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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-04
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】用紙搬送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/06 20060101AFI20220207BHJP
   B41J 11/00 20060101ALI20220207BHJP
【FI】
B65H5/06 J
B41J11/00 A
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2017098387
(22)【出願日】2017-05-17
(65)【公開番号】P2018193178
(43)【公開日】2018-12-06
【審査請求日】2020-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮島 聡司
(72)【発明者】
【氏名】志岐 卓信
(72)【発明者】
【氏名】植田 忠行
(72)【発明者】
【氏名】小山 弘
(72)【発明者】
【氏名】石川 玲美
【審査官】沖 大樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2001/0054787(US,A1)
【文献】特開平10-167527(JP,A)
【文献】特開平03-161375(JP,A)
【文献】特開2001-080795(JP,A)
【文献】特開2017-039249(JP,A)
【文献】特開2001-270180(JP,A)
【文献】特開2002-167076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/02
B65H 5/06
B65H 5/22
B65H 29/12-29/24
B65H 29/32
B41J 11/00-11/70
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙の搬送方向に沿って設けられる複数の搬送手段と、
複数の前記搬送手段のそれぞれに設けられ、複数の前記搬送手段を独立して駆動する複数の主駆動手段と、
複数の前記搬送手段を駆動する補助駆動手段と、
複数の前記搬送手段の間で駆動力の伝達を行い、前記補助駆動手段の駆動力を複数の前記搬送手段に伝達する伝達手段と
を備え
それぞれの前記主駆動手段により駆動される複数の前記搬送手段を、前記補助駆動手段で駆動する
ことを特徴とする用紙搬送装置。
【請求項2】
前記主駆動手段は、ステッピングモータ、ブラシレスモータの何れかであり、前記補助駆動手段は、ブラシレスモータ、ブラシ付きモータの何れかである
ことを特徴とする請求項1に記載の用紙搬送装置。
【請求項3】
複数の前記搬送手段の間で駆動力の伝達を遮断する遮断手段を備えた
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の用紙搬送装置。
【請求項4】
前記遮断手段は、前記伝達手段に設けられ、前記補助駆動手段から前記搬送手段に伝達される駆動力を遮断する
ことを特徴とする請求項3に記載の用紙搬送装置。
【請求項5】
前記主駆動手段を制御する制御情報に基づき、前記補助駆動手段の駆動の有無及び前記補助駆動手段で前記搬送手段に印加するトルクを制御する制御手段を備えた
ことを特徴とする請求項1~請求項4の何れか1項に記載の用紙搬送装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記主駆動手段の制御情報に基づき、前記主駆動手段で前記搬送手段に印加するトルクに対し、前記補助駆動手段で前記搬送手段に印加するトルクを増加させる
ことを特徴とする請求項5に記載の用紙搬送装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記主駆動手段の制御情報に基づき、前記主駆動手段の回転数を増加させる加速区間から、前記主駆動手段の回転数を定速とする定速区間に切り替えるタイミングで、前記主駆動手段で前記搬送手段に印加するトルクに対し、前記補助駆動手段で前記搬送手段に印加するトルクを増加させる
ことを特徴とする請求項6に記載の用紙搬送装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記主駆動手段の制御情報に基づき、前記主駆動手段を停止させる減速区間で、前記補助駆動手段で前記搬送手段に印加するトルクを制御する
ことを特徴とする請求項5に記載の用紙搬送装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記主駆動手段と前記補助駆動手段のトルク配分を、前記搬送手段の加減速時は、位置制御のため前記主駆動手段を主とし、定速時は前記補助駆動手段を主とする
ことを特徴とする請求項5に記載の用紙搬送装置。
【請求項10】
用紙の搬送方向に沿って設けられる複数の前記搬送手段の間隔は、用紙の搬送方向の長さより短く構成される
ことを特徴とする請求項1~請求項9の何れか1項記載の用紙搬送装置。
【請求項11】
用紙の搬送方向に沿って設けられ、用紙を搬送する第1搬送手段及び第2搬送手段と、
前記第1搬送手段を駆動する第1駆動手段と、
前記第1駆動手段とは異なり、前記第2搬送手段を駆動する第2駆動手段と、
前記第1駆動手段及び前記第2駆動手段とは異なる第3駆動手段と、
前記第3駆動手段の駆動力を前記第1搬送手段及び前記第2搬送手段へ伝達する伝達手段と
を備え
前記第1の駆動手段により駆動される前記第1の搬送手段と前記第2の駆動手段により駆動される前記第2の搬送手段とを前記第3の駆動手段で駆動する
ことを特徴とする用紙搬送装置。
【請求項12】
前記第1駆動手段及び前記第2駆動手段は、ステッピングモータ、ブラシレスモータの何れかであり、前記第3駆動手段は、ブラシレスモータ、ブラシ付きモータの何れかである
ことを特徴とする請求項11に記載の用紙搬送装置。
【請求項13】
前記第1搬送手段と前記第2搬送手段との間で駆動力の伝達を遮断する遮断手段を備えた
ことを特徴とする請求項11または請求項12に記載の用紙搬送装置。
【請求項14】
前記遮断手段は、前記伝達手段に設けられ、前記第3駆動手段から前記第1搬送手段及び前記第2搬送手段に伝達される駆動力を遮断する
ことを特徴とする請求項13に記載の用紙搬送装置。
【請求項15】
前記第1駆動手段及び前記第2駆動手段を制御する制御情報に基づき、前記第3駆動手段の駆動の有無及び前記第3駆動手段で前記第1搬送手段及び前記第3搬送手段に印加するトルクを制御する制御手段を備えた
ことを特徴とする請求項11~請求項14の何れか1項に記載の用紙搬送装置。
【請求項16】
前記制御手段は、前記第1駆動手段及び前記第2駆動手段の制御情報に基づき、前記第1駆動手段で前記第1搬送手段に印加するトルク及び前記第2駆動手段で前記第2搬送手段に印加するトルクに対し、前記第3駆動手段で前記第1搬送手段及び前記第2搬送手段に印加するトルクを増加させる
ことを特徴とする請求項15に記載の用紙搬送装置。
【請求項17】
前記制御手段は、前記第1駆動手段及び前記第2駆動手段の制御情報に基づき、前記第1駆動手段及び前記第2駆動手段の回転数を増加させる加速区間から、前記第1駆動手段及び前記第2駆動手段の回転数を定速とする定速区間に切り替えるタイミングで、前記第1駆動手段で前記第1搬送手段に印加するトルク及び前記第2駆動手段で前記第2搬送手段に印加するトルクに対し、前記第3駆動手段で前記第1搬送手段及び前記第2搬送手段に印加するトルクを増加させる
ことを特徴とする請求項16に記載の用紙搬送装置。
【請求項18】
前記制御手段は、前記第1駆動手段及び前記第2駆動手段の制御情報に基づき、前記第1駆動手段及び前記第2駆動手段を停止させる減速区間で、前記第3駆動手段で前記第1搬送手段及び前記第2搬送手段に印加するトルクを制御する
ことを特徴とする請求項15に記載の用紙搬送装置。
【請求項19】
前記制御手段は、前記第1駆動手段及び第2駆動手段と、前記第3駆動手段のトルク配分を、前記第1搬送手段及び前記第2搬送手段の加減速時は、位置制御のため前記第1駆動手段及び前記第2駆動手段を主とし、定速時は前記第3駆動手段を主とする
ことを特徴とする請求項15に記載の用紙搬送装置。
【請求項20】
前記第1搬送手段と前記第2搬送手段の間隔は、用紙の搬送方向の長さより短く構成される
ことを特徴とする請求項11~請求項19の何れか1項記載の用紙搬送装置。
【請求項21】
用紙に画像を形成する画像形成手段と、
請求項1から請求項20の何れか1項に記載の用紙搬送装置を備えた
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙を搬送する用紙搬送装置及び用紙搬送装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モータにより被駆動物を駆動する構成では、モータのトルク不足を補うため、被駆動物を駆動する別の補助モータを備えてトルクを補う技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。画像形成装置等で用意を搬送する用紙搬送装置では、ローラ、ベルト等の搬送部材と、搬送部材を駆動するモータを備える。
【0003】
用紙搬送装置では、用紙の搬送方向に沿って複数の搬送部材を備え、トルク不足が発生する搬送部材のそれぞれに補助モータを備えて、トルク不足がする場合に各搬送部材で独立してトルクアシストを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-270180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、複数の搬送部材をそれぞれ独立した補助モータで駆動する構成では、トルクアシストを行う際に複数の搬送部材が同期しない場合がある。このため、搬送部材間で用紙が引っ張られる状態、弛む状態になり、用紙に負荷が掛かり、搬送不良の要因となる。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためなされたもので、複数の搬送部材を同期させてトルクアシストを行えるようにした用紙搬送装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、請求項1に係る発明は、用紙の搬送方向に沿って設けられる複数の搬送手段と、複数の搬送手段のそれぞれに設けられ、複数の搬送手段を独立して駆動する複数の主駆動手段と、複数の搬送手段を駆動する補助駆動手段と、複数の搬送手段の間で駆動力の伝達を行い、補助駆動手段の駆動力を複数の搬送手段に伝達する伝達手段とを備え、それぞれの主駆動手段により駆動される複数の搬送手段を、補助駆動手段で駆動する用紙搬送装置である。
【0008】
請求項2に係る発明は、主駆動手段は、ステッピングモータ、ブラシレスモータの何れかであり、補助駆動手段は、ブラシレスモータ、ブラシ付きモータの何れかである請求項1に記載の用紙搬送装置である。
【0009】
請求項3に係る発明は、複数の搬送手段の間で駆動力の伝達を遮断する遮断手段を備えた請求項1または請求項2に記載の用紙搬送装置である。
【0010】
請求項4に係る発明は、遮断手段は、伝達手段に設けられ、補助駆動手段から搬送手段に伝達される駆動力を遮断する請求項3に記載の用紙搬送装置である。
【0011】
請求項5に係る発明は、主駆動手段を制御する制御情報に基づき、補助駆動手段の駆動の有無及び補助駆動手段で搬送手段に印加するトルクを制御する制御手段を備えた請求項1~請求項4の何れか1項に記載の用紙搬送装置である。
【0012】
請求項6に係る発明は、制御手段は、主駆動手段の制御情報に基づき、主駆動手段で搬送手段に印加するトルクに対し、補助駆動手段で前記搬送手段に印加するトルクを増加させる請求項5に記載の用紙搬送装置である。
【0013】
請求項7に係る発明は、制御手段は、主駆動手段の制御情報に基づき、主駆動手段の回転数を増加させる加速区間から、主駆動手段の回転数を定速とする定速区間に切り替えるタイミングで、主駆動手段で搬送手段に印加するトルクに対し、補助駆動手段で搬送手段に印加するトルクを増加させる請求項6に記載の用紙搬送装置である。
【0014】
請求項8に係る発明は、制御手段は、主駆動手段の制御情報に基づき、主駆動手段を停止させる減速区間で、補助駆動手段で搬送手段に印加するトルクを制御する請求項5に記載の用紙搬送装置である。
【0015】
請求項9に係る発明は、制御手段は、主駆動手段と補助駆動手段のトルク配分を、搬送手段の加減速時は、位置制御のため主駆動手段を主とし、定速時は補助駆動手段を主とする請求項5に記載の用紙搬送装置である。
請求項10に係る発明は、用紙の搬送方向に沿って設けられる複数の搬送手段の間隔は、用紙の搬送方向の長さより短く構成される請求項1~請求項9の何れか1項記載の用紙搬送装置である。
請求項11に係る発明は、用紙の搬送方向に沿って設けられ、用紙を搬送する第1搬送手段及び第2搬送手段と、第1搬送手段を駆動する第1駆動手段と、第1駆動手段とは異なり、第2搬送手段を駆動する第2駆動手段と、第1駆動手段及び第2駆動手段とは異なる第3駆動手段と、第3駆動手段の駆動力を第1搬送手段及び第2搬送手段へ伝達する伝達手段とを備え、第1の駆動手段により駆動される第1の搬送手段と第2の駆動手段により駆動される第2の搬送手段とを第3の駆動手段で駆動する用紙搬送装置である。
請求項12に係る発明は、第1駆動手段及び第2駆動手段は、ステッピングモータ、ブラシレスモータの何れかであり、第3駆動手段は、ブラシレスモータ、ブラシ付きモータの何れかである請求項11に記載の用紙搬送装置である。
請求項13に係る発明は、第1搬送手段と第2搬送手段との間で駆動力の伝達を遮断する遮断手段を備えた請求項11または請求項12に記載の用紙搬送装置である。
請求項14に係る発明は、遮断手段は、伝達手段に設けられ、第3駆動手段から第1搬送手段及び第2搬送手段に伝達される駆動力を遮断する請求項13に記載の用紙搬送装置である。
請求項15に係る発明は、第1駆動手段及び第2駆動手段を制御する制御情報に基づき、第3駆動手段の駆動の有無及び第3駆動手段で第1搬送手段及び第3搬送手段に印加するトルクを制御する制御手段を備えた請求項11~請求項14の何れか1項に記載の用紙搬送装置である。
請求項16に係る発明は、制御手段は、第1駆動手段及び第2駆動手段の制御情報に基づき、第1駆動手段で第1搬送手段に印加するトルク及び第2駆動手段で第2搬送手段に印加するトルクに対し、第3駆動手段で第1搬送手段及び第2搬送手段に印加するトルクを増加させる請求項15に記載の用紙搬送装置である。
請求項17に係る発明は、制御手段は、第1駆動手段及び第2駆動手段の制御情報に基づき、第1駆動手段及び第2駆動手段の回転数を増加させる加速区間から、第1駆動手段及び第2駆動手段の回転数を定速とする定速区間に切り替えるタイミングで、第1駆動手段で第1搬送手段に印加するトルク及び第2駆動手段で第2搬送手段に印加するトルクに対し、第3駆動手段で第1搬送手段及び第2搬送手段に印加するトルクを増加させる請求項16に記載の用紙搬送装置である。
請求項18に係る発明は、制御手段は、第1駆動手段及び第2駆動手段の制御情報に基づき、第1駆動手段及び第2駆動手段を停止させる減速区間で、第3駆動手段で第1搬送手段及び第2搬送手段に印加するトルクを制御する請求項15に記載の用紙搬送装置である。
請求項19に係る発明は、制御手段は、第1駆動手段及び駆動手段と、第3駆動手段のトルク配分を、第1搬送手段及び第2搬送手段の加減速時は、位置制御のため第1駆動手段及び第2駆動手段を主とし、定速時は第3駆動手段を主とする請求項15に記載の用紙搬送装置である。
請求項20に係る発明は、第1搬送手段と第2搬送手段の間隔は、用紙の搬送方向の長さより短く構成される請求項11~請求項19の何れか1項記載の用紙搬送装置である。
請求項21に係る発明は、用紙に画像を形成する画像形成手段と、請求項1から請求項20の何れか1項に記載の用紙搬送装置を備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数の搬送手段に対し、単一の補助駆動手段でトルクの印加を行うことで、複数の搬送手段を同期させて、トルクを補うことができる。これにより、用紙に掛かる負荷を軽減し、搬送不良の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施の形態の用紙搬送装置の一例を示す構成図である。
図2】第2の実施の形態の用紙搬送装置の一例を示す構成図である。
図3】本実施の形態の用紙搬送装置の制御系の一例を示す機能ブロック図である。
図4】本実施の形態の画像形成装置の一例を示す構成図である。
図5】本実施の形態の用紙搬送装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図6】本実施の形態の用紙搬送装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図7】アシストテーブルの一例を示す説明図である。
図8】トルクリミッタの作用効果を示す説明図である。
図9】メインモータとアシストモータのトルク配分の一例を示す説明図である。
図10】減速時のトルクアシストの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の用紙搬送装置及び画像形成装置の実施の形態について説明する。
【0019】
<本実施の形態の用紙搬送装置の構成例>
図1は、第1の実施の形態の用紙搬送装置の一例を示す構成図である。第1の実施の形態の用紙搬送装置10Aは、矢印Fで示す用紙Pの搬送方向に沿って複数の搬送ローラ101及び搬送ローラ102を備える。
【0020】
搬送ローラ101及び搬送ローラ102は搬送手段の一例で、用紙Pを挟持し、回転することで用紙Pを搬送する一対のローラで構成される。本実施の形態では、用紙Pの搬送方向に沿って2組の搬送ローラ101、102を備えた構成を図示しているが、2組以上のローラを備える構成でも良い。
【0021】
搬送ローラ101と搬送ローラ102の間隔は、用紙Pの搬送方向の長さLより短く構成され、用紙Pの搬送方向の下流側の搬送ローラ101に、用紙Pの先端が到達する位置まで用紙Pが搬送された状態で、当該用紙Pの後端が、用紙Pの搬送方向の上流側の搬送ローラ102に挟持された状態となる。
【0022】
用紙搬送装置10Aは、複数の搬送ローラ101、102が、それぞれ独立した駆動手段で駆動される。このため、用紙搬送装置10Aは、搬送ローラ101を駆動するメインモータ111と、メインモータ111の駆動力を搬送ローラ101に伝達する伝達部材121を備える。また、用紙搬送装置10Aは、搬送ローラ102を駆動するメインモータ112と、メインモータ112の駆動力を搬送ローラ102に伝達する伝達部材122を備える。
【0023】
メインモータ111は主駆動手段の一例で、ステッピングモータまたはブラシレスモータで構成される。伝達部材121は伝達手段の一例で、本例では、メインモータ111の軸111aに設けられたギア121aと、搬送ローラ101の軸101aに設けられたギア121bを備える。伝達部材121は、ギア121aとギア121bがかみ合うことで、メインモータ111の駆動力が搬送ローラ101に伝達される。
【0024】
メインモータ112は主駆動手段の一例で、ステッピングモータまたはブラシレスモータで構成される。伝達部材122は伝達手段の一例で、本例では、メインモータ112の軸112aに設けられたギア122aと、搬送ローラ102の軸102aに設けられたギア122bを備える。伝達部材122は、ギア122aとギア122bがかみ合うことで、メインモータ112の駆動力が搬送ローラ102に伝達される。
【0025】
用紙搬送装置10Aは、メインモータ111により駆動される搬送ローラ101と、メインモータ112により駆動される搬送ローラ102が、単一の補助駆動手段で同期して駆動される。このため、用紙搬送装置10Aは、搬送ローラ101と搬送ローラ102を駆動するアシストモータ130と、アシストモータ130の駆動力を搬送ローラ101及び搬送ローラ102に伝達する伝達部材131を備える。
【0026】
アシストモータ130は補助駆動手段の一例で、ブラシレスモータまたはブラシ付きモータで構成される。伝達部材131は伝達手段の一例で、搬送ローラ101と搬送ローラ102の軸間を連結するギア、プーリとベルト等で構成される。
【0027】
伝達部材131は、本実施の形態では、アシストモータ130の軸130aに設けられたギア131aと、搬送ローラ101の軸101aに設けられたギア131bと、ギア131a及びギア131bとかみ合うギア131cを備える。また、伝達部材131は、搬送ローラ102の軸102aに設けられたギア131dと、ギア131a及びギア131dとかみ合うギア131eを備える。
【0028】
これにより、アシストモータ130の駆動力が、ギア131a、ギア131c及びギア131bを介して搬送ローラ101に伝達される。また、アシストモータ130の駆動力が、ギア131a、ギア131e及びギア131dを介して搬送ローラ102に伝達される。更に、搬送ローラ101と搬送ローラ102が上述した各ギアを介して連結され、同期して回転可能となる。
【0029】
図2は、第2の実施の形態の用紙搬送装置の一例を示す構成図である。第2の実施の形態の用紙搬送装置10Bにおいて、上述した第1の実施の形態の用紙搬送装置10Aと同じ構成については、同じ番号を付して詳細な説明を省略する。
【0030】
第2の実施の形態の用紙搬送装置10Bは、アシストモータ130から搬送ローラ101へ駆動力を伝達する伝達部材131にトルクリミッタ133を備え、アシストモータ130から搬送ローラ102へ駆動力を伝達する伝達部材131にトルクリミッタ134を備える。
【0031】
トルクリミッタ133、134は駆動力遮断手段の一例で、アシストモータ130、または、搬送ローラ101、102から所定値を超える駆動力が入力されると、出力を遮断する。
【0032】
本例では、トルクリミッタ133は、アシストモータ130から搬送ローラ101へ駆動力を伝達するギア131cに設けられ、トルクリミッタ134は、アシストモータ130から搬送ローラ102へ駆動力を伝達するギア131eに設けられる。
【0033】
トルクリミッタ133は、アシストモータ130から入力される駆動力が所定値以下であると、アシストモータ130から搬送ローラ101へ駆動力を伝達する。また、トルクリミッタ134は、アシストモータ130から入力される駆動力が所定値以下であると、アシストモータ130から搬送ローラ102へ駆動力を伝達する。
【0034】
これに対し、トルクリミッタ133は、アシストモータ130から入力される駆動力が所定値を超えると、アシストモータ130から搬送ローラ101への駆動力の伝達を遮断する。また、トルクリミッタ134は、アシストモータ130から入力される駆動力が所定値を超えると、アシストモータ130から搬送ローラ102への駆動力の伝達を遮断する。
【0035】
更に、トルクリミッタ133は、搬送ローラ101を回転させようとする外力による駆動力が所定値を超えると、搬送ローラ101からアシストモータ130及び搬送ローラ102への駆動力の伝達を遮断する。また、トルクリミッタ134は、搬送ローラ102を回転させようとする外力による駆動力が所定値を超えると、搬送ローラ102からアシストモータ130及び搬送ローラ101への駆動力の伝達を遮断する。
【0036】
図3は、本実施の形態の用紙搬送装置の制御系の一例を示す機能ブロック図である。用紙搬送装置10A、10Bは、メインモータ111及びメインモータ112と、アシストモータ130を制御する制御部150と、用紙Pの紙種、サイズ、坪量等の用紙情報を設定する操作が行われる操作部160を備える。
【0037】
制御部150は、メインモータ111の回転数、加速度等を制御する制御情報に基づく制御信号を出力し、メインモータ111を制御して搬送ローラ101を回転させる。また、制御部150は、メインモータ112の回転数、加速度等を制御する制御情報に基づく制御信号を出力し、メインモータ112を制御して搬送ローラ102を回転させる。そして、メインモータ111とメインモータ112の回転速度を同期させることで、搬送ローラ101と搬送ローラ102で用紙Pを搬送する。
【0038】
制御部150は、メインモータ111、112の制御情報、及び、搬送を行う用紙Pの用紙情報に基づき、搬送ローラ101、102に対してトルクアシストを行うか否か、トルクアシストを行う場合は印可するトルクを判断する。トルクアシストを行うと判断すると、メインモータ111、112の回転数、加速度等に応じてアシストモータ130のトルクを制御する制御信号を出力し、アシストモータ130を制御して搬送ローラ101、102に対してトルクアシストを行う。
【0039】
メインモータ111がステッピングモータである場合、制御部150から出力される制御信号S1、同期信号CLKに基づきメインモータ111を駆動する電流を出力するドライバ151を備える。制御部150は、メインモータ111が所望の回転数、加速度となる制御信号S1を出力し、メインモータ111の回転数、加速度を制御する。
【0040】
また、メインモータ112がステッピングモータである場合も同様に、制御部150から出力される制御信号S2、同期信号CLKに基づきメインモータ112を駆動する電流を出力するドライバ152を備える。制御部150は、メインモータ112が所望の回転数、加速度となる制御信号S2を出力し、メインモータ112の回転数、加速度を制御する。
【0041】
なお、メインモータ111、112がブラシレスモータである場合、図示しないロータの位置を検出する位置検知器153と、制御部150から出力される制御信号S11、S12に基づきメインモータ111、112を駆動する電流を出力するドライバ154をメインモータ111、112に備える。制御部150は、位置検知器153から入力されたFG(Frequency generator)信号に基づき図示しないロータの位置、回転方向等を検出し、メインモータ111、112が所望の回転数、加速度となる制御信号を出力して、メインモータ111、112の回転数、加速度を制御する。
【0042】
アシストモータ130がブラシレスモータである場合、制御部150から出力される制御信号S13に基づきアシストモータ130を駆動する電流を出力するドライバ155をアシストモータ130に備える。制御部150は、アシストモータ130が所望のトルクとなる制御信号S13を出力して、アシストモータ130のトルクを制御する。
【0043】
<本実施の形態の画像形成装置の構成例>
図4は、本実施の形態の画像形成装置の一例を示す構成図である。本実施の形態の画像形成装置1Aは、例えば複写機といった電子写真方式の画像形成装置であり、本例では、複数の感光体を一本の中間転写ベルトに対面させて配列することによりフルカラーの画像を形成する、カラー画像形成装置である。
【0044】
画像形成装置1Aは、イエロー(Y)の画像を形成する画像形成部11Yと、マゼンダ(M)の画像を形成する画像形成部11Mと、シアン(C)の画像を形成する画像形成部11Cと、ブラック(BK)の画像を形成する画像形成部11BKを備える。
【0045】
各画像形成部11Y、11M、11C、11Bkは画像形成手段の一例で、感光体ドラム12と、感光体ドラム12を帯電させる帯電部13と、感光体ドラム12に潜像を形成する光書込部14と、潜像を現像する現像装置15と、感光体ドラム12を清掃、除電する清掃部16を備える。
【0046】
感光体ドラム12は像担持体の一例で、清掃部16で清掃、除電された表面が帯電部13により帯電され、光書込部14による走査露光により潜像が形成される。現像装置15は現像手段の一例で、感光体ドラム12にトナーを供給する。
【0047】
各画像形成部11Y、11M、11C、11Bkは、感光体ドラム12に現像装置15からトナーが供給されることで、潜像が現像されて顕像化される。画像形成部11Yでは、感光体ドラム12上にイエローに対応するトナー画像が形成される。画像形成部11Mでは、感光体ドラム12上に所定色の画像としてマセンダに対応するトナー画像が形成される。画像形成部11Cでは、感光体ドラム12上にシアンに対応するトナー画像が形成される。画像形成部11Bkでは、感光体ドラム12上にブラックに対応するトナー画像が形成される。
【0048】
画像形成装置1Aは、感光体ドラム12に形成されたトナー画像が1次転写される中間転写ベルト17と、中間転写ベルト17にトナー画像を転写する1次転写ローラ17aを備える。各感光体ドラム12上に形成されたトナー画像は、像担持体の一例でベルト状の中間転写体である中間転写ベルト17が矢印方向に駆動されることで、各1次転写ローラ17aにより中間転写ベルト17上の所定位置へと逐次転写される。
【0049】
画像形成装置1Aは、中間転写ベルト17上に転写された各色よりなるトナー画像を用紙P等に2次転写する2次転写部18を備える。2次転写部18は転写手段の一例で、用紙Pの一方の面と対向する側に中間転写ベルト17が設けられ、用紙Pの他方の面と対向する側に2次転写ローラ18aが設けられる。
【0050】
2次転写部18は、転写部材である2次転写ローラ18aが中間転写ベルト17に対して離接する方向へ移動可能に設けられ、2次転写ローラ18aが中間転写ベルト17に押圧されることにより転写ニップ部19が形成される。2次転写部18では、転写ニップ部19で用紙Pが中間転写ベルト17に押圧され、2次転写ローラ18aが中間転写ベルト17と等速で回転駆動されることで、用紙Pにトナー画像が転写される。
【0051】
2次転写部18では、用紙にトナー画像を転写させるため、2次転写ローラ18aで用紙の裏面側から正の電圧を印加する。これにより、2次転写部18を通過した用紙は、トナー画像が転写される画像形成面側が負極に、裏面が正極に帯電する。
【0052】
画像形成装置1Aは、用紙P等を搬送する用紙搬送部2を備える。また、画像形成装置1Aは、用紙Pが収納される本例では複数の給紙トレイ21と、給紙トレイ21に収納された用紙Pを繰り出す給紙部21aを備える。
【0053】
用紙搬送部2は上述した本実施の形態の用紙搬送装置10A、10Bが適用され、2次転写部18を通る用紙Pの搬送経路を構成する主搬送路23と、用紙Pの表裏を反転させる搬送経路を構成する反転搬送路24を備える。主搬送路23は、給紙部21aから繰り出される用紙Pの搬送経路及び外部給紙口22から給紙される用紙等の搬送経路が合流し、排出口25につながる。
【0054】
反転搬送路24は、用紙Pの搬送方向を逆転させて、表裏を判定する搬送経路を構成する。用紙搬送部2は、主搬送路23と反転搬送路24の分岐箇所に切換ゲート23aを備え、用紙Pの表裏両面に画像を形成する動作で、用紙Pの通紙経路を切り替える。
【0055】
用紙搬送部2は、主搬送路23を正方向に搬送される用紙Pに対し、スキューと称す用紙Pの傾き、及び、搬送方向に直交した用紙Pの幅方向である画像の主走査方向に対する位置の片寄りを補正するレジストローラ28を備える。また、用紙搬送部2は、レジストローラ28に用紙Pを突き当てるループローラ29を備える。
【0056】
レジストローラ28は補正手段を構成する揺動部材の一例で、主搬送路23を搬送される用紙Pを挟んで対向する一対のローラで構成される。レジストローラ28は、用紙Pに形成される画像の主走査方向に沿って延在する軸を備え、軸と直交する方向に用紙Pを搬送する。
【0057】
レジストローラ28は、図示しない駆動機構により、一対のローラが離接する方向へ移動可能に構成され、一対のローラが圧接されることでニップ部28aを形成する。レジストローラ28は、回転を停止した状態でニップ部28aに用紙Pが突き当てられることで、用紙Pの傾きが補正される。また、レジストローラ28は、圧接された一対のローラ間に用紙Pが入ることで用紙Pを挟持し、回転することで用紙Pを搬送する。
【0058】
また、レジストローラ28は、用紙Pを挟持して軸方向に移動することで、用紙Pの主走査方向の位置を補正する。更に、レジストローラ28は、用紙Pの主走査方向の位置を補正した後、一対のローラが離間して軸方向に移動することで、用紙Pの搬送と独立して、初期位置へ復帰する。
【0059】
ループローラ29は補正手段を構成し、主搬送路23を搬送される用紙Pを挟んで対向する一対のローラで構成され、用紙Pの搬送方向に対してレジストローラ28の上流側に設けられる。ループローラ29は、用紙Pに形成される画像の主走査方向に沿って延在する軸を備え、軸と直交する方向に用紙Pを搬送する。
【0060】
レジストローラ28を停止させた状態として、ループローラ29により用紙Pが搬送され、一対のローラの当接部で構成されるニップ部28aに用紙Pの先端が突き当てられて、ループと称す湾曲した状態となるまで用紙Pが搬送されることで、用紙Pの面に沿った方向の傾きが補正される。
【0061】
用紙Pの傾きが補正された後、レジストローラ28が用紙Pの搬送方向に沿って回転駆動されることで、用紙Pが挟持されて搬送される。更に、レジストローラ28を軸方向に移動させることで、用紙Pの主走査方向の位置が補正される。上述したように、用紙Pの傾き及び主走査方向の位置の片寄りを補正する一連の用紙位置補正動作をレジスト揺動と称す。
【0062】
画像形成装置1Aは、2次転写部18で用紙Pに転写されたトナー画像を定着させる定着部3を備える。定着部3は定着手段の一例で、用紙Pを加熱する定着ベルト30と、定着ベルト30に用紙Pを押圧する加圧ローラ31を備える。
【0063】
定着部3は、加圧ローラ31が定着ベルト30に圧接されることにより、定着ニップ部33が形成される。定着ベルト30に対して加圧ローラ31を圧接させた状態で、加圧ローラ31が回転駆動されるとともに、ヒータ30aに通電されることで、定着ニップ部33で挟持された用紙Pが搬送されるとともに、圧力及び熱により画像が用紙Pに定着される。
【0064】
画像形成装置1Aは、原稿読取部10を備える。原稿読取部10は、走査露光装置の光学系により原稿の画像を走査露光し、その反射光をラインイメージセンサにより読み取り、これにより、画像信号を得る。なお、画像形成装置1Aは、原稿を給紙する図示しない自動原稿搬送装置が上部に備えられる構成でも良い。
【0065】
画像形成装置1Aは、例えば、レジストローラ28が用紙搬送装置10A。10Bの搬送ローラ101で構成され、ループローラ29が搬送ローラ102で構成される。
【0066】
<本実施の形態の用紙搬送装置及び画像形成装置の動作例>
図5及び図6は、本実施の形態の用紙搬送装置の動作の一例を示すフローチャートであり、各図を参照して、第1の実施の形態の用紙搬送装置10A及び第2の実施の形態の用紙搬送装置10Bと、用紙搬送装置10A、10Bが適用された画像形成装置の動作について説明する。
【0067】
なお、用紙搬送装置10A、10Bにおいて、メインモータ111、112の両方がステッピングモータである構成では、メインモータ111、112の回転数とトルクは、一例として、それぞれ回転数が600rpmでトルクが200mN・mである。
【0068】
また、メインモータ111、112の一方、例えばメインモータ111がステッピングモータであり、メインモータ112がブラシレスモータである構成では、メインモータ111の回転数とトルクは、一例として、回転数が600rpmでトルクが200mN・mであり、メインモータ112の回転数とトルクは、一例として、回転数が600rpmでトルクが300mN・mである。
【0069】
アシストモータ130がブラシレスモータである構成では、アシストモータ130の回転数とトルクは、一例として、回転数が600rpmでトルクが200mN・mであり、単一のアシストモータ130で搬送ローラ101と搬送ローラ102を駆動するので、アシストできるトルクの最大値は、各ローラあたり100mN・mである。
【0070】
制御部150は、図5のステップSA1で、画像形成装置1Aにおける画像形成動作で用紙Pを搬送する動作において、操作部160等で設定された用紙Pの用紙情報を取得する。また、図5のステップSA2で、メインモータ111、112の回転数、この回転数に到達するまでの加速度を取得する。
【0071】
制御部150は、図5のステップSA3で、アシストモータ130でアシストするトルクの値が設定されたアシストテーブルを参照し、図5のステップSA4で、搬送ローラ101、102に対してトルクアシストを行うか否か、トルクアシストを行う場合のトルクを判断する。
【0072】
図7は、アシストテーブルの一例を示す説明図である。アシストテーブル200は、メインモータ111、112の回転数(rpm)、この回転数に到達するまでの加速度(rad/S)と、アシストすべきトルク(mN・N)が設定される。ここで、アシストモータ130はパルス幅変調制御(PWM)が行われ、デューティ比が100(%)である場合のトルクが100(mN・N)である。
【0073】
アシストすべきトルクは、負荷により変化するので、用紙の紙種、サイズ等に応じてアシストテーブル200が設定される。図7(a)、図7(b)では、負荷の大小で設定が異なるアシストテーブル200を開示している。図7(a)は負荷が小さい場合、図7(b)は負荷が大きい場合を示す。なお、回転数、加速度及びトルクの値は一例であり、これに限られるものではない。
【0074】
制御部150は、アシストテーブル200の設定に基づき、アシストモータ130によるトルクアシストが必要な場合は、図5のステップSA5で、メインモータ111、112が所望の加速度で所望の回転数に到達する制御信号を出力する。また、アシストモータ130が所望のトルクを発生する制御信号を出力する。アシストモータ130によるトルクアシストが不要な場合は、図5のステップSA6で、メインモータ111、112が所望の加速度で所望の回転数に到達する制御信号を出力する。これにより、搬送ローラ101及び搬送ローラ102を回転させて、用紙Pを搬送する。
【0075】
制御部150は、図5のステップSA7で、メインモータ111、112が目標とする所望の回転数に到達したか判断する。メインモータ111、112が目標とする回転数に到達したと判断すると、制御部150は、図5のステップSA8で、メインモータ111、112が定速で回転する制御信号を出力する。また、アシストモータ130によるトルクアシストを行っている場合は、アシストモータ130の駆動を停止する。
【0076】
制御部150は、図5のステップSA9で、メインモータ111、112の回転数を変更するか否か判断する。制御部150は、メインモータ111、112の回転数を変更しないと判断すると、図5のステップSA10で、用紙Pの搬送を終了するか判断し、用紙Pの搬送を終了すると判断すると、図5のステップSA11で、メインモータ111、112の駆動を停止する。
【0077】
制御部150は、図5のステップSA9で、メインモータ111、112の回転数を変更すると判断すると、図6のステップSA12で、メインモータ111、112の変更する回転数、この回転数に到達するまでの加速度を取得する。
【0078】
制御部150は、図6のステップSA13で、上述したアシストテーブル200を参照し、図6のステップSA14で、搬送ローラ101、102に対してアシストするトルクを変更するか否か、トルクアシストを行う場合のトルクを判断する。
【0079】
制御部150は、アシストテーブル200の設定に基づき、アシストするトルクを変更する場合は、図6のステップSA15で、メインモータ111、112が所望の加速度で変更された所望の回転数に到達する制御信号を出力する。また、アシストモータ130が所望のトルクを発生する制御信号を出力する。アシストするトルクの変更が不要な場合は、図6のステップSA16で、メインモータ111、112が所望の加速度で変更された所望の回転数に到達する制御信号を出力する。
【0080】
制御部150は、図6のステップSA17で、メインモータ111、112の回転数の変更に伴う加減速が終了したか判断する。メインモータ111、112の加減速が終了したと判断すると、制御部150は、図5のステップSA8に戻り、メインモータ111、112が定速で回転する制御信号を出力する。また、アシストモータ130によるトルクアシストを行っている場合は、アシストモータ130の駆動を停止する。
【0081】
<本実施の形態の用紙搬送装置の作用効果例>
(a)単一のアシストモータによるトルクアシストの作用効果例
本実施の形態の用紙搬送装置10A、10Bでは、搬送ローラ101と搬送ローラ102の軸間がギア等で構成される伝達部材131で繋がっている。これにより、搬送ローラ101と搬送ローラ102が独立した駆動手段であるメインモータ111、112に駆動される構成であっても、搬送ローラ101と搬送ローラ102の回転数、加速度が同期する。
【0082】
また、アシストモータ130でトルクアシストする場合も、単一のアシストモータ130の駆動力が伝達部材131を介して搬送ローラ101と搬送ローラ102に伝達されるので、メインモータ111とメインモータ112の種類が異なるような構成でも、搬送ローラ101と搬送ローラ102の回転数、加速度が同期する。
【0083】
これにより、搬送ローラ101と搬送ローラ102を所望の回転数まで所望の加速度で立ち上げる場合等、アシストモータ130によるトルクアシストでトルクの不足分を補うことができると共に、搬送ローラ101と搬送ローラ102の回転数、加速度を同期させることができる。よって、搬送ローラ101と搬送ローラ102の間で用紙Pが引っ張られる状態、弛む状態になることが抑制され、用紙Pに掛かる負荷が低減し、搬送不良の発生を抑制できる。
【0084】
(b)トルクリミッタの作用効果例
メインモータ111、112がステッピングモータである場合、図7に示すアシストテーブルにおいて設定されたメインモータ111、112の回転数に対し、メインモータ111、112を脱調させずにアシストモータ130でアシストできるトルクには上限がある。
【0085】
そこで、上述した第2の実施の形態の用紙搬送装置10Bでは、伝達部材131にトルクリミッタ133、134を備える。図8は、トルクリミッタの作用効果を示す説明図である。図8(a)に示す加速カーブは、メインモータ111、112を所定の回転数、本例では停止状態から所定の加速度で1000(rpm)まで回転させる際の回転数の変化を示す。
【0086】
図8(b)に示す過アシストデューティ上限は、メインモータ111、112を1000(rpm)まで回転させる際に、アシストモータ130によるトルクアシストでメインモータ111、112が脱調する過アシストとなるデューティ比の変化を示す。
【0087】
図8(c)に示す不足トルクは、メインモータ111、112を1000(rpm)まで回転させる際に不足するトルクを、アシストモータ130のデューティ比に変換した際のデューティ比の変化を示す。
【0088】
図8に示す例では、アシストモータ130のデューティ比が70%を超えると、メインモータ111、112が脱調する。一方、メインモータ111、112のトルクアシストのためには、アシストモータ130のデューティ比を40%とする必要がある。そこで、トルクリミッタ133、134により遮断するトルク上限値を、デューティ比に換算して40%以上70%以下とすることで、アシストモータ130でのトルクアシストによるメインモータ111、112の脱調を防ぐことができると共に、アシストするトルク不足を防ぐことができる。
【0089】
(c)メインモータとアシストモータのトルク配分の切り換えによる作用効果例
メインモータ111、112にステッピングモータを使用する構成では、搬送ローラ101、102の回転量を容易かつ正確に制御できる。そこで、メインモータ111、112とアシストモータ130のトルク配分を、搬送ローラ101、102の加減速時は、位置制御のためメインモータ111、112を主とし、定速時は、電力効率のためアシストモータ130を主とする。
【0090】
図9は、メインモータとアシストモータのトルク配分の一例を示す説明図である。図9(a)に示す加速カーブは、メインモータ111、112を所定の回転数、本例では停止状態から所定の加速度で1000(rpm)まで回転させ、所定時間定速で回転させた後、所定の減速度で停止させる際の回転数の変化を示す。
【0091】
図9(b)に示す必要トルクは、メインモータ111、112を1000(rpm)まで回転させて停止させる際に、必要なトルクを示す。図9(c)に示すメインモータ印可トルクは、メインモータ111、112の回転数を増加、減少させる加減速時、及び、メインモータ111、112の回転数を定速とする定速時にメインモータ111、112で必要なトルクを示し、図9(d)に示すアシストモータトルクは、加減速時及び定速時にアシストモータ130で必要なトルクを示す。
【0092】
例えば、加減速時に必要なトルクが300mN・m、定速時に必要なトルクが50mN・mである場合、加速区間A1、減速区間A3では、メインモータ111、112のトルクが200mN・mとなるように制御し、アシストモータ130のトルクが200mN・mとなるように制御する。これに対し、定速区間A2では、メインモータ111、112のトルクが10mN・mとなるように制御し、アシストモータ130のトルクが40mN・mとなるように制御する。
【0093】
ステッピングモータの電力効率が40%程度、ブラシレスモータの電力効率が80%程度であるので、定速時にアシストモータ130のトルクを増加させ、メインモータ111、112にトルクを減少させることで、電力消費を抑制することができる。また、アシストモータ130のトルクを増加させた定速時に負荷変動が生じても、伝達部材131により搬送ローラ101と搬送ローラ102が同期して回転するので、搬送ローラ101と搬送ローラ102が同期して速度変動するため、同期を保つことができる。
【0094】
(d)減速時のトルクアシストによる作用効果例
図10は、減速時のトルクアシストの一例を示す説明図である。図10(a)に示す加速カーブは、メインモータ111、112を所定の回転数、本例では1000(rpm)で回転させた状態から、所定の減速度(負の加速度)で停止させる際の回転数の変化を示す。
【0095】
図10(b)に示す必要トルクは、所定の負荷が掛かった搬送ローラ101、102を停止させる際に、必要なトルクを示す。図10(c)に示すメインモータ印可トルクは、減速時にメインモータ111、112で必要なトルクを示し、図10(d)に示すアシストモータトルクは、減速時にアシストモータ130で必要なトルクを示す。
【0096】
搬送ローラ101、102、及び搬送ローラ101、102につながる伝達部材の質量より、メインモータ111、112、アシストモータ130の駆動を停止させても、慣性で搬送ローラ101、102が回転しようとする。
【0097】
所望の減速度で搬送ローラ101、102の回転を停止させるために、メインモータ111、112を制御して制動を行う動作では、搬送ローラ101、102に掛かる負荷が軽い場合、搬送ローラ101、102が慣性で回転することにより発生するトルクが、メインモータ111,112で同期可能なトルクを超える場合がある。
【0098】
例えば、図10(b)に示すように、慣性で回転する搬送ローラ101、102を停止させる際に必要なトルクが250mN・mであるのに対し、メインモータ111、112の最大同期トルクが200mN・mであると、メインモータ111、112が脱調する。
【0099】
そこで、減速区間A3でアシストモータ130によるトルクアシストを行う。例えば、図10(c)に示すように、減速区間A3では、メインモータ111、112のトルクが逆方向に」200mN・mとなるように制御する。アシストモータ130のトルクが、メインモータ111、112のトルクとの合計で搬送ローラ101、102を停止させる際に必要なトルクを超えるように、本例では逆方向に100mN・mとなるように制御する。
【0100】
これにより、減速区間A3で、メインモータ111、112に最大同期トルクを超えるトルクが掛からず、メインモータ111、112の脱調を防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、画像形成装置に対して用紙を供給する装置、画像が形成された用紙に後処理を行う装置を備えた画像形成システムに適用される。
【符号の説明】
【0102】
1A・・・画像形成装置、2・・・用紙搬送部、3・・・定着部、10A、10B・・・用紙搬送装置、11・・・画像形成部、101、102・・・搬送ローラ、111、112・・・メインモータ、130・・・アシストモータ、131・・・伝達部材、133、134・・・トルクリミッタ、150・・・制御部、160・・・操作部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10