(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-03
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】内腔内部および体内腔の壁から物質を除去するのに適したデバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 17/3207 20060101AFI20220204BHJP
A61B 17/22 20060101ALI20220204BHJP
【FI】
A61B17/3207
A61B17/22
(21)【出願番号】P 2020151485
(22)【出願日】2020-09-09
(62)【分割の表示】P 2018212388の分割
【原出願日】2014-03-18
【審査請求日】2020-10-09
(32)【優先日】2013-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509237767
【氏名又は名称】ナショナル ユニバーシティー オブ アイルランド, ゴールウェイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーク ブルージ
(72)【発明者】
【氏名】サイード カシリ ガヒ
(72)【発明者】
【氏名】ポール ヘネガン
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0239064(US,A1)
【文献】特表2004-503265(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0219028(US,A1)
【文献】特表平11-506358(JP,A)
【文献】特開2005-006779(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0179181(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/3207
A61B 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内腔における使用に適したデバイスであって、細長くされた制御部材と、半径方向拡張可能ケージとを備え、前記半径方向拡張可能ケージは、前記細長くされた制御
部材の遠位端または前記遠位端に隣接して配置され、収縮される配向と拡張される(展開される)配向との間で調節可能であり、前記半径方向拡張可能ケージは、展開された方向にあるとき、血管壁から血栓を掻き取り、または血管壁から除去された物質を収集するように適合され、前記デバイスは、摘出器チューブ内に配置され、回転するように適合されたらせん形状を含む摘出器を備え、前記摘出器チューブは、1つ以上の窓を備え
、前記窓は、前記摘出器チューブの側壁内の半径方向に延びており、前記半径方向拡張可能ケージは、前記窓を含む前記摘出器チューブの一部を取り囲んでいることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記摘出器の少なくとも一部は、前記半径方向拡張可能ケージ内に配置されることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記らせん形状は、前記らせん形状と共に回転して抽出のための血栓を切断または破壊するように適合された、らせん形状の端部または近くの刃先を備えることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記細長くされた制御部材は、2つのアーム、すなわち、前記半径方向拡張可能ケージの近位端に接続される、または隣接する近位アームと、前記半径方向拡張可能ケージの遠位端に接続される、または隣接する遠位アームと、を備え、他方のアームに対する一方のアームの動きにより、前記半径方向拡張可能ケージの直径または半径方向の強度が調整されることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記らせん形状は、前記遠位アームの周りに同軸に配置され、一緒に回転するように前記遠位アームに取り付けられる、らせん状ワイヤを備えることを特徴とする請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記らせん形状は、前記遠位アームの周りを回転するために前記遠位アームの周りに同軸に配置される、らせん状ワイヤを備えることを特徴とする請求項4に記載のデバイス。
【請求項7】
前記近位アームは、
前記摘出器チューブであることを特徴とする請求項4~6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記
摘出器チューブは、刃先を備えることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内腔内部および体内腔の壁から物質(matter)を除去するのに適したデバイスに関する。特に、本発明は、人間の静脈または動脈の壁から血栓を除去するための血栓除去デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
脈管から妨害物を摘出するための多くの方法およびデバイスが存在している。血塊(clot)をそのまま引き出すのではなく解離し(macerate)摘出する血栓除去デバイスが存在する。以下は、関係付けられた特許のいくつかである。
【0003】
コア要素およびケージを有する塞栓症治療デバイスを導入する(たとえば、特許文献1参照)。ケージは、拡大可能な編組を含むことができ、拡張可能な編組は、コア要素に回転可能に取り付けられ、血管壁から血塊を分離するように開かれる、またはそれを引き出すように血塊を越えて拡張されることができる。コア要素は、ケージから除去可能でない回転可能な部分を有する。
【0004】
塞栓を収集するためのコアワイヤ要素および渦巻状コレクタを有する塞栓除去デバイスを開示する(たとえば、特許文献2参照)。デバイスはまた、送達後のケージの拡張を可能にするためのアクチュエータを有することができる。
【0005】
血栓のサイズを縮小しそれを脈管から除去するためのデバイスを提示する(たとえば、特許文献3参照)。デバイスは、カテーテルの長手方向帯形状から形成されたフィルタを有する管状カテーテルである。フィルタは、遠位および近位側がそれぞれ互いに対して押されたときに開く。デバイスは、血塊を摘出するための噴流および内腔を備える。
【0006】
血管内腔から閉塞物質を除去するためのカテーテルを提示する(たとえば、特許文献4参照)。カテーテルは、容易に拡大可能な位置決めケージ、および容易に拡大可能なマセレータ(macerator)を備える。ケージの直径は、予め定められた制約されない直径を用いて調節可能である。拡張可能なマセレータを開示する(たとえば、特許文献5参照)。
【0007】
硬化された古い血栓の血管壁からの除去のための半径方向に拡張可能なケージを提示する(たとえば、特許文献6参照)。ケージの開閉は、近位/ユーザ端で、ケージ両端を一緒に近づけるまたはさらに離すように移動させることによって制御され、これは、手動で、またはケージの半径方向拡張を規定するねじ付けされたチューブを用いて行われる。
【0008】
塞栓の最小限のリスクで血塊を摘出するための二重フィルタデバイスを含む機構を提示する(たとえば、特許文献7参照)。
【0009】
塞栓および血栓除去のための血管デバイスがある(たとえば、特許文献8参照)。それは、塞栓を収集する折り畳みされ得る血管透過性嚢を含む。これは、小さな塞栓を摘出する速い方法であるが、大きい血塊に対しては嚢が極度に長くなる必要がある。
【0010】
血栓除去デバイスが主張されている(たとえば、特許文献9参照)。カテーテルベースのデバイスが、カテーテルの遠位端に位置付けられたせん断部材を備え、内部せん断部材は回転可能である。
【0011】
特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献16、特許文献17、特許文献18、および特許文献19は、塞栓フィルタのための異なる構造の例である。フィルタは、ステント留置またはPTCAなどの操作前に脈管内に配設され得る。操作後、フィルタは折り畳まれ、身体から取り出される。いずれのフィルタも、血栓形成を有する大きな先細にされた静脈に適していない。フィルタは、展開後に脈管に沿って動かされるように設計されていないので、これは、長い血栓を除去することを難しくする。上で説明された既存のデバイスおよび方法は、大きな容積の血栓、さらに大きなおよび/または先細にされたおよび/または分岐された脈管における血栓を採取する場合に高い性能を持たない。これらのデバイスに関連付けられた制約は、手順の期間、および血栓除去効率性を含む。
【0012】
本発明の目的は、上で言及された問題の少なくとも1つを克服することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】米国特許第5972019号明細書
【文献】米国特許第6066158号明細書
【文献】米国特許第5795322号明細書
【文献】米国特許第6660014号明細書
【文献】米国特許第6454775号明細書
【文献】米国特許出願公開第2006/0229645号明細書
【文献】米国特許第6383205号明細書
【文献】米国特許第6616679号明細書
【文献】米国特許第6652548号明細書
【文献】米国特許第6656203号明細書
【文献】米国特許第7083633号明細書
【文献】米国特許第7014647号明細書
【文献】米国特許第6558405号明細書
【文献】欧州特許出願公開第1310219号明細書
【文献】欧州特許第1310219号明細書
【文献】米国特許出願公開第2007/0173883号明細書
【文献】米国特許第6179859号明細書
【文献】米国特許第7922741号明細書
【文献】米国特許出願公開第2011/0125181号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
概して、本発明は、体内腔における使用に適したデバイスであって、細長くされた制御部材と、半径方向に拡張可能な部材(以下、半径方向拡張可能部材)(すなわち、ケージ、ファンネル、またはリング)とを備え、半径方向拡張可能部材は、細長くされた制御アームの遠位端にまたはその遠位端に隣接して配置され、収縮される配向と拡張される(展開される)配向との間で調節可能である、デバイスを提供する。半径方向拡張可能部材は、体内腔(すなわち、静脈、動脈、または尿道など他の内腔)の壁から物質(すなわち、血栓)を除去し、たとえば、血管壁から血栓を掻き取り(scrape)、また内腔の壁から除去された物質を収集し、および任意選択で、展開された配向のときに両方を行うように適合されている。制御部材は、2つのアームを備え、それらの一方は、半径方向拡張可能部材の近位端にまたはその近位端に隣接して連結され、それらの他方は、半径方向拡張可能部材の遠位端にまたはその遠位端に隣接して連結される。アームの一方の他方に対する移動が、半径方向拡張可能部材の直径または半径方向強度の調節、たとえば、収縮される配向から拡張される(展開される)配向への直径の調節、または第1の力からより大きな力への半径方向力の調節をもたらす。移動は、好ましくは長手方向移動である。加えて、デバイスは、理想的には両方のアームに作動的に連結された制御機構を含み、アームの一方の他方に対する移動に対する抵抗を提供する。制御機構は、拡張されるまたは収縮される配向になるようにまたはその方向に半径方向拡張可能部材を付勢するための付勢手段を備えることができ(
図11)、それは、特定の予め定められた力が半径方向拡張可能部材に加えられたときにのみアームの一方の他方に対する移動が発生するように、2つのアームをある力により1つの配向でクランプ留めする制動手段を含むことができ(
図9)、または、それは、付勢手段と制動手段の組合せを備えることができる(
図12)。
【0015】
本発明のデバイスは、弁などの障害物を有する先細り内腔における使用に理想的には適していて、内腔に沿った展開された形状のケージの移動は、ケージの直径が変化することを必要とする。内腔が内方へ(ケージの移動の方向で)先細になっているとき、制御機構は、(半径方向拡張可能部材を拡張される配向へ付勢することによって、または2つのアームを特定の配置でクランプ留めすることによって)半径方向拡張可能部材の収縮に抵抗する力を半径方向拡張可能部材に対して及ぼし、それは、内腔によって半径方向拡張可能部材に対して及ぼされた力が、抵抗機構によって作用された力を含む合計の抵抗力を超えるまで行われ、超えるポイントで半径方向拡張可能部材の直径が縮小することになる。これは、半径方向拡張可能部材が、内腔の壁に沿って移動させられて壁に対して半径方向力を及ぼし、それにより、掻き取り/収集活動をもたらすことができることを意味する。
【0016】
同様に、管が外方へ(ケージの移動の方向で)先細になっているとき、抵抗機構は、ケージを拡張される配向へ付勢することによってケージに対して力を及ぼす付勢手段を備える。これは、ケージが、脈管構造の壁に沿って掻き取りをして壁に対して半径方向力を及ぼし、外方へ先細になる壁に沿って掻き取る活動をもたらすことを意味する。
【0017】
本発明によれば、体内腔における使用に適したデバイスであって、
- 遠位端および近位端を有する細長くされた制御部材と、遠位端にまたは遠位端の近くに配置され、体内腔の壁からの物質の収集および/またはせん断に適合された、半径方向拡張可能部材とを備え、
- 半径方向拡張可能部材は、近位端および遠位端を有し、収縮される配向と拡張される配向との間で調節可能であり、
- 細長くされた制御部材は、一方のアームの他方のアームに対する移動が、半径方向拡張可能部材の直径および/または半径方向強度の調節をもたらすように、半径方向拡張可能部材に連結された近位アームと、近位アーム連結の遠位で半径方向拡張可能部材に連結された遠位アームとを備えるデバイスにおいて、
両方のアームに作動的に連結され、かつ一方のアームの他方のアームに対する移動に対する抵抗を提供するように適合された、制御機構を備えることを特徴とするデバイスが提供される。
【0018】
遠位アームは、一般に、近位アーム連結の遠位で半径方向拡張可能部材に連結される。したがって、遠位アームは、半径方向拡張可能部材の遠位端にまたはその遠位端に隣接して連結されることができ、近位アームは、遠位アーム連結とケージの近位端との間のポイントで半径方向拡張可能部材に連結されることができる。
【0019】
好ましくは、半径方向拡張可能部材はケージであるが、他の半径方向拡張可能部材、たとえば、拡張可能リング、ファンネルなどが考えられる。半径方向拡張可能部材は、ケージを形成するようにらせん配列で配列され得る1または2以上のストラットから形成されることができる。
【0020】
遠位または近位アームは、たとえば、ワイヤまたはチューブとすることができる。一実施形態では、アームの一方は、チューブ(たとえば近位アーム)であり、他方のアーム(たとえば遠位アーム)は、ワイヤであり、ワイヤは、チューブにおいて内腔内に好適に配置される。好適には、遠位アームと近位アームは、それらの長さに沿って同一の広がりを持つ(たとえば、それらはケージまで同一の広がりを持つ)。2つのアームを有する制御部材は、チューブ内、典型的にはカテーテルチューブ内に配置され得る。好ましい実施形態では、近位アームは管状であり、遠位アームは近位アーム内に配置される。好ましくは、(デバイスがガイドワイヤを介して送達されるのを容易にするように)遠位アームは管状である。
【0021】
典型的には、制御機構は、拡張されるまたは収縮される配向になるようにまたはその方向に半径方向拡張可能部材を付勢するように適合された付勢手段を備える。理想的には、制御機構は、拡張される配向になるようにまたはその方向にケージを付勢するように適合された付勢手段を備える。
【0022】
好適には、制御機構は、一方のアームの他方のアームに対する移動に抵抗するように適合された制動手段を備える。制動手段の一実施形態は、摩擦ねじ、典型的には調節可能な摩擦ねじである。好ましくは、制御機構は、移動に対する抵抗のレベルが調節され得るように調節可能である。
【0023】
一実施形態では、制御機構は、拡張されるまたは接触される配向になるようにまたはその方向に半径方向拡張可能部材を付勢するように適合された付勢手段と、一方のアームの他方のアームに対する移動に抵抗するように適合された制動手段、たとえば、半径方向拡張可能部材の拡張または退縮を防止するように適合された制動手段とを備える。
【0024】
好適には、制御機構は、アームの一方に連結された第1の部分と、アームの他方に連結され、第1の部分に対して移動可能である第2の部分と、第1の部分の第2の部分に対する移動に抵抗するための力制御された抵抗手段(以下、力制御抵抗手段)を備える。力制御抵抗手段は、拡張されるもしくは接触される配向になるようにもしくはその方向にケージを付勢するように適合された付勢手段、および/または、半径方向拡張可能部材の移動、一方のアームの他方のアームに対する移動、もしくは典型的には両方に抵抗するように適合された制動手段を備える。
【0025】
この明細書では、抵抗機構に適用されるような「力制御(force controlled)」という用語は、半径方向拡張可能部材の直径が、予め定められないまたは制御されないが、適用された力に依存することを意味すると理解されるべきである。
【0026】
1つの好ましい実施形態では、本発明は、体内腔における使用に適したデバイスであって、
- 遠位端および近位端を有する細長くされた制御部材と、遠位端にまたは遠位端の近くに配置され、体内腔の壁からの物質の収集および/またはせん断に適合された、半径方向拡張可能部材とを備え、
- 半径方向拡張可能部材は、近位端および遠位端を有し、収縮される配向と拡張される配向との間で調節可能であり、
- 細長くされた制御部材は、一方のアームの他方のアームに対する移動が、半径方向拡張可能部材の直径および/または半径方向強度の調節をもたらすように、半径方向拡張可能部材に連結された近位アームと、近位アーム連結の遠位で半径方向拡張可能部材に連結された管状遠位アームとを備え、
- デバイスは、両方のアームに作動的に連結され、かつ一方のアームの他方のアームに対する移動に対する抵抗を提供するように適合された、制御機構をさらに備え、制御機構は、アームの一方に連結された第1の部分と、第1の部分に対して移動可能なアームの他方に連結された第2の部分と、第1の部分の第2の部分に対する移動に抵抗するための力制御抵抗手段とを備えるデバイスにおいて、
力制御抵抗手段は、(a)半径方向拡張可能部材を拡張される配向に付勢するための付勢手段、または(b)第1の部分および第2の部分の一方の第1の部分および第2の部分の他方に対する移動に抵抗するように適合された制動手段を備えることを特徴とするデバイスを提供する。
【0027】
別の実施形態では、本発明は、体内腔における使用に適したデバイスであって、
- 遠位端および近位端を有する細長くされた制御部材と、遠位端にまたは遠位端の近くに配置され、体内腔の壁からの物質の収集および/またはせん断に適合された、半径方向拡張可能部材とを備え、
- 半径方向拡張可能部材は、近位端および遠位端を有し、収縮される配向と拡張される配向との間で調節可能であり、
- デバイスは、血栓摘出器をさらに備え、摘出器の少なくとも部分は、半径方向拡張可能部材内に配置され、
- 細長くされた制御部材は、一方のアームの他方のアームに対する移動が、半径方向拡張可能部材の直径および/または半径方向強度の調節をもたらすように、半径方向拡張可能部材に連結された近位アームと、近位アーム連結の遠位で半径方向拡張可能部材に連結された遠位アームとを備え、
- デバイスは、両方のアームに作動的に連結され、かつ一方のアームの他方のアームに対する移動に対する抵抗を提供するように適合された、制御機構をさらに備え、制御機構は、アームの一方に連結された第1の部分と、固定された第1の部分に対して移動可能なアームの他方に連結された第2の部分と、第1の部分の第2の部分に対する移動に抵抗するための力制御抵抗手段とを備えるデバイスにおいて、
力制御抵抗手段は、(a)半径方向拡張可能部材を拡張される配向に付勢するための付勢手段、または(b)第1の部分および第2の部分の一方の第1の部分および第2の部分の他方に対する移動に抵抗するように適合された制動手段を備えることを特徴とするデバイスを提供する。
【0028】
典型的には、力制御抵抗手段は、付勢手段、たとえば、一般に制御機構の第1の部分と第2の部分との間に配置された、たとえば、ばねまたは空気圧または液圧部材のような、弾性的に変形可能または変位可能な部材である。ばねは、任意のタイプのばね、たとえば、圧縮、引張、板、定荷重、または調節可能定数ばねとすることができる。
【0029】
一実施形態では、力制御抵抗手段は、付勢手段、たとえば、抵抗機構の第1の部分と第2の部分との間に配置された弾性的に変形可能な部材と、第1の部分および第2の部分の一方の第1の部分および第2の部分の他方に対する移動に抵抗するように適合または構成された制動手段とを備える。
【0030】
制御機構は、デバイスに沿って任意のポイント、たとえば、半径方向拡張可能部材の近位に、半径方向拡張可能部材の遠位に、または半径方向拡張可能部材に隣接してもしくは半径方向拡張可能部材内に配置されてよい。好ましい実施形態では、制御機構は、使用中にそれが身体の外に露出されるように、カテーテルの近位端(たとえばハンドル上)に配置される。
【0031】
本発明の好ましい実施形態では、制御機構の第1の部分は、近位アームを用いて、半径方向拡張可能部材の近位端に連結され、制御機構の調節可能な第2の部分は、遠位アームを用いて、半径方向拡張可能部材の遠位端に取り付けられる。したがって、遠位アームは、典型的にはケージを通り抜ける。
【0032】
好ましくは、近位アームは、内腔を備えるチューブであり、遠位アームは、第1のアームの内腔内に、典型的には第1のアームと同軸に、配置される。好ましくは、遠位アームは、理想的にはガイドワイヤの受入れに適合された、チューブである。
【0033】
一方のアームの他方のアームに対する移動は、半径方向拡張可能部材の直径および/または半径方向強度の調節をもたらす。好ましくは、移動は、長手方向移動であるが、他の移動、たとえば、横方向、半径方向、円周方向回転、またはそれらの組合せが考えられる。
【0034】
一実施形態では、制動手段は、制動手段の部分の一方に固定され、制御手段の他方の部分(または他方の部分に作動可能に連結されたアーム)に係合するように調節可能である摩擦ねじを備える。好ましくは、摩擦ねじは、第2の部分、たとえば、第2の部分の移動可能ストッパ形成部分に固定され、第1の部分、または制御手段、または第1の部分に作動可能に連結された遠位アームに係合するように調節可能である。
【0035】
制御機構の一実施形態では、第1の部分はバレルを備え、第2の部分はバレル内の摺動移動に適合され、抵抗手段は、バレル上に配置され第2の部分との係合に適合された、摩擦ねじ、好ましくは調節可能な摩擦ねじを備える。好適には、抵抗手段は、拡張される配向になるようにまたはその方向にケージを付勢するように好適に適合された付勢手段をさらに備える。
【0036】
典型的には、制御機構は、使用中にそれが身体の外部に位置付けられるように、半径方向拡張可能部材の近位に配置される。好適には、第1の部分は、近位アームに作動可能に連結され、案内路を備え、第2の部分は、遠位アームに作動可能に連結され、案内路に沿った移動のために第1の部分に関連付けられ、力制御抵抗手段は、第1の部分と第2の部分との間に案内路に沿って配置された弾性的に変形可能な部材を備える。好ましくは、第1の部分は、バレルを備え、第2の部分は、バレル内の摺動する制御された移動のために構成されたブロックを備える。
【0037】
典型的には、第1の部分は、案内路および/または弾性的に変形可能な部材の長さを変化させるように移動可能である移動可能ストッパを備える。
【0038】
好適には、制動手段は、移動可能ストッパに作動可能に連結され、かつ遠位アームに対する調節可能な係合をするように構成された、摩擦ねじを備える。
【0039】
好適には、制御機構は、半径方向拡張可能部材内に配置され、遠位アームに連結された第1の部分と、近位アームに連結された第2の部分と、第1の部分および第2の部分に作動的に連結され、第1の部分および第2の部分の互いの移動に対する力制御抵抗を提供するように構成された、つる巻きばねとを備える。
【0040】
好ましくは、半径方向拡張可能部材は、ケージを含む。好適には、ケージは、ケージ内への血栓の受入れのための開口(アパーチャ)を有する近位部位と、血栓を捕獲するための細かいメッシュを有する遠位部位とを備え、ケージは、任意選択で切断されたチューブ(cut tube)を備える。あるいは、ケージは、ケージ内への血栓の受入れのための開口を有する遠位部位と、血栓を捕獲するための細かいメッシュを有する近位部位とを備え、ケージは、任意選択で切断されたチューブを備える。
【0041】
好適には、制御機構は、半径方向拡張可能部材の遠位に配置される。好適には、制御機構は、弾性的に変形可能な部材(すなわち、ばね)を備え、弾性的に変形可能な部材は、遠位アームに作動可能に連結された遠位端(第1の部分)と、半径方向拡張可能部材の遠位端に連結された近位端(第2の部分)とを有し、遠位アームの遠位端は、弾性的に変形可能な部材を用いて、半径方向拡張可能部材の遠位端に作動可能に連結される。
【0042】
好ましくは、デバイスは、摘出器を備え、摘出器の少なくとも部分は、半径方向拡張可能部材内に配置される。好適には、摘出器は、摘出器から血液が出ることを可能にするが血栓が出ることを防止するように寸法付けられた孔または開口を備える。
【0043】
好適には、摘出器は、回転するように適合されたらせん形状を備える。回転は、半径方向拡張可能部材から血栓を除去する、または任意選択で、体内腔に薬剤たとえば血栓溶解剤を送達するように適合される。らせん形状は、一重、二重、三重のらせん形状を備えることができる。典型的には、らせん形状の、らせんのピッチは、使用中に血栓から血液を絞り出すように構成される。
【0044】
典型的には、らせん形状は、摘出器チューブ内に配置される。理想的には、半径方向拡張可能部材内のらせん形状の部位が、たとえば、1または複数の窓または切除部位を介して露出される。
【0045】
好適には、摘出器チューブの前縁が、切刃(cutting edge)を備える。好ましくは、らせん形状は、切刃を備え、切刃は、理想的には、らせん形状の遠位端にまたはその遠位端に隣接して配置される。一実施形態では、摘出器チューブの前縁は切刃を備え、摘出器は吸引チューブを備える。
【0046】
一実施形態では、血栓摘出器が吸引チューブである。
【0047】
典型的には、力制御抵抗手段は自己調整(self-adjusting)をする。この明細書では、力制御抵抗手段に適用されるような「自己調整」という用語は、ユーザが脈管に沿ってデバイスを移動させる活動以外のいかなるユーザ入力なしに、抵抗手段がそれ自体で調節をすることを意味すると理解されるべきである。
【0048】
典型的には、細長くされた制御部材は、管状シース内に収容される。理想的には、管状シースは、制御部材の長さの全部またはほとんどに沿って延びている。好適には、シースの長手方向位置が調節可能である。好適には、管状シースは、半径方向拡張可能部材を覆うように、および収縮される配向に半径方向拡張可能部材を維持するように調節され得る。
【0049】
典型的には、管状シースは、液体の灌流(perfusion)のための複数の孔を備える。
【0050】
好適には、デバイスは、液体を身体内に送達するように構成された液体投与内腔を備える。好ましくは、液体投与内腔は、遠位アーム内、遠位アームと近位アームとの間、ならびに近位アームと外部シースとの間に形成された内腔を含む。理想的には、デバイスは、液体投与内腔内への液体の送達のための注入ポートを備える。
【0051】
好ましい実施形態では、本発明は、体内腔における使用に適したデバイスであって、
- 遠位端および近位端を有する細長くされた制御部材と、遠位端にまたは遠位端の近くに配置され、体内腔の壁からの物質の収集および/またはせん断に適合された、半径方向拡張可能部材とを備え、
- 半径方向拡張可能部材は、近位端および遠位端を有し、収縮される配向と拡張される配向との間で調節可能であり、
- 細長くされた制御部材は、一方のアームの他方のアームに対する移動が、半径方向拡張可能部材の直径または半径方向強度の調節をもたらすように、半径方向拡張可能部材に連結された近位アームと、近位アーム連結の遠位で半径方向拡張可能部材に連結された遠位アームとを備えるデバイスにおいて、
拡張される配向になるようにまたはその方向に半径方向拡張可能部材を付勢するための付勢手段を備えることを特徴とするデバイスを提供する。
【0052】
別の実施形態では、本発明は、体内腔における使用に適したデバイスであって、
- 遠位端および近位端を有する細長くされた制御部材と、遠位端にまたは遠位端の近くに配置され、体内腔の壁からの物質の収集および/またはせん断に適合された、半径方向拡張可能部材とを備え、
- 半径方向拡張可能部材は、近位端および遠位端を有し、収縮される配向と拡張される配向との間で調節可能であり、
- 細長くされた制御部材は、一方のアームの他方のアームに対する移動が、半径方向拡張可能部材の直径または半径方向強度の調節をもたらすように、半径方向拡張可能部材に連結された近位アームと、近位アーム連結の遠位で半径方向拡張可能部材に連結された遠位アームとを備えるデバイスにおいて、
半径方向拡張可能部材を拡張される配向になるようにまたはその方向に付勢するための付勢手段、または一方のアームの他方のアームに対する移動に抵抗するように適合された制動手段を備えることを特徴とするデバイスを提供する。
【0053】
別の実施形態では、本発明は、体内腔における使用に適したデバイスであって、
- 遠位端および近位端を有する細長くされた制御部材と、遠位端にまたは遠位端の近くに配置され、体内腔の壁からの物質の収集および/またはせん断に適合された、半径方向拡張可能部材とを備え、
- 半径方向拡張可能部材は、近位端および遠位端を有し、収縮される配向と拡張される配向との間で調節可能であり、
- 細長くされた制御部材は、一方のアームの他方のアームに対する移動が、半径方向拡張可能部材の直径または半径方向強度の調節をもたらすように、半径方向拡張可能部材に連結された近位アームと、近位アーム連結の遠位で半径方向拡張可能部材に連結された遠位アームとを備えるデバイスにおいて、
それが抵抗機構を備え、抵抗機構は、アームの一方に連結された固定された第1の部分と、アームの他方に連結され、固定された第1の部分に対して移動可能である第2の部分と、第2の部分に対する第1の部分の移動抵抗のための抵抗手段とを備え、抵抗手段は、任意選択で、拡張されるもしくは接触される配向にケージを付勢するように適合された付勢手段、またはケージの拡張を防止するように適合された制動手段を備えることを特徴とするデバイスを提供する。
【0054】
一実施形態では、半径方向拡張可能部材はケージである。典型的には、ケージはフィルタリングケージである(すなわち、それは、ケージを通り抜ける血液から血栓を収集またはフィルタ除去するように適合される)。別の実施形態では、ケージはせん断ケージである(すなわち、ケージは、脈管構造の壁から血栓をせん断するまたは掻き取るように適合される)。好ましい実施形態では、ケージは、せん断およびフィルタリングの両方のケージである。好適には、ケージは、(血栓の受入れのために)少なくとも部分的に開いた近位端を有する。ケージは、編組された材料、たとえば、編組されたワイヤを備えることができ、または、それは、切断されたチューブ、たとえば、切断されたチューブ(すなわち、ステンレス鋼、ニチノールもしくはコバルトクロムなどの高分子金属またはセラミック、またはこれらの材料の組合せ)もしくはレーザ切断されたチューブを備え、または、それは、編組された材料および切断されたチューブを備えることができる。編組された材料から形成された場合、編組の密度は、ケージの近位端よりケージの遠位端に向かって高くなり得る。好ましい実施形態では、ケージは、ニチノールのような形状記憶材料から形成される。好ましくは、ケージは、少なくとも部分的に開いた近位端を有し、その遠位端に向かって内方へ先細になる。
【0055】
一実施形態では、ケージは、細かいメッシュを有する遠位セクションと、大きな開口を有する中間セクションとを備える。したがって、細かいメッシュは、血栓をフィルタ除去/捕獲するために適していて、大きな開口が、血栓のケージ内への通過を可能にするように適合されている。典型的には、ケージは、チューブから、好適にはポリマーチューブまたは金属チューブから切断される。
【0056】
一実施形態では、ケージは、ケージの周囲に配置された切断要素を備える。これは、ワイヤまたは切刃とすることができる。典型的には、切断要素の少なくとも部分は、ケージの外に露出される。好適には、切断要素の少なくとも部分は、ケージ内に配置される。典型的には、切断要素は、ケージの拡張および収縮と共に切断要素がそれぞれ拡張および収縮するようにケージに対して配置される。
【0057】
一実施形態では、本発明は、体内腔における使用に適したデバイスであって、
- 遠位端および近位端を有する細長くされた制御部材と、遠位端にまたは遠位端の近くに配置され、体内腔の壁からの物質の収集および/またはせん断に適合された、ケージとを備え、
- 半径方向拡張可能部材は、近位端および遠位端を有し、収縮される配向と拡張される配向との間で調節可能であり、
- 細長くされた制御部材は、一方のアームの他方のアームに対する移動が、半径方向拡張可能部材の直径または半径方向強度の調節をもたらすように、半径方向拡張可能部材に連結された近位アームと、近位アーム連結の遠位で半径方向拡張可能部材に連結された遠位アームとを備えるデバイスにおいて、
ケージが、血栓を捕獲するための細かいメッシュを有する遠位セクションと、任意選択で、近位アームへの圧着取付けに適合された粗いメッシュを有する近位セクション、およびケージ内への血栓の通過を可能にするように寸法付けられた開口を有する中間セクションを備えることを特徴とするデバイスを提供する。
【0058】
別の実施形態では、本発明は、体内腔における使用に適したデバイスであって、
- 遠位端および近位端を有する細長くされた制御部材と、遠位端にまたは遠位端の近くに配置され、体内腔の壁からの物質の収集および/またはせん断に適合された、ケージとを備え、
- ケージは、近位端および遠位端を有し、収縮される配向と拡張される配向との間で調節可能であり、
- 細長くされた制御部材は、一方のアームの他方のアームに対する移動が、半径方向拡張可能部材の直径または半径方向強度の調節をもたらすように、半径方向拡張可能部材に連結された近位アームと、近位アーム連結の遠位で半径方向拡張可能部材に連結された遠位アームとを備えるデバイスにおいて、
ケージが、少なくとも部分的に開いた近位端を有し、その遠位端に向かって内方へ先細になり、らせん摘出器が、任意選択で、ケージの遠位端に向かってケージ内に配置されることを特徴とするデバイスを提供する。
【0059】
一実施形態では、本発明は、体内腔における使用に適したデバイスであって、
- 遠位端および近位端を有する細長くされた制御部材と、遠位端にまたは遠位端の近くに配置され、体内腔の壁からの物質の収集および/またはせん断に適合された、ケージとを備え、
- ケージは、近位端および遠位端を有し、収縮される配向と拡張される配向との間で調節可能であり、
- 細長くされた制御部材は、一方のアームの他方のアームに対する移動が、半径方向拡張可能部材の直径または半径方向強度の調節をもたらすように、半径方向拡張可能部材に連結された近位アームと、近位アーム連結の遠位で半径方向拡張可能部材に連結された遠位アームとを備えるデバイスにおいて、
ケージが、ケージの周囲に配置された切断または分離要素を備えることを特徴とするデバイスを提供する。
【0060】
好ましくは、本発明のデバイスは、物質(すなわち、血栓などのデブリ)用の摘出器を備え、摘出器の少なくとも部分は、好ましくは半径方向拡張可能部材内に配置される。摘出器は、吸引、半径方向拡張可能部材から血栓を回転し除去するように適合されたらせん形状、または両方の組合せを備えることができる。らせん形状は、スクリューまたはオーガを備えることができ、スクリューまたはオーガは、好ましくは、第2の(遠位)アームの同軸に配列されるが、任意選択で、半径方向拡張可能部材軸に対して偏心して配列されてもよい。あるいは、らせん形状は、たとえば遠位アームの周りに配列され、回転するように適合された、らせんワイヤなどを備えることができる。好ましくは、らせん形状は、摘出器チューブ内に配置され、ケージ内に配置されたらせん形状の遠位端は、摘出器チューブの外に露出される(すなわち、チューブは切除されて、露出された半径方向拡張可能部材内のらせん形状の部分を残すことができる。本発明の一実施形態では、摘出器は、遠位アームを中心とする回転のためにアームに対してらせん状に配列されたワイヤ、および摘出器チューブを備え、らせんワイヤおよび遠位アームは、らせんワイヤの遠位端の部位が摘出器チューブの外に露出された状態で、摘出器チューブ内に配置される。好適には、摘出器チューブは、ケージ内に配置され、典型的にはケージの遠位端に向かって配置された窓を備える。好ましくは、摘出器チューブの前縁は、鋭い刃または切刃を備える。
【0061】
本発明のデバイスでは、近位アームは、一般に、半径方向拡張可能部材の近位端にまたは近位端に隣接して連結される。典型的には、遠位アームは、一般に、半径方向拡張可能部材の遠位端にまたは遠位端に隣接して連結される。
【0062】
好ましくは、デバイスは、血栓除去デバイス、理想的には血栓除去カテーテルである。
【0063】
本発明はまた、体内腔の壁のターゲット領域から物質を除去する、たとえば、静脈または動脈の壁から血栓を除去するための方法であって、本発明によるデバイスを、半径方向拡張可能部材が収縮される配向で提供するステップと、半径方向拡張可能部材が壁のターゲット領域の遠位で位置決めされるように、デバイスをターゲット内腔内に挿入するステップと、収縮される配向から拡張される(展開される)配向へ半径方向拡張可能部材を調節するステップと、半径方向拡張可能部材が内腔の壁のターゲット領域から一部/全部の物質を掻き取るように、内腔に沿って半径方向拡張可能部材を引っ張るステップとを含む方法に関する。
【0064】
本発明はまた、血管から血栓を除去する方法であって、本発明のデバイスを血管内に配設するステップと、血管に沿ってデバイスを移動させるステップとを含む方法を提供する。典型的には、デバイスは、内方へ先細になる方向または外方へ先細になる方向で血管に沿って移動される。好適には、血管は静脈であり、典型的には大静脈である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
本発明は、単に例として与えられるそのいくつかの実施形態の以下の説明からより明確に理解されよう。
【
図1】フィルタされる端(201)および開放端(202)を有する拡張された構成の編組されたケージを示す図である。
【
図2】レーザ切断されたニチノールから作られたケージの例を示す図である。遠位側は、固体チューブであり、近位側は、近位アームチューブを覆ってフィットする閉じられたメッシュである。
【
図3】拡張後のレーザ切断されたケージの例を示す図である。周囲要素がフィルタとして働き、血管壁から血栓を分離する。
【
図4】ケージの外部の切断要素を有するケージを示す図である。
【
図5】ケージの内部の切断要素を有するケージを示す図である。
【
図6】ケージの部分としての切断要素を有するケージを示す図である。
【
図7】ケージの周囲が角度を付けて先細にされ得ることを示す図である。
【
図8】摩擦ねじを使用して操作されるケージおよび制御機構の概略図である。
【
図9】摩擦ねじを使用して操作されるケージおよび制御機構の概略図である。
【
図10】摩擦ねじおよびばねを使用して操作されるケージおよび制御機構の概略図である。
【
図11】ねじおよび移動可能ストッパを使用して操作されるケージおよび制御機構の概略図である。
【
図12】板ばねを使用して操作されるケージおよび制御機構の概略図である。
【
図13】板ばねを使用して操作されるケージおよび制御機構の概略図である。
【
図14】板ばねを使用して操作される制御機構の概略図である。
【
図15】摘出器がチューブの周りに巻き付けられたワイヤで作られることを示す図である。それは、血栓を移送し解離する。
【
図16】ワイヤがチューブ表面上でずらされ得ることを示す図である。
【
図17】近位アームが、摘出機構の外部チューブとして働き、血管からマセレータの内腔内へ材料を通らせる通路を提供することができることを示す図である。
【
図18】切刃およびより大きな摘出経路を有する近位アームを示す図である。
【
図19】摘出器の近位アームが複数の前縁を有し得ることを示す図である。
【
図20】回転先端(tip)/切刃を有するマセレータのイメージである。先端は、らせん形状と共に回転する。
【
図21】ケージをその開放構成において示す図である。近位アームによって提供された通路は、ケージ内部に位置付けされ得る。
【
図22】摘出器がケージの中心線に対して偏心し得ることを示す図である。
【
図23】摘出器の先端がケージの中心線に対して偏心し離れて位置決めされ得ることを示す図である。
【
図24】摘出器がより短いピッチを有する領域を含み得ることを示す断面図である。これは、摘出されているデブリを圧縮し、流体が穴(cavities)を通って脈管内に流れて戻ることを可能にすることができる。
【
図25】ケージと摘出器の組合せを示す断面図である。ケージは、近位アームと遠位アームの相対的移動によって開かれまた閉じられる。回転摘出器は、遠位アーム外側および近位アーム内で回転する。シースは、ケージが送達および回収中に閉じられることを確実にするように、デバイスを覆って動くことができる。
【
図26】摘出器チューブが遠位アームとしても働くケージの実施形態を示すデバイスの遠位端の断面図である。遠位アームが近位に移動すると、ケージが開く。遠位アームが遠位に移動すると、ケージが閉じる。
【
図27】デバイスの先端を示す断面図である。この実施形態では、摘出器チューブは遠位アームとしても働く。摘出器チューブは高速で回転し、その際、ケージコネクタは回転しない。軸受けが、この相対的移動を容易にする。
【
図28】制御機構がケージ内に位置付けられた本発明のデバイスの概略図である。
【
図29】制御機構がケージの遠位に位置付けられた本発明のデバイスの概略図である。
【
図30】細長くされた制御部材を覆うシースを有し、ケージを覆うように調節可能であるデバイスの概略図である。
【
図31】摘出器を介して血栓溶解剤がどのように注ぎ入れられ得るかを示す本発明のデバイスの概略図である。
【
図32】摘出器とシースとの間で血栓溶解剤がどのように注ぎ入れられ得るかを示す本発明のデバイスの概略図である。
【
図33】シースに形成された孔または穿孔を通して血栓溶解剤がどのように注ぎ入れられ得るかを示す本発明のデバイスの概略図である。
【
図34】単一のストラットから形成された半径方向拡張可能部材の概略図である。
【
図35】2つのストラットから形成された半径方向拡張可能部材の概略図である。
【
図36】一連のワイヤから作られ連結用に溶融されたまたは撚られた半径方向拡張可能部材の(フラットパターンとして示される)例を示す図である。
【
図37】互いに対してワイヤの移動を制限するために交差部で撚られたワイヤを有する編組された拡張可能部材の(フラットパターンとして示される)例を示す図である。
【
図38】(ストラット用の)撚りワイヤおよび溶融された端部を有する編組された半径方向拡張可能部材の作成のための編組構成の(フラットパターンとして示される)例を示す図である。
【
図39】ストラットを作成するための撚りワイヤを有する編組された半径方向拡張可能部材の作成のための編組構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
ケージおよびフィルタ
ケージは、多くの異なる方法で、たとえば、編組、一連のワイヤ、レーザ切断されたチューブ、またはそれらの組合せなどから、作製されることができる。ケージは、フィルタとしても働く、または遠位部分におけるフィルタ用の構造とすることができる。ケージは、異なる材料、たとえば、以下に限定されないが、ステンレス鋼、ニチノールもしくはコバルトクロムなどの高分子金属またはセラミック、またはこれらの材料の組合せで作られることができる。ケージの近位側は、一般に開いていて血栓がケージに入るのを可能にする。ケージの遠位部分は、好適には、小さい直径のチューブまたはワイヤ上に制約され、ケージの近位部分は、より大きい直径のチューブに連結される。シースは、送達および回収の際にデバイス全体を覆うことができる。
【0067】
ワイヤまたはチューブとすることができ、かつケージの遠位端をユーザに連結し、またはケージの遠位への移動を制御するコネクタは、遠位アームと呼ばれる。ワイヤまたはチューブとすることができ、かつケージの近位端をユーザに連結する別のコネクタは、近位アームと呼ばれる。
【0068】
ケージが組立てられ開かれると、セクション202は、血栓のケージ内への通路を提供し、他方、セッション201は、大きな血栓がケージ(1)を通過するのを防止する。
【0069】
図2および
図3では、ニチノールチューブからレーザ切断されたケージの例が示されている。レーザ切断は、編組されたメッシュと同じ特徴を有する。それは、近位側の通路を提供し、遠位側のフィルタとして働く。それはまた、血栓を切り通して壁から血栓を分離するための周囲要素を担持することができる。
【0070】
ケージの近位端および遠位端を軸方向に互いに押すことにより、ケージの直径およびその半径方向力が増大し得る。両側を互いに引くことにより、ケージの直径および半径方向力が低下し得る。
【0071】
遠位アームおよび近位アームの相対的移動が、ケージの近位側と遠位側との間の距離を制御し、これが、ケージの直径および半径方向強度を調節する。遠位アームが固定され、近位アームがユーザによって近位へ引かれた場合、ケージの直径はより小さくなる。近位アームが固定され、遠位アームが引かれている場合、ケージの直径は増大する。
【0072】
ケージはまた、血管壁から血栓を除去する/掻き取るための周囲切断要素を有することができる。これは、ケージの周りまたは内に収容されることができ、丸ワイヤ、フラットワイヤ、ブレード、またはこれらの組合せから構成され得る。
図4は、ケージの外側にフラットワイヤが取り付けられたケージを示し、ワイヤは、血管壁から血栓を掻き取ることができる。
図5は、ケージの内部の切断要素を示し、これに対し、
図6は、(この場合は、レーザ切断されたチューブからの)一部分としてのケージの切断要素を示す。切断/掻き取り要素は、角度を付けて先細にされてもよい(
図7)。
【0073】
自己調整可能直径制御機構を有するケージ
先細にされた脈管を取り扱う場合、ケージ直径は、それが内腔に沿って引かれる間、調節可能であるべきである。血管弁などの障害物の場合も、デバイスがそれを介して操縦できることが望ましい。したがって、抵抗力を変化させることによりケージの直径を制御することができる機構が望ましい。ここでは、抵抗力に基づいてケージの直径を制御するための機構が提示される。
【0074】
縮小する先細にされた脈管を通ってケージが移動する(近位アームを引く)につれて、脈管はケージに対して力を及ばす。脈管からの力が、(ユーザによって設定された)抵抗機構からの予め設定された力を含む合計の力を超えると、遠位アームは近位アームに対して遠位に移動し、このことがケージを閉じる。次のセクションは、自己調整機構のいくつかの実施形態を含む。
【0075】
制御機構は、摩擦要素、ばね、空気圧、液圧、単純重み、またはこれらの要素の組合せを含むことができる。
【0076】
抵抗機構:摺動
本発明のこの実施形態(
図8および
図9)では、ケージ(3)が、レーザ切断された自己拡張チューブから作られる。ケージは、1bおよび2bが共により近く移動すると開き、1bおよび2bが離れるように移動すると閉じる。直径および、ケージによって血管壁に及ぼされる力を制御するための機構は、本発明の基礎である。
【0077】
デバイスは、
図8に示すように、遠位端(1b)および近位端(2b)を有するケージ(3)、遠位アーム(1)、近位アーム(2)、ならびにハンドルからなる。制御機構は、ハンドルに含まれ、誘導経路を有するハウジング(2a)の形態の第1の部分、ハウジング(2a)の誘導経路に沿った摺動移動をするように構成された摺動ブロック(1a)の形態の第2の部分を備える。力制御抵抗手段は、アームの一方の他方に対する移動に抵抗するように適合された制動器の形態で提供される。この実施形態では、制動器は、ハウジング(2A)に取り付けられた摩擦ねじ(4)を備え、摩擦ねじは、摺動ブロック(1a)に対して圧縮力を適用して、1つのアームの他に対する移動に対する抵抗を提供するように調節可能であり、また、内方へ先細になる脈管に沿ってデバイスが通される場合、血管壁に接触してケージの周縁を維持する効果を有するケージの圧縮に対する抵抗を提供するように調節可能である。
【0078】
プロセスは、
図8(A)に示すような脈管内で拡張された状態から開始する。ケージの開閉は、摺動ブロック(1a)のハンドル(2a)への相対的移動によって統制される。ケージが、ハンドルによって、障害物または脈管(5)の先細にされたセクションを通って引かれると、血管壁からの力がケージに対して及ぼされる。この力は、摺動ブロック(1a)に伝えられる。ブロック1aに加えられた力が予め設定された摩擦力より大きい場合、ブロック1aは、その位置2(A)から2(B)に摺動して進む。これは、ケージが、より狭い脈管の形状に適合することを可能にする。ケージによって脈管に対して及ぼされた力は、したがって、ハンドルに対する摺動ブロックの移動の容易さによって部分的に規定され、これは、摩擦ねじによって制御される。
【0079】
抵抗機構:摺動およびばね
図11Aおよび
図12Bは、抵抗機構の代替的実施形態を示し、それらでは
図10を参照して説明された部分が同じ参照番号を割り当てられている。この実施形態では、圧縮ばね(6)が、ハウジング(2a)と摺動ブロック(1a)との間の案内路に沿って配置される。ハウジング(2a)は近位アーム(2)に連結され、ブロック(1a)は遠位アーム(1)に連結される。したがって、ケージ(3)の収縮される配向への圧縮は、遠位アーム(1)を延長させて、ばねの圧縮を引き起こす。このようにして、ケージは、それが狭くなっている脈管に沿って通されているとき、拡張される配向に付勢され、それにより、ケージと血管壁との間の接触を維持する。摩擦ねじ(4)は、ハウジング(2A)に取り付けられ、ブロック(1A)に対して圧縮力を加えるように調節可能であり、それにより、1つのアームの他に対する移動に対するさらなる抵抗を提供し、また、内方へ先細になる脈管に沿ってデバイスが通される場合、血管壁に接触してケージの周縁を維持する効果を有するケージの圧縮に対する抵抗をやはり提供する。
【0080】
図11Aおよび
図11Bは、抵抗機構の代替的実施形態を示し、それらでは
図8から
図10を参照して説明された部分が同じ参照番号を割り当てられている。この実施形態では、自己調整機構は、誘導経路の長さ、ひいてはばねの圧縮の程度を調節するように移動可能な移動可能ストッパ(7)を備える。したがって、ばねが加える力は、誘導経路に沿って移動可能ストッパ(7)の位置を変化させることによって変更され得る。
【0081】
抵抗機構:調節可能ばね定数を有するばね
この実施形態では 遠位アーム(1)は、板ばね(22)に取り付けられる。ばね(22)の他方側は、固体ハンドル(20)を介して近位アーム(2)に対して固定される。板ばねのばね定数はその長さと共に変化するので、その長さ(21)を調節するための機構は、ばね上を摺動してその変形を制御することができる。摺動部分(21)が下方であるとき(
図12)、ばね定数は最も低く、つまり、それが、より小さい力で内部チューブ(1)のより大きい変位を可能にすることを意味する。摺動チューブ(21)が上がったとき(
図13)、ばね定数(22)が増大し、これは、内部チューブ(1)のより小さい変位を可能にする。これは、ケージ直径(3)を効果的に縮小する。
図14は、機構の3D表現を示す。
【0082】
摘出機構:
摘出システムは、吸引器(suction)、または外面上の変形および/または解離の手段を有する回転チューブ/ワイヤからなり、摘出システムは、これらの機構の組合せを収容してもよい。回転摘出器は、1つの部品から製造されてもよく、またはいくつかの付加品から作られてもよい。たとえば、摘出機構は、摘出コアチューブ(43)の周りに巻き付けられたワイヤ(42)を備えることができる(
図15)。このチューブは、ケージの遠位アーム(1)上および近位アーム(2)内に配設され得る。あるいは、遠位アームは、摘出コアチューブとして使用され得る。摘出コアチューブの遠位側は、近位アーム(2)の遠位端の近くにされ得る。摘出チューブが高速度で回ると、血栓が、摘出チューブと近位アームとの間で近位に押し込まれる。摘出機構の遠位端は、ケージの内部に位置付けられ得る(
図1)。
【0083】
ワイヤは、異なる手段についてデバイスに沿った異なる断面、たとえば、円形、長方形、または三角形の断面を有することができる。ワイヤは、ステンレス鋼、ニチオール、またはポリマーなど、異なる材料のものとすることができる。ワイヤがチューブの周りに巻き付けられると、それは、チューブ(41)の周りに完全にフィットする場合があり、または回転チューブ(41)表面からの距離(43)を置いて部分的にフィットする場合がある。
【0084】
近位アームはまた、摘出器の血栓へのアクセスを改善するために側窓を含むことができる(
図17)。摘出器はまた、チューブの周りに巻き付けられたワイヤでなく1つの機械加工された部品から形成されてもよい。回転摘出器は、物質を摘出する前にそれを分解するために、その遠位端に鋭い切刃を含むことが多い。また、非回転近位アームが、前縁/切断要素(
図18)を有することができ、前縁/切断要素は、血栓を分解するのを助けるとともに、摘出器の入口の経路のサイズを増大させる。近位アームは、物質を分解するために複数の前縁/切断要素を有することができ、
図19では、2つの前縁を有する近位アームを示している。前縁/切断要素は、(図示されるように)近位アームの部分を形成してよく、あるいは、非回転近似アームに取り付けられた別個の部分であってもよい。摘出器はまた、近位端に追加のポートを含むことができ、そこに、吸引器が、血栓摘出を強化するため、および血栓を摘出器に向かって引き付けるために追加され得る。
図20は、回転先端およびらせんワイヤが遠位アームにそれらとの回転のために取り付けられる、実施形態を示す。
図21は、ケージを有する摘出器を示す。摘出器は、ケージの中心に対して偏心してもよく、
図22は、中心ケージに対して偏心しそれに隣接した摘出器を示し、一方、
図23は、ケージの中心から離れたケージの先端を示す。
図22および
図23の両方において、摘出器は、静止しても、または中心線の周りを回転してもよい。
【0085】
摘出器は、その長さに沿って変化されたピッチを有することができる。これの1つの実施形態が
図24に示されており、そこでは、摘出器のセクションが、縮小されたピッチを有し、非回転チューブが、それにいくつかの小さい孔(フィルタとして働く)を有する。これは、いずれのデブリも絞られることを可能にし、したがって、残りのデブリが引き続き摘出されながら、孔を通して脈管内に残留液体を押しやることができる。
【0086】
ケージとの組合せの摘出機構は、デバイスに応じて様々な機能を有することができる。一実施形態では、摘出器は、血栓を比較的大きい部片に分解し、その部片は、チューブの入口に入るのに十分なほど小さく、フィルタを通り抜けないのに十分なほど大きい。血栓がチューブ内部にあると、摘出器は、それらをより小さな部片に分解し、カテーテルに沿って移送することをより容易にする。そして、摘出システムは、らせんワイヤまたは掃除機(vacuum)のような摘出の手段を有することができる。除去された物質は、好適な収集手段、たとえば、血液バッグまたはシリンジまたは類似物に収集される。
【0087】
らせん形状は、切刃を有することができ、切刃は、らせん形状と共に回転し、摘出のために血栓を切断または分解するように適合されている。切刃は、ブレードなどとすることができ、らせん形状の端部またはその近くに配置され得る。摘出器チューブが切刃を有することもでき、回転するように適合され得る。
【0088】
ケージと摘出器の組合せ
デバイスが、自己調整機構を有するケージと摘出器との両方を含む。
図25は、デバイスの遠位端の実施形態を示す。デバイスは、近位アームと遠位アームの相対的移動によって開かれまた閉じられ、その間、摘出器は、遠位アーム外側および近位アーム内で回転する。近位アームは、摘出のための窓を含むこともできる。シースが、送達および回収中にデバイス全体を覆う。
【0089】
図26は、ケージと摘出器が組み合わされたデバイスの遠位端の別の実施形態を示す。この実施形態では、回転摘出器が、遠位アームとしても働き、その相対的移動が、ケージを開きまた閉じる。玉軸受は、回転摘出器/遠位アームと非回転近位アームおよびケージ(27)の接触を容易にするために含まれている。
【0090】
ケージ内の制御機構を有するデバイス
図28は、制御機構がケージ内に配置されたデバイスの実施形態を示す。この実施形態では、制御機構は、ケージ(3)内に提供され、近位アーム(2)に作動可能に連結された第1の部分と、遠位アーム(1)に作動可能に連結された第2の部分と、第1の部分および第2の部分を連結する、つる巻きばね(6)とを備える。使用中、内方へ先細になっている脈管に沿ってケージが通るとき、制御機構は、ケージが収縮すると力制御抵抗がそれに適用されることを確実にし、これにより、ケージが脈管の壁と接触したままであることを確実にする。
【0091】
制御機構がケージの遠位に取り付けられたデバイス
図29は、制御機構がケージの遠位に配置されたデバイスの実施形態を示す。この実施形態では、デバイスは、ケージの近位部分(2b)に連結され、かつケージを貫通して越えて遠位に延びる近位アーム(2)と、ケージ(3)の遠位に延びる遠位アーム(1)とを備える。制御機構は、近位アームの端部に作動可能に連結された第1の部分(ブロック1b)と、遠位アーム(1)に作動可能に連結された第2の部分と、つる巻きばね(6)とを備える。使用中、内方へ先細になっている脈管に沿ってケージが通るとき、制御機構は、ケージが収縮すると力制御抵抗がそれに適用されることを確実にし、これにより、ケージが脈管の壁と接触したままであることを確実にする。
【0092】
外部シースを有するデバイス
特に、
図30は、細長くされた制御部材を覆うシース(8)が提供される本発明のデバイスの実施形態を示す。この実施形態では、デバイスは、ケージ(3)が収縮されシース内に引き込められ、したがってそれを収縮される配向に維持するように操られ得る。
【0093】
血管内腔への液剤の送達
本発明のデバイスは、液剤、たとえば、血栓を分解できる血栓溶解剤を血管内腔へ送達するために利用されてもよい。これは、以下を含むいくつかの異なる方法で達成され得る。
【0094】
・摘出器の回転の方向が、摘出でなく注ぎ入れをするために変更され得る。
・中空遠位アームを通して注入する。
・遠位アームと摘出器チューブ(近位アーム)との間で内腔を通して注入する(
図31)
・摘出器チューブ(近位アーム)とシースとの間で注入される(
図32)。
・シースにおける穴を通して注入される(
図33)。
・シースおよび穴の場所がカテーテル長に沿って調節され得る。
・上記の注ぎ入れの方法のうちの1つまたは組合せ。
【0095】
一般的に、液剤は、上記のいずれかであり得る送達内腔内に注入されることになる。あるいは、液剤は、点滴注入を用いてゆっくりと送達され得る。上で示されたように、液剤は、いくつかの異なる方法で送達されることができ、たとえば、(ケージの遠位に液剤を送達できる利点を有する)中空遠位アームを通して、(摘出器チューブとも呼ばれる)遠位アームと近位アームとの間に形成された内腔を通して、または近位アームと外部シースとの間に形成された内腔を通して送達されてよい。
【0096】
半径方向拡張可能部材の設計
図34から
図39は、本発明のデバイスの部分を形成する半径方向拡張可能部材、および特に半径方向拡張可能部材で利用され得る編組構成の実施形態を説明している。
【0097】
本発明は、以上に説明された実施形態に限定されず、それらは本発明の趣旨から逸脱することなく構成および詳細が変更され得る。