(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-03
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】棒状の被加工物を支持するための支持装置、工作機械、および方法
(51)【国際特許分類】
B23B 13/02 20060101AFI20220204BHJP
B23Q 1/48 20060101ALI20220204BHJP
B23Q 1/54 20060101ALI20220204BHJP
B23Q 1/26 20060101ALI20220204BHJP
【FI】
B23B13/02 J
B23Q1/48 D
B23Q1/54
B23Q1/26 Z
(21)【出願番号】P 2021516773
(86)(22)【出願日】2020-06-02
(86)【国際出願番号】 EP2020000111
(87)【国際公開番号】W WO2020244799
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-03-24
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503168692
【氏名又は名称】バイストロニック レーザー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タロニ ダビデ
(72)【発明者】
【氏名】フォンタナ ルカ
(72)【発明者】
【氏名】グエラ アンドレア
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01002622(EP,A2)
【文献】米国特許出願公開第2010/0264121(US,A1)
【文献】実開昭63-127801(JP,U)
【文献】実開昭62-203114(JP,U)
【文献】特開平10-279029(JP,A)
【文献】特開昭61-008255(JP,A)
【文献】特開昭60-204509(JP,A)
【文献】特開平04-072209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 13/00 - 13/12
B23Q 1/26
B23Q 1/48
B23Q 1/54
B23Q 7/05
B65G 13/00 - 13/12
B65G 39/00 - 39/20
B21F 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械(100)のために棒状の被加工物(110)を支持領域(220)の長手方向軸(L)に沿って支持するための支持装置(200)であって、
前記支持領域(220)において前記被加工物(110)の一部分を支持するように適合された少なくとも1つの対の支持部材(210)を備え、
前記対の支持部材(210)は、2つの支持要素(300、310)を備え、それぞれが回転軸(R1、R2)の周りを回転可能であり、
前記回転軸(R1、R2)のそれぞれは、前記長手方向軸(L)に対して垂直であり、
各支持要素(300、310)は、前記被加工物(110)の一部分を支持するように適合された半円形支持面(340)をともに形成する四分円形支持面(330)を備え、
前記支持領域(220)は、前記半円形支持面(340)に対向する開放面を備え、
変化する被加工物(110)を支持するために、前記支持要素(300、310)は、前記回転軸(R1、R2)の周り
の回転位置に基づき、前記半円形支持面(340)の変化する直径を提供するように適合される、支持装置(200)。
【請求項2】
請求項1に記載の支持装置(200)であって、前記長手方向軸(L)は、前記支持要素(300、310)の異なる回転位置に対して同一である、支持装置(200)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の支持装置(200)であって、前記支持要素(300、310)は、前記四分円形支持面(330)が設けられる円筒本体部(320)を備える、支持装置(200)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の支持装置(200)であって、
前記四分円形支持面(330)は、
前記回転軸(R1、R2)
に対して垂直な平面内で、2つの前記回転軸(R1、R2)を結ぶ第1の線と、
前記平面内で、前記四分円形支持面(330)と棒状の前記被加工物(110)との接触点と、前記回転軸(R1,R2)と、を結ぶ第2の線と、のなす角度が7度から27度の間
となる対数螺旋状の螺旋プロファイルを備える、支持装置(200)。
【請求項5】
請求項4に記載の支持装置(200)であって、
前記四分円形支持面(330)は、
前記第1の線と第2の線とのなす角度が17度の対数螺旋状の螺旋プロファイルを備える、支持装置(200)。
【請求項6】
請求項1から
4のいずれか一項に記載の支持装置(200)であって、前記四分円形支持面(330)は、具体的には、アルキメデス螺旋もしくは双曲螺旋、または、コルニュ、クロソイド(Clotois)、フェルマー、もしくはリチュースの螺旋法則のうちの1つによる形状の螺旋プロファイルを備える、支持装置(200)。
【請求項7】
請求項1から
4のいずれか一項に記載の支持装置(200)であって、前記四分円形支持面(330)は、円形部分または螺旋部分を含むプロファイルを備える、支持装置(200)。
【請求項8】
請求項1から
7のいずれか一項に記載の支持装置(200)であって、
少なくとも2つの対の支持部材(210)は、
前記長手方向軸(L)の方向に沿って配置され、支持領域(220)の前記長手方向軸(L)に交差する2方向に移動可能であるマニピュレータ(240
)に取り付けられる、支持装置(200)。
【請求項9】
請求項1から
8のいずれか一項に記載の支持装置(200)であって
、マニピュレータ(240)は、工作機械(100)の装填位置(I)から加工位置(II)へ、またその逆も同様に移動可能である、支持装置(200)。
【請求項10】
請求項
9に記載の支持装置(200)であって、前記マニピュレータ(240)は、前記被加工物(110)の測定に
用いられる、支持装置(200)。
【請求項11】
棒状の被加工物(110)を加工するために適合される工作機械(100)であって、
加工ヘッド(120)と、
請求項1から
10のいずれか一項に記載の支持装置(200)と、
を含む、工作機械(100)。
【請求項12】
工作機械(100)のために棒状の被加工物(110)を支持するための方法であって、
支持装置(200)の少なくとも1つの対の支持部材(210)の2つの支持要素(300、310)によって、半円形支持面(340)を提供するステップと、
上部から前記半円形支持面(340)に前記被加工物(110)を装填するステップと、
前記2つの支持要素(300、310)を回転させ、前記半円形支持面(340)を前記被加工物(110)の直径に適合させる、回転させるステップと、
を含む方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、少なくとも2つの対の支持部材(210)は、前記被加工物(110)の別の部分を長手方向軸(L)に沿って支持し、装填された前記被加工物(110)を、工作機械(100)の装填位置(I)から加工位置(II)へ前記長手方向軸(L)に対して垂直方向に搬送する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械に対して棒状の被加工物を支持するための支持装置、および棒状の被加工物を支持するための工作機械および方法に関する。具体的には、本発明は、請求項1に定義される工作機械のための部材に関し、請求項10に定義される工作機械、および、請求項11に定義される棒状の被加工物を支持するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械は被加工物を加工するために使用される。例えば、管状金属を作業する機械、特にレーザー切削機械が工作機械としてみなされる。さらに、曲げ機械またはプレスブレーキなどのプレス機械が工作機械としてみなされる。
【0003】
特許文献1は、複数の保持部材を介して管などのプロファイルを支持することを開示しており、保持部材は、適切に形成されたプロファイルを横から取り囲み、加工されたプロファイルの周りに描かれる円周と等しい円形空間をそれらの間に確保する。この円周の半径は、固定されてもよく、変更可能または固定の領域とすることができる。支持部材は、常に管の周りを包み込むように配置され、プロファイルの取り外しおよび装填のために開く必要がある。
【0004】
特許文献2および3は、プロファイルの円周の半円周を受けそれを重力の方向に支持する支え台を含む1つ以上の支持部材により支持されるプロファイルを開示している。この支持部材は、変断面支え台を有するので、棒に対して交差する水平軸の周りを回転することによって、異なる半径に適合することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】欧州特許第1002622号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2017023号明細書
【文献】イタリア特許出願公開第2005A001693号明細書
【文献】欧州特許第2508298号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、本発明は、従来技術の欠点を回避するという課題に基づき、工作機械に対して改良された部材、棒状の被加工物を支持するための、または、工作機械に棒状の被加工物を装填するための改良された工作機械、または、改良された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1による、工作機械に対する部材支持装置、請求項10による工作機械、または請求項11による棒状の被加工物を支持するための方法により解決される。
【0008】
工作機械に対して棒状の被加工物を支持領域の長手方向軸に沿って支持するための支持装置は、前記支持領域において前記被加工物の一部分を支持するように適合された少なくとも1つの対の支持部材を備え、前記対の支持部材は、2つの支持要素を備え、それぞれが回転軸の周りを回転可能であり、前記回転軸のそれぞれは、前記長手方向軸に対して垂直であり、各支持要素は、前記被加工物の一部分を支持するように適合された半円形支持面をともに形成する四分円形支持面を備え、前記支持領域は、前記半円形支持面に対向する開放面を備え、変化する被加工物を支持するために、前記支持要素は、前記回転軸の周りの前記回転位置に基づき、前記半円形支持面の変化する直径を提供するように適合されている。進歩的な支持装置は、開放面を有し、この開放側から装填することにより、棒状または細長い被加工物が複数の支持要素の間に配置されてもよい。
【0009】
この支持装置において、工作機械が被加工物を加工する加工位置に支持装置が配置されるとき、支持領域の長手方向軸は、工作機械の長手方向軸と一致してもよい。長手方向軸は、水平に方向付けられてもよく、支持要素の回転軸は、垂直方向に方向付けられてもよい。支持領域は、少なくとも1つの対の支持部材の上または周辺の空間として定義されてもよく、管、棒、またはプロファイルのような棒状の被加工物を受け入れるために設けられてもよい。1つの対以上の支持部材が、長手方向軸に沿って配置されてもよい。対の支持部材の数は、支持領域または被加工物の長さによって決定してもよい。
【0010】
各支持要素は、異なる半径を有する少なくとも2つの四分円形支持面を含んでよい。回転軸の周りに支持要素を回転させることにより、特定の四分円形支持面を選択することができる。
【0011】
進歩性のある支持装置は、並列に配置される支持要素の半径を調節して、完全な直線状ではない棒を取り扱うが、被加工物の全重量が調節動作に影響を与えることを回避する利点を提供する。これは、特許文献4またはIT0001380352の場合のように、被加工物の全重量荷重がかかった状態で調節を行う従来技術のいくつかの支持部材に該当する。対の支持部材は、棒がそれらの中に導入された直後、正確な大きさに調節されてもよい。
【0012】
これらの支持部材は、加工中の被加工物の周りに描かれる円と同等の半径を有する曲面を含む。これらの支持部材は、並列に配置され、管の軸に沿って、加工された被加工物に対して、半円周と同等の受け部を形成する。この支持装置は、上部が開放しているため、2つの支持部材を移動または開くことを必要とせずに装填および取り外しすることができる。支持領域の開放面は、半円形支持面の上に少なくとも空間を含み、さらに少なくとも1つの対の支持部材の上に空間を含んでよい。1つの対以上の支持部材の場合、対の支持部材の間およびその上の空間もまた開放されている。「開放」とは、支持装置の部材がその領域に存在しないことを意味し、それにより被加工物が取り扱いしやすくなる。
【0013】
それらのZ方向の移動の可能性に加え、支持装置は、棒がそれらの中に導入された直後、支持部材の複数対を正しい大きさに閉じて、完全な直線状ではない棒を扱うために使用されることができる。
【0014】
長手方向軸は、支持要素の異なる回転位置に対して同一であるように設けられてもよい。長手方向軸の固定位置は、回転軸と一致してもよく、形成された支持面によって実現され、被加工物の取り扱いおよび加工を容易にする。
【0015】
支持要素は、四分円形支持面が設けられる円筒形本体を備えるよう設けられてもよい。2つの対称の支持要素を並列に配置し、それらを垂直軸の周りに回転させることにより、支持要素を物理的に交換する必要なく異なる直径に対応することを目的として、異なる半径を有する通過領域が形成される。
【0016】
さらに、四分円形支持面は、好ましくは、回転軸に対して7度から27度の間の角度、好ましくは、17度の角度を備える、対数螺旋状の螺旋プロファイルを備えるように設けられてもよい。対数螺旋は、その幾何学的特性により、支持部材と支持される管との間の接触角を常に一定に提供する。17.28度の角度は、好適な実施例である。一定の接触角および連続面によって、被加工物が取り扱いしやすくなる。
【0017】
四分円形支持面は、具体的には、アルキメデス螺旋もしくは双曲螺旋、または、コルニュ、クロソイド(Clotois)、フェルマー、もしくはリチュースの螺旋法則のうちの1つの形状による螺旋プロファイルを備えるように設けられてもよい。これらのさらなる螺旋形状はまた、連続面を提供するため、支持部と被加工物の間の良好な接触を提供する。さらに、螺旋形曲線のような螺旋形状、または、他の形状は、被加工物の特定の直径または輪郭に応じて適合されてもよい。
【0018】
四分円形支持面は、円形部分または螺旋部分を含むプロファイルを備えるように設けられてもよい。これらの部分間の移行により、表面は非連続であってよい。このような支持表面は、より容易に提供できる。
【0019】
少なくとも2つの対の支持部材は、支持領域の長手方向軸に交差する2方向に移動可能である、マニピュレータの長手方向軸の方向に沿って取り付けて設けられてもよい。移動方向は、高さ方向および横方向であってもよい。この移動可能性は、装填器と作業ラインまたは工作機械との間にさらに装置がなくても、装填システムから作業ラインへ直接、棒状もしくは管状の被加工物またはプロファイルの搬送に用いることができる。1つのマニピュレータまたは複数のマニピュレータは、単一の移動システムで、または、互いに独立して制御可能である。
【0020】
マニピュレータは、工作機械の装填位置から加工位置へ、また、その逆も同様に移動可能に設けられてもよい。マニピュレータは、支持および搬送を同時に提供することによって、実質的にワークフローを改善する。
【0021】
マニピュレータを被加工物の計測に適合させて設けられてもよい。1つのマニピュレータまたは複数のマニピュレータは、特別な計測システムを介して被加工物の計測に用いることもでき、これらにより被加工物自体の完全な位置合わせが可能になるためである。マニピュレータは、加工中の被加工物の正確なトラッキングの制御軸を必要としないが、並列に配置される支持部材の存在によって確実にされるためである。
【0022】
上記のとおり、本発明による工作機械は、棒状の被加工物を加工するために適合し、加工ヘッドおよび支持装置を備える。上記に記載される同様の利点および変更点が適用される。
【0023】
進歩性のある、工作機械に対して棒状の被加工物を支持するための方法は、支持装置の少なくとも1つの対の支持部材の2つの支持要素によって、半円形支持面を提供するステップと、上部から前記半円形支持面に前記被加工物を装填するステップと、前記2つの支持要素を回転させ、前記半円形支持面を前記被加工物の直径に適合させる、回転させるステップと、を含む。
【0024】
被加工物は、重力により支持要素同士の間に保持され、さらに、それらの間に固定される。さらに、上記に記載される同様の利点および変更点が適用される。
【0025】
少なくとも2つの対の支持部材が、長手方向軸に沿って被加工物の異なる部分を支持し、装填された被加工物を工作機械の装填位置から加工位置へ長手方向軸に対して垂直な方向に搬送するように設けられてもよい。少なくとも1つの対の支持部材または支持装置は、支持および搬送を同時に提供することにより実質的なワークフローが向上する。
【0026】
本発明の他の好ましい配置は、従属請求項に記載される他の特徴から結果的に生じる。
【0027】
個別の事例で記載されない限り、本願で記載される発明のさまざまな実施形態が、互いに有利に組み合わされてもよい。
【0028】
本発明は、対応する図面を用いて、以下に示す実施例において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】装填位置における支持装置の概略斜視図を示す図である。
【
図2】加工位置における支持装置の概略斜視図を示す図である。
【
図3】小径管を支持する支持装置の概略斜視図を示す図である。
【
図4】小径管を支持する支持装置の概略正面図を示す図である。
【
図5】大径管を支持する支持装置の概略斜視図を示す図である。
【
図6】大径管を支持する支持装置の概略正面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、例えば、管状金属の加工機械のための工作機械100、特に、レーザー管切断装置を示す。工作機械100は、管のような棒状の被加工物110(または管形もしくは管状被加工物)を加工するように適合され、レーザーノズルを有する加工ヘッド120を含む。加工ヘッド120は、2つのスピンドル130の間に回転可能に支持される被加工物110を切削する。
【0031】
支持装置200は、被加工物110を支持するために設けられる。
図1において、支持装置200は、装填位置Iにおいて描かれる。
図2において、支持装置200は、加工位置IIにおいて描かれる。したがって、支持装置200は、被加工物110が工作機械100により加工されている間、被加工物110を支持するように適合され、および/または、被加工物110を工作機械100に装填するように適合される。支持装置200は、独立した装置であってもよく、または、工作機械100の一部を形成してもよい。
【0032】
支持装置200は、被加工物110の一部分を支持するように適合される少なくとも1つの対の支持部材210を含む。この特定の具体例において、5つの対の支持部材210が存在する。支持領域220は、被加工物110を受け入れるように適合される対の支持部材210の周りに定義される。支持領域220は、
図1のXで示される水平方向に延びる長手方向軸Lを有する。被加工物110の長手方向軸は、支持領域220の長手方向軸Lと平行である、または、一致する。
【0033】
任意のフィーダ機構230は、外部の装填機または搬送機構から被加工物110を受け入れ、被加工物110を上部から対の支持部材210の中に装填する。任意のフィーダ機構230は、単一の装置または支持装置200の一部であってよい。
【0034】
支持装置200は、その上に支持装置200が取り付けられ支持領域220の長手方向軸Lに対して交差する2方向に移動可能なマニピュレータ240を備えてもよい。2方向のうちの一方は垂直(Z)であり、他方は水平(Y)である。フィーダ機構230は、マニピュレータ240の一部であってよい。
【0035】
さらに、マニピュレータ240は、被加工物110の計測に適合されてもよい。すでに支持装置200によって被加工物110の正確な位置合わせが提供されているため、計測のために特別な測定システムを使用してもよい。マニュピレータ240は、その位置が対の支持部材210の存在によって確実にされるため、加工中に被加工物110の正確なトラッキングを行うための制御軸を必要としない。
【0036】
マニュピレータ240は、装填された被加工物110とともに支持装置200を
図1の装填位置から
図2の加工位置へ移動させる。移動はY方向およびZ方向に行われる。
【0037】
図2は、被加工物110の、例えばレーザー切断などの機械加工を示す。支持装置200は、機械加工中にスピンドル130を介して、被加工物110を固定し移動させる。
【0038】
機械加工後、被加工物110は、さらなる機構または支持装置200によって搬送され得る。
【0039】
図3および4は、被加工物110を保持する支持装置200の1つの対の支持部材210をより詳細に示す。
【0040】
1つの対の支持部材210は、2つの支持要素300、310を含み、それぞれが回転軸R1、R2のいずれか一方の周りを回転可能であり、回転軸R1、R2は、長手方向軸Lに対して垂直である。具体的な実施例において、回転軸R1、R2は、垂直に方向付けられる。2つの支持要素300、310は、長手方向軸Lに対して互いに向かい合う対称の対として配置される。したがって、2つの支持要素300、310は、長手方向軸Lを通る垂直面に対して対称である。
【0041】
各支持要素300、310は、複数の四分円形支持面330が設けられる円筒本体部320を有する。両方の支持要素300、310の四分円形支持面330は、ともに、被加工物110の一部分を支持するために適合される半円形支持面340(
図4)を形成する。半円形支持面340は、連続していてもよく、つまり、2つの四分円形支持面330の間に隙間がなくても、または連続していなくても、つまり2つの四分円形支持面330の間に隙間があってもよい。
【0042】
四分円形支持面330は、回転軸R1、R2のうち一方と交差する水平面に設けられる。半円形支持面340は、回転軸R1、R2の両方と交差する水平面に設けられる。
【0043】
変化する被加工物110を支持するために、支持要素300、310は、回転軸R1、R2の周りの回転位置に基づき、半円形支持面330の変化する直径を提供するように適合される。対称および非対称の被加工物110は、両方の支持要素300、310が同量分回転することによって支持される。両方の支持要素300、310の回転によって得られる半円領域340は、加工されたプロファイル110の周りに外接円を再形成する。
【0044】
四分円形支持面330は、ここでは対数螺旋状である螺旋プロファイルを備え、好ましくは、支持面330および被加工物110との間で、回転軸に対して7度から27度の間、好ましくは、17度の接触角を含む。2つの四分円形支持面330により、被加工物110は、底部から支持される、または、両面から均一に固定される。
【0045】
螺旋プロファイルは、垂直面における部材および水平面における部材を有する。本実施形態において、両方の螺旋部材は、対称であり、長手方向軸Lは、支持要素300、310の異なる回転位置に対して、同一である。また、このことは支持装置が被加工物の直径に関わらず、工作機械の回転軸において常に被加工物110を提供することを示唆している。
【0046】
四分円形支持面330の上の支持領域は、半円形支持面340に対向する開放面を備える。このため、支持装置を上部から装填することができる。
【0047】
図5および
図6は、
図3および
図4と比べて直径が大きい被加工物110を保持している支持装置200の1つの対の支持部材210を示す。
【0048】
2つの支持要素300、310は、回転軸R1、R2に対して別の位置を取るため、結果として、アクティブな、つまり、実際に支持をする半円形支持面340の形状が異なる。
図3および
図4と比較すると、半円形支持面340の直径が大きいのは、より大きい直径の被加工物110に適合しているためである。
【0049】
工作機械に対する棒状の被加工物110を支持する方法において、半円形支持面340は、支持装置200の少なくとも1つの対の支持部材210の2つの支持要素300、310により設けられる。
【0050】
被加工物110は、上部から半円形支持面340に装填され、2つの支持要素300、310は、半円形支持面340が被加工物110の直径に適合するように回転される。その回転により、被加工物110は、支持および保持され、または固定される。
【0051】
少なくとも1つの対の支持部材210または支持装置200は、装填された被加工物110を工作機械の加工位置へ搬送する。その位置で、被加工物110は、工作機械によって加工される。支持装置200は、加工中に被加工物110を移動させてもよい。
【0052】
【0053】
いくつかの実施形態において、対の螺旋支持部材300、310の本体の上部に傾斜縁350を有することが有益であり得る。
【0054】
そのような傾斜縁350は、正方形/長方形部分の面と対の螺旋支持部材300、310の上側の鋭い縁との間に発生し得る衝突を防止することができる。そのような衝突は、切断形状に存在する幾何学的欠陥および支持部材自体の過剰な摩耗につながる可能性がある。面取り部または傾斜縁350は、具体的には、管またはプロファイルが正方形/長方形部分を有していれば、それを支持する助けになる。
【0055】
対の支持部材300、310の領域において芯出しされなくても、回転作用により、または、その適応性のために、この傾斜縁350により、管またはプロファイルが、2つの対の螺旋支持部材300、310により形成される座部360に入ることができる。面取り部の形状は、傾斜が異なる角度で直線である、または、丸みがある。
【0056】
面取り部は、対の支持部材の両方に作ることができる。面取り部は、機械に存在する対の支持部材のペアすべてに作ることができる。
【0057】
いくつかの実施形態において、保持バイス370を使用して、管またはプロファイルを、装填領域から作業領域への平行移動の間、所定の位置に保つことも有用であり得る。
【0058】
マニピュレータ380の移動の間、特に、移動が開始する一時期および移動が終了する一時期の間、管が、2つの対の螺旋支持部材300、310によって形成される座部360から出てしまうことがある。
【0059】
正方形または長方形の断面の管は、装填システムによって、螺旋支持部材300、310の座部360内部で制御されずに望ましくないように傾き、回転することが確認されている。これによりスピンドル間に誤って把持されることによって、機械の作業ラインに対する装填が不正確になることがある。
【0060】
保持バイス370は、強固に拘束されるようマニピュレータ本体380に取り付けられる。保持バイスの2つの顎部390は、加工中の管またはプロファイルの長手方向軸に交差する軸を移動し、マニピュレータ380の平行移動の方向に対して平行である。
【0061】
保持バイス370は、マニピュレータが移動する前に、管をしっかりと保持しながら閉じることにより、管は、回転せずに、螺旋支持部材の座部360から移動しない。管が加工ラインでスピンドルによって一度ブロックされると、保持バイス370は、管を解放する。
【0062】
機械が通常使用される間、それは、対の螺旋支持部材300、310の動作に介入したり妨げたりしない。空気圧式アクチュエータ、油圧式アクチュエータ、および、電気式アクチュエータで保持バイス370を作動させることができる。
【0063】
保持バイス370は、自動芯出しであってよい。保持バイス370は、種々の運動力学的解決策に応じて設計することができる。保持バイス370は、機械に供給されるマニピュレータのうち少なくとも1つに取り付けることができる。
【0064】
本明細書で提示される支持装置により、棒状の被加工物の支持が簡単かつ正確になり、被加工物の装填および取り扱いが容易になる。