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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-04
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】自律走行台車
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20220207BHJP
【FI】
G05D1/02 H
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018100586
(22)【出願日】2018-05-25
(65)【公開番号】P2019204414
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2020-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗山 泰
(72)【発明者】
【氏名】南田 将哉
【審査官】稲垣 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-155039(JP,A)
【文献】特開2007-199965(JP,A)
【文献】特開2004-126802(JP,A)
【文献】辻将治,岡田雅史,安弘,車輪型移動ロボットにおける視覚センサを用いた自律先導走行法の開発,ロボティクス・メカトロニクス講演会 ’09 講演論文集,社団法人日本機械学会,2009年05月24日,2A2-E16(1)-(4)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体検出領域内の物体のサイズ及び位置を検出可能な物体検出手段と、
複数の車輪と、
少なくとも1つの前記車輪を駆動する駆動手段と、
所定警報を出力する警報出力手段と、
前記物体検出手段を用いて検出した物体のサイズ及び位置に応じて前記駆動手段を制御する制御手段と、
を有して、追尾対象者を追尾する自律走行台車であって、
前記制御手段は、
前記追尾対象者からの登録操作によって、前記物体検出手段を用いて前記物体検出領域内に検出されている物体の中の所定物体を前記追尾対象者として登録し、
前記物体検出領域内に検出されている物体の中に前記追尾対象者が認識できている追尾対象者認識状態の場合には、
前記物体検出領域内の物体を回避しながら前記追尾対象者を追尾する追尾動作を実行するように、前記駆動手段を制御し、
前記物体検出領域内に検出されている物体の中に前記追尾対象者が検出できず前記追尾対象者を見失った追尾対象者ロスト状態の場合には、
前記警報出力手段を動作させて前記所定警報を出力し、物体検出領域外から前記物体検出領域内に移動してきた物体を、見失った前記追尾対象者であると再認識する再認識動作を実行し、
前記再認識動作によって前記追尾対象者を再認識した場合には、
前記警報出力手段からの前記所定警報の出力を停止して前記追尾動作を再開し、
前記制御手段は、
前記追尾対象者ロスト状態となった場合、
予め設定された再認識許可時間の間だけ、前記再認識動作を実行する、
自律走行台車。
【請求項2】
請求項1に記載の自律走行台車であって、
前記制御手段は、
前記追尾対象者ロスト状態、かつ、再認識許可時間内での前記所定警報の出力と、
前記追尾対象者ロスト状態、かつ、再認識許可時間を超えた場合での前記所定警報の出力と、
を異なる出力とする、
自律走行台車。
【請求項3】
請求項1または2に記載の自律走行台車であって、
前記再認識許可時間を変更可能な再認識許可時間変更手段を有し、
前記制御手段は、
前記再認識許可時間変更手段からの変更情報に応じて、前記再認識許可時間を変更する、
自律走行台車。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の自律走行台車であって、
前記制御手段は、
前記物体検出領域の広さを変更可能であり、
前記追尾対象者ロスト状態の場合の前記物体検出領域を、前記追尾対象者認識状態の場合の前記物体検出領域よりも広くする、
自律走行台車。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の自律走行台車であって、
前記制御手段は、
前記再認識動作の実行中において、
前記物体検出領域外から前記物体検出領域内に移動してきた物体の中から、所定時間の間、連続して検出されている物体を、見失った前記追尾対象者であると再認識する、
自律走行台車。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか一項に記載の自律走行台車であって、
前記制御手段は、
前記再認識動作の実行中において、
前記物体検出領域外から前記物体検出領域内に移動してきた物体の中から、自身に最も近い位置の物体を、見失った前記追尾対象者であると再認識する、
自律走行台車。
【請求項7】
物体検出領域内の物体のサイズ及び位置を検出可能な物体検出手段と、
複数の車輪と、
少なくとも1つの前記車輪を駆動する駆動手段と、
所定警報を出力する警報出力手段と、
前記物体検出手段を用いて検出した物体のサイズ及び位置に応じて前記駆動手段を制御する制御手段と、
を有して、追尾対象者を追尾する自律走行台車であって、
前記制御手段は、
前記追尾対象者からの登録操作によって、前記物体検出手段を用いて前記物体検出領域内に検出されている物体の中の所定物体を前記追尾対象者として登録し、
前記物体検出領域内に検出されている物体の中に前記追尾対象者が認識できている追尾対象者認識状態の場合には、
前記物体検出領域内の物体を回避しながら前記追尾対象者を追尾する追尾動作を実行するように、前記駆動手段を制御し、
前記物体検出領域内に検出されている物体の中に前記追尾対象者が検出できず前記追尾対象者を見失った追尾対象者ロスト状態の場合には、
前記警報出力手段を動作させて前記所定警報を出力し、物体検出領域外から前記物体検出領域内に移動してきた物体を、見失った前記追尾対象者であると再認識する再認識動作を実行し、
前記再認識動作によって前記追尾対象者を再認識した場合には、
前記警報出力手段からの前記所定警報の出力を停止して前記追尾動作を再開し、
前記制御手段は、
前記再認識動作の実行中において、
前記物体検出領域外から前記物体検出領域内に移動してきた物体の中から、所定時間の間、連続して検出されている物体、かつ、自身に最も近い位置の物体を、見失った前記追尾対象者であると再認識する、
自律走行台車。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の自律走行台車であって、
前記追尾対象者に所持されて無線で前記制御手段に情報を送信可能な無線操作装置を有し、
前記制御手段は、前記無線操作装置からの無線の情報を受信可能な受信手段を有し、
前記無線操作装置は、
前記追尾対象者からの前記登録操作が行われると、前記追尾対象者の登録を要求する登録情報を送信し、
前記制御手段は、
前記受信手段にて前記登録情報を受信すると、前記物体検出手段を用いて前記物体検出領域内に検出されている物体の中から、自身に最も近い位置の物体であり、かつ、登録許容サイズ範囲内のサイズの物体を、前記追尾対象者として登録する、
自律走行台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律走行台車に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、例えば、種々の荷物(パーツを含む)が収容された複数の棚等を有する製造工場、荷物配送センター、パーツセンター等にて、荷物を入庫する場合や、荷物を出庫する場合に、無人の自律走行台車が利用される場合がある。例えば複数の棚等を有する荷物配送センターに荷物を入庫する場合、追尾対象者は、まず、自身に追尾して移動する自律走行台車に、入庫する荷物を積載する。そして追尾対象者は、各棚等へ移動しながら、自身に追尾している自律走行台車に積載された荷物を、必要な場所に入庫していく。また例えば複数の棚等を有する荷物配送センターから荷物を出庫する場合、追尾対象者は、まず、自身に自律走行台車を追尾させる。そして追尾対象者は、各棚等を移動しながら、出庫する荷物を探し出し、探し出した荷物を、自身に追尾している自律走行台車に積載していく。また、例えば製造工場では、無人の自律走行台車が、種々のパーツ(部品)や、ある工程での完成品を、次の工程へと搬送している。このように、先導する人や物体に追尾する無人の自律走行台車や、特定された経路に従って種々の物品を搬送する無人の自律走行台車が、種々の場面で利用されている。
【0003】
例えば特許文献1には、走行する先導車両に対して、後続車両が追尾走行を行う追尾システムが開示されている。
【0004】
また例えば特許文献2には、走行軌道の周辺に沿って複数のターゲットを配置し、無人走行車に搭載したカメラにて、ターゲットを順次視認させながら走行軌道に沿って無人走行車を走行させる無人走行システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-149194号公報
【文献】特開2011-18150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の追尾システムでは、後続車両が先導車両を見失った場合において、先導車両をどのようにして再認識させるか、という点について記載が見受けられない。つまり、後続車両が先導車両を見失った場合、先導車両を再認識させて追尾を再開させる方法、手順等が開示されていない。同様に、特許文献2の無人走行システムも、無人走行車がターゲットを見失った場合において、無人走行車にターゲットをどのように再認識させるか、という点について記載が見受けられない。つまり、無人走行車がターゲットを見失った場合、ターゲットを再認識させて自律走行を再開させる方法、手順等が開示されていない。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、追尾対象者に追尾するように移動する自律走行台車において、自律走行台車が追尾対象者を見失った場合、容易かつ手間なく追尾対象者を再認識させることが可能であり、容易かつ手間なく追尾を再開させることができる自律走行台車を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の第1の発明は、物体検出領域内の物体のサイズ及び位置を検出可能な物体検出手段と、複数の車輪と、少なくとも1つの前記車輪を駆動する駆動手段と、所定警報を出力する警報出力手段と、前記物体検出手段を用いて検出した物体のサイズ及び位置に応じて前記駆動手段を制御する制御手段と、を有して、追尾対象者を追尾する自律走行台車である。そして、前記制御手段は、前記追尾対象者からの登録操作によって、前記物体検出手段を用いて前記物体検出領域内に検出されている物体の中の所定物体を前記追尾対象者として登録する。また、前記物体検出領域内に検出されている物体の中に前記追尾対象者が認識できている追尾対象者認識状態の場合には、前記物体検出領域内の物体を回避しながら前記追尾対象者を追尾する追尾動作を実行するように、前記駆動手段を制御し、前記物体検出領域内に検出されている物体の中に前記追尾対象者が検出できず前記追尾対象者を見失った追尾対象者ロスト状態の場合には、前記警報出力手段を動作させて前記所定警報を出力し、物体検出領域外から前記物体検出領域内に移動してきた物体を、見失った前記追尾対象者であると再認識する再認識動作を実行し、前記再認識動作によって前記追尾対象者を再認識した場合には、前記警報出力手段からの前記所定警報の出力を停止して前記追尾動作を再開する、自律走行台車である。
【0009】
本発明の第2の発明は、上記第1の発明に係る自律走行台車であって、前記制御手段は、前記追尾対象者ロスト状態となった場合、予め設定された再認識許可時間の間だけ、前記再認識動作を実行する、自律走行台車である。
【0010】
本発明の第3の発明は、上記第2の発明に係る自律走行台車であって、前記再認識許可時間を変更可能な再認識許可時間変更手段を有し、前記制御手段は、前記再認識許可時間変更手段からの変更情報に応じて、前記再認識許可時間を変更する、自律走行台車である。
【0011】
本発明の第4の発明は、上記第1の発明~第3の発明のいずれか1つに係る自律走行台車であって、前記制御手段は、前記物体検出領域の広さを変更可能であり、前記追尾対象者ロスト状態の場合の前記物体検出領域を、前記対象者認識状態の場合の前記物体検出領域よりも広くする、自律走行台車である。
【0012】
本発明の第5の発明は、上記第1の発明~第4の発明のいずれか1つに係る自律走行台車であって、前記制御手段は、前記再認識動作の実行中において、前記物体検出領域外から前記物体検出領域内に移動してきた物体の中から、所定時間の間、連続して検出されている物体を、見失った前記追尾対象者であると再認識する、自律走行台車である。
【0013】
本発明の第6の発明は、上記第1の発明~第5の発明のいずれか1つに係る自律走行台車であって、前記制御手段は、前記再認識動作の実行中において、前記物体検出領域外から前記物体検出領域内に移動してきた物体の中から、自身に最も近い位置の物体を、見失った前記追尾対象者であると再認識する、自律走行台車である。
【0014】
本発明の第7の発明は、上記第1の発明~第6の発明のいずれか1つに係る自律走行台車であって、前記追尾対象者に所持されて無線で前記制御手段に情報を送信可能な無線操作装置を有し、前記制御手段は、前記無線操作装置からの無線の情報を受信可能な受信手段を有し、前記無線操作装置は、前記追尾対象者からの前記登録操作が行われると、前記追尾対象者の登録を要求する登録情報を送信し、前記制御手段は、前記受信手段にて前記登録情報を受信すると、前記物体検出手段を用いて前記物体検出領域内に検出されている物体の中から、自身に最も近い位置の物体であり、かつ、登録許容サイズ範囲内のサイズの物体を、前記追尾対象者として登録する、自律走行台車である。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明によれば、追尾対象者は、自律走行台車が所定警報を出力していることで、自律走行台車の状態が追尾対象者(自身)を見失った追尾対象者ロスト状態であることを容易に認識することができる。追尾対象者ロスト状態であることを認識した追尾対象者は、自律走行台車に近づいていき、物体検出領域外から物体検出領域内に入るだけで、自身を追尾対象者として再認識させて追尾を再開させることができる。従って、自律走行台車が追尾対象者を見失った場合、容易かつ手間なく追尾対象者を再認識させることが可能であり、容易かつ手間なく追尾を再開させることができる。
【0016】
第2の発明によれば、再認識許可時間の間だけ再認識動作をさせる。例えば、追尾対象者が、自律走行台車が追尾対象者ロスト状態であることに、しばらくの間気付かなかった場合、自律走行台車が、自身とは別人を追尾対象者として誤認識して追尾してしまう誤追尾の発生を抑制することができる。
【0017】
第3の発明によれば、追尾対象者は、自律走行台車を追尾させる環境等に応じて、再認識許可時間変更手段を用いて再認識許可時間を変更できる。従って、追尾対象者は、環境等に応じて、自身とは別人を追尾対象者として誤認識して追尾してしまう誤追尾の発生の抑制と再認識の容易性とのバランスがとれた再認識許可時間を設定できるので便利である。
【0018】
第4の発明によれば、自律走行台車は、追尾対象者ロスト状態に陥った場合、物体検出領域を、より広い領域にするので、より容易に追尾対象者の再認識を行うことができる。
【0019】
第5の発明によれば、自律走行台車が追尾対象者ロスト状態に陥った際、本来の追尾対象者とは別人が物体検出領域を横切った場合等において、本来の追尾対象者とは別人を追尾対象者として誤認識して追尾してしまう誤追尾を適切に回避することができる。
【0020】
第6の発明によれば、自律走行台車が追尾対象者ロスト状態に陥った際、本来の追尾対象者とは別人を含めた複数人が物体検出領域外から物体検出領域内に入ってきた場合等において、本来の追尾対象者とは別人を追尾対象者として誤認識して追尾してしまう誤追尾を適切に回避することができる。
【0021】
第7の発明によれば、追尾対象者は無線操作装置を所持して簡単な操作を行うだけで、自律走行台車に自身を追尾対象者として認識及び登録させることができるので便利である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の自律走行台車、及び無線操作装置の外観の例を示す斜視図である。
図2】自律走行台車及び無線操作装置の全体構成を説明する模式図である。
図3】物体検出手段に対して、最大検出領域内において所望する物体検出領域を設定する例を説明する図である。
図4】自律走行台車と物体検出領域の例を説明する斜視図である。
図5】荷物配送センター内で、追尾対象者に自律走行台車を追尾させる例を説明する図である。
図6図5の例において、自律走行台車が追尾対象者ロスト状態となった例、及び追尾対象者を再認識させる例を説明する図である。
図7】自律走行台車の制御手段の処理手順の例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。なお、X軸とY軸とZ軸が記載されている図において、X軸とY軸とZ軸は互いに直交している。また、Z軸方向は鉛直上向き方向を示し、X軸方向は自律走行台車の前方向を示し、Y軸方向は自律走行台車の左方向を示している。また、U軸とV軸とW軸が記載されている図において、U軸とV軸とW軸は互いに直交している。また、W軸方向は実際の指定エリアにおける鉛直上向き方向を示し、U軸方向は実際の指定エリアにおいて手前に向かう方向を示し、V軸方向は実際の指定エリアにおける右方向を示している。
【0024】
●[自律走行台車1及び無線操作装置80の外観(図1)と全体構成(図2)]
追尾対象者に追尾する自律走行台車には、用途や作業現場等に応じて種々の外観のものがあるが、本実施の形態の説明では図1に示すように、円柱状の外観を有する自律走行台車1を例として説明する。自律走行台車1は、ボディ2、荷台3、右駆動輪4R、左駆動輪4L、右キャスタ輪5R、左キャスタ輪5L、物体検出手段11、右補助物体検出手段12R、左補助物体検出手段12L、メインスイッチ13A、前方床面検出手段14、タッチモニタ31、アンテナ32、音声出力手段33、通信用コネクタ34、右モータ35R、左モータ35L、制御装置40、バッテリ38、表示灯39等を有している。また追尾対象者が所持する無線操作装置80は、登録操作部80A、一時停止操作部80B、リセット操作部80C、アンテナ82等を有している。
【0025】
ボディ2は、図1に示すように、円柱状の形状を有しており、ボディ2の上面は、荷物を載置する荷台3を有している。荷台3には、入庫するべき荷物(パーツを含む)や出庫するべき荷物等が載置される。
【0026】
右駆動輪4R(車輪に相当)は、自律走行台車1の右前輪の位置に配置され、直進方向に向きが固定されており、右モータ35R(駆動手段に相当)にて前進方向または後進方向に回転駆動される。左駆動輪4L(車輪に相当)は、自律走行台車1の左前輪の位置に配置され、直進方向に向きが固定されており、左モータ35L(駆動手段に相当)にて前進方向または後進方向に回転駆動される。図2に示すように、制御手段41は、右モータ35Rと左モータ35Lを別々に制御することが可能であり、自律走行台車1に、直進前進、直進後進、右折前進、左折前進、その場で右旋回、その場で左旋回等、の動作をさせることができる。なお、複数の車輪のうち、少なくとも1つの駆動輪を有し、右折、左折等を行う旋回手段を有していてもよい。
【0027】
右キャスタ輪5R(車輪に相当)は、自律走行台車1の右後輪の位置に配置され、向きが自由に変更される従動輪である。左キャスタ輪5L(車輪に相当)は、自律走行台車1の左後輪の位置に配置され、向きが自由に変更される従動輪である。右キャスタ輪5R、左キャスタ輪5Lは、自律走行台車1の、直進前進、直進後進、右折前進、左折前進、その場で右旋回、その場で左旋回等、の動作に応じて向きが変わる。
【0028】
物体検出手段11は、自律走行台車1の前上端に配置されている。物体検出手段11は、例えば、レーザ光を走査させる2次元平面状の物体検出領域を有する物体センサ(いわゆるLaser Range Finder)であり、物体検出領域内の物体(障害物)の位置である物体位置と、物体(障害物)のサイズである物体サイズと、を含む物体検出情報を制御手段41(図2参照)に出力する。なお、物体検出手段11の詳細については後述する。
【0029】
右補助物体検出手段12Rは、例えば超音波センサであり、物体検出手段11とは異なる方法で周囲の物体の存在を検出する。本実施の形態にて説明する物体検出手段11では、Laser Range Finderを用いており、レーザが透過するガラス等の検出が不充分な可能性が考えられるので、右補助物体検出手段12Rが追加されている。右補助物体検出手段12Rは、右駆動輪4Rの前方の物体(障害物)を検出し、補助物体検出情報を制御手段41(図2参照)に出力する。なお左補助物体検出手段12Lは、右補助物体検出手段12Rと同様の超音波センサ等であるので、説明を省略する。なお、右補助物体検出手段12R、左補助物体検出手段12Lは省略されていてもよい。
【0030】
前方床面検出手段14は、例えばレーザや赤外線を用いた距離計測センサであり、自律走行台車1のやや前方の床面までの距離を計測し(図2参照)、前方の床面の凹凸段差の有無を検出する。前方床面検出手段14は、前方の床面までの距離を含む前方床面検出情報を制御手段41(図2参照)に出力する。なお前方床面検出手段14は省略されていてもよい。
【0031】
メインスイッチ13Aは、制御装置40の起動と停止を行うためのスイッチであり、作業者によって操作される。
【0032】
タッチモニタ31は、自律走行台車1の動作状態やバッテリ残量等の表示を行い、作業者からの入力の受け付けも行う。例えば、後述する再認識許可時間変更手段は、タッチモニタ31にて実現されている。
【0033】
アンテナ32は、追尾対象者が所持した無線操作装置80と無線にて情報を送受信するためのアンテナである。図2に示すように、制御手段41は、アンテナ32を介して無線操作装置80から情報を受信することが可能であり、アンテナ32を介して無線操作装置80に情報を送信することが可能である。
【0034】
音声出力手段33は、例えばスピーカであり、警報出力手段に相当している。例えば制御手段41(図2参照)は、追尾対象者を見失った追尾対象者ロスト状態に陥った場合、音声出力手段33から所定警報(追尾対象者ロスト状態であることを知らせる音声)を出力する。
【0035】
表示灯39は、例えば赤色、黄色、緑色の各色の表示灯を有し、警報出力手段に相当している。例えば制御手段41は、追尾対象者を認識できている追尾対象者認識状態では緑色の表示灯を点灯させ、追尾対象者を見失った追尾対象者ロスト状態では黄色の表示灯を点滅させ、追尾対象者が登録されていないときは赤色の表示灯を点灯させる。
【0036】
通信用コネクタ34は、制御手段41に種々のデータ等を送信、あるいは制御手段41から種々のデータ等を受信、するためのパーソナルコンピュータ等を接続するためのコネクタである。例えば追尾対象者を含む作業者は、パーソナルコンピュータにて作成した制御プログラム等を、通信用コネクタ34を介して記憶手段42(図2参照)に記憶させることができる。
【0037】
バッテリ38は、自律走行台車1内の制御手段41や検出手段等の機器に電力を供給する電源である。
【0038】
制御装置40は、図2に示すように、制御手段41(例えばCPU)と、記憶手段42(例えばHard Disk Drive)等を有している。制御手段41には、物体検出手段11からの物体検出情報、右補助物体検出手段12R及び左補助物体検出手段12Lからの補助物体検出情報、前方床面検出手段14からの前方床面検出情報、メインスイッチ13Aからの操作信号等が入力される。また制御手段41は、記憶手段42からのデータ等の読み出しと記憶手段42へのデータ等の書き込み、受信手段41Aや送信手段41Bとアンテナ32を介した送受信、タッチモニタ31への出力とタッチモニタ31からの入力、右モータ35R及び左モータ35Lへの駆動信号の出力、等を行う。なお、受信手段41Aは、制御手段41が、無線操作装置80からの無線の情報を受信するためのものであり、送信手段41Bは、制御手段41が、無線操作装置80への無線の情報を送信するためのものである。
【0039】
無線操作装置80は、追尾対象者に所持され、図2に示すように、無線操作制御手段81、無線操作記憶手段83、登録操作部80A、一時停止操作部80B、リセット操作部80C、アンテナ82、バッテリ84等を有している。無線操作記憶手段83には、無線操作制御手段81の処理のプログラム等が記憶されており、バッテリ84は、無線操作制御手段81、無線操作記憶手段83等の電源である。
【0040】
無線操作制御手段81は、追尾対象者がリセット操作部80C(例えばリセットボタン)を操作した場合(押した場合)、登録されている追尾対象者のリセットを要求するリセット要求情報を含むリセット情報を、アンテナ82を介して自律走行台車1に無線で送信する。また無線操作制御手段81は、追尾対象者が一時停止操作部80B(例えば一時停止ボタン)を操作した場合(押した場合)、自律走行台車1の追尾動作の走行を一時的に停止する一時停止要求を含む一時停止情報を、アンテナ82を介して自律走行台車1に無線で送信する。また無線操作制御手段81は、追尾対象者が登録操作部80A(例えば登録ボタン)を操作(登録操作に相当)した場合(押した場合)、追尾対象者の登録を要求する登録要求情報を含む登録情報を、アンテナ82を介して自律走行台車1に無線で送信する。
【0041】
●[物体検出手段の物体検出領域(図3図4)]
図3は、パーソナルコンピュータ等を用いて物体検出手段11の最大検出領域11A内において、所望する2次元平面状の物体検出領域11AXを指定している様子を示している。
【0042】
物体検出手段11は、レーザ光を走査させる2次元平面状の物体検出領域11AX(図3にて指定された領域)を有し、物体検出領域11AX内にて検出された物体(障害物)の位置である物体位置と、検出された物体(障害物)のサイズである物体サイズと、を含む物体検出情報を制御手段41(図2参照)に出力する。つまり、物体検出情報には、どの方向の、どれだけの距離の位置に、どのようなサイズの物体(障害物)があるか、という情報が含まれている。
【0043】
物体検出手段11の物体検出領域11AXの最大範囲となる最大検出領域11Aは、例えば、半径が約5[m]、中心角度が約270[°]の扇形である。また、物体検出手段11または制御装置40には、複数の検出領域を設定(記憶)しておくことが可能である。作業者は、複数の検出領域を作成して物体検出手段11または制御装置40に記憶させておき、制御装置40から検出領域の切り替えが可能である。作業者は、図3の例に示すように、パーソナルコンピュータ等にて検出領域作成用のプログラムを起動して、最大検出領域11A内において所望する検出領域を指定(作成)することができる。
【0044】
図3の例は、物体検出手段11の最大検出領域11A内において、物体検出領域11AXを指定(作成)した例を示している。作業者は、パーソナルコンピュータ等にて作成した物体検出領域11AXを、通信用コネクタ34を介して物体検出手段11や制御装置40に記憶させることができる。
【0045】
そして図4に示すように、自律走行台車1の前上端に配置された物体検出手段11は、床面から所定高さにて略水平方向に広がる物体検出領域11AXにて、物体検出領域11AX内の物体(障害物)の物体位置と物体サイズ等を検出する。
【0046】
●[自律走行台車1の追尾動作の概略動作(図5)]
図5は、実際の荷物配送センターの作業エリア42Rの平面図の例を示しており、作業エリア42R内には、棚R1~R6が配置されている例を示している。図5は、追尾対象者TG1が、点線にて示すように、時刻[t1]~時刻[t3]にかけて、各棚R1~R6と壁面H1~H4にて挟まれた各通路を移動し、自律走行台車1が、一点鎖線にて示すように、障害物を回避しながら追尾対象者TG1に追尾して移動した様子を示している。
【0047】
例えば追尾対象者TG1は、時刻[t1]にて登録操作を行って自身を追尾対象者として登録する。自律走行台車1は、物体検出領域11AX内に登録された追尾対象者TG1を認識できている追尾対象者認識状態の場合には、物体検出領域11AX内に検出された物体(障害物であり、この場合、棚R1~R6や壁面H1~H4)を回避しながら追尾対象者TG1を追尾する追尾動作を実行する。
【0048】
●[追尾対象者を見失った自律走行台車1の再認識動作の概略動作(図6)]
図6は、図5の時刻[t1]~時刻[t3]の追尾動作中の時刻[t2]と時刻[t3]の間の時刻[t2+Δt]において、棚R3と壁面H4の間にて自律走行台車1が追尾対象者TG1を見失った場合の例を示している。図6の例では、時刻[t2+Δt]において、追尾対象者TG1が、棚R3と壁面H4との間の通路から左に曲がった際、追尾していた自律走行台車1の物体検出領域11AX外に出てしまった例を示している。この場合、物体検出領域11AX内に追尾対象者TG1が認識できなくなるので、自律走行台車1は、追尾対象者TG1を見失った追尾対象者ロスト状態に陥る。
【0049】
自律走行台車1は、例えば、追尾対象者ロスト状態に陥った場合、走行を停止して所定警報を出力して、追尾対象者ロスト状態に陥ったことを追尾対象者TG1に知らせる。所定警報が出力されていることを認識した追尾対象者TG1は、自律走行台車1が追尾対象者ロスト状態に陥ったことを認識し、自律走行台車1に近づくように移動する。そして追尾対象者TG1は、物体検出領域11AX外から物体検出領域11AX内へと移動することで、自身を、見失った追尾対象者として自律走行台車1に再認識させる。自律走行台車1は、物体検出領域11AX外から物体検出領域11AX内へと移動してきた物体を、見失っていた追尾対象者TG1であると再認識する再認識動作を実行し、所定警報の出力を停止して追尾動作を再開する。
【0050】
●[制御手段41の処理手順(図7)]
次に図7を用いて、上述した追尾動作、及び再認識動作を行うための制御装置40の制御手段41(図2参照)の処理手順について説明する。制御手段41は、例えばメインスイッチ13A(図1図2参照)が操作されると、所定時間間隔(例えば数[ms]~数10[ms]間隔)にて図7に示す処理を起動し、起動するとステップS010へと処理を進める。
【0051】
ステップS010にて制御手段41は、物体検出手段11からの物体検出情報に基づいて物体検出領域内の種々の物体の物体位置及び物体サイズを検出し、ステップS015へ処理を進める。
【0052】
ステップS015にて制御手段41は、無線操作装置80からリセット情報を受信しているか否かを判定し、リセット情報を受信している場合(Yes)はステップS020へ処理を進め、リセット情報を受信していない場合(No)はステップS025へ処理を進める。
【0053】
ステップS020に処理を進めた場合、制御手段41は、記憶手段に記憶している現在の追尾対象者に関する情報を削除(リセット)して、警報出力手段(例えば、音声出力手段33)からの出力を停止し、ロストフラグ(追尾対象者ロスト状態を示すフラグ)をOFFにしてステップS025へ処理を進める。
【0054】
ステップS025に処理を進めた場合、制御手段41は、無線操作装置80から一時停止情報を受信しているか否かを判定し、一時停止情報を受信している場合(Yes)はステップS080Bへ処理を進め、一時停止情報を受信していない場合(No)はステップS030へ処理を進める。
【0055】
ステップS030に処理を進めた場合、制御手段41は、追尾対象者が登録されているか否かを判定し、登録されている場合(Yes)はステップS042へ処理を進め、登録されていない場合(No)はステップS035に処理を進める。
【0056】
ステップS035に処理を進めた場合、制御手段41は、無線操作装置80から登録情報を受信しているか否かを判定し、登録情報を受信している場合(Yes)はステップS040に処理を進め、登録情報を受信していない場合(No)はステップS080Eへ処理を進める。
【0057】
ステップS040にて制御手段41は、ステップS010にて取得した物体検出情報に含まれている物体位置及び物体サイズの物体の中から、例えば、自律走行台車1の前方の最も近い位置の物体、かつ、横方向のサイズが、物体検出領域11AXの高さで検出される人体の横幅に近い登録許容サイズ範囲内(例えば40[cm]程度~70[cm]程度)である物体を抽出する。そして制御手段41は、抽出した物体の横方向サイズとともに抽出した物体を追尾対象者として登録し、ステップS042に処理を進める。
【0058】
ステップS042に処理を進めた場合、制御手段41は、ロストフラグ(追尾対象者ロスト状態を示すフラグ)がONであるか否かを判定し、ロストフラグがONである場合(Yes)はステップS110に処理を進め、ロストフラグがONでない場合(No)はステップS045に処理を進める。
【0059】
ステップS045に処理を進めた場合、制御手段41は、ステップS010にて取得した物体検出情報に含まれている物体位置及び物体サイズの中に、追尾対象者と認識できる物体があるか否かを判定(例えば、物体の位置に応じて換算した横方向サイズが、ステップS040にて登録した横方向サイズに近似する物体があるか否かを判定)する。そして制御手段41は、追尾対象者と認識できる物体がある場合(Yes)はステップS070へ処理を進め、追尾対象者と認識できる物体が見当たらない場合(No)はステップS110へ処理を進める。
【0060】
[追尾対象者認識状態の処理]
ステップS070へ処理を進めた場合は、物体検出領域11AX内に追尾対象者が認識できている追尾対象者認識状態の場合であり、追尾対象者として認識した物体までの方向と距離を求め、ステップS075へ処理を進める。
【0061】
ステップS075にて制御手段41は、ステップS010にて取得した物体検出情報に含まれている物体位置及び物体サイズの各物体(障害物)の位置とサイズを求めてステップS080Aへ処理を進める。
【0062】
[追尾対象者ロスト状態の処理]
ステップS110に処理を進めた場合は、物体検出領域11AX内に追尾対象者が認識できず、追尾対象者を見失った追尾対象者ロスト状態の場合であり、制御手段41は、ロストフラグをONにしてステップS115へ処理を進める。
【0063】
ステップS115にて制御手段41は、再認識タイマが起動中であるか否かを判定し、再認識タイマが起動している場合(Yes)はステップS125に処理を進め、再認識タイマが起動していない場合(No)はステップS120に処理を進める。
【0064】
ステップS120に処理を進めた場合、制御手段41は、再認識タイマを起動してステップS125に処理を進める。
【0065】
ステップS125に処理を進めた場合、制御手段41は、再認識タイマの時間が、再認識許容時間以下であるか否かを判定し、再認識許容時間以下である場合(Yes)はステップS130へ処理を進め、再認識許容時間を超えている場合(No)はステップS080Dへ処理を進める。
【0066】
ステップS130に処理を進めた場合、制御手段41は、再認識許容時間内において、物体検出領域外から物体検出領域内に入ってきた物体があるか否かを判定し、当該物体がある場合(Yes)はステップS135に処理を進め、当該物体がない場合(No)はステップS080Cに処理を進める。
【0067】
ステップS135に処理を進めた場合、制御手段41は、ステップS130にて抽出された物体(物体検出領域外から物体検出領域内に入ってきた物体)の中に、登録許容サイズ範囲の物体があるか否かを判定し、登録許容サイズ範囲の物体がある場合(Yes)はステップS140に処理を進め、登録許容サイズ範囲の物体がない場合(No)はステップS080Cに処理を進める。
【0068】
ステップS140に処理を進めた場合、制御手段41は、ステップS135にて抽出された物体の中から、所定時間以上連続して検出されている(連続して抽出されている)物体があるか否かを判定し、所定時間以上連続して検出されている物体がある場合(Yes)はステップS145に処理を進め、所定時間以上連続して検出されている物体がない場合(No)はステップS080Cへ処理を進める。
【0069】
ステップS145に処理を進めた場合、制御手段41は、ステップS140にて抽出された物体が単数であるか否かを判定し、単数である場合(Yes)はステップS150Bに処理を進め、単数でない(複数の)場合(No)はステップS150Aへ処理を進める。
【0070】
ステップS150Aに処理を進めた場合、制御手段41は、ステップS145にて抽出された複数の物体の中から、自律走行台車1の正面の最も近い位置の物体を、追尾対象者として再認識してステップS155へ処理を進める。
【0071】
ステップS150Bに処理を進めた場合、制御手段41は、ステップS145にて抽出された単数の物体を、追尾対象者として再認識してステップS155へ処理を進める。
【0072】
ステップS155に処理を進めた場合、制御手段41は、ロストフラグをOFFにしてステップS070へ処理を進める。
【0073】
以上に説明したステップS110~S155の処理は、追尾対象者ロスト状態の場合において、物体検出領域外から物体検出領域内に移動してきた物体を、見失った追尾対象者として再認識する再認識動作を実行させる処理である。
【0074】
[追尾対象者認識状態の場合の出力]
ステップS080Aに処理を進めた場合は、追尾対象者認識状態の場合であり、制御手段41は、物体検出領域11AX内に認識された障害物を回避しながら追尾対象者に追尾(近づく)する追尾動作を実行するように駆動手段(右モータ35R、左モータ35L)を制御してステップS085Aに処理を進める。
【0075】
ステップS085Aにて制御手段41は、対象者認識状態を示す出力を実行して処理を終了する。例えば、制御手段41は、追尾対象者認識状態を示す音声を音声出力手段33から出力し、追尾対象者認識状態を示す表示(例えば、緑色の表示灯を点灯)を表示灯39から出力して処理を終了する。
【0076】
[一時停止の場合の出力]
ステップS080Bに処理を進めた場合は、一時停止の場合であり、制御手段41は、駆動手段(右モータ35R、左モータ35L)を停止してステップS085Bに処理を進める。
【0077】
ステップS085Bにて制御手段41は、一時停止状態を示す出力を実行して処理を終了する。例えば、制御手段41は、一時停止を示す音声を音声出力手段33から出力し、一時停止を示す表示(例えば、緑色の表示灯を点滅)を表示灯39から出力して処理を終了する。
【0078】
[追尾対象者ロスト状態、かつ、再認識許可時間内、の出力]
ステップS080Cに処理を進めた場合は、追尾対象者ロスト状態、かつ、再認識許可時間内、の場合であり、制御手段41は、駆動手段(右モータ35R、左モータ35L)を停止してステップS085Cに処理を進める。
【0079】
ステップS085Cにて制御手段41は、追尾対象者ロスト状態、かつ、再認識許可時間内、を示す出力を実行して処理を終了する。例えば、制御手段41は、追尾対象者ロスト状態、かつ、再認識許可時間内、を示す音声を音声出力手段33から出力し、追尾対象者ロスト状態、かつ、再認識許可時間内、を示す表示(例えば、黄色の表示灯を点滅)を表示灯39から出力して処理を終了する。
【0080】
[追尾対象者ロスト状態、かつ、再認識許可時間を超えた場合、の出力]
ステップS080Dに処理を進めた場合は、追尾対象者ロスト状態、かつ、再認識許可時間を超えた場合であり、制御手段41は、駆動手段(右モータ35R、左モータ35L)を停止してステップS085Dに処理を進める。
【0081】
ステップS085Dにて制御手段41は、追尾対象者ロスト状態、かつ、再認識許可時間を超えたことを示す出力を実行して処理を終了する。例えば、制御手段41は、追尾対象者ロスト状態、かつ、再認識許可時間を超えたことを示す音声を音声出力手段33から出力し、追尾対象者ロスト状態、かつ、再認識許可時間を超えたことを示す表示(例えば、黄色の表示灯を点灯)を表示灯39から出力して処理を終了する。
【0082】
[追尾対象者が未登録の場合の出力]
ステップS080Eに処理を進めた場合は、追尾対象者が未登録の場合であり、制御手段41は、駆動手段(右モータ35R、左モータ35L)を停止してステップS085Eに処理を進める。
【0083】
ステップS085Eにて制御手段41は、追尾対象者が未登録であることを示す出力を実行して処理を終了する。例えば、制御手段41は、追尾対象者が未登録であることを示す音声を音声出力手段33から出力し、追尾対象者が未登録であることを示す表示(例えば、赤色の表示灯を点灯)を表示灯39から出力して処理を終了する。
【0084】
以上に説明したように、追尾対象者は、自律走行台車1の表示灯39が例えば黄色の点滅で追尾対象者ロスト状態かつ再認識許容時間内である音声が出力されている場合、急いで自律走行台車1の物体検出領域内に入るだけで、自身を追尾対象者として再認識させて追尾動作を再開させることができる。なお、自律走行台車1の表示灯39が例えば黄色の点灯で追尾対象者ロスト状態かつ再認識許容時間を超えてしまっている音声が出力されている場合、追尾対象者は、自律走行台車1の物体検出領域内に入っても再認識させることができないので、リセット操作部を操作して追尾対象者の登録をリセットした後、登録操作部を操作して追尾対象者を登録すればよい。
【0085】
以上に説明した本実施の形態の自律走行台車1は、追尾対象者に追尾するように移動する自律走行台車1において、自律走行台車1が追尾対象者を見失った場合、容易かつ手間なく追尾対象者を再認識させることが可能であり、容易かつ手間なく追尾を再開させることができる。
【0086】
本発明の自律走行台車1は、本実施の形態で説明した構成、構造、外観、形状、処理手順等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
【0087】
本実施の形態の説明では、再認識許可時間が予め設定されている例で説明し、変更の可否については説明しなかったが、例えばタッチモニタ31を再認識許可時間変更手段として、追尾対象者が再認識許可時間を自由に変更できるようにしてもよい。
【0088】
本実施の形態の説明では、物体検出領域11AXを、追尾対象者認識状態と追尾対象者ロスト状態で同じとした例を説明したが、追尾対象者ロスト状態での物体検出領域を、追尾対象者認識状態の物体検出領域よりも広くするようにしてもよい。
【0089】
本実施の形態の説明では、追尾対象者ロスト状態の場合、物体検出領域外から物体検出領域内に入ってきた物体に対して、所定時間以上連続して検出された物体、かつ、最も近い位置の物体、を見失った追尾対象者として再認識させた。しかし、物体検出領域外から物体検出領域内に入ってきた物体を、見失った追尾対象者として再認識させてもよい。また、物体検出領域外から物体検出領域内に入ってきた物体であって、所定時間以上連続して検出された物体、または、最も近い位置の物体、の少なくとも一方の物体を、見失った追尾対象者として再認識させてもよい。
【0090】
本実施の形態の説明では、警報出力手段として、音声出力手段33と表示灯39を用いた例を説明したが、警報出力手段はこれらに限定されるものではなく、例えばタッチモニタ31等を警報出力手段として利用してもよい。また、自律走行台車1の各状態に対する表示灯39の出力(色彩、点灯・点滅)の例は、本実施の形態にて説明した出力に限定されるものではなく、種々の色彩の表示灯を、種々の方法(点灯・点滅)で出力できる。
【0091】
本実施の形態の説明では、物体検出手段11として、レーザ光を走査して物体を検出するLaser Range Finderを用いた例で説明したが、物体検出手段11として、カメラを用い、画像認識にて物体を検出するようにしてもよい。
【0092】
また、本実施の形態の説明に用いた数値は一例であり、この数値に限定されるものではない。また、以上(≧)、以下(≦)、より大きい(>)、未満(<)等は、等号を含んでも含まなくてもよい。
【0093】
本発明の自律走行台車1を適用する場所は、製造工場、荷物配送センター、パーツセンター等に限定されるものではなく、種々の場所にて自律走行台車1を適用することができる。
【符号の説明】
【0094】
1 自律走行台車
2 ボディ
3 荷台
4L 左駆動輪(車輪)
4R 右駆動輪(車輪)
5L 左キャスタ輪(車輪)
5R 右キャスタ輪(車輪)
11 物体検出手段
11A 最大検出領域
11AX 物体検出領域
12L 左補助物体検出手段
12R 右補助物体検出手段
13A メインスイッチ
14 前方床面検出手段
31 タッチモニタ
32 アンテナ
33 音声出力手段(警報出力手段)
34 通信用コネクタ
35L 左モータ(駆動手段)
35R 右モータ(駆動手段)
38 バッテリ
39 表示灯(警報出力手段)
40 制御装置
41 制御手段
41A 受信手段
41B 送信手段
42 記憶手段
42R (実際の)作業エリア
80 無線操作装置
80A 登録操作部
80B 一時停止操作部
80C リセット操作部
82 アンテナ
H1~H4 壁面
R1~R6 棚
TG1 追尾対象者

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7