(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-03
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】表示制御システム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/409 20060101AFI20220204BHJP
【FI】
G05B19/409 C
(21)【出願番号】P 2021564234
(86)(22)【出願日】2021-02-01
(86)【国際出願番号】 JP2021003471
(87)【国際公開番号】W WO2021161831
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2021-10-27
(31)【優先権主張番号】P 2020023606
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】國府田 頼人
【審査官】松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1407861(KR,B1)
【文献】特開平04-317101(JP,A)
【文献】国際公開第2015/056319(WO,A1)
【文献】特開2019-159808(JP,A)
【文献】特開2010-277425(JP,A)
【文献】特開2002-166335(JP,A)
【文献】国際公開第2016/067342(WO,A1)
【文献】特開2012-091290(JP,A)
【文献】国際公開第2018/220776(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0198123(US,A1)
【文献】特開2003-022108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/18 - 19/416
B23Q 15/00 - 15/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラを備える第1工作機械と
、第2工作機械とに通信可能であ
って、かつ画面の表示制御を行う表示制御システムであって、
前記画面に前記第1工作機械の第1モードの表示指示を行う第1表示指示手段と、
前記画面に前記第2工作機械の第2モードの表示指示を行う第2表示指示手段と、
前記画面に前記カメラで撮像された画像の表示指示を行う第3表示指示手段と、
工具に関連する工具関連情報
が前記第1モード上で入力
されたことに基づき、前記カメラ
によって取得された前記工具関連情報と関連する
工具の画像
を前記カメラから取得し、取得された前記工具の画像を前記第1モード上で表示
させる制御手段と、を備え、
前記工具関連情報は、工具番号、工具を収容するマガジンのポット番号、工具が取り付けられたタレットのステーション番号、工具補正値のいずれか1つを含む、表示制御システム。
【請求項2】
前記工具番号を含む前記工具関連情報の入力がなされた場合に、前記工具番号に関連付けられた工具が前記第1工作機械の主軸に取り付けられ前記カメラで撮像さ
れ、または、
前記工具を収容するマガジンのポット番号を含む前記工具関連情報の入力がなされた場合に、前記ポット番号に収容された工具が前記カメラで撮像さ
れ、または、
工具が取り付けられるタレットのステーション番号を含む前記工具関連情報の入力がなされた場合に、前記ステーション番号に取り付けられた工具が前記カメラで撮像さ
れ、
前記制御手段は、前記工具関連情報が前記第1モード上で入力されたことに基づき、前記撮像によって取得された前記工具の画像を、前記第1モード上で表示させる、請求項1に記載の表示制御システム。
【請求項3】
画面の表示制御を行う表示制御システムであって、
前記画面に工作機械のモードの表示指示を行う第1表示指示手段と、
前記画面に前記工作機械に付けられたカメラで撮像された画像の表示指示を行う第2表示指示手段と、
工具に関連する工具関連情報
が前記モード上での入力
されたことに基づき、前記カメラ
によって取得された前記工具関連情報と関連する
工具の画像
を前記カメラから取得し、取得された前記工具の画像を前記モード上で表示
させる制御手段と、を備え、
前記工具関連情報は、工具番号、工具を収容するマガジンのポット番号、工具が取り付けられたタレットのステーション番号、工具補正値のいずれか1つを含む、表示制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の工作機械に対する作業を支援するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の工作機械で構成される工作システムが普及している。複数の工作機械を利用することで、ユーザは、ワークの加工を効率化することができる。
【0003】
工作システムの一例として、特開2016-71407号公報(特許文献1)は、数値制御装置をクラウド側と工作機械側に分離する数値制御システムを開示している。より具体的には、当該数値制御システムは、クラウド側では、CNC制御、PMC制御、および表示制御用ソフトウェアを動作させ、工作機械側では、機械を動作させるためのサーボ制御、およびスピンドル制御用ソフトウェアを動作させる。CNC制御、PMC制御、および表示制御用ソフトウェアがクラウド側で管理されることで、当該数値制御システムは、各工作機械にかかるメンテナンスコストを削減する。
【0004】
工作システムの他の例として、国際公開第2015/056339号(特許文献2)は、1台の工作機械の所定情報を複数の画面で一度に確認することを目的とする加工機械ラインを開示している。より具体的には、当該加工機械ラインは、複数ある工作機械のうちの例えば第1工作機械(表示器を搭載した一つの工作機械)において、その第1工作機の表示器に自身の所定情報を表示する一方、第1工作機械以外の他の第2工作機械(第1工作機以外の他の工作機械)では、その第2工作機械の表示器に自身以外の第1工作機械の所定情報を表示する。そのため、作業者は、第1工作機械を操作するに当たり、第1工作機械の表示器と、第2工作機械の表示器との両方に表示された第1工作機械の所定情報、例えば第1工作機械に関するラダー図とI/Oモニタをそれぞれの表示器から一度に確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-71407号公報
【文献】国際公開第2015/056339号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、工作システムはさらに高度化し、工作機械間のワークの受け渡しをロボット付きの自動搬送車で行うことなどの検討がなされている。それにともない、工作機械周辺や自動搬送車が移動する範囲をできるかぎり無人にして稼働させることが、安全面からも求められる。
【0007】
しかし、特許文献1は、クラウド上に各工作機械の一部の機能を集約するものであり、段取りや手動加工などでは各工作機械の操作盤前で作業者が行う必要がある。特許文献2は、各工作機械の状態を他の工作機械の画面で共有するものであり、段取りや手動加工などでは各工作機械の前で作業者が行う必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明は、請求項に記載の発明を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、工作機械の前でなくても工作機械の操作ができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】第1工作機械における操作を第2工作機械(表示制御システム)から遠隔で行う場合の処理フローを示す図である。
【
図3】表示制御システムで制御する画面の一例を示す図である。
【
図4】表示制御システムで制御する画面の一例を示す図である。
【
図5】表示制御システムで制御する画面の一例を示す図である。
【
図6】表示制御システムで制御する画面の一例を示す図である。
【
図7】表示制御システムで制御する画面の一例を示す図である。
【
図8】表示制御システムで制御する画面の一例を示す図である。
【
図9】工作機械のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【
図10】表示制御装置のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0012】
<A.工作システム10の装置構成>
図1を参照して、実施の形態に従う工作システム10の一例について説明する。
図1は、上面から見た工作システム10を示す図である。
【0013】
工作システム10は、第1工作機械100Aと、表示制御システムを含む第2工作機械100Bと、搬送装置50と、を含む。
【0014】
第1工作機械100Aおよび第2工作機械100Bは、同一種類の工作機械であってもよいし、異なる種類の工作機械であってもよい。第1工作機械100Aおよび第2工作機械100Bは、表示制御システムを介して互いに通信可能に構成される。第1工作機械100Aおよび第2工作機械100Bは、無線で接続されてもよいし、有線で接続されてもよい。一例として、第1工作機械100Aおよび第2工作機械100Bの通信規格には、EtherCAT(登録商標)、EtherNet/IP(登録商標)、登録商標)、CompoNet(登録商標)などの定周期型の通信規格が採用されてもよいし、EtherNET(登録商標)などの非定周期型の通信規格が採用されてもよい。
【0015】
以下では、第1と第2工作機械100A,100Bを特に区別しない場合には、第1と第2工作機械100A,100Bのいずれか1つを工作機械100ともいう。
【0016】
工作機械100は、ワークの加工機である。一例として、工作機械100は、ワークの除去加工(SM(Subtractive manufacturing)加工)を行う工作機械である。あるいは、工作機械100は、ワークの付加加工(AM(Additive manufacturing)加工)を行う工作機械であってもよい。また、工作機械100は、立形や横形のマシニングセンタやターニングセンタであってもよい。あるいは、工作機械100は、旋盤であってもよいし、付加加工機であってもよいし、その他の切削機械や研削機械であってもよい。さらに、工作機械は、これらを複合した複合加工機であってもよい。また、複数の工具を収納するマガジンを備えていてもよい。本実施形態の第1工作機械100Aと第2工作機械100Bは、横型のマシニングセンタで、60本の工具が収容可能なマガジンを備えている。マガジンには、1本の工具を収容するためのポットがあり、各ポットには番号が付されている。本実施形態では、60本の工具が収容可能な60個のポットを備えるマガジンを備えている例で説明を行う。第1と第2工作機械100A、100Bは、第1と第2カメラ111A、111Bを備えている。第1工作機械100Aは、主軸に取り付けられた工具を撮影できる位置に第1カメラ111Aを設けている。第2工作機械100Bは、マガジンのポットに収容されている工具を撮影できる位置に第2カメラ111Bを設けている。本実施形態では、横型マシニングセンタで説明しているが、旋盤やターニングセンタの工作機械では、刃物台のステーションに取り付けられた工具を撮影できる位置にカメラを設ける構成でもよい。
図1では、作業者が第2工作機械100Bの操作盤の前で立って作業を行っているが、作業者と加工領域118Bとの間には、開閉ドア116Bがあり、開閉ドア116Bをあけて主軸117Bに取り付けられている工具の交換などをすることができる。第1工作機械100Aにも同様に開閉ドア116Aがあるので、開閉ドア116Aを開けて主軸117Aへの工具の取り付け、加工領域118Aの切屑の清掃などを行うことができる。
【0017】
搬送装置50は、ワークを搬送するための装置である。
図1には、アーム型ロボット51を自動搬送車52に搭載した搬送装置を示している。このアーム型ロボット51付き自動搬送車により、無人でワークに取り付けられたパレットの搬送が可能になる。具体的なワーク搬送は、次の流れになる。第2工作機械100Bで加工が完了したワークが取り付けられたパレットは、第2工作機械100Bのパレット搬送口の前まで移動させられる。パレットがパレット搬送口まで来ると、第2工作機械100Bのパレット搬送口を開閉する開閉ドア113Bが開く。開閉ドア113Bが開くと、アーム型ロボット51のアームが第2工作機械100Bの内部に入り、アームでパレットをつかむ。パレットをつかんだアーム型ロボット51は、パレットをつかんだままの状態で安定な姿勢になるように回転軸を中心に回転しアームを折りたたむ。パレットをつかんだアーム型ロボットが取り付けられた自動搬送車52は、次の加工を行う第1工作機械100Aのパレット搬送口の前まで移動し、第1工作機械100Aの開閉ドア113Aが開くまで待機を行う。開閉ドア113Aが開きパレット搬送口が開放されると、搬送装置50に取り付けられたアーム型ロボット51がアームを伸ばし、パレットを第1工作機械100Aのパレット置き場に置く。第1工作機械100Aは、新たなパレットが置かれたことを検出し、するとパレットを加工領域118A内に移動させる。加工領域118A内の所定位置に取り付けられると、予め設計されている加工プログラムに従ってワークの加工を行う。第1工作機械100Aでワークの加工が完了したパレットは、第2工作機械100Bのときと同様に、アーム型ロボット51付き搬送装置50で次の工作機械に搬送してもよい。すべての加工が終了していれば、ワークをパレットから外し、ワークをストッカーに保管して加工を終了してもよい。
【0018】
搬送装置は、アーム型ロボット51付きの自動搬送車52で説明したが、これに限定されない。例えば、ローダーであってもよい。ローダーは、サーボモーターなどの駆動機構によってレールに沿って駆動される。
【0019】
第1工作機械100Aは、第1画面を有する第1表示部を備える第1操作盤130Aを含む。工作機械100Bは、第2画面を有する第2表示部を備える第2操作盤130Bを含む。以下では、第1と第2操作盤130A,130Bを特に区別しない場合には、第1と第2操作盤130A,130Bのいずれか1つを操作盤130ともいう。第1と第2画面を特に区別しない場合には、第1と第2画面のいずれか1つの画面ともいう。
【0020】
操作盤130は、ディスプレイ106と、操作キー107とを含む。ディスプレイ106は、加工に関する各種情報を画面に表示する。ディスプレイ106は、たとえば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、またはその他の表示機器である。また、本実施形態の一例であるディスプレイ106は、タッチパネルで構成されており、工作機械100に対する各種操作をタッチ操作で受け付ける。もちろんタッチパネルでないディスプレイ106を用いてもよい。操作キー107は、ハードウェアキーで構成されており、工作機械100に対する各種操作を受け付ける。操作キー107は、ハンドル、機械操作ボード、キーボード、緊急停止ボタンなどを設けてもよい。一方、機械操作ボードやキーボードは、ソフトウェアでソフトウェア機械操作ボードやソフトウェアキーボードとして画面に表示して用いることもできる。操作盤の大きさなどにより、適宜設計される。
【0021】
なお、上述では、工作システム10が2つの第1と第2工作機械100A,100Bで構成されている例について説明を行ったが、工作システム10は、3つ以上の工作機械で構成されてもよい。
【0022】
また、上述では、ライン加工機としての工作システム10について説明を行ったが、工作システム10は、必ずしもライン加工機である必要はない。一例として、工作システム10は、別の場所に設置される第1と第2工作機械100A,100Bで構成されてもよい。この場合、工作システム10は、搬送装置50を必ずしも備える必要はない。
【0023】
<B.工具補正値の設定処理>
作業者は、加工済みのワークWを計測器で計測し、ワークWが意図した精度で加工されているか否かを確認する。意図した通りの精度でワークWが加工されていない場合には、作業者は、工作機械についての工具補正値の設定を見直す。このとき、本実施の形態に従う工作機械100は、他の工作機械100についての工具補正値の設定を受け付けるように構成される。これにより、作業者は、各工作機械の前に移動する必要がなくなる。
【0024】
以下では、
図2を参照して、実施の形態に従う工具補正値の設定処理について説明する。
図2は、第1工作機械100Aにおける工具補正値を第2工作機械100Bから遠隔で設定する場合の処理フローを示す図である。
【0025】
ステップS10において、第2工作機械100Bは、工具補正値の設定対象の工作機械を選択する操作を受け付ける。一例として、ステップS10においては、
図3の第2工作機械100Bの操作盤ディスプレイに表示された画面のMACHINE SELECTIONで「1」のボタンを選択し、第1工作機械100Aが選択されたとする。
【0026】
ステップS12において、第2工作機械100Bは、第1工作機械に取り付けられた工具の工具補正値の取得要求を第1工作機械100Aに送信する。
【0027】
ステップS14において、第1工作機械100Aは、工具補正値の取得要求を第2工作機械100Bから受信したことに基づいて、第1工作機械100Aに設定されている現在の工具補正値を工作機械100Bに送信する。
【0028】
ステップS20において、第2工作機械100Bの表示制御システムは、第1工作機械100Aから受信した工具補正値に基づいて、当該工具補正値の設定画面を構成し、当該設定画面を後述の
図3の第1工作機械100Aの情報表示画面の内のTOOL OFFSETのウィンドウ画面に表示する。当該設定画面は、第1工作機械100Aに係る工具補正値の変更を受け付けるように構成される。第2工作機械100Bに表示される設定画面は、第1工作機械100Aに表示される工具補正値の設定画面と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
図3は、第2工作機械100Bの操作盤のディスプレイに表示される第1工作機械100Aに関する情報を表示している画面であり、第1工作機械100Aに取り付けられた工具の工具補正値の設定画面であるTOOL OFFSETの画面は、その一部を構成していることを示す図である。
【0029】
設定画面80は、工具補正値の設定操作を受け付けるように構成される。
図3の例では、工具補正値の一例として、「Geom.」として工具の形状を示す形状パラメータ81Aと、「Wear」として工具の摩耗量を示す摩耗パラメータ81Bとが示されている。また、設定画面であるTOOL OFFSET画面の隣には、第1工作機械100Aに取り付けられたカメラで第1工作機械100Aの工具主軸に取り付けられた工具を撮影した静止画や動画をTOOL VIEW画面に表示している。TOOL VIEW画面には、カメラで撮影した工具の画像をそのまま表示する形態でもいいが、摩耗の状態を赤色などで強調表示してもよい。また、初期状態の工具の形状を破線でカメラの工具画像と重ねた画像を表示する形態でもよい。作業者の使い方によりTOOL VIEWの画面表示の仕方は適宜変更できるが、作業者が工作機械の前で作業をする必要がないように、工作機械に取り付けられている工具の状態が分かる表示が必要である。
【0030】
「Geom.」の欄に表示されている形状パラメータ81Aは、工具の形状を指定するためのパラメータである。形状パラメータ81Aが設定されることで、工作機械100は、工具の形状を把握した上でワークを加工することができる。典型的には、形状パラメータ81Aは、所定の基準点からのオフセット値として示される。形状パラメータ81Aは、たとえば、所定の基準点からのX方向における幅や、所定の基準点からのZ方向における幅や、所定の基準点からのY方向における幅や、所定の基準点からの工具の径などを含む。
【0031】
「Wear」の欄に表示される摩耗パラメータ81Bは、工具の摩耗量を指定するためのパラメータである。摩耗パラメータ81Bが設定されることで、工作機械100は、工具の摩耗量を把握した上でワークを加工することができる。典型的には、摩耗パラメータ81Bは、所定の基準点からのオフセット値として示される。摩耗パラメータ81Bは、たとえば、所定の基準点からのX方向における工具の摩耗幅や、所定の基準点からのZ方向における工具の摩耗幅や、所定の基準点からのY方向における工具の摩耗幅や、所定の基準点からの工具の経方向における摩耗量などを含む。
【0032】
形状パラメータ81Aおよび摩耗パラメータ81Bの各パラメータセットは、工具番号82に関連付けられる。工具番号82は、加工プログラム内で参照される。すなわち、工作機械100は、加工プログラムにおいて工具番号が指定されている場合には、当該工具番号に関連付けられているパラメータセット(形状パラメータ81Aおよび摩耗パラメータ81B)を参照する。
【0033】
また、摩耗パラメータ81Bの変更を受け付けるように構成されるが、形状パラメータ81Aの変更を受け付けないように構成することもできる。すなわち、作業者は、摩耗パラメータ81Bのみを遠隔操作で変更でき、形状パラメータ81Aについては遠隔操作で変更することはできない。工具の形状はほとんど変化がないためである。そのため、形状パラメータ81Aについては、一度設定された後は変更する機会が少ない。このような変更の機会が少ない形状パラメータ81Aについて遠隔操作が禁止されることで、設定変更の誤操作を防止することができる。
【0034】
工具補正値の変更操作が完了すると、作業者は、設定画面80に対して変更確定操作を行う。このことに基づいて、ステップS24Aにおいて、第2工作機械100Bの表示制御システムは、ステップS22で設定された工具補正値を第1工作機械100Aに送信する。この際に、表示制御システムは、工具補正値を変更した工具番号の工具をカメラで撮影したカメラ画像の取得要求もあわせて第1工作機械100Aに送信する(ステップS24B)。ここで取得要求の送信にあわせて、工具を特定する情報も送信する必要がある。本実施形態では、工具補正値を変更したセルを検出し、検出されたセルから対応する工具の工具番号を検出し、工具番号の情報を第1工作機械100Aに送信している。ただし、これに限定されず、工具と関連する工具関連情報として工具補正値を変更したセルの割り当て番号の情報を第1工作機械100Aに送信してもよい。工具関連情報は、工具補正値の他に、工具番号、工具を収容するマガジンのポット番号、工具が取り付けられたタレットのステーション番号などを含む。例えば、工具交換の簡単なプログラムを作成し、工作機械で実行し主軸に工具を取り付ける場合は、工具交換のためのプログラムが工具関連情報になる。この工具交換のためのプログラムには、主軸に取り付けようとする工具の番号を含む必要があるため、いわゆる工具番号の情報が含まれる。
【0035】
ステップS26Aにおいて、第1工作機械100Aは、第2工作機械100Bの表示制御システムから受信した工具補正値に基づいて、第1工作機械100Aにおける現在の工具補正値を更新する。これにより、第1工作機械100Aにおける工具補正値の設定が第2工作機械100Bから遠隔で書き換えられる。
【0036】
また、ステップS26Bにおいて、第1工作機械100Aは、工具補正値を更新した工具をマガジンから呼び出し自動工具交換システムで、工具主軸に工具を取り付ける。その後、第1工作機械100Aに取り付けられたカメラで、工具の撮影を行う。工具の撮影は、静止画でも動画でもよい。
【0037】
ステップS27Aにおいて、第1工作機械100Aは、工具補正値の更新処理が正常に終了したことに基づいて、更新後の工具補正値を第2工作機械100Bに送信する。
【0038】
また、ステップS27Bにおいて、カメラで撮影した工具の静止画または動画を第2工作機械100Bに送信する。この際に、撮影された工具の初期状態(購入時の状態)の情報をあわせて第2工作機械100Bに送信してもよい。
【0039】
ステップS28Aにおいて、第2工作機械100Bは、更新後の工具補正値を第1工作機械100Aから受信したことに基づいて、当該更新後の工具補正値を表示する。これにより、作業者は、工具補正値が正常に更新されたことを認識できる。
【0040】
また、ステップS28Bにおいて、第2工作機械100Bは、工具の静止画や動画を第1工作機械100Aから受信したことに基づいて、TOOL VIEWに画像を表示する。これにより、作業者は、どの工具の工具補正値を変更したのか認識でき、工具の摩耗などの状態も確認することができる。さらに、工具補正値を変更した工具の工具登録情報が正しいかも確認できる。例えば、第1工作機械100Aでは、工具番号「1番」に直径1cmのエンドミルとの工具情報として登録されていたが、TOOL VIEWで確認すると、工具番号「1番」で主軸に呼び出された工具は、直径2cmのエンドミルであるような場合の確認ができる。
【0041】
ステップS30において、第2工作機械100Bは、工具補正値の設定対象の工作機械を選択する操作を受け付ける。一例として、ステップS30においては、第2工作機械100Bが選択されたとする。そうすると、
図6に示すように第2工作機械100Bの情報を表示する画面であるSECOND MACHINEの画面が表示される。
【0042】
ステップS32において、第2工作機械100Bは、自身に現在設定されている工具補正値を取得し、当該工具補正値の設定画面を第2工作機械100Bの第2操作盤130Bのディスプレイ106に表示する。第2操作盤130Bのディスプレイ106に表示される設定画面は、
図6のTOOL OFFSET画面である。
【0043】
ステップS34において、第2工作機械100Bは、第2操作盤130Bのディスプレイ106に表示されている設定画面に対して工具補正値の変更操作を受け付ける。当該変更操作は、第2操作盤130Bのディスプレイ106に対するタッチ操作により実現されてもよいし、第2操作盤130Bの操作キー107に対する操作により実現されてもよい。
【0044】
工具補正値の変更操作が完了すると、作業者は、工具補正値の設定画面に対して変更確定操作を行う。このことに基づいて、ステップS36において、第2工作機械100Bは、自身が認識している現在の工具補正値を更新する。
【0045】
ステップS38において、第2工作機械100Bは、工具補正値の更新処理が正常に終了したことに基づいて、当該更新後の工具補正値を表示する。これにより、作業者は、工具補正値が正常に更新されたことを認識できる。なお、作業者は、第2工作機械100Bの操作盤で操作しているため、工具補正値を更新した工具を工具主軸に呼び出して作業者が直接目視で工具の状態を確認できるため、カメラでの撮影を行わなくてもよい。もちろん、カメラで工具を撮影し、摩耗状態を赤色処理するなどの画像処理を施してTOOL VIEWに表示する形態でもよい。
【0046】
以上のように、作業者は、表示制御システムを用いることにより、1台の工作機械から複数の工作機械の工具補正値の設定作業を行うことができる。そのため、作業者は、工具補正値の設定作業のために工作機械の各々の前まで移動する必要がなくなる。このような移動の手間を軽減できる効果は、管理する工作機械の台数が多いほど顕著となる。
【0047】
また、工具補正値の変更箇所が多い場合には、作業者は、工具補正値を紙などにメモし、当該メモを持ち運ぶ必要がある。しかしながら、作業者は、1台の工作機械から全ての工作機械についての工具補正値の設定作業を行うことができるので、このようなメモを持ち運ぶ必要もない。
【0048】
また、ワークがロボットなどで搬送される場合には、工作機械の周囲に柵が設置される。この場合、作業者は、稼働中には当該工作機械に近付けない。このような工作機械についても、作業者は、他の工作機械から遠隔で工具補正値の設定作業を行うことができ、工作システム10の稼働を停止する必要がなくなる。
【0049】
なお、上述では、第1工作機械100Aの工具補正値の設定が第2工作機械100Bにおいて受け付けられる例について説明を行ったが、第2工作機械100Bの工具補正値の設定が第1工作機械100Aにおいて受け付けられてもよい。この場合、第1工作機械100Aの第1操作盤130Aは、第2工作機械100Bにおける工具補正値の取得要求を受け付けたことに基づいて、第2工作機械100Bから当該工具補正値を受信し、当該工具補正値の変更を受け付けるための設定画面を表示する。これにより、作業者は、工作機械100Bにおける工具補正値の変更操作を第1工作機械100Aから行うことができる。
【0050】
また、上述では、ステップS14において、工作機械100Bについての工具補正値が工作機械100Aに送信される例について説明を行ったが、工具補正値を含む他の情報が工作機械100Aに送信されてもよい。一例として、ステップS14において、工作機械100Aで表示される工具補正値の設定画面であるTOOL OFFSET画面のフレーム設定などの情報が工作機械100Bに送信されてもよい。この場合、ステップS20において、第2工作機械100Bは、第1工作機械100Aから受信したフレーム設定を用いてTOOL OFFSET画面を表示する。
【0051】
また、上述では、ステップS14において、形状パラメータ81Aや摩耗パラメータ81Bなどの工具補正値が工作機械100Bに送信される例について説明を行ったが、送信されるパラメータは、これらに限定されない。一例として、ステップS14において、工作機械100Aの加工プログラムや工作機械100Aにおける加工部品数などが工作機械100Bに送信されてもよい。この場合、工作機械100Bは、受信した加工プログラムや加工部品数を表示するのみで、変更操作については受け付けない。これにより、作業者は、工作機械100Aの加工プログラムや加工部品数を工作機械100Bから確認することができる。
【0052】
また、上述では、工具補正値が設定画面80に入力される例について説明を行ったが、工具補正値は、必ずしも設定画面80から入力される必要はない。一例として、工具補正値は、CSVファイルなどのファイルデータに入力されてもよい。より具体的には、ファイルデータには、工具補正値の値が工作機械別に規定されており、作業者は、ファイルデータ上で工具補正値を変更することができる。作業者は、ファイルデータの変更後、当該ファイルデータを工作機械100Bに読み込ませる。その後、工作機械100Bは、読み込んだファイルデータに基づいて、工具補正値の変更対象の工作機械に変更後の工具補正値を送信する。これにより、工作機械100の各々の工具補正値の設定が一括で行われる。
【0053】
また、工具補正値は、必ずしも手動で入力される必要はない。一例として、ワークの形状を測定するための計測器が工作機械内に搭載されており、工作機械は、当該計測器の計測結果に基づいて、工具補正値を補正してもよい。この場合、工作機械は、加工後のワークに関する形状データを予め保持しておき、当該形状データと計測器の計測結果とを比較することで工具補正値を変更する。変更後の工具補正値は、対応する工作機械に送信される。これにより、工作機械の工具補正値の設定が自動で行われる。
【0054】
<C.表示制御システムで表示制御される設定画面80の他の例>
次に、
図4を参照して、表示制御システムで表示制御される画面の例に
図3について説明する。
【0055】
図4は、表示制御システムで表示制御している第1工作機械100Aに関する情報を表示している画面である。上述では、表示制御システムは、第2工作機械100Bの構成の一部であり、第1工作機械100Aと第2工作機械100Bと通信可能であったが、この形態に限定されない。例えば、第1工作機械100Aや第2工作機械100Bとは独立した別個のタブレット末端やコンピュータが表示制御システムであってもよい。この場合において、タブレット末端やコンピュータは、第1工作機械100Aと第2工作機械100Bとに通信可能である必要がある。このタブレット末端やコンピュータのディスプレイに表示される画面が、例えば、
図4に示す画面である。また、表示制御システムは、サーバー機能を有するコンピュータでもよい。また、表示制御システムは、デスクトップ型のコンピュータであってもよいし、ノート型のコンピュータであってもよいし、タブレット端末であってもよい。
【0056】
図4の画面に関して、詳細に説明する。左上にあるアイコンは、常時表示するボタンであり、左上の最上段にリセットボタン、クーラントに関するボタンが配置されている。最上台の下の段には、ドアロック解除、機内照明、エアブロー、チップコンベヤのボタンが配置されている。右上には、操作モードを選択するボタンが設けられている。最上段の左から自動モード(AUTO)ボタン、MDI(手動データ入力、Manual Data Input)モードボタン、スクリーンロックボタンとが配置されている。自動モードを選択すると、表示制御システムの表示指示手段が、プログラムの実行、パラメータおよび各種データの設定、プログラムの編集が可能な自動モードを設定した画面の表示指示を行う。MDIモードを選択すると、表示制御システムの表示指示手段が、MDI運転やパラメータおよび各種データの設定ができるMDIモードを設定した画面の表示指示を行う。MDI運転とは、手動でプログラムを入力し、実行することである。右上最上段の下の段には、手動モードであるジョグ(JOG)モードボタン、原点復帰ボタン、マガジンモードボタンが配置されている。ジョグ(JOG)モードでは、各軸をジョグ送り(比較的遅い送り)で移動できる。また、手動軸送りボタンを押している間、選択されている方向に軸が送りオーバライドスイッチで設定された送り速度で移動させる。ジョグモードが選択されると、表示制御システムの表示制御手段が上述の操作を行うために必要な画面の表示指示を行う。原点復帰モードでは、手動操作で各軸を機械原点に移動することができる。
【0057】
図4においては、MDIモードが選択されており、表示指示手段によりMDIモードに関連する画面の表示指示がなされ、画面上の中央に表示されている。MDI画面の左側にはTOOL VIEWの画面が表示されている。TOOL VIEWには、カメラで工具を撮影した静止画や動画が表示される。MDI画面の右側には、TOOL MANAGEMENTの画面が表示されている。TOOL MANAGEMENTの画面には、本実施形態においてはマガジンに取り付けられた工具の情報が表示されている。TOOL MANAGEMENTでは、工具を管理するための工具情報が多数登録されている。
【0058】
図4では、MDIモードを選択し、MDIの入力画面で主軸の工具の交換するためのプログラムを入力し、実行する。プログラムを実行すると、主軸に交換した工具が取り付けられる。その主軸に取り付けられた工具をカメラで撮影した画像をTOOL VIEW画面に表示する。作業者は、TOOL VIEWを見ながらプログラムで指定した工具番号に所望の工具が対応付けられていることを確認することができる。つまり、段取り段階において、工具番号に対応する工具が所定の工具であることを確認する作業を工作機械の前でなくても行うことができる。
【0059】
<D.表示制御システムで表示制御される設定画面80の他の例>
図5では、ジョグモードが選択され、ジョグの操作パネルとMACHINE VIEWとが画面に表示されている。作業者は、ジョグを操作しながら、カメラからの映像をMACHINE VIEWを介して確認することができる。この場合も、作業者が工作機械の前にいなくても作業ができる。また、作業者の経験が浅い場合に、熟練の作業者が遠隔で作業をして、経験の浅い作業者が工作機械の前で操作を学ぶこともできる。
【0060】
図7では、マガジンモードが選択され、マガジンの操作パネルとMAGAZINE VIEWとが画面に表示されている。作業者は、マガジンの操作パネルを操作しながら、カメラからの映像をMAGAZINE VIEWを介して確認することができる。これにより、マガジンの所定のポットに所定の工具が収容されていることを確認することができる。
【0061】
<E.表示制御システムで表示制御される設定画面80の他の例>
図8では、ドアモードが選択され、ドアの操作パネルとDOOR VIEWとが画面に表示されている。作業者は、ドアの操作をしながら、カメラからの映像をDOOR VIEWを介して確認することができる。
【0062】
<F.表示制御システムで表示制御される設定画面80の他の例>
図4に示したMDI画面において、作業者の操作によって工具番号(たとえば、“T1”)が入力されたことに基づき、第1工作機械100Aが工具交換の指令コード(たとえば、“M6”)を入力・実行すると、当該工具番号で登録されている工具が第1工作機械100Aの主軸117Aに装着される。当該装着された工具は、第1カメラ111Aによって撮像される。撮像された画像(工具を含む画像)は、MDI画面の隣のTOOL VIEW画面に表示される。
【0063】
次に、MDI画面で工具番号(たとえば、“T9”)が入力され、第1工作機械100Aは、工具交換のコード(たとえば、“M6”)が入力され実行ボタンが押されると、工具交換を実行する。ここで、工具番号“T9”で登録していた工具は、マガジン内に格納されていない状態であるとする。
【0064】
この場合、主軸117Aに装着されていた工具番号“T1”で登録されていた工具は、主軸117Aから取り外され、かつマガジンに収容される。しかしながら、工具番号“T9”の工具は存在しないため、主軸117Aには工具が装着されていない状態となる。この状態も第1カメラ111Aによって撮影され、かつ当該状態の画像がMDI画面の隣のTOOL VIEW画面に表示される。TOOL VIEW画面には工具が表示されていない(詳しくは、主軸だけ表示される)ため、作業者は、主軸117Aに工具が装着されていないことが分かる。なお、作業者が意図的に主軸に工具が装着していない状態を作るために、MDI画面で、実際の工具がない工具番号を入力し、工具交換のNCコードを入力・実行している場合もある。
【0065】
このように、従来であれば、作業者が実際に工作機械100A内を確認しないと分からなかったこと(工具の主軸117Aへの未装着)が、本実施の形態の表示制御システムによれば分るようになる。
【0066】
なお、上記においては、表示制御システムが第1工作機械100A内の画像を表示させる構成を例に挙げて説明したが、表示制御システムが第2工作機械100B内の画像を表示させる場合も、同様の効果を得られる。
【0067】
<G.工作機械100のハードウェア構成>
図9を参照して、工作機械100のハードウェア構成について説明する。
図9は、工作機械100のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【0068】
工作機械100は、操作盤130と、数値制御装置(NC装置)300とを含む。以下では、操作盤130のハードウェア構成と、NC装置300のハードウェア構成とについて順に説明する。
【0069】
(G1.操作盤130のハードウェア構成)
操作盤130は、制御装置101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、通信インターフェイス104,105と、ディスプレイ106と、操作キー107と、補助記憶装置115とを含む。これらのコンポーネントは、バス110に接続される。
【0070】
制御装置101は、表示制御システムである表示制御装置を含む。表示制御システムの一例である表示制御装置は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、少なくとも1つのGPU(Graphics Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0071】
制御装置101は、制御プログラム124やオペレーティングシステムなどの各種プログラムを実行することで操作盤130の動作を制御する。制御プログラム124は、上述の遠隔設定処理の一部を担うプログラムも含まれる。制御装置101は、制御プログラム124の実行命令を受け付けたことに基づいて、補助記憶装置115からRAM103に制御プログラム124を読み出す。RAM103は、ワーキングメモリとして機能し、制御プログラム124の実行に必要な各種データを一時的に格納する。表示制御装置は、その中で、画面へ各種モードの設定や表示指示を行う。
図4に示す画面の表示制御では、表示制御装置は、複数の工作機械のMDI(手動データ入力)モードの設定や表示指示を行う表示指示手段を備える。また、表示制御装置は、カメラで撮影された画像やカメラで撮影された画像を画像処理した画像を画面に表示指示する表示指示手段を備える。
【0072】
通信インターフェイス104,105には、LAN(Local Area Network)やアンテナなどが接続される。操作盤130は、通信インターフェイス104を介して表示制御装置200などの外部機器や外部の工作機械との通信を実現する。また、操作盤130は、通信インターフェイス105を介してNC装置300との通信を実現する。
【0073】
ディスプレイ106は、制御装置などからの指令に従って、加工に関する各種情報や工作機械や工具に関する情報を表示する。一例として、ディスプレイ106には、
図4に示す画面が表示される。
【0074】
操作キー107は、複数のハードウェアキーで構成され、操作盤130に対する各種のユーザ操作を受け付ける。押されたキーに応じた信号が制御装置101に出力される。
【0075】
補助記憶装置115は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。補助記憶装置115は、制御プログラム124などを格納する。制御プログラム124の格納場所は、補助記憶装置115に限定されず、制御装置101の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリなど)、ROM102、RAM103、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0076】
なお、上述では、制御装置101、ROM102、RAM103、通信インターフェイス104,105、および補助記憶装置115などのハードウェア構成が操作盤130内に搭載されている例ついて説明を行ったが、これらのハードウェア構成は、操作盤130とは別に構成されてもよい。
【0077】
(G2.NC装置300のハードウェア構成)
引き続き
図9を参照して、NC装置300のハードウェア構成について説明する。
【0078】
NC装置300は、制御装置301と、ROM302と、RAM303と、通信インターフェイス304,305とを含む。これらのコンポーネントは、バス310に接続される。
【0079】
制御装置301は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0080】
制御装置301は、加工プログラム324やオペレーティングシステムなどの各種プログラムを実行することでNC装置300の動作を制御する。加工プログラム324は、ワーク加工を実現するためのプログラムである。制御装置301は、加工プログラム324の実行命令を受け付けたことに基づいて、ROM302からRAM303に加工プログラム324を読み出す。RAM303は、ワーキングメモリとして機能し、加工プログラム324の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0081】
ROM302は、ワークの加工時における工具の移動量を補正するための設定値322や加工プログラム324などを格納する。設定値322は、加工プログラム324の実行時に参照される。設定値322は、たとえば、工具補正値322Aやマクロ変数322Bなどを含む。設定値322および加工プログラム324の格納場所は、ROM302に限定されず、制御装置301の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリなど)、RAM303、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0082】
通信インターフェイス304,305には、LAN(Local Area Network)やアンテナなどが接続される。NC装置300は、通信インターフェイス304を介して操作盤130などの外部機器との通信を実現する。また、NC装置300は、通信インターフェイス305を介してワーク加工を実現するための各種駆動ユニット(たとえば、工具主軸を駆動するサーボドライバなど)との通信を実現する。
【0083】
<H.表示制御装置200のハードウェア構成>
次に、
図10を参照して、
図5に示される表示制御装置200のハードウェア構成について説明する。
図10は、表示制御装置200のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【0084】
表示制御装置200は、制御装置201と、ROM202と、RAM203と、通信インターフェイス204と、表示インターフェイス205と、入力インターフェイス207と、補助記憶装置215とを含む。これらのコンポーネントは、バス210に接続される。
【0085】
制御装置201は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのGPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0086】
制御装置201は、制御プログラム226やオペレーティングシステムなどの各種プログラムを実行することで表示制御装置200の動作を制御する。制御プログラム226は、上述の遠隔設定処理の一部を担うプログラムである。制御装置201は、制御プログラム226の実行命令を受け付けたことに基づいて、補助記憶装置215からRAM203に制御プログラム226を読み出す。RAM203は、ワーキングメモリとして機能し、制御プログラム226の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0087】
通信インターフェイス204には、LAN(Local Area Network)やアンテナなどが接続される。表示制御装置200は、通信インターフェイス204を介して工作機械100などの外部機器との通信を実現する。
【0088】
表示インターフェイス205には、ディスプレイ206が接続される。表示インターフェイス205は、制御装置101などからの指令に従って、ディスプレイ206に対して、画像を表示するための画像信号を送出する。ディスプレイ206は、たとえば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、またはその他の表示機器である。ディスプレイ206には、たとえば、上述の設定画面80などが表示される。なお、ディスプレイ206は、表示制御装置200と一体的に構成されてもよいし、表示制御装置200とは別に構成されてもよい。
【0089】
入力インターフェイス207には、入力デバイス208が接続される。入力デバイス208は、たとえば、マウス、キーボード、タッチパネル、またはユーザの操作を受け付けることが可能なその他の装置である。なお、入力デバイス208は、表示制御装置200と一体的に構成されてもよいし、表示制御装置200とは別に構成されてもよい。
【0090】
補助記憶装置215は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。補助記憶装置215は、制御プログラム226などを格納する。制御プログラム226の格納場所は、補助記憶装置215に限定されず、制御装置201の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリなど)、ROM202、RAM203、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0091】
<I.表示制御システムの変形例>
これまで表示制御システムをハードウェアの表示制御装置で説明したが、これに限定されない。表示制御システムがプログラムなどのソフトウェアであってもよい。そのため、表示制御システムが複数のパソコンを介して実行されてもよい。
【0092】
これまでの表示制御システムは、複数の工作機械と通信可能である必要があったが、少なくとも1台の工作機械と通信可能な構成であってもよい。つまり、1台の工作機械を遠隔で操作することができる形態も本発明に含まれている。1台の工作機械と通信可能な構成であれば、遠隔のタブレット末端から作業者が工具の確認などができるため、作業者が工作機械の操作盤の前に立って作業を行う必要がない。
【0093】
上述したように、作業者は、工作機械100の状態を他の工作機械100の操作画面(操作盤のディスプレイに表示された画面)で確認できる。しかしながら、このような構成に限定されない。当該操作画面は、操作盤のディスプレイに表示された画面ではなく、タブレットPC(Personal Computer)またはスマートフォンの画面であってもよい。また、当該他の工作機械100の操作盤は、当該他の工作機械100の本体に対して着脱可能かつ可搬性を有する構成であってもよい。
【0094】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0095】
10 工作システム、50 搬送装置、51 アーム型ロボット、52 自動搬送車、80 設定画面、81A 形状パラメータ、81B 摩耗パラメータ、82 工具番号、100A,100B 工作機械、101,201,301 制御装置、102,202,302 ROM、103,203,303 RAM、104,105,204,304,305 通信インターフェイス、106,206 ディスプレイ、107 操作キー、110,210,310 バス、111A 第1カメラ、111B 第2カメラ、113A,113B,116A,116B 開閉ドア、115,215 補助記憶装置、117A,117B 主軸、118A,118B 加工領域、124,226 制御プログラム、130 操作盤、130A 第1操作盤、130B 第2操作盤、200 表示制御装置、205 表示インターフェイス、207 入力インターフェイス、208 入力デバイス、300 NC装置、322 設定値、322A 工具補正値、322B マクロ変数、324 加工プログラム。