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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-03
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】高温ブリケット鉄の冷却装置
(51)【国際特許分類】
   C22B 1/26 20060101AFI20220204BHJP
【FI】
C22B1/26
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020145641
(22)【出願日】2020-08-31
(65)【公開番号】P2021195616
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2020-08-31
(31)【優先権主張番号】10-2020-0069632
(32)【優先日】2020-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520333136
【氏名又は名称】ジェイル マシナリー シーオー., エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】JEIL MACHINERY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100102255
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 誠次
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100198074
【弁理士】
【氏名又は名称】山村 昭裕
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【氏名又は名称】富田 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(72)【発明者】
【氏名】パク サン クイ
【審査官】▲来▼田 優来
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-2077689(KR,B1)
【文献】特開平03-061339(JP,A)
【文献】特開2003-062830(JP,A)
【文献】特開2000-088430(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0649732(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B1/00-1/26
F28C1/00-1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却された高温ブリケット鉄が排出される流出部を上向きにした傾斜をもって回転し、高温ブリケット鉄の装入部の下側に設けられ、所定の冷却水を滞留させる水位調節板を含む円筒状の回転体と、
前記回転体の内側円周面に沿って設けられ、内部に流入した高温ブリケット鉄を流出部の方向に移動するようにガイドするブレードと、
前記流出部から内側方向に冷却水噴射量が差等的に制御される複数の噴射ノズルを含む冷却水噴射モジュールと、を備え、
前記冷却水噴射モジュールは、前記流出部に最も近接した噴射ノズルの噴射量が最大であり、内側方向に向かってそれぞれの噴射ノズルの圧力損失を増加させて冷却水噴射量が減少するように差等的に制御され、
前記高温ブリケット鉄が、滞留した冷却水によって1次冷却され、前記ブレードにガイドされて移動しながら前記噴射ノズルによって2次冷却されることにより、冷却過程中に高温ブリケット鉄の冷却器内の位置別冷却効率を上昇させて冷却水の消耗量を減少させることを特徴とする、高温ブリケット鉄の冷却装置。
【請求項2】
前記冷却水噴射モジュールは、前記複数の噴射ノズルに連結されて一定の圧力で前記複数の噴射ノズルのそれぞれに冷却水を供給する冷却水供給配管を含み、前記流出部から内側方向に位置するほど前記噴射ノズルの直径を差等的に適用して圧力損失を増加させて冷却水噴射量を差等的に制御することを特徴とする、請求項1に記載の高温ブリケット鉄の冷却装置。
【請求項3】
前記冷却水噴射モジュールは、前記複数の噴射ノズルに連結され、前記流出部から内側方向に配管の直径が次第に減少することにより、圧力損失を増加させて冷却水噴射量を差等的に制御する冷却水供給配管を含むことを特徴とする、請求項1に記載の高温ブリケット鉄の冷却装置。
【請求項4】
前記ブレードは、前記回転体の内部に流入した高温ブリケット鉄の運動モードを変化させながら、前記高温ブリケット鉄が流出口の方向に移動するようにガイドし、前記運動モードは、高温ブリケット鉄が最小の高さで回転運動をして滞留冷却水に浸漬された状態が維持される装入部領域の滑りモードと、前記高温ブリケット鉄の活発な回転運動を誘導して前記冷却水噴射モジュールへ噴射された冷却水に対する接触表面積を増加させる流出部領域のローリングモードとを含むことを特徴とする、請求項1に記載の高温ブリケット鉄の冷却装置。
【請求項5】
前記運動モードは、前記装入部領域と前記流出部領域との間に、前記滑りモードよりも活性化された高温ブリケット鉄の回転運動を誘導する落下モードを含むことを特徴とする、請求項に記載の高温ブリケット鉄の冷却装置。
【請求項6】
前記ブレードは、前記装入部領域から前記流出部領域まで前記回転体の内側外周面に対して角度が互いに異なるように設けられ、前記運動モードを変化させることを特徴とする、請求項に記載の高温ブリケット鉄の冷却装置。
【請求項7】
前記回転体は、冷却されて前記流出部から排出される高温ブリケット鉄の外周面に残留する冷却水と前記高温ブリケット鉄との分離のためのスクリーンモジュールを前記回転体の外側端部に備えることを特徴とする、請求項1に記載の高温ブリケット鉄の冷却装置。
【請求項8】
前記高温ブリケット鉄の冷却装置は、前記回転体の外側を支持し且つ前記回転体を回転させる回転ユニットをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の高温ブリケット鉄の冷却装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温ブリケット鉄の冷却装置に関し、さらに詳細には、冷却過程中の急激な温度変化による高温ブリケット鉄の熱衝撃を最小限に抑え、それにより高温ブリケット鉄の破損を防止し、冷却表面積の増加を誘導し、高温ブリケット鉄の表面に形成された水蒸気層を効率よく除去して高温ブリケット鉄の生産性を向上させることができる高温ブリケット鉄の冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高温ブリケット鉄(HBI;Hot Briquetted Iron)は、鉄鉱石から酸素成分を除去した直接還元鉄(DRI;Direct Reduction Iron)を、ブリケットティング装備を用いて加工処理することにより製造された金属スクラップ代替材であって、金属スクラップよりも優れた品質を持つため、H形鋼や鉄板などの高級製品を作る材料として主に使用される。
【0003】
高温ブリケット鉄を生産する主要工程は、図1に示すように、まず、鉄鉱石を対象に、ガス相の還元剤(CO、H)または固相の還元剤(炭素)を用いて、鉄鉱石に存在する酸素を除去することにより、直接還元鉄を生産する。直接還元鉄は、一時保存または排出するストレージビン10へ移動させた後、ブリケットティング(Briquetting)工程に投入する。つまり、ブリケットティングマシン20によって、前記還元炉工程で生産された高温の直接還元鉄を約600~700℃の高温ブリケット鉄に製造する。製造された高温ブリケット鉄を、分離器30とスクリーン装置40を経た後、冷却装置50に投入する。冷却装置で高温ブリケット鉄を100℃以下に冷却した後、冷却された高温ブリケット鉄を、移送コンベヤー60を介してストレージ空間70へ移動させる。
【0004】
上述のように高温ブリケットティング工程で生産された高温ブリケット鉄は、後段工程への投入のために約100℃以下のレベルに冷却されなければならないので、高温ブリケット鉄の製造プラントにおいて、高温ブリケット鉄の冷却装置は、全体システム稼働率を左右する核心的な設備であるといえる。
【0005】
一般的に、高温ブリケット鉄の冷却装置は、チェーン状のクエンチタンク(QuenchTank)が広く使用されている。ところが、当該装置は、駆動に必要な主要部品であるチェーン、ベアリング、ローラー及びレールなどが冷却装置の内部に位置するため、生産工程中に装置内の下部に浸漬されている冷却水と一緒に作動する。したがって、これらの部品は、浸漬された冷却水による頻繁な脱落により耐久性の問題を引き起こすおそれがあり、部品の頻繁な交換によるメンテナンス費用が増加するおそれがある。これにより、全体プラント稼働率が約50%のレベルまで低下し、生産量が減少し、生産費用が増加するという問題点が発生するおそれがある。
【0006】
また、高温ブリケット鉄は、冷却過程で脆弱になるおそれがあり、脆弱になった高温ブリケット鉄は、冷却装置内で移送中に粉末状の脱落物が発生して内部に蓄積され、それにより設備への負荷が増加するおそれがあり、除去のためのメンテナンス時間がかかって生産量に問題を引き起こすおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国登録特許第10-2077689号公報(登録日:2020年2月10日)
【文献】韓国登録特許第10-0649732号公報(登録日:2006年11月17日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、高温ブリケット鉄の冷却装置の駆動に必要な構成要素が冷却装置の外部に備えられることにより、装備稼働率及び生産性を向上させることができる高温ブリケット鉄の冷却装置を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、冷却装置の内部の温度分布を制御することにより、位置に応じた高温ブリケット鉄の急激な冷却を最小限に抑えて冷却器内の位置別冷却効率を上昇させて冷却水の消耗量を最小限に抑えることができる高温ブリケット鉄の冷却装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、冷却装置の内部で高温ブリケット鉄の運動モードを変化させながら冷却することにより冷却表面積の増加を誘導し、高温ブリケット鉄の表面に形成された水蒸気層を効率よく除去して冷却効率を向上させることができる高温ブリケット鉄の冷却装置を提供することを目的とする。
【0011】
本発明の目的は、上述した目的に限定されず、上述していない別の目的は、以降の記載から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解できるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、冷却された高温ブリケット鉄が排出される流出部を上向きにした傾斜をもって回転し、高温ブリケット鉄の装入部の下側に設けられ、所定の冷却水を滞留させる水位調節板を含む円筒状の回転体と、前記回転体の内側円周面に沿って設けられ、内部に流入した高温ブリケット鉄を流出部の方向に移動するようにガイドするブレードと、前記流出部から内側方向に冷却水噴射量が差等的に制御される複数の噴射ノズルを含む冷却水噴射モジュールと、を備え、前記高温ブリケット鉄が、滞留した冷却水によって1次冷却され、前記ブレードにガイドされて移動しながら前記水噴射ノズルによって2次冷却されることにより、冷却過程中に高温ブリケット鉄の冷却器内の位置別冷却効率を上昇させて冷却水の消耗量を減少させることを特徴とする、高温ブリケット鉄の冷却装置を提供することができる。
【0013】
前記冷却水噴射モジュールは、前記流出部に最も近接した噴射ノズルの噴射量が最大であり、内側方向に向かってそれぞれの噴射ノズルの圧力損失を増加させて冷却水噴射量が減少するように差等的に制御することができる。
【0014】
前記冷却水噴射モジュールは、前記複数の噴射ノズルに連結されて一定の圧力で前記複数の噴射ノズルのそれぞれに冷却水を供給する冷却水供給配管を含み、前記流出部から内側方向に位置するほど前記噴射ノズルの直径を差等的に適用して冷却水噴射量を差等的に制御することができる。
【0015】
前記冷却水噴射モジュールは、前記複数の噴射ノズルに連結され、前記流出部から内側方向に配管の直径が次第に減少することにより、圧力損失を増加させて冷却水噴射量を差等的に制御する冷却水供給配管を含むことができる。
【0016】
前記ブレードは、前記回転体の内部に流入した高温ブリケット鉄の運動モードを変化させながら、前記高温ブリケット鉄が流出口の方向に移動するようにガイドすることができる。
【0017】
前記運動モードは、高温ブリケット鉄が最小の高さで回転運動をして滞留冷却水に浸漬された状態が維持される装入部領域の滑りモードと、前記高温ブリケット鉄の活発な回転運動を誘導して前記冷却水噴射モジュールへ噴射された冷却水に対する接触表面積を増加させる流出部領域のローリングモードとを含むことができる。
【0018】
前記運動モードは、前記装入部領域と流出部領域との間に、前記滑りモードよりも活性化された高温ブリケット鉄の回転運動を誘導する落下モードを含むことができる。
【0019】
前記ブレードは、前記装入部領域から前記流出部領域まで前記回転体の内側外周面に対して角度が互いに異なるように設けられ、前記運動モードを変化させることができる。
【0020】
前記回転体は、冷却されて前記流出部から排出される高温ブリケット鉄の外周面に残留する冷却水と高温ブリケット鉄との分離のためのスクリーンモジュールを前記回転体の外側端部に備えることができる。
【0021】
前記高温ブリケット鉄の冷却装置は、前記回転体の外側を支持し且つ前記回転体を回転させる回転ユニットをさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の実施形態に係る高温ブリケット鉄の冷却装置は、高温ブリケット鉄の冷却装置の駆動に必要な回転ユニットなどの構成要素が冷却装置の外部に備えられることにより、装備稼働率及び生産性を向上させることができるという利点がある。また、滞留冷却水と、差等的に噴射される冷却水を介して冷却装置の内部の温度分布を制御することにより、位置に応じた高温ブリケット鉄の急激な冷却を最小限に抑え、冷却器内の位置別冷却効率を上昇させて冷却水の消耗量を最小限に抑えることができるという効果がある。
【0023】
さらに、冷却装置の内部で高温ブリケット鉄の移動をガイドするブレードによって高温ブリケット鉄の運動モードの変化を誘導して冷却することにより、急激な冷却を防止し、冷却表面積を増加させることができ、高温ブリケット鉄の表面に形成された水蒸気層を効率よく除去して冷却効率を向上させることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】高温ブリケット鉄の生産過程を示す断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る高温ブリケット鉄の冷却装置を示す断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る高温ブリケット鉄の冷却装置の回転体と高温ブリケット鉄の移動を示す断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る高温ブリケット鉄の冷却装置のブレードと高温ブリケット鉄の運動モードの変化を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る高温ブリケット鉄の冷却装置を流出部の方向から見た正面図である。
図6図2のA-A’に沿った断面図であって、本発明の実施形態に係る高温ブリケット鉄の冷却装置の回転体と回転ユニットを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。次に紹介される実施形態は、当業者に本発明の思想が十分に伝達できるようにするために例として提供されるものである。よって、本発明は、以下に説明される実施形態に限定されず、他の形態で具体化されることも可能である。そして、図面において、層および領域の長さ、厚さなどは、便宜のために誇張されて表現されることも可能である。明細書全体にわたって、同じ参照番号は同じ構成要素を示す。
【0026】
図1は高温ブリケット鉄の生産過程を示す断面図、図2は本発明の実施形態に係る高温ブリケット鉄の冷却装置を示す断面図、図3は本発明の実施形態に係る高温ブリケット鉄の冷却装置の回転体と高温ブリケット鉄の移動を示す断面図、図4は本発明の実施形態に係る高温ブリケット鉄の冷却装置のブレードと高温ブリケット鉄の運動モードの変化を示す図、図5は本発明の実施形態に係る高温ブリケット鉄の冷却装置を流出部の方向から見た正面図、図6図2のA-A’に沿った断面図であって、本発明の実施形態に係る高温ブリケット鉄の冷却装置の回転体と回転ユニットを示す断面図である。
【0027】
図1乃至図6を参照すると、本発明の実施形態に係る高温ブリケット鉄の冷却装置50は、円筒状の回転体510、ブレード520及び冷却水噴射モジュール530を含むことができる。
【0028】
前記高温ブリケット鉄の冷却装置50は、冷却対象として、高温ブリケット鉄1だけでなく、石炭乾留工程で生成されたチャー(Char)やコークス(Cokes)などが含まれ得る。さらに、高温ブリケット鉄の冷却装置50は、製鉄工程以外の様々な産業分野において、冷却が要求される200℃以上の高温の物体に適用できる。
【0029】
前記回転体510は、冷却された高温ブリケット鉄1’が排出される流出部512を上向きにした傾斜をもって回転することができ、高温ブリケット鉄の装入部514の下側には水位調節板516が設けられることにより、所定の冷却水を滞留させることができる。つまり、冷却水噴射モジュール530の冷却水の噴射により回転体510の内部に冷却水Wが滞留することができるが、高温ブリケット鉄1が移送されて投入される装入部514を相対的に低くし、高温ブリケット鉄が排出される流出部512を高くするように回転体510を傾設することにより、装入部514から流出部512に行くほど滞留冷却水Wの水位は低くなり得る。滞留冷却水は、水位調節板516の高さに応じて一定の水位を確保し、滞留量を調節することができ、適切な滞留量を超えると、回転体510の外部に流出して冷却水排出部517を介して排出できる。つまり、装入部514領域の滞留冷却水Wの水位は、水位調節板516の高さと同じであり、例えば200mm乃至1000mmであり得る。
【0030】
また、装入部514の近接領域に位置した高温ブリケット鉄によって加熱された滞留冷却水Wは、溢されて排出されるようにするが、これにより、滞留冷却水Wが一定の温度以上に上がらないようにすることができる。冷却水噴射モジュール530を介して継続的に供給される冷却水は、水位調節板516上に溢れ出て装入部514の外部へ排出されることにより回転体510の外部へ流出することができる。このように流出した冷却水は、加熱された状態であり、加熱された冷却水は、冷却塔に流入して再び冷却された後、冷却水循環用ポンプによって冷却水噴射モジュール530を介して回転体510の内部に流入することができる。
【0031】
回転体510の傾きは、2~15°であり、回転体510の直径と長さに応じて決定できる。つまり、回転体510の直径が大きくて長さが短い場合には、傾きをより増加させることができる。
【0032】
さらに、前記回転体510は、前記高温ブリケット鉄が冷却されながら発生した水蒸気を前記回転体510の外部へ放出するファン(Fan)をさらに備えることができる。約550~700℃の高温ブリケット鉄1が冷却水により冷却されながら発生した水蒸気により、回転体510の内部温度が上昇するか或いは高温ブリケット鉄の冷却に困難を与えることがある。よって、回転体510は、水蒸気排出のためのポンプを備えて水蒸気を回転体510の外部へ放出することができる。
【0033】
前記ブレード520は、回転体510の内側円周面に沿って設けられ、内部に流入した高温ブリケット鉄1を流出部512の方向に移動するようにガイドすることができる。すなわち、装入部514から流入した高温の高温ブリケット鉄1を回転体510と一緒に回転するブレード520によって流出部512へ移送し、回転体510の内部で移動(B)する間、高温ブリケット鉄1を冷却できる。高温ブリケット鉄1の効果的な移送及び冷却のために、ブレード520の幅は、高温ブリケット鉄1の幅またはサイズの3倍~10倍であり得る。
【0034】
前記冷却水噴射モジュール530は、流出部512から内側方向に冷却水噴射量が差等的に制御される複数の噴射ノズル532を含むことができる。よって、前記高温ブリケット鉄1が、滞留した冷却水Wによって1次冷却され、前記ブレード520にガイドされて移動しながら前記冷却水噴射ノズル532によって2次冷却されることにより、冷却過程中に高温ブリケット鉄1の冷却効率を最大限に上昇させることができ、これにより冷却水の消耗量を最小限に減らすことができる。
【0035】
すなわち、図3に示すように、冷却水噴射ノズル532から噴射されて装入部514の方向Cに移動するが、冷却中の高温ブリケット鉄によって温度が高くなった滞留冷却水Wは、水位調節板516によって回転体510内に一定の水位で存在し、装入部514に流入した高温ブリケット鉄1を、1次的に前記滞留冷却水を用いて冷却させることにより、冷却水の消耗量を最小限に抑えることができる。そして、回転体510の内部に位置する高温ブリケット鉄1は、ブレード520によってガイドされて移動(B)して冷却水噴射ノズル532に順次近くなりながら温度が低くなる滞留冷却水Wによって冷却できる。次に、冷却水噴射ノズル532の下側に移動した高温ブリケット鉄は、冷却水噴射ノズル532で噴射される冷却水によって2次的に冷却された後、回転体510の外部へ移送され得る。
【0036】
前述したように、本発明の実施形態に係る高温ブリケット鉄の冷却装置50は、回転体510の内部で高温ブリケット鉄1の移動Bと反対の方向に冷却の流れCが形成されるCounter-Flow方式で冷却が行われることにより、冷却効率を向上させることができる。つまり、高温ブリケット鉄排出領域のスプレー方式の冷却水噴射による主冷却(2次冷却)と、冷却水噴射ノズル532の領域に上方傾斜するように傾いた回転体510の構造的形状、及び冷却水排出領域に設置された水位調節板516によって保有された(高温ブリケット鉄の主冷却によって温度が上昇した)滞留冷却水Wによる予備冷却(1次冷却)の方式で行われ、これにより、最初のブリケットティングマシンから装入される高温ブリケット鉄の冷却水を最大限に活用することにより、冷却器内の冷却水の消耗量を最小限に抑えることができるという効果がある。
【0037】
高温ブリケット鉄の冷却水噴射ノズル532による冷却水接触時間は、約1~20分程度であり得る。滞留冷却水Wによる冷却水接触時間は、滞留冷却水Wの温度と水位調節板516の高さに応じて決定できる。例えば、滞留冷却水Wの温度が適正温度を超えた場合、すなわち、高温ブリケット鉄が多く供給された場合には、滞留冷却水Wの供給流量を増やして滞留冷却水Wの回転体510内の滞留時間を短くして冷却を迅速に行うことができ、滞留冷却水Wの温度が適正温度未満である場合、すなわち、高温ブリケット鉄の供給量が少ない場合には、滞留冷却水Wの供給流量を減らして滞留冷却水Wの回転体510内の滞留時間を延長することができる。
【0038】
前記冷却水噴射モジュール530は、前記流出部512に最も近接した噴射ノズルN1の噴射量が最大であり、内側方向に向かってそれぞれの噴射ノズルの圧力損失を増加させて冷却水噴射量が減少するように差等的に制御することができる。図3では、冷却水噴射ノズル532をN1からN4まで示したが、これは例示に過ぎず、これに限定されるものではない。
【0039】
さらに、前記冷却水噴射モジュール530は、前記複数の噴射ノズル532に連結されて一定の圧力で前記それぞれの噴射ノズル532に冷却水を供給する冷却水供給配管534を含み、前記流出部512から内側方向に位置するほど、前記噴射ノズル532の直径を差等的に適用して冷却水噴射量を差等的に制御することができる。
【0040】
また、他の例として、前記冷却水噴射モジュール530は、前記複数の噴射ノズル532に連結されるが、前記流出部512から内側方向に配管の直径が次第に減少することにより、圧力損失を増加させて冷却水の噴射量を差等的に制御する冷却水供給配管534を含むことができる。
【0041】
上述したような冷却水噴射モジュール530は、前述したように、高温のブリケット鉄1と冷却水によって急激な冷却反応による熱的クラックを最小化するためのものであって、冷却水噴射ノズル532のそれぞれの噴射量を差等的に適用するためには、圧力損失の概念を含む流体力学を用いたデザインで実現できる。その一例として、冷却水供給配管534の大きさと形状を一定にし、それぞれの噴射ノズルN1、N2、N3、N4の直径を差等的に適用して回転体510の内部に行くほど当該位置別噴射ノズルへの圧力損失を増加させて関連冷却水噴射量を調節することができる。他の例として、それぞれの噴射ノズルN1、N2、N3、N4の直径を一定にし、冷却水引込部から回転体510の内部方向へ、すなわち、N1からN4方向へ冷却水供給配管534の直径を次第に減少させる配管設計によって差等的圧力損失を介して冷却水噴射量を調節することができる。したがって、滞留冷却水Wと差等的に噴射される冷却水を介して冷却装置の内部の温度分布が効率よく制御できるという利点がある。
【0042】
前記ブレード520は、前記回転体510の内部に流入した高温ブリケット鉄1の運動モードを変化させながら、前記高温ブリケット鉄1が流出部512の方向に移動(B)するようにガイドすることができる。
【0043】
例えば、前記運動モードは、高温ブリケット鉄が最小の高さで回転運動をして滞留冷却水に浸漬された状態が維持される装入部514領域の滑りモードと、前記高温ブリケット鉄の活発な回転運動を誘導して前記冷却水噴射モジュールへ噴射された冷却水に対する接触表面積を増加させる流出部512領域のローリングモードとを含むことができる。さらに、前記運動モードは、前記装入部514領域と流出部512領域との間に、前記滑りモードよりも活性化された高温ブリケット鉄の回転運動を誘導する落下モードを含むことができる。
【0044】
高温ブリケット鉄1が最初装入される領域、すなわち滑りモードでは、高温ブリケット鉄に対して回転運動を最小限に抑え、ブレード520aの面に沿ってスライド運動を誘導することができる。よって、高温の状態で冷却に連携された急激な動きによる高温ブリケット鉄の破損を最小限に抑えることができるとともに、滞留冷却水Wに十分に浸漬された状態で行うことができるように制御して、高温ブリケット鉄が初期冷却効率を向上させることができる。そして、回転体510の中心領域、すなわち落下モードでは、高温ブリケット鉄の回転運動を前記滑りモードよりも次第に活性化されるように誘導して回転体510内で高温ブリケット鉄の破損を最小限に抑え、回転する高さを次第に高めることができる。高温ブリケット鉄の排出領域、すなわちローリングモードでは、ブリケット鉄の回転運動が活発な状態に誘導され、冷却水噴射モジュール530から直接冷却できる高さに位置することができる。よって、噴射された冷却水によって冷却効率に妨害因子として作用する表面に形成された水蒸気層(Vapor Layer)が除去されるとともに、活発な回転運動によってブリケット鉄の冷却水接触表面積が増加して冷却効率がさらに向上できる。
【0045】
前記ブレード520は、前記装入部514領域から前記流出部512領域まで前記回転体510の内側外周面に対して角度が互いに異なるように設けられ、前記運動モードを変化させることができる。つまり、滑りモードのブレード520aと落下モードのブレード520bとローリングモードのブレード520cは、回転体510の外周面に対して互いに異なる角度を有することができる。例えば、滑りモードにおいて、高温ブリケット鉄のブレード520aの表面に沿ってスライドされることを誘導するために、滑りモードのブレード520aの角度θ1は、回転体510の外周面に対して急傾斜角を持つことができるように0~10°の角度にされる。また、ローリングモードにおいて回転体510の回転に対して冷却水噴射モジュール530から直接冷却できる高さに位置することができるように、ローリングモードのブレード520cの角度θ3は、回転体510の外周面に対して30~50°の角度にされる。さらに、落下モードのブレード520bの角度θ2は、滑りモードのブレード520aの角度θ1とローリングモードのブレード520cの角度θ3との間で順次減少することができる。
【0046】
したがって、冷却装置の内部で高温ブリケット鉄の移動をガイドするブレード520により、高温ブリケット鉄1の運動モードの変化を誘導して冷却することにより、冷却ステップ別の急激な冷却による移送中の高温ブリケット鉄の破損を最小限に抑え、冷却表面積を増加させることができ、高温ブリケット鉄の表面に形成された水蒸気層を効率よく除去して冷却効率を向上させることができるという利点がある。
【0047】
前記高温ブリケット鉄の冷却装置50は、前記回転体510の外側を支持し且つ前記回転体510を回転させる回転ユニット550をさらに含むことができる。傾いた回転体510を支持するために、回転ユニット550は、ベースフレームF、支持ローラー552及びガイドローラー554を含む支持体558を備えることができる。ベースフレームFと回転体510との間に備えられる支持ローラー552は、回転運動をする回転体510の回転軸がぶれないように回転体510を支持することができ、ガイドローラー554は、回転体510が傾斜面に沿って前後方向に移動しないように位置を固定する役割を果たすことができる。よって、回転体510が傾いた状態であるとしても、支持体558により高温ブリケット鉄の冷却のための回転運動は一定に維持できる。
【0048】
また、回転ユニット550は、回転体510の回転のための駆動モジュール556を備えることができ、駆動モジュール556は、ギアタイプまたはチェーンタイプの駆動方式を取ることができる。例えば、ギアタイプの場合、前記駆動モジュール556は、駆動力を提供するモーターと、モーターに装着されたピニオンギアと、回転体510の外側面に形成され且つピニオンギアに噛み合うドライビングギアとを含むことができる。よって、浸漬された冷却水による頻繁な脱落により耐久性の問題を起こして部品の頻繁な交換によるメンテナンス費用が増加していた従来の冷却装置とは異なり、高温ブリケット鉄の冷却装置の駆動に必要な構成要素である回転ユニット550が冷却装置の外部に備えられることにより、装備稼働率及び生産性を向上させることができるという利点がある。
【0049】
前記回転体510は、冷却されて前記流出部512から排出される高温ブリケット鉄の外周面に残留する冷却水と高温ブリケット鉄との分離のためのスクリーンモジュール540を、前記回転体510の外側端部に備えることができる。よって、スクリーンモジュール540によって分離された残留冷却水は、流出部512の下部に位置した冷却水排出部517へ移動し、冷却塔に流入して再び冷却された後、冷却水循環用ポンプによって冷却水噴射モジュール530を介して回転体510の内部に流入することができる。そして、冷却済みの高温ブリケット鉄1’は、スクリーンモジュール540からブリケット鉄排出部515へ移動し、移送コンベヤー60を介してストレージ空間70へ移動することができる。
【0050】
本発明の実施形態に係る高温ブリケット鉄の冷却装置は、滞留冷却水と差等的に噴射される冷却水を介して冷却装置の内部の温度分布を制御することにより、位置に応じた適正の冷却水供給分布を維持して冷却器内の位置別冷却効率を上昇させて冷却水の消耗量を最小限に抑えることができるという利点がある。
【0051】
また、冷却装置の内部で高温ブリケット鉄の移動をガイドするブレードによって高温ブリケット鉄の運動モードの変化を誘導して冷却ステップ別の急激な冷却による移送中の高温ブリケット鉄の破損を最小限に抑え、冷却表面積を増加させることができ、高温ブリケット鉄の表面に形成された水蒸気層を効率よく除去して冷却効率を向上させることができるという利点がある。
【0052】
以上、本発明の好適な実施形態を参照して説明したが、当該技術分野の熟練した当業者は、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱することなく、本発明を多様に修正及び変更させることができることが理解できるだろう。
【符号の説明】
【0053】
10 ストレージビン(storage bin)
20 ブリケットティングマシン(briquetting machine)
30 分離器
40 スクリーン装置
50 高温ブリケット鉄の冷却装置
60 移送コンベヤー
70 ストレージ空間
510 回転体
512 流出部
514 装入部
516 水位調節板
520、520a、520b、520c ブレード
530 冷却水噴射モジュール
532 冷却水噴射ノズル
534 冷却水供給配管
540 スクリーンモジュール
550 回転ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6