットは、鋳造中に側壁211の鋳造表面(すなわち、溶融金属が凝固するモールドキャビティを囲む表面)を潤滑するために潤滑流体をモールドキャビティに方向付けるように構成され得る。鋳造表面は、鋳造材料と接触しているか、または鋳造材料に面していて、潤滑流体によってそこから分離されている側壁の部分である。鋳造表面は、グラファイト材料などの潤滑流体の潤滑特性を補うために、コーティングまたはインサートなどの摩擦低減材料を含み得る。鋳造表面は、低摩擦コーティングでコーティングしてもよく、またはグラファイトインサートなどの低摩擦材料インサートを受容してもよく、それは交換することができ、潤滑剤を必要としない場合がある。
【0030】
グラファイトまたは別の多孔質材料の内側鋳造表面を使用して、鋳造プロセス中に、潜在的に複数の鋳造のために、グリースまたは潤滑剤を分配するための、グリースまたは潤滑剤のリザーバまたはスポンジとして機能し得る。これにより、グリースまたは潤滑剤を鋳造の前に一度、または可能であれば連続した鋳造の前に一度、適用し得る。内側鋳造表面は、内側鋳造表面がモールドの壁と一緒に屈曲し、所望のボアプロファイルおよび結果として得られる鋳造プロファイルを作製できるように可撓性であり得る。グラファイトまたは他の内側鋳造表面材料は、例えば焼嵌め、ファスナ、ダブテール、または他のグルーブなどの接着剤または機械的手段を使用して、モールドの壁に固定され得る。内側鋳造表面材料の横断面は、一定であっても、材料の長さまたは高さに沿って変化してもよい。例えば、材料は、曲げ応力に対処するために、内側鋳造表面のトップに近接するほど広く、ボトムに近接するほど狭くてよい。さらに、内側鋳造表面は、材料がより容易に屈曲し、モールドの壁と一緒に曲がることを可能にするために、断片として側壁に取り付けてもよく、または溝(例えば、垂直溝)を有してもよい。以下でさらに考察する
図12は、側壁211がグラファイト271の内側鋳造表面を含む例示的な実施形態を示している。
【0031】
図6は、側壁アセンブリ210の裏側を示し、トッププレート216に隣接するトップ作動プレート218およびボトムプレート212に隣接するボトム作動プレート217を示す。側壁が実質的に真っ直ぐな構成で示されているため、側壁211の裏側の下に見えるボトムプレートの湾曲214も見える。エンドプレート320は、トップ作動プレート218をボトム作動プレート217に取り付け、それらが作動アセンブリ330の動きと同調して一緒に動くようにする。作動アセンブリは、本明細書に記載の運動を達成するために必要な作動を提供するための様々な機構のいずれかであり得る。この動きは、矢印340に沿った実質的に直線的な動きを含み、作動プレート217および218は、側壁アセンブリ210によって画定された長手方向軸に沿って動くように構成される。側壁211は、力受容部材310によって作動機構に取り付けられる。この動きは、以下でさらに説明するように、側壁211に曲げ力を付与する。
【0032】
図7は、作動アセンブリ330によって作動される作動プレート217、218を使用して側壁211に曲げ運動を付与するために使用される機構を示している。作動アセンブリは、リニアアクチュエータ、ボールねじ機構、ラックピニオン機構、油圧ピストン、空気圧ピストン、ソレノイドなどを含み得る。
図6の図示されている実施形態は、手で回すことができるねじ機構を示しているが、実施形態は、一般に、側壁211の動きを付与する自動作動アセンブリを含み得る。本明細書に示すように、作動は、概ね直線的な動きによって実行され、アクションプレート217、218によって移動されて、側壁211に曲げを付与することができる。作動は、ソレノイド、電気モーター、油圧アクチュエータなどのアクチュエータ手段により自動化され得る。任意選択的に、
図6に示すように、作動は、螺旋ねじ調整機構によって側壁アセンブリに対して作動プレートを移動させるように構成され得る回転ハンドル330を含む手動であり得る。
【0033】
図7は、アーム410およびブラケット420によって接触点でそれらに取り付けられた力受容部材310を含む側壁211の一部を示している。力受容部材310は、
図7の画像に直交する軸に沿って延びる側壁211の高さに沿った1つ以上の接触点または位置において側壁に取り付けられ得る。
図8は、力受容部材310のための接触領域を画定する取り付け点450に対してアーム410およびブラケット420によって取り付けられた力受容部材310を含む側壁211の別の部分の背面の斜視図を示している。示すように、複数の取り付け点450は、側壁211の背面に沿って配置され、力受容部材310を、必要に応じて側壁211の長さに沿って再位置決めして、力受容部材310を介して力を加えることにより側壁211の必要な輪郭を生成することができる。取り付け点は、可撓性ブラダーを取り付けるために、また必要に応じて側壁211にブラケット420も取り付けるために使用することができるファスナを用いて、以下でさらに説明する冷却流体チャネル460および465を形成する可撓性ブラダーを固定する二次機能を提供する。図示した実施形態では、2つの冷却流体チャンバ460および465があり、流体チャネルの両側および流体チャネルの間に取り付け点450が配置されている。側壁211の高さに沿った3つの位置で力受容部材310を取り付けると、側壁のトップから側壁のボトムまでの側壁に沿った位置で力受容部材310に加えられた力の均等な分布を提供し、側壁の角変位を最小限に抑える。しかしながら、以下でさらに説明するように、いくつかの例示的な実施形態に従って、力受容部材のトップからボトムに明確に力が加えられて、適切にテーパーを誘発し得る。
【0034】
本明細書に記載する例示の実施形態は、一般に、2つの流体チャンバ(460および465)を示しているが、所望の設計構成に基づいて、より多いまたはより少ない流体チャンバが存在してもよい。いくつかの実施形態では、単一の流体チャンバを使用して、側壁211を通る冷却流体の流れを提供し得る。任意選択的に、特に、流体チャンバの各々に関連されたオリフィスを通して異なる流量または圧力が望ましい場合がある実施形態では、3つ以上の流体チャンバを使用し得る。同様に、力受容部材310の各々に関して3つの取り付けポイントが示されているが、実施形態は、より少ないまたはより多い取り付けポイントを含み得る。いくつかの実施形態によれば、力受容部材は、単一の位置でのみ側壁に取り付けることができ、他の実施形態では、力受容部材は、2つ、3つ、またはそれ以上の位置で側壁に取り付けることができる。
【0035】
再び
図7を参照しながら、
図6を参照すると、作動プレート217、218の各々は、力受容部材310のそれぞれの端部が配置される角度付きスロットを含む。この角度付きスロットは、
図7の破線440によって表されている。トッププレート216およびボトムプレート212はまた、力受容部材310のそれぞれの端部が受容されるスロットも含む。これらのスロットは、側壁が延びるラインに対して直角であり、
図7の破線430で表される。
図8は、作動プレートのスロット440に受容される力受容部材310の端部314を示し、一方、力受容部材310の端部312は、スロット430においてトッププレート216またはボトムプレート212のそれぞれ1つに受容される。力受容部材310の端部312、314は、本明細書に記載のスロット430、440と力受容部材310との間の力を伝達するために、ベアリングまたは摩擦低減表面を含むことができ、一方、力受容部材310とスロット430、440との間の界面に関する摩擦力を低減する。
【0036】
図7の図示された実施形態によれば、作動プレート217、218が作動アセンブリ320によって矢印445の方向に同時に前進すると、スロット440もまた、力受容部材310に対して作動プレートと共に矢印445の方向に移動する。力受容部材310は、力受容部材がトッププレートおよびボトムプレートのスロット430に受容されることにより、y軸(
図7および
図9に示した)に固定保持され、力受容部材力の移動または変位をx軸に沿うもののみに限定する。作動プレートが移動し、力受容部材がスロット440に沿って移動すると、力受容部材310は、トッププレートおよびボトムプレートのスロット430においてx軸に沿って変位する。側壁211の端部がx軸に対して実質的に固定され保持された状態で、力受容部材310はスロット430に沿って移動すると、力受容部材310はその元の位置から変位し、また、
図9に示すように、力受容部材の変位に基づいて側壁211に曲げが付与される。その曲げは理解を容易にするために誇張されていることがある。作動プレート217、218と力受容部材310との間の力、ならびにトッププレート216およびボトムプレート212と力受容部材310との間の力は、スロット440と430それぞれと、
図8に示した力受容部材312、314のベアリング表面との間で伝達される。これにより、鋳造プロセス中に、側壁211のプロファイルが変更されるため、スムーズな移行が可能になる。側壁211におけるこの曲がりは、鋳造始動段階中におけるインゴットのバットの膨張を低減するために、鋳造中にモールドキャビティのプロファイルを動的に調整することを可能にする。
【0037】
上で説明かつ図示した実施形態は、同時かつ同期して移動する作動プレート217、218を含むが、本明細書に記載の例示的な実施形態は、トップ作動プレート218をボトム作動プレート217から独立して移動することができる作動機構を提供し得る。トップ作動プレート218とボトム作動プレート217との間の固定関係を切り離すことにより、側壁211のトップにおけるより広い曲線から側壁のボトムにおけるより狭い曲線までのテーパー付き開口部などのように、側壁211の湾曲を、側壁のトップとボトムとで異なるようにすることができる。トップ作動プレート218とボトム作動プレート217との間の固定関係を切り離すことにより、力受容部材310の変位は、ボトム力受容部材のトップからボトム力受容部材まで異なり得る。この追加の自由度により、側壁のトップと側壁のボトムの間でx軸に沿って異なる変位を許すことにより、モールドから鋳造されるインゴットのプロファイルをより良好に制御し得る。個別の作動は、トップおよびボトム作動プレートのために複製された上記の機構か、または作動機構とトップ218およびボトム217作動プレートの一方もしくは両方との間で調整が可能な単一作動機構の使用のいずれかを含み得る。そのような調整機構は、作動機構と作動プレートの一方または両方との間で長さを変更することができ、それによりトップ作動プレートとボトム作動プレートの間にオフセットを付与することができる機構であり得る。
【0038】
さらに、
図3~9に図示した実施形態は、力受容部材の各々を係合する作動プレートを示しているが、いくつかの実施形態によれば、力受容部材の変位を切り離すために、トップおよびボトムの作動プレートの各々について複数の作動プレートを使用し得る。以下でさらに説明するように、他の機構を使用して、力受容部材を変位させることができ、これらの機構はまた、力受容部材を互いに独立して変位させることができる。
図3~9のような作動プレートを実装する実施形態によれば、複数の作動プレートを使用することができ、各作動プレートは1つ以上の力受容部材と係合し、また、各作動プレートは、鋳造中に所望の側壁プロファイルを達成するのに必要なときに各力受容部材において異なる変位を提供するために、独立して作動可能であり得る。
【0039】
図7および
図9に示したx軸に沿った力受容部材310の変位により、モールドキャビティの側壁211に導入された曲げに応じて、側壁の端部は、側壁が可撓性ではあり得るが弾性伸縮には抵抗する金属などの材料で作製されているため、側壁211の中央に向かって引っ張られる傾向がある。これに適応するために、側壁211の端部は、上述の機構により導入される側壁211の異なる湾曲間で、ある程度の移動を可能にする配設に保持され得る。
図10は、エンドプレート480と流体導管ブロック260との間に保持された側壁211を有するそのような構成を示している。エンドプレート480は、トッププレート216およびボトムプレート212のそれぞれ1つにトップおよびボトムで固定してもよく、エンドプレート480は、エンドプレートアセンブリ210に対して固定した位置で維持してもよい。側壁211が直線プロファイルと湾曲プロファイルとの間を移動するとき、側壁211の端部は、エンドプレート480および流体導管ブロック260に対して摺動することができ、それにより、側壁211の端部に対して必要な自由を付与して、2つの対向する端部の間にある側壁211の屈曲中央部への不必要な応力を排除する。エンドプレート480と流体導管ブロック260との間にある側壁211を捕捉するために、力は、エンドプレート480の方向に、流体導管ブロック260に対して加えられ得る。しかしながら、流体導管ブロックは、側壁211に取り付けられ、側壁の屈曲中に、側壁211の比較的小さな摺動移動によって側壁と協調して移動し得る。エンドプレート480は、任意選択的に、端壁アセンブリがトッププレート216およびボトムプレート212を介して側壁アセンブリに取り付けられてモールドキャビティを形成するように、端壁アセンブリの一部であり得る。
【0040】
図7~
図9に示した実施形態は、側壁に湾曲を導入するためにモールドキャビティの側壁211に力が加えられる機構を示している。これらの力はかなり大きくてもよく、力受容部材310と側壁211との間の界面は比較的高い応力を受ける可能性がある。これらの応力を低減または緩和するために、力分配機構を使用して、力受容部材310と側壁211との間で力をより均等に分配することができる。
図11は、側壁211に沿った応力集中を緩和するのに役立ち得る台車411力分配部材の例示的な実施形態を示している。示すように、台車411は、旋回ポイント421を力受容部材310にしっかりと接続し、一方、取り付けポイント420を介して力受容部材310と側壁211の両方に旋回可能に取り付けられている。この配設は、台車411がまたがる側壁211の一部に沿って力受容部材310からの力の分配を促進する。
【0041】
図11には、以下により詳細に説明するように、固定位置要素520も示してあるが、それは、側壁アセンブリ210内の固定点にとどまり、力受容部材310が、湾曲した側壁を形成している側壁を変位させるときに、側壁211に対して抵抗力を加える。固定位置要素520は、側壁211の変形中に固定位置要素520の位置が一定のままであるように、旋回ポイント521でのみ固定され得る。しかしながら、いくつかの実施形態によれば、固定位置要素520は、側壁211に沿って力をより良く分配させるために、軸521を中心に旋回し得る。示すように、固定位置要素520は、軸521を中心に旋回可能であり、旋回ポイント523において固定位置ブロック525に旋回可能に取り付けられているアーム522を含む。固定位置ブロック525は、旋回ポイント521からアーム522に力を分配する。アーム522は、取り付け点524に力を分配する。このようにして、旋回ポイント521と側壁211との間の力は、取り付けポイント524において壁に沿って分配されて、壁に沿ったあらゆる応力集中を低減し、破損の可能性を低減し得る。
【0042】
鋳造プロセス中、
図2に示すように下方に進むスターターブロック157に応答して材料がモールドキャビティを出るとき、モールドキャビティを出る材料の冷却は、インゴット160を適切に形成するのに必要である。この冷却は、モールドキャビティを出る材料の方向に側壁211のボトムに近接するオリフィスから噴霧される冷却流体または冷却剤の使用によって、促進される。
図12は、可撓性ブラダー462によって形成された冷却流体チャンバ460および465を含む側壁211の破断図を示している。側壁211の裏側に形成され、流体チャンバ460および465から分離された、流体チャンバ261も示されている。可撓性ブラダー462は、ナイロン補強材を有するシリコーンゴムで作製され得る。シリコーンは、高温、特に短時間のバーストに耐え、比較的簡単に溶融アルミニウムを剥離する。ナイロン補強材は、圧力変動を発生させ、可撓性ブラダーを弱める可能性がある可撓性ブラダー462の伸びを防止することができる。流体チャンバ261は、側壁211の長さに沿って潤滑流体を運ぶように構成され、また複数のオリフィス262(そのうちの1つの断面を
図12に示す)と連通していて、オリフィスは側壁211の面に潤滑流体を提供する。その潤滑流体は、比較的高い圧力で流体チャンバ261に提供することができ、より均一でより低い圧力でモールド中に放出することができる。潤滑流体は、オリフィス262を出て、側壁から外向きに噴霧するのではなく、側壁211の鋳造表面に沿ってほぼ下方に流れて、鋳造と側壁211との間に潤滑層を提供する。側壁211の表面に潤滑流体を提供するための複数のオリフィス262の各々は、モールドのサイズおよび鋳造される材料にとって適切であると考えられる数の潤滑流体オリフィスまたはほんの少しの数の潤滑流体オリフィスを使用して、潤滑流体が側壁211の長さにわたって実質的に均一に流れることを可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態によれば、オリフィスは円形であり、側壁211に沿って離間していてもよく、一方、他の実施形態では、オリフィスは側壁211に沿って延びる細長いスロットであってもよい。オリフィスが細長いスロットである実施形態では、スロットは、通路に沿って流体チャンバ261から側壁211に配置された細長いスロットに供給され得る。これにより、細長いスロットは、潤滑流体がオリフィスを出るときに、側壁を下方に流れる滑流体の「カーテン」を提供することを可能にし得る。
【0043】
上述のように、図示された側壁211および端壁を含むモールドの壁は、グラファイトなどの内側鋳造材料を含み得る。
図12は、図示されたモールド壁の内側面にグラファイト内側鋳造材料を含むそのような実施例を示している。この材料は、モールドの側壁211に付着され得るか、または任意の利用可能な手段を介して機械的に結合され得る。図示された内側鋳造材料271は、側壁211の高さの一部のみに沿って延びるが、壁の全高まで延びる。さらに、内側鋳造材料は、オリフィス262からの潤滑剤を内側鋳造材料中に通すための貫通オリフィスを含んでいてもよく、あるいは、オリフィス262からの潤滑剤を多孔質内側鋳造材料に供給してもよく、次いで、材料の多孔性によって内側鋳造材料の面に沿って潤滑剤を配分してもよい。
【0044】
図13は、モールド壁211の面に固定された内側鋳造材料271の例示的な実施形態を示している。示すように、内側鋳造材料271は、モールド壁のトップに近接している比較的より広い厚さ272およびモールド壁211のボトムに近接しているより狭い厚さ273に由来するテーパーを含む。
図13の例示的な実施形態は、モールド壁211のボトム付近の位置からモールド壁のトップまで延びる内側鋳造材料を含む。レッジ274は、内側鋳造材料271が載る側壁211に組み込まれている。これにより、レッジ274は、内側鋳造材料271を支持し、また、レッジ274は、材料がモールドを通って鋳造される下方への内側鋳造材料の動きを妨げるため、内側鋳造材料271をモールドのトップから挿入することができ、内側鋳造材料271とモールド壁211との間の接着剤または機械的固定手段への依存を低減することができる。
【0045】
上記のように、実施形態は任意の数の冷却流体チャンバを含むことができ、各冷却流体チャンバは、モールドを出るときに鋳造部品に冷却流体を提供するために1セット以上のオリフィスを設けることができる。
図12に示すように、冷却流体チャンバ460および465は、冷却流体を2セットの冷却オリフィス264および266に運ぶように構成され得る。側壁アセンブリは、冷却流体チャンバ460、465と側壁211との間に配置されたバッフルを含むことができ、バッフルオリフィスは、オリフィス264および266を通る流体の流れおよび圧力を調整するようにサイズを設定し、かつ間隔を置くことができる。
図12の実施形態に示すように、バッフルオリフィス263の第1のセットは、側壁211における流体通路270を通ってオリフィス266の第1のセットに至る冷却流体の流れを調整し得る。バッフルオリフィス269の第2のセットは、オリフィス264の第2のセットを通る冷却流体の流れを調整し得る。中に配設されたオリフィス263、269を有するバッフルプレート268の使用により、流体の流れおよび圧力を調整することができるが、バッフルプレート268オリフィス263および269と、オリフィス266および264それぞれとの間の流体チャネルの長さに少なくとも部分的に基づく経路265および267に沿って層流パターンでオリフィス264、266から流体を流すこともできる。両方のオリフィス264および266は、各々の流体流路と共に、
図12の破断図において見ることができるが、オリフィスおよび関連する流体流路の両方が、物理断面図で見ることができないことが理解される。
図12の破断図は、例示および理解を容易にするために提供される。オリフィス264、266は円形として図示されているが、実施形態は、側壁211に沿って細長いオリフィス264、266を含むことができる。これにより、鋳造部品がモールドを出るときに冷却するためのオリフィスとは異なる冷却流体の流れパターンが可能になり得る。
【0046】
例示的な実施形態によれば、流体の流れチャンバ460、465とオリフィス263、269との間のバッフルプレートは、流体チャンバ内の背圧を低減するために垂直に配設されたスロット形状の開口部を有し得る。これにより、オリフィスへの制限の少ない流体の流れが可能になる。しかしながら、実施形態は、オリフィス間の均一な流体の流れを促進するために、冷却オリフィス265、267に近接して配置された流量制限器を含むことができる。バッフルプレートと制限器との間で、一貫した均一な流体の流れを、オリフィス265、267によって実現することができる。
【0047】
図示した実施形態によれば、流体チャンバ465は、冷却オリフィス264と流体連通していてもよく、冷却オリフィス264は各々、側壁211に対してある角度で配設され得る。示した実施形態では、冷却オリフィス265は、第1の複数の冷却オリフィス264を出る流体の方向を示す矢印265によって示されるように、側壁211に対して45度の角度で配設される。第2の複数の冷却オリフィス266は、側壁211に対して22度の角度で示される矢印267で示されるように、異なる角度で冷却流体を導くように配設され得る。しかしながら、第2の複数の冷却オリフィスは、チャンバ465ではなく冷却流体チャンバ460と流体連通していてもよい。冷却流体チャンバ460から複数のオリフィス266に冷却流体を供給するために、冷却チャネルが支持される基板280の下の側壁211の背面に、チャネル270を、機械加工または他の方法で形成することができる。チャネル270は、マニホールド211の側壁211に沿って長手方向に延びる冷却オリフィス266の第2のセットにより近いチャネルと協働して、冷却オリフィス266の第2のセットの各々に対して存在してもよく、あるいは、チャネル270は、側壁211の長さに沿った複数の位置に存在してもよい。
【0048】
図示した実施形態によれば、第1の複数のオリフィス264および第2の複数のオリフィス266の各々を通る冷却流体の流れは独立して、それぞれの冷却流体チャンバ460、465によって供給され得る。この構成により、適切な流量と冷却オリフィスのそれぞれのセットからのスプレーパターンとを使用して、鋳造される材料のタイプに従って、冷却プロファイルを生成することができる。
図10に関して上述した流体導管ブロックは、冷却流体チャンバ460、465の各々への冷却流体の流れを制御するための個別のバルブを含むことができる。個別に制御されるバルブは、チャンバによって、したがってチャンバが流体連通しているそれぞれのオリフィスによって、独立した流量調整を可能にし得る。任意選択的に、冷却流体の温度を個別に制御して、モールドを出る材料の冷却をさらに制御得る。これを達成するために、流体導管ブロックは、2つの個別の供給源から2つの個別の入口を介して冷却流体を受容し、冷却流体チャンバ460、465の各々を介して別個の入口からの流れを独立して制御し得る。
【0049】
さらに、矢印265および267は、それぞれオリフィス264、266を出る冷却流体の大体の方向を示しているが、噴霧パターンおよび流体流量は、鋳造される材料の冷却要件に基づいて好ましい噴霧パターンに従って設計され得る。冷却流体はまた、鋳造される特定の材料の冷却要件に基づいて選択することもできる。そのような冷却流体は、例えば、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、有機酸技術(OAT)冷却流体、または鋳造部品から熱を奪うのに適した他の流体を含んでもよい。冷却オリフィス264および266の角度は各々、鋳造部品への特定の衝突角度に合わせて構成することもでき、それは、オリフィス出口での層流と、冷却流体が鋳造部品と接触する際の乱流鋳造部品冷却流体の流れ(turbulent cast part cooling fluid flow)と、を促進する角度であり得る。冷却オリフィス264および266からの流れの角度は、約0度(下方に方向付けられる、モールドを出る鋳造部品の側面に対して実質的に平行)から約90度(鋳造部品の方へとモールドを出る鋳造部品の側面に対して直角)の範囲であり得る。この角度は、例えば、モールド内で鋳造される材料の特性に基づいて確立され得る。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、
図5および6に示すように、流体導管ブロック260は、流体導管ブロック260内に配置され得る1つ以上のバルブの使用によって鋳造される材料の確立された冷却ニーズに従うオリフィス264、266と連通している流体チャネルに沿って流体の流れおよび圧力を制御するように構成され得る。流体導管ブロック260が各冷却流体チャンバのためのバルブを含む実施形態では、流体導管ブロックは、必要に応じて、チャンバ460および465に沿った流れおよび圧力を独立して制御するように構成され得る。流体の流れレベルおよび圧力は、合金の組成、鋳造される材料の温度、材料が鋳造される速度(すなわち、スターティングブロックが鋳造ピット中に降下する速度)、または鋳造プロセスに影響を及ぼす他の特性に基づいて確立され得る。以下でさらに説明されるように、流体チャネルは、側壁211の屈曲が流体チャネルの完全性に悪影響を及ぼさないまたは影響を及ぼさないように可撓性であり得る。
【0051】
流体チャンバ460および465の各々は、耐熱性シリコーンまたは同様の材料などの可撓性ブラダー462によって画定することができる。例示の実施形態によれば、別個の可撓性ブラダーを使用して各冷却流体チャンバを画定することができるが、単一の可撓性ブラダー462を使用して両方の冷却流体チャンバ460、465を画定し、そこで可撓性ブラダーウェビングは、ファスナ450と側壁211内のそれらに対応するファスナ穴との間で捕捉することができる。バッフルプレート261もまた、それらと同じファスナを使用して、可撓性ブラダーウェビングと側壁211との間に捕捉されてもよい。可撓性ブラダーウェビングもまた、接着剤または高温シーラントを使用してバッフルプレート261に接着させてもよい。任意選択的に、可撓性ブラダー材料は、繊維強化、マルチ材料、またはチャンバ460、465の寿命を改善するために幾何学的に層状にされ得る。ブラダーは、側壁211の曲げに適応するために可撓性であり得るが、チャンバ内の流体に流体圧力を加えてオリフィス264、266からの適切な流量および噴霧パターンを促進することができるように十分な弾力性を有し得る。
【0052】
オリフィス264、266に冷却流体を供給することに加えて、冷却流体チャンバ465および466は、側壁211自体に冷却効果をもたらす。冷却流体チャンバ465および466は、側壁211の背面から冷却流体中への熱抽出を促進する様式で配設される。この側壁冷却効果は、潤滑流体チャネル261に近接している側壁211の温度をさらに低下させて、潤滑流体の早すぎる蒸発または燃焼をもたらし得る潤滑流体の加熱を回避する。冷却流体チャンバ460および465を使用する側壁211の冷却は、鋳造材料と共に側壁211に沿って流れ落ちるときに潤滑流体が燃焼または蒸発する可能性および程度をさらに低減する。
【0053】
例示的な実施形態は、本明細書では、固定プロファイル端壁を有する直接チル鋳造モールドの可撓性側壁を組み込むものとして記載および図示されている。しかしながら、側壁に関して本明細書で記載される実施形態は、本明細書で記載される側壁の構造と同様の構造を有する端壁アセンブリを任意選択的に含み得る。鋳造プロセスの始動段階中に鋳造材料の膨張をもたらすのに十分に長い、またはプロファイル補正を必要とする端壁は、端壁に関して本明細書に記載したのと同じまたは同様の様式で可撓性であるように構成され得る。端壁の可撓性は、始動段階中のインゴットバットの膨張をさらに低減することができ、また直接チルインゴット鋳造モールドの効率および生産量を増加させながら廃棄物を減らすことができる。
【0054】
上記の記載され図示された例示的な実施形態は、受けた力に応答して、モールドの側壁(または端壁)において曲げを誘導する複数の力付加部材を含む。
図14は、理解を容易にするために簡略化されたモールドの側壁アセンブリ500の図を示している。示すように、トッププレート505の輪郭は、湾曲した位置に配置された側壁511を含む。図示されている湾曲位置は、力受容要素510に矢印515の方向に加えられた力を介して力受容要素510を変位させることにより達成される。本明細書に記載の実施形態は、任意選択的に、側壁511の移動に抵抗する固定位置要素を含み得る。
図14は、側壁アセンブリ500のトッププレート505およびボトムプレート(図示せず)にしっかりと固定することができる固定位置要素520を示している。
図6にも示されている固定位置要素520は、力受容要素510に加えられる力に応答して適切な湾曲形状が確実に達成されるように構成され得る。このようにして、固定位置要素520は、壁に沿った特定の位置で側壁または端壁の最大変形を制限することができる。
【0055】
力受容要素510に加えられる力は、側壁全体で異なっていてもよい。例えば、
図14に示すように、3つの力受容要素510は、直線構成から所定量だけ変位するように構成され得る。この変位は、側壁511に付与される湾曲を規定することになる。所望の湾曲を達成するために、中間の力受容要素510に加えられる力は、それに隣接する力と異なっている場合がある。例えば、各力受容要素510に等しい力を加えると、中間の力受容要素が存在する側壁511の湾曲の中間において最大変位を有する円弧となる場合がある。しかしながら、壁の所望の湾曲は、壁511の中心に最も近位に存在する最大曲度を含まなくてもよく、実際には、3つすべての力受容要素に沿って比較的直線の部分を含んでいてもよい。そのような実施形態では、力受容要素の各々の変位は等しくてもよく、一方、中間の力受容要素510は、側壁511の湾曲に対向する矢印515と反対の方向に力を実際に側壁511に加えて、側壁の中間でより平坦な曲線を達成する。そのようなものとして、力受容部材510の変位は、側壁の湾曲の形状を確立するために重要であり得るが、所望の変位を達成するために必要に応じて力が加えられる。
【0056】
鋳造プロセス中の直接チルモールドの側壁または端壁の湾曲の調整は、複数の異なる方法を使用して制御することができる。例えば、鋳造材料は、鋳造速度(例えば、液体鋳造材料の流量およびスターターブロックの下降速度)、モールドキャビティに入る液体鋳造材料の温度、冷却オリフィスを通る冷却流体の流量/圧力、潤滑オリフィスを通る潤滑流体の流量/圧力、および鋳造プロセスの各段階における材料の湾曲プロファイル、に関するパラメーターを決定する鋳造プロファイルを有し得る。湾曲プロファイルは、鋳造の始動段階中の最初の位置から、鋳造の定常状態段階中の別の湾曲プロファイルまで、終了段階中の別の湾曲プロファイル、およびこれらの段階の間の任意の数の湾曲プロファイル(例えば、異なるフェーズ段階間の動的定常変化)まで調整することができる。そのような実施形態では、コントローラーは、鋳造の段階に応答して、鋳造プロセス全体を通して側壁および/または端壁の湾曲の形状を決定することができる。そのような実施形態では、鋳造される材料の特性のフィードバックは必要ではない場合がある。
【0057】
いくつかの実施形態によれば、モールドの壁の湾曲プロファイルは、閉ループフィードバックシステムに基づいて決定され得る。コントローラーは、温度情報(例えば、液体鋳造材料、モールドから出る鋳造材料、モールド温度など)、鋳造速度(例えば、スターターブロックおよびプラットフォームの降下速度)、寸法情報(例えば、鋳造部品がモールドキャビティを出るときの寸法、またはモールドキャビティ出口下の所定の距離)、応力および/または歪みフィードバック、または鋳造プロセスに関連する他の情報、およびこの情報を使用して壁の適切な湾曲プロファイルを受け取ることができる。モールドを出る鋳物の温度を検出する熱センサー、またはモールドを出る鋳物の寸法を測定するように構成された距離センサーなどの複数のセンサーを、モールドキャビティの出口の周りに分散させることができる。これらのセンサーは、モールドキャビティを出る鋳物に関するデータが付与された適切な湾曲プロファイルを決定するために、コントローラーにフィードバックを提供することができる。
【0058】
本明細書に記載の例示的な実施形態は、鋳造部品のバット膨張を低減または制御するために実装され得るが、任意選択的には、例示的な実施形態は、鋳造部品がモールド内で固着するのを防止または軽減するために実装され得る。例えば、鋳造プロセス中にインゴットなどの鋳造部品のバットカールおよび過度に高温の鋳造条件は、モールド内の鋳造部品の締まり嵌めを引き起こす可能性があり、モールド壁(側壁、端壁、またはその両方)は、スターターブロック157が鋳造ピット内に下降するときに鋳造部品160がモールドアセンブリ200から出るのを妨げるように鋳造部品によって係合される。モールドと鋳造部品との干渉を誘発させるこれらの条件は、迅速に修正または緩和されない場合、モールドのオーバーフローなどの壊滅的な故障につながる可能性がある。鋳造プロセスの定常状態部分の間に、不適切な潤滑、異常冷却など、鋳造部品がモールドにハングアップする原因となる可能性がある。鋳造プロセスの終わりには、鋳造部品は「低減された頭部収縮」を経験する場合があり、例示的実施形態のモールドの可撓性壁は、この収縮に適応するように制御され得る。モールドの側壁の移動中に、鋳造部品がモールドにおいて、固着したり、またはハングアップしたりする拘束状態が発生する場合がある。これらの各場合では、その原因は異なる可能性があるが、鋳造部品がモールド内でスタックする可能性があり、直ちに軽減しないと壊滅的な障害につながる可能性がある。
【0059】
本明細書に記載の例示的な実施形態は、鋳造部品が、モールドに固着またはハングアップした状態がいつ発生するかを示すフィードバックをモールドからコントローラーに提供することができる。コントローラーへのフィードバックには、検出された2つの変化の一方または両方が含まれ得る。鋳造部品がモールド内でハングアップしたときに鋳造プロセスにおいて発生する最初の変化は、スターターブロックの移動が鋳造ピット中へ下向きに継続する間、鋳造流体の流れが遅くなることである。鋳造流体の流れは、金属レベルのフィードバックに基づいて制御ピンおよび注出オリフィスサイズによって制御され、スターターブロックが下降し続けている間に流体の流れが上昇する場合、鋳造部品がモールドに固着している可能性があることを示している。モールド内の溶融金属のレベルは、流体の流れ管における制御ピンなどのバルブに対するモールド内のレベルのフィードバックによって、鋳造中に一定またはほぼ一定のレベルに維持してモールド内の流体レベルに従って流れを調整することができる。この流体の流れ制御が流体の流れを低減して、流体レベルを予想外に維持しなければならない場合、それは、モールドキャビティ中で固着された鋳造部品の兆候であり得る。
【0060】
同様に、複数のモールドキャビティからの第1のモールドキャビティの鋳造流体の流れが、異なり、他の残りのキャビティよりも遅い場合、これは鋳造部品が固着していることを示している場合がある。モールドに固着された鋳造部品を示している可能性がある、鋳造中に発生し得る第2の変化は、モールド側壁において湾曲をもたらす作動機構によって経験される抵抗またはフィードバックである。モールドの側壁は、作動機構によって所定の位置に保持することができ、鋳造部品がモールドにおいて固着またはハングアップしたら、モールド壁に鋳造部品によって力が加えられ得る。電気的作動機構の場合、その作動機構は、作動機構に対抗する抵抗力を示す作動機構で引き出されるアンペア数または電流の上昇またはスパイクを経験する可能性がある。このスパイクは、モールド内の鋳造部品のハングアップを示している場合がある。油圧作動機構の場合は、油圧ポンプから引き出される圧力または電流のスパイクは、鋳造部品がモールドにハングアップしていることを同様に示している場合がある。
【0061】
モールドに固着した鋳造部品を検出するさらに別の機構は、(
図2に示すように)スターティングブロック157およびプラットフォーム159にかかる重量または力を介するものであり得る。鋳造中、モールドキャビティに流入および流出する材料の増加に起因して、スターティングブロックが鋳造ピット中に下降すると、鋳造部品の重量が増加することになる。鋳造中のいずれかの時点で重量が減少する場合、スターティングブロックが鋳造部品の全重量を耐えられなくなっていることを示している。これは、鋳造部品がモールドに固着していることを示している可能性がある。スターティングブロックの重量の減少は、スターティングブロックまたはプラットフォーム上の力測定変換器または他のセンサーによって検出され得る。しかしながら、スターティングブロックの重量減少はまた、プラットフォームおよびスターティングブロックを下げるメカニズムを介して検出される場合もある。例えば、プラットフォームおよびスターティングブロックを下げるために使用される油圧システムは、チャンバからの流体の流れを制御することによりプラットフォームの下降を制御することができる。流体の流れまたは流体の流れの圧力の予想外の変化に応答して、システムのコントローラーは、スターティングブロックの重量が減少したと判断することができる。
【0062】
鋳造流体の流れの予想外の減速または作動機構の油圧もしくは電流のスパイクもしくは増加の一方か、あるいは両方か否かにかかわらず、鋳造部品がモールド内でハングアップしている兆候に応答して、コントローラーは、鋳造部品をモールドから解放または分離するために、鋳造部品とモールド壁との間に潤滑剤が届くように、モールドの側壁などの壁の形状を調整することができる。この形状の変化は、作動機構を作動させて、鋳造部品をスターティングブロックと共にモールドキャビティから鋳造ピットに下降させるように作動させるコントローラーによって引き起こすことができる。
【0063】
適切な湾曲プロファイルを誘導するための作動機構は、一対の作動プレートと、その作動プレートを動かす作動機構とを含むように上で説明および図示している。しかしながら、力受容部材に力を提供して、モールドの側壁または端壁に湾曲を付与するために、他の機構を用いてもよい。
図15は、
図14の側壁アセンブリ500の配置を含むこのような例示的な実施形態を示している。
図15の力受容部材510は、X軸に沿って力受容部材を(例えば、矢印515の方向またはその反対に)押したり引いたりできるアクチュエータ530に接続されている。
図15の例示的な実施形態は、力受容部材510を押したり/引いたりするための線形アクチュエータであるアクチュエータ530を含み得る。アクチュエータは、任意選択的に、力受容部材510に力を付与するためのラックギア上のピニオンギア、または力受容部材510に力を付与するために回転されるボールねじもしくはウォームギアなどのギアを回転させる回転アクチュエータを含み得る。上述のように、アクチュエータ530は、力受容部材510の変位を個別にまたはサブセットで、独立して制御し得る。
【0064】
アクチュエータ530が
図15に関して説明したように機能する例示的な実施形態では、同じモールドフレーム内で吊り下げられた複数のモールドは、アクチュエータ530によって加えられる等しい反対の力から利益を得ることができる。
図16は、モールドフレームアセンブリ545内に配置された複数のモールドアセンブリ540を示している。モールドアセンブリ540は、モールドフレームアセンブリ545が実質的に垂直な位置の間を遷移する際にフレーム内でモールドアセンブリを支持するために、任意の従来の様式でモールドフレームアセンブリ545に取り付けることができ、その場合、モールドアセンブリは、モールドキャビティ550を使用して鋳造中にモールドアセンブリが吊り下げられる実質的に水平な位置に対して直立に位置される。示すように、図示された3つのモールドアセンブリ540は、2対の隣接する側壁アセンブリ560を含む。鋳造中、モールドアセンブリの各々は、モールドキャビティ550の各々において、またモールドのための3つのスターターブロックが同時に下降している共通のプラットフォームにおいて、均一な材料が鋳造されるために、理想的には同時に鋳造段階の同じステージに存在する。そのため、各モールドの側壁の湾曲プロファイルは同じであるべきである。次いで、隣接する側壁アセンブリ560は、それらのそれぞれの側壁に等しい反対の力を提供することになる。
【0065】
図17は、モールドアセンブリの隣接ペアからの隣接する側壁アセンブリ560のペアに関する例示的な実施形態を示している。そのような実施形態では、等しい反対の加えられる力の利点を実現することができる。
図17の実施形態では、アクチュエータ530は、隣接する側壁アセンブリ560のペア間に配置することができ、力受容要素510の対向するペアに等しい反対の力を加えるように構成することができる。このようにして、アクチュエータは、力受容要素510に加えられた力に関係なく、ニュートラルな力状態のままである。これにより、これらのアクチュエータを支持する支持構造の実質性が低下し、アクチュエータ530によって及ぼされる力に基づいてモールドアセンブリが曲がるのを防ぐためにトップ構造を補強する必要がなくなる。
図17は共有アクチュエータ530を示しているが、例示的な実施形態は、各側壁アセンブリの各力受容部材510に対する個別のアクチュエータを含んでもよいが、隣接する側壁アセンブリ560由来の対応するアクチュエータ間の結合を可能にし得る。これにより、側壁アセンブリは、側壁において必要な湾曲プロファイルを生成しながら、力に中立になるように協働することができる。隣接する側壁アセンブリを有しない側壁アセンブリは、他の側壁アセンブリに隣接する側壁アセンブリに比べて、増加した構造的支持を必要とし得る。増加した構造的支持はモジュール式で取り外し可能であり得、隣接するアクチュエータの結合は交換可能であって、モールドを順序に関係なくフレーム内に配置でき、隣接側壁アセンブリの任意のペア間の結合を可能にし、また任意の非隣接側壁アセンブリの補強を可能にし得る。
【0066】
本明細書に記載の例示的な実施形態の動的に調整可能な側壁を使用して、鋳造部品がモールドキャビティを出て冷却されるときに、鋳造部品のプロファイルを確立することができる。しかしながら、いくつかの実施形態によれば、その動的に調整可能な側壁を、任意選択的に使用して、スターティングブロックをモールドキャビティに位置合わせするのを補助することができる。鋳造プロセスの開始時に鋳造流体が漏れないようにするには、スターティングブロックとモールドキャビティとの位置合わせが重要である。モールドフレームは、例えば電動、空気圧、または油圧アクチュエータ手段を介してスターティングブロックと位置合わせするために移動できるが、本明細書に記載の実施形態は、モールド側壁の動的な可撓性を使用して、モールドキャビティをスターティングブロックに位置合わせすることができる。スターティングブロック157は、プラットフォーム159上に配置してもよい。スターティングブロック157とプラットフォーム159との間の界面は、例えば、潤滑材料(グリース、オイル、グラファイトなど)を使用することにより、またはプラットフォーム159とスターティングブロック157との間にプラットフォームを介して供給される空気によるエアクッションを使用することにより、低減された摩擦界面であってもよい。1つ以上の位置合わせ機構は、スターティングブロック157をモールドキャビティと係合するように案内するガイドとして使用されるためにモールドキャビティの下に延びる。鋳造の前に、プラットフォームを上昇させてスターティングブロック157をモールドキャビティと係合させるとき、またはモールドを下降させてスターティングブロックと係合させるとき、モールドキャビティの側壁を調整してモールドキャビティを開けてもよい。動的に調整された側壁を使用してモールドキャビティを開けると、スターティングブロック157を受け入れることができる大きな領域を提供することができ、位置合わせが容易になる。
【0067】
スターティングブロックをモールドキャビティと係合させるには、モールドの位置合わせ機能が役立ち得る。また、スターティングブロック157がモールドキャビティ内に収まると、動的に調整された側壁を、より小さな開口部に対して調整して、鋳造開始のためのスターティングヘッドに適切なクリアランスを提供することができる。スターティングブロックがモールドキャビティ内で適切に整列またはセンタリングされていない場合、モールドキャビティの側壁の調整により、スターティングブロックがモールドキャビティ内でセンタリングされるように移動させることができる。スターティングブロック157とプラットフォーム159との間の低減された摩擦面は、この動きを促進し得る。この機構により、スターティングブロック157とモールドキャビティとの間の位置合わせがより容易に達成され得る。
【0068】
本明細書に記載された本発明の多くの変更例および他の実施形態は、前述の説明および関連する図面に提示された教示の恩恵を受けて、これらの発明が関係する当業者には思い浮かぶであろう。したがって、本発明は開示された特定の実施形態に限定されるべきではなく、修正および他の実施形態は添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されることを理解されたい。本明細書では特定の用語が使用されているが、それらは、一般的且つ説明的な意味でのみ使用されており、限定を目的としていない。