(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-03
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/617 20140101AFI20220204BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20220204BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20220204BHJP
H01M 10/6555 20140101ALI20220204BHJP
H01M 10/6563 20140101ALI20220204BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20220204BHJP
H01M 10/6557 20140101ALI20220204BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20220204BHJP
H01M 50/262 20210101ALI20220204BHJP
【FI】
H01M10/617
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6555
H01M10/6563
H01M10/6568
H01M10/6557
H01M50/204 401H
H01M50/262 P
(21)【出願番号】P 2020561238
(86)(22)【出願日】2019-11-21
(86)【国際出願番号】 JP2019045695
(87)【国際公開番号】W WO2020129535
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】P 2018238041
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100187311
【氏名又は名称】小飛山 悟史
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】小竹 広和
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 貴文
(72)【発明者】
【氏名】真里谷 毅
(72)【発明者】
【氏名】寺島 大樹
(72)【発明者】
【氏名】森岡 怜史
(72)【発明者】
【氏名】長谷 祐介
(72)【発明者】
【氏名】奥村 素宜
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-124259(JP,A)
【文献】特開2017-212214(JP,A)
【文献】特開2016-165200(JP,A)
【文献】特開2008-204763(JP,A)
【文献】国際公開第2018/149456(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/617
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/6555
H01M 10/6563
H01M 10/6568
H01M 10/6557
H01M 50/204
H01M 50/262
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数の蓄電モジュールと、
前記蓄電モジュールに接触配置され、前記蓄電モジュールの積層方向に交差する第1方向に沿って冷却媒体を流通させる複数の流路が形成された流路部材と、
前記積層方向に前記複数の蓄電モジュール及び前記流路部材を挟んで配置された一対の拘束板と、
前記一対の拘束板同士を締結することにより、前記一対の拘束板を介して前記複数の蓄電モジュール及び前記流路部材に拘束荷重を付加する複数の締結部材と、
前記流路部材の前記第1方向の一端部に配置され、前記複数の流路のそれぞれに対して前記冷却媒体を導入する導入ダクトと、
を備え、
前記複数の締結部材は、前記拘束板の前記第1方向の一端部において前記導入ダクトの延在方向に沿って配列された複数の第1締結部材を含み、
前記複数の第1締結部材は、それぞれ前記導入ダクトの内部を通過するように、前記積層方向に沿って延在している、
蓄電装置。
【請求項2】
前記流路部材の前記第1方向の他端部に配置され、前記複数の流路のそれぞれから導出された前記冷却媒体を流通させる導出ダクトを更に備え、
前記複数の締結部材は、前記拘束板の前記第1方向の他端部において前記導出ダクトの延在方向に沿って配列された複数の第2締結部材を含み、
前記複数の第2締結部材は、それぞれ前記導出ダクトの内部を通過するように、前記積層方向に沿って延在している、
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記導入ダクトには、当該導入ダクトに前記冷却媒体を導入するための導入口が設けられており、
前記導出ダクトには、当該導出ダクトから前記冷却媒体を導出するための導出口が設けられており、
前記導入口及び前記導出口は、前記複数の流路の配列方向の一端部側に位置しており、
前記複数の第1締結部材は、前記導入口からの距離が遠くなるにつれて互いに隣り合う前記第1締結部材同士の間隔が大きくなるように配置されている、
請求項2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記導入ダクトには、当該導入ダクトに前記冷却媒体を導入するための導入口が設けられており、
前記導出ダクトには、当該導出ダクトから前記冷却媒体を導出するための導出口が設けられており、
前記導入口は、前記複数の流路の配列方向の一端部側に位置しており、
前記導出口は、前記複数の流路の配列方向の他端部側に位置しており、
前記複数の第1締結部材は、前記導入口からの距離が遠くなるにつれて互いに隣り合う前記第1締結部材同士の間隔が小さくなるように配置されている、
請求項2に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記一対の拘束板の間隔を保持する複数の間隔保持部材を更に備え、
前記複数の間隔保持部材は、それぞれ前記導入ダクトの内部に配置されると共に前記第1締結部材が挿通される挿通孔を有する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電極板の一方面上に正極が設けられ、他方面上に負極が設けられたバイポーラ電極を備えた、いわゆるバイポーラ型の蓄電モジュールが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した蓄電モジュールを複数積層することにより、蓄電装置を構成することが考えられる。このような蓄電装置においては、例えば、複数の流路が設けられた流路部材を隣り合う蓄電モジュール間に介在させると共に、その流路部材の各流路に空気等の冷却媒体を流通させることで、複数の蓄電モジュールの冷却が行われる。しかしながら、流路部材に設けられた複数の流路の間で、冷却媒体の流れのアンバランスが生じると、蓄電モジュールに対する流路部材の冷却性能が位置ごとに大きくばらついてしまうという問題が発生する。
【0005】
本開示は、冷却性能の位置ごとのばらつきを抑制することが可能な蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る蓄電装置は、積層された複数の蓄電モジュールと、蓄電モジュールに接触配置され、蓄電モジュールの積層方向に交差する第1方向に沿って冷却媒体を流通させる複数の流路が形成された流路部材と、積層方向に複数の蓄電モジュール及び流路部材を挟んで配置された一対の拘束板と、一対の拘束板同士を締結することにより、一対の拘束板を介して複数の蓄電モジュール及び流路部材に拘束荷重を付加する複数の締結部材と、流路部材の第1方向の一端部に配置され、複数の流路のそれぞれに対して冷却媒体を導入する導入ダクトと、を備え、複数の締結部材は、拘束板の第1方向の一端部において導入ダクトの延在方向に沿って配列された複数の第1締結部材を含み、複数の第1締結部材は、それぞれ導入ダクトの内部を通過するように、積層方向に沿って延在している。
【0007】
本開示に係る蓄電装置においては、複数の流路のそれぞれに対して冷却媒体を導入する導入ダクトが、流路部材の第1方向の一端部に配置される。このような構成において、導入ダクトの内部の冷却媒体の流れが一方向(導入ダクトの延在方向)に偏ったものとなる場合がある。この場合、流路の位置に応じて冷却媒体の流入のしやすさにばらつきが生じる。ここで、本開示に係る蓄電装置においては、拘束板の第1方向の一端部において導入ダクトの延在方向に沿って配置された複数の第1締結部材が、それぞれ導入ダクトの内部を通過するように、積層方向に沿って延在している。このため、導入ダクトの内部を流通する冷却媒体の流れが各第1締結部材によって遮られ(乱され)、導入ダクト内で均一化される。その結果、位置によらずに、それぞれの流路へ冷却媒体が流入しやすくなる。したがって、導入ダクトの延在方向の全長に亘って冷却媒体の流通が遮られない構成と比較して、流路部材における複数の流路間の冷却媒体の流通の偏りが抑制され、冷却性能の位置ごとのばらつきを抑制することが可能となる。
【0008】
ところで、蓄電モジュールは、当該蓄電モジュールを挟む一対の拘束板を介して、締結部材によって拘束荷重が付加される。このとき、導入ダクトと締結部材との干渉を避けるため、例えば締結部材を導入ダクトよりも外側に配置すると、当該締結部材の位置に応じたサイズの拘束板が必要となるため、拘束板のサイズの増大化の原因となる場合がある。
【0009】
これに対し、本開示に係る蓄電装置によれば、各締結部材を導入ダクトよりも外側に配置する場合と比較して拘束板のサイズを小さくできると共に、締結部材を、導入ダクトの内部を流通する冷却媒体の流れを適度に乱して、各流路を流通する冷却媒体の導入口からの距離に対する流れのアンバランスを低減するための部材としても活用することができる。
【0010】
また、本開示に係る蓄電装置は、流路部材の第1方向の他端部に配置され、複数の流路のそれぞれから導出された冷却媒体を流通させる導出ダクトを更に備え、複数の締結部材は、拘束板の第1方向の他端部において導出ダクトの延在方向に沿って配列された複数の第2締結部材を含み、複数の第2締結部材は、それぞれ導出ダクトの内部を通過するように、積層方向に沿って延在していてもよい。この場合、導出ダクトの内部において冷却媒体の流通の偏りが抑制されるので、当該導出ダクトへ導出される各流路からの冷却媒体の偏りが抑制されやすくなり、冷却性能の位置ごとのばらつきを更に抑制することが可能となる。
【0011】
また、本開示に係る蓄電装置において、導入ダクトには、当該導入ダクトに冷却媒体を導入するための導入口が設けられており、導出ダクトには、当該導出ダクトから冷却媒体を導出するための導出口が設けられており、導入口及び導出口は、複数の流路の配列方向の一端部側に位置しており、複数の第1締結部材は、導入口からの距離が遠くなるにつれて互いに隣り合う第1締結部材同士の間隔が大きくなるように配置されていてもよい。この場合、導入口及び導出口が複数の流路の配列方向の同じ端部側に位置する構成において、流路部材における複数の流路間の冷却媒体の流通の偏りを更に抑制できる。
【0012】
また、本開示に係る蓄電装置において、導入ダクトには、当該導入ダクトに冷却媒体を導入するための導入口が設けられており、導出ダクトには、当該導出ダクトから冷却媒体を導出するための導出口が設けられており、導入口は、複数の流路の配列方向の一端部側に位置しており、導出口は、複数の流路の配列方向の他端部側に位置しており、複数の第1締結部材は、導入口からの距離が遠くなるにつれて互いに隣り合う第1連結同士の間隔が小さくなるように配置されていてもよい。この場合、導入口及び導出口が複数の流路の配列方向の互いに異なる端部側に位置する構成において、流路部材における複数の流路間の冷却媒体の流通の偏りを更に抑制できる。
【0013】
また、本開示に係る蓄電装置は、一対の拘束板の間隔を保持する複数の間隔保持部材を更に備え、複数の間隔保持部材は、それぞれ導入ダクトの内部に配置されると共に第1締結部材が挿通される挿通孔を有していてもよい。この場合、間隔保持部材によって一対の拘束板の間隔が保持されると共に、当該間隔保持部材の形状及び大きさ等の調整によって冷却媒体の流通態様を制御することができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、冷却性能の位置ごとのばらつきを抑制することが可能な蓄電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、蓄電装置の一実施形態を示す概略断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示された蓄電モジュールの内部構成を示す概略断面図である。
【
図5】
図5は、比較例に係る冷却機構の圧力分布状態を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る冷却機構の圧力分布状態を示す図である。
【
図7】
図7は、変形例に係る冷却機構を示す断面図である。
【
図8】
図8は、別の比較例に係る冷却機構の圧力分布状態を示す図である。
【
図9】
図9は、変形例に係る冷却機構の圧力分布状態を示す図である。
【
図10】
図10は、別の実施形態に係る蓄電装置を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。なお、図面の説明においては、同一の要素同士、或いは、相当する要素同士には、互いに同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。また、以下の図面には、X軸、Y軸、及び、Z軸により規定される直交座標系Sを示す。
【0017】
まず、一実施形態に係る蓄電装置の構成について説明する。
図1は、蓄電装置の一実施形態を示す概略断面図である。
図1に示される蓄電装置10は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる。蓄電装置10は、互いに積層された複数(本実施形態では3つ)の蓄電モジュール12と、複数(本実施形態では4つ)の冷却部材14(流路部材)を含む冷却機構13と、拘束部材15と、を備える。なお、蓄電装置10は、少なくとも2つの蓄電モジュール12と、当該2つの蓄電モジュール12の間に配置された少なくとも1つの冷却部材14を含む冷却機構13と、を備えていればよい。
【0018】
複数の蓄電モジュール12は、一方向に積層されている。蓄電モジュール12は、例えば、矩形板状を呈しており、複数のバイポーラ電極(後述するバイポーラ電極32)を含むバイポーラ電池である。蓄電モジュール12は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池であるが、電気二重層キャパシタであってもよい。以下の説明では、ニッケル水素二次電池を例示する。
【0019】
冷却部材14は、蓄電モジュール12に接触配置されている。冷却部材14は、冷却媒体の流通により蓄電モジュール12を冷却する。各冷却部材14には、冷却媒体を流通させる複数の流路64が設けられている。複数の流路64は、蓄電モジュール12の積層方向(例えばZ方向であって、以下、単に「積層方向」という。)に交差(直交)する第1方向(ここではY方向)に沿ってそれぞれ延び、積層方向及び第1方向に交差(直交)する第2方向(ここではX方向)に沿って配列されている。なお、これらの詳細な構成については後述する。
【0020】
冷却部材14は、例えば金属等の導電材料により形成され、導電性を有している。冷却部材14は、積層方向に沿って蓄電モジュール12と共に積層され、積層方向に沿って互いに隣り合う蓄電モジュール12と電気的に接続される。これにより、複数の蓄電モジュール12が積層方向において直列に接続される。冷却部材14は、積層方向に隣り合う蓄電モジュール12の間と、積層端に位置する蓄電モジュール12の外側と、にそれぞれ配置されている。
【0021】
積層端に位置する蓄電モジュール12の外側に配置された一方の冷却部材14には、正極端子24が接続されている。積層端に位置する蓄電モジュール12の外側に配置された他方の冷却部材14には、負極端子26が接続されている。正極端子24及び負極端子26は、例えば冷却部材14の縁部から積層方向に交差する方向(ここではX方向)に引き出されている。正極端子24及び負極端子26により、蓄電装置10の充放電が実施される。積層端に位置する蓄電モジュールの外側に冷却部材14を配置する替わりに、流路64が形成されていない集電部材を配置し、その集電部材に正極端子24及び負極端子26を接続してもよい。
【0022】
なお、
図1の例では、積層方向から見た冷却部材14の面積は、蓄電モジュール12の面積よりも小さいが、放熱性の向上の観点から、冷却部材14の面積は、蓄電モジュール12の面積と同じであってもよく、蓄電モジュール12の面積よりも大きくてもよい。
【0023】
拘束部材15は、複数の蓄電モジュール12に対して拘束荷重を付加する。拘束部材15は、一対のエンドプレート16,17(拘束板)と、複数の締結部材19と、を有する。一対のエンドプレート16,17は、積層方向に沿って複数の蓄電モジュール12及び複数の冷却部材14を挟んで配置されている。すなわち、冷却部材14は、蓄電モジュール12に対して積層方向に沿って積層された状態で、蓄電モジュール12と共に一対のエンドプレート16,17に挟まれている。
【0024】
エンドプレート16,17は、積層方向から見た蓄電モジュール12及び冷却部材14の面積よりも一回り大きい面積を有する矩形の金属板である。エンドプレート16,17の縁部には、蓄電モジュール12よりも外側となる位置に挿通孔16a,17aが設けられている。エンドプレート16,17の内側面(冷却部材14側の面)には、電気絶縁性を有する絶縁部材22が設けられている。絶縁部材22により、エンドプレート16,17と冷却部材14との間が絶縁されている。絶縁部材22は、例えば、フィルム状もしくは薄いプレート状に形成される。
【0025】
締結部材19は、拘束ボルト18及びナット20を含む。複数の拘束ボルト18は、積層方向に沿ってそれぞれ延びている。各拘束ボルト18は、一方のエンドプレート16の挿通孔16aから他方のエンドプレート17の挿通孔17aに向かって通され、他方のエンドプレート17の挿通孔17aから突出した各拘束ボルト18の先端部分には、ナット20が螺合されている。これにより、エンドプレート16,17が締結され、複数の蓄電モジュール12及び複数の冷却部材14がエンドプレート16,17によって挟持されてユニット化される。複数の拘束ボルト18及び複数のナット20は、エンドプレート16,17を締結することにより、複数の蓄電モジュール12及び複数の冷却部材14に拘束荷重を付加する。
【0026】
次に、蓄電モジュール12の構成について更に詳細に説明する。
図2は、
図1に示された蓄電モジュールの内部構成を示す概略断面図である。
図2に示されるように、蓄電モジュール12は、電極積層体30と、電極積層体30を封止(シール)する樹脂製のシール部材50とを備えている。
【0027】
電極積層体30は、セパレータ40を介して複数のバイポーラ電極32が積層されてなる。この例では、電極積層体30の積層方向DはZ方向である。すなわち、積層方向Dは、蓄電モジュール12の積層方向と一致している。バイポーラ電極32は、電極板34、電極板34の一方面34sに設けられた正極36、電極板34の他方面34rに設けられた負極38を含んでいる。正極36は、正極活物質が塗工されてなる正極活物質層である。負極38は、負極活物質が塗工されてなる負極活物質層である。電極積層体30において、一のバイポーラ電極32の正極36は、セパレータ40を挟んで積層方向Dに沿って隣り合う一方のバイポーラ電極32の負極38と対向している。電極積層体30において、一のバイポーラ電極32の負極38は、セパレータ40を挟んで積層方向Dに沿って隣り合う他方のバイポーラ電極32の正極36と対向している。
【0028】
電極積層体30において、積層方向Dの一端には負極終端電極42が配置され、積層方向Dの他端には正極終端電極44が配置されている。負極終端電極42は、電極板34、及び電極板34の他方面34rに設けられた負極38を含んでいる。負極終端電極42の負極38は、セパレータ40を介して積層方向Dの一端のバイポーラ電極32の正極36と対向している。負極終端電極42の電極板34の一方面34sには、蓄電モジュール12に隣接する一方の冷却部材14が接触している。正極終端電極44は、電極板34、及び電極板34の一方面34sに設けられた正極36を含んでいる。正極終端電極44の電極板34の他方面34rには、蓄電モジュール12に隣接する他方の冷却部材14が接触している。正極終端電極44の正極36は、セパレータ40を介して積層方向Dの他端のバイポーラ電極32の負極38と対向している。
【0029】
電極板34は、金属製であり、例えばニッケル又はニッケルメッキ鋼板からなる。電極板34は、例えばニッケルからなる矩形の金属箔である。電極板34の周縁部34aは、矩形枠状をなし、正極活物質及び負極活物質が塗工されない未塗工領域となっている。正極36を構成する正極活物質としては、例えば水酸化ニッケルが挙げられる。負極38を構成する負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が挙げられる。本実施形態では、電極板34の他方面34rにおける負極38の形成領域は、電極板34の一方面34sにおける正極36の形成領域に対して一回り大きくなっている。
【0030】
セパレータ40は、例えばシート状に形成されている。セパレータ40としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。セパレータ40は、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されたものであってもよい。なお、セパレータ40は、シート状に限られず、袋状のものを用いてもよい。
【0031】
シール部材50は、例えば絶縁性の樹脂によって矩形の枠状に形成されている。シール部材50を構成する樹脂材料としては、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)などが挙げられる。シール部材50は、電極積層体30を取り囲み、複数の電極板34の周縁部34aを保持するように構成されている。
【0032】
シール部材50は、周縁部34aに設けられた一次シール52と、一次シール52の周囲に設けられた二次シール54とを有している。一次シール52は所定の厚さ(積層方向Dに沿った長さ)を有するフィルムである。一次シール52は、積層方向Dから見て、矩形枠状をなし、例えば超音波又は熱により、周縁部34aの全周にわたって連続的に溶着されている。一次シール52は、周縁部34aを埋設した状態で、周縁部34aに設けられ、電極板34の端面を覆っている。一次シール52は、積層方向Dから見て、正極36及び負極38から離間して設けられている。積層方向Dに沿って隣り合う一次シール52同士は、互いに当接していてもよいし、互いに離間していてもよい。
【0033】
二次シール54は、電極積層体30及び一次シール52の外側に設けられ、蓄電モジュール12の外壁(筐体)を構成している。二次シール54は、例えば、樹脂の射出成形によって形成され、積層方向Dにおいて電極積層体30の全長に亘って延在している。二次シール54は、積層方向Dに沿って延在する筒状(枠状)である。二次シール54は、積層方向Dに沿った一次シール52の外側面を覆っている。二次シール54は、一次シール52の外側面に接合され、一次シール52の外側面をシールしている。二次シール54は、例えば、射出成形時の熱によって一次シール52の外側面に溶着されている。二次シール54は、熱板溶着によって一次シール52の外側面に溶着されてもよい。
【0034】
積層方向Dに沿って隣り合う電極板34の間には、当該電極板34とシール部材50とにより気密及び水密に仕切られた内部空間Vが形成されている。換言すれば、積層方向Dに沿って互いに隣り合う一対の電極板34によって1つの内部空間Vが規定される。以下では、積層方向Dに沿って互いに隣り合う一対の電極板34と、当該一対の電極板34によって規定される1つの内部空間Vと、を含む部分を蓄電セル39と称する場合がある。
【0035】
内部空間Vには、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ水溶液からなる電解液(不図示)が収容されている。すなわち、蓄電モジュール12は、互いに積層された複数の蓄電セル39と、蓄電セル39のそれぞれの内部空間Vに配置された電解液と、を備える。電解液は、セパレータ40、正極36及び負極38内に含浸されている。電解液は強アルカリ性なので、シール部材50は、耐強アルカリ性を有する樹脂材料により構成されている。
【0036】
続けて、蓄電モジュール12を冷却するための冷却機構13の詳細な構成について説明する。
図3は、
図1におけるIII-III線断面図である。
図4は、
図3におけるIV-IV線断面図である。なお、
図3においては、蓄電モジュール12及び拘束部材15の図示を省略している。
図3及び
図4に示されるように、冷却機構13は、上述した冷却部材14と、導入ダクト61と、導出ダクト62と、ブロワ63と、を有する。
【0037】
冷却部材14は、当該冷却部材14の内部に冷却媒体を流通させることにより蓄電モジュール12で発生した熱を外部に放出し、蓄電モジュール12を冷却する。すなわち、冷却部材14は、蓄電モジュール12同士を電気的に接続する接続部材としての機能のほか、蓄電モジュール12で発生した熱を放熱する放熱板としての機能を併せ持つ。冷却媒体は、例えば絶縁性を有する熱媒体として空気、アンモニア等の気体が用いられる。なお、ブロワ63に替えて循環ポンプを使用する場合には、冷却媒体として、絶縁性のクーラントなどの液体を用いることもできる。
【0038】
冷却部材14は、矩形板状を呈し、厚さ方向が積層方向(すなわち、Z方向)に沿うように配置されている。冷却部材14は、積層方向に交差(直交)する一対の主面14s(すなわち、第1方向(ここではY方向)及び第2方向(ここではX方向)に沿った一対の主面14s)を有している。各主面14sは、第2方向を長手方向とする長尺状を呈している。また、各主面14sの第1方向に沿った長さは、例えば蓄電モジュール12の第1方向に沿った長さと同程度である。各主面14sは、積層方向に沿って蓄電モジュール12に対向し、蓄電モジュール12と熱的に接続される(例えば、蓄電モジュール12と接触する)冷却面を構成する。本実施形態では、主面14sの全面が冷却面を構成している。
【0039】
上述したように、冷却部材14には、複数の流路64が形成されている。複数の流路64は、主面14sに沿って冷却媒体を流通させる。そのために、複数の流路64は、第1方向(ここではY方向)に沿って直線状にそれぞれ延び、第1方向に交差(直交)する第2方向(ここではX方向)に沿って配列されている。本実施形態において、複数の流路64の配列方向と、冷却部材14の主面14sの長手方向とは一致している。複数の流路64は、互いに平行である。流路64の第1方向に交差(直交)する断面(以下、「流路断面」という。)は、図示の例では矩形であるが、例えば円形等の他の形状であってもよい。各流路64の流路断面の面積(以下、「流路面積」という。)は、例えば第1方向に沿って一定である。また、冷却部材14に形成されたすべての流路64は、例えば互いに同じ流路面積を有している。
【0040】
冷却部材14は、流路64が形成された複数(一例として4枚)の冷却板65を有する。複数の冷却板65のそれぞれには、1つの冷却部材14における複数の流路64のうちの一部が形成されている。なお、図示においては、1つの冷却板65に複数の流路64が形成されているが、1つの冷却板65に1つの流路64のみが形成されていてもよい。複数の冷却板65は、第2方向に沿って配列されている。これにより、複数の冷却板65は、全体として、冷却部材14を構成している。1つの主面14s(冷却面)は、複数の冷却板65によって構成されている。
【0041】
導入ダクト61は、それぞれの流路64に対して冷却媒体を導入する。導入ダクト61は、冷却部材14の第1方向の一端部14cに配置されている。導入ダクト61は、一端部14cに対して第2方向に沿って延びるように設けられている。導入ダクト61は、矩形状を呈し、例えば曲げ加工された金属板によって形成されている。
【0042】
導入ダクト61の第2方向に沿った長さは、冷却部材14の第2方向に沿った全長よりも大きい。導入ダクト61の第1方向に沿った幅は、例えば第2方向に沿って一定である。導入ダクト61には、冷却部材14のすべての流路64が連通している。また、導入ダクト61の積層方向に沿った長さは、互いに積層された蓄電モジュール12及び冷却部材14の積層高さHよりも大きい。本実施形態において、導入ダクト61には、すべての冷却部材14のすべての流路64が連通している。ダクト壁部材61cは、互いに積層された蓄電モジュール12及び冷却部材14を一括して第1方向の一方側(冷却部材14の一端部14c側)から覆うように設けられている。
【0043】
導入ダクト61には、当該導入ダクト61に冷却媒体を導入するための導入口61aが設けられている。導入口61aは、冷却部材14の一端部14a側に位置している。具体的には、導入口61aは、一端部14aよりも第2方向に沿って突出した位置に設けられている。
【0044】
ここで、複数(エンドプレート16,17を締結するためのすべて)の拘束ボルト18は、エンドプレート16,17の第1方向の一端部に配置された複数の導入側ボルト61b(第1締結部材)を含む。複数の導入側ボルト61bは、冷却部材14の一端部14c側において、第2方向に沿って配列されている。複数の導入側ボルト61bは、積層方向に沿って導入ダクト61を貫通している。複数の導入側ボルト61bは、それぞれ導入ダクト61の内部を通過するように、積層方向に沿って延在している。本実施形態におけるエンドプレート16,17の面積は、導入ダクト61及び導出ダクト62によって規定される積層方向から見た冷却機構13の面積よりも小さい。
【0045】
導入ダクト61の内部には、第2方向に沿って配列された複数の導入側ボルト61bが存在することとなる。上述した様に、複数の導入側ボルト61bは、積層方向に沿ってそれぞれ延びている。また、導入側ボルト61bのうちの少なくとも一部は、第1方向から見て、蓄電モジュール12及び冷却部材14の少なくとも一方と重複するように位置している。本実施形態において複数の導入側ボルト61bは、第1方向から見て、積層された蓄電モジュール12及び冷却部材14のすべてと重複するように位置している。一例として、複数の導入側ボルト61bは、それぞれ、導入ダクト61の内部における第1方向の略中央に位置している。また、複数の導入側ボルト61bは、少なくとも導入ダクト61内において互いに異なる形状を呈していてもよいが、一例として、互いに同じ形状(ここでは棒状)を呈している。
【0046】
導出ダクト62は、流路64から導出された冷却媒体を流通させる。導出ダクト62は、冷却部材14の第1方向の他端部14dに配置されている。導出ダクト62は、冷却部材14の第1方向の他端部14dに対して第2方向に沿って延びるように設けられている。導出ダクト62は、矩形状を呈し、例えば曲げ加工された金属板によって形成されている。
【0047】
導出ダクト62の第2方向に沿った長さは、冷却部材14の第2方向に沿った全長よりも大きい。導出ダクト62の第1方向に沿った幅は、例えば第2方向に沿って一定である。導出ダクト62には、冷却部材14のすべての流路64が連通している。また、導出ダクト62の積層方向に沿った長さは、互いに積層された蓄電モジュール12及び冷却部材14の積層高さHよりも大きい。本実施形態において、導出ダクト62には、すべての冷却部材14のすべての流路64が連通している。ダクト壁部材62cは、互いに積層された蓄電モジュール12及び冷却部材14を一括して第1方向の他方側(冷却部材14の他端部14d側)から覆うように設けられている。
【0048】
導出ダクト62には、当該導出ダクト62から冷却媒体を導出するための導出口62aが設けられている。導出口62aは、冷却部材14の一端部14a側に位置している。具体的には、導出口62aは、一端部14aよりも第2方向に沿って突出した位置に設けられている。
【0049】
また、複数(エンドプレート16,17を締結するためのすべて)の拘束ボルト18は、エンドプレート16,17の第1方向の他端部に配置された複数の導出側ボルト62b(第2締結部材)を含む。複数の導出側ボルト62bは、冷却部材14の他端部14d側において、第2方向に沿って配列されている。複数の導出側ボルト62bは、積層方向に沿って導出ダクト62を貫通している。複数の導出側ボルト62bは、それぞれ導出ダクト62の内部を通過するように、積層方向に沿って延在している。
【0050】
導出ダクト62の内部には、第2方向に沿って配列された複数の導出側ボルト62bが存在することとなる。上述したように、複数の導出側ボルト62bは、積層方向に沿ってそれぞれ延びている。また、複数の導出側ボルト62bのうちの少なくとも一部は、第1方向から見て、蓄電モジュール12及び冷却部材14の少なくとも一方と重複するように位置している。本実施形態において導出側ボルト62bは、第1方向から見て、積層された蓄電モジュール12及び冷却部材14のすべてと重複するように位置している。一例として、複数の導出側ボルト62bは、それぞれ、導出ダクト62の内部における第1方向の略中央に位置している。複数の導出側ボルト62bは、少なくとも導出ダクト62内において、互いに異なる形状を呈していてもよいが、一例として、互いに同じ形状(ここでは棒状)を呈している。また、複数の導出側ボルト62bの構成は、複数の導入側ボルト61bの構成と同様であってもよく、異なっていてもよい。
【0051】
本実施形態においては、複数の導入側ボルト61bと複数の導出側ボルト62bとは互いに同様に構成されている。具体的には、導入側ボルト61b及び導出側ボルト62bは、冷却部材14の一端部14c側及び他端部14d側のそれぞれにおいて、第2方向に沿って一定の間隔で配列されている。
【0052】
ブロワ63は、導出口62aに接続されている。ブロワ63は、導出口62aから導出ダクト62の内部の冷却媒体を吸引し、冷却媒体を導出ダクト62から外部に排出する。また、ブロワ63による導出口62aからの冷却媒体の吸引により、外部の冷却媒体が導入口61aから導入ダクト61の内部に吸引され、当該冷却媒体は、導入ダクト61、複数の流路64、及び導出ダクト62を流通する。
【0053】
以上説明した蓄電装置10の作用効果について説明する。
図5は、比較例に係る冷却機構の圧力分布状態を示す図である。
図6は、本実施形態に係る冷却機構の圧力分布状態を示す図である。
図5に示される比較例に係る冷却機構13Xは、導入ダクト61の内部に複数の導入側ボルト61bが配置されていない点、及び、導出ダクト62の内部に複数の導出側ボルト62bが配置されていない点で本実施形態に係る冷却機構13と相違し、その他の点において冷却機構13と同様に構成されている。冷却機構13Xにおいて、導入ダクト61の内部及び導出ダクト62の内部は空虚となっている。
【0054】
図5及び
図6においては、圧力が等高線で示されると共に、色の濃い部分ほど、圧力が大きいことが示されている。冷却機構13,13Xにおいては、圧力の等高線の間隔が狭い部分ほど冷却媒体が流れやすく、圧力の等高線の間隔が広い部分ほど冷却媒体が流れにくくなる。
【0055】
蓄電装置10においては、冷却部材14に形成された複数の流路64が第2方向(ここではX方向)に沿って配列され、導入ダクト61が冷却部材14の第1方向の一端部14cに対して第2方向に沿って延びるように配置される。このような構成において、冷却機構13Xのように、導入ダクト61の内部が空虚である場合、
図5に示されるように、等高線の間隔の位置ごとのばらつきが大きくなり、導入口61aから導入された冷却媒体の流れは、導入ダクト61の内部において、一方向(第2方向)に偏ったものとなりやすい。この場合、流路64の位置に応じて冷却媒体の流入のしやすさにばらつきが生じる。
【0056】
これに対し、本実施形態に係る蓄電装置10の冷却機構13において、導入ダクト61の内部には、第2方向に沿って配列された複数の導入側ボルト61bが存在している。具体的には、エンドプレート16,17の第1方向の一端部に配置された一部の拘束ボルト18が、導入側ボルト61bとして、それぞれ導入ダクト61の内部を通過するように、積層方向に沿って延在している。このため、導入ダクト61の内部を流通する冷却媒体の流れが各導入側ボルト61bによって遮られ(乱され)、導入ダクト61内で均一化される。その結果、
図6に示されるように、冷却部材14の全域に亘って等高線の間隔がほぼ均等となる。換言すると、第2方向の位置によらずに、それぞれの流路64へ冷却媒体が流入しやすくなる。したがって、導入ダクト61の第2方向の全長に亘って冷却媒体の流通が遮られない冷却機構13Xの構成と比較して、冷却部材14における複数の流路64間の冷却媒体の流通の偏りが抑制され、冷却性能の位置ごとのばらつきを抑制することが可能となる。
【0057】
ところで、蓄電モジュール12には、当該蓄電モジュール12を挟む一対のエンドプレート16,17を介して、締結部材19(拘束ボルト18及びナット20)によって拘束される。このとき、導入ダクト61と拘束ボルト18との干渉を避けるため、例えば拘束ボルト18を導入ダクト61よりも外側に配置すると、当該拘束ボルト18の位置に応じたサイズのエンドプレート16,17が必要となるため、エンドプレート16,17のサイズの増大化の原因となる場合がある。
【0058】
これに対し、蓄電装置10によれば、複数の拘束ボルト18を導入ダクト61よりも外側に配置する場合と比較してエンドプレート16,17のサイズを小さくできると共に、拘束ボルト18を、導入ダクト61の内部を流通する冷却媒体の流れを適度に乱して、各流路64を流通する冷却媒体の導入口61aからの距離に対する流れのアンバランスを低減するための部材としても活用することができる。
【0059】
また、蓄電装置10において、導出ダクト62の内部には、第2方向に沿って配列された複数の導出側ボルト62bが存在している。具体的には、蓄電装置10は、冷却部材14の第1方向の他端部14dに配置され、複数の流路64のそれぞれから導出された冷却媒体を流通させる導出ダクト62を更に備えている。そして、複数の拘束ボルト18は、エンドプレート16,17の第1方向の他端部において第2方向に沿って配列された複数の導出側ボルト62bを含み、複数の導出側ボルト62bは、それぞれ導出ダクト62の内部を通過するように、積層方向に沿って延在している。これにより、冷却機構13の導出ダクト62の内部の等高線の間隔が均一化される。すなわち、導出ダクト62の内部において冷却媒体の流通の偏りが抑制される。したがって、当該導出ダクト62へ導出される各流路64からの冷却媒体の偏りが抑制されやすくなり、冷却性能の位置ごとのばらつきを更に抑制することが可能となる。
【0060】
以上の実施形態は、本開示に係る蓄電装置の一実施形態について説明したものである。本開示に係る蓄電装置は、上述した蓄電装置10を任意に変更したものとすることができる。
【0061】
例えば、上記実施形態において、複数の導入側ボルト61b及び複数の導出側ボルト62bは、それぞれ、第2方向に沿って一定の間隔で配列されていた。しかしながら、第2方向に沿った導入側ボルト61b同士の間隔、及び、第2方向に沿った導出側ボルト62b同士の間隔はそれぞれ一定でなくてもよい。複数の導入側ボルト61bは、導入口61aからの距離が遠くなるにつれて(すなわち、冷却部材14の他端部14bに向かうにつれて)、第2方向に沿って互いに隣り合う導入側ボルト61b同士の間隔が大きくなるように配置されていてもよい。この場合、導入口61a及び導出口62aが冷却部材14の第2方向の同じ端部(ここでは他端部14b)側に位置する構成において、冷却部材14における複数の流路64間の冷却媒体の流通の偏りを更に抑制できる。
【0062】
また、同様に複数の流路64間の冷却媒体の流通の偏りを更に抑制する観点から、複数の導出側ボルト62bは、導出口62aからの距離が遠くなるにつれて、第2方向に沿って互いに隣り合う導出側ボルト62b同士の間隔が大きくなるように配置されていてもよい。
【0063】
なお、複数の導入側ボルト61bは、導入口61aからの距離が遠くなるにつれて、第2方向に沿って互いに隣り合う導入側ボルト61b同士の間隔が大きくなるように配置されていてもよい。この場合であっても、導入ダクト61の内部を流通する冷却媒体の流れが導入側ボルト61bによって遮られ(乱され)るので、冷却部材14における冷却性能の位置ごとのばらつきを抑制する効果を奏する。同様に、複数の導出側ボルト62bは、冷却部材14の一端部14aに向かうにつれて、第2方向に沿って互いに隣り合う導出側ボルト62b同士の間隔が大きくなるように配置されていてもよい。
【0064】
また、導入口61a及び導出口62aは、冷却部材14の第2方向の同じ端部(ここでは他端部14b)側に位置していなくてもよい。
図7は、変形例に係る冷却機構を示す断面図である。
図7に示されるように、冷却機構13において、導入口61aは、冷却部材14の一端部14a側に位置しており、導出口62aは、冷却部材14の他端部14b側に位置していてもよい。この場合も、導入ダクト61の内部を流通する冷却媒体の流れが導入側ボルト61bによって遮られ(乱され)るので、冷却部材14における冷却性能の位置ごとのばらつきを抑制する効果を奏する。
【0065】
図8は、冷却機構13Xとは別の比較例に係る冷却機構の圧力分布状態を示す図である。
図9は、変形例に係る冷却機構の圧力分布状態を示す図である。
図8に示される冷却機構13Yは、
図7に示される変形例に係る冷却機構13に対応する比較例である。冷却機構13Yは、導入ダクト61の内部に複数の導入側ボルト61bが配置されていない点、及び、導出ダクト62の内部に複数の導出側ボルト62bが配置されていない点で本変形例に係る冷却機構13と相違し、その他の点において当該冷却機構13と同様に構成されている。冷却機構13Yにおいても、冷却機構13Xと同様に、導入ダクト61の内部及び導出ダクト62の内部は空虚となっている。
【0066】
図8及び
図9においては、
図5及び
図6と同様に、圧力が等高線で示されると共に、色の濃い部分ほど、圧力が大きいことが示されている。すなわち、冷却機構13,13Yにおいては、圧力の等高線の間隔が狭い部分ほど冷却媒体が流れやすく、圧力の等高線の間隔が広い部分ほど冷却媒体が流れにくくなる。
【0067】
図8に示されるように、冷却機構13Yにおいては、等高線の間隔の位置ごとのばらつきが大きくなっている。このため、流路64の位置に応じて冷却媒体の流入のしやすさにばらつきが生じる。これに対し、本変形例に係る冷却機構13においては、
図9に示されるように、冷却部材14の全域に亘って等高線の間隔がほぼ均等となる。したがって、第2方向の位置によらずに、それぞれの流路64へ冷却媒体が流入しやすくなり、冷却性能の位置ごとのばらつきを抑制することが可能となる。
【0068】
本変形例に係る冷却機構13において、複数の導入側ボルト61bは、導入口61aからの距離が遠くなるにつれて、第2方向に沿って互いに隣り合う導入側ボルト61b同士の間隔が小さくなるように配置されていてもよい。この場合、導入口61a及び導出口62aが冷却部材14の第2方向の互いに異なる端部側に位置する構成において、冷却部材14における複数の流路64間の冷却媒体の流通の偏りを更に抑制できる。
【0069】
また、本変形例に係る冷却機構13において、複数の導出側ボルト62bは、導出口62aからの距離が遠くなるにつれて(すなわち、冷却部材14の一端部14aに向かうにつれて)、第2方向に沿って互いに隣り合う導出側ボルト62b同士の間隔が大きくなるように配置されていてもよい。この場合、冷却部材14における複数の流路64間の冷却媒体の流通の偏りをより一層抑制できる。
【0070】
なお、本変形例に係る冷却機構13において、複数の導入側ボルト61bは、冷却部材14の一端部14aに向かうにつれて、第2方向に沿って互いに隣り合う導入側ボルト61b同士の間隔が大きくなるように配置されていてもよく、複数の導出側ボルト62bは、冷却部材14の他端部14bに向かうにつれて、第2方向に沿って互いに隣り合う導出側ボルト62b同士の間隔が大きくなるように配置されていてもよい。
【0071】
図10~
図12を参照して、別の実施形態に係る蓄電装置について説明する。
図10は、別の実施形態に係る蓄電装置の斜視図である。
図11は、
図10に示された蓄電装置の側面図である。
図11では、第2方向から見た蓄電装置が示されている。
図12は、
図10におけるXII-XII線断面図である。
図10に示される蓄電装置1Dは、上述した蓄電装置10と同様に、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる。蓄電装置1Dは、モジュール積層体2Dと、拘束部材4Dと、を備えている。モジュール積層体2Dは、一方向に積層された複数の蓄電モジュール3Dを含んでいる。本実施形態における蓄電モジュール3Dの積層方向は、例えば上述した蓄電モジュール12の積層方向(すなわちZ方向)と同じである。
【0072】
モジュール積層体2Dは、複数(本実施形態では7つ)の蓄電モジュール3Dと、複数(本実施形態では8つ)の導電板5Dと、を含む。蓄電モジュール3Dは、積層方向から見て、例えば矩形状を呈しており、複数のバイポーラ電極(例えば上述したバイポーラ電極32)を含むバイポーラ電池である。蓄電モジュール3Dは、例えばニッケル水素二次電池及びリチウムイオン二次電池等の二次電池であってもよく、電気二重層キャパシタであってもよい。以下の説明では、ニッケル水素二次電池を例示する。
【0073】
積層方向に互いに隣り合う蓄電モジュール3D同士は、導電板5Dを介して電気的に接続されている。本実施形態では、複数の(8つ)の導電板5Dは、複数(6つ)の導電板5ADと、複数(2つ)の導電板5BD(導電部材)と、によって構成されている。導電板5ADは、冷却部材の一例である。導電板5ADは、積層方向に互いに隣り合う蓄電モジュール3D間に配置されている。導電板5BDは、複数の蓄電モジュール3Dのうち積層端に位置する蓄電モジュール3Dの積層方向の外側に配置されている。各導電板5BDには、電極端子(上記実施形態に係る正極端子24及び上記実施形態に係る負極端子26の一方)が接続されていてもよい。
【0074】
図12に示されるように、導電板5ADの内部には、冷却媒体を流通させる複数の流路5aDが設けられている。複数の流路5aDは、積層方向(ここではZ方向)に交差(直交)する第1方向(ここではY方向)に沿ってそれぞれ延び、積層方向及び第1方向に交差(直交)する第2方向(ここではX方向)に沿って配列されている。導電板5ADは、流路5aDに冷却媒体を流通させることにより、蓄電モジュール3Dで発生した熱を放熱する放熱板として機能する。導電板5Dは、積層方向から見て、例えば矩形状を有する。なお、
図10の例においても、積層方向から見た導電板5Dの面積は蓄電モジュール3Dの面積よりも小さいが、放熱性の向上の観点から、導電板5Dの面積は蓄電モジュール3Dの面積と同じであってもよく、蓄電モジュール3Dの面積よりも大きくてもよい。
【0075】
図10及び
図11に示されるように、蓄電装置1Dは、蓄電モジュール3Dを冷却するための冷却媒体を流通させる導入ダクト21Dを有する。導入ダクト21Dは、導電板5ADの第1方向の一端部5bDに配置されている。導入ダクト21Dは、各導電板5ADの第1方向の一端部5bDに対向して第2方向に沿って延びるように設けられている。導入ダクト21Dは、例えば矩形状を呈している。導入ダクト21Dは、第2方向から見てコ字状を呈するように曲げ加工された金属板であるダクト壁部材21cDと、後述する一対の拘束板8Dのそれぞれにおける一方の縁部10D(導電板5ADの一端部5bD側の縁部10D)と、によって形成されている。導入ダクト21Dは、冷却媒体を流通させて複数の流路5aDのそれぞれへと冷却媒体を導入するように構成されている。
【0076】
導入ダクト21Dの第2方向における一端には、導入ダクト21Dに冷却媒体を導入するための導入口21aDが設けられている。なお、蓄電装置1Dは、流路5aDから導出された冷却媒体を流通させるための導出ダクトを備えていない。導入ダクト21Dから流路5aDの一方の端部へと導入された冷却媒体は、流路5aDを流通し、流路5aDの他方の端部から外部空間へ導出される。導入口21aDには、導入ダクト21D内へ冷却媒体(例えば冷却空気)を供給する送風ファン(不図示)等が接続されていてもよい。
【0077】
図10及び
図11に示されるように、拘束部材4Dは、モジュール積層体2Dを積層方向の両側から挟んで配置された一対の拘束板8D(積層方向の一方側の拘束板8AD及び積層方向の他方側の拘束板8BD)と、一対の拘束板8Dを連結する複数の連結部材9D(締結部材)と、を含む。連結部材9Dは、一対の拘束板8Dを介して積層方向にモジュール積層体2Dに拘束荷重を付加する。連結部材9Dは、一対の拘束板8Dを締結するボルト9aD及びナット9bDによって構成されている。
【0078】
拘束板8Dは、積層方向から見た蓄電モジュール3D及び導電板5Dの面積よりも一回り大きい面積を有する矩形の金属板である。各拘束板8Dと導電板5BDとの間には、例えば樹脂フィルム等の絶縁部材FDが配置されている。絶縁部材FDにより、拘束板8Dと導電板5BDとの間が絶縁されている。絶縁部材FDは、積層方向から見て、例えば矩形状を有する。本実施形態では、積層方向から見た絶縁部材FDの面積は、蓄電モジュール3Dの面積及び導電板5Dの面積よりも大きく、拘束板8Dの面積よりも小さい。
【0079】
拘束板8Dは、積層方向から見てモジュール積層体2Dと重なる中央部11Dと、中央部11Dから第2方向に沿って延在すると共に積層方向から見てモジュール積層体2Dと重ならない縁部10Dと、を有する。本実施形態では、一対の縁部10Dが、第1方向における中央部11Dの両側に設けられている。すなわち、中央部11Dは、一対の縁部10Dに挟まれている。一対の縁部10Dは、拘束板8Dの長手方向(ここではX方向)に沿って延在する外縁部分である。
【0080】
一例として、各縁部10Dは、複数(本実施形態では5つ)の係合部14Dを有する。係合部14Dは、連結部材9Dが係合される部分である。各縁部10Dにおいて、複数の係合部14Dは、拘束板8Dの長手方向に沿って互いに離間するように配置されている。本実施形態では、複数の係合部14Dは、拘束板8Dの長手方向における縁部10Dの一端から他端まで等間隔に配置されている。係合部14Dにおける積層方向の外側を向く係合部外面14aDは、中央部外面11aDよりも積層方向の内側に位置している。本実施形態においては、係合部外面14aDと縁部10Dの外面10aDとが同一平面上に位置している。なお、係合部外面14aDは、係合部14Dが設けられていない部分における縁部10Dの外面10aDよりも積層方向の外側に位置していてもよく、係合部外面14aDが設けられていない部分における縁部10Dの外面10aDよりも積層方向の内側に位置していてもよい。
【0081】
係合部14Dには、積層方向に延在する貫通孔14bDが形成されている。貫通孔14bDは、係合部外面14aDから係合部14Dにおける積層方向の内側を向く係合部内面14cDまで貫通している。積層方向から見て、拘束板8ADに設けられた複数(ここでは10個)の貫通孔14bDは、拘束板8BDに設けられた複数の貫通孔14bDと重なっている。
【0082】
図10及び
図11に示されるように、複数の連結部材9Dのそれぞれは、貫通孔14bDに挿通されている。具体的には、各ボルト9aDの軸部が各拘束板8Dの貫通孔14bDに挿通されている。複数(拘束板8AD,8BDを締結するためのすべて)のボルト9aDは、拘束板8AD,8BDの第1方向の一端部に配置された複数のボルト90D(第1締結部材)を含む。複数のボルト90Dは、導電板5ADの一端部5bD側において、第2方向に沿って配列されている。複数のボルト90Dは、それぞれ導入ダクト21Dの内部を通過するように、積層方向に沿って延在している。
【0083】
一例として、ボルト9aDの頭部は、拘束板8ADの係合部外面14aD上に配置されている。ボルト9aDの軸部の先端部(ネジ先)は、拘束板8BDの係合部外面14aDから突出している。ボルト9aDの先端部には、ナット9bDが螺合されている。ナット9bDは、拘束板8BDの係合部外面14aD上に配置されている。これにより、拘束板8AD,8BDが締結され、複数の蓄電モジュール3D及び複数の導電板5Dが、拘束板8AD,8BDによって挟持されてモジュール積層体2Dとしてユニット化される。複数のボルト9aD及び複数のナット9bDは、拘束板8AD,8BDを締結することにより、複数の蓄電モジュール3D及び複数の導電板5Dを拘束する。
【0084】
積層方向における連結部材9Dの端部(以下、単に「連結部材9Dの端部」という。)は、中央部外面11aDよりも積層方向の外側に突出していない。すなわち、連結部材9Dの端部は、中央部外面11aDと同一平面上に位置しているか、或いは中央部外面11aDよりも積層方向の内側に位置している。本実施形態では、連結部材9Dの端部は、中央部外面11aDよりも積層方向の内側に位置している。連結部材9Dの端部とは、連結部材9Dを構成する部分のうち最も積層方向の外側に位置する部分である。拘束板8AD側の連結部材9Dの端部は、ボルト9aDの頭部の端部(座面とは反対側の面)である。
図11のようにボルト9aDの軸部の先端部がナット9bDの端部(座面とは反対側の端部)から突出しない場合には、拘束板8BD側の連結部材9Dの端部は、ナット9bDの端部である。一方、ボルト9aDの軸部の先端部がナット9bDの端部から突出する場合には、拘束板8BD側の連結部材9Dの端部は、ボルト9aDの軸部の先端部である。
【0085】
また、
図11に示されるように、係合部内面14cDは、中央部内面11bDよりも積層方向の内側に位置している。すなわち、係合部14Dの内側端部を中央部内面11bDよりも積層方向の内側に延ばすことにより、係合部14Dの肉厚が確保されている。このような構成は、係合部14Dが積層方向から見てモジュール積層体2Dと重なっていないことにより、実現可能となっている。
【0086】
また、係合部内面14cDは、いずれの導電板5ADよりも積層方向の外側に位置している。すなわち、第2方向から見て、係合部内面14cDは、複数の導電板5ADのうち最外層に位置する導電板5ADよりも積層方向の外側に位置している。すなわち、いずれの導電板5ADの流路5aDの入口又は出口も、係合部14Dによって覆われない。これにより、導電板5ADの流路5aDに冷却媒体を流通させやすくすることができる。すなわち、導入ダクト21Dから流路5aDへと冷却媒体を円滑に導入させることができる。
【0087】
また、一方の縁部10D(導電板5ADの一端部5bD側の縁部10D)には、ダクト壁部材21cDを固定するための固定ネジ18ADが挿通される孔部(不図示)が設けられている。当該一方の縁部10Dにおいて、4つの孔部が、拘束板8Dの長手方向中央部に位置する係合部14D以外の4つの係合部14Dの近傍に設けられている。一例として、孔部は、積層方向に縁部10Dを貫通する貫通孔であり、固定ネジ18ADが螺合するネジ溝が内面に形成されたネジ穴である。
【0088】
図10に示されるように、ダクト壁部材21cDは、延在部21bDを有する。延在部21bDは、縁部10Dの外面10aDにおいて孔部が設けられた部分に対向するように、積層方向に交差(直交)する平面(XY平面)に沿って延在している。延在部21bDは、係合部14Dと干渉しない形状及び大きさに形成されている。延在部21bDには、縁部10Dの孔部に対応する貫通孔が形成されている。固定ネジ18ADは、当該貫通孔に挿通され、縁部10Dの孔部に螺合されている。これにより、ダクト壁部材21cDは、縁部10Dに固定されている。すなわち、一方の縁部10Dの孔部に挿通された固定ネジ18ADが、ダクト壁部材21cDを介して、拘束板8D(一方の縁部10D)に取り付けられている。このように、ダクト壁部材21cDは、一対の拘束板8Dの外面に、ボルト9aDとは別部材である固定ネジ18ADによって固定されている。
【0089】
積層方向における固定ネジ18ADの端部は、中央部外面11aDと同一平面上に位置しているか、或いは中央部外面11aDよりも積層方向の内側に位置している。すなわち、固定ネジ18ADは、連結部材9Dと同様に、中央部外面11aDよりも外側に突出していない。
【0090】
以上説明した蓄電装置1Dの作用効果について説明する。蓄電装置1Dにおいても、蓄電装置10と同様に、流路部材としての導電板5ADに形成された複数の流路5aDが第2方向(ここではX方向)に沿って配列され、導入ダクト21Dが、導電板5ADの第1方向(ここではY方向)の一端部5bDに対して第2方向に沿って延びるように配置される。このため、導入ダクト21Dの内部が空虚である場合、流路5aDの位置に応じて冷却媒体の流入のしやすさにばらつきが生じる。
【0091】
これに対し、本実施形態に係る蓄電装置1Dにおいては、拘束板8AD,8BDの第1方向の一端部に配置された複数のボルト90Dが、それぞれ導入ダクト21Dの内部を通過するように、積層方向に沿って導入ダクト21D内にそれぞれ延在している。このため、導入ダクト21Dの内部を流通する冷却媒体の流れが各ボルト9aDによって適度に乱されるので、導入口からの距離に応じた各流路5aDへの冷却媒体の流入のしやすさのばらつきが低減される。その結果、この構成においても、冷却性能の位置ごとのばらつきを抑制することが可能となる。
【0092】
なお、本実施形態についても、請求項の要旨を変更しない範囲において、上述した種々の変形が可能である。
【0093】
例えば、
図10及び
図11において破線で示されるように、蓄電装置1Dは、導入ダクト21Dの内部においてボルト9aDに装着された複数のボルトカラー91D(間隔保持部材)を更に備えていてもよい。ボルトカラー91Dは、一対の拘束板8AD,8BDの間隔を保持するための矩形筒状の部材である。ボルトカラー91Dは、積層方向に沿って導入ダクト21D内にそれぞれ延在している。ボルトカラー91Dの積層方向の長さは、モジュール積層体2Dの積層方向の長さよりも短い。ボルトカラー91Dには、積層方向(ここではZ方向)に貫通する挿通孔が形成されている。ボルトカラー91Dは、当該挿通孔にボルト9aDを挿入させることで、当該ボルト9aDに装着される。例えば、ボルトカラー91Dは、複数のボルト9aDのすべてに装着される。この構成によれば、ボルトカラー91Dによって一対の拘束板8AD,8BDの間隔が保持されると共に、当該ボルトカラー91Dの形状及び大きさ等の調整によって冷却媒体の流通態様を制御することができる。
【0094】
本開示に係る蓄電装置は、上述した各実施形態及び変形例を任意に組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0095】
10…蓄電装置、12…蓄電モジュール、14…冷却部材(流路部材)、14a,14c…一端部、14b,14d…他端部、16,17…エンドプレート(拘束板)、18…拘束ボルト、61…導入ダクト、61a…導入口、61b…導入側ボルト(拘束ボルト)、62…導出ダクト、62a…導出口、62b…導出側ボルト(拘束ボルト)、64…流路、1D…蓄電装置、3D…蓄電モジュール、5AD…導電板(流路部材)、5aD…流路、5bD…一端部、8D,8AD,8BD…拘束板、9aD…ボルト(拘束ボルト)、21D…導入ダクト、21aD…導入口。